著者
小林 袈裟治
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.64-84,iii, 1967-09-30 (Released:2009-11-11)

This paper deals with a cotton manufacturing company in Manchester, New Hampshire, promoted by a group of entrepreneurs known as the “Boston Associates.” Started as a small establishment in the 1830's, this company had grown in the space of a century to one of the largest-scale and highest quality companies in the industry. But though the mills in Manchester were firmly established, the management of the company in Boston was totally unsuited to meeting the changing situation in the early 20th century. One of the causes of the company's bankruptcy in the 1930's was attributed to mismanagement by the executives.With an emphasis on the functions, respectively, of the company treasurer and of the local mill agent, this paper analyzes the relationship between decision-making and execution, and discusses some of the characteristics of business enterprises controlled by the so-called general entrepreneurs of 19th century America.
著者
小林 龍太郎 遠藤 雅人 吉崎 悟朗 竹内 俊郎
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.646-651, 2002-09-15
参考文献数
20
被引用文献数
3 12

本研究ではティラピアOreochromis niloticusの近赤外光に対する感受性の測定を試みるとともに,その系統差を明らかにするために,回転ドラム追従実験装置を用いた実験を行った。供試魚は異なる2系統各200尾で,照射光は可視光と波長限界700,750,780,800nmの5種類を用いた。その結果,全ての個体が可視光下および波長限界700nmの光で感受性を示した。しかし,波長限界800nmの光では全個体が感知不可能であった。感知できる最も長波長側の波長限界は1系統が750nmであったのに対し,もう一方の系統は780nmであり,同一種において系統差のあることが明らかとなった。
著者
安部 正真 橘 省吾 小林 桂 伊藤 元雄 渡邊 誠一郎
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.28-37, 2020-03-25 (Released:2020-05-22)

探査機「はやぶさ2」は小惑星リュウグウ表面での試料採取のための二回の着陸運用を成功させ,現在,地球帰還に向けて,飛行中である.2020年末に地球に届けられるリュウグウ試料は,地球帰還から6ヶ月の期間,JAXAキュレーション施設内に設置された専用のクリーンチャンバーの中で,地球大気にさらされず,窒素ガス中で初期記載される.その後,一部試料に対し,外部機関でのJAXA主導の高次キュレーションならびに「はやぶさ2」科学チームによる初期分析がおこなわれる.地球帰還から18ヶ月後には,それらの分析結果はカタログ化され,国際公募による分析に試料が配布される.本稿では,初期記載,高次キュレーション,初期分析に関し,それぞれの目的や実施内容,計画について示し,国際公募開始以前にJAXAならびに「はやぶさ2」プロジェクトが主導しておこなうリュウグウ試料分析の全体像を紹介する.
著者
谷岡 未樹 松永 佳世子 秋田 浩孝 片山 一朗 乾 重樹 石井 正光 小林 裕美 相場 節也 菊地 克子 石川 治 永井 弥生 照井 正 高柳 たかね 古江 増隆 吹譯 紀子 加藤 敦子 山﨑 貞男 宮地 良樹
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.170-182, 2011 (Released:2012-10-23)
参考文献数
8
被引用文献数
2

顔面に尋常性ざ瘡のある女性患者を対象に,低刺激性・低アレルギー性メーキャップ化粧品dプログラム®スムースアップファンデーション(パウダリー),スムースアップファンデーション(リキッド),スムースアップフェースパウダー(おしろい)の安全性を評価することを目的とする4週間の使用試験を実施した。解析対象例(85例)における副作用発現率はパウダリー2.1%,リキッド0%,おしろい0%で,副作用の症状は軽微であった。試験開始時と比較した終了時におけるざ瘡の炎症性皮疹(紅色丘疹,膿疱)および非炎症性皮疹(面皰)数は有意に減少した。Dermatology Life Quality Index を用いた生活の質の評価は「総合」「症状・感情」「レジャー」のスコアが有意に改善された。Visual Analogue Scal (VAS) による顔面の皮膚状態に関する満足度も有意に上昇した。以上の結果より,本試験試料の低刺激性・低アレルギー性メーキャップ化粧品は女性の尋常性ざ瘡患者が安全にかつざ瘡を悪化させることなく使用することができるだけでなく,生活の質を改善すると結論した。(皮膚の科学,10: 170-182, 2011)
著者
小林 衛
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.70, no.590, pp.201-207, 2005
参考文献数
29

This paper deals with churches of circular plan in Italy during 17th-18th Centuries, and, in particular, takes up several examples deriving from the Temple of Romulus, which was regarded as a model of church in 17th Century. Furthermore the investigation gives attention to the influence of Giovanni Battista Montano, and makes clear that Filippo Juvarra's work in the early 18th Century belongs to the same type. The purpose is to show the relationship between circular plan and curved facade in clerical architecture by clarifying mechanism of architectural composition. In short, circular plan together with curved facade is not only a model of the building itself, but also a motif in composition of large scale.
著者
仁科 浩二郎 小林 岩夫 山根 義宏 KOBAYASHI Iwao
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

本研究の目的は, 原子炉燃料臨界安全モニターの開発にあり, 昭和57〜59年度の3年間に引き続き, Cf-252利用の3検出器雑音法を実際的方法を目指して改善, 確立することである. この方法では, Cf内蔵の検出器1個と, 中性子検出器2個を体系周辺に配置し, これらの検出器出力の相互, または自己パワースペクトルを信号処理によって得る. これらの量から作った比(スペクトル比)を確率過程論によって体系の中性子増倍率に関係付ける.本研究3年間の主な成果を以下に列記する(1)上述のスペクトル比が, 見かけ上, 如何に検出器配置に依存するか予測する理論式を導き, 実験における検出器配置に対して指針を得た.(2)この式を, 原研のTCA装置で実験的に検証することを試み, 一部のデータで理論式と一致する傾向を得た.(3)モデル化円柱体系に対するモンテカルロ法シミュレーションコードを作成し, スペクトル比の検出器位置依存性に関し, 上記(1)の理論式の妥当性を明らかにした.(4)同じモンテカルロ法コードにより, Cf中性子源強度に対する, スペクトル比の依存性を調べ, この依存性が少いという結論を得た.(5)相互干渉系(2コニツト体系)への本方法の適用を考え, 2点炉近似に基ずく理論式の導出を行った.(6)遅発中性子がスペクトル比に及ぼす効果を定量的に調べ, 10Hz以上の周波数域では, この効果は考慮する必要がないと結論できた.今後は, a.上記(2)の実験の続行, b.再処理燃料中に必ず存在するプルトニウムの核分裂が, 結果に及ぼす影響の検討, c.測定統計改善のための検出器改善, d.同じく統計改善のためのCf以外の外部中性子源使用の効用検討 などの課題がある.
著者
小柳 裕子 小林 真之
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

プロポフォール誘発性アルファ周波数帯の発生に対する視床-皮質中継ニューロンの寄与を検討した。実験には4週齢のVGAT-Venusラットを用い,イソフルラン吸入麻酔下で側頭部を開頭(直径約1 mm)し,視床後内側腹側核小細胞部(VPMpc)へ到達するためのマイクロシリンジ刺入位置を検討した。インク注入後イソフルラン5%吸入下で断頭し,脳を取り出したのち,マイクロスライサーを用いて急性脳スライス標本を作製し,インク注入部位の確認を行った。その結果,オス・メスともbregmaより-3.6 mm,側方1.1 mm,深さ6.4 mmの位置で5 μL注入した場合にVPMpcに局所注入を行えることが分かった。次に,同様の方法を用いてマイクロシリンジにてpAAV5.CAG.hChR2(H134R)-mCherry.WPRE.SV40をVPMpcに局所注入し,約4週間の回復期間ののち,島皮質を含む急性脳スライス標本を作製し,蛍光観察下で島皮質におけるVPMpcからのニューロン投射を確認した。その結果,島皮質のうち顆粒層から不全顆粒層にかけて,II/III層深部を中心にVPMpcからの投射があることがわかった。さらに,島皮質ニューロンの発火応答に対する視床―皮質入力の影響を検討するため,島皮質錐体細胞からホールセル記録を行い,光刺激によってChR2発現ニューロンのみを特異的に発火させた際の錐体細胞の発火応答を検討した。その結果,錐体細胞はChR2発現VPMpcニューロンからの興奮性入力を強く受けており,VPMpcニューロンの発火に呼応して錐体細胞から活動電位または興奮性シナプス後電位が記録されることが分かった。プロポフォール(10 μM)灌流投与により,光刺激によるVPMpcニューロン活性化に同期した島皮質錐体細胞の律動応答は,仮説に反して変化を示さなかった。
著者
小林 良生
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.240-242, 1988-06-20 (Released:2017-07-13)

和紙と墨は1000年以上の風雪に耐えた記録材料である。実用性からみれば, 近年では冠婚葬祭など特別の行事にしか使用しなくなったが, 芸術のジャンルでは書に活かされている。紙を構成しているセルロースは陸上の植物を鉄筋コンクリートに例えれば鉄筋に相当し, リグニンはコンクリートに当たる。セルロースの中でも最も強靱な靱皮(じんび)繊維を美しく配列して作った紙が和紙である。"どこの国を振り返ってみたとて, こんな味わいの紙には会えない"とは柳宗悦の言葉であるが, この和紙以上の紙は活発な研究開発が行われている新素材を駆使してもできていない。一方, 墨の主要成分である炭素もまた最先端を行く新素材の一つである。白と黒のコントラストのきいたこの二つの記録材料が, なぜ今なおみずみずしい新しさを持ち続けているのか本稿で考えてみよう。
著者
小林 義典
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.104-108, 2021 (Released:2021-02-01)
参考文献数
25

従来、麻黄の活性本体はエフェドリンであり、他の化合物の寄与は少ないと考えられてきた。しかし、動物実験での経口投与における鎮痛作用や抗炎症作用には高分子縮合型タンニン(EMCT)の寄与が大きいことが明かとなった。このEMCTを含有するエフェドリンアルカロイド除去麻黄エキス(EFE)は古典的な薬能を有し、エフェドリンによる副作用やうっかりドーピングの心配がない安全な麻黄製剤の原料として有望である。
著者
中村 真紀 坂田 裕介 小林 秀行 加藤 憲 山上 潤一 米本 倉基
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.106-115, 2021-01-25 (Released:2021-01-26)
参考文献数
7

臨床検査部門のトップマネージャーが,どのような管理職行動をすれば,部下の職務満足度を向上させるかについての科学的な研究はこれまでなされておらず,その手段は他職種のプログラムに依存しているところが大きい。そこで本研究は現場の臨床検査技師長など部門のトップマネージャーの行動が部下の職場満足度に与える影響や,部下が求める優れた管理職行動の特性を科学的に明らかにすることでこれからのマネジメント教育の指標を得ることを目的とした。方法は難波らの先行研究を引用し,管理職行動24項目,職務満足度26項目,性別等の属性を含む計69項目を150名の臨床検査技師を対象にWEBで調査を行い,得られた回答から管理職行動と職務満足度のデータを得点化し分析を行った。その結果,トップマネージャーの管理職行動が部下の職務満足度に与える影響は極めて大きく,臨床検査技師におけるトップマネージャーへのマネジメント教育の必要性が確認できた。また,管理職行動には「キャリア重視」と「働きやすさ重視」の2つの重要な役割行動があり,そのどちらかが欠けると部下の職務不満足は改善されないことが示唆された。とりわけ,トップマネージャーにおいては,性差を問わず若年層が働きやすい職場環境の充実と,役職者に対して職場の良好な人間関係構築のための配慮を同時に遂行することが重要であり,この両者からの期待役割に対してバランスよく応えられるマネジメント教育が必要と考えられる。