著者
須貝 伸一郎 今井 正樹 岡田 誠之 武藤 暢夫
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.74, pp.69-74, 1999-07-25
参考文献数
6

第1報において,基礎的な検討事項として,スライムの発生,成育条件の検討,スライムの抑制,スライムの生物活性を検討した.本研究は,再利用水を送水するための配管に着目した.配管内に微生物が付着すると衛生器具の詰まりや流れの障害,管路の閉そく,臭気,腐食促進などの障害の原因となるといわれている.そこで,特に下記のことを検討した.(1)配管用炭素鋼鋼管,硬質塩化ビニル管,ステンレス鋼管,アクリル管の各種配管材料におけるスライム付着量,(2)流速,管表面精粗によるスライム付着量,(3)水質とスライム生成の相関ならびにスライムの性状,この検討を行ったところ,次の知見を得た.1)原水(BOD濃度10mg/l程度)に比べて高度処理すると,スライムの付着量は極端に少なくなる.2)凝集沈殿水,砂ろ過水におけるスライム抑制効果は,配管材質および流速の種類によって差異がある.アクリル管<ステンレス鋼管<硬質塩化ビニル管<配管用炭素鋼鋼管の順にスライムの生成量が多くなっている.3)管表面精粗は砂ろ過水を除き,影響があることが認められた.4)スライムの組成はC_9H_<15>NO_4で示された.
著者
太田 慎一 伴場 裕巳 今井 幸紀 新井 晋 藤原 研司
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.99, no.3, pp.253-263, 2002-03-05
参考文献数
90
被引用文献数
1

大腸癌の予防は重要な課題であり,この点でプロスタグランジン合成酵素であるCOX-2が注目を集めている.家族性大腸腺腫症ではヒトで有意の腺腫に対する退縮効果が報告された.しかしながらその作用機序に関しては現在も様々な議論がある,ヒトの癌においては臨床的展開が期待されると共に癌発生機構解明の手がかりを与えてくれる可能性のある分野であり,今後の発展が期待される.
著者
今井 公俊
出版者
京都大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

当科で体外受精・胚移植を受けた患者で、Veeckの基準による形態良好胚を2回以上子宮腔内に移植したにも拘わらず妊娠に至らなかった者を登録した。その中で次回予定体外受精・胚移植の前の月経周期の分泌期に所定の子宮鏡検査、採血、内膜組織診を行えたのは5名であった。この5名の平均年齢は37.2歳、平均不妊期間12.4年、過去に行った体外受精・胚移植の平均回数は5.4回であった。子宮鏡検査当日に経膣超音波断層装置で測定した子宮内膜の厚さは約10mmであった。子宮鏡検査で異常所見のあったものは1例で、子宮底左に小ポリ-プを認めた。従来通りのH&E染色で子宮内膜日付診をしたところ、out of phaseが4例で、4例共従来の診断基準上子宮内膜不全と考えられた。次の月経周期に体外受精・胚移植を受け、妊娠に成功したものは2例、失敗したものは3例であった。成功症例と非成功症例に分けて、それぞれの検査項目に於いてこの二群間に差が有るか否かを検討したが、症例数が少なく、2群間の差については統計学的に有意差を認めなかった。今回の研究対象は不妊期間も長く過去に施行した体外受精・胚移植の回数も多かったが、5例中2例に子宮鏡検査・子宮内膜掻爬の次周期に妊娠に成功したことは、不妊症を起こす何らかの原因が子宮内膜に存在し、それを掻爬して新しい内膜の再生を促した事が寄与したと考えられる。今後症例数を増やし如何なる因子が関与しているかを検討する予定である。
著者
今井 直
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

国連人権理事会を創設した2006年3月の国連総会決議60/251は、「理事会が、重大かつ組織的な侵害を含む、人権侵害の事態に対処」すべきことを定める。新設の普遍的定期審査(UPR)については、基本的に人権侵害事態対処機能とは異なる趣旨のメカ二ズムであることが確認される一方、「アラブの春」の文脈では、人権理事会の活動にその発足以来はじめて積極的なアプローチが見られた。しかし、その常態化は困難であり、特別手続や人権高等弁務官などによる注意喚起が、人権理事会の審議や決議の「引き金」となるメカニズムを確立させることが必要である。
著者
今井 亮三 島 周平 藪内 威志 加藤 英樹 松井 博和
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学 : 日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.147-152, 2011-04-20
参考文献数
33

トレハロースはグルコースがα,α-1,1結合した二糖であり,微生物や昆虫では,エネルギー源や乾燥等からの生体膜やタンパク質の保護物質として働くことが知られている。一方,植物においてはトレハロースの検出が困難であったことから,長い間トレハロースの生合成は否定されてきた。90年代後半に植物から初めてトレハロース生合成遺伝子が単離され,高等植物中にもトレハロースが存在することが明らかになった。しかし,植物中の蓄積量は極微量であり,貯蔵糖やストレス保護物質であることは考えにくい。最近の研究で,トレハロースの生合成が植物の発生やストレス応答において重要な調節機能をもつことがわかってきた。特にトレハロース6-リン酸が植物の糖代謝において重要なシグナル物質であることが明らかになりつつある。本稿では,植物においてトレハロース生合成が示すユニークな機能を紹介する。
著者
今井 亮三 島 周平 藪内 威志 加藤 英樹 松井 博和
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.147-152, 2011
参考文献数
33
被引用文献数
1

トレハロースはグルコースが&alpha;,&alpha;-1,1結合した二糖であり, 微生物や昆虫では, エネルギー源や乾燥等からの生体膜やタンパク質の保護物質として働くことが知られている。一方, 植物においてはトレハロースの検出が困難であったことから, 長い間トレハロースの生合成は否定されてきた。90年代後半に植物から初めてトレハロース生合成遺伝子が単離され, 高等植物中にもトレハロースが存在することが明らかになった。しかし, 植物中の蓄積量は極微量であり, 貯蔵糖やストレス保護物質であることは考えにくい。最近の研究で, トレハロースの生合成が植物の発生やストレス応答において重要な調節機能をもつことがわかってきた。特にトレハロース6-リン酸が植物の糖代謝において重要なシグナル物質であることが明らかになりつつある。本稿では, 植物においてトレハロース生合成が示すユニークな機能を紹介する。
著者
今井 彬暁
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第47回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.26, 2013 (Released:2013-05-27)

本発表では、ベトナムの西北地方に位置するサパと呼ばれる観光地において形成されている民族間分業の様態を描き出し、そこでのモン族の立ち位置を彼らの労働表象に着目しつつ説明する。サパでは複数の民族が観光産業に携わっているが、経済活動に付与する価値付けは民族によって異なることを労働表象の民族的差異から説明し、そのことが民族間分業におけるモン族の現在の立ち位置を決定する要因となっていることを主張する。
著者
黄 才榮 今井 幸充
出版者
日本介護福祉学会
雑誌
介護福祉学 (ISSN:13408178)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.39-50, 2009-04-01

本研究では,これまで日本の介護福祉研究ではあまり取り上げられなかった在日コリアン高齢者が在宅介護に求めるニーズの構造やその影響因子を明らかにすることを目的とした.調査対象は,関東地域にある在日コリアン高齢者のための3か所のデイサービス利用者および2か所の老人クラブ会員で,65歳以上の男女100人について,2008年4月6日から6月5日まで,訪問面接によるアンケート調査を実施した.調査結果の分析は,まずKJ法によって質的な検討を加えたのち,そこから得られた問題領域ごとに因子分析(抽出法は最尤法・回転法はプロマックス法)を行った.その結果,「文化配慮介護ニーズ」「自立支援介護ニーズ」「家族介護ニーズ」「居住介護ニーズ」の4領域8因子20項目が抽出された.また,因子分析で抽出された領域因子項目の合計得点間の相関関係を調べた.さらに,各領域因子項目の合計得点を従属変数とし,生活基本事項を独立変数とする重回帰分析を行った.その結果,在日コリアン高齢者の在宅介護ニーズは4領域8因子で構成され,「文化・家族・居住ニーズ」は日常生活ニーズとして有意な関連があり,とくに在日コリアン高齢者の介護意識と子どもとの関係が重要な因子であることが分かった.一方,「自立ニーズ」は,介護サービス利用の条件として,他のニーズと区別される傾向があり,住宅所有状況や介護保険制度の周知度が大きく影響していた.また,高い教育歴は,文化ニーズを高める一方で,家族ニーズを低くする要因であることが示された.
著者
今井 博久
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.135-142, 2007-03-10 (Released:2011-08-04)
参考文献数
14

性器クラミジア感染は, これまでは医療機関を受診した有症状の感染者の有病率が明らかになっていたが, 感染の大半を占める無症候患者の感染状況は十分に明らかにされていなかった。また, 近年, 性交し始める年齢が低くなりティーンエイジャーにおける感染の蔓延が懸念されているが, そうした疫学情報もなかった。そこで, 高校生を含む若年者を対象とした無症候性クラミジア感染症の大規模スクリーニング調査研究が開始された。本論文では,(1) 先行して実施した大学生や専門学校生の調査,(2) 高校生を対象とした大規模調査, この2つの調査について説明し, これらの調査結果をふまえながらティーンエイジャーにおけるクラミジア感染症の蔓延とその予防について述べたい。大学および専修職業学校に在関する無症候の性交経験を有する18歳以上の男女学生における性器クラミジア感染症の有病率は8.3%(女性9.1%, 男性7.0%) であった。特に, 年齢別にみると女性では18~19歳でla4%の感染率を示し, ティーンエイジャーへの感染が深刻な状態にあることを示唆していた。ティーンエイジャーの中心層である高校生における感染拡大が懸念され, 高校生を対象にした大規模調査が実施された。その結果, これまでに5,000名を超える高校生の対象者を得て, わが国において初めて高校生の無症候性クラミジア感染の感染状況が明らかになってきた。感染率は女子高校生では13.1%, 男子高校生では6.7%であった。ティーンエイジャーにおける蔓延は間違いないことが明らかにされた。米国では39%(カリフォルニアの女子高校生2003年), スウェーデンでは21%(ウプスラの女子高校生1994年) などであり, わが国はおそらく先進諸国のなかで最も感染が拡大していることが考えられた。一連の調査結果から具体的な対策を考察すると, 性感染症の蔓延防止対策の実施に向けて (1) 蔓延予防対策の焦点を当てるべき対象者をティーンエイジャーとすべきである,(2) 性別, 年齢, 危険因子が明らかになったので, こうしたデータに基づいた蔓延予防対策の施策を実施することが要請される,(3) 今後は各省庁や地元医師会, 関係学会, 学校教育関係者等が協力し合って緊急に対策を講じる, といったことが必要となろう。
著者
今井 民子
出版者
弘前大学
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.95-105, 1993-07

本稿は,ラモーの和声理論の特質と後継者たちによるその後の和声理論の展開を検証したものである。まず,初期の画期的な理論書、「Traite de l'harmoie」以来,彼が生涯にわたり追求したその和声理論の基本的概念を概観した。ここでは,根音バスとその転回を中心に,和音の生成,オクターブの同一性,Suppositionなどをとりあげ,さらに根音バスの概念確立に彼が大きな示唆を得た通奏低音法の規則である「オクターブの法則」についても述べた。次に当時のドイツの通奏低音法とラモーの和声理論を比較し,両者の本質的相違を明らかにした。最後にラモーの後継者たちによる和声理論の展開として,キルンベルガーとマールプルクの理論を中心にとりあげた。彼らは,不協和音をより明確に理論づけ(本有的不協和音と偶有的不協和音),ラモーにおいて不十分であった高次のレヴェルからの和声分析を確立し,これはその後の和声分析のモデルとなった。
著者
安田 忠彰 三浦 祥吾 今井 理裕 井脇 洋 Yasuda tadaaki Miura shogo Imai Masahiro Iwaki Hiroshi
雑誌
【全国大会】平成20年電気学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
pp.517-518, 2008-03-19

都心系統には都心系統安定化リレーシステムが設置されており、万一の送電線事故時は系統内火力発電機と重要負荷で単独系統維持を図っている。この単独系統は一時的に運転維持に成功しても長時間の運転維持は困難であり、早急に本系統に系統並列する必要がある。従来、この系統並列操作は手動で実施していたが、これを自動で行うことで都心系統の迅速な本系統への系統並列を図る本装置を開発した。
著者
今井 民子
出版者
弘前大学
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.65-71, 1997-10

イギリスの音楽史家,Cノヤーニーの『ヨーロッパ音楽紀行』は,主著である『音楽通史』執筆の資料収集を目的に企てた大陸旅行の見聞録である。本稿では,この旅行記に基づき,彼が見聞した教会,劇場,私的コンサートにおける音楽活動の実態と,その他,大道の音楽,楽器,楽譜について,主にイタリアを中心に検討する。まず,イタリアの教会音楽では,世俗化の著しい祝日の音楽と,平日の素朴で古風な聖歌との対照が指摘される。オペラ劇場では,貴族と一般市民からなる聴衆,音楽家の生活支援のための劇場コンサートが,また,私的コンサートでは,教養豊かなディレッタントによる良質のコンサート(アッカデーミア)の様子が言及される。バロックの教会,劇場,室内という音楽様式の3つの区分はあいまい化し,相互の融合,類似化が窺える。その他,野趣に富む大道の民謡,後年,『音楽通史』に結実する楽器や楽譜の資料収集に関する記述がある。
著者
金澤 成美 山本 隆昭 高田 賢二 藤井 元太郎 石橋 抄織 佐藤 嘉晃 原口 直子 今井 徹 中村 進治
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13440241)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.92-102, 1998
被引用文献数
31

1981年4月から1996年3月までの15年間に北海道大学歯学部附属病院矯正科を来院した矯正患者を調査対象に, 経時的推移を調査し以下の結果を得た.1. 過去15年間の来院患者総数は4, 559名で, 1981年から1990年までは増加していたが, その後の患者数は減少していた.2. 性別では, 男性 : 女性が1 : 1.5と女性が多く, また年齢が高くなるに伴い女性が増加していた.3. 初診時年齢は経時的に年齢が高くなる傾向にあり, 成長期の患者が減少し, 永久歯列期の患者が増加していた.4. 来院動機では審美障害が最も多く, 次いで咀嚼障害であった.また, 顎関節症を主訴とする患者が近年は増加していた.5. 来院経路では, 自意が減少し, 院内他科や他の医療機関からの紹介が増加していた.6. 不正咬合の種類では, occlusal anomaliesが74.2%, space anomaliesが78.7%であった.前者では, 反対咬合が40.5%, 上顎前突が13.6%であったが, 経時的に反対咬合は減少していた.後者では前歯部叢生が62.8%と多く, 経時的に前歯部叢生が増加している傾向が認められた.7. 顎顔面領域の先天異常では, 口唇口蓋裂の占める割合が高かったが, 人数では経時的に減少していた.8. 外科的矯正治療患者の割合は全体の約16%を占め, 反対咬合症例が圧倒的に多かった.9. 顎関節症状を有する患者は増加する傾向にあり, 特に女性の占める割合が高かった.
著者
今井 浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.79, pp.1-6, 2001-07-27
被引用文献数
1

Shannonのエントロピーのもつ離散構造として、同時分布の周辺分布のエントロピーの 集合関数がポリマトロイドとなることが藤重により示されている。本稿では、量子情報理論のvon Meumannエントロピーについて、完全に古典確率の場合を含んだ形でこの 結果が拡張できることを示す。As discrete structure of the Shannon entropy, the entropy of marginal distributions forms a polymatroid, as shown by Fujishige. In this paper, we extend this result for the von Neumann entropy in quantum information theory.