著者
古川 成道 渡部 広一 河岡 司
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.2(2006-ICS-142), pp.99-106, 2006-01-13

人間は,表から多くの知識を獲得し,その表に関する質問に柔軟に答えることができる.コンピュータが表を理解することができれば,表から知識を得ることができ,コンピュータはより知的になると考えられる.また,表を理解できれば,その表に関する質問にも答えることができるようになる.本稿では,概念ベースや常識判断システムを用いて,表の構造や内容を解析し,自然言語による質問に対する応答が可能となる知的表理解システムを構築する.表に記載されている語句のみで構成される質問文だけではなく,表に記載されていない語句を含んだ質問文に対しても約60%の正解率で答えることができる手法を提案する.
著者
白浜 龍興 大庭 健一 岸本 幸次 山田 省一 佐藤 亮五 中野 真 加藤 雅士 古川 一雄 長谷川 和子 村越 明子 箱崎 幸也 真方 良彦 中川 克也
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.881-890_1, 1988

著者らは昭和53年より厳しい環境の下で行われる,いわゆるレンジャー訓練の前後に上部消化管内視鏡検査を施行し,上部消化管に急性病変が認められることを経験している.9年間のレンジャー訓練生421名中,胃潰瘍36例(8.5%),十二指腸潰瘍25例(5.9%),胃十二指腸潰瘍5例(1.2%)を認めた,これらのうち急性胃潰瘍41例(5例は十二指腸潰瘍と併存)について検討した.単発30例(73.2%),多発11例(26.8%)で62病変であった.62病変のうち胃角小彎に29病変(46.8%)が認められた.内視鏡的経過観察をみると治癒に8週以上を要した治癒遷延例は6例(14.5%)で胃角小彎の潰瘍が4例,胃角部と胃体部の多発性潰瘍1例,胃角部から胃体部の帯状潰瘍が1例であった.この6例中4例が再発(同部位再発,再発誘因は演習)し,うち2例が慢性潰瘍化したと考えられた.
著者
神尾 博代 山口 三国 信太 奈美 古川 順光 来間 弘展 金子 誠喜
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Eb1258, 2012

【はじめに、目的】 生活習慣病発症予防に効果があるとされる身体活動量は、1日当たりおよそ8,000~10,000歩に相当すると考えられている。しかし、ライフスタイルの変化や交通手段の進歩により、日本人の1日の歩数は男性、女性とも目標値に達するどころか、1日平均歩数は減少している。身体活動量の点から見るとパラメータとして歩数を増大させるだけではなく、歩容を変化させる方法もある。そこで、本研究では歩容調整によって、体重、体脂肪率、BMIを減少させることができるかについて検討することを目的とした。【方法】 健常若年女性24名を対象とし、ランダムに運動・ウォーキング実施群(Ex群)と対照群(C群)の2群に12名ずつ割り付けた。Ex群には日常生活の中で気軽に行える簡単な体操と歩容調整の指導をし、日常生活内で実施させた。体操の内容は1.立位での股関節の伸展、2.立位での重心の前方移動、3.背伸び、4.立位での前方リーチの4種類とした(山口式エクササイズに準拠)。また、歩行指導時の注意点は1.けり出し時、骨盤を後方回旋させず、股関節・膝関節をしっかりと伸展させる。2.けり出し時、踵が外側を向いたり内側を向いたりしないように真っ直ぐに蹴る。3.背すじを丸めたり、反りすぎたりしないようにするとした(山口式スタイルアップウォークに準拠)。C群には指導をせず、通常通りの日常生活を指示した。また、両群に生活習慣記録機(スズケン社製KenzライフコーダPLUS)を腰部に装着させ、起床時から入浴時を除く就寝まで、2週間継続して計測した。指導実施前と2週間経過後の身長・体重・BMI・体脂肪率を測定し、各項目の介入前後の差を求めた。また、2週間の歩数・総消費量・強度別の活動時間を計測した。ライフコーダの強度1~3を低強度(3METs以下)、強度4~6を中等強度(3~6METs)、強度7~9を高強度(6METs以上)とし、それぞれの1日の平均活動時間をもとめた。各項目は有意水準5%にて両群の平均値の差の検定を行った。【倫理的配慮、説明と同意】 被験者に対し実験の目的・方法・予想される結果・期待される利益・不利益・危険性・中途離脱の権利等について十分な説明を行い、実験参加の承諾書にて同意を得た。本研究は首都大学東京荒川キャンパス研究安全倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】 1日の平均歩数(S.D.)は、Ex群が8598.2(1303.5)歩、C群は9146.9(2750.8)歩であり、歩数に有意差は無かった。しかし、Ex群の介入前後の体重およびBMIの差の平均(S.D.)は体重差-0.7(0.7)kg、BMI差-0.3(0.3)であり、C群の-0.1(0.6)kg、0.0(0.2)に比べて有意に減少していた(p<0.05)。また、体脂肪率の差の平均(S.D.)はEx群-1.7(1.0)%、C群は-0.8(1.3)%と減少傾向が見られた。また、2群間の3つの強度の1日当たりの平均活動時間(S.D.)はEx群が低強度54.8(11.1)分/日、中等強度29.0(7.6)分/日、高強度2.4(1.8)分/日、C群が低強度57.8(15.7)分/日、中等強度30.9(12.5分/日)、高強度3.6(2.1)分/日となり、有意差はみられなかった。総消費量の平均値もEx群1774.3(129.9)kcal、C群1847.6(209.9)Kcalと有意差がなかった。【考察】 Ex群とC群では、歩数や活動レベルを示す運動強度などの量的側面に関して、有意な差がみられなかった。しかし、Ex群でエクササイズ後の体重、BMIが有意に減少していることから、歩容調整により歩行に質的変化が生じ、歩行に使用していた筋活動に違いが生じたのではないかと考えられた。通常、生活動作としての歩行は、移動目的だけを満たす動作となることが多い。しかし、意図的に歩容としての身体の振る舞いを意識することで、歩行に参加する筋活動の増加が得られたものと考えられた。歩行は移動の手段であって、通常速度では運動としての負荷は低くなるが、歩容を意識変容させることで、筋活動の参加が増し、負荷運動として用いることができたのではないかと考えられた。今まで、生活習慣病の予防について歩数やスピードに着目されがちであったが、歩行そのものの質も重要であることが明らかになった。【理学療法学研究としての意義】 歩行を指導する際に、無理なくより効果的に生活習慣病の予防として歩行を活用していくために、量や運動強度だけではなく、歩行の質についての重要性が明らかになった。
著者
古家 信平 黒河内 貴光 戸邉 優美 尾曲 香織
出版者
筑波大学民俗学研究室
雑誌
牡鹿半島の民俗と地域社会 ―これまでの記憶とこれからの可能性について―
巻号頁・発行日
pp.I-54, 2015-01

調査地概図巻頭写真まえがき(古家, 信平)活動の目的活動の概要(戸邉, 優美)目次牡鹿地区における建物と祭祀(黒河内, 貴光)女性の集まりと信仰(戸邉, 優美)地域における共有物とその利用(尾曲, 香織)資料一覧(尾曲, 香織)協力者・団体一覧・あとがき
著者
古山 彰一 千葉 元 横井 幸治 橋本 心太郎
出版者
富山高等専門学校
雑誌
富山商船高等専門学校研究集録 (ISSN:03878996)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.55-61, 2009-08

The seasonal variations of the water quality and the tidal flow in Toyama Bay were observed by using Conductivity Temperature Depth(CTD) and Acoustic Dopplar Current Profiler(ADCP). Tsushima warm current(TWC) intrudes about 100m in depth in Toyama Bay. The Japanese sea proper water is observed under 400m in depth; the salinity is from 34.1 to 34.2 and the potential temperature is around 0℃. The flow field in Toyama Bay is observed by ADCP system in the summer and the winter time.
著者
穐山 浩 坂田 こずえ SPIEGELHALTER Frank 古井 聡 中島 安基江 橘田 和美 手島 玲子
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.65-70, 2010
被引用文献数
5

リアルタイムPCRを用いた未承認遺伝子組換えトウモロコシDAS59132系統(E32)の検知法を8機関によるバリデーション試験により評価した.試験試料は0%,0.05%,0.1%の3濃度粉末試料と0.01% の抽出DNA溶液試料で,各濃度試料を2点並行により併行再現性や室間再現性などを評価した.トウモロコシ内在性遺伝子の検出試験ではすべての試料において良好な増幅曲線が得られ,陽性と判定された.E32検出用試験では,すべての 0% 試験試料と1機関において 0.01% 試験試料2点の内1試料で2反応並行の1反応が陰性であった以外は,良好な増幅曲線が得られ陽性と判定された.検出限界は約0.01%と判断された.本研究により,E32の検知法の妥当性が確認された.
著者
丸本 龍二 吉岡 義夫 古川 純康 本庄 美喜男
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.24, no.11, pp.2624-2628, 1976-11-25 (Released:2008-03-31)
被引用文献数
8 9

Reaction of aristeromycin (I) with acetyl bromide in acetonitrile, followed by treatment with hydrobromic acid afforded 3'β-bromo-3'-deoxyaristeromycin hydrobromide (V) and 2'β-bromo-2'-deoxyaristeromycin hydrobromide (VI). Catalytic reduction of V and VI with palladium on charcoal gave 3'-deoxyaristeromycin (X) and 2'-deoxyaristeromycin (XI), respectively. Treatment of V with sodium alkoxide yielded 2', 3'-anhydroaristeromycin (IV). Two carbocyclic analogs (XII and XV) of inosine and 6-mercaptopurine ribonucleoside, 8-bromoaristeromycin (XVI) and 8-hydroxyaristeromycin (XVII) were also prepared.
著者
米原 大介 古賀 毅
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2012年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.239-240, 2012-09-01 (Released:2013-03-01)

本研究では,軽量化の工夫を生物に学び,設計初期段階における発想を支援する手法の構築を試みる.そのために,自重に対する抵抗や,飛翔・移動などの機能を実現するために,生物が培ってきた軽量化・高剛性の実現などの事例を調査し,演繹的・帰納的なアプローチで,設計における発想や改良の過程を支援する.ノートPCの天板設計を対象に提案した設計手法を適用し,従来案に比べて軽量高剛性の解を獲得できることを確認した.
著者
河村 信治 市古 太郎 野澤 康 玉川 英則
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.379-386, 2015

広域にわたる東日本大震災の津波被災地では、復旧・復興の進行も、支援の形も多様であり、さまざまな専門性を持った外部からのグループが、復興支援のための活動に取り組んでいる。筆者らは、そのような活動の一つとして、岩手県沿岸北部に位置する野田村において、2011年から4年間にわたり「野田村復興まちづくりシャレットワークショップ」(以下、野田村CWS)を開催してきた。本研究では、この一連の活動のねらい、活動内容、課題をふりかえり、今後野田村の復興のためにこの活動経験を次に繋げていく展望について考察する。
著者
下向 東紅 徳田 一弥 古賀 新 稲富 秀雄 加納 康彦
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖学雑誌 (ISSN:03859932)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.133-139, 1990

前立腺の維持と発達を支配する主な因子はテストステロンで,これが前立腺で5&alpha;-レダクターゼによりジヒドロテストステロンに変換されて作用することは,知られている。5&alpha;-レダクターゼは,プロラクチンとテストステロンによって活性化されることが,報告されているが,前立腺の発達におけるプロラクチンの役割は不明の点が多い。<BR>マストミスは,雌にも二本の排泄管を有する,組織学的に機能的な前立腺を持つことを特徴とするネズミ科の動物である。本実験では,この動物雄,雌を供試して,前立腺の発達におよぼす,ホルモンの影響を検討した。供試動物に,去勢,脳下垂体前葉移植,テストステロン投与,プロモクリプチン投与の処置を単独または併用して施した。去勢によって前立腺重量は減少したが,テストステロンのみの投与によって回復したことから,前立腺は雌雄ともにアンドロジェンに依存していることが示された。さらに去勢動物に対する,脳下垂体前葉の移植によっても前立腺重量が回復した。この場合,反応は雄に比べて雌の方が大きかった。テストステロン投与あるいは脳下垂体前葉移植によって,上皮細胞の増殖が起こることも組織学的に認められた。これらの成績から,マストミスの,特に雌の前立腺の維持あるいは発達は,プロラクチンに対して感受性が高いと考えられ,これらの作用の影響を研究するためには,マストミスは,有用な動物であると考えられた。
著者
大西 翼 ディクソン ポール 古井 貞煕
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.103, pp.1-6, 2007-10-19
被引用文献数
7

本稿では、実用的な音声認識デコーダの実現に向けて東京工業大学で開発が行われている、WFST を利用した音声認識デコーダについて、概要とその性能について述べる。本デコーダでは、スケーラビリティを向上させるために、省メモリ化として on-the-fly 合成と disk-based search、高速化として、GPU を利用した音響尤度計算の実装が行われている。この他にも、実用化に向けた様々な機能が実装されている。これらについての詳細を述べる。また、WFST 音声認識で問題となるメモリ消費量の増大を解決するために、本デコーダで行われている省メモリ化について、CSJ を利用して性能評価を行った。その結果、on-the-fly 合成を行うことで最大で 60%以上のメモリ消費量の削減をまた disk-based search を行うことで最大で 60%以上のメモリ消費量の削減を確認した。さらに、これらのアプローチを組み合わせることで、すべての WFST を事前に合成した場合と比較して、80%程度のメモリ消費量の削減を確認した。これらの実験により、本デコーダの省メモリ化についてのアプローチの有効性を示した。This paper presents an overview of the Weighted Finite State Transducer (WFST) based speech decoder being developed at Tokyo Institute of Technology and illustrates the performance via evaluations on the Corpus of Spontaneous Japanese. The decoder has a rich feature set including on-the-fly composition, disk-based search and a new method for accelerating acoustic likelihood calculations using graphics hardware. To provide flexibility there is a highly configurable front-end, batch or live operating modes and lattice generation. Experiments were conducted to evaluate the memory consumption in various configurations. By using either on-the-fly composition or a disk-based search network a memory reduction of more than 60% was achieved. Furthermore, a combination of these techniques with additional factoring of the WFST reduced the memory consumption by over 80%.
著者
松倉 文比古
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.A1-A27, 2006-01-31

『日本書紀』巻第一一は、所謂「民の竃の賑わい」の説話に代表されるように、崇神・垂仁と並んで徳治を実践した天皇として仁徳(大鷦鷯)天皇を描出している。菟道稚郎子との皇位互譲を通じて、その即位に至る経緯を述べる即位前紀は、とりわけその特徴が顕著である。また、元年条以下に於いては「一に曰く」・「一書に曰く」等の異伝を僅かに一条みるのみで、他の諸天皇紀と比して極めて整然とした印象を強く受ける。そのような特徴を持った仁徳天皇紀に於いて、皇位互譲を主たるテーマとする即位前紀を中心に、それに連関すると考えられる元年紀以下の后妃(磐之媛・八田皇女)・氷室起源・易名・鷹甘部設置伝承等を採り上げ、仁徳紀の構成上の特色を検討した。その結果、仁徳紀の構成上の編纂意図の一つとして、徳治を実践する天皇の支配領域が奈辺にあるのかを明示することにあったことを指摘した。それは、崇神・垂仁がそうであったように、令制下に於ける理想的天皇像を語る意図に基づくに他ならない。また、前後の天皇に比して特殊であると指摘される、即ち、日本国内に自生する最小の鳥であると考えられるミソサザイを意味する鷦鷯(さざき)を和風諡号とする理由を、その天皇の支配領域に関連することも指摘した。と同時に、仁徳記・紀を通じてその実在性を含め、仁徳朝としての歴史的事実を導き出すことが、困難であることも併せて指摘した。
著者
長弘 千恵 小笹 美子 仲野 宏子 橋本 文子 森脇 智秋 古川 薫 外間 知香子
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.63-70, 2018

<p>子ども虐待の相談件数は2016 年度12 万件と年々増加し<b>,</b>虐待による死亡数も改善しない状況である。行政保健師は<b>,</b>地域内の全妊婦に関わり妊娠届時から長期的視野に立って早期発見・早期対応することが可能な職種である。妊娠届出と母子健康手帳の交付は子育て支援のスタートであり<b>,</b>これらに携わる保健師の支援について今までの研究で明らかになった活動内容を活用して支援の方向性を検討することを目的で文献検討を行った。方法は<b>,</b>保健師が行った妊婦に対する子ども虐待予防や早期対応に関わる子育て支援についてデータベースを用いて検索し<b>,</b>妊娠届出からの支援活動に関する21 文献を検討した。結果は<b>,</b>妊娠届出の時点で要支援家庭であるか否かのふるい分けが可能であり<b>,</b>妊婦の背景を踏まえた早期対応で虐待予防が可能であることが示唆された。今後の課題として<b>,</b>妊娠届出時の情報内容と情報活用法と多機関多職種との細かな連携の必要が示唆された。</p>
著者
古志 貴和
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.275-281, 2017-03-15 (Released:2017-04-21)
参考文献数
7
被引用文献数
2

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの腰椎変性疾患や慢性痛に対して,腰椎手術はあらゆる年齢層に対して広く行われている.適切な診断,手術治療により症状が軽減するものが大部分を占める一方で,術後経過の芳しくない脊椎手術後痛症候群(failed back surgery syndrome:FBSS)が存在する.FBSSの原因は多岐にわたり,医療者の努力で防ぐことができるものとできないもの,さらには原因のわからないものが混在する.今回,FBSSに関し,自験例に文献的考察を加え,その原因と対策について検討を行った.
著者
古屋 智規 高橋 賢一 橋爪 隆弘 久保田 穰 和嶋 直紀 橋本 直樹 伊藤 誠司 鈴木 行三 伊藤 良正
出版者
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.121-125, 2003

bolus造影helical CTによりIIIb型膵頭部完全断裂と診断し, 尾側膵胃吻合を行って良好な経過を得た症例を経験したので報告する. 症例は19歳, 女性. 2001年8月27日, 軽ワゴン運転中防雪棚に衝突. 上腹部をハンドルに強打し近医に搬送された. 収縮期血圧62mmHg, 腹部造影CTで外傷性膵損傷と診断されたが, 損傷程度の把握不能で翌日当科に紹介された. 腹膜刺激症状あり, 気管内挿管後にbolus造影helical CTで膵頭部の完全断裂と診断して直ちに開腹した. 膵は上腸間膜静脈~門脈本幹右縁で完全断裂していた. 頭側主膵管は縫合閉鎖し, 尾側膵断端は主膵管にカニュレーションし, 端側で胃後壁に吻合した. 術後経過良好で術後49日で退院し, 術後膵機能に問題なく, 現在元気に社会復帰している. bolus造影helical CTが外傷性膵損傷の損傷部位と程度の把握に有用で, III型膵頭部完全断裂と診断された場合, 尾側膵胃吻合は, 手技が単純でかつ機能温存の面からも極めて有用な術式と考えられた.