著者
熊木 俊朗 大貫 静夫 佐藤 宏之 設楽 博己 國木田 大 夏木 大吾 福田 正宏 笹田 朋孝 佐野 雄三 守屋 豊人 山田 哲 中村 雄紀 守屋 亮
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

擦文文化期における地域間交流や社会変化の様相を解明するため、北見市大島2遺跡にて擦文文化の竪穴住居跡の発掘調査を実施した。大島2遺跡は標高の高い尾根上というやや特異な環境下にあり、低地や砂丘上にある他の集落とは異なる性格を有することが予想されたが、発掘調査の結果、海獣狩猟や動物儀礼、住居の廃絶儀礼、建築木材の選択、木製品の様相などに、オホーツク文化やトビニタイ文化との関連を思わせるような特徴が認められることが明らかになった。
著者
柏木 めぐみ 大石 千理 村田 和優 尾崎 秀宣 山田 哲也 金勝 一樹
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.120-128, 2022-04-05 (Released:2022-03-29)
参考文献数
14

水稲の種子温湯消毒法において,温湯処理前に種籾の水分含量を10%以下にする(事前乾燥処理) と高温耐性が強化され,防除効果の高い高温域の65℃での消毒 (高温温湯消毒) が可能となることが示されている.「高温温湯消毒法」を安定した技術として普及させるためには,実用的な事前乾燥処理法を確立することが重要である.そこで本研究では,種籾を乾燥機で加温して事前乾燥を行うときの処理条件について検討した.温湯消毒時の高温耐性が低い「日本晴」の種籾を40~60℃で最長72時間加温して事前乾燥を行なった結果,①温度が高い方が短時間で効率的に乾燥でき, 40℃の乾燥では水分含量を10%以下にするまでには12時間要する場合があること,②40~50℃の乾燥では水分含量8%程度までは急激に乾燥するが,その後の水分の減少は緩やかになり,50℃で24時間乾燥させても7%以下にはならないこと,③水分含量が7%を下回っても発芽能に影響はなく,高温耐性は強化されることなどが明らかになった.しかしながら60℃で72時間乾燥させた場合には発芽能が低下する試験区もあった.さらに温湯消毒時の高温耐性が高い「コシヒカリ」の種籾を50℃で水分含量9.5%以下まで乾燥させた場合には, 72℃・10分間の温湯処理でも, 90%以上の発芽率を確保できた.以上の結果から,「日本晴」と「コシヒカリ」の種籾の高温温湯消毒を実施するための事前乾燥処理の条件としては,「40~50℃の温度で12~24時間乾燥処理して水分含量を7~9.5%とすること」が最も適していると結論付けた.
著者
長谷川 大祐 坂口 顕 山田 哲 日高 正巳 川口 浩太郎
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Fb0796, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 理学療法士が、整形外科疾患やその他外科手術後の症例を担当することは非常に多い。術後に生じる術創部周辺の「硬い浮腫」は、疼痛の遷延や関節可動域制限の原因となることが多い。一方、微弱電流刺激(MCR)は、生体に1mA以下の微弱な電流を流す電気刺激療法である。近年、急性外傷後の疼痛軽減効果、腫脹軽減効果や組織修復促進を目的に、主にスポーツ現場などで使用されている。同様に外科的処置によって生ずる術創も、その部位に組織の損傷が起きており、MCRが効果を発揮できる病態であると考える。MCRがこのような術創部周囲の腫脹を軽減できれば、その後の修復過程を促進することができるのではないかと考える。そこで本実験では、創部硬度の観点から検証するとともに、MCRによって、創部がどのように変化するかを検証することを目的とした。【方法】 Wistar系雌性ラット(8匹、6週齢)を無作為にControl群、Sham群、MCR群に分けた。Sham群、MCR群は背側を剃毛し、背側皮膚をメスにて2cmの長さに縦切開し、6針縫合した。翌日より、Control群、Sham群は、1日1回の麻酔のみを行った。MCR群は麻酔下にて、1日20分のMCRを行った。刺激は、交流電流を、刺激強度を500μA、周波数0.3Hzに設定し、電極配置は、創傷中央から左右に配置した。実験期間は10日間とし、毎日行った。創部の硬度は介入5日目より10日目まで測定した。創部硬度の測定方法は、歪みゲージ(協和電業社製、LTS-1KA)と、デジタルノギスを用いて、創部に対する圧迫力と創部の厚さを測定することで算出した。算出方法は、創部圧迫力と創部の厚さから回帰直線y=‐ax+bの関数式を導き出し、その傾き(回帰係数a)をもって創部硬度とした。創部硬度の群間比較は統計解析ソフト(PASW Ver.18.0)を用い、Kruskal-Wallis検定にての一元配置分散分析(ANOVA)を行った。【倫理的配慮、説明と同意】 兵庫医療大学動物実験委員会の承認(承認番号2010-18-1)を得て行った。【結果】 創部硬度では,Control群は5日目から10日目まで変化がなかった。一方、Sham群とMCR群は5日目の硬度ならびに厚さが増加していた。これら2群については、それぞれの日数では統計学的な有意差は認められなかったものの、日数によって硬度が変化する様式が異なる傾向を示した。Sham群は5日目に一度硬度が上昇した後、10日目には硬度が低下する傾向を示した。一方MCR群では、5日目よりも10日目の方が、硬度が上昇する傾向を示した。【考察】 術後創部周囲の「硬い浮腫」は、炎症反応後の組織修復期に、ヒアルロン酸等のムコ多糖類が増加することに由来するといわれている。これらのムコ多糖類は、保水性に優れることから、水分を吸収し、そのため術創部の周囲に「硬い浮腫」が生じる。本研究においても、創を作成したSham群、MCR群の組織修復期にあたる5日目以降において、Control群に比べて硬度が上昇し、「硬い浮腫」が存在していた。介入5日目の回帰係数はMCR群よりもSham群が高値を示していることから創部硬度はSham群が高い傾向にあると考えられる。介入10日目の回帰係数はMCR群が高値を示す傾向となり、創部硬度がMCR群とSham群で逆転した。結果からMCR群は他群と比較して創部硬度増加率が高い。この理由として、組織修復には多くの過程がオーバーラップしていることを考慮しなければならない。ムコ多糖類の合成が落ち着いた後には、線維芽細胞分泌が上昇する。これによりMCR群では、5日目のムコ多糖類や水分の蓄積が抑えられ、10日目ではコラーゲン線維が増加したことで、Sham群とは異なる組織硬度の変化を呈したのではないかと考える。坂口らは、足関節周囲の術後早期からMCRを使用することで、足部周囲の腫脹軽減や足関節関節可動域制限の進行抑制に対して、効果があると報告している。本実験結果から得られる仮説として、MCRの早期からの使用は炎症反応と修復過程が早められ「硬い浮腫」を軽減するとともに、線維芽細胞の増殖過程が早期に起こす可能性を示唆するものである。今後、それぞれの組織回復期に準じた検証と、組織学的あるいは生化学的な検証が必要であるとともに、長期的な検証が必要である。【理学療法学研究としての意義】 本研究は、例数も少ないため、この結果を持って、MCRの効果を絶対的に論じることはできない。しかしながら、MCRを術後早期から使用することにより、「硬い浮腫」軽減に対して何らかの影響を及ぼすことが考えられる。これは組織修復の進行速度に対して影響を及ぼしている可能性が示唆され、術後早期の理学療法を行う時の、創部そのものへのアプローチを考えるきっかけとして意義あるものである。
著者
山田 哲久 名取 良弘 中塚 昭男
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.47-54, 2012-01-20 (Released:2020-09-07)
参考文献数
18

外傷性視神経症に対する治療法として, ステロイドを中心とした保存的療法と視神経管開放術を行う外科的療法がある. これまでもステロイド療法と視神経管開放術で, どちらが視力予後に優れているか検討されてきた. 今回当院で経験した外傷性視神経症10症例に関して検討し, 視力予後改善のための考察を行った. 視力予後改善のためには, 受診時の視力が保たれていること, 可能な限り早期に治療を開始することが重要である. したがって, ステロイド療法を早期に開始し, 症例に応じて視神経管開放術を併用することが視力予後改善につながると考えられる. そのためには, 病歴, 身体所見, 画像所見から外傷性視神経症を疑い, 瞳孔所見を確認し早期に診断することが重要である.
著者
高津 康正 眞部 徹 霞 正一 山田 哲也 青木 隆治 井上 栄一 森中 洋一 丸橋 亘 林 幹夫
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.87-94, 2002-06-01
参考文献数
17
被引用文献数
1

21種のグラジオラス野生種について特性調査および育種素材としての評価を行ったところ,草丈,葉数,葉・花の形態,小花数および開花期等には種によって大きな違いがみられた.また草丈が10cm程度で鉢物に利用可能なもの,現在の栽培種にはみられない青色の花被片を有するものなど,育種素材として有望な野生種が見出された.香りを有する種は全体の52.3%を占め,香りのタイプもチョウジ様,スミレ様などさまざまであることが示された.さらにこれらの野生種について到花日数,小花の開花期間,稔実日数および1さや当たりの種子数を調査し育種上重要な情報を得ることができた.フローサイトメトリーによる解析の結果,野生種においては細胞あたりのDNA含量が多様で,種によってイネの0.9〜3.5倍のゲノムサイズを有するものと推定された.本法による倍数性の判定は困難であるが,種の組合せによっては交雑後代の雑種性の検定に利用可能であることが示唆された.
著者
北村 祥貴 黒川 勝 丹羽 秀樹 奥出 輝夫 森山 秀樹 小竹 優範 稲木 紀幸 伴登 宏行 山田 哲司
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.907-914, 2013-12-01 (Released:2013-12-20)
参考文献数
22
被引用文献数
2 3

患者は60歳の女性で,右季肋部痛と発熱を主訴に受診した.CTで肝右葉後区を主座とする最大径16.6 cmの充実性腫瘍を認めた.内部は多結節癒合状で一部出血壊死を伴っており,結節の辺縁部は後期相で濃染した.MRIではT2強調像で不均一な高信号,T1強調像で低信号を呈した.肝肉腫もしくは肉腫様変性を来した肝細胞癌と診断し,肝右葉切除術を施行した.病理組織学的検査所見では,紡錘形細胞が増殖しており,核異型が強く,細胞質内にperiodic acid-Schiff(PAS)陽性顆粒状胞体を有する細胞を認めた.免疫組織学的にα smooth muscle actin(αSMA)とdesminのみ一部の細胞で陽性であり,肝未分化肉腫と診断した.本症は主に小児に発生する悪性間葉系腫瘍で,成人の発症は極めてまれな予後不良な疾患であり,外科的切除が第一選択となる.確立した化学療法はないが集学的治療での長期生存例もあり,症例の集積と検討が必要である.
著者
加藤 明彦 山田 弘之 山田 哲生 石永 一
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.100, no.1, pp.45-50, 1997-01-20
参考文献数
9
被引用文献数
12 3

当科において超音波ガイド下吸引細胞診 (FNA) を施行し, 手術により組織学的に確認された甲状腺腫瘍333症例につき検討を行った. 正診率は92.4%, 特異性は100%, 感受性は88.3%であった. またFNA陽性例のうち2回目以降に陽性となった症例が24例 (12.8%) あり, 反復穿刺が重要であると思われた. FNAを手術適応の決定に際し重視することで, 甲状腺手術例における悪性腫瘍の割合が増加し, 不要不急の手術を減少させることが可能になるものと考えられる. 一方, 超音波ガイド下にFNAを行うことで, FNAの診断精度を上げる努力をするとともに, 偽陰性例を見逃さないような総合診断を心がけるべきであると思われた.
著者
山田 哲久 名取 良弘
出版者
一般社団法人 日本脳神経外傷学会
雑誌
神経外傷 (ISSN:24343900)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.16-21, 2012-11-10 (Released:2021-04-20)
参考文献数
7

Chronic subdural hematoma is one of the most common diseases encountered in neurosurgical practices. The relationship between the case number of chronic subdural hematoma and seasons has not been reported until now. The relationship between recurrence rate of chronic sub­dural hematoma and seasons has not been reported, too. We examined the monthly case number of and recurrence case number of chronic subdural hematoma in our hospital.The examination included 769 adult patients who had undergone the first one burr-hole surgery between January 2000 and December 2010. We examined the monthly number of cases (recurrence cases and non-recurrence cases), recurrence rate, and recurrence risk factor.The number of cases was higher in August, April, July and September. November and March had few cases. Recurrence rate was highest in July and lowest in December. We found an association between age and monthly recurrence rate among a recurrence risk factor.We think that there is an association between the daily life activity of the elderly person and case number of chronic subdural hematoma. The daily life activity of elderly persons shows seasonality. Therefore, we think that the case number of chronic subdural hematoma shows seasonality. To decrease the recurrence rate, examination of the post­operative volume of infusion and an appropriate rest period are necessary.
著者
漆原 康子 原 太一 山田 哲史 藤永 周一郎
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.155-160, 2016 (Released:2016-11-15)
参考文献数
11

小児のステロイド依存性微小変化型ネフローゼ症候群(SDNS)において,シクロスポリン(CsA)は非常に有効な免疫抑制薬であり,1 日2 回の食前内服が推奨されている。今回,SDNS 患児においてシクロスポリン1 日1回投与法による初回治療(以下1 回法,目標内服2 時間濃度600~800 ng/ml)を試みた23 例について有効性と安全性について,後方視的に検討を行った。1 回法はSDNS からの脱却率が65%,2 年間の無再発率は34.8%であった。さらに,1 回法におけるCsA 投与量は平均2.6 mg/kg であり,通常の2 回法より明らかに減量することが可能であった。しかし,1 回法も1 例(8.3%)に間質線維化を認めたため,2 回法と同様プロトコール腎生検は必要であると考えられた。SDNS 患児に対して,1回法はアドヒアランスの向上とCsA 投与量の削減が可能な有効な治療と思われた。
著者
北川 清隆 柳沢 秀一郎 山田 哲也 三原 美晴
出版者
富山大学医学会
雑誌
富山大学医学会誌 (ISSN:18832067)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.27-29, 2006

両眼瞼下垂を訴えた59歳,女性に対し,alpha adrenergic agonistである5%フェニレフリン及び1%アプラクロニジンの点眼試験を行ったところ,眼瞼下垂は改善した。alpha adrenergic agonistである0.1%ジピベフリンの点眼で加療したところ両眼瞼下垂は改善した。眼瞼下垂を来たす症例において,alpha adrenergic agonistである0.1%ジピベフリンの点眼が有効な場合があると思われた。
著者
羽原 俊祐 小山田 哲也 我満 俊文 中村 大樹
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.433-439, 2016-03-31 (Released:2016-03-31)
参考文献数
7
被引用文献数
3

NaCl等の凍結防止剤の使用に伴いコンクリートのスケーリング劣化が激しくなっており、この現象をソルトスケーリングという。ここではスケーリング劣化現象を解明するため、ASTM C 672法と整合性がある本研究室で開発した小片試験方法を使用し、ソルトスケーリングに及ぼす冷却最低温度(0~-40℃)及び凍結防止剤の濃度の影響(0.01-10%)を把握した。さらにモルタルの配合の影響を把握するため、砂セメント比(S/C=0-3)及び水セメント比(W/C=0.25-0.7)をかえてソルトスケーリングを評価した。ソルトスケーリングは真水では起こらず、幅広い凍結防止剤の濃度(0.1-10%)で生じる。凍結する最低温度の影響は少なく、-7℃以下の温度で生じる。砂セメント比は著しく小さい場合、水セメント比も0.35以下で抑制効果があるが、それ以上では水セメント比の影響は少なく、砂セメント比が1以下の範囲では抑制されるが、それ以上では影響は少ない。
著者
北風 浩平 川口 浩太郎 山田 哲 日高 正巳 和田 智弘 島田 憲二 福田 能啓 道免 和久
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ca0258, 2012

【はじめに、目的】 膝に問題をかかえる患者の臨床所見の一つとして腸脛靭帯(iliotibial tract:以下ITT)の硬さが報告されている。ITTと外側広筋(vastus lateralis:以下VL)の硬さの関係について生体で検証した報告はなく、下腿内旋可動域(以下:下腿内旋)との関係を検証した報告もない。本研究では、健常男子大学生のITT・VLの組織硬度と下腿内旋を測定し、ITTの硬さならびに下腿内旋に影響を及ぼす因子について検討することを目的とした。【方法】 対象は、本研究の目的、測定方法に同意の得られた健常男子大学生12名(年齢21.4±1.0歳)の左右2膝、計24膝とした。また、対象者の膝関節に整形外科疾患、関節不安定性、関節弛緩性がないことを確認した。ITT、VLの硬さは組織硬度計OE-210(伊藤超短波株式会社)を用いて測定した。測定肢位は検査側下肢が上方の安静側臥位(膝関節伸展位)とし、測定部位をITT:大腿長遠位5.0%、VL:大腿長遠位67.1%とした。ITT、VLは触診及び超音波画像診断装置HS-2000(本多電子株式会社)を用いて確認した。測定中の筋収縮による影響を除外するため、表面筋電図計TELEMYO2400Tv2(Noraxon社)を用い、筋活動の有無を確認した。下腿内旋はMuaidi Q.Iら(2007)の方法を参考に下腿内旋測定装置(以下:装置)を作製し、他動運動を行った。大腿骨内・外側上顆、下腿近位1/3の脛骨粗面にマーカーを貼付し、大腿骨内・外側上顆マーカーを結ぶ線と脛骨粗面マーカー(棒状)のなす角度の内旋トルクを加える前後の差を下腿内旋角度と定義した。測定肢位は端坐位(両上肢腕組み、体幹・骨盤中間位、股関節屈曲90°・内外旋0°・内外転0°、膝関節屈曲90°、足関節底・背屈0°)とし、足関節内・外果を結ぶ線の中点を装置の回転軸上に設置し、距骨中間位で距骨関節面の前縁を結んだ線が装置に対して平行になるようにした。測定前にゴニオメーターを用いて測定肢位、口頭指示・触診により筋収縮の有無を確認し、2.548N/mの内旋トルクを代償運動・摩擦抵抗に注意して加えた。下腿回旋運動軸上1.37mの位置にデジタルカメラOptio M30(PENTAX社)を固定し、内旋トルクを加える前後に撮影を行った。膝関節周囲軟部組織の粘弾性の影響を考慮し内旋トルクを加え、装置の数値が一定になった後、 10秒間その位置を保ち撮影を行った。組織硬度は各部位3回測定し、3回の平均値を代表値とし、単位は%10Nとした。下腿内旋は測定画像を画像処理ソフトウェアImageJ1.34(NIH)に取り込み、角度を求めた。10回施行中、中間4回の平均値を代表値とした。統計処理として各々の代表値からITTとVL組織硬度の関係、下腿内旋とITT組織硬度の関係、下腿内旋とVL組織硬度の関係をPearsonの相関係数(r)を求め検証を行った。尚、有意水準は5%(p<0.05)とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には文書を用いて研究の趣旨を十分説明し、同意を得た。本研究は兵庫医療大学倫理審査委員会の承認(第10025号)を受け、実施した。【結果】 ITT組織硬度は71.7±3.2%10N、VL組織硬度は61.4±3.3%10N、下腿内旋は1.5±1.6°であった。それぞれの結果からPearsonの相関係数(r)を求めた所、ITTとVL組織硬度はr=0.169(p=0.429)、下腿内旋とITT組織硬度はr=-0.028(p=0.448)、下腿内旋とVL組織硬度はr=-0.079(p=0.357)となり全て有意な相関関係は認められなかった。【考察】 本研究の結果より、健常男子大学生では、ITTの硬さに対するVLの硬さの影響は少なかった。ITTの硬さに影響を与える因子として、先行研究の結果から股関節周囲筋等の影響も考えられており、今後検討する必要がある。また、ITTならびにVLの硬さは、下腿内旋にもあまり影響を及ぼさないことが明らかとなった。下腿内旋に影響を与える因子としては、kwak S.Dら(2000)はITT以上に下腿に直接付着している外側ハムストリングスの影響が強いと報告しており、今後さらなる検討が必要である。本研究の限界として、除外基準を設定したものの、関節の硬さには個人差があるため、対象者によっては十分な内旋トルクが加えられなかったことも考えられる。今後、実際にITTやVLのタイトネスを抱えた対象者に対する検討、さらに動作時もしくはVLの筋収縮時に検討が必要である。【理学療法学研究としての意義】 臨床場面で様々な部位に痛みを誘発したり、大腿と下腿のニュートラルなアライメントを阻害する腸脛靭帯付近の硬さの原因を探ることで、迅速かつ効果的な理学療法アプローチの立案につながる。
著者
吉原 圭介 山田 哲哉 山田 和彦 下田 孝幸 Yoshihara Keisuke Yamada Tetsuya Yamada Kazuhiko Shimoda Takayuki
出版者
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)
雑誌
第15回宇宙科学シンポジウム 講演集 = Proceedings of the 15th Space Science Symposium
巻号頁・発行日
2015-01

第15回宇宙科学シンポジウム (2015年1月6日-7日. 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)相模原キャンパス), 相模原市, 神奈川県
著者
山田 哲夫 田口 裕功 臼田 和正
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.216-220, 1982 (Released:2010-07-23)
参考文献数
11

硬結がほとんど全部の陰茎海綿体に及んだ成形性陰茎硬結症の1例を報告した. これに対し, 亀頭及び尿道海綿体を残し大部分の陰茎海綿体を切除した. 術後約2年を経過し性交は不可能であるが陰茎痛や排尿困難は消失し, 陰茎の形状も保たれている. 陰茎と皮膚の血管病変は膠原病の血管病変と類似し, 成因として膠原病が考えられた.
著者
羽鹿 牧太 高橋 浩司 山田 哲也 小巻 克巳 高田 吉丈 島田 尚典 境 哲文 島田 信二 足立 大山 田渕 公清 菊池 彰夫 湯本 節三 中村 茂樹 伊藤 美環子
出版者
農業技術研究機構作物研究所
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-20, 2009 (Released:2011-03-05)

「なごみまる」は、大豆の主要アレルゲンの一つαサブユニットを欠失した大豆品種の育成を目標として、「タチナガハ」を母とし、αサブユニットを欠失する「α欠(I)(現在の「ゆめみのり」)」を父として交雑した系統に、「タチナガハ」を3回戻し交雑して育成した新品種である。大豆の主要アレルゲン蛋白質の一つであるβ-コングリシニンのαおよびα’サブユニットを欠失している。関東地域の主力品種である「タチナガハ」よりやや早生だが、ほぼ同等の収量性及び耐倒伏性を備えている。アレルギーリスクを軽減した豆乳等の大豆食品の原料として利用できる品種であり、2006年に「なごみまる」と命名し、種苗登録への出願を行った。