著者
伊東 龍一 後藤 久太郎 斎藤 英俊 吉田 純一 吉野 敏武 山口 俊浩
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、江戸時代の建築図面のうち、立面および断面を描く建地割について作図技法・描法を検討し、また江戸時代の建地割の特徴を鮮明にするために中世以前の建地割も調査対象に加えて分析し、様々な技法の使用があったことを明らかにするとともに、それらの時代的変遷として、とくに平面図(指図)を附属するものはとしないもの、寸法線を記入しないものとするもの、朱線・朱文字の使用しないものとするものを指標とすることができ、これらは大凡、18世紀前期を境に前者から後者に移行することが明らかになった。これにともない図の名称も、18世紀前期を境に「地割」などから「建地割」になった。
著者
吉田 倫子 浜屋 敏
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, no.51, pp.11-14, 2010-11-19

野中(1990)がSECIモデルをもって知識移転のプロセスを理論化して以来、多くの企業、とりわけ製造業にとって、ミクロレベルでの暗黙知と形式知の長期的継続性のある継承を、組織内、部署内でいかにして定着付けていくかは非常に大きな関心事となった。本論では、2009年に企業A(国内・製造業)で実施された従業員満足度測定のデータを用いて、従業員の視点からどのようなSECIの循環が見られるのかを検証した。その結果、全サンプルではSECIの循環が見られるものの、部門別の推計ではそれぞれの違いが確認できた。
著者
篠原 諒 村田 英一 吉田 進 山本 高至 梅原 大祐 田野 哲 守倉 正博
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.25-28, 2013-02-13

周波数利用効率を向上させる技術として提案されているマルチユーザMIMO伝送を行うシステムをハードウェアで実装し実験的に検討を行っている.屋内環境におけるマルチユーザMIMO伝送実験の研究は報告されているが,屋外環境における伝送実験の報告は少ない.マルチユーザMIMO屋外伝送実験を行うためにUSRP (Universal Software Radio Peripheral)を用いて移動端末を試作した.USRPはソフトウェア無線端末の一種であり,安価に入手可能かつ小型であるため,持ち出しが容易な移動端末が複数台必要なマルチユーザMIMO屋外伝送実験に適している.USRPの制御には汎用OSを搭載したPCと専用のドライバであるUSRP Hardware Driverを用いた.本稿では,移動端末の試作,特に周波数安定性や送受信タイミング管理,EVMにより評価した伝送特性を含む諸特性について述べる.
著者
寺本 渉 吉田 和博 日高 聡太 浅井 暢子 行場 次朗 坂本 修一 岩谷 幸雄 鈴木 陽一
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.483-486, 2010
被引用文献数
8

For virtual reality systems, the enhancement of a sense of presence (a subjective experience of being in one place even when one is physically situated in another) has been the most important issue. Both theoretically and empirically, the sense of presence has been found to relate dominantly to background components contained in a scene. In contrast, the reality or virtuality which can be assumed to link essentially to foreground components in a scene has not been investigated in detail. The present study defined the latter type of sense as vraisemblance (verisimilitude), and made an exploratory investigation into spatio-temporal characteristics responsible for the higher vraisemblance by using a scene containing Shishi-odoshi (a traditional Japanese fountain made of bamboos) in a Japanese garden as audio-visual stimuli. In Experiment 1, the effects of the field size of view and the sound pressure level of the background were investigated. Higher vraisemblance was observed with the middle field size of view with the original sound pressure level of the background, whereas higher sense of presence was observed with the larger field size of view with the larger background sound. In Experiment 2, the effect of temporal asynchrony between the foreground audio-visual stimuli produced by Shishi-odoshi was investigated. The results show that the range of temporal-window for the audio-visual stimuli necessary for high vraisemblance was different from those for high presence. These findings suggest that the sense of vraisemblance can be distinguishable from the sense of presence, and deeply involved to the foreground-based aesthetic impression in a scene.
著者
吉田 修 七里 泰正 奥野 博 寺井 章人 岡田 裕作 吉村 直樹
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

今回の疫学調査では1990年および1995年の尿路結石患者の年齢、性、部位、初発・再発別頻度と治療法別頻度につき調査表による集計を行った。1997年時点の日本泌尿器科学会専門医教育認定施設(1,197施設)に調査を依頼し、1995年調査では439施設より計85,239例の情報が集積された。初発上部尿路結石症の年間罹患率(10万対)は1965年の43.7から1995年には80.9へと大幅に増加した。1980年日本人口を基準に年齢調整した年間罹患率は1965年54.2、1995年68.9であった。1965年時点の年齢階級別人口をコホートとみなした年間罹患率の経時的変化では、若い世代ほど年間罹患率の増加は著明であった。また、1965年全人口(9830万人)をコホートとみなすと、1965年43.7、1975年64.0、1985年88.9、1995年110.9と顕著な増加を示した。これらの結果から、近い将来も日本人全体での年間罹患率の増加傾向は継続すると推察された。治療法別では、86〜87%がESWL単独で、またPNL、TULおよびESWLとの併用療法も含めると97〜98%がendourologyで治療されており、従来の開放手術は3%以下に激減した。ESWL装置の全国設置台数は1990年258台、1995年528台であった。上部尿路結石症の推計患者数(1990年115,500例、1995年147,700例)からみて、ESWL治療患者数は1990年44,000例、1995年57,800例と推計され、ESWL装置1台あたりの治療症例数にすると1990年の171例から1995年には109例と減少していた。このことから、わが国のESWL装置は既に飽和状態に達していると考えられる。
著者
石野 レイ子 岩井 恵子 伊井 みず穂 兒嶋 章仁 相澤 慎太 五十嵐 純 吉田 宗平 矢部 絵里奈
出版者
関西医療大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

活習慣病予防対策として国民自らが運動の必要性を理解し、主体的に運動を継続できるための支援を検討した。公募して同意を得た成人90名を対象に、体育館で月1回、ミニレクチャー30分、運動90分のプログラムを提供し、自宅での歩数とEXをモニタリングした。生理的変化は、BMI、血清脂質、内臓と皮下脂肪面積と、動機と生活習慣・健康・運動の認識について調査した。12か月後の成果は、支援前に比較して歩数とEXの増加、および皮下脂肪面積が有意に減少し、参加者全員が運動継続の必要性を認識できた。仲間づくりの運動の場を提供し、生理的変化に効果的な運動や手軽にできる運動内容など、やる気を支える支援が示唆された。
著者
大寺 真史 吉田 直史 佐久間 秀明 佐藤 博志 斎藤 真一 佐藤 弘一 手代木 昌宏 齋藤 弘文 半沢 伸治
出版者
福島県農業総合センター
雑誌
福島県農業総合センター研究報告 (ISSN:18825613)
巻号頁・発行日
no.3, pp.29-45, 2011-03

(1)2009年に「あぶくまもち」として品種登録出願され、福島県で糯米品種として奨励品種(特定品種)に採用された。(2)1993年に福島県農業試験場において、「ふ系172号」を母、「奥羽糯347号」を父として交配された。F1~F3世代は温室で集団養成、F4世代では個体選抜、F5世代以降は系統育種法により選抜および固定が図られた。(3)「あぶくまもち」の特性は以下のとおりである。A 出穂期、成熟期ともに「ヒメノモチ」よりも2日前後早く、「こがねもち」よりは10日程度早い。福島県の熟期区分では'中生早'に属する。B 草型は'中稈・穂重型'で、耐倒伏性は「こがねもち」よりも強く、「ヒメノモチ」並の'やや弱'である。C いもち病真性抵抗性遺伝子型は'Pia, k'と推定され、圃場抵抗性は葉いもち、穂いもちともに「こがねもち」よりも強く、「ヒメノモチ」並の'強'と判定された。D 障害型耐冷性は'極強'で、「ヒメノモチ」および「こがねもち」より3ランク強い。E 穂発芽性は'やや難'で、「ヒメノモチ」および「こがねもち」より3ランク優る。F 収量性は「ヒメノモチ」並で、粒大はやや小さい。品質に関して、青未熟粒がやや目立つが、形質や色沢、白度等を加味すると、総合的に「ヒメノモチ」および「こがねもち」と同等である。G 餅つき後の硬化が「ヒメノモチ」よりも早く、切り餅および丸め餅に対する加工適性に優れる。H 食味は丸め餅でコシが強く、伸びは悪いが、総合的には「ヒメノモチ」並である。また、おこわでは「ヒメノモチ」を上回る評価である。(4)栽培普及地帯は県内の阿武隈山間地域である。(5)耐倒伏性がやや弱く、青未熟粒により品質が低下する場合があるため、多肥栽培は避け、適期刈取りに留意する。
著者
吉田 企世子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.359-364, 1993-11-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
10
著者
阿部 守 佐野 岳志 松島 達人 吉田 義樹 辻本 良信
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
関西支部講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2002, no.77, pp."6-41"-"6-42", 2002

It is well known that a rotating stall in vaneless diffuser occurs at low flow rate. This report treats the rotating stall in a vaneless diffuser coupled with a impeller by using a commercial code with the standard κ-ε turbulence model. It was found that the rotating stall in the vaneless diffuser could be simulated, and the onset of the rotating stall in the impeller depends on the gradient of the impeller pressure performance curve. In case with a whirling impeller, whirling speed has influence on the number of stall cells in the diffuser
著者
吉田 武史
出版者
横浜商科大学
雑誌
横浜商大論集 (ISSN:02876825)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.103-138, 2013-09-30
著者
吉田 睦 高倉 浩樹
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ロシアの極北地域におけるトナカイ牧畜文化は、ソ連邦崩壊後、集団化企業体制の崩壊するなかで地域的民族的な特質を示しつつ変容した。当該文化の担い手は少数先住民族であり、そのうち西シベリアのネネツ人と東シベリア(サハ共和国)のエヴェン人における実態を、経済・社会構造の変化、環境変化への適応と文化的再構築という現象的側面から現地調査した。その結果、当該文化が、諸局面に柔軟に対応する民族文化の重要な一要素として機能していることが確認できた。
著者
坂本 文徳 大貫 敏彦 香西 直文 山崎 信哉 吉田 善行 難波 謙二
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.257-266, 2013 (Released:2013-11-15)
参考文献数
20
被引用文献数
4 5

The local area distribution and relocation of radioactive cesium deposited in trees after the 2011 tsunami-related accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant (FDNPP) have been studied by measuring the spatial distribution of cesium on/in trees by autoradiography analysis. Samples of trees were collected from places located between 4 and 55 km from FDNPP approximately 2, 8, 20, and 22 months after the accident. The autoradiography analyses of Cryptomeria japonica, Torreya nucifera, and Thujopsis dolabrata var. hondae samples collected approximately 2 and 8 months after the accident showed that radioactive Cs was mainly distributed as spots on the branches and leaves of the trees emerged before the accident, and was detected in negligible amounts in new branch and leaves that emerged after the accident. On the contrary, radioactive Cs was detected at the outermost tip of the branches in the trees collected 20 months after the accident. Morus alba samples collected 22 months after the accident contained radioactive Cs inside and outside their stems, even though no radioactive Cs was detected in their roots, strongly suggesting that a certain amount of radioactive Cs was translocated from the outside to the inside of stems. These results indicate that the distribution of radioactive Cs deposited on/in the trees gradually changes with time (scale: year).
著者
松山 隆生 角 泰廣 山田 卓也 村瀬 勝俊 吉田 直優 尾関 豊
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.329-333, 2004-03-01
被引用文献数
4

Crohn病に合併した回腸癌の1例を経験したので報告する.症例は59歳の男性で,1999年6月20日に腹痛で前医を受診した.イレウスの診断でイレウス管造影を施行しCrohn病と診断された.その後もイレウス症状が再燃し改善しないため12月23日に回盲弁から30cmの狭窄部を切除された.切除標本の病理検査結果は中分化腺癌で断端,剥離面に癌陽性であった.追加切除目的で2000年2月14日当科に転院した.Crohn病に合併した回腸癌と診断士2月18日結腸右半切除術,膀胱壁合併切除術を施行した.初回手術の吻合部の近傍に辺縁が不明瞭な隆起性の病変を認め,病理検査結果は中分化腺癌で,治癒過程にあるCrohn病が背景粘膜に認められた.Crohn病の高度の狭窄病変に対しては腫瘍の可能性も念頭においた精査,治療が必要であると考えられた.
著者
松田 裕子 中野 孝祐 金山 正範 佐藤 知春 松尾 美里 平良 由紀子 稲嶺 紀子 上村 晶子 梅田 博子 梅野 淳子 江口 みちる 大塚 涼子 梶原 ゆかり 金田 佳代 菅野 朋和 具志堅 三恵 古閑 夏樹 佐藤 有佳里 下村 真介 城間 唯子 平良 美穂 滝本 和子 田口 幸子 蔦谷 美奈子 渡嘉敷 典子 長野 愛 福田 寿子 帆足 羽衣子 松岡 陽子 満崎 裕子 宮里 桂子 安村 由美 若松 奈津美 渡辺 真理 安藤 かおり 井上 かおる 上田 友美 上野 由紀子 甲斐 直美 後藤 綾 後藤 里佳 後藤 さや加 西水 友絵 安部 雄司 益永 美紀 宇都宮 大地 河野 育恵 吉岡 幸子 井村 慎 下森 弘之 後藤 智美 秋吉 真由子 小川 智美 奥 望 蒲原 和也 栗本 俊希 黒木 稔子 合田 奈加 後藤 恵美 佐野 明香 財満 あき 竹内 あゆみ 田村 絵梨 津野 美和 富永 久美子 中島 義及 中村 智久 戸次 つゆ子 松本 一世 松本 千尋 村上 美帆 山田 輝明 山中 由香理 三ヶ尻 克也 高木 恵理 安藤 佳香 内山 智恵 岡 恵美 国広 千恵 栗井 幸恵 後藤 恵 清 真由美 村上 智美 西府 隆行 高橋 啓子 屋良 亮子 大槗 亜理紗 紙屋 喜子 本浦 由希子 森上 奈美 吉田 知子 吉留 紅蘭
出版者
別府大学・別府大学短期大学部司書課程
雑誌
司書課程年報 (ISSN:1343974X)
巻号頁・発行日
no.2, pp.20-74, 1999-03 (Released:2011-02-28)
著者
朝倉 奈都 沖津 宏 清家 純一 田渕 寛 津田 洋 佐尾山 信夫 吉田 冲
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.27-31, 2000-03-15
被引用文献数
2

症例は68歳の男性.糖尿病性腎症により1998年4月に近医入院し血液透析を開始した.入院解きより左胸水貯留を認め, 胸水検査を行うも原因同定には至らなかった.同年10月頃より発熱及び胸水の増加を認め, 膿胸の疑いにて胸腔ドレーンを挿入, 膿性の排液よりCryptococcus neoformansが得られた.血中Cryptococcus neoformans抗原, クリプトコッカス抗体は共に陰性で, 髄液検査, 頭部CTを含め, 他臓器には異常を認めず, クリプトコッカス膿胸と診断された.抗真菌剤の全身投与及び胸腔内洗浄による治療にも膿胸の改善はなく, 手術目的にて当科紹介となり, 1998年12月18日左肺剥皮術, 有茎筋弁充填術を施行した.術後特に合併症なく経過し, 術後約9カ月の現在, 再発の徴候は認めていない.
著者
吉田 善章
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.74-81, 2013-02-05

プラズマの運動や構造を理解するために大きな課題となっているのが<渦>である.プラズマとは,物体と場(通常のプラズマの場合は電磁場)が共変動する系のことである.物体と場の「圧縮運動」に関する研究(衝撃波やソリトンなど)は成熟の域に達しているといってよいだろう.しかし渦(回転運動やせん断運動)の問題は(プラズマならずとも中性流体においてすら)未だ極めて難しい.本稿では,プラズマの運動が生起する空間の幾何を渦論的に構築し,そのトポロジカルな性質,階層的な構造を解明する試みについて解説する.また具体的な事象として,宇宙論的種磁場の問題や,磁気圏プラズマの自己組織化を,渦=空間の歪みとして理解する最近の成果を紹介する.
著者
渡辺 信三 吉田 伸生 国府 寛司 重川 一郎 西田 孝明 池部 晃生
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

確率解析をWiener空間上の解析学、特にMalliavin解析の方法を用いて研究した。Malliavin解析においては、Wiener汎関数のなすSobolev空間が導入され、その枠組でWiener空間上におけるSchwartg超関数の類似物であるW´iener超汎関数も定義される。このWiener超汎関数には、Donskerのデルタ関数をその代表とする正の超汎関数があり、これにはWiener空間上のエネルギー有限の測度が対応している。さらにこの概念に対応してWiener空間上に(r,P)-容量(capacity)の概念が定義され、Wiener空間上、Wiener測度に関し“ほとんどいたるところ"なりたつ諸性質を“quosi every where"でなりたつ性質に精密化できる。こうした方法は、Malliavin解析に関連して“quasi-sure analysis"と呼ばれ、確率解析において最近大きな注目をあつめている。このquasi-sure analysisにおける一つの研究成果として、(r,p)-容量に関する大偏差の原理が、Wiener測度に関するSchilderの定理と同じ形で成り立つことが示された。これを用いると、例えば、Strassen型の重複対数の法則を、almost everywhereの概念をquasi-sureの意味に精密した形で示すことが出来る。Donskerのデルタ関数が、どういう可積分および可微分指数のSobolev-空間に属するかについて、補間理論を用いて詳細に研究した。このことの応用として、Wiener空間上のある種の條件つき平均についてそのregnlarityがHolder連続性の言葉を用いて論ずることが出来た。さらにWiener空間におけるSobolev空間の概念を、より一般の可分な距離空間上で対称Markov半群が与えられた場合に一般化することが出来、またWiener空間上に限っても基礎になるOrnstein-Uhlenbeck作用素を一般化することによって一般化出来た。これらの一般化Sobolev空間は量子物理学に有効な応用をもつものと期待される。