著者
坂本 淳
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.836-842, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究は,中心市街地の広範囲が津波浸水想定区域となる都市においては,津波災害リスクに対する意識が高い者ほど,そのリスクおよび公共交通の利便性が低い郊外に居住し,自動車に依存した生活になる傾向にあるという仮説を立て,それを検証することを目的とするものである.高知市における住民の居住実態,津波災害リスクに対する意識,家族の日常の交通行動,および転居前後の交通利便性を把握する調査を実施し,得られたデータを分析したところ,本研究の仮説を支持する結果が得られた.定量的な分析の結果,防災面を重視して,以前の居住地よりも郊外の居住地に転居した者の割合は,それを重視していない者と比較して28%高いことが示された.
著者
坂本 幹
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
no.14, pp.71-82,122, 2006

本研究は、ガーナの農村におけるサッカー活動について、フィールドワークに基づき経験的に描くことを目標にしたものである。具体的には、サッカーを通じて形成された社会関係が、「約束金」というローカルな試合システムを通じて、スポーツの場のみならず、日々の職探しや食物の相互提供といった生活保障システムに組み入れられていくダイナミズムに焦点を当てた。<br>このことを明らかにする理由は二つある。一つは、スポーツのような文化的活動が生活どころか「生存」レベルの危機を抱えている社会において行われることは稀であり、また仮に行われることがあっても、それは生活の根源的諸問題とは位相を異にした単なる娯楽活動であるとする、これまでの第三世界スポーツ論に通底した認識を打破するためである。<br>もう一つは、従来第三世界のスポーツ活動を扱った研究が、スポーツの実践されている場のみを対象化したものであり、その場を構成する人々が同時に生活の諸問題を抱え、それに対処していく「存在」であることを等閑視してきたことにある。しかしながら本稿で実証データから明らかにしたのは、村のサッカー選手たちが、グラウンドでの「最高の気分」と「生活不安」の双方を携えて生きていることであり、スポーツの活動が生活の場と密接につながっているばかりか、むしろ大変重要な機能を備えているということである。<br>本稿では、こうした生活保障システムを支える、人々の「生活の論理」について、人類学者のJ. スコットと松田素二の議論を参照し、それをガーナの村落における若者達のサッカー活動から検討する。
著者
竹下 舜也 日比 千尋 坂本 多穗 黒川 洵子
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学会年会要旨集 第94回日本薬理学会年会 (ISSN:24354953)
巻号頁・発行日
pp.3-P2-25, 2021 (Released:2021-03-21)

Intensive care unit-acquired weakness (ICU-AW) is a sepsis-induced myopathy characterized by reductions in muscle force-generation, mass, and bioenergetics, leading to severe difficulties in breathing, swallowing, and exercise. Since males are more prone to sepsis and aromatase inhibitors worsen critical illness, we investigated the effect of 17β-estradiol (E2) on septic symptoms in skeletal muscle in an in vivo and in vitro. E2 treatment attenuated cecal ligation puncture (CLP)-induced loss of grip strength in ovariectomized (OVX) mice and preserve contractility of extensor digitorum longus muscle from OVX mice underwent CLP. E2 significantly attenuated lipopolysaccharide (LPS)-induced atrophy and induction of inflammatory cytokine mRNAs (TNFα and IL6) in mouse C2C12 myotubes. Furthermore, E2 significantly inhibited the LPS-induced increase of mtDNA, a driver of pro-inflammatory signals. Our results show that E2 attenuates inflammation through mitochondrial protection by inhibiting the increase in mtDNA, which also attenuates muscle weakness and atrophy. We anticipate that our results will lead to a more detailed mechanism analysis of attenuation of muscle weakness and atrophy by E2, as well as to elucidate gender differences in sepsis-induced ICU-AW.
著者
坂本 昌信 遠藤 竜哉 西浦 博 高木 徹
出版者
日本科学技術ジャーナリスト会議
雑誌
日本科学技術ジャーナリスト会議 会報
巻号頁・発行日
vol.2021, no.99, 2021

<p><b>科学ジャーナリスト賞2021受賞作品</b></p><p>●新聞連載「サクラエビ異変」<br />&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;静岡新聞社清水支局長 坂本 昌信、同社編集局文化生活部記者 遠藤 竜哉</p><p>●「理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!」<br />&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;京都大学大学院医学系研究科教授 西浦 博、作家 川端 裕人</p><p>●BS1スペシャル「デジタルハンター〜謎のネット調査集団を追う」<br />&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;日本放送協会(NHK)国際放送局チーフ・プロデューサー 高木 徹,<br />&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;NHKグローバルメディアサービス国際番組部ディレクター 高田 里佳子<br />&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;株式会社ウイング ディレクター 樋爪 かおり</p>
著者
吉岡 健 坂本 登 川口 浩二 永井 紀彦 仲井 圭二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_808-I_813, 2016 (Released:2016-08-30)
参考文献数
5

北九州市沖海域では現在,洋上風力発電設備の合理的な計画・設計に資することを目的とした実証研究が進められている.本稿では特に他海域(ナウファス各地点)との比較に主眼を置き,洋上風車の維持管理に重要となるアクセス性すなわち静穏度について,太平洋側と日本海側で季節によって大きな違いがあることを示す.続いて,支持構造物の耐波・耐風設計に重要となる両作用の同時生起性について,擾乱毎の有義波高と10分平均風速の相関係数を調べるとともに,両作用の簡易な組合せ方法を提案する.
著者
田中 深貴男 大力 圭太郎 中島 真結理 加藤 豪司 坂本 崇 佐野 元彦
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.117-123, 2018
被引用文献数
2

<p> ヘルペスウイルス性造血器壊死症に耐過したキンギョの産出仔の耐病性は向上することが知られ,すでに耐病性の品種東錦系統が作出されている。本研究では,この耐病性品種を利用した交配による新たな耐病性品種の作出とその耐病性形質の遺伝について検討した。耐病性東錦と黒出目金の交配で得られたF<sub>1</sub>は,原因ウイルスcyprinid herpesvirus 2の感染試験で耐病性を示したが,出目性が消失した。ウイルス感染による耐過F<sub>1</sub>同士の交配によるF<sub>2</sub>群から,さらに出目性の感染耐過F<sub>2</sub> 同士を交配させたF<sub>3</sub>で耐病性を有する黒出目金を得ることができた。感染耐過F<sub>1</sub>と黒出目金との戻し交配群も作出した。以上の交配群の感染死亡率から,本耐病性形質はメンデル性の優性遺伝パターンをとることが示唆された。</p>
著者
谷口 成広 劉 興〓 坂本 明雄 島本 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.1376-1379, 1993-09-25
被引用文献数
4

近年,研究が盛んになっている遺伝的アルゴリズムは,生物の進化のメカニズムである「自然淘汰」を模倣した探索アルゴリズムである.本論文では,LSIの内部配線であるチャネル配線問題を遺伝的アルゴリズムで解くための一つの接近法を提案し,実験結果を示す.
著者
山下 裕司 川崎 由明 坂本 一民
出版者
総合危機管理学会
雑誌
総合危機管理 (ISSN:24328731)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.71-75, 2018-03-11 (Released:2019-12-26)

界面活性剤は、化粧品を構成する化学物質の1 つであり、化粧品において主に洗浄、乳化、可溶化を目的に用いられる。化粧品のように不特定多数の人が長期間にわたって使用する場合、その安全性は製品に訴求される最も重要な要素である。現在、既定の試験法によって化粧品原料と製剤の安全性が評価され、用途に適した界面活性剤が利用されるが、微妙な有害作用や副次的な皮膚への影響など、従来の試験法では予知できない可能性がある。本稿では、軽微な皮膚ダメージの1 つとして角層細胞間脂質(SCL)構造の乱れに焦点を当て、電子スピン共鳴(ESR)法より得られたオーダーパラメーター(S)と皮膚刺激、および皮膚バリア機能との関係を説明する。
著者
尾田 十八 山崎 光悦 坂本 二郎 北山 哲士 酒井 忍 金井 亮 李 鵬 李 鵬
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,自然・生態系と調和した新しい材料,構造,機器,システム等の創生法を,生物に学ぶことによって確立することを目的としている.その方法は多様な生物の中で,特異性を有する生物にまず注目する.本研究では動物の例として繰返し衝撃負荷に耐える「キツツキ」を,植物の例としては,軽量であるが不燃性を示す「桐材」に注目した.そしてこれらの特性がどのようなメカニズムによって生じているのかを,主として力学的視点より明らかにした.これらの結果と,代表者らがすでに行って来ている竹や卵殻の構造・組織分析結果を含め,新しい構造設計および材料設計法の基本原理を提示した.
著者
坂本祐信著
出版者
かや書房
巻号頁・発行日
2012
著者
杣取 恵太 坂本 次郎 時田 椋子 鈴木 彩夏 国里 愛彦
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 心理学篇 (ISSN:21858276)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.41-58, 2016-03-15

Diagnostic tests specify whether a person has a specific disease or not and it extremely contribute decision-making of the intervention. Various types of diagnostic test are proposed and their methodological qualities have been improved. However, there are much inconsistent evidences in diagnostic test accuracy studies. We have become so difficulty of decision making in diagnostic test. Therefore, we believe that individual studies on diagnostic test accuracy should be synthesized for evidence based clinical psychology. In systematic reviews of diagnostic test accuracy, Cochrane collaboration is making up its guideline "Handbook for diagnostic test accuracy reviews". In the handbook, some key components of systematic reviews and meta-analysis in diagnostic test accuracy are explained, which contain the drawing up protocol, search strategy, assessing methodological quality, and meta-analysis. We review the key components of systematic reviews and meta-analysis according to "Handbook for diagnostic test accuracy reviews".
著者
坂本 謙司 森 麻美 中原 努 石井 邦雄
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.137, no.1, pp.22-26, 2011 (Released:2011-01-10)
参考文献数
84

網膜色素変性症は中途失明の3大原因の1つであり,本邦では緑内障,糖尿病網膜症に続いて中途失明原因の第3位を占めている.網膜色素変性症の原因は遺伝子の変異であり,常染色体劣性遺伝型を示すことが多い.網膜色素変性症の患者においては,網膜の視細胞および色素上皮細胞の広範な変性が認められ,自覚症状としては,初期には夜盲と視野狭窄が,症状が進行し40歳を過ぎた頃から社会的失明(矯正視力約0.1以下)に至る.しかし,本症の進行には個人差が大きく,中には生涯良好な視力を保つ患者も存在する.現在,人工網膜,網膜再生,遺伝子治療および視細胞保護治療などに関する研究が進められているが,本症の治療法は全く確立されていない.本総説では,代表的な網膜色素変性症の原因遺伝子と,それらに対応する動物モデルを概説し,さらにそれらの動物モデルを用いて得られた新たな治療法の開発の現状について紹介する.
著者
秋永 一枝 上野 和昭 坂本 清恵 田中 ゆかり 松永 修一
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

この研究は、秋永が行なった調査【東京旧市内(旧15区)を生育地とする話者の】録音資料をアーカイブ化し、汎く利用できる言語資料の作成も大きな目標の一つであった。劣化の危険性があった200本近い様々なメディアに記録された音声資料はすべてデジタル化しCD-ROMとハードディスクに保存を完了した。平成15(2003)年度には、アーカイブ化のテスト版をWeb形式で作成し国語学会において発表した。これは文字化資料の一部に付した「音声資料(アクセント、母音の無声化,訛音など)」「音響分析資料(音声波形・ピッチ曲線・スペクトログラム)」、「語義等解説資料」、「発音者生育地」が表示できるよう作成した。平成16(2004)年度は、(1)東京語音声の文字化(2)音韻情報・音声的情報の付加、(3)音声データの正規化とセグメントといった作業を中心に研究を進めた。(1)では、東京弁音声のデジタル化データを元に35名分の文字化を完成した。(2)では、秋永によるアクセントの聞き取り、無声化・ガ行鼻音化などの音声的特徴の情報記述を進めた。次に、これらの情報を(1)の文字化データに付加する作業を行なった。文節のセグメント・記号の付加作業が終了した後、HTML化、PDFファイル化を行なった。生育地が下町である話者を中心に12名分のデータ、約600ページ分の資料を完成させ、資料との音声リンクを行なった。平成17年度(最終年度)では文字化資料を中心とした報告書を作成。本資料はCD-ROMも同時に完成させ、公開可能な状態にすることができた。
著者
秋永 一枝 兼築 清恵(坂本 清恵) 佐藤 栄作 上野 和昭 鈴木 豊
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

1、以下の諸索引を作成、刊行してアクセント史資料データを増補した。(1)医心方 声点付和訓索引(秋永一枝・坂本清恵・佐藤栄作編2001.8)(2)日本書紀 人皇巻諸本 声点付語彙索引(鈴木豊編2003.3)(3)高松宮本・林羅山書入本和名類聚抄 声点付和訓索引(佐藤栄作編2000.12)(4)平家正節 声譜付語彙索引上・下(上野和昭編2000.12/2001.12)(5)金田一春彦調査京都アクセント転記本(楳垣実京都アクセント記入)(秋永一枝編2001.9)2、『池田要 京都・大阪アクセント資料 五十音順索引』(2000.3アクセント史資料研究会)のデータベースを利用して品詞別に整理し、近現代京都アクセントの諸資料と比較しながら検討した。その結果「池田要 京都・大阪アクセントの注記について-名詞3拍までを中心に-」(坂本清恵)、「複合名詞からみた池田アクセント」(佐藤栄作)、「『池田要 京都・大阪アクセント資料』所載の用言のアクセント」(上野和昭)、「東京アクセントとの比較」(秋永一枝)などの成果を得た。3、方言アクセントの調査研究は京都・東京(秋永)、伊吹島(佐藤)などで実施した。その成果は、『新明解日本語アクセント辞典』(秋永一枝編2001.3)をはじめ、秋永(2002)「東京語の発音とゆれ」・佐藤(2002)「アクセント型の許容からみる伊吹島アクセントの3式-伊吹島と観音寺の中学生の比較-」などの論文に報告された。4、伝統芸能とアクセント史との関係についても坂本(2001a)「胡麻章の機能-近松浄瑠璃譜本の場合」(2001b)「声の伝承-復曲時には何が伝承されるのか-」(2001c)「文字の呪性-仮名遣いという呪縛-」(2002a)「「語り」と「謡い」-義太夫節のアクセントから探る-」(2002b)「近代語の発音-謡曲伝承音との関係-」などの研究報告があった。