著者
長谷川 大 南須原 康行 真木 健裕 三浦 巧 別役 智子 檜澤 伸之 西村 正治 小野塚 久夫 筒井 裕之
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.7, pp.1362-1364, 2006-07-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
7
被引用文献数
2

症例は70歳男性. 発作性心房細動に対し, コハク酸シベンゾリン (シベノール®) の服用を開始したところ, 15日目ごろより労作時呼吸困難を自覚し, 25日目に胸部異常陰影を指摘された. 抗生剤投与にて改善がみられないため, 我々はコハク酸シベンゾリンによる薬剤性肺炎も疑い, 同剤を中止した上でステロイド治療を施行した. 肺炎の改善を認めたが発作性心房細動が再発したため, 慎重な観察の下同剤を再開したところ肺炎の再増悪を認めた. 以上よりコハク酸シベンゾリンによる薬剤性肺炎と診断した.
著者
小野 克彦
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

我々は、有機π電子系にホウ素キレートを導入すると分極構造が誘起され電子受容性が発現することを見出した。本研究では、このコンセプトを用いて高性能なn型有機半導体の開発を目指した。分極構造によって発生する正電荷は電子受容性の発現には必要であるが、正電荷間で生じる静電反発によりπ電子系が不安定になる。これを本研究の解決すべき課題と考え、ビチオフェン誘導体の改良を行った。πスペーサとして二重結合や三重結合を導入し、正電荷間で生じる静電反発の減少を調査した。加水分解反応の速度論解析と電気化学測定から、二重結合をもつ分子で静電反発の大幅な減少が確認された。
著者
小野 良子
出版者
桃山学院大学
雑誌
英米評論 (ISSN:09170200)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.57-71, 2000-12-20

The female figures in Shakespeare's comedies, such as Rosalind in As You Like It and Viola in Twelfth Night, are traditionally portrayed as healthily asexual heroines by women actors on the modern stage or screen. The disguised heroine as witty, eloquent, and beautiful boy who is erotically alluring to another female figure in the play reveals in the final act the female body in the female clothes to celebrate her own marriage to a male superior. The cross-dressing of the female figure is simply taken for granted as a theatrical convention and never raises sociopolitical issues concerning sexuality and gender among the modern audience. However, for the critical reader of Shakespeare's plays transvestism and 'the body beneath' of the female figures are of much consequence in speculating on the representation and its reinterpretation of the Elizabethan stage. Every Shakespeare student knows that there were no professional women actors on the English stage before 1660, and that the female roles had been played by young male actors. The taking of female parts by boy actors should not be dismissed as the convention. Indeed, this fact has raised crucial issues of postmodern cultural criticism among Shakespearean readers. From the recent critical point of view, identity, either gendered or sexed, has been seen as a historical production. The human subject is considered the ideological product of the relations of power in the Elizabethan patriarchal society. The theatre then becomes an agent of the absolutist state, reproducing the state's strategies and celebrating and confirming its power. The purpose for my essay is to examine the process by which power is produced and legitimated on the Shakespearean stage and to lead to the argument which explores possibilities of reinterpretation and its cultural production of Shakespeare's comedies on the modern Japanese stage. This paper traces the contemporary anti-theatrical campaign and its discourse which condemned the closs-dressing of the boy actor as the threat to the male identity and hierarchical society itself; and then speculates upon the relation between the boy actor and the woman he plays-the imaginedbody of a woman, a staged body of a boy actor-and how clothes embodied and determined a particular sexual identity and contradictory fantasies of the body beneath.
著者
小野山 敬一
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.173-178, 1987-06-30

北海道大雪山系然別地域の東と西ヌプカウシヌプリ山において1979年5月,6月,7月,9月と1981年9月に各々標高900〜1250mと720〜1210mの間で捕殺わなと一部シャーマン型トラップ(900-910m)によって小哺乳類を採集し,垂直分布を調べた。3科4属7種が捕獲された。エゾトガリネズミとオオアシトガリネズミは標高900m付近で殆どが得られた。ミカドネズミは720〜1020m,ヒメネズミは780mから山頂,エゾアカネズミは720mから山頂のあいだで捕獲され,カラフトアカネズミは東ヌプカウシヌプリ山頂付近(1230m)で1個体だけ得られた。両山の900m付近ではエゾシマリスが捕獲された。ミカドネズミとエゾアカネズミが800mから900mで多かった。エゾヤチネズミは捕獲されず,その理由としてミカドネズミとの種間関係が示唆された。ナキウサギは870mから1250mの間で姿や鳴き声により確認された。

1 0 0 0 家康史料集

著者
小野信二校注
出版者
人物往来社
巻号頁・発行日
1965
著者
小島 崇嗣 谷内 昇一郎 青木 孝夫 小野 厚 蓮井 正史 高屋 淳二 小林 陽之助
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.184-192, 2004-06-01 (Released:2010-08-05)
参考文献数
7

アレルギー疾患合併小児162例 (A群) (男/女: 92/70) とアレルギー疾患非合併小児47例 (B群) (男/女: 25/22) を対象としてインフルエンザワクチンの副反応を検討すると同時に, フマル酸ケトチフェンによる予防内服の有用性を調べた. A群のうち即時型の卵アレルギーを有する症例は15例であった. A群の79例とB群の15例 (計94例) ではワクチンの100倍希釈液で皮内テストを施行した. また, 全209例中44例でフマル酸ケトチフェンの予防内服を施行しその有効性を検討した. その結果, 皮内テスト施行例のうち皮膚スコア2 (発赤径20-39mm) を示した症例は, A群24% (卵アレルギー群での検討では13%), B群20%と差を認めなかった. しかし, 両群とも約10%に皮内テストから予測できない強い即時型局所反応がワクチン接種部位に認められた. 遅発型局所反応は209例中24例 (11%) に認められ, A群18例 (11%), B群6例 (11%) であった. 即時型局所反応ろコアとワクチン接種回数との関係では, 即時型局所反応スコアが2以上を示した割合はそれぞれ, 初年度例の6%, 2年度例の23%, 3年度例の26%, 4年以上例の42%であり, 複数回接種により接種部位の即時型局所反応が出やすくなることが判明した. また, 遅延型局所反応でも同様の関係が認められた. フマル酸ケトチフェンによる予防内服の効果に関しては, 即時型局所反応, 遅延型局所反応ともに有効性が認められた.
著者
平井 松午 溝口 常俊 出田 和久 南出 眞助 小野寺 淳 立岡 裕士 礒永 和貴 鳴海 邦匡 田中 耕市 渡辺 誠 水田 義一 野積 正吉 渡辺 理絵 塚本 章宏 安里 進
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、各地に所蔵される近世後期に作成された実測図もしくは実測図系絵図の作成法とその記載内容・精度の比較検討を行い、その上で近世実測図を用いたGIS 解析法の確立を目指したものである。その結果、徳島藩・金沢藩・鳥取藩では藩領全域をカバーする測量図がそれぞれ独自の手法によって作成されていたこと,また近世後期の城下絵図についても測量精度が向上して,これらの測量絵図が GIS 分析に適した古地図であると判断した。
著者
小野寺 敦子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.474-483, 2013

本研究の目的は,家族とりわけ親子関係の基礎的研究と実践活動とのインターフェース(相互の連携)について検討することであった。まず,発達心理学の先駆的研究であるLevyの「過保護」の概念とSymondsの母親の養育態度の研究が,アメリカ社会のどのようなニーズから着想されたかを記述した。次にBowlbyの愛着理論とAinsworthのSSPが,「IWMの研究」「Dタイプの研究」「情動応答性の研究」「父子間の愛着研究」という4方向に分化・発展し,今日の臨床場面での実践活動とどのようなインターフェースな関係にあるかを概観した。さらに筆者のこれまでに行った基礎的研究と実践活動とのインターフェースの事例を示した。例えば,父娘研究や親意識の形成過程に関する縦断的研究の成果を育児や教育の雑誌を媒介として子育てに悩む親に伝え,特別支援教育巡回指導の中で保護者や先生方への支援活動で活用していることについて述べた。また,日本社会の高齢化にともない,親子である期間が伸長してきているため,両者の関係性の変化や葛藤を扱った新しい研究の必要性について言及した。今後,研究者は自らの着想のもとにオリジナリティある研究をし,その研究成果を平易な表現と的確な媒体(例:雑誌・書籍・講演・インターネット)を使って実践現場に積極的に伝達し,一方で現場の実践者たちは新しい研究知見を自ら学び吸収しようとする姿勢をもつことにより相互のインターフェースな関係は強固なものになるはずである。
著者
小野寺 康仁
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

これまでの研究から、糖代謝の制御はシグナル経路の制御と深く関与しており、組織構造の形成および維持に多大な影響を与えることが明らかとなった。本研究では、異なる細胞間の代謝協調が細胞-細胞間、細胞-微小環境間の相互作用を調節し、細胞の振る舞いを規定すると仮定して、そのメカニズムを明らかにするための新たな解析系の確立を試みた。第一に、異なる細胞から乳腺組織のような二層構造を得る方法の確立を試みた。第二に、特定の細胞のみに、標識したグルコース(13Cグルコースなど)を取り込ませることのできる新たなシステムを確立した。これらを用いて乳腺組織における筋上皮および管腔上皮間の代謝協調の解析を進めている。
著者
仁木 宏 中井 均 本多 博之 山村 亜希 秋山 伸隆 津野 倫明 堀 新 玉井 哲雄 小野 正敏 坂井 秀弥 大澤 研一
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-10-21

研究集会を合計13回開催した。各集会では、レジメ集冊子を刊行し、現地見学会を催した。毎回、10名前後の報告者に登壇いただき、それぞれの地域の特徴、全国的な視野からする最新の研究発表などがなされた。研究代表者、研究分担者だけでなく、多くの研究者の学問的な相互交流が実現し、比較研究の実をあげることができた。16世紀から17世紀初頭の城下町には地域ごとの違いが大きいことが明らかになった。先行する港町・宿、宗教都市のあり方、大名権力の性格、地形、流通・経済の発展度合いなどが城下町の空間構造や社会構造を規定した。いわゆる「豊臣大名マニュアル」の限界性にも注目することが必要である。
著者
小野 絵里華
出版者
東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻
雑誌
言語情報科学 (ISSN:13478931)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.233-249, 2010-03-01

本稿では、「第三の新人」作家、安岡章太郎(1920-)の文壇デビュー作「ガラスの靴」(1951年)の作品分析をおこなう。「第三の新人」という呼称が、先の「戦後派」たちの作家に比べ、難解さ・思想性・政治性がないということをさして使われたように、通常、本作品は、占領下という時代状況にも関わらず、私的世界が描かれた、どこか童話的な透明な物語として読まれてきた。しかし、本稿の分析で分かるように、そこには、確固とした、敗戦という現実へのまなざしがあるのであり、主人公は、新しいアメリカという<権威>=「第二の父」のもとで、敗戦国民という屈辱感を全面的に抱いていることが分かる。そこには、江藤淳が1970年の論考で、対米依存型の日本社会を「「ごっこ」の世界」として捉えた事態が、まさに<私>のレベルで演じられているといえる。
著者
水田 昌孝 熊野 雅仁 小野 景子 木村 昌弘
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.10, pp.1-6, 2010-12-09

我々は以前に,文書ストリームからバースト潜在トピック抽出する t-LDA 法を提案した.t-LDA 法は,潜在トピックを抽出するために文書生成確率モデル LDA (Latent Dirichlet Allocation) を用い,バーストトピックを同定するために時間フィルタを導入している.そして,LDA と時間フィルタに基づいて,時間情報を持つ 2 つの文書間の類似度を構築し,階層的クラスタリング法を適用することで文書ストリームからバースト潜在トピックを抽出している.本稿では,人工データを用いた実験により t-LDA 法の定量的な有効性を検証し,オンラインニュースデータを用いた実験により t-LDA 法の有効性を実証する.We previously proposed the t-LDA method that extracts bursty latent topics from a documet stream. The method utilizes Latent Dirichlet Allocation (LDA), which is a probabilistic generative model of documents, for extracting latent topics, and introduce a time-filter for identifying bursty topics. It constructs a measure of similarity between two documents with time-stamps on the basis of LDA and the time-filter, and extract bursty latent topics from a document stream by applying a hierarchical agglomerative clustering method. In this paper, we quantitatively verify its effectiveness by using synthetic data, and demonstrate its effectiveness by using real online news data.
著者
関 剛斎 小野 新平 好田 誠
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、ユビキタス元素である炭素をベースとする有機半導体単結晶を用いたスピントロニクスデバイスの開発を目指し、マイクロスピンポンピングという微小磁性体の磁化ダイナミクスを利用する手法により有機半導体および非磁性金属におけるスピンの注入、輸送および検出を試みた。その結果、微小強磁性電極の磁化ダイナミクスを制御できる素子構造の最適化に成功し、マイクロスピンポンピングによるCu細線へのスピン注入、およびCuにPtを接合させることによるスピンの蓄積量の変化を観測した。さらに、有機半導体単結晶であるルブレンと磁性電極の複合化し、ゲート電圧印加下での強磁性共鳴の評価に成功した。
著者
神保 りか 吉岡 篤史 高橋 有香 小野 圭一 足立 洋祐 小島 茂 武田 雄一 野内 俊彦 清水 誠一郎
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.102, no.8, pp.1051-1054, 2005 (Released:2005-08-05)
参考文献数
10

最近12カ月間にトラニラストが原因と考えられた重症肝障害の5症例を経験した.トラニラスト内服開始後,平均34日目に黄疸を認めて入院となり,内服中止後平均37日で肝機能の正常化を認めた.薬物リンパ球刺激試験は3例に施行したがいずれも陰性で,薬物性肝障害の診断には国際コンセンサス会議の診断基準が有用であった.トラニラストによる肝障害はまれではなく,内服中は定期的に肝機能を検査する必要がある.