著者
山崎 裕康 桑田 一弘 宮本 弘子
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.317-321, 1978-06-05
被引用文献数
6 9

大量の大気を吸引できるポリウレタンフォームプラグ(PUFP)法を,ガラスファイバーフィルター(GF)を通過する環境大気中の多環芳香族炭化水素(PAH)の捕集に応用した.ハイボリュームエアーサンプラーにGF(20.3×25.4cm)と2個のPUFP(直径10cm × 5cm)を取り付けた.大気を(0.75〜0.8)m^3/min.24時間吸引し,GFとPUFP上に抽集されたPAHを水素炎イオン化検出器(FID)付きガスクロマトグラフで定量した.本方法の回収率はフェナントレンでフ9.2%,フェナントレン以外のPAHで90%以上であった.4環より少ない環を持つPAHはGFでは完全には捕集できず,これらのPAHを捕集するにはGFの後ろにPUFPを取り付ける必要がある.
著者
沖野 晃一 冨田 裕人 橋本 浩二 山崎 雅也 大澤 拓 白川 暁 吉井 卓 岩下 茂信 宮嶋 浩志 村上 和彰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.80, pp.167-172, 1996-08-27
被引用文献数
5

本稿は,九州大学で現在開発中のPPRAM^R_<mf>仕様に基づく最初の試作LSIであるPPRAM^R_<mf>256?4のハードウエア構成について述べている.計画では,0.25μm CMOS,2層金属配線を用いて,"256"Mビット(2Mバイト)DRAMと"4"個の汎用プロセッサを1チップに搭載する.各プロセッサのロジック規模は50万トランジスタ程度で,24Kバイト・キャッシュを装備.プロセッサ当たりのローカル・メモリ容量は8Mバイトとなる.1998年度中の完成を目指している.This paper describes the hardware organization of the first prototype LSI chip based on the PPRAM^R_<mf> architecture, or PPRAM^R_<mf>256-4, which is now under development at Kyushu University. The PPRAM^R_<mf>256-4 will integrate 256Mb DRAM and four processors into a single chip with a 0.25μm CMOS technology. Each PE (Processing Element) will consist of a simple RISC processor of 500KTr, 24Kbyte cache memory, and 8Mb local DRAM memory. The development will complete by March, 1999.
著者
中尾 方人 一文字 里紗 山崎 裕 石橋 庸子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.70, no.598, pp.109-116, 2005
被引用文献数
7 9

This study is to clarify the shear resisting mechanism and establish a shear strength evaluation method for mud-plastered walls through shear loading tests of mud-plastered wall specimens. Since two failure modes were observed throughout the tests, two shear resisting mechanisms were established. Therefore, the minimum value among the strengths corresponding to these two mechanisms was taken as the shear strength of the mud-plastered wall. Taking into account the compressive and tensile strength of mud, the evaluation method based on the shear resisting mechanisms for mud-plastered walls provided a good estimation of the shear strength.
著者
山崎 柄根
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.45, pp.45-49, 1991-12-25

1989年,国立科学博物館(東京)によって行われた台湾高山帯の動物相調査の際,従来知られたモリバッタTraulia ornataの亜種とは異なる1型を,中部の能高越えルートにおける2,000m以上の地点および南部の藤枝および鶏南山の1,550m以上の地点から得た.これまで低地から知られていたタイワンモリバッタ(モリバッタ基亜種)T.o.onataとはとくに脛節の色彩によって明瞭に区別され,また体長も安定性があるので,新亜種T.o.chuiとして記載した.本亜種は,その分布の状況から,おそらく低地の基亜種から直接に分化したものではなく,共通の祖先集団が前後2度にわたって中国大陸から台湾へ侵入し,最初に入った集団が高地型chuiとして進化を遂げ,後に入ったものが低地型ornataになったものと考えられる.
著者
斎藤 芳隆 江澤 元 釜江 常好 窪 秀利 鈴木 清詞 関本 裕太郎 高橋 忠幸 田中 光明 平山 昌治 松崎 恵一 矢島 信之 山上 隆正 秋山 弘光 郡司 修一 田村 忠久 能町 正治 宮崎 聡 村上 浩之 森 国城 山崎 典子 EDBERG Tim
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.71-88, 1995-03

硬X線/γ線検出器Welcome-1 (mk2)の気球実験における方位角制御のために, リアクションホイールとよじれ戻しモーターを用いた制御方法による方位角制御システムを構築した。制御に用いた部品のパラメーターの評価, 地上, および上空でのパフォーマンスについて報告する。
著者
山崎 慎太郎 日向野 純也 渡部 俊広
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.368-373, 2002-05-15
被引用文献数
1 2

貝桁網で漁獲された二枚貝にみられる足部の欠損(舌食い)の発生を低減するため,チョウセンハマグリの舌食いの発生機構について検討した。舌食いの発生率は水温の高い時期に高く水温の低い時期に低くなり,曳網速力の増大と共に高くなった。行動観察から,舌食いは貝が足部を伸張した状態で貝桁網の爪と砂に殼を圧迫されて発生すると考えた。潜砂している貝を引き上げてから底質へ潜入を開始するまでの時間は水温の高い方が短かく,潜砂深度は水温の高い方が大きかった。水温の高い時期には潜砂深度の増大と活発な潜砂行動により舌食いの発生率が高くなると考えた。舌食いの発生を抑えるには,曳網速力の低減が最も有効な方法である。
著者
山崎 聡 中村 直人 宮寺 庸造 横山 節雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.2364-2372, 2004-10-15

近年,ネットワークを介して制御可能なリモートカメラを用いたインタラクティブなビデオ会議システムが開発されている.このようなシステムにおいて,カメラを操作する参加者が「どこを」「どれぐらい」「なぜ」見たかという視覚的な行動を分析することは,その機能や配置方法を発展させるために有効な手段である.現在,このような分析にはプロトコル分析法に代表される観察的な行動分析手法が一般的に用いられている.しかしながら,これらの手法では,参加者の行動モデルを構築するために記録メディアの中から特徴的な行動を抽出し,その回数や時間を計測・集計する必要があり,分析者にとって大きな負担となっている.そこで本論文では,リモートカメラを利用したビデオ会議システムにおいて参加者がカメラを通して得た映像とカメラの状態の組合せは,参加者の視野と本質的に同一であることを利用し,従来の観察的な行動分析手法に代わる新しい分析手法を提案する.具体的には,カメラの実映像に対してパン,チルト,ズーム率をメタデータとして記録し,分析時にその情報を活用することで参加者行動分析を支援する"Visual Field Record System" を開発する.最後に,開発したシステムを遠隔教育実習指導により評価した.その結果,学生のノートにズームを行うような参加者の特徴的な行動を,従来の手法に比べて円滑に抽出し定量的に計測・集計できた.Recently, interactive video teleconference systems using a camera enabled to control through a computer network are developed. To advance the systems, it is important to analyze what a participant is viewing in a distance place on the system; when, what, how long and why. However, much time is necessary for the analysis with behavior analysis methods generally used. Therefore, the purpose of this paper is to propose and develop a support system for a participant's behavior analysis in the interactive video teleconference. Firstly, observative participant's behavior analysis process and its subject are discussed. After that, the author proposes "Visual Field Record" newly behavior analysis method base on a relationship between remote camera's visual field and participant's its. Secondly, "Visual Field Record System" implements above newly method is designed and developed. It is described that this system composed by two sub-systems: the Record System and the Analyze Support System. Finally, these systems are evaluated by adapting to distance pre-service teacher training. As a result, it became clear that an effective participant's behavior analysis was provided by the Visual Field Record System.
著者
中根 周歩 山崎 裕実 根平 邦人 福岡 義隆
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.111-118, 1988-03-01
被引用文献数
3

最近2年以内に山火事が発生した, 広島県芸南地方の宮島等の5カ所で, 1986年4〜11月に, 焼止まり線(山火事の延焼が止まつている部分)の植生およびその構造を各層(I〜IV層)の植生とその被度(5段階)によってタイプ分けし, 全焼止まり線と地表火跡地の林分を類別化した。また, 焼止まり線の地形を調べるとともに, 出火時の気象も考察した。山火事の発生しやすい気象条件として実効湿度とともに土壌含水率を目安とするとよいことがわかった。一方, 全焼止まり線のうち, 85%が森林で, 残りの15%が川, 道路や農耕地であった。焼止まり線になっている林分の98%はシダ(コシダやウラジロ)の植被率(C_S)は25%以下, さらに同林分の94%はI〜III層の被度の合計(C_H)に占めるアカマツ・スギの被度の割合が30%以下であった。また, 地表火跡地でもC_Sが25%以下であったが, A_O層中のアカマツ葉の割合が高く, そのため地表を火が走ったものと思われた。地形的には焼止まり線は谷部が最も多い(56%)が, 尾根や斜面上部(合計24%)でも見られた。さらには, 焼止まり線はこれらどの地形でも常緑広葉樹が優先する林分の頻度が高かった。
著者
園田 麻利子 小西 早智 谷口 早耶加 山崎 里鶴
出版者
鹿児島純心女子大学
雑誌
鹿児島純心女子大学看護栄養学部紀要 (ISSN:13421468)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.82-94, 2008

1.入院の動機は,最期をゆったり過ごしたい,自分で決めた治療方針を貫きたい,家族に迷惑をかけたくないことであった。2.ホスピス入院中の思いは,時間的経過の流れの中でみたとき,3名が共通であり,病気の進行に伴って「病気発症と積極的治療」「治療効果が得られず揺れ動く」「ホスピスへの入院を決定」「ホスピスでの満足した生活」という4段階のプロセスがあった。それは,治療への期待,疾病の悪化に伴い揺らぐ自分,そしてホスピスを選択し今満足しているという思いであった。3.納得のいく治療への模索,自己選択した治療の遂行,ホスピスへの入院について自己の価値観に基づいて自己決定したことが,現在のホスピスでの満足した思いにつながっていた。4.3名とも,がん治療の経過で納得できない医療・体制について不満・不安を表出した。それは,患者中心の医療を望んでいるが現実にはできておらず,その人らしく生きることへの医療者の支援への願望であった。
著者
倉掛 正弘 山崎 勝之
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.384-394, 2006-09-30

うつ病予防の重要性が指摘され,欧米では早くから心理学を基盤とする児童期,青年期を対象としたうつ病予防介入が実施され,大きな成果を上げてきた。日本においては,うつ病の低年齢化が指摘されているにもかかわらず,現在,児童を対象としたうつ病予防介入は全く行われていない。このような現状をふまえ,本研究では,心理学的理論にもとづく教育現場で実施可能な小学校クラス集団を対象とするうつ病予防教育プログラムの構築,実践,その教育効果及び効果の持続性の検討を行うことを目的とした。プログラムは,うつ病の構成要因とされる認知・感情・行動の3つの要因に対し,総合的に介入を行い,抑うつ傾向を改善することで,うつ病予防を目指している。さらにこのプログラムを実際の小学校教育現場において実践し,その教育効果と効果の持続性について検討を行った。その結果,教育効果とその効果の持続性が部分的に確認され,本プログラムが,うつ病予防総合プログラムとして有効であることが示唆される結果が得られた。
著者
勝間 理沙 山崎 勝之
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.47-55, 2007-09-20
被引用文献数
1

本研究では,攻撃性について,反応的表出性攻撃,反応的不表出性攻撃および道具的関係性攻撃の3分類を用い,児童における3タイプの攻撃性から正負感情への影響を検証した。小学校4年生〜6年生718名を対象に,日本語版児童用正負感情尺度とP-R攻撃性質問紙を行った。その結果,不表出性攻撃の高い児童は低攻撃児よりも高いネガティブ感情を示したが,表出性攻撃児および関係性攻撃児においてはネガティブ感情との関係は見られなかった。この結果は,先行研究を支持するものであり,不表出性攻撃児の問題性をさらに強調し,将来の抑うつ対するネガティブ感情によるスクリーニングの可能性が論議された。