著者
小笠原 功明
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.316-324, 2017-08-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
7

日本内科学会は1903年創立当初から英文誌を刊行し,今日までに1万本を超える論文を発行してきた。現在は,月2回・年24回発行し,J-STAGEによりオープンアクセス誌として公開している。2005年の論文投稿・査読オンラインシステム導入および電子ジャーナル化以降,海外を中心に,予想を上回るほど投稿論文数が大幅に増加した一方で,さまざまな問題点・課題が表面化することとなった。本稿では,表面化した問題点・課題,その克服への取り組み,さらには今後の展望について紹介する。
著者
長谷川 毅 妙中 直之 日月 亜紀子 阿古 英次 金原 功 西村 重彦 中塚 伸一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.1247-1251, 2010 (Released:2010-11-25)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

症例は50歳代,男性.昭和61年に潰瘍性大腸炎(全結腸型)を指摘されていたが放置していた.平成11年に下血にて大腸内視鏡検査を施行,S状結腸癌と診断され同年11月に潰瘍性大腸炎に合併したS状結腸癌として結腸亜全摘術,J型回腸嚢直腸吻合術を施行した(高分化型腺癌,mp,ly2,v1,n0,stageI).平成20年1月に腫瘍マーカーの上昇(CEA,CA19-9)を認めたため大腸内視鏡検査を施行,残存直腸に粘膜不整像を認め,生検にて低分化腺癌と診断された.平成20年3月腹会陰式直腸切断術を施行した.病理組織検査にて直腸内分泌細胞癌と診断された.術後経過は良好で術後第25病日よりmFOLFOX6を開始し,術後10カ月現在,再発の所見は認められていない.直腸内分泌細胞癌はまれな疾患で,1984年以降で自験例が本邦60例目であり,潰瘍性大腸炎の残存直腸に発生したのは本邦初である.
著者
溝口 勝大 田畑 明通 仲野 彰 土田 英俊 篠原 功
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1974, no.10, pp.1974-1980, 1974
被引用文献数
1

ピベラジニウムおよびp-キシレンev,evs-ジイル(P-キシリレン)基からなるカチオン(1~V)のZ7,8,8-テトラシアノキノジメタシ(CQ)塩を合成し,比抵抗pおよび電導の活性化エネルギーEを測定した。<BR>CQsimplesaltのpは,いずれも~107Ω,cmと大きいが,中性のCQ(CQe)を添加したcomplexsaltでは,1-CQ(3.2×10sΩ,cm)ll-CQ(1.1×10s)V-CQ(7.4×1O<sup>2-</sup>)1y-CQ(81)III-CQ(44)の順にpほいちPるしく減少する。simple,saltのN,N-ジメチルホルムアミ,ド(MF)やアセトニリルに対する溶解性は,complexsalt合成の必要条件であり,III-CQ駕1V-CQIII-CQ工-CQ≧V-CQの順となる。したがって,CQeの添加によるpの低下は,ビペラジニウム環とP-キシリレン基が組み合わさってはじめて発現し,p-キシリレン基によるイオン席間隔の保持と溶解性の増大はCQeとCQrの錯形成に,ピペラジゴゥム環はCQO,CQのカチォンへめ配列を規制して電導性に寄与する推定した。
著者
浅野 一朗 藤井 繁佳 尾崎 和人 竹原 功 矢野 夕幾 福原 育夫
出版者
一般社団法人 日本食品工学会
雑誌
日本食品工学会誌 (ISSN:13457942)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.133-141, 2005-06-15 (Released:2010-06-08)
参考文献数
17
被引用文献数
8 9

コーヒー飲料製造業において, コーヒー抽出粕は燃料や産業廃棄物として処理されている.コーヒー抽出粕にはβ-マンナンが多く含まれており, 著者らはコーヒー抽出粕の有効利用法として, 抽出粕に含まれるマンナンを加水分解して得られるマンノオリゴ糖 (MOS) の生理機能性について検討してきた.本研究では, MOSを含むコーヒー飲料の体脂肪に及ぼす影響について, 二重盲検ヒト試験で検討した.肥満 (1度) (25kg/m2≦BMI<30kg/m2) の成人30名を2群に分け, 一方には1日300mLの飲用でMOSを3gが摂取できる試験コーヒー飲料を.もう一方にはMOSをコーンシロップソリッドで置換したコントロールコーヒー飲料をそれぞれ12週間摂取させた.そして, 摂取開始時, 4週目, 8週目, 12週目に医師による診察, 採血尿, 理学検査, CT撮影を行った.試験飲料群は, コントロール飲料群に比べ臍部横断面全脂肪面積, 皮下脂肪面積, 内臓脂肪面積の有意な低下が観察された.これより, 本試験飲料 (MOS摂取量: 3g/日) の摂取により, 体脂肪を減少させることができると考えられた.
著者
風間 正喜 小俣 正朗 小原 功任
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第61回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.211, 2012 (Released:2012-03-28)

SPH法などの粒子法は計算格子を必要としない計算手法であり, 表面波など移動境界を伴う問題に多く適用されている. 特に水しぶきを有限要素法で計算する場合, 計算格子の再生成が必要となるなど計算上の困難を伴うが, 粒子法では比較的容易に計算することが可能となるため, 液滴の分裂や合体のような現象の計算に多く適用されてきた. 液滴の運動を計算する際に重要な表面張力を表現するために様々な方法が 開発されているが, 表面エネルギーを基礎とした計算方法はそれほど多くないように思われる. 表面エネルギーを基礎とした方法では, 接触角を表面エネルギーの差として簡単に表現することができる. 本研究では表面エネルギーを基礎とした粒子法による 表面張力計算方法を開発したのでその計算結果を報告する.
著者
長谷川 穂積 原 功
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.10, no.6, pp.88-92, 2011-04-05

昨年4月、5年間君臨してきた世界バンタム級の王座から陥落したが、7カ月後には2階級上のフェザー級で王座を獲得。アゴの骨折、母親の死、負ければ後がないという苦境を乗り越えての快挙だった。30歳の王者は練習の虫としても知られる。「強くなるためには、まず自分に勝つこと」。その両拳は何よりも雄弁だ。
著者
江⽊ 盛時 ⼩倉 裕司 ⽮⽥部 智昭 安宅 ⼀晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 ⿊⽥ 泰弘 ⼩⾕ 穣治 志⾺ 伸朗 ⾕⼝ 巧 鶴⽥ 良介 ⼟井 研⼈ ⼟井 松幸 中⽥ 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升⽥ 好樹 松嶋 ⿇⼦ 松⽥ 直之 ⼭川 ⼀⾺ 原 嘉孝 ⼤下 慎⼀郎 ⻘⽊ 善孝 稲⽥ ⿇⾐ 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻⾕ 正明 對東 俊介 武⽥ 親宗 寺⼭ 毅郎 東平 ⽇出夫 橋本 英樹 林⽥ 敬 ⼀⼆三 亨 廣瀬 智也 福⽥ ⿓将 藤井 智⼦ 三浦 慎也 安⽥ 英⼈ 阿部 智⼀ 安藤 幸吉 飯⽥ 有輝 ⽯原 唯史 井⼿ 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲⽥ 雄 宇都宮 明美 卯野⽊ 健 遠藤 功⼆ ⼤内 玲 尾崎 将之 ⼩野 聡 桂 守弘 川⼝ 敦 川村 雄介 ⼯藤 ⼤介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下⼭ 哲 鈴⽊ 武志 関根 秀介 関野 元裕 ⾼橋 希 ⾼橋 世 ⾼橋 弘 ⽥上 隆 ⽥島 吾郎 巽 博⾂ ⾕ 昌憲 ⼟⾕ ⾶⿃ 堤 悠介 内藤 貴基 ⻑江 正晴 ⻑澤 俊郎 中村 謙介 ⻄村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 ⻑⾕川 ⼤祐 畠⼭ 淳司 原 直⼰ 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松⽯ 雄⼆朗 松⼭ 匡 峰松 佑輔 宮下 亮⼀ 宮武 祐⼠ 森安 恵実 ⼭⽥ 亨 ⼭⽥ 博之 ⼭元 良 吉⽥ 健史 吉⽥ 悠平 吉村 旬平 四本 ⻯⼀ ⽶倉 寛 和⽥ 剛志 渡邉 栄三 ⻘⽊ 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五⼗嵐 豊 井⼝ 直也 ⽯川 雅⺒ ⽯丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今⻑⾕ 尚史 井村 春樹 ⼊野⽥ 崇 上原 健司 ⽣塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕⼦ 榎本 有希 太⽥ 浩平 ⼤地 嘉史 ⼤野 孝則 ⼤邉 寛幸 岡 和幸 岡⽥ 信⻑ 岡⽥ 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥⽥ 拓史 ⼩倉 崇以 ⼩野寺 悠 ⼩⼭ 雄太 ⾙沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 ⾦⾕ 明浩 ⾦⼦ 唯 ⾦畑 圭太 狩野 謙⼀ 河野 浩幸 菊⾕ 知也 菊地 ⻫ 城⼾ 崇裕 ⽊村 翔 ⼩網 博之 ⼩橋 ⼤輔 ⿑⽊ 巌 堺 正仁 坂本 彩⾹ 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下⼾ 学 下⼭ 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉⽥ 篤紀 鈴⽊ 聡 鈴⽊ 祐⼆ 壽原 朋宏 其⽥ 健司 ⾼⽒ 修平 ⾼島 光平 ⾼橋 ⽣ ⾼橋 洋⼦ ⽵下 淳 ⽥中 裕記 丹保 亜希仁 ⾓⼭ 泰⼀朗 鉄原 健⼀ 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨⽥ 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊⽥ 幸樹年 内藤 宏道 永⽥ 功 ⻑⾨ 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成⽥ 知⼤ ⻄岡 典宏 ⻄村 朋也 ⻄⼭ 慶 野村 智久 芳賀 ⼤樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速⽔ 宏樹 原⼝ 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤⽥ 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀⼝ 真仁 牧 盾 增永 直久 松村 洋輔 真⼸ 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村⽥ 哲平 柳井 真知 ⽮野 隆郎 ⼭⽥ 浩平 ⼭⽥ 直樹 ⼭本 朋納 吉廣 尚⼤ ⽥中 裕 ⻄⽥ 修
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
pp.27S0001, (Released:2020-09-28)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG2016)の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG2020)の目的は,J-SSCG2016と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG2016ではSSCG2016にない新しい領域(ICU-acquiredweakness(ICU-AW)とPost-Intensive Care Syndrome(PICS),体温管理など)を取り上げたが,J-SSCG2020では新たに注目すべき4領域(Patient-and Family-Centered Care,Sepsis Treatment System,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な117の臨床課題(クリニカルクエスチョン:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQには,日本国内で特に注目されているCQも含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員24名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班を2016年版に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,117CQに対する回答として,79個のGRADEによる推奨,5個のGPS(Good Practice Statement),18個のエキスパートコンセンサス,27個のBQ(Background Question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG2020は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
中原 功一朗 中川 伸子
出版者
関東学院大学経済経営研究所
雑誌
関東学院大学経済経営研究所年報 (ISSN:13410407)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.54-70, 2008-03

本学経済学部においては,習熟度別クラス編成を伴うカリキュラムにより,英語教育を展開している。また,授業時間外学習を確保するために,学生支援室との連携システム,オンライン学習システムを構築している。2007年度春学期に,上記システムの利用者を対象として,授業時間外学習の状況と上記のシステムに関する意識を調査した。本稿においては,1)1年次カリキュラムと上記システムの概略を説明し,2)上記調査の結果を報告し,3)調査結果の解釈,分析,考察を行った。結果としては,上記システムは概ね有効に機能していると言えるが弱点も見えてきたので,今後の課題や改善のための方向性を提案した。
著者
小畑 弘己 小林 啓 中沢 道彦 櫛原 功一 佐々木 由香
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

各研究目的ごとに以下のような実施状況と成果があった。1.圧痕調査・軟X線・X線CTによる調査:北海道館崎遺跡・鹿児島県一湊松山遺跡・千葉県加曽利貝塚・宮崎県椨粉山遺跡をはじめとする縄文時代を中心とした10遺跡で圧痕調査を実施し、一部は軟X線・X線CTによる調査を実施した。栽培植物の地域的な偏りと種実混入土器の発見などが成果として挙げられる。とくに北海道館崎遺跡では、縄文時代前期末のヒエ入り土器と同後期のコクゾウムシ入り土器を検出でき、これらを報告書に掲載した。潜在圧痕を含む混入個数およびその意義については、論文(英文)投稿・作成中である。2.土器作りの民族調査による土器作り環境と種実・昆虫混入のメカニズムの研究:タイ北部の土器作りの村を訪ね、土器作り環境の調査と試料採集を行った。土器作りの場において穀物の調理屑や家屋害虫が混入する可能性を実物資料によって検証することができた。現在論文作成中。3.X線CTによる種実・昆虫圧痕の検出技術の開発:埼玉県上野尻遺跡におけるオオムギ圧痕候補について軟X線およびX線CTにより撮影・観察を行い、オオムギでないことを検証した。伊川津貝塚のアワ入り土器を軟X線・X線CTで撮影し、その個数を検証した。4.食以外の種実利用・家屋害虫拡散プロセスに関する研究:2本の論文(邦文・英文)を作成し、公開した。5.土器編年(縄文時代晩期)の整備:大陸系穀物圧痕を有する九州地方の晩期土器の調査を行い、編年的な位置づけを行った。これら成果に関しては、その一部を12月に明治大学で開催した研究公開シンポジウムを通じて広く一般の方へも公表した。その他、一般図書や雑誌において、圧痕法研究に関する最新成果を公表した。
著者
中野 聡子 牧原 功 金澤 貴之 中野 泰志 新井 哲也 黒木 速人 井野 秀一 伊福部 達
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J90-D, no.3, pp.808-814, 2007-03-01

我々は,音声認識技術を用いた「音声同時字幕システム」の運用を行う中で,聴覚障害者が感じている字幕の読みにくさは,漢字等の誤認識だけではなく,言い誤りや会話的な表現など話し言葉固有の性質にも原因があるのではないかと考えるに至った.そこで本研究では,話し言葉固有の性質による読みにくさを含む字幕を読んでいるときの眼球運動を測定し,読返しの多さを定量的に調べると同時に,どのような表現部分の文章認知が困難であったかについて,被験者への聞き取りデータと合わせて実証的に明らかにすることを試みた.
著者
平澤 由平 鈴木 正司 伊丹 儀友 大平 整爾 水野 紹夫 米良 健太郎 芳賀 良春 河合 弘進 真下 啓一 小原 功裕 黒澤 範夫 中本 安 沼澤 和夫 古橋 三義 丸山 行孝 三木 隆治 小池 茂文 勢納 八郎 川原 弘久 小林 裕之 小野 利彦 奥野 仙二 金 昌雄 宮崎 良一 雑賀 保至 本宮 善恢 谷合 一陽 碓井 公治 重本 憲一郎 水口 隆 川島 周 湯浅 健司 大田 和道 佐藤 隆 福成 健一 木村 祐三 高橋 尚 由宇 宏貴
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1265-1272, 2003-07-28
被引用文献数
2 12 4

遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤 (rHuEPO) が6か月以上継続投与されている慢性維持血液透析患者 (血液透析導入後6か月以上経過例) 2,654例を対象に, 維持Ht値と生命予後との関係をretrospectiveに調査, 検討した. Cox回帰分析による1年死亡リスクは, 平均Ht値27%以上30%未満の群を対照 [Relative Risk (RR): 1.000] とした場合にHt 30%以上33%未満の群でRR: 0.447 [95%信頼区間 (95% CI): 0.290-0.689 p=0.0003] と有意に良好であったが, Ht 33%以上36%未満の群ではRR: 0.605 [95% CI: 0.320-1.146 p=0.1231] と有意差を認めなかった. 一方, Ht 27%未満の群ではRR: 1.657 [95% CI: 1.161-2.367 p=0.0054] と有意に予後不良であった. また, 3年死亡リスクも1年死亡リスクと同様, Ht 30%以上33%未満の群ではRR: 0.677 [95% CI: 0.537-0.855 p=0.0010] と有意に良好であったが, Ht 33%以上36%未満の群ではRR: 1.111 [95% CI: 0.816-1.514 p=0.5036] と有意差を認めず, Ht 27%未満の群ではRR: 1.604 [95% CI: 1.275-2.019 p<0.0001] と有意に不良であった.<br>これらの調査結果より, 1年および3年死亡リスクはともにHt値30%以上33%未満の群で有意に低値であり, 生命予後の観点からみた血液透析患者のrHuEPO治療における至適維持目標Ht値はこの範囲にあると考えられた. ただし, 1年死亡リスクは, 例数が少ないもののHt値33%以上の群についても低値であったことから, このレベルについては今後再検討の余地があると考えられた.
著者
矢木 亮吉 宮地 茂 平松 亮 川端 信司 藤城 高広 黒岩 輝壮 谷口 博克 山田 誠 山田 佳孝 大西 宏之 山下 太郎 松原 功明 黒岩 敏彦
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
脳血管内治療 (ISSN:24239119)
巻号頁・発行日
pp.oa.2017-0008, (Released:2018-01-29)
参考文献数
13

【目的】今回われわれは,本邦で承認されている脳血栓回収療法機器それぞれにおける医療費およびその治療成績を比較するために,患者毎の保険請求額,手技料,デバイス料と治療成績を集計し検証した.【方法】本学および関連施設にて「K178-4 経皮的脳血栓回収術30,230 点」を算定した患者126 例を対象とし, Penumbra system を使用した症例を「P 群」,Stent-Retriever を使用した症例を「S 群」,両デバイスを併用した症例を「P+S 群」とし,各症例の入院にかかる総保険請求額,手術にかかる手技料およびデバイス料,治療成績について比較した.【結果】全体では費用に対する治療成績に優劣は認めなかったが,後方循環病変ではS 群でmodified Rankin Scale (mRS)0-2が高率であり,1 日平均請求額が低額であった.前方循環病変ではP 群でmRS0-2 が高率であり,1 日平均請求額および総保険請求額が低額であった.【結論】急性期血栓回収術施行症例では,デバイス料がS 群で最も安価であった.また閉塞部位が前方循環ではP 群,後方循環ではS 群が治療成績良好で費用も低額であり,良好な治療と判断した.
著者
高妻 和哉 首藤 愛呼 石丸 琴美 高野 和彦 太田 七絵 竹原 功 桂木 能久
出版者
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
雑誌
健康・栄養食品研究 (ISSN:13458388)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1-8, 2021-06-11 (Released:2021-06-11)
参考文献数
16

背景と目的 コーヒー豆由来クロロゲン酸は,降圧作用,抗肥満作用,認知機能改善作用,肌性状改善作用等の様々な生理効果を持つことが知られている.本試験では,日本人の健常成人を対象に,コーヒー豆由来クロロゲン酸の過剰摂取時の安全性を検証した.方法 日本人の健常成人(20~60歳)を対象に,コーヒー豆由来クロロゲン酸を一日摂取目安量(270 mg/日)の5倍量(1,350 mg/日)または,プラセボを4週間摂取させるランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験で,臨床検査値の異常や発生した有害事象から安全性を評価した.結果 26名が試験に参加し,参加した全員を安全性評価の対象とした.コーヒー豆由来クロロゲン酸または,プラセボ摂取による,臨床検査値の異常は認められず,コーヒー豆由来クロロゲン酸または,プラセボ摂取と因果関係がある有害事象も認められなかった.結論 日本人の健常成人に対する,コーヒー豆由来クロロゲン酸の過剰摂取時の安全性が確認された.臨床試験登録 大学病院医療情報ネットワーク臨床試験登録システム(UMIN-CTR)ID: UMIN000037230.
著者
牧原 功
出版者
群馬大学留学生センター
雑誌
群馬大学留学生センター論集 (ISSN:13461605)
巻号頁・発行日
no.3, pp.1-13, 2003-03

い形容詞の丁寧形は、以前は「おいしゅうございます」のような形が規範的であったが戦後は「おいしいです」という形が普及した(1)。しかし、今日にあっても全く違和感のない表現として受け入れられているのかには疑問が残る。また日本語教科書には「おいしくないです」のような、形容詞に後接する否定の形容詞「ない」に「です」がついた表現も用いられ、さらに 「食べないです」のような助動詞の「ない」に「です」がついた形も日常良く耳にするようになっている(2)。そこで、い形容詞+です、形容詞「ない」+です、助動詞「ない」+です、その他動詞が形容詞化した成分+です、等について文の適格性の判断を求めるアンケートを行い、文の許容度と文法的性質との間に関連性が見られることを示した。また、適格性判断の結果と実際の言語使用の状況との関係を見るため、WEB上の文章をコーパスとして幾つかの表現についてその使用頻度を調べた。その結果、WEBの文章をコーパスとした使用頻度調査によって、アンケートとほぼ同様の結果を得ることが可能であることが確認された。
著者
河原 功志 篠原 拓嗣 藤川 賢治 大久保 英嗣 津田 孝夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.39-40, 1995-09-20

分散OSは従来のネットワークOSとは異なり、ユーザにネットワークの物理的配置を意識させないネットワーク透過性を実現している。ネットワーク透過性には位置透過性など様々な概念が含まれるが、規模透過性の実現をも分散OSには求められている。規模透過性とは分散システムの稼働中においても計算機の台数を増減することが可能で、かつ、システム構成の変更をユーザに意識させない性質である。本稿では規模透過性の実現する手法としてサイトの追加・切り離し方式を提案し、我々が現在開発中の分散OS DM-2に実現した。これらの機能によってDM-2は実行中のタスクを消滅や中断させずに、任意のサイトを停止して切り離したり追加して起動したりできるようになる。本稿ではサイトの動的な追加・切り離し機能を実現するために必要なローカルスタート・ローカルシャットダウン機能を提案する。
著者
江木 盛時 小倉 裕司 矢田部 智昭 安宅 一晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 黒田 泰弘 小谷 穣治 志馬 伸朗 谷口 巧 鶴田 良介 土井 研人 土井 松幸 中田 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升田 好樹 松嶋 麻子 松田 直之 山川 一馬 原 嘉孝 大下 慎一郎 青木 善孝 稲田 麻衣 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻谷 正明 對東 俊介 武田 親宗 寺山 毅郎 東平 日出夫 橋本 英樹 林田 敬 一二三 亨 廣瀬 智也 福田 龍将 藤井 智子 三浦 慎也 安田 英人 阿部 智一 安藤 幸吉 飯田 有輝 石原 唯史 井手 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲田 雄 宇都宮 明美 卯野木 健 遠藤 功二 大内 玲 尾崎 将之 小野 聡 桂 守弘 川口 敦 川村 雄介 工藤 大介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下山 哲 鈴木 武志 関根 秀介 関野 元裕 高橋 希 高橋 世 高橋 弘 田上 隆 田島 吾郎 巽 博臣 谷 昌憲 土谷 飛鳥 堤 悠介 内藤 貴基 長江 正晴 長澤 俊郎 中村 謙介 西村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 長谷川 大祐 畠山 淳司 原 直己 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松石 雄二朗 松山 匡 峰松 佑輔 宮下 亮一 宮武 祐士 森安 恵実 山田 亨 山田 博之 山元 良 吉田 健史 吉田 悠平 吉村 旬平 四本 竜一 米倉 寛 和田 剛志 渡邉 栄三 青木 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五十嵐 豊 井口 直也 石川 雅巳 石丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今長谷 尚史 井村 春樹 入野田 崇 上原 健司 生塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕子 榎本 有希 太田 浩平 大地 嘉史 大野 孝則 大邉 寛幸 岡 和幸 岡田 信長 岡田 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥田 拓史 小倉 崇以 小野寺 悠 小山 雄太 貝沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 金谷 明浩 金子 唯 金畑 圭太 狩野 謙一 河野 浩幸 菊谷 知也 菊地 斉 城戸 崇裕 木村 翔 小網 博之 小橋 大輔 齊木 巌 堺 正仁 坂本 彩香 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下戸 学 下山 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉田 篤紀 鈴木 聡 鈴木 祐二 壽原 朋宏 其田 健司 高氏 修平 高島 光平 高橋 生 高橋 洋子 竹下 淳 田中 裕記 丹保 亜希仁 角山 泰一朗 鉄原 健一 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨田 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊田 幸樹年 内藤 宏道 永田 功 長門 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成田 知大 西岡 典宏 西村 朋也 西山 慶 野村 智久 芳賀 大樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速水 宏樹 原口 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤田 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀口 真仁 牧 盾 増永 直久 松村 洋輔 真弓 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村田 哲平 柳井 真知 矢野 隆郎 山田 浩平 山田 直樹 山本 朋納 吉廣 尚大 田中 裕 西田 修 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement, pp.27S0001, 2020 (Released:2021-02-25)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016 年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG) 2016 の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG 2020)の目的は,J-SSCG 2016 と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG 2016 ではSSCG 2016 にない新しい領域[ICU-acquired weakness( ICU-AW)と post-intensive care syndrome(PICS),体温管理など]を取り上げたが,J-SSCG 2020 では新たに注目すべき4 領域(Patient-and Family-Centered Care,sepsis treatment system,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な118 の臨床課題(clinical question:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQ には,本邦で特に注目されているCQ も含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員25 名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226 名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班をJ-SSCG 2016 に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2 回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi 法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,118CQ に対する回答として,79 個のGRADE による推奨,5 個のGPS(good practice statement),18 個のエキスパートコンセンサス,27 個のBQ(background question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQ ごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG 2020 は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
江木 盛時 黒田 泰弘 山田 亨 山田 博之 山元 良 吉田 健史 吉田 悠平 吉村 旬平 四本 竜一 米倉 寛 和田 剛志 渡邉 栄三 小谷 穣治 青木 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五十嵐 豊 井口 直也 石川 雅巳 石丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今長谷 尚史 志馬 伸朗 井村 春樹 入野田 崇 上原 健司 生塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕子 榎本 有希 太田 浩平 大地 嘉史 大野 孝則 谷口 巧 大邉 寛幸 岡 和幸 岡田 信長 岡田 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥田 拓史 小倉 崇以 小野寺 悠 小山 雄太 鶴田 良介 貝沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 金谷 明浩 金子 唯 金畑 圭太 狩野 謙一 河野 浩幸 菊谷 知也 土井 研人 菊地 斉 城戸 崇裕 木村 翔 小網 博之 小橋 大輔 齊木 巌 堺 正仁 坂本 彩香 佐藤 哲哉 志賀 康浩 土井 松幸 下戸 学 下山 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉田 篤紀 鈴木 聡 鈴木 祐二 壽原 朋宏 其田 健司 高氏 修平 中田 孝明 高島 光平 高橋 生 高橋 洋子 竹下 淳 田中 裕記 丹保 亜希仁 角山 泰一朗 鉄原 健一 徳永 健太郎 富岡 義裕 中根 正樹 冨田 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊田 幸樹年 内藤 宏道 永田 功 長門 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 藤島 清太郎 奈良場 啓 成田 知大 西岡 典宏 西村 朋也 西山 慶 野村 智久 芳賀 大樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 小倉 裕司 細川 直登 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速水 宏樹 原口 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤田 基 藤村 直幸 舩越 拓 升田 好樹 堀口 真仁 牧 盾 増永 直久 松村 洋輔 真弓 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村田 哲平 柳井 真知 松嶋 麻子 矢野 隆郎 山田 浩平 山田 直樹 山本 朋納 吉廣 尚大 田中 裕 西田 修 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会 松田 直之 山川 一馬 原 嘉孝 大下 慎一郎 青木 善孝 稲田 麻衣 梅村 穣 矢田部 智昭 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻谷 正明 對東 俊介 武田 親宗 寺山 毅郎 東平 日出夫 橋本 英樹 林田 敬 安宅 一晃 一二三 亨 廣瀬 智也 福田 龍将 藤井 智子 三浦 慎也 安田 英人 阿部 智一 安藤 幸吉 飯田 有輝 石原 唯史 井上 茂亮 井手 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲田 雄 宇都宮 明美 卯野木 健 遠藤 功二 大内 玲 尾崎 将之 小野 聡 射場 敏明 桂 守弘 川口 敦 川村 雄介 工藤 大介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下山 哲 鈴木 武志 関根 秀介 垣花 泰之 関野 元裕 高橋 希 高橋 世 高橋 弘 田上 隆 田島 吾郎 巽 博臣 谷 昌憲 土谷 飛鳥 堤 悠介 川崎 達也 内藤 貴基 長江 正晴 長澤 俊郎 中村 謙介 西村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 長谷川 大祐 畠山 淳司 久志本 成樹 原 直己 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松石 雄二朗 松山 匡 峰松 佑輔 宮下 亮一 宮武 祐士 森安 恵実
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, 2020
被引用文献数
2

<p>日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016 年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG) 2016 の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG 2020)の目的は,J-SSCG 2016 と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG 2016 ではSSCG 2016 にない新しい領域[ICU-acquired weakness( ICU-AW)と post-intensive care syndrome(PICS),体温管理など]を取り上げたが,J-SSCG 2020 では新たに注目すべき4 領域(Patient-and Family-Centered Care,sepsis treatment system,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な118 の臨床課題(clinical question:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQ には,本邦で特に注目されているCQ も含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員25 名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226 名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班をJ-SSCG 2016 に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2 回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi 法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,118CQ に対する回答として,79 個のGRADE による推奨,5 個のGPS(good practice statement),18 個のエキスパートコンセンサス,27 個のBQ(background question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQ ごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG 2020 は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。</p>