著者
北村 四郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.97-111, 1934-06-30

ユキヨモギ(Artemisia Momiyamae KITAMURA). 同好の友人籾山泰一氏は小生の願ひをかなえて,この珍種を送つて下さつた.從來のヨモギ群のもので,葉は上面にも白柔毛があつて,頭花は筒状4粍,長1.5粍幅の小さいもの,これが非常に澤山につく.相模,稲村ケ崎の産. ウスバヨモギ(Artemisia debilis KITAMURA). 珍種,葉は有柄二回羽状中裂,両面とも白柔毛がなく,緑色薄質,頭花は少なく大きく球形である.小泉源一博士の朝鮮智異山で採集されたものである. タイトウヤマヂノギク(Aster altaicus WILLD.) 從來我が國では Aster altaicus WILLD. が産する樣に考へられてゐたが,私はアルタイ地方の本場の Aster altaicus WILLD. を昨年ロシヤのトムスク大學から送つてもらつた.驚いた事には我が國のヤマヂノギクとは全く異なり葉は非常に細く針金の如く,びつしり短毛が生えてこれこそ私が先年台灣の台東ヒナン大溪のガラガラの河原で採集し,タイトウヤマヂノギク(Aster altaicus var. taitoensis KITAM.)なる學名を附したのと同じである.不明を謝し訂正する.この植物は沙漠の植物で滿州里で佐藤潤平氏の採集されたものが北の方では分布の東限である.蒙古にもある. コウライヤマヂノギク(Aster ciliosa KITAMURA). 上述の理由に依り朝鮮のヤマヂノギクに新學名を附する.尚本州でヤマヂノギクと云われてゐる者の中には Heteropappus 屬の邊花の冠毛が祖先返りで一部延長したものも入つてゐるがこの場合は延長したと云つても非常に發達が悪く,これは Heteropappus 屬に入るべきである.朝鮮には上述の如きでない Aster ciliosa KITAMURA を産する.内地のヤマヂノギクに就いては今後の研究が必要である.尚筆者には草木圖説のヤマヂノギクの圖は Heteropappus hispidus LESS. の樣にも思える. バンヂンガンクビサウ(Carpesium Hosokawae KITAM.) ホソバガンクビサウに似てゐるが頭花小さく花梗長く,葉は小さく質硬く毛多き点で異なる,台灣の山地處々に生ずる.細川隆英氏の下さつた標品から出た新種.
著者
北村和子
雑誌
アレルギーの臨床
巻号頁・発行日
vol.11, pp.844-845, 1991
被引用文献数
1
著者
北村 昌史
出版者
奈良大学史学会
雑誌
奈良史学 (ISSN:02894874)
巻号頁・発行日
no.22, pp.37-60, 2004

この二〇年ほど近代ドイッ史研究において市民層の再検討が中心的課題の一つであったことはここで改めて指摘するまでもあるま斡酬これは・一九八〇年代に繰り広げられた「特有の道」論争の焦点の一つが「市民」の評価をめぐるものであったことをその背景とする。最近一〇年の動向に話を移せば、個別都市単位の都市市民層Stadtburgerの研究が盛り上がりをみせている。ここで都市市民という場合、手工業者や小商人など伝統的な都市の市民が念頭におかれている。都市市民へ関心を集中させる近年の傾向は、市民層を都市社会の具体的な状況のなかに位置づけることを意図したものであり、八〇年代以来の研究の必然的な帰結といえる。L・ガルを中心としたフランクフルトのグループが西南ドイッの都市に焦点をあてて研究を進めているのがもっとも顕著な動きであろう。それにとどまらず、市民層研究ということではガルのグループに先行していた、コッカを中心とする社会構造史派のグループにもノルテなど都市市民をとりあげる研究者がおり、また都市市民に関心を寄せるのはこうした大プロジェクトに関わる者ばかりではな咋酬具体的な都市という場で市民を考える動きは、現在近代ドイツ史研究に極めて大きな裾野を有しているといえる。本稿では近年の都市市民研究の動向を包括的に整理することは差し当たって断念し、ベルリンの都市行政の名誉職と市民との関係を論じた二つの研究の紹介を試みたい。べルリンの市民層については、企業家の出自をあつかったケルブレの先駆的研究(一九七二年)以降研究成果が蓄積されており、とくにベルリンの壁崩壊後の史料へのアクセスの改善を背景に矢継ぎ早に実証的研究成果が世に問われている。そうした研究のなかでもパールマンによる、一九世紀前半の市議会選挙や市議会議員についての網羅的研究(一九九七年)と、スカルパによるルイーゼン市区(ベルリン南東部)の救貧委員会の社会的機能を扱った研究(一九九五年)を本稿では検討したい。
著者
北村 章 深田 剛毅
出版者
東亜大学
雑誌
東亜大学紀要 (ISSN:13488414)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.11-20, 2008-06

株式会社不二家が消費期限切れの牛乳を使用してシュークリームを製造し、埼玉県により食品衛生法に基づき定められた埼玉県食品衛生法施行条例に規定する管理運営の基準に違反するとされた。この件に関して、食品衛生とコンプライアンスの観点から、食の安全・安心に関して論じた。不二家の自主検査によると、期限切れの牛乳に問題はなく、また、この牛乳を原料として製造したシュークリームも問題のないものであった。但し、この自主検査結果は原料としての使用時点では得られていない。牛乳の原料としての使用の可否は官能検査で判断できる部分もあり、使用時点では官能的に問題のない原料であったため、シュークリームの製造がなされたと推察される。結局、期限切れの牛乳は製造後に原料として使用可能と科学的に判断されたこととなる。食品衛生法およびJAS法は直接消費される食品の飲食に起因する衛生上の危害の発生防止を目的としているため、食品の原材料は両法の適用範囲外である可能性が高く、埼玉県は消費期限切れの牛乳を原料として使用したこと自体が違反ではなく、施設および食品等の取り扱い等に係る衛生上の管理運営違反とし、厳重注意どまりとした。結果的に問題のない原料であったにせよ、社会規範に照らして安全・安心な食品を製造するにしては、衛生管理や品質管理が経験と勘に依存した製造と言わざるを得ない。経験と勘を科学的・合理的な根拠に昇華させ明確な基準を設定した後に使用すべきであった。不二家の問題も含めた食品に関わる報道により、食の安全・安心を支える食品表示の信頼性が低下しているが、食の安全・安心のために食品に関する正しい情報を今後とも公開していく必要がある。
著者
北村 修二 佐伯 祐二
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.92, 2004

環境問題への取り組みは、近年企業や地方自治体にとってクリアしないと新たな地平が開けない一つのハードルになろうとしている。もはや従来の形での生産方式、採算やコスト方式、また経営での合理化等では充分対処し得ず、企業活動また行政に、さらに組織や個人そのものにも、その処分や対処方式に変革、つまり環境という視点や流れに見合った対応、環境の管理の実施、またそのための体系や組織付けを迫ろうとしている。そこでは、例えば環境マニフェストシステムの縛りがあり、管理票による産業廃棄物の物流管理には、文書作成等でも、手間や煩わしさが、また費用やコストもかかるが、その対処いかんによっては社会的責任さえ問われる。したがって、環境問題や環境ビジネス産業に関われる、また産廃問題や産業廃棄物処理税に対処できる企業、また部門や業種や地域と、それができない企業や部門や業種また地域とにふるい分けられようとしている。それは新たな要求であり、それへの対応の如何によっては一つのチャンスでもある。<br> 本研究では、岡山県下で展開されている企業や地方自治体の環境問題への取り組みと課題を、ISO14001への取り組みや産業廃棄物問題や産業廃棄物処理税への取り組みを中心に、規模や業種、本社・本店や支店・分工場、ISO14001の認証取得企業とそうでない企業等組織や団体の特性、また企業の特性、さらに地域的特性を意識しつつ、その展開のあり方とそこでの課題という形で検討する。<br> 実際岡山県下における環境問題への対処には、企業、例えば、優良な、また特に環境問題に対しては、それを企業戦略として積極的にとらえる、ISO14001認証取得企業と、多くの場合必ずしもそうでない企業、例えばISO14001を認証し得しない消極的・前向きでない、しかも零細経営をも含む産業廃棄物業者とでは、その取り組みや意向に大きな違いがみられる。もちろん行政の末端としての県下の市町村も、政治的には保守的な政治基盤からも、環境問題や環境政策への取り組みもあまり積極的でない等の対応を示し、産業廃棄物処理税や環境税についても前向きにとらえつつも、それは県税であるとの部外者として意識や姿勢もみられる。そこには、状況が状況であるだけにそれなりの対応をせざるを得ない状況にあるが、産廃処理税や環境税も開始されたばかりの状況で方向性も定かではなく評価できる状況にない、またその立場にない等の縄張り意識的なものをも感じさせるのである。<br> しかし、環境問題にどう対応しどのように適切に処理すべきかは、地域的・社会的、また国際的・地球的にも重要な課題であり、ここで検討するISO14001、また産業廃棄物処理税、さらには環境税への対応や取り組みは、企業や行政そのものの動向と評価に、さらには新たな時代や社会への評価や方向付けにもつながるものである。<br> 日本は今、組織や組織構成員自体が古い体質のなかで、改変よりは温存に明け暮れ、次の時代や社会への展開をなし得ず大きな課題を抱えるが、環境問題やそれへの取り組みは、個人、住民や市民、企業、行政を担当する市町村等の地方自治体や国、また地域にとって、さらに国際的また地球的にも、また学問的にも極めて重要な課題であり、時代的社会的状況を踏まえた、新たな段階の対応を求められている。それはまさに大きなチャンスでもある。環境問題の緩和・解消化への取り組みが一層深まることを期待して止まない。<br><br>参考文献<br>北村修二(1999):『開発か環境かー地域開発と環境題ー』大明堂、pp.1-192.<br>北村修二(2001):『破滅か再生かー環境と地域の再生問題ー』大明堂、pp.1-219.<br>北村修二(2003):『開発から環境そして再生へ』大明堂、pp.1-224.
著者
北村 達也 伊藤 仁 蒔苗 久則 齋藤 毅 網野 加苗 竹本 浩典
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では,話者の声質の多様性を生み出す身体的な基盤について,生体観測技術と数値音響解析技術を用いて検討を行い,以下の成果を得た.(1) 発話運動の形態と動態を3次元MRI同期撮像法により計測し,対応する音声と組み合わせ,データベースを構築した.(2) このデータベースに基づいて発話器官のモデルを開発した.(3) 声質への寄与が大きい鼻腔・副鼻腔の音響特性を解析した.(4) プロの物真似タレントの物真似発話時,および声優の発話時の声道形状を観測し,声質の多様性を生み出す原理を調査した.(5) 磁気センサシステムのセンサを改良し発話への影響を軽減するセンサを開発した.このセンサは市販されている.
著者
三田 達雄 中井 隆 村上 直也 北村 登 小川 恵
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.35, no.9, pp.1006-1008, 1993-09-15

MRI検査に伴い被検者はしばしば一過性の不安や恐怖に見舞われる3〜5,11,12)。時には不安や恐怖は恐慌にまで至り,検査を中断せざるをえない場合もある3,5,8,9)。また,検査後に閉所恐怖7)や空間恐怖10)が生じ,長期間持続したとの報告もある。このようにMRI検査の心理的侵襲性が最近注目されているが,被検者をMRI検査と類似の状況におくCT検査の心理的侵襲性については報告がない。ここで提示するのはCTおよびMRI検査が空間恐怖の結実ないし増悪の契機となったと考えられた症例である。この症例の一部はすでに紹介している3)が,本稿では両検査の空間恐怖の結実・増悪の過程への関与を詳しく報告する。また,両検査における空間恐怖的状況を比較したい。
著者
北村 雅哉 西村 憲二 三浦 秀信 小森 和彦 古賀 実 藤岡 秀樹 竹山 政美 松宮 清美 奥山 明彦
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.91, no.7-8, pp.589-594, 2000-07-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
18

(目的) TESE-ICSIは非閉塞性無精子症に対して広く用いられてきたが, その適応については今だ議論の残るところである. 今回われわれは精子回収の可否, ICSIの結果などについてそれを予見する術前のパラメータがないか, 後向き検討を行った.(対象と方法) 1997年7月から1999年9月まで大阪大学医学部泌尿器科およびその関連施設でTESE-ICSIを施行した非閉塞性無精子症の症例, 44例においてその臨床的パラメーターとTESE, ICSIの結果との相関を調査した.(結果) 1) 44例中32例 (72.7%) で精子の回収に成功し, うち29例でICSIを施行, 15例 (46.9%) で妊娠が成立した. 10例は Sertoli-cell-only の組織型が確認されていたが, うち3例 (30%) で不動精子が回収された. 2) 精巣容量, JSC, FSHが精子回収の可否を有意に予測するパラメーターであったが, 閉塞性の要因の関与も考えられるJSC8以上の症例を除外するとその有意差は無くなった. 染色体異常の有無は精子回収の可否を予測するパラメーターとはならなかった. 3) 妻の年齢, 精子運動性の有無, 精巣容量は受精の可否を予測するパラメーターとなった. 染色体異常は受精の可否を予測するパラメーターとはならなかった.(結論) 非閉塞性無精子症で精子の回収を予測する絶対的なパラメーターはなかった. 非閉塞性無精子症のすべての症例がTESE-ICSIの適応となり, またTESE-ICSIなしでは絶対不妊の診断は下せないものと思われた.
著者
荒川 玲子 日野 香織 北村 裕梨 斎藤 加代子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.192-196, 2018 (Released:2018-06-20)
参考文献数
6

ゲノム医療の発展に伴い, ゲノム情報が診断のみならず, 臨床的重症度の把握, 治療に直結するようになってきた. 特に, 治療にあたり遺伝子変異の同定が必要となる脊髄性筋萎縮症などの疾患では, 遺伝学的検査による早期診断が求められる. 一方で遺伝学的検査を行う際には, ゲノム情報がもたらすメリットと共に, 血縁者へ及ぼす影響などの側面も考慮しなければならない. 小児期の遺伝性神経筋疾患で代表的な脊髄性筋萎縮症, Duchenne型筋ジストロフィー, 福山型先天性筋ジストロフィーにおける遺伝学的検査の進め方およびゲノム情報と臨床症状の関連について, 本学での25年間にわたるゲノム診療をもとに報告する.
著者
岡野 一良 北村 義治 高橋 礼治
出版者
Japan Society of Corrosion Engineering
雑誌
防蝕技術 (ISSN:00109355)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.27-30, 1955

An U-fin heater used as an air heater for drying powder materials was damaged due to corrosion of the heating copper tubes. As the results of experiments, it was concluded that the corrosion was caused by the adhesion of solder to inner surface of the copper tube. In order to remove the solder, some methods both by chemicals and by electrolysis were examined. Although we have not yet found a method, which removes the solder completely and not affects copper tubes, we obtained some promising method, especially one by chemicals.
著者
松田 宗 田中 法博 市川 拓磨 望月 宏祐 室屋 泰三 北村 仁美
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2014-CG-155, no.1, pp.1-7, 2014-06-21

分光的な光反射モデルに基づいた工芸作品の CG 再現手法を提案する.本研究では東京国立近代美術館に所蔵されている 「十二の鷹」 を対象とした.この工芸作品は明治期に鈴木長吉によって制作された金工作品である.最初に 「十二の鷹」 の一つの頭部をレーザレンジファインダで形状計測する.このとき欠損部分は複数のレンジ画像から合成して補完する.2 番目に金工作品の各材質をレンダリングするために分光的な光反射モデルを構築する.このモデルは金属,合金,不均質誘電体の反射を記述することができる.本稿では,合金として朧銀の反射特性をこのモデルで記述した.3 番目に RGB カメラ出力から分光反射率を推定するアルゴリズムを提案する.そして,工芸作品の材質はこの分光反射率に基づいて判別される.最後に推定した材質の情報で工芸作品の CG を生成した.
著者
東 久美子 塚川 佳美 近藤 豊 Dallmayr Remi 平林 幹啓 尾形 純 北村 享太郎 川村 賢二 本山 秀明 的場 澄人 青木 輝夫 茂木 信宏 大畑 祥 森 樹大 小池 真 小室 悠紀 對馬 あかね 永塚 尚子 繁山 航 藤田 耕史
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

2014年春にグリーンランド氷床北西部のSIGMA-Dサイトで225メートルの深さまでのアイスコアが掘削された。積雪のアルベドに影響を及ぼす物質として注目されているブラックカーボン(BC)の変動を高時間分解能で復元するため、国立極地研究所で開発されたアイスコア連続融解析装置(CFA)を用いてこのコアの深度6~113mを高時間分解能分析した。CFAはアイスコアを融解しながら連続的に分析する方法であるが、融解部に接続したWide-Range SP2 (Single Soot Photometer)によりBCを分析した。コアの上部6mは空隙の多いフィルンであり、CFAを用いることができなかったため、約5cmの長さ毎に切り、試料表面の汚染を除去して融解した後、SP2で分析した。主としてナトリウムイオン濃度と酸素同位体比の季節変動を利用してこのコアの年代決定を行い、1年を12に分割して月毎の変化を調べた。ブラックカーボンの質量濃度と数濃度はともに1870年頃から増加し始め、1920~1930年頃にピークを迎えたが、その後減少に転じた。1870年頃からの濃度の増加は、化石燃料の燃焼によって発生する人為起源のブラックカーボンがグリーンランドに流入したためであると考えられる。化石燃料起源のBC濃度の増加に伴ってBCの粒径が大きくなる傾向が見られた。これはグリーンランドに到達する化石燃料起源のBCの粒径が森林火災起源のものよりも大きいことを示唆している。BC濃度の季節変動を調べたところ、BC濃度の増加は主に秋~冬に生じていることが分かった。また、人為起源のBCの影響がない時代にはBC濃度は夏にピークを示していたが、人為起源のBCが多量に流入した時代には冬にピークを示していたことも分かった。夏にはしばしばBCが短期間だけ50µg/Lを超える高濃度になることがあったが、これは森林火災によるものと考えられる。本発表では、SIGMA-Dコアの結果を他のグリーンランドコアと比較して議論する。
著者
深山 貴文 高梨 聡 北村 兼三 松本 一穂 山野井 克己 溝口 康子 安田 幸生 森下 智陽 野口 宏典 岡野 通明 小南 裕志 吉藤 奈津子
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.130, 2019

<p>フィトンチッドとも呼ばれる森の香り物質は、主にゴム様の香りのイソプレン(C<sub>5</sub>H<sub>8</sub>、以下ISO)と、樹脂香のα-ピネンに代表される複数のモノテルペン(C<sub>10</sub>H<sub>16</sub>、以下MT)からなる。ISOは主に広葉樹、MTは針葉樹の葉から大量に放出され、その量は人為起源の揮発性化合物より多いため、地球のオゾンやエアロゾルの原因物質として非常に重要であるが観測例は少ない。本研究では、2015年12月から2018年12月までの3年間、森林総合研究所(KHW、YMS、FJY、API、SAP)と琉球大学(OKI)の全国6林分の微気象観測タワーサイトにおいて230回、日中の森林大気中のISOとMT(主要8種の合計)の採取を実施し、濃度の季節変動特性と気温-濃度関係の評価を行った。ISOはコナラ-アカマツ林のYMS、MTはスギ-ヒノキ林のKHWで最大値が観測され、主要樹種が放出源となっていると考えられた。全サイトで最高気温が観測された8月のMT濃度は高かったが、亜熱帯のOKIは8月、暖温帯のYMSとKHWは5~6月、冷温帯のFJY、API、SAPは7月にピークが観測された。この違いは、亜熱帯のOKI以外ではMTが冬季に葉内に蓄積され、北方ほど放出開始直後の高放出の時期が遅れて生じている可能性が考えられた。</p>
著者
北村 恵子
出版者
上田女子短期大学
雑誌
上田女子短期大学紀要 (ISSN:09114238)
巻号頁・発行日
no.31, pp.123-135, 2008

保育現場で行われているうた(手)あそびは、各種のうたやリズムに乗って言葉と身体の各部の動きが連動し、子どもたちを楽しいあそびの世界に誘う児童文化財として機能している。今論文は、うた(手)あそびを学ぶ際に使用する市販の保育教材の問題点と学生の選択眼養成について、童謡「どんぐりころころ」を素材にし、学生の音楽的能力(読譜力・歌唱力・創造力・記譜力・コミュニケーション力)などを育成しようとする試みを述べたものである。