著者
上原 由紀
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.102-106, 2009-06-30 (Released:2014-11-11)
参考文献数
4

何らかの病原微生物による感染性腸炎は日常診療でよく遭遇する疾患である. このなかには食中毒も含まれています. 季節により起因微生物は異なり, 冬期はウイルス, 夏期は細菌が主体となります. 診断には十分な病歴聴取が必要で, 摂取した食物, 潜伏期間, 臨床症状および基礎疾患などから起因微生物を推定して治療方針を決定します. 便培養や寄生虫検査は診断および公衆衛生的側面からも必要です. 治療では抗菌薬を必要としないものが多く, 水分, 糖分, 塩分を不足する分だけ補うことが大切です. 食中毒を疑った場合は食品衛生法に従い保健所に届出を行います. 起因微生物の種類によっては感染症法に基づいた届出が必要なものもあります.
著者
君付 隆 堀之内 謙一 外山 勝浩 春田 厚 紀井 登志哉 原 由紀代 鳥原 康治 松浦 宏司 大迫 廣人 竹中 美香
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.131-136, 2005-03-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
18

耳に掻痒感を訴える患者は多く、一般的にステロイド含有軟膏などの塗布が行われている。今回、耳掻痒感の訴えのある患者に抗ヒスタミン薬であるベシル酸ベポタスチンを投与し (T群) 、その効果をアンケート (かゆみスコア) により検討した。投与3日後、1週後で有意差をもってスコアが改善した。即効性の検討においては、服用後30分で既にスコアの改善を認めた。プラセボ群 (通常の治療群、P群) との比較においては、T群とP群の両群で1日後よりスコアの低下を認めたが、T群とP群間での差は認めなかった。
著者
酒井 達也 A. Jones Mark Smirnoff Nicholas 岡田 清孝 O. Wasteneys Geoffrey van der Honing Hannie 西岡 美樹 上原 由紀子 高橋 美穂子 藤澤 紀子 佐治 健介 関 原明 篠崎 一雄
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.716, 2008

キネシンモータータンパク質は様々な生物において細胞の先端成長及び細胞の形の決定に関与していることが知られている。シロイヌナズナゲノム中には 61 遺伝子のキネシン関連遺伝子が存在することが明らかになっているが、その多くは機能が明らかになっていない。我々はアルマジロリピートドメインを持つ植物特異的キネシン関連タンパク質 ARK1 がシロイヌナズナ根毛の先端成長に関与することを明らかにした。ark1 突然変異体根毛は波状、時に枝分かれの表現型を示し、内側の微小管はより重合して量及び長さが促進されていた。すなわちARK1は根毛内部の微小管量を限定する働きを持ち、これが根毛の先端成長を制御することが示唆された。ARK1 はARK2 及び ARK3 の二つのパラログ含む遺伝子ファミリーをシロイヌナズナゲノム中で形成しており、ARK2 が根の表皮細胞の形態形成に関与することを明らかにした。さらにARK タンパク質と結合する因子として NEK6 タンパク質リン酸化酵素を同定した。nek6 突然変異もまた、シロイヌナズナ表皮細胞の形態形成に多面的な影響を与えており、NEK6 が ARK キネシンに関連した微小管機能を介して細胞の形態形成に関与することが示唆された。
著者
立石 貴之 渡部 琢也 脇田 瑞木 藍原 由紀 勝田 若奈 早乙女 貴子 小林 庸子 望月 久 村田 美穂
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.227-232, 2019 (Released:2019-04-26)
参考文献数
17

〔目的〕外来のパーキンソン病(PD)患者への個別的理学療法を数組同時に行うことで集団的要素を取り入れたプログラムの実施結果について検討した.〔対象と方法〕外来PD患者26名に,集団的要素を含む60分間のプログラムを週1回,12週間実施し,実施前後のPD患者の運動機能およびQOLの変化を評価し,本プログラム実施後の運動習慣獲得状況を調査した.〔結果〕10 m歩行の歩数,6分間歩行距離,PDQ-39の2項目に有意な改善を認めた.運動習慣は実施後6ヵ月時点でも維持されていた.〔結語〕今回実施したプログラムはPD患者の身体機能およびQOLの改善,運動習慣の獲得に寄与する可能性がある.
著者
畦地 拓哉 平井 由児 上原 由紀 笹野 央 吉澤 寿宏 松本 博志 青嶋 瑞樹 内藤 俊夫
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.93, no.5, pp.649-654, 2019-09-20 (Released:2020-04-03)
参考文献数
19

自然弁の感染性心内膜炎(IE)のempiric therapy としてEuropean Society of Cardiology(ESC)ガイドライン2015 ではampicillin(ABPC),cloxacillin(MCIPC),gentamicin(GM)の3 剤併用が推奨されている.本邦では黄色ブドウ球菌用ペニシリン製剤はABPC/MCIPC 合剤(ABPC/MCIPC)のみであり,これまでにIE のempiric therapy を目的としたABPC/MCIPC 投与例は報告されていない.本研究では, 2015 年1 月から2017 年8 月までに,当院でABPC/MCIPC が投与された症例のうち,改訂Duke 診断基準に基づき,自然弁によるIE と確定診断された症例を対象に,ABPC/MCIPC の感受性・安全性・アウトカムについて検討した.なお,18 歳未満の症例及びABPC/MCIPC 投与量が24g/日未満の症例は除外した.対象は8 名(男性5 名,女性3 名),年齢は34~76 歳(中央値68.5 歳),基礎疾患は自己弁弁膜症6 名,糖尿病3 名であった.対象患者の血液培養からmethicillin-susceptible Staphylococcus aureus(MSSA)2 例,viridans group streptococci(VGS)属3 例,その他3 例を検出し,8 例中7 例ではABPC 又はMCIPC に感性を示した.Definitive therapy に変更するまでの投与期間は2~6 日(中央値3.5 日)であり,この期間において有害事象による中断はなかった.MSSA 2 例は中枢神経病変を合併し,definitive therapy 目的にABPC/MCIPC が継続された.うち1 例は投与開始12 日目に先行する皮疹と急性腎不全が出現しvancomycin+ceftriaxone に変更となった.IE 患者のempiric therapy として数日間のABPC/MCIPC 24g/日投与は血液培養から検出された病原体全てに感受性を示し,有害事象は認められなかった.またMSSA はIE の代表的起因菌であり,本邦でも中枢移行性が良好な黄色ブドウ球菌用ペニシリン製剤の必要性が再認識されるべきであると考えられた.
著者
石原 由紀夫 守田 了
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.270-286, 2005 (Released:2009-10-16)
参考文献数
29

During reading spaced text such as English, each word is not refixated very often when eyes initially land on slightly right side of the middle part of the word. However, in identifying an isolated word, the word will be identified more quickly when eyes initially land on slightly left side of the middle part of it. These two initial eye landing positions are called optimal viewing position or OVP, and these two phenomena are called optimal viewing position effect or OVP effect. This paper aims to simulate eye movements using a computer to realize these two OVP effects. Previous studies indicated that the reason for OVP in identifying an isolated word was that letters could be identified more correctly in the right visual field than the left. In our study, in order to get the higher probability of letter identification in the right visual field than the left one, we considered the asymmetry of the number of pixels sampled in the left and right visual field. And we used the gap between subjective and objective viewpoints to quantify the asymmetry. Here, a subjective viewpoint is defined as the point that people look at on an object. Meanwhile an objective viewpoint is defined as the point of the object, on which the straight line passing through the center of pupil and fovea falls. In our experiments, eye movements in identifying an isolated English word and reading English text were simulated using a computer while shifting the objective viewpoint around the subjective viewpoint. As a result, OVP appeared on the left half of a word and on the right half when identifying an isolated English word and reading English text, respectively. These happened only when the objective viewpoint was shifted to the right from the subjective viewpoint by the width of 1 letter.
著者
小林 範子 廣瀬 肇 小池 三奈子 原 由紀 山口 宏也
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.348-354, 2001-10-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
13
被引用文献数
4 2

痙攣性発声障害 (SD) に対する音声訓練の有効性を検討するために, SDと診断された患者17名に対して訓練を実施した.喉頭の過緊張の軽減に有効とされる6種類の訓練手法と発話速度低下の訓練を組み合わせて使用した.音声症状の評価は, 3名の言語聴覚士による「喉詰めの度合い」の聴覚印象評価によって行った.17名のうち9名が音声の改善と結果に対する患者自身の満足に基づいて訓練を終了し, 2名が通院困難のために訓練中止, 6名が音声改善中のために訓練継続という結果であった.訓練終了例の年齢, 病悩期間, 訓練回数, 初診時の重症度には共通点が認められなかった.重度の音声症状が軽度にまで改善して訓練を終了したものが4例あった.「ため息発声」, 「気息声」, および発話速度低下訓練が多くの症例に有効な訓練手法であった.本研究の結果は, SDに対する治療法の一つとしての音声訓練の有効性と訓練の実施方法を示唆するものと思われる.
著者
金原 由紀子 Yukiko KANEHARA 尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 = Bulletin of policy and management, Shobi University (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.16/17, pp.61-75, 2009-03-31

本研究は、中部イタリア・トスカーナ地方の共和制都市国家において、聖人の聖遺物がどのように収集され、教会側とコムーネ政府側によっていかに利用されたかを解明するものである。その一例として、5世紀頃から14世紀のピストイア大聖堂を取り上げ、聖堂の守護聖人、祭壇の捧げられた聖人、移葬された聖遺物について現存史料より再構成を試みる。そして、同聖堂の最も重要な聖遺物である使徒大ヤコブの聖遺物に注目し、この聖遺物が12世紀初頭にコンポステーラ大司教ディエゴ・ヘルミレスからピストイア司教アットに分与された経緯とその意図について論じた。当時のピストイアでは、コムーネ政府の誕生により司教の特権が脅かされ、政府高官コンソリと司教の関係が極度に悪化していた。そこで司教アットは、両者の関係改善のために聖遺物の入手を試みたと考えられる。共和制都市国家が発展した時期の聖遺物収集には、教会とコムーネ政府の複雑に絡まり合った政治的意図が反映されているのである。
著者
楳田 高士 栗林 恒一 笠原 由紀 若山 育郎
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.137-140, 2002-05-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
10

B型肝炎キャリアの被験者に鍼刺入を行い、抜鍼後の鍼体にB型肝炎ウイルス (HBV) が付着しているのかをPolymerase Chain Reaction (PCR) 法を用いて検討した。その結果、鍼体からHBVのDNAを検出した。治療後の鍼の取り扱いに注意が必要である。
著者
川原 由紀奈 園田 茂 奥山 夕子 登立 奈美 谷野 元一 渡邉 誠 坂本 利恵 寺西 利生
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.297-302, 2011 (Released:2011-06-07)
参考文献数
16
被引用文献数
4 2

〔目的〕2006年以降より回復期リハビリテーション病棟での訓練時間は1日上限6単位から9単位に増加した.このことから訓練量増加の効果をADLとの関係で検討した.〔対象〕回復期リハビリ病棟に入退棟した脳卒中患者で,2005年度の5~6単位の群122名と2008年4月から9月の7~9単位の群41名とした.〔方法〕2群間の入退棟時FIM運動項目合計点(FIM-M),FIM-M利得(入院時-退院時FIM-M),FIM効率(FIM-M利得/在棟日数)と自宅復帰率の関係を比較した.〔結果〕7~9単位の群は5~6単位の群に比べFIM-M利得,FIM効率,自宅復帰率が有意に高かった.〔結語〕訓練増加がADL改善に効果的であると考えられる.
著者
渡邉 誠 奥山 夕子 登立 奈美 川原 由紀奈 木下 恵子 佐々木 祥 辻 有佳子 園田 茂
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.383-390, 2012 (Released:2012-11-23)
参考文献数
14
被引用文献数
3 4

【目的】診療報酬改定により可能となった訓練量増加がADL改善に及ぼす影響を年齢別に検証した.【方法】当院回復期リハビリ病棟に入退棟した脳卒中患者で,一日の訓練単位上限が6単位(2時間)の時期に5~6単位の訓練を行った106名(6単位群)と訓練単位上限が9単位の時期に7~9単位の訓練を行った130名(9単位群)を対象とし,入退棟時のFIM運動項目(FIM-M),FIM-M利得,FIM-M効率を比較した.年齢別に3群,入院時FIM-M得点層別に2群に層別化し分析も行った.【結果】FIM-M利得,FIM-M効率は9単位群で有意に高かった.FIM-M低得点層で70歳以上と60~69歳のFIM-M利得,FIM-M効率,高得点層で70歳以上のFIM-M利得が9単位群で有意に高かった.【結論】訓練量の増加はADLをより改善させ,その程度は60歳代のFIM-M低得点層と70歳以上の高齢者で顕著であった.
著者
登立 奈美 園田 茂 奥山 夕子 川原 由紀奈 渡邉 誠 寺西 利生 坂本 利恵
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.340-345, 2010-07-25 (Released:2010-09-14)
参考文献数
18
被引用文献数
4 2

【目的】診療報酬改定による訓練量の増加と運動麻痺改善との関係を検証した.【方法】当院回復期リハビリ病棟に入退院した脳卒中患者で,1日の訓練単位数上限が6単位(2時間)であった時期に5~6単位の訓練を行った122名(6単位群)と,訓練単位数上限が9単位であった時期に7~9単位の訓練を行った41名(9単位群)を対象に入退院時のStroke Impairment Assessment Set(SIAS)の麻痺側運動機能5項目を比較した.入院時運動麻痺の重症度別に3群に層別化した分析も行った.【結果】入退院時のSIAS得点は9単位群で有意に高かったが,SIAS利得には有意差を認めなかった.入院時下肢中等度麻痺群と上肢軽度麻痺群において退院時SIASとSIAS利得が9単位群で有意に高かった.【結論】麻痺程度を層別化して検討することで1日6単位から9単位への訓練量増加により運動麻痺改善が認められた.
著者
春山 直樹 柳田 太平 西田 英一 安永 親生 原 由紀子 安達 武基 椛島 成利 田村 雅仁 柴田 英治 合屋 忠信
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.329-333, 2010-03-28
参考文献数
23

症例は37歳,女性.平成11年9月にIgA腎症からCAPDを導入された.平成17年3月より挙児希望から近医で体外受精―胚細胞移植(IVF-ET)を始め,同年9月より週1回血液透析を併用した.平成19年3月に3回目のIVF-ETで妊娠6週を確認することができた.その後,血液透析を週2回5時間併用として貧血,透析量の管理を行っていたが,妊娠14週より週3回各5時間の血液透析へ完全に移行し,徐々に透析量を増やした.妊娠17週に切迫早産と診断されて,近医大学病院に入院した.妊娠32週で胎児は生下に十分耐えうる大きさとなり,帝王切開で2,284 gの健康な女児を出産した.その後母体,出生児ともに合併症なく,妊娠36週で退院となった.その後血液透析を継続していたが,母親は育児のためにCAPDの再開を希望した.腹腔洗浄を試みたが,カテーテルは子宮の圧排で上腹部へと転位し注排液不可能だった.そこで腹腔鏡下にカテーテルの整復術を行い,CAPDを再開することができた.CAPDの妊娠は,透析液による腹腔内の高浸透圧環境が卵子の着床に不適であるとされており,体外受精―胚細胞移植がより確実かもしれない.また,本症例のように腹膜透析導入後7年経過し,残存腎機能のない症例においては,妊娠早期より血液透析を併用,ないし一時的な移行が必要と思われた.
著者
赤川 優美 上野 晃弘 池田 淳司 石井 亘 宍戸-原 由紀子 関島 良樹
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.324-331, 2018 (Released:2018-05-25)
参考文献数
27
被引用文献数
4 5

症例1は59歳女性.特発性好酸球増多症に対しプレドニゾロンを内服中.脳MRI病変に軽度の造影効果が認められ,炎症の存在が示唆された.症例2は30歳女性.全身性エリテマトーデスに対し免疫治療中.脳生検が実施され,CD4およびCD8陽性細胞の均衡がとれたリンパ球浸潤を認めた.両症例とも神経症状発症早期に進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy; PML)と診断し,メフロキン,ミルタザピン,リスペリドンによる治療を行った.症例1は発症から24ヶ月,症例2は45ヶ月経過しているが,症状改善し生存している.PMLの予後は不良とされているが,JCウイルスに対する制御された免疫応答を有する症例では薬物治療が有効である可能性がある.
著者
鈴木 恵子 岡本 牧人 鈴木 牧彦 佐野 肇 原 由紀 井上 理絵 大沼 幸恵 上條 貴裕 猪 健志
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.588-595, 2009 (Released:2010-01-20)
参考文献数
10
被引用文献数
2 4

『きこえについての質問紙2002』のうち “聞こえにくさ” に関わる10項目を, 補聴器適合のための主観評価法として応用することを目指し, 補聴器装用者232例 (軽~高度難聴), および補聴器適合を行った軽中等度難聴82例 (補聴器装用前・装用後ともに資料あり) の回答を解析した。解析結果をもとに, 軽中等度, 高度の群別に得た各項目の回答スコアの中央値, および装用前からの1以上のスコア軽減を評価基準とする補聴器適合のための評価表を試作した。中央値以下のスコアを得た項目数が, 補聴器に対する全体としての満足度, および装用時の語音明瞭度と有意な正の相関を示し, スコアの中央値を評価基準とすることの妥当性が示唆された。以上から, “聞こえにくさ” 10項目と評価表を, 適合評価のために応用できると結論した。
著者
宍戸-原 由紀子 内原 俊記 三條 伸夫
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.479-488, 2016-04-01

進行性多巣性白質脳症(PML)は,宿主の免疫低下に伴いJCウイルスが再活性化して起こる脱髄脳症である。臨床的に免疫低下の原因が不明瞭で,髄液ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)でウイルス陰性でもなお,画像上PMLの可能性を否定できず脳生検を施行する場合がある。こうした症例では,病理診断の指標となる典型的な核内ウイルス封入体を有する細胞に乏しく,高度な炎症細胞浸潤を伴う場合がある。JCウイルスに対する宿主免疫応答が保たれている状態と考えられ,予後は良好である。本稿では,炎症反応を伴ったPMLについて,近年問題となっている免疫再構築症候群も含め,概説する。
著者
清原 智佳子 梶原 由紀子 尾形 由起子 小野 順子 田中 美樹 石村 美由紀 江上 千代美
雑誌
福岡県立大学看護学研究紀要 (ISSN:13488104)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.47--53, 2018-03-31

目的:効果的な子育て技術を習得することを目的に発達障がいの子どもをもつ12名の親を対象にステッピングストーンズトリプルPの介入を行い親のストレスの変化、子育て技術の役立ち頻度、終了後の受講者満足度について調査を行った。方法:受講前後のDASS、25の子育て技術の質問紙、受講者満足度の質問紙の調査を行った。DASSはWilcoxon符号順位検定を行った。結果:対象者12名のDASSの受講前後の評価の結果はDASS総点において改善をみとめた(P<.05)。技術総点(6.47±.08)であり、すべての技術を使用していた。満足度は総点(5.82±1.0)であり、満足感があったと推測できる。考察:トリプルP受講前と比較し、トリプルP受講後は子育て技術の知識が増え、技術を使って子育てを行ったことで、親の抑うつ状態は軽減した。