著者
古屋 挙幸 宮本 芳城 藤岡 唯志 村上 豪
出版者
和歌山県農林水産総合技術センター
雑誌
和歌山県農林水産総合技術センター研究報告 (ISSN:13455028)
巻号頁・発行日
no.7, pp.81-88, 2006-03
被引用文献数
1

スターチス・シヌアータの新品種'紀州ファインホワイト'と'紀州ファインイエロー'を育成した。新品種の特性は次のとおりである。1.両品種ともスターチス萎凋細菌病に対して、強い抵抗性がある。2.両品種とも花房が大きくて花房数が多く、ボリュームがある。また、'紀州ファインホワイト'のがくの色は純白に近く、花冠の色は淡いクリーム色である。'紀州ファインイエロー'のがくの色はレモン色で、花冠の色は濃い黄色である。3.収量性は'紀州ファインホワイト'が中程度、'紀州ファインイエロー'が多収性である。また、両品種とも切り花の2L率が高い。
著者
古澤 賢彦 金本 勇 若尾 義人 高橋 貢 宇根 有美 野村 靖夫
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.501-504, 1995-07-20
参考文献数
16

チャウチャウ系雑種雄犬 (1歳4ヵ月齢) が腹水と徐脈を主徴として来院した. 高度の心拡大をともなう特発性心房停止を認め, 利尿剤投与と腹水の穿刺除去を継続したが, 11ヵ月の経過で死亡した. 剖検では高度の右房拡張が, 病理組織学的検査では心房の脂肪線維化が認められ, 基礎疾患として特発性右房拡張症が考えられた.
著者
古賀 愼 和田 猛郎 北山 淑江 下坂 康哉 竹内 義弥 小川 孝雄 高橋 昭三
出版者
一般社団法人日本粘土学会
雑誌
粘土科学討論会講演要旨集 (ISSN:24330566)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.31, 2004

平成10年に鉱物本館、平成13年に粘土新館が建設され、村立の小さな博物館として牛歩的に活動が続行されている。経済社会が停滞し、国民の間には閉塞感が漂い、未来に希望を失っている状況下、人に重点を置いた温もりのある社会派の博物館運営が渇望されている。これまでの活動内容、現況(特に粘土鉱物試料の収集整理保管・データーベース化、生活と密着した粘土製品の展示)、マネージメントミュージアム、将来ビジョンなどに関してご報告したい。
著者
脇坂 俊幸 松嶋 徹 古賀 久雄 奥村 浩幸 桑原 伸夫 福本 幸弘
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.140, no.12, pp.557-564, 2020-12-01 (Released:2020-12-01)
参考文献数
30

In this paper, the influence to electromagnetic environment was evaluated on the outside of buildings where power line communication (PLC) systems were installed to a three-wire three-phase power distribution line. The electric field strength was measured at 140 points in five factories, in two office buildings, and in one stadium. Since many radio waves existed in the environment, the electric field strength when PLC system was operated and was not operated was measured. The influence was evaluated by the cumulated occurrence probability because the frequency characteristics of the electric filed strength changed by the measurement points. The results showed that the occurrence probability was not changed when the PLC system was operated and was not operated. The electric field strength was calculated by the common mode current obtained from the test result, and this indicated that the occurrence probability was lower than the measured occurrence probability of electric field strength.
著者
古賀 俊作 北野 淳一 関 秋生 中島 強
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.119, no.6, pp.895-900, 1999-06-01 (Released:2008-12-19)
参考文献数
5

In the Yamanashi Maglev Test Line, LSM is controlled with the PI controller of velocity and phase locked loop. This controller includes integrating action and compensates the position steady-state error and velocity steady-state error. Therefore the Maglev train can be controlled according to the velocity pattern accurately and the error of stopping position is within 2.5cm. Power Conversion Substation of South Group converts the power in frequency (0-46.3Hz), current (0-1015A) and in voltage (0-6, 350V). The Maglev train is controlled within these limits. However when the train accelerates and reduces maximally, it needs the power more than the limits. Naturally output power is limited within the limits, the performance of the control system is getting worse. For concrete example, at the transition from acceleration to even speed or from reduction to even speed, the overshoot or undershoot of the speed occurs. If this condition occurs at the stopping, the train moves back. These movement are not so good for the riding comfort.In this paper, we propose the Improvement method of integrating action in case of the saturation of output current. Firstly we report the configuration and basic characteristics of the method, and then we show the experiment results .
著者
小笠原 敏記 佐々木 信也 堺 茂樹 古川 隆
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.1346-1350, 2006
被引用文献数
1

ワークショップ (WS) を通して, 避難上の問題点を明確にし, その対策案に基づいた行動計画を実施するまでの過程を報告して, 自主防災力の意識向上に対するWS効果を検討する. さらに, アンケート調査より平成15年十勝沖地震と平成17年11月の三陸沖の地震で発令された津波注意報に伴う避難の実態を明確にし, 同時に避難行動に及ぼすWSの影響も明らかにする. その結果, 視覚的に理解し易い情報・資料の提供や, 計画を立て実際に歩くという行為, 同じ問題を参加者で考えて行動に移すことができる場がワークショップの重要な役割と言える. しかし, 避難行動の意識向上にWS効果が見られたにも関わらず, 避難行動に及ばない実状が明白となった.
著者
古田 榮作 Eisaku FURUTA
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae Journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
no.8, pp.33-50, 2008-03-31

五十余人の善知識を訪問し、信仰を深めた善財童子は、愈々彌勒菩薩の所にやってくる。善財は彌勒に「どのように菩薩は菩薩行を学び菩薩道を修められるのでしょうか。お教えください」と懇願すると、彌勒は大樓観にいた大衆の前で「この童子は、不退轉の心で厭きることなく勝れた法を習得しようとして、善知識を求め。親近し供養し法を聞き受持しようとしてきた。この童子は、かって頻陀伽羅城で文殊師利の教えを受けて、善知識を求め、多数の善知識に菩薩行を問い、心に疲倦無く、とうとう私のところにやってきた。この童子のように大乗を学ぶものは甚だ稀有である。」と善財を讃えた上で、「このように学ぶ者は、則ち能く菩薩所行を究寛する。大願を成満し、佛菩提に近づき、一切刹を浄め、衆生を教化し、深く法界に入り、一切の諸波羅蜜を具足し、菩薩行を広め、一切の諸善知識に値遇し、生涯に能く普賢菩薩諸行を具えるであろう。……」と善財の成道の近いことを宣言し、文殊師利に諸の法門と、智慧の境界と、普賢の所行を問うよう勧めるが、善財の更なる菩薩の行を学び、菩薩の道を修する方法の問いにあなたは文殊師利をはじめとする善知識に遇うこともでき、それなりの器の持主でもある。善知識の教える所は諸佛を護念することである。悟りを求める気持である、菩提心は諸佛の種子であり、良田であり、大地であり、浮水であり、……と諭し、善財の成道への大願が不退転のものであるとして、大樓観の中に導き入れられる。樓観の中で自分自身の姿を見るとともに佛の描かれた世界が現出していた。その中で深い三昧に耽っていると彌勒は指を弾き、善財を三昧から覚醒させてお主は菩薩の神力をすべて目の当たりにしたと告げられ、彌勒の示した法門は「入三世智正念思惟荘嚴藏法門」であると示され、菩薩の十種の生庭を示され、その上あなたが先ほど目にしたすばらしい光景は文殊師利の威神力によるものであるとも告げられ、普門城に詣でると文殊師利は手を差し伸べて「でかしたぞ善財、若し信心の根を離れれば憂悔に埋没してしまうであろうし、功徳が具わらねば精勤しようとする心も失せてしまうであろうし、多少の功徳に満足しようものならそれで進歩は止まってしまったであろうに……」と善財の精進を讃え、更にすべての法門、大智光明、菩薩陀羅尼、無量三昧、無量智慧をお主は成就してので、普賢の所行の道場へ入らせるようにした。普賢菩薩は、一つ一つの毛孔より光を放ち、世界を照らし、衆生の苦患を除滅して菩薩の善根を出し、……とさながら盧舎那如来の光の世界を現ぜられる光景に接した。この光景を目の当たりにして善財は不可壊智慧法門をわがものにした。普賢菩薩は、「私は測り知れないほどの長期間に亘って菩薩の道を修め、菩提を求め続けてきた。その功徳で不壊の清浮なる色身を得たので、私の名を聞き、私の姿を見たものは必ず清潭の世界に往き、清浮なる身になるであろう」と諭し、普賢の現じた光の世界に觸れた善財の成道も実現したのである。「譬如工幻師能現種種事佛爲化衆生示現種種身」とされるのであり、「聞此法歓喜信心無疑者達成無上道與諸如来等」と結語する。善財の求道は師・善友(善知識)をを訪ねて教えを請い、その教えを通じて信を深めていくものであったが、ゴータマ・ブッダの場合は、修行法・瞑想法を学ぶための師は求めたが、師と仰ぐ師は見当たらない。瞑想し、思惟することを通じて人生の悩みの解決をはかり、苦行による悟りから離れ、悟りへの障りとなる欲望、嫌悪、飢渇、妄執、ものうさ・睡眠、恐怖、疑惑、みせかけ・強情・名声と他人の蔑視という悪魔を斥けてきたのである。善財の修行の姿には慨怠も見られず、苦悩も見当たらない。経典の中で理想化された修行者の姿と生身の人物?との差異が表れているように思われる。佛教では勤習・数習・薫習という語を重要視する。それは「諸悪莫作諸善奉行自淨其意是諸佛教」を求める。なにげない行動の中に自ら善に趣き悪を避ける、身に染み付いた智慧の習得を求めているものであろう。
著者
藏田 伸雄 森岡 正博 村山 達也 久木田 水生 古田 徹也 鈴木 生郎 八重樫 徹 吉沢 文武 杉本 俊介
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、「人生の意味」に関するメタ倫理学的研究と「死」の形而上学的研究との関連を、「人生の意味」についての規範的議論を手掛かりにして検討する。さらに「人生の意味」という概念の規範性について批判的に検討する。またこの分野での主張に見られる、「人生の意味」に関する命題についても真理条件が成立するという前提について検討を進める。そして決定論的な世界観を採用することは、「人生の意味」の価値を減じるのかという問題について分析する。
著者
古屋 康則 山家 秀信 松原 創
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

雄が繁殖期中に営巣するトゲウオ科、カジカ科、ハゼ科魚類では、雄の腎臓で粘性物質の合成が活発化し、膀胱に尿を蓄えるという共通した現象を見出した。トゲウオ科では雄の腎臓で巣材を接着する物質(スピギン)が合成されることが知られているが、カジカ科の雄の腎臓でもスピギンと相同の遺伝子が繁殖期中にのみ発現していることを見出した。また、トゲウオ科で雄の腎臓抽出物が成熟した雌を誘引する作用を持つことが示唆された。このことから、営巣繁殖するトゲウオ科、カジカ科、ハゼ科魚類の腎臓で合成される粘性物質の機能は、雌の巣への誘引であり、トゲウオ科では雌の誘引に加えて巣材の接着の機能が付加されたと考えられた。
著者
大澤 隆文 古田 尚也 中村 太士 角谷 拓 中静 透
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.95-107, 2019 (Released:2019-07-01)
参考文献数
66

生物多様性条約では、生物多様性の保全や持続可能な利用全般について2020年までに各国が取り組むべき事項を愛知目標としている。2020年に開催される予定の同条約締約国会議(COP15)では、2020年以降の目標(ポスト愛知目標又はポスト2020目標)を決定することが見込まれ、海外では愛知目標に係る効果や課題を考察した学術研究も多く出版されている。本稿では、パリ協定等の生物多様性分野以外の諸分野から参考になる考え方・概念も引用しつつ、SMART等の、愛知目標に続く次期目標の検討にあたり考慮し得る視点やアプローチを詳細に整理した。また、自然保護区等に関する愛知目標11等を事例として、地球規模又は各国の規模で2020年以降の目標設定にあたり考慮すべき課題や概念、抜本的な目標の見直しに係る提案等の特徴や課題について、日本における状況も紹介しつつ議論した。これらを通じ、厳正的な自然保護の拡充を誘導する目標設定に加え、それ以外の地域・分野についても、自然と共生を進める諸アプローチの効果評価や目標設定を追求する余地があることを提案した。
著者
吉野 由美子 別府 あかね 前川 賢一 古橋 友則
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.3, 2009

視覚障害者に対する相談窓口や歩行・日常生活訓練、便利グッズの普及などのシステムづくりを行おうとする時、県や市町村の担当者との相互理解なしでは、システムづくりは難航し、また頓挫してしまうのは明らかな事である。しかし、視覚障害者は身体障害者手帳所持者全体の約1割と数が少なく、視覚障害リハビリテーションとは何かと言うことや、どんな専門家がいるのかと言うことも、一般の人だけでなく、福祉・教育などの行政担当者にもほとんど知られていないのが現状である。<br> このシンポジウムでは、県の費用を使って研修に行き、視覚障害者生活訓練指導員の認定資格を得て高知に戻って来たが、「ニーズがない」と言う理由で、仕事に就けなかった別府さんが、どのように働きかけて行政担当者の理解を得られたか。三重県で、盲学校や市町村に職員を派遣し、視覚リハを展開している前川さんに、どのようにして盲学校や市町村と契約を結んで来たか、そして、県費で15人の視覚障害者生活訓練指導員をつくる計画を承認させた静岡の古橋さんに、なぜそのようなことが出来、現状はどうなっているのかを語っていただく事を通して、視覚障害リハビリテーションの必要性とその効果について、どのようにして行政担当者の理解を得、公的な予算を引き出すことが出来るかについて、地域のそれぞれの条件を超えた共通点を見いだし、これから地域で視覚障害リハビリテーションシステムを構築し、また専門家としてやりがいのある職場をつくって行こうとしている人達に、その方法論を学んでいただくと共に、共に共感し、相談できるつながりをつくって行くことを狙いとしている。
著者
古川 浩一 神田 達夫 舟岡 宏幸
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.1039-1043, 2011-11-30 (Released:2012-01-27)
参考文献数
15

非閉塞性腸間膜虚血症(NOMI)は,腹部の動脈の攣縮・狭小化による血流低下で,広範囲の腸間膜虚血や腸管壊死が惹起されことが知られている。しかし,この腸間膜虚血症を従来の検査方法で,早期に選択的に簡便に評価することは困難と言える。一方,重症急性膵炎においてもNOMIはしばしば発生し,その病態や予後への関与が報告されている。今回,膵炎に発生するNOMIに対し,小腸粘膜に特異的に分布する腸管由来の脂肪酸結合蛋白(I-FABP)を測定し,NOMI診断への臨床的意義につき検討した。IFABPは急性膵炎の重症度に関連する病態を示し,腸間膜血流に関連する造影CT検査におけるグレードの膵外進展度に相応した数値上昇を認めた。潰瘍性大腸炎例での計測とI-FABPの小腸粘膜への特異的な分布を考慮すると,急性膵炎に併発する小腸粘膜傷害を直接的に反映していると言える。以上より,I-FABPは急性膵炎時のNOMIの早期診断や病態評価に有用な指標と考えられる。
著者
篠崎 広和 工藤 芳彰 古屋 繁 竹末 俊昭 小出 昌二 菊池 司 永見 豊 小幡 真也
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.199-199, 2006

本提案は今年で3回目となる拓殖大学工学部工業デザイン学科と株式会社バッファロー社との産学協同プロジェクトの一部であり、PC周辺機器を対象に新しいユーザ層のための商品展開のあり方やブランド展開について提案したものである。ここでは、バッファロー製品の特徴や強みを生かしつつ新しいブランドアイデンティティを確立するため、コーポレートカラーである赤を基調にデータをつなぐ・ためる=赤モノとし、ターゲット別に3つのブランドを展開した。_丸1_私立小学校に通う子供をターゲットにしたBUFFALO KIDS。_丸2_モテ服世代と呼ばれる20代OLをターゲットにしたBUFFA LOVE。_丸3_エグゼクティブシルバーと呼ばれるおしゃれなおじさんをターゲットにしたBUFFALO SOLIDである。各ブランドにはテイストやイメージをより伝えやすくするため、ゲーム・思い出・チェスといったユーザと関わりがあるもので形成された世界観を設定した。販売場所も従来の量販店ではなく、それぞれのユーザが好むショップで販売することで、PC周辺機器に対する興味の拡大を目指した。
著者
古川 理孝 船尾 忠孝
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.50-60, 1985-02-28

死後経過時間(TAD),死因などの明確な法医解剖230例の死斑を対象として,著者らの考案した注射器法によるTAD推定の適用範囲を明確にした。TAD 6〜50時間の仰臥位死体158例の標準退色指数(SDI)とTADの間には正相関(r=0.898)がみられた。またSDIに対する影響因子について検討した結果,死斑発現部に皮膚溢血点を認めるもの,異常高温環境にあったものなどはたかい値を示した。さらに死因別では急性心不全・窒息の場合にややたかい値,失血・頭部外傷・外傷性ショック・心タンポナーデではやや低い値を示した。その他死斑の範囲,程度,色などもSDIに対する影響因子として認められた。次いで主として皮膚溢血点発現例などの影響の大きな例を除外してSDIとTADの相関性を再検討したところ明確な正相関(r=0.980)が認められた。また他の屍体位でもSDIによるTAD推定の適応性は示唆されたが,両側性死斑については本法の適用外と思考される。
著者
古屋宗作 編
出版者
竜雲舎[ほか]
巻号頁・発行日
vol.[第1編] 第10巻, 1886
著者
山下 裕 古後 晴基
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1437, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】高齢者の咀嚼能力の低下は,一年間の転倒歴,排泄障害,外出頻度の減少,うつ状態などと共に,要介護リスク因子の一つとして取り上げられている。しかし,咀嚼能力と身体機能の関連については未だに不明な点が多い。一方,片脚立位時間の測定は,簡便な立位バランス能力の評価として広く臨床で使用されている評価法であり,高齢者の転倒を予測する指標としての有用性も報告されている。そこで本研究は,咀嚼能力の評価指標である咬合力に着目し,身体機能との関係を明らかにした上で,咬合力が片脚立位時間に影響を及ぼす因子と成り得るかを検討した。【方法】対象者は,デイケアを利用する高齢者55名(男性18名,女性37名,要支援1・2)とした。年齢82.9±5.6歳,体重54.7±13.5kgであった。対象者の選択は,痛みなく咬合可能な機能歯(残存歯,補綴物,義歯含む)を有することを条件とし,重度の視覚障害・脳血管障害・麻痺が認められないこと,及び重度の認知症が認められないこと(MMSEで20点以上)とした。咬合力の測定は,オクルーザルフォースメーターGM10(長野製作所製)を使用した。身体機能評価として,片脚立位時間,残存歯数,大腿四頭筋力,握力,Timed Up & Go test(TUG),Functional Reach Test(FRT)を実施した。統計処理は,Pearsonの相関係数を用いて測定項目の単相関分析を行い,さらに片脚立位時間に影響を及ぼす因子を検討するために,目的変数を片脚立位時間,説明変数を咬合力,大腿四頭筋力,TUG,FRTとした重回帰分析(ステップワイズ法)を用いて,片脚立位時間と独立して関連する項目を抽出した。なお,統計解析にはSPSS ver.21.0を用い,有意水準を5%とした。【結果】各項目の単相関分析の結果,咬合力と有意な関連が認められたのは残存指数(r=0.705),片脚立位時間(r=0.439),大腿四頭筋力(r=0.351)であった。また,片脚立位時間を目的変数とした重回帰分析の結果,独立して関連する因子として抽出された項目は,TUGと咬合力の2項目であり,標準偏回帰係数はそれぞれ-0.429,0.369(R2=0.348,ANOVA p=0.002)であった。【考察】本研究は,高齢者における咬合力と身体機能との関係を明らかにし,片脚立位時間における咬合力の影響を検討することを目的に行った。その結果,咬合力は,残存歯数,片脚立位時間,大腿四頭筋力との関連が認められ,片脚立位時間に影響を及ぼす因子であることが示された。咬合力の主動作筋である咬筋・側頭筋は,筋感覚のセンサーである筋紡錘を豊富に含み,頭部を空間上に保持する抗重力筋としての役割を持つことが報告されている。また,噛み締めにより下肢の抗重力筋であるヒラメ筋・前脛骨筋のH反射が促通されることから,中枢性の姿勢反射を通じて下肢の安定性に寄与していることも報告されている。本研究の結果,咬合力と片脚立位時間に関連が示されたことは,高齢者の立位バランスにおいて咬合力が影響を与える因子であることを示唆しており,これらのことはヒトの頭部動揺が加齢に伴い大きくなること,平衡機能を司る前庭系は発生学的・解剖学的に顎との関係が深いことからも推察される。咬合力を含めた顎口腔系の状態と身体機能との関連について,今後更なる検討が必要と思われる。【理学療法学研究としての意義】臨床において,義歯の不具合や歯列不正・摩耗・ムシ歯・欠損等により咬合力の低下した高齢者は多く見受けられる。本研究により咬合力が片脚立位時間に影響を及ぼすことが示されたことは,高齢者の立位バランスの評価において,咬合力を含めた顎口腔系の評価の重要性が示された。
著者
古荘 純一
出版者
金原出版
雑誌
小児科 (ISSN:00374121)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.1277-1282, 2016-09