- 著者
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吉澤 裕世
田中 友規
高橋 競
藤崎 万裕
飯島 勝矢
- 出版者
- 日本公衆衛生学会
- 雑誌
- 日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.6, pp.306-316, 2019-06-15 (Released:2019-06-21)
- 参考文献数
- 47
- 被引用文献数
-
4
目的 本研究は,自立高齢者の様々な活動とフレイル予防対策の知見を得るために,悉皆調査データを用いて,週1回以上実施している活動とフレイルとの関連について検討した。方法 要介護認定を受けていない地域在住高齢者73,341人全数を対象とした,厚生労働省の基本チェックリスト項目および,対象者が週1回以上実施している様々な活動(身体活動,文化活動,地域・ボランティア活動)に関する悉皆調査データを用いた。フレイルとの関係について,各活動単独およびその重複別に評価した。さらに,活動の実施状況別のプレフレイルおよびフレイルとの関連について,非フレイルを参照カテゴリとし,性別・年齢を調整した多項ロジスティック回帰分析を行った。結果 当該地域在住における介護認定を受けていない65歳以上の高齢者の67%に相当する49,238人のデータが解析された。性別の内訳は,男性24,632人,女性24,606人であった。身体活動,文化活動,地域活動の習慣を有する高齢者は各65.9%, 78.8%, 14.9%であり,プレフレイルは22.7%,フレイルは12.8%にみられた。いずれの活動もフレイルと有意な関連性が認められた。3種の活動すべてを実施している群を対照とした場合,フレイルに対する調整オッズ比[95%CI]は,身体活動未実施の場合2.19[1.71, 2.80],文化活動未実施では1.48[0.91, 2.43],地域活動未実施では2.09[1.80, 2.44]であった。また,1種類の活動のみを実施している場合の調整オッズ比は5.40~6.42でいずれも有意にフレイルと関連していた。さらに3種の活動のいずれも未実施の場合の調整オッズ比は16.41[14.02, 19.21]で活動の種類の減少に伴ってフレイルの段階的な増加がみられた。結論 高齢者を対象とした横断研究により,日常における身体活動,文化活動,地域活動を実施していないこととフレイルであることが関連していること,また実施していない活動が増えるほどフレイルのリスクが高くなる傾向が示された。フレイル予防において,身体活動の実施の重要性を支持するとともに,身体活動が困難な高齢者であっても,文化活動や地域活動などの分野の異なる活動の重複実施がフレイル予防につながる可能性が示唆された。