著者
北村 新 宮本 礼子
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.392-402, 2018-08-15

要旨:日本の作業療法領域におけるグラウンデッド・セオリー・アプローチ(以下,GTA)による研究の現状と課題を文献検索で検討した.使用されているGTAの種類の調査,内容分析による研究目的の分類,Consolidated Criteria for Reporting Qualitative Research(COREQ)を使用した報告内容の分析を行った.2001年から2016年にかけて33文献が検索され,GTAの種類は,修正版が21件と最も多かった.研究目的は8カテゴリーに分類され,クライエントやその周囲の人の思い・経験に焦点を当てたものや,家族や他職種との社会的相互作用が挙げられた.報告内容の分析から,研究結果の信憑性や正確性に関わる複数の記載不足が,研究の質を高めるうえでの課題であった.
著者
小西 鉄馬 北村 尊義 泉 朋子 仲谷 善雄
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.141-142, 2018-03-13

近年、交通事故や交通違反が頻繁に発生している。特に、交通違反の取り締まり状況として最も多いのが最高速度違反である。そこで速度抑制を目的として、速度計で表示される速度の一部分を、ある一定の速度を超えた時に見せなくすることで、視覚的に速度に対する不安感を生じさせ、自然に速度を自分自身で落とさせる方法を提案する。プロトタイプシステムを作成し、オートバイを用いた試走実験を実施し、速度計の一部分を見せないことが運転者に対して具体的にどのような効果があるのかを検証した。
著者
松坂 昌宏 小林 豊 萩原 紫織 望月 真太郎 高田 正弘 井出 和希 川崎 洋平 山田 浩 諏訪 紀衛 鈴木 高弘 横山 美智江 伊藤 譲 北村 修 小野 孝彦 米村 克彦
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.15-27, 2017 (Released:2018-04-19)
参考文献数
10

静岡腎と薬剤研究会は腎臓病薬物療法について学習する機会が限られていた静岡県の病院・薬局薬剤師の取り組みの現状を把握し、課題を見出すためにアンケート調査を行った。対象は第1回静岡腎と薬剤研究会に参加した病院・薬局薬剤師とした。アンケートは多肢選択式20問とし、腎機能評価や疑義照会の他、処方箋やお薬手帳への検査値の記載に関する質問を作成した。回答者は病院薬剤師42名、薬局薬剤師20名の合計62名であった。調剤時の処方鑑査の際に腎機能を表す検査値を確認する薬剤師は53名(85%)であり、薬物投与量を確認する際の腎機能評価にeGFRを使用する薬剤師は40名(65%)であった。体表面積未補正eGFRを使用するのは40名中17名(43%)と半数以下であった。腎機能を評価した上で疑義照会をしている薬剤師は48名(77%)であり、病院薬剤師42名中37名(88%)に対して薬局薬剤師20名中11名(55%)と異なっていた。その理由に検査値の入手方法と確認頻度に違いがみられ、病院薬剤師38名(90%)が検査値をカルテから入手するのに対し、薬局薬剤師18名(90%)は患者から入手していた。確認頻度では薬局薬剤師15名(75%)が検査値を入手できた時に確認しており、腎機能評価が不定期に実施されていた。疑義照会内容は過量投与が48名中45名(94%)と最も多く、薬物相互作用は7名(15%)と少なかった。処方箋に腎機能を表す検査値の記載を希望する薬局薬剤師は20名中17名(85%)であり、検査値を記載している施設の病院薬剤師は42名中7名(17%)であった。お薬手帳に検査値の記載を希望する薬局薬剤師は13名(65%)であったが、検査値を記載している施設の病院薬剤師は3名(7%)と少なく、病院薬剤師の取り組みが進んでいないことが明らかとなった。以上の結果から、地域の腎臓病薬物療法の質的向上には、腎機能評価に関する研修会の実施や薬局薬剤師が検査値を入手しやすいように薬薬連携の推進を図ることが重要である。
著者
北村 由羽 寺戸 えみ 田中 大輔
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第42回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.1P25, 2019 (Released:2019-10-22)
参考文献数
3

金属-有機構造体 (MOFs) の合成においては, 反応条件のわずかな違いにより様々な 反応状態を経由するため, 結晶構造が異なる結晶生多形が多数生じる可能性がある. 特 に, ランタノイド金属 (Ln) を中心に持つ Ln–MOFs は複数の結晶多形が存在する. 合 成におけるパラメーターは無数に存在し, これらの要素は複合的に影響するため, その 影響の評価が困難であり, 結晶多形を選択的に合成するためには試行錯誤に基づく実 験が必要不可欠であった. 本研究では, 機械学習を活用し, Ln–MOFs 合成における支 配的因子を統計的に評価することを目指した. 実際に, 溶液の濃度, 反応温度や時間, 金属の種類など様々な条件を組合せソルボサーマル合成を行い, 実験データの収集を 行い, 実験結果に対して決定木学習を行った. その結果, 合成に影響を及ぼす支配的因 子はランタノイドの試薬会社であることが明らかとなり, 試薬中に含まれるわずかな 不純物の存在が結晶化に影響を及ぼすことが示唆された.
著者
高地 薫 Horton William.B 山本 まゆみ 北村 由美
出版者
神田外語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

2019年度は、初年度に引き続き、主に国内あるいはインターネットにて入手可能な資料、入手済みの資料の分析を進めた。髙地(代表者)は、2020年2月末から3月末にジャカルタにて現地調査を進めることができた。一方で、計画に従い、プロジェクト一年半の中間成果をまとめた。その中間成果は、11月23日・24日に静岡県立大学草薙キャンパスで開催された東南アジア学会第101回研究大会にて、“Hidden hands of the Great Powers in Indonesia: Critical examinations of US Academia in the Cold War”と題するパネルで発表した。代表者である高地薫が座長、北村由美(分担者)をモデレーターとし、KOCHI Kaoru, “Army - Academia relations in Indonesia: Soewarto and SESKOAD as a cradle for the New Order”; William Bradley Horton, “A cautionary tale of arrogance: The Harry Benda translation of Japanese Military Administration in Indonesia and the US”; YAMAMOTO Mayumi, “Academic money laundering during the Cold War: The case of the MIT Indonesia Project”と題する発表を行なった。発表後の質疑では、参加者から有益な助言や疑問が提起され、活発な議論が行なわれた。
著者
椿本 弥生 高橋 薫 北村 智 大辻 雄介 鈴木 久 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.255-267, 2013

日本語母語話者の高校生を対象に,日本語で産出した小論文をグループで協同推敲できるシステム「Re:(アール・イー)」を開発した.推敲の観点として内容・構成・言語使用の3つを設定した.グループの構成員が得意とする観点がそれぞれ異なる実験群と,得意とする観点が統一された統制群とで,システム使用前後の小論文の得点を比較した.その結果,全体的評定値については,実験群のシステム使用後で有意に得点が高かった.さらに分析的評定値では,論拠の質などの小論文の質に深く関わる評価項目について実験群のほうが統制群よりも有意に得点が高かった.プレとポストの得点差において,統制群よりも実験群のほうが,各グループで一定に近かった.このことから,提案するグループ編成方法がより多くの学習者に一定の学習効果を保証できる可能性が示唆された.
著者
北村 陽英 加藤 綾子
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学紀要. 自然科学 (ISSN:05472407)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.21-28, 2007-10-31

Among the cases under guidance for social withdrawal by the public health centers, 45% are said to have a history of past school non-attendance, and 31%, an academic standing of high school dropout. These figures imply the existence of many subjects with a history of extended non-attendance in high school, subsequent transfer or dropping out, culminating in eventual social withdrawal. To determine the process such students follow leading to social withdrawal, 116 cases of school non-attendance or dropouts with tendencies of social withdrawal among 17,211 high school students in 2004 were followed through reports from the‘yogo' or school healthcare teachers starting from when such students were attending school through August 2005. School non-attendance had been noted before entering high school in 20%, during the 1st year of high school in 51%, and the 2nd year of high school in 19%. Transfers and dropping out were most prominent in the 1st and 2nd years of high school, with the number of cases of school non-attendance, transfers, and dropouts falling in the 3rd (final) year of high school. This was taken to indicate that most such students appeared to have dropped or transferred out in the first two years of high school, with few remaining in school into the 3rd year. Interpersonal relationships were cited as the reason for school non-attendance by many, followed by familial circumstances of absence of caregivers in 33%, and excessive pressure from family in 21%. Diagnoses were established in only seven cases, but eating disorder, depression, and wrist cutting being noted at relatively high frequencies. In the first five months of 2005, 31% had dropped out, 21% had transferred, 22% were under treatment, 23% appeared to be heading toward recovery, and 4% had become fully reinstated in school. Although the course of students following transfer is unknown, given that the dropouts had for most part been non-attendant students in high school with a tendency of withdrawal, the course and prognosis of high school non-attendant students tending towards withdrawal cannot be considered good. Among the various types of school non-attendance, the apathetic non-attendance type is believed to be at high risk of non-attendance in high school, leading on to dropping out, and subsequent withdrawal from society and holing up within the home.
著者
北村 繁
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2019年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.69, 2019 (Released:2019-09-24)

空中写真(ステレオペア写真)の実体視による地形判読は、それをきっかけに、地形に関心をもつ学生も少なく無いため、教育的な効果も非常に大きいが、従来、ステレオペア写真を実体視にはある程度の訓練が必要で、大学での受講者十数人〜数十人の一般教養科目や教職科目の講義では、受講者全員が実体視できるまで時間をかけることは難しかった。また、鮮明な画像を提供できる教材の製作も難しかった。そこで、鮮明な画像を表示でき、また、近年急速に普及が進んでいるスマートフォンと、スマートフォンに画像を提供できるオンラインストレージ、さらにスマートフォンで3D映像等を簡単に見ることができるVRメガネを用いることで、十数〜数十人の受講者からなる一般教養科目や教職科目の講義においても、より簡単に空中写真を実体視し、講義時間中に地形判読を可能にする教材を作成した。これを実際の大学の講義で使用したところ、ほぼ全員の受講者が、ごく短時間のうちに空中写真を実体視し、地形を把握することができたことから、今回作成した教材は、般教養科目や教職科目の講義における地形の教育において効果的とみることができる。
著者
北村 郁海 浦辺 幸夫 前田 慶明 藤井 絵里 森田 美穂
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】アキレス腱障がいはランニング障がいの8-15%におよぶ。発生リスクには,走行中の立脚期での足関節最大背屈角速度(pDV)の増加,腓腹筋の筋活動の増加などがあり,前足部接地で起こりやすいとされている。一方,意識的に後足部接地をする走行では足関節底屈筋群の負担が少ないという報告がある。しかし,足関節背屈を意識した接地による下肢関節運動と筋活動の変化は不明である。本研究では,足関節背屈の意識により,踵接地前の前脛骨筋(TA)および踵接地後の大腿直筋(RF)の筋活動は増加し,立脚期での腓腹筋の筋活動は低下するという仮説のもと測定を行った。【方法】対象は下肢に神経学的および整形外科的疾患がない健康な大学陸上長距離選手6名(男性2名,女性4名,年齢21.3±1.0歳,身長160.3±7.7cm,体重51.8±5.3kg,競技歴6.2±3.3年)とした。マーカーを対象の右大腿,膝,足部の外側6か所に貼付した。筋活動の測定には無線筋電計(追坂電子機器社)を用い,電極を腓腹筋外側頭(LG)と内側頭(MG),TA,RFの筋腹に貼付した。課題動作は,トレッドミル上での通常走行(NR)と,踵接地時に足関節背屈を意識した走行(DR)とし,いずれも2.5m/sの速度で1分間行った。動作はデジタルカメラ(EX-FC500S,CASIO社)を使用して撮影した。McClayら(1998)の方法に準じ,接地時を0%,爪先離地を100%とし,接地前の50ms間を踵接地前,0-60%を立脚前期,60-100%を立脚後期として解析した。得られた筋電図波形は動画と同期させ,%MVCの平均値を各相に分けて算出した。統計学的解析にはExcelアドインソフトStatcel3(オーエムエス出版社)を使用し,対応のあるt検定を用いて接地時の床面と足底のなす角度(FSA),膝関節屈曲角度(接地時,膝関節最大屈曲時とその変化量),pDV,筋活動の5走行周期の平均値をそれぞれ2条件間で比較した。危険率は5%未満とした。【結果】FSA(°)はNRで10.0±7.4, DRで16.1±6.0であり,DRで6.1°の有意な増加を確認した(p<0.05)。膝関節屈曲角度ではそれぞれ有意差を認めなかった。pDV(°/sec)はNRで473.0±26.9,DRで412.0±49.9であり,DRで12.9%有意に減少した(p<0.05)。筋活動(%MVC)は,踵接地前のTAではNRで40.6±9.4,DRで74.8±40.3であり,DRで84.2%有意に増加したが(p<0.05),他は有意差を認めなかった。【結論】本研究では,NRと比較し,DRでは踵接地前でのTAの筋活動が増加し,pDVが減少することが確認できた。TAは踵接地後の足関節底屈時に遠心性収縮をすることにより衝撃を緩衝する機能を持つと考えられる。立脚前期での足関節背屈時には足関節底屈筋の遠心性収縮により衝撃吸収を行う必要があるが,DRではTAによる踵接地時の衝撃が緩衝される影響を受け,pDVが減少すると考えた。これが足関節底屈筋の負担を軽減させ,結果としてアキレス腱障がいを防止することに役立つと推察した。
著者
岡田 遥平 荒井 裕介 飯塚 亮二 榊原 謙 石井 亘 檜垣 聡 北村 誠
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.295-300, 2014-07-15 (Released:2014-11-01)
参考文献数
20

循環動態の安定している脾損傷に対して,interventional radiologyや保存的加療などの手術を行わない管理(nonoperative management: NOM)が一般に行われている。今回我々は,鈍的脾損傷に対するNOMの経過中に巨大な脾仮性動脈瘤の遅発性破裂を来しながら,動脈塞栓術にて救命できた症例を経験したので報告する。症例は17歳の男性。自転車による転倒で当院救命救急センターをwalk inで受診した。腹部造影CT検査で外傷学会臓器損傷分類脾損傷IIIb型と診断したが,造影剤の血管外漏出を認めず,また循環動態も安定していたため安静臥床の方針とした。第9病日の腹部造影CT検査で脾内に直径38×41mmの脾仮性動脈瘤を認めたが,待機的にTAE (transcatheter arterial embolization:経カテーテル動脈塞栓術)を検討することとし厳重に経過観察の方針とした。第10病日に突然の腹痛を訴えてショック状態となったため腹部造影CT検査を施行し,脾仮性動脈瘤破裂と診断した。直ちに血管造影および塞栓術を施行し止血した。塞栓術後は再出血なく経過し,第30病日に独歩退院となった。鈍的脾損傷による脾仮性動脈瘤を認めた場合,直径10mm以上の症例は手術やTAEなどの治療介入が必要になるとの報告があり,また多くの症例で介入が報告されている。文献検索および本症例報告から,脾仮性動脈瘤の直径が10mm以上であれば,診断後に可及的速やかに血管造影検査,塞栓術を考慮すべきと考えられる。
著者
北村 英哉
出版者
東洋大学社会学部
雑誌
東洋大学社会学部紀要 = The Bulletin of Faculty of Sociology,Toyo University (ISSN:04959892)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.39-48, 2019-03

According to Just World Theory, good people deserve reward, while bad people would suffer from bad events. In this study, to investigate whether good or bad character information has an impact on the judgment of responsibility of two vignettes describing bad events, seventy-nine participants read vignettes and responded to the items related to causal attribution. Furthermore, the relationship of moral foundations and just world belief with the judgments was tested. In the results, participants in low score on the fairness foundation showed more discrepancy between good target and bad target in dispositional attribution. In bad target condition, low fairness group attributed causation of bad accidents more to the target persons. While high fairness group responded almost the same way whether the target person was good or bad. And resentment scale was found to correlate with immanent justice significantly. The relation of moral and resentment would be discussed.
著者
三原 和子 北村 陽英
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学紀要. 人文・社会科学 (ISSN:05472393)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.97-111, 2001-10-15

Right after World War II , the General Headquarters (GHQ) of the allied forces occupation conducted a drastic reform of the Japanese education systenr. As part of this reform, 8 Institutes for Educational Leadership (IFEL) were held for 9.374 educators from 4 October 1948 to 28 March 1952. The Civil Information and Education Section (CIE) of the GHQ had expressed sharp criticism of past Japanese school education in the Report of the United States Education Mission to Japan (United States Government Printing Office,1946). In that report it stated that "Instruction in health appcars to be seriously lacking in the elementary school. There is practically no teaching either of physiology or of hygiene"--a scrious omission. Three IFEL sessions on school nursing were held, in which 84 school nursing teachers participated. How these courses and workshops on school nursing functioned was not known up to now, and there have been no major research reports about the IFEL school nursing program. We recently fotrnd mineographed copies of Study Reports issued by the Institute for Educational Leadership's 5th Session, XXⅢ School Nursing, edited by the IFEL in 1950 - 1951, which we have analyzed. It closely resembles the content of today's Japanese school nursing teacher's duties. Today's Japanese school nursing teacher system is considered to be better than the systen used in the USA and that the School Education Law should be revised so that in school affairs the school nursing teacher should have charge not only of school nursing but of health education as well.
著者
髙田 佳 北村 一紘 奥村 真佑 三宅 高文 三上 敦大
出版者
市立室蘭総合病院
雑誌
市立室蘭総合病院医誌 = Journal of Muroran City General Hospital = Journal of Muroran City General Hospital (ISSN:02892774)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.37-40, 2017-09-30

Social networking service(以下SNS)は他者とのコミュニケーション、日記を書くための媒体として広く利用されている。当科患者におけるインターネット利用状況、SNS利用状況を知り、それに関連する問題点、病状への関与について考察するため、質問紙により調査を行った。結果、ネット利用者は約7割で、うちSNSの利用者は約7割であった。利用頻度では、「毎日」が8割近くを占めており、1日あたりの利用時間は、1〜5時間が過半数であった。ストレスがあると答えた人が約4割であった。しかしストレスがある人にSNSをやめたいかと問うと、やめたいと答えた人は半数に満たなかった。Facebook の「いいね!」機能などは、他者からの承認により自己肯定感を高める作用があるが、それはさらなる承認欲求につながり、満たされないと逆に自己肯定感の低下などへと発展することもあることが示唆された。NSへの投稿は、自己効用、関係効用の増加から精神的健康が高まる可能性、ポジティブ・ネガティブフィードバックの多寡により、精神的健康に影響したり、承認欲求が満たされないことから精神的不調をきたす可能性も示唆されている。このようにSNSは使用法によっては利用者の精神的健康への影響にもつながる。治療者としては、患者のSNS利用については容認しながらも、病状の悪化につながっていないかに常に留意する必要があるだろう。
著者
北村 四郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.27-36, 1936-01-30

ノツポロガンクビザウ (Carpesium Matsuei TATEW. et KITAMURA). ガンクビサウの類に二三年前から氣になつてゐたものがあつた,それは小生が加賀,市ノ瀬に採集した時普通のガンクビサウとは變異のちがふ群落を見つけて,それを研究したが充分な自信がなかつた.本年札幌に研究に行つた時館脇博士が變なガンクビサウがあるから野幌まで行かないかといふのでお伴して觀察したところそれがあれであつた.野幌には澤山箇体を見たがこればかりで尚後に室蘭でも澤山採集したがその附近に眞正のガンクビサウはない.それで別のものだと自信を得て研究したところガンクビサウに比するに頭花は半球形,總苞外片は長く先端は草質,雌花の花冠は上部が狹まつてゐるので全く別の種であると考へる樣になつた.北海道より本洲東北,北陸に分布する種類である.松江氏は館脇博士と共に野幌の植物を研究され且つこのガンクビサウ採集についても色々と御教へ下さつた方である. Chrysant hemum vestitum (HEMSL.) KITAMURA. これは英國の學者,HEMSLEY,HENRYの兩氏,並びに米國の BAILEY氏などが家菊と原種と考へ〓々論んぜられ且つ方々で圖説にされた有名な植物である.私はこの植物の標品即ちHENRY氏が支那湖北省宜昌で採集し HEMSLEY氏が研究した標品の Duplicate type を東京帝大標品庫で拝見し久しく見たいと思つた標品を見て大變禧しかつた.これは日本のリュウノウギクに似たもので葉の裏に灰白色の綿毛が厚く葉底は楔形であつて,家菊では葉の裏の毛が薄く葉底は心臟形で無論別種であると思ふ.この植物の研究を中井教授に御願ひ申し上げたところ,先生は心よく御許し下さつた.謹んで深謝する次第である. ミヤトジマギク(Chrysant hemum miyatojimense KITAMURA.) 陸前宮戸島は先住民族の貝塚などある古くそして美しい島であるが,木村有香氏がこの島に變つた菊があるから研究してはどうかと云つて下さつたのは本年の初春であつた.今秋同氏のお伴してこの島に渡り問題の菊を勸察したのは美しい思ひ出である.もつとも前から其の菊の性状をくわしく話して頂いたので小生の勸察は蛇足であつたかもしれない.この島に澤山に咲きほこつてゐるコハマギクに比するに莖が長く50-70センチあり下部は長く地に匐ひ葉がなく上部が上昇し葉と花をつける.葉の裏面にはコハマギクの程んど毛なきに反し可成り毛多く,尚莖にも總苞片にも毛が多い.花梗はコハマギクの樣に長く剛直でなく短かくて細く繖房状につく,それでこの菊の自生地が墓塲であることから考へれば或ひは墓塲にあげられた小菊系のものとコハマギクとの間に自然に出來た雜種ではあるまいかと想像もされる.