著者
河島 達郎 山本 俊夫 甲田 善生
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.T10-T15, 1982-01-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

海洋生物試料の乾式灰化に伴う揮発損失を,放射化分析法を用い34元素について検討した.試料には褐藻類のアラメ及びヨレモク,顕花植物のアマモ,海産魚のニボシ,被子植物のハマユウの葉を用いた.これらの乾燥試料は凍結粉砕装置で粉末にした.低温灰化は100℃で,高温灰化は500℃で行った.乾燥試料と灰化試料は同時に原子炉の熱中性子によって放射化分析し,それぞれの元素の回収率を求めた.その結果,高温灰化による損失の大きい元素は,塩素,ヒ素,セレン,臭素,ヨウ素,金及び水銀などであった.又低温灰化はヒ素とセレンの損失を減少させるのに著しく有効であった.この中でハロゲンの揮発損失は,試料の種別によりかなり異なり,一律の損失は示さなかった.
著者
野田 尚志 渡辺 剛史 田中 雅彦 山本 一徹 田中 聡 権藤 学司
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.69-72, 2018 (Released:2018-06-20)
参考文献数
14

A 55-year-old woman felt a left shoulder pain and then left upper weakness 3 days after the pain onset. The patient was introduced to our department because of suspected cervical spondylosis. Muscle weakness was detected in her left deltoid, biceps brachii, and radial flexor carpi muscles. Cervical magnetic resonance imaging demonstrated a significantly expanded left vertebral artery in the C4/5, C5/6, and C6/7 intervertebral foramina. A septum was found inside the dilated vertebral artery, and true and false lumens were confirmed. The septum, expanded false lumen, and shrunk true lumen were also observed on contrast-enhanced computed tomographic (CT) angiography. The nerve root compression symptoms were thought to be caused by the dissection of the left vertebral artery. The symptoms were spontaneously improved after 6 months. The false lumen was markedly reduced on contrast-enhanced CT. We report a case of extracranial vertebral artery dissection presenting with radiculopathy, along with a literature review.
著者
中根 周歩 坪田 博行 山本 真
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.417-426, 1987-11-25
被引用文献数
3

広島県・府中町の花崗岩土壤を立地とするアカマツ林における, 伐採前後の土壤炭素の循環調査で得られたデータおよび伐採後のアカマツ林再生に関するデータに基づき, 伐採から森林再生に至る土壤炭素の循環動態を日平均気温および日降水量からシミュレートする数理モデルを構成した。このモデルによれぱ, A_0層量は伐採後10年で最小となりその後回復し, 約30〜40年で伐採以前の値にもどる。一方, 鉱質土層の腐植量は伐採直後の数年間, 枯死根からの腐植の供給によってやや増大するがその後30〜40年間減少を続ける。そのため, 伐採以前の値にほぽ回復するのに伐採後80年近く要すると思われた。土壤炭素のフローについては, A_0層の呼吸速度はA_0層量の, 鉱質土層中の腐植の分解速度はその腐植の蓄積量の変動バターンにそれぞれ類似した。一方, 全土壤呼吸は伐採後, 根の枯死による呼吸停止によって激減するが, その後の土壤有機物量の減少から増大, また根の呼吸の再生に伴って回復した。
著者
勝谷 紀子 岡 隆 坂本 真士 朝川 明男 山本 真菜
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.107-115, 2011-03-31 (Released:2017-05-01)
被引用文献数
1

本研究は,日本の大学生が「うつ」に対してどのような素朴な概念(しろうと理論)をもっているかについて,自由記述データに対するテキストマイニングおよびKJ法で検討した.首都圏の313名の大学生が調査に回答した.「うつ」という主語を用いて,文章完成法による自由記述を求めた.305名分の自由記述の内容について3名の評定者によるKJ法を用いた内容整理,および形態素レベルに分割してテキストマイニングを用いた内容分析をおこなった.その結果,うつの一般的な特徴,うつの人々へのイメージ,うつの特徴,うつの原因,うつの治療法についての記述がみられた.うつのしろうと理論を検討することの理論的示唆について考察した.
著者
山本 太郎
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2015

日本近海で発生する多くの台風は,北海道に接近するまでに勢力が衰えたり進路がそれたりするため北海道では本州ほど台風被害は多くないが,近年H15年日高豪雨やH18年豪雨など台風による大雨被害が発生し,さらに道東方面の河川で台風が主要因の洪水が増加している状況もある.これらを踏まえこれまで北海道に接近または到達した台風の特徴として経路と降雨分布の傾向を調べた. 1961年以降2014年までの54年間に発生した台風について,北海道に接近した台風を抽出し接近するまでのルートと中心気圧の変化の傾向を整理した.北海道の接近した台風のうちほぼ6割の台風が日本海ルートで接近し,残りが本州縦断ルート,太平洋ルートから接近している.北海道に接近した台風のうち中心が北緯30度を気圧980hPa以下で越えた台風の北緯40度を越えたときの中心気圧を整理すると,1961年以降54年間の平均でみれば,北緯40度を越えた時の中心気圧は日本海ルートでは986hPaに対して太平洋ルートでは981hPaと低く,太平洋ルートで北海道に接近する台風は接近する台風の割合は少ないが中心気圧が低いままで接近することが多いことが示された. 北海道に接近した台風について北海道の通過コースを区分し,そのうち1991年以降に北海道に接近した台風から北緯40度を中心気圧980hPa以下で越えた台風を抽出し,アメダス降雨量を整理した.日本海寄りのコースを通過した台風では,函館や苫小牧,稚内など道南・道央・道北で降雨量が多いが,雨量としては80mm程度でそれほど多くなく50mmにも達しない程度の場合も多い.これに対して主に太平洋寄りのコースを通過した台風では帯広や釧路,北見など道東で総雨量100mmを超えることも複数回発生しており,近年北海道を通過した台風では道東が主に影響を受けていることがわかった.
著者
山本 顕一郎 加藤 昭夫 清山 哲郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.1092-1096, 1967-07-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
7

リン酸カルシウム塩(メタ,ピロ,オルトおよびアパタイト)に炭素を混合し,塩素を作用させてオキシ塩化リンを生成する反応を400~1000℃の温度で行なった。リン酸カルシウム塩よりオキシ塩化リンの生成は比較的低い温度ではCaO/P2O5比の異なるメタ,ピロ,オルト塩でその収率が異なり,CaO/P2O5比の小さい塩ほど反応性は大きい。700℃ ではいずれの塩もほぼ同じ収率を示し,約85~93%である。またアパタイト類はオルト塩と同じ挙動を示す。800℃ 以上ではPCl5の生成が認められ,温度の上昇とともに生成量は増す一方,POCl3は減少する。この場合に考えられる反応について熱力学計算を行ない,その反応径路を論じた結果, 中和度の高いオルト, あるいはピロ塩はCaO/P2O5比のより小さいメタ塩に移行し, ついでP2O5を生じ, オキシ塩化リンを生成することを推定した。添加物としてSiO2を使用するとその触媒作用によってオキシ塩化リンの収率は向上する。
著者
山本 雅基 齋藤 洋典
出版者
Japanese Society for Engineering Education
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.4_81-4_85, 2007 (Released:2007-08-21)
参考文献数
6
被引用文献数
2 1

In continuing education, it is necessary to evaluate the knowledge and skill levels the participants attain. Additionally, it is important to know how a participant's superior evaluates the subordinates' performance in the workplace. We examined the participants' (i.e. subordinates') self-evaluations and the superiors' performance-evaluations one week and, again, four weeks after our courses for embedded software engineers. The results showed that one week after ending a course, the participants mark relatively high scores in the self-evaluation task, while the superiors' evaluations attain the same level as the participants' scores four weeks after ending the course. These results demonstrate the effectiveness of the continuing education for embedded software engineers, and suggest that the participants' self-evaluations and the superiors' performance-evaluations may consist of different evaluation feedback systems.
著者
林詳悟 山本達哉 全邦釘 林和彦
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

筆者らはトンネル覆工コンクリートの点検効率化の取り組みとして,可視画像から得られるひび割れの長さや幅などの情報と,覆工表面の三次元形状からはく落の危険性を推定する手法の確立に取り組んでいる。本文は,ひび割れには発生原因によって,表面のひび割れ形状と,内部のひび割れ面の形状には密接な関係性があると考え,ひび割れ表面形状とひび割れ面に発生するせん断強度の関係を明示することで,ひび割れの形状から,はく落危険性を評価する手法を提案するものである。
著者
黒木 修隆 廣瀬 裕二 鈴木 達也 片岡 充照 沼 昌宏 山本 啓輔
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.454-457, 2006-03-01 (Released:2008-03-07)
参考文献数
7
被引用文献数
2 1

We propose estimation technique of user preferences for TV programs based on channel operations. The user preferences are available for automatic recommendation of TV programs. For practical use, automatically learning the preferences of a user from a channel selection history is important. However, obtaining such information is difficult because most users change channels frequently and do not watch programs from beginning to end. For automatic learning under such situations, an appropriate hypothesis describing the relationship between viewing time and preference degree for a program is needed. We propose three hypotheses and compared their utility in our program recommendation system. Experimental results showed that the preference for a TV program is not proportional to the viewing time, but becomes either 1 (like) or 0 (dislike) about 30 minutes after channel selection.
著者
山本 多香子 田村 葉子 中島 優子 黒木 美智子 山田 豊子
出版者
京都市立看護短期大学
雑誌
京都市立看護短期大学紀要 (ISSN:02861097)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.89-94, 2010-05-31

A 看護短期大学3 年生を対象に「輸液・輸液ポンプ管理」の臨地実習(以降実習)前学内演習,および受け持ち患者の輸液(抗生物質)準備を実施した.演習後の学生レポート結果では【輸液準備に対する知識と練習不足の自覚】【確認行為の自覚】【看護技術体得に対する動機づけ】【作業環境に対する意識付け】【輸液ポンプ管理への理解】【輸液療法中の患者への配慮】の6 カテゴリを形成した.実習後のアンケート結果では『実習にむけて練習した』28 名,『一つ一つ作業順序を確認した』42 名,『作業環境を整えた』33 名であった.『輸液ポンプ使用中患者を受け持った』は38 名であり,そのうち『アラーム音が鳴った経験』30 名,『アラーム音の原因を確認できた』27 名であった.実習前の学内演習において輸液・輸液ポンプ管理に関する知識・技術の確認は,実習にむけて学習の動機づけとなり,実習中の確認行動につながり意義があったといえる.
著者
伊藤 弘 埴岡 隆 王 宝禮 山本 龍生 両角 俊哉 藤井 健男 森田 学 稲垣 幸司 沼部 幸博
出版者
日本歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

歯周治療の一環として禁煙治療が歯科保険に導入されるためには、禁煙治療の介入による歯周治療の成果が極めて良好となることが重要である。そこで、禁煙外来受診による改善を、一般的に行われている臨床パラメータと歯肉溝滲出液と血漿成分の生化学的成分解析、さらには禁煙達成マーカーである血漿中コチニンと呼気CO濃度の変化を検索した。その結果、禁煙外来受診により、禁煙達成マーカーが減少し、さらには自己申告による禁煙の達成から、禁煙外来受診は禁煙に対し有効な戦略である。しかしながら、生化学的変化は認められなかった。今後長期的な追跡が必要であると考えている。
著者
[山本亡羊] [編]
出版者
巻号頁・発行日
vol.蘭山先生生卒考,
著者
斎藤 均 萩原 章由 北川 敦子 小川 明久 溝部 朋文 石間伏 彩 金子 俊之 福王寺 敦子 熊木 由美子 阿部 成浩 渡邉 沙織 尾﨑 寛 前野 豊 山本 澄子
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.B0701, 2008

【目的】我々は,三次元動作解析装置を用いて,片麻痺者の立ち上がり動作を主に重心・COPの左右方向の動きと麻痺側・非麻痺側の荷重に着目し分析を行ってきた.今回,過去に94回測定した中から,同一測定中に立てたときと,立てなかったとき(離殿したものの立ちきれずに座っていた台に殿部をついてしまうこと)があった6例を対象に,この動作の成否における重心の動きを,床反力鉛直成分との関係から明らかにすることを目的とする.<BR>【方法】<対象>左片麻痺・男性5名,右片麻痺・女性1名.随意性Br.StageIII:3名,IV:2名,V:1名.(全例,本研究の主旨を説明し同意を得た)<測定条件>下腿長に合わせた台からの上肢を使用しない自由な立ち上がり動作.<測定装置>三次元動作解析装置(Vicon512),床反力計(KISTLER社製).<解析項目>重心の左右方向の動き,両側の床反力鉛直成分(Fz).立てたとき(成),立てなかったとき(否)の重心・Fzを比較・分析した.<BR>【結果】開始から離殿までの重心の左右方向の動き:(否)では開始位置より非麻痺側方向が2例,4例は麻痺側方向.(成)では1例を除き開始位置より非麻痺側方向.この1例は開始位置で非麻痺側にあった重心が離殿時,麻痺側方向(ほぼ正中)に動いた.離殿時の重心位置(開始位置を0とする):各対象の(否)と(成)の比較では,(成)では上記1例を除き離殿時の重心位置は,(否)より(1.4,2.7,3.6,3.7,4.2cm)非麻痺側方向であった.離殿時のFz:静止立位の麻痺側・非麻痺側の合計を100とした時のFzの値を(麻痺/非麻痺側)で示す.<U>(否):(成)</U>,<U>(47/55):(45/59)</U>,<U>(45/55):(26/79)</U>,<U>(34/71):(33/76)</U>,<U>(48/63):(49/66)</U>,<U>(37/71):(40/72)</U>,<U>(35/60):(29/81)</U>.各対象の(否)と(成)の比較では,(否)では麻痺側Fzは4例で大きく,また,非麻痺側Fzは全例で小さかった.<BR>【考察】離殿時の重心の動きを左右方向から見ると,(成)では非麻痺側方向であった.(否)では概ね直進か麻痺側方向であり,そのまま動作が継続すると麻痺側に能力以上に荷重しなければならなくなり,非麻痺側の力も十分に使えず立つことは困難である.また,離殿時,重心が麻痺側方向であった例は,ほぼ正中での離殿となり,非麻痺側の力も弱く麻痺側の力も使わないと立てなかった症例と考える.今回の対象のような立ち上がり動作に成否があり,麻痺側下肢の支持能力が不十分な段階では,非麻痺側方向に重心を動かし,非麻痺側に多く荷重をして立つほうが動作の失敗が少ないといえる.また,立てたときではFzが非麻痺側で大きかったことから,非麻痺側からのさらなる力が加わることで,重心が上方に向かい立ち上がることができたと考える.<BR>