著者
山下 崇博 小林 健 伊藤 寿浩
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2015年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.329-330, 2015-03-01 (Released:2015-09-01)

現在,高度経済成長期に整備されたインフラの損傷や老朽化に伴う事故が多発している。そこで,本研究ではインフラ構造物及びその構成部材の状態を常時・継続的・網羅的に把握するセンサシートを開発する。シリコンウェハ上に大きさ1mm角,厚さ5μm程度のひずみゲージチップを作製し,スタンピング転写によりPET基材上にアレイ状に実装することで,橋梁などに貼り付け可能な大面積フレキシブルセンサシートを実現する。
著者
伊藤 直人 森川 将行 飯田 順三 平尾 文雄 東浦 直人 岸本 年史 橋野 健一 南 尚希 中井 貴 中村 恒子 南 公俊 山田 英二
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.983-985, 1998-09-15

高血圧を伴った神経ベーチェット病で,剖検によって死因がクモ膜下出血と診断された,まれな1例を経験したので報告する。クモ膜下出血の出血部は神経ベーチェット病の病変の中心である橋底側の動脈で,経過中に高血圧を併発していることもあり,神経ベーチェット病と高血圧およびクモ膜下出血との関連が示唆された。
著者
北浦 健生 太田 和宏 吉田 誠 曽我 綾香 野路 稔 伊藤 智司 岡田 英孝 北 宜裕
出版者
神奈川県農業技術センター
巻号頁・発行日
no.160, pp.1-6, 2016 (Released:2016-09-14)

青首総太り品種が主流となっている現在のダイコン生産・流通体系において,特色あるダイコン新品種の開発を目的に、白首総太りダイコンの一代雑種品種を,神奈川県農業技術センター,民間育種家及び横浜植木株式会社の3者で育成した。花粉親系統については当所と県内育種家が育成を担当し,2003年から‘大蔵’及び‘晩野路’を交配母本に用い,集団選抜法により根形が円筒形の系統を育成した。2009年の集団選抜第6世代以降,形質の分離幅が縮小したため,横浜植木(株)保有の雄性不稔系統を種子親としたF1交雑検定を並行して実施した。計25の交雑系統から有望な系統‘UON’を選抜し,特性検定及び現地適応性試験を実施した。その結果,‘UON’は根部が首部を含め全体が白色で円筒形,甘味が強く,‘耐病総太り’と同等の食味評価を確認したことから,‘湘白’と命名し,2013年3月5日に品種登録出願し,2015年6月19日に品種登録を受けた(農林水産省登録番号第24375号)。
著者
山下 崇博 Sommawan Khumpuang 三宅 晃司 伊藤 寿浩
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌E(センサ・マイクロマシン部門誌) (ISSN:13418939)
巻号頁・発行日
vol.132, no.4, pp.66-70, 2012-04-01 (Released:2012-04-01)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

Conductive polymer coated micro-cantilever array made by reel-to-reel continuous fiber process as the electrical contact components for woven electronic textile was investigated. We report the novel cantilever releasing method using air injection and the results of patternable CYTOP and organic conductive polymer using nanoimprinting method. The conductive organic material used in this study is PEDOT:PSS (poly(3,4-ethylenedioxythiophene) poly(4-styrenesulfonate)). Micro-cantilever contact array is realized to compose the electrical circuit through the large area woven textile. The contact resistance of 480 Ω is hold on for over 500 times. Contact resistance measurements revealed that an electric current begins to flow with smaller contact force for PEDOT:PSS coated cantilever array structure than for PEDOT:PSS film structure. There is no appreciable wear on cantilever surface due to its movability after 103 cycles contact test with 0.5 N contact force. Based on these results, PEDOT:PSS coated micro-cantilever array have excellent potential as electrical contact components between weft and warp for woven electronic textile.
著者
山下 修一 伊藤 英樹 柴田 道世
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.408-409, 2015

<p>本研究では,月の満ち欠けを科学的に説明させるために.従来モデルを改善し,モデルの操作を月の満ち欠けの理解に結びつけるための読み物を開発して,小学校教員(N=57)と理系学生(N=33)を対象にして試行した.そして,新たに開発したモデルと読み物で,中学生(N=256)でも科学的な月の満ち欠けの説明ができるようになるのかを検証した.その結果,小学校教員と理系学生の比較からは,事前調査では,小学校教員の49 名(86.0%),理系学生の21 名(63.6%) がLevel 0 となり,小学校教員や理系学生にとっても,月の満ち欠けの説明は困難であった.事後調査では,小学校教員の55 名(96.5%),理系学生の全員がLevel 1 以上の説明ができるようになり,地球の影・自転での説明は見られなくなった.中学生の試行からは,授業で月の満ち欠けの学習を終えたばかりなので,事前調査の段階でも地球の影は関係しないことを理解していたが,30%以上の生徒にとっては,科学的に月の満ち欠けを説明することが難しく,地球の自転で説明している生徒も10%以上いた.事後調査では,Level 1 以上が目安の80%を上回り,中学生にも月の満ち欠けを科学的に説明させることができた.</p>
著者
伊藤 洋 榊原 健介 三木 靖雄
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.1028-1031, 2012-10-01

平成23年12月のある日,当院の救急救命科医師から連絡が入った。 「脳死患者から移植臓器提供がありそうで,移植コーディネーターからの説明が終わり,1回目の法的脳死判定が行われる」と…。 その前月に,愛知医科大学病院における『脳死患者からの臓器摘出マニュアル』が,平成22年7月に日本臓器移植ネットワークが発表した『臓器提供施設の手順書』をもとに作られたばかりで,それまでに1度だけ委員会が開かれただけだった。約10年前と1年前に,それぞれ別々に医局関連病院で,脳死ドナーから臓器摘出が行われたという話は聞いていたが,当院では初めてだった。 それから実際の臓器摘出術までは約1日。高度救急救命センターを運営する救急救命科と中央手術部での麻酔管理をする麻酔科とで,業務が分かれている当院の特性もあるが,院内のコーディネートを含め,さまざまなことを感じた。 本稿では,その実体験から見えてきた脳死下臓器提供の実際と課題について述べる。
著者
西堀 すき江 小濱 絵美 加藤 治美 伊藤 正江 筒井 和美 野田 雅子 亥子 紗世 廣瀬 朋香 羽根 千佳 小出 あつみ 山内 知子 間宮 貴代子 松本 貴志子 森山 三千江 山本 淳子 近藤 みゆき 石井 貴子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】昭和50年代までは『尾張の嫁入りは派手』といわれ,花嫁道具一式を積んだトラックに紅白幕をかけて嫁ぎ先へ運んだり,菓子撒きをしたり,豪華な料理や引き出物を用意した。このような,一世一代の行事は派手に祝うが,通常は倹約をし質素な生活をするのがこの地方の特徴であった。</p><p>【方法】愛知県を(1)名古屋市,(2)尾張水郷(海部),(3)尾張稲沢(尾張北部),(4)愛知海岸(知多,西三河・東三河の海岸,渥美),(5)西三河・安城,(6)東三河・豊橋,(7)愛知山間・奥三河の7地区に分け,聞き書き調査と料理の撮影を行った。聞き書き調査は,平成24・25年,料理の撮影は平成27年に行った。聞き書きは,各地区に長年暮らし,その地域の家庭料理を伝承されている方を調査対象者とした。撮影に当たっての料理作成は,聞き書き対象者や各地区で伝統的家庭料理の保存活動を行っている団体・個人などに依頼した。先の調査を収録した『日本の食生活全集23 聞き書 愛知食事』を参考にした。</p><p>【結果および考察】名古屋を含む尾張地区では稲作や野菜栽培が盛んで,副菜も地場でとれた野菜を生で食す以外に乾燥させたり,漬物にしたりして利用した。また,名古屋コーチンに代表される養鶏が盛んで,なんぞ事の時に鶏肉(かしわ)や卵が食された。海岸地区は伝統野菜の蕗をはじめ種々の野菜が栽培され,小魚や海藻の佃煮も多く利用されていた。三河の安城地域は,不毛の台地安祥(あんじょう)ヶ原と言われていたが,明治用水建設後は日本のデンマークと称されるようになり,農作物が豊富に栽培された。大豆・落花生も畦に作られていた。愛知山間部では山菜やきのこ,川魚などで佃煮を作り常備菜としていた。へぼなどの昆虫食も利用していた。</p>
著者
伊藤 裕之
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.357-360, 1989
被引用文献数
1 1

This report is concerned with diet for dysphagic patients. Oral intake of foods was very important as rehabilitation training for dysphagia. However, some foods which are difficult to swallow for patients might cause air way obstruction and pneumonia. Therefore the choice of suitable diet was essential for the rehabilitation of dysphagia. Though adequate foods for dysphagic patients were slightly different, case by case. They are generally wet, easy to masticate and favorite of the patients. On the contrary, unsuitable diet, is dry and spicy. The foods containing too much water and unfavorite ones of the patients are not adequate for dysphagic patients. A program of diet for dysphagic patients were proposed and tried on a patient of dysphagia. Oral feeding was begun with soft and wet foods such as pudding, yoghurt and "chawan-mushi" as the first step and baby foods were chosen in the next step. In the third step, well-boiled soft vegetables or "toufu" (bean curd) were added to foods of the second step. In the forth step, gruel were added to the previous step. The foods should be chosen according to the improvement of the dysphagia. The diet program for dysphagic patients should be established.
著者
伊藤 怜子 清水 恵 佐藤 一樹 加藤 雅志 藤澤 大介 内藤 明美 森田 達也 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.135-146, 2020

<p>厚生労働省の受療行動調査におけるQuality of life (QOL)を評価する項目について,全国から無作為抽出した20〜79歳の一般市民2400名に対して郵送法による自記式質問紙調査を実施することにより,その国民標準値を作成することを目的とした.さらに,SF-8<sup>TM</sup>, Patient Health Questionnaire-9(PHQ-9), Eastern Cooperative Oncology Group Performance Status(ECOG-PS), Memorial Symptom Assessment Scale(MSAS)などとの関連も検討した.分析対象は978部(41.1%)で,性年齢階級別人口統計によって重み付けした40歳以上のQOL指標の標準値は,「体の苦痛がある」33%,「痛みがある」33%,「気持ちがつらい」23%,「歩くのが大変」15%,「介助が必要」3%であった.本研究結果は,今後,受療行動調査を用いて全国的かつ継続的に患者の療養生活の質を評価し解釈していくにあたり,重要な基礎データとなる.</p>
著者
伊藤 敏幸 佐藤 俊夫 藤沢 有
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.7, pp.1414-1423, 1987-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
51
被引用文献数
8

α-位にメチルチオ基を導入したβ-ケトエステル類をパン酵母で還元すると,3-位がS-配置であるヒドロキシエステルがきわめて高い光学純度で得られることを見いだした。また,β-ケトジチオカルボン酸エステルのパン酵母還元では,とくにα-位に置換基を導入する.とβ-位のエナンチオ選択性のみならずα-位とβ-位のジアステレオ選択性も対応するカルボン酸エステルのパン酵母還元の場合にくらべていちじるしく向上することを明らかにした。このようにして得られた光学的に純粋なβ-ヒドロキシエステルは硫黄官能基の反応性の特長を活かして,マツハバチの性フェロモンである(2S,3S,7S)-2-アセトキシ-3,7-ジメチルペンタデカンを簡便な工程で立体選択的に合成することができた。
著者
伊藤 修一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.46, 2005

_I_ はじめに 地理学における女性就業に関する研究では,一般に,郊外居住の既婚女性が家事や子どもの世話と就業の二重の役割を担うために,「空間的足かせ」によって自宅周辺での仕事に就かざるを得ないとされてきた.その上,条件のよい仕事は郊外の自宅周辺には少なく,希望する仕事との間に「空間的なミスマッチ」を生じているとされてきた.それは既婚女性が短距離通勤者となり,雇用のミスマッチに陥った一因を示している.特に女性のジョブサーチの過程においては,人づての情報は広告や職業安定所に並んで重要な役割を果たしており,最近では,既婚女性の就業継続には別居の親からの支援が有効であるという研究結果もある.よって,こうした「空間的足かせ」や「空間的ミスマッチ」のメカニズムを解明するためには,既婚女性がどのようなパーソナル・ネットワークを持ち,それをどう利用しているかを明らかにする必要がある.本研究では,社会的資源としてのパーソナル・ネットワークの規模と空間的な広がりを明らかにし,その役割について考察する._II_ 研究方法と研究対象地域 分析には,2003年に実施したアンケート調査で得られた,206世帯の夫婦それぞれの回答結果を用い,16世帯からのインタビュー調査結果で補完した.妻の就業状態によるパーソナル・ネットワークの規模と空間的広がりの差異を分析し,彼女らのジョブサーチと育児支援に対する影響を検討した.千葉ニュータウンは当初,東京都心までのアクセスが悪かったこともあり,人口急増期が東京圏内でも遅く,1990年代前半になって夫婦と子どもからなる世帯が多く流入し,その世帯率が東京圏内の市区町村の中で最も高くなった.一方で,この地域の女性就業率は1995年に最も低くなったが,2000年には事業所の増加もあって上昇しはじめている.ただし,都市計画上ニュータウン内に立地できる事業所の種類は限られており,サービス業や小売業の事業所が集中している._III_ ジョブサーチと育児支援に対するパーソナル・ネットワークの役割 対象となった妻のうち107人が就業している.このうち35人が正規雇用者で,通勤距離は平均14.0kmであるのに対して,非正規雇用の72人の平均通勤距離は5.3kmと短い.正規雇用者のうち25人は,前住地から継続して就業しているのに対して,非正規雇用者のうち49人は現住地で再就業しており,移動距離も正規雇用者よりも長い.こうした職に就く際に,正規・非正規雇用者ともに,子どもを介した友人などの,他の世帯の人も現職に就く際の有力な情報源となっている.ただし,他の世帯の人を通じて就職した非正規雇用者の通勤距離は,正規雇用者の平均12.1kmと比べて,3.4kmと短く,それはニュータウンを東西に貫通する北総・公団線の駅間距離と対応している.「他の世帯の人」には,主に子どもを介した友人など,近隣の居住者が含まれている.実際,妻には「日ごろから何かと頼りにし,親しくしている人(以降,親友と略称)」が平均14人程度いるが,このうち,正規雇用者は市町村内に平均4.3人の親友がいるのに対して,非正規雇用者は8.5人と多い.正規雇用者の親友のうち5人は「職場の同僚」であるのに対して,非就業者の親友のうち5人は「(仕事以外の)組織の友人」というように,それぞれの日常生活を明確に反映したものとなっている.親友の中で,妻が世帯外で「就職や転職に関する相談相手」や「子どもの世話を依頼できる人」は,妻自身の親に並んで子どもを介した友人が多い.さらに非就業者のうち13人は,雇用のミスマッチを非就業の理由に挙げており,市区町村内での就業を希望しているものの,非正規雇用者ほど他の世帯の人からの情報を得ていない.これは,就業者と比べて居住年数が短いことと関係が深く,情報を得られる経路が十分に形成されていないことを示唆している.また,正規雇用者が市町村内の友人が少ない一因には,勤務時間が長く,非正規雇用者や非就業者と日常接触する機会が少ないことがある.そのため,正規雇用者からの求人情報はこの地域内に伝達されにくい.一方,育児支援に関しては,育児は自分で行うという意思が強いこともあって,多くは親にも子どもを預かってもらう機会がない.ただし,世帯内で子どもの世話をできない緊急時には,子どもを介した近隣の友人が重要な役割を期待されている.このように妻のパーソナル・ネットワークからみると,これまで議論されてきた「空間的足かせ」仮説は,既婚女性が,近隣に偏った日常生活の中で,利用可能な求人情報や人々との接触を利用するという戦略を採った結果として理解することができる.
著者
伊藤 健市
出版者
關西大學商學會
雑誌
關西大學商學論集 (ISSN:04513401)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.19-72, 2017-12-25
著者
伊藤 了子
出版者
関西学院大学
雑誌
年報・フランス研究 (ISSN:09109757)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.(巻末よりの頁付)1-18, 1982-12
著者
伊藤 良子
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.20, 2008

【はじめに】<BR> 当院の療養病棟では『できるADL』と『しているADL』に差を認めた。そのため、2007年度よりADLカンファレンス(以下、ADLcf.)を導入し、セラピストと病棟スタッフとの間で患者様の情報共有を深める試みを行った。今回、ADLcf.により病棟と取り組んだ症例を通して連携を図るための課題が見えたので報告する。<BR>【活動内容】<BR> 療養2病棟と障害者病棟の合わせて3病棟に対してそれぞれ週1回各担当セラピストと各病棟スタッフ(最低1名)にて情報交換やセラピストの評価を基に検討や伝達を行う。病棟スタッフはADLcf.での情報を共有するために資料作成を行い病棟内へ伝達する。ADLcf.の対象患者様としてリハ介入者、非介入者に分けられ、介入者に対しては主にセラピストから提示し『しているADL』へつなげるために病棟スタッフへ伝達していく。非介入者に対しては病棟からの『しているADL』の課題について依頼があり、セラピストが評価し、より良い介助方法を検討・伝達し、次の週に再評価していく。<BR>【症例紹介および経過】<BR>症例1:70歳代、女性、リハ介入有、A2レベル。四肢熱傷。手指熱傷(III度)により可動域制限を認め、食事以外のADLに支障を来す。また、症例は依存的で病棟スタッフの介助を求められるため、過介助の状態であり『できるADL』と『しているADL』に解離を認めた。そのため、セラピスト側から『できるADL』を提示し情報交換を行った。また、杖歩行へ移行期のため介助ポイントの伝達を実施した。再評価にて杖歩行が定着し、ADLの介助量が減ったとの意見が得られた。<BR>症例2:70歳代、男性、リハ介入無、Cレベル。右被殼出血後遺症、陳旧性左被殻出血。筋緊張が高く、安楽な臥位・坐位がとれず、ベッド上やリクライニング車椅子でのずり落ちが目立ち、ポジショニングが困難な状態であった。そのため、セラピストが評価し、臥位での筋緊張の緩め方、ベッドや車椅子坐位のポジショニングの検討・伝達を実施した。方法をセラピストが提示し、写真を用いて病棟スタッフ間の伝達を実施したが、身体機能の把握が困難であり定着しなかった。そのため、再度伝達ポイントを絞り、実技を交えながら伝達を行ったことで身体機能の把握ができるようになった。<BR>【まとめ】<BR> 『できるADL』を提示することによりセラピストと病棟スタッフとの間で患者様の情報共有が深められ、対象患者様の『できるADL』と『しているADL』の差を以前より埋めることが可能となった。今後ADLcf.をより有意義なものにするために、セラピストはリハ非介入者に対して即時に評価・伝達を行う能力を高め、病棟はスタッフ間での伝達を積極的に行っていき、介助方法の浸透を進めていくことが課題となる。これらの課題を考慮し更に病棟との連携を深め、より良い介助方法の提供に努めたい。
著者
伊藤 道哉
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.923-925, 2013

医療技術の高度化,分子標的薬等新薬の保険収載は,画期的な治療効果につながる可能性をもたらしながら,窓口負担の増加・国民医療費の増大をまねき,中医協でも費用対効果の議論が活発化している.国民皆保険制度も半世紀,制度疲労によるほころびを医療者の気合いで持ちこたえるには限界がみえており,東日本大震災の深刻なダメージは,医療崩壊を加速させる.神経内科の領域は,「難病」制度のなかで保険診療をおこなうかぎりにおいて,患者の自己負担をおさえることができたが,高額療養費を巡る議論,がん対策基本法等疾病対策の法制化の潮流の前に,大きな転換点を迎えている.法制化による難病対策の安定財源確保が喫緊の課題である.
著者
中村 愛 島崎 敢 伊藤 輔 三品 誠 石田 敏郎
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.126-131, 2013
被引用文献数
2

この研究の目的は我々が開発したハザード知覚訓練ツールの効果を評価することである.訓練ツールはタブレット端末と専用ソフトウエア,およびドライブレコーダによって撮影された事故映像を組み合わせてできている.13名の若年の実験参加者は訓練前後に実路上の実験コースを走行した.訓練には,自動車が交差点の左死角から出現する自転車と衝突する事故類型を用い,4場面を3回繰り返した.交差点を左折する時の運転行動が訓練前後でどのように変化するか比較した.実験の結果,訓練後は,交差点の通過時間が増加し,一時停止率が上昇し,歩道の延長エリア進入時の左確認率が上昇し,確認回数が増加し,合計確認時間が増加した.これらは全て統計的に有意差があった.
著者
伊藤 太一
出版者
京都大学農学部附属演習林
雑誌
京都大学農学部演習林報告 (ISSN:0368511X)
巻号頁・発行日
no.65, pp.p310-324, 1993-12
被引用文献数
1

1892年に設置されたニューヨーク州立アディロンダック公園は今日においても6割近く私有地を含む地域制の公園である。約4割を占める州有地は1895年に州憲法で自然状態を保つことが規定された保護林であるが, それ以来その利用をめぐって改憲論議が展開されてきた。その過程を探ることによって, 水源涵養を中心とする功利主義的な保全からレクリエーション空間としての保全へ, さらに生態系のプロセス保全にいたる, 保護林のあり方を巡る人々の考え方の展開が明らかになった。一方, 公園内の私有地は少しづつ買収されていったが, 全部を買収することは当初から断念されていた。私有権の強固なアメリカの伝統を反映して, 私有地においては野外広告以外ほとんど規制されない状態が続いた。その結果, 特に第二次大戦以降, ディベロッパーによって細分化され別荘地として分譲されていくという無秩序な開発が問題となった。この間題に対処すべく1971年にアディロンダック公園事務所が設置され, ゾーニングによる私有地の土地利用基本計画が1973年に定められた。しかし, これは地元住民との対立を生じ, 地元経済の活性化と公園の自然環境保全の共存の道が探られるようになった。
著者
藤坂 朱紀 伊藤 浩介 小比賀 聡
出版者
一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会
雑誌
レギュラトリーサイエンス学会誌 (ISSN:21857113)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.113-120, 2017 (Released:2017-05-31)
参考文献数
32
被引用文献数
1

核酸医薬品は, 低分子医薬品や抗体医薬に次ぐ新たなカテゴリーの医薬品として, 近年大きな注目を集めている. 実際に承認された核酸医薬品はこれまでのところ世界的にも5品目と少ないものの, 国内外における核酸医薬品の臨床試験は現在百数十件にも達しており, その勢いは今後も衰えることはないであろう. しかし, 現在のところ核酸医薬品を主たる対象としたガイドラインは存在していないため, 核酸医薬品開発に関わる品質, 非臨床安全性, 臨床的特徴を整理し検討しておくことは核酸医薬品の研究開発を進めるうえで重要である. 本稿では, 核酸医薬品の開発の現状を概説するとともに, 核酸医薬品に関わるレギュラトリーサイエンス上の課題点について, 特に品質管理の立場から, 合成・精製, および分析上の課題, 化学修飾に基づく課題, 高次構造の管理などのいくつかのポイントについて議論する.