著者
江間 有沙 長倉 克枝 田中 和哉 藤田 卓仙 工藤 郁子
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

「技術が発達することでどういう社会になるか」ではなく「どういう社会を作りたいか」を考えるとき、倫理的、法的、社会的課題(ELSI)は一つの切り口となる。また、AIやロボットが普及する分野・時期、雇用や働き方への影響なども重要な論点である。本報告では、異分野・異業種の人たちからなるワークショップでの議論をもとに、人と人工知能・ロボットを取り巻く社会における論点と課題を整理・紹介する。
著者
横井 勝彦 竹内 真人 小野塚 知二 倉松 中 高田 馨里 松永 友有 福士 純 永岑 三千輝 田嶋 信雄 鈴木 淳 西牟田 祐二 奈倉 文二 須藤 功 西川 純子 山下 雄司 千田 武志
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、総合的歴史研究を通じて軍縮と軍備管理を阻む近現代世界の本質的構造を解明することにある。第二次大戦以降、武器取引は急速に拡大し複雑化したが、その構造はすでに第一次大戦以前に形成されていた。その点を明らかにするために、われわれの研究プロジェクトでは武器移転という事象を、経済史・国際関係史・帝国史・軍事史などの多角的な視点から分析した。分析概念として武器移転を歴史研究の分野に適用したのは、わが国でも本研究プロジェクトが初めてである。
著者
渋倉 崇行 西田 保 佐々木 万丈
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
pp.0807090077-0807090077, (Released:2008-07-10)
参考文献数
32
被引用文献数
5 2

The purpose of this study was to reconstruct a cognitive appraisal scale for high school athletes (Shibukura and Mori, 2004), and to examine the scale's reliability and validity. The subjects were 1370 first and second year high school athletes (903 males and 467 females). They were required to complete a questionnaire that consisted of a cognitive appraisal scale and a stress-coping scale for high school athletes. In this study we tried to devise a cognitive appraisal scale that contained “threat” and “challenge” as a primary appraisal and “controllability” as a secondary appraisal. First, as a result of factor analysis, it was revealed that a cognitive appraisal scale for high school athletes consisted of the three factors mentioned above. In this way, the cognitive appraisal scale was reconstructed. Second, the reliability of the scale was examined through the split-half method and the test-retest method. Furthermore, the content validity and the factorial validity were verified. Finally, multiple regression analyses were performed in order to examine the relationship of cognitive appraisal and coping. It became clear that a cognitive appraisal scale explained stress-coping, and the scale's predictive validity was supported. Consequently, a cognitive appraisal scale for high school athletes that contained “challenge”, “threat” and “controllability” was reconstructed, and it was considered that this scale would contribute to clarification of the psychological stress process and effective stress management.
著者
長山 雅晴 井倉 弓彦 NAGAYAMA Masaharu IKURA Yumihiko
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
盛岡応用数学小研究集会報告集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.8-16, 2008-01-01

1本のロウソクに火を点すと,炎が一定形状を保ち燃焼し続ける(図1.1(a))ことは多くの人が知っている.ロウソク燃焼に関する有名な本としてM.Faradayの「Thechcmical history of a chandle」がある[1].1860年のクリスマスに開かれたFaradayの講演を記録し出版した本であり,実験に基づいた1本のロウソク燃焼の機構について一般市民にわかりやすく説明を行っている.ロウソクの定常燃焼がロウと酸素の供給するバランスによって実現されることは多くの人に理解されてきた.それでは,「もしロウと酸素のバランスが崩れると何がおきるのであろうか?」この問題に対する一つの答えとして,1999年に石田氏と原田氏は定常燃焼するロウソクを2本近づけるとロウソク火炎が振動する現象を雑誌「化学と教育」に報告した[2].同様に定常燃焼する複数のロウソクを束にすれば,炎の形状は一定周期で振動しながら燃焼し続けるようになることもわかった(図1.1(b)).現在のところ,この振動燃焼は熱によりロウが過剰供給され酸素供給が不足することによる不完全燃焼のため起こる現象と考えられる1.我々は,この振動しているロウソク火炎をロウソク火炎振動子と呼ぶことにしよう.それでは,「振動するロウソク火炎振動子を2組用意し,ある距離に置くと何が起こるであろうか?」この問題に対して,山口大学の三池氏らは2つの振動子を近づけると同位相同期振動し(図1・1(C)),ある程度の距離に離すと逆位相同期振動する(図1.1(d))ことを発見した.このとき,次の疑問が必然的に生じる:距離に依存した同期現象の本質的相互作用は何であろうか?本研究の目的は数理的視点からロウソク火炎振動子の本質"相互作用"を明らかにすることである.ロウソク火炎の機構には,ロウの液化,気化,毛管現象を伴った燃焼過程,熱や酸素の拡散過程,流れによる熱や酸素の輸送過程,幅射のような熱エネルギー放出等が複雑に絡み合っていることから,ロウソク火炎振動子の同期振動現象の本質的相互作用を調べることは容易ではない.例えば,複数の相互作用の中から一つの相互作用を取り出して実験を行うためには,実験において流れの相互作用のみを取り出すための実験系の環境を作らなければならないし,流れのない実験環境を作るには「微小重力環境」が必要である.そこで本研究では,数理的視点からロウソク火炎振動子の相互作用を明らかにしていく.ここではいくつかの数理モデルを提案しロウソク火炎振動子の同期現象の本質的相互作用が何であるかを探っていき,数理モデルを構成する過程で対流や拡散が同期現象で果たしている役割を数理的に考察して行きたい.
著者
村上 雅裕 池本 憲彦 戸屋 成未 朴 美姫 奥山 美結樹 畠山 和子 桂木 聡子 大野 雅子 比知屋 寛之 座間味 義人 室 親明 木村 健 倉田 なおみ 天野 学
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.34-37, 2016-06-10 (Released:2016-07-06)
参考文献数
9

To administer oral anticancer drugs safely, the simple suspension method has been introduced in many hospitals. Therefore, concerning drugs for which it is unclear whether or not this method is applicable, testing must be able to be conducted at any time. In this study, we investigated 20 oral anticancer drugs to expand information on the application of the simple suspension method. Disintegration/suspension and permeability tests were conducted, as described in the 3rd version of the Tube Administration Handbook for Oral Drugs. All products were disintegrated/suspended after 10 minutes. On permeability tests, there was no residue in any tube for tubal feeding. On the final evaluation, the products were regarded as suitable (grade 1). Bicalutamide tablets (80 mg, TCK and KN), which were analyzed in this study, were regarded as suitable (grade 1) on the final evaluation. On the other hand, the simple suspension method is not applicable for a brand-name drug, Casodex® tablets (80 mg). This may be related to the different additives. Furthermore, the results suggest that, even when the simple suspension method is not applicable for a brand-name drug, it may become applicable for generic drugs. This may provide a new merit for promoting the use of generic drugs.
著者
鵜飼 健司 中山 淳一 豊倉 賢
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.682-685, 1998-07-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
2
被引用文献数
1

塩化カルシウム水溶液と炭酸ナトリウム水溶液との反応において, 反応初期に生成する非晶質炭酸カルシウム懸濁溶液中に塩化ナトリウム結晶を添加し, その添加時間を変えることにより生成するカルサイトの粒径分布に及ぼす影響を検討した.また, 操作温度が293Kから328Kの範囲において塩化ナトリウム結晶を添加することにより菱面体カルサイトが選択的に生成する事を明らかにした.
著者
大倉 敬宏 安藤 雅孝
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.103, no.5, pp.464-470, 1994-10-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
15
被引用文献数
2

The relation between the Pinatubo eruption of 1991 and the Philippine earthquake of 1990 is studied on the basis of strain changes calculated from a fault model of the Philippine earthquake. At Pinatubo volcano, which is located 100 km away from the earthquake fault, the volumetric strain change induced by the earthquake is about 10-6. This caused gradual squeeze up of magma to the surface and the Pinatubo volcano erupted eleven months after the earthquake. The volumetric change calculated by a fault model of the 1990 earthquake is, however, several orders of magnitude smaller than the total volume observed during the eruptions. The magma squeezing model alone cannot explain the whole volume of ejected magma. A possible interpretation is that the volumetric strain change could have squeezed up magma in the magma reservoir, resulting in lowering the density of magma and enhanced the magma to rise further more. Such a positive feedback process could have occurred after the Philippine earthquake of 1990. It is possible that the Philippine earthquake triggered the activity of Pinatubo volcano.
著者
福永 隆生 古賀 克也 藤井 信 小倉 博代
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.181-192, 1990-03-15

ニワトリおよびウズラに綿実粕あるいはカポック粕添加飼料を給餌すると7日目あるいは10日目から卵黄色に異常(淡褐変)がある卵が産卵され, 約3週間後に褐色を帯びた卵黄硬化卵が産卵されることを認めた.これらの飼料を正常飼料に変換すると約20日後に正常卵に復元することが認められた.異常卵黄と正常卵黄の脂質の分画や, それらの画分の脂肪酸組成および復元過程中の脂肪酸組成の変動を調べた.さらに異常および正常卵黄のタンパク質のアミノ酸組成および, これらの卵黄のエーテル抽出物のウズラの胚リパーゼ活性に対する作用を調べた.1.卵黄脂質を硅酸カラムクロマトグラフィーで分画したところ, トリアシルグリセロール画分(81〜85%)が最も多く, つづいてケファリン画分, レシチンとスフィンゴミエリン画分であり, 異常卵黄と正常卵黄間には量的差異は認められなかった.2.卵黄のエーテル抽出脂質の沃素価は, 正常卵黄に比べ異常卵黄が小さく, 構成脂肪酸をみると異常卵黄はステアリン酸が著しく多く, オレイン酸が少ない.リノール酸はやや多かった.このステアリン酸とオレイン酸の顕著な増減はトリアシルグセロール画分についても認められた.さらに, 異常卵黄の脂質およびその分画画分が正常卵黄のものより飽和脂肪酸総量が著しく多く, 不飽和脂肪酸総量は少なかった.その増減率はトリアシルグリセロール画分が最も大である.3.硅酸カラムクロマトグラフィーにおけるトリアシルグリセロール溶出液を-20℃で保存するとき生成する不溶化析出物と溶存物質の脂肪酸組成は, 正常卵黄では差はないが, 異常卵黄ではパルミチン酸とステアリン酸が析出物に多く, オレイン酸とリノール酸は逆に少なかった.4.ニワトリ, ウズラともに異常卵黄から正常卵黄への復元過程における脂肪酸組成の変化をみると, 正常飼料給与後の短期間で飽和脂肪酸総量の減少と不飽和脂肪酸総量の増加が認められた.11日目には正常卵黄とほぼ同じレベルに到達した.5.異常卵黄凍結乾燥粉末のエーテル抽出物はMillian反応, Halphen反応ともに陽性であった.6.脱脂卵黄タンパク質のアミノ酸組成をみると, ニワトリ, ウズラともに異常卵のリジンとチロシン含量が正常卵より少なく, 逆にバリン含量は多かった.7.ウズラの受精卵胚部からのリパーゼ粗抽出液の酵素活性は異常卵黄エーテル抽出物の添加により阻害された.
著者
凍田 和美 宇津宮 孝一 西野 浩明 善岡 賢二 倉岡 大輔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎
巻号頁・発行日
vol.96, no.390, pp.41-46, 1996-11-22
参考文献数
7
被引用文献数
5

我々は, 電子グローブに, 人が手を使って3次元空間に表現する, ジェスチャ, 位置指示, 大きさ表現の3つの動作に基づいた基本機能を用意した。この基本機能を用いて実現した仮想造形環境は, 簡略化した形状の物体を, 手で直接作成するより, 繁雑で, 多くの労力と時間を必要とする仮想空間の作成を容易にする。本稿では, 両手電子グローブの3つの基本機能とそれを用いた仮想造形システムの概要, 仮想打上げ花火システムへの適用, および, 本インタフェースの検討を述べる。
著者
倉爪 亮
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CVIM, [コンピュータビジョンとイメージメディア] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.156, pp.133-145, 2006-11-09
参考文献数
36
被引用文献数
2

本稿では,Active Contour Model(動的輪郭モデル)の代表的な手法として,KassらのSnakesとOsher,SethianらのLevel Set Methodに焦点を当て,その理論と実装法を概説する.特にLevel Set Methodに対しては,その基本的な考え方から,Upwind Scheme,AOS,ADIなどを用いた実装法,局所成長速度場と拡張成長速度場,Gemetric Active ContourとGeodesic Active Contour等,LSMを利用したアプリケーションの構築に必要な知識と具体的な手法を解説する.また高速で安定なLevel Set Methodの実装法として,著者らの提案するFast Level Set Methodを紹介し,ビデオ画像上の移動物体のリアルタイム追跡,および3次元モデリングへの適用例を示す.
著者
澤田 いずみ 丸山 知子 吉野 淳一 今野 美紀 片倉 洋子
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

I.研究の目的夫婦間暴力を受け夫と離別した女性の心身の健康状態を明らかにし、暴力が女性の健康に与える長期的な影響とヘルスニーズを明らかにすること。II.研究方法1.質問紙調査1)対象:過去に夫婦間暴力を背景に民間のシェルターに援助を求め、現在は夫と離別して生活している女性100名。2)調査の内容:(1)身体・精神症状32項目、(2)IES-R、(3)Zungうつ病自己評価尺度、(4)受診状況と受診ニーズ、(5)基本的属性、(6)暴力の被害状況、(7)生活習慣を尋ねた。3)回収結果:調査用紙の回収数は67部(回収率67.0%)であった。2.聞き取り調査1)対象:1次調査の参加者で面接への同意が得られ、離別後3年以上を経過していた20名。2)面接内容:20名のうち14名に夫と同居中、別居した直後、現在での健康状態とヘルスニーズについて1〜2回の半構造化面接を行い、逐語録を作成し内容分析を行った。III.調査結果質問紙調査の結果、夫と同居中、約8割の女性が抑うつ状態を体験していたが、夫からの暴力により受診行動が制限されていた。離別後では、約5割の女性が「憂うつな気分」「眠れない」「疲れやすい」などの症状を"まあまあ"又は"かなり"感じており、約3割の女性に軽度以上のうつ状態、7割の女性にPTSDが疑われる状態であることが示唆され、健康に問題を自覚している女性のうち約5割が暴力と関係していると認識していた。心身症状は離別期間の経過に伴い減少するものもみられるが、個人差が大きく顕著な統計学的な関連を認めなかった。面接調査においては、暴力によるソーシャルサポートの分断や経済的困難などの生活基盤の脆弱性や、暴力の影響を受けた子どもの健康状態が、女性たちの健康状態の回復に影響していることが示唆され、離別後の親子を総合的に支援することが必要と考えられた。今後は、健康状態の個別性の背景と回復の過程を明らかにする予定である。