著者
木村 友子 菅原 龍幸 福谷 洋子 加賀谷 みえ子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.585-593, 1994

干し椎茸の合理的な戻し方を見出す目的で, 超音波照射を取り入れた方法を用い, 椎茸の物性及び嗜好性などに及ぼす影響を検討し, 次の結果を得た.<BR>1) 水戻しに超音波処理を用いると, 超音波処理しない椎茸に比し吸水量が増加し, 戻し汁は黄味度が増し褐変が進行した.<BR>2) 蒸し調理した椎茸のテクスチャー特性では超音波照射したものの方が硬さ・ガム性の値が小さく軟化した.<BR>3) 水温5℃と25℃の水戻しの条件では超音波照射時間は20分が望ましく, 全浸漬時間は上冬薙が2時間, 上香信が1時間で最大吸水量の90%に達し, 官能評価では椎茸は柔らかく歯ざわりが適当で, 戻し汁の色の濃度が濃く感じ, 味は旨味があり良好と評価された.<BR>4) 蒸し調理した椎茸中のRNA含量や5'-GMP, 5'-AMP, 5'-UMP, 5'-CMP, 遊離アミノ酸含量に及ぼす超音波照射の影響はわずかにすぎなかった.<BR>以上の結果から, 干し椎茸の水戻しに超音波照射を取り入れることは有効であると考えられる.
著者
村瀬 研也 近江 雅人 木村 敦臣
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

近年、磁性ナノ粒子(MNP)を内包した薬剤を外部磁場を用いて目的の場所に送達する磁気送達法や外部から交番磁場を印加して癌細胞を死滅させる磁気温熱療法が注目されている。これらの治療法の有効性を高めるためには、集積したMNPの空間分布を可視化し、集積量を正確に定量する必要がある。最近、我々はMNPを画像化する磁気粒子イメージング(MPI)法およびその装置を開発した。そこで、我々のMPI法を用いて磁気送達や磁気温熱療法の効果を最適化するシステムを開発し、その有用性をファントムや動物実験によって検討した。その結果、開発したシステムは磁気送達や磁気温熱療法の最適化に有用であることが示唆された。
著者
木村 賢治 池田 幸洋
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.137-140, 2008

一時停止交差点での出会い頭事故を低減する為、一時停止交差点に接近する行動を調べ、ドライバが一時停止に気づき、スムーズな減速を促進する為の情報提供のタイミングを検討した。
著者
木村 幸子
出版者
日経BP社
雑誌
日経パソコン (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.459, pp.111-114, 2004-06-07

オンラインソフトを利用/「ReadMe」には必ず目を通す/ZIPやLZHを解凍する場合/「アンインストール」で残さず削除/Office機能を追加するには
著者
河野 潤一 清水 晃 梅田 史郎 木村 重
出版者
神戸大学農学部
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.p85-92, 1990

日本産およびアメリカ産肝蛭を家兎に単数感染させ,各種変化について検索した。臨床症状は認められなかった。肝蛭卵および沈降抗体の検出時期は多数感染例と同様であった。肝病変は,肉眼的にも組織学的にも軽微であった。血液性状は,白血球数および好酸球数の若干の増加を認めた。血清の生化学的性状は,日本産肝蛭感染家兎において感染後9-10週に,GPT活性および総コレステロールの上昇を認めたが,そのほかでは著しい変化はなかった。肝蛭単数感染家兎の胆嚢から採集した虫卵の孵化率は,多数感染例におけるそれより低率であった。感染虫体の発育状況は,単数および多数感染例とも同様であった。 / Rabbits were experimentally infected either perorally with a single metacercaria or intraperitoneally with a newly excysted juvenile fluke of Japanese Fasciola sp. and American Fasciola hepatica. No clinical signs were noted. Fluke eggs were first detected in feces at the 63rd and 53rd post infection days for F. sp. and F. hepatica, respectively. Precipitating antibodies were first detected in sera at the 4th post infection week for both of the Fasciola species. Gross lesions showing adhesions, haemorrhages, nodules, scars, hyperplasia of connective tissue and thickening of the bile duct were all moderate. Histopathologically, tract lesions and haemorrhages were noted. In hematological examinations, no remarkable changes were observed in erythrocyte counts, leukocyte counts and hemoglobin content. Eosinophil percent increased in 6-8 weeks after infection. In biochemical examinations of sera, no remarkable changes were noted in concentrations of total protein, albumin and globulin, and the GOT activity. The GPT activity and total cholesterol concentration increased at the 10th and 9th post infection weeks, respectively, in the rabbits infected with F. sp. Hatching rates of fluke eggs that were collected from the gallbladder of the infected rabbits were 5-46% for F. sp. and 7-51% for F. hepatica. While, hatching rates of eggs that were collected from those infected with a multiple dose of Fasciola were 18-57% for F. sp. and 67-81% for F. hepatica. Body size and development of the inner organs of the flukes recovered from the rabbits that were infected with a single dose were the same as those recovered in the infections of multiple dose of the Fasciola species.
著者
木村 恵 中村 千賀 林部 直樹 小山 泰弘 津村 義彦
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.173-181, 2013-06-01 (Released:2013-07-25)
参考文献数
34
被引用文献数
6 4

多面的機能が注目される社叢林の保護と管理を行うには, その成立要因を理解する必要がある。本研究では長野県戸隠神社奥社参道のスギ並木を対象に林分構造と遺伝的多様性・特性を調べた。二山型を示す直径階分布から多くの個体は限られた時期の植林によって成立しており, 現在の樹高成長量は低く今後は補植が必要になると考えられた。核マイクロサテライトマーカー8遺伝子座での遺伝解析から多くのクローンが検出され, 挿し木による植林の可能性が示された。また奥社参道における遺伝的多様性の指数は天然林と同程度だが, 遺伝距離に基づく主座標分析では天然林とは異なる特異な遺伝的特性を示した。さらに周囲の社叢林のスギ, 在来挿し木品種クマスギを加えた解析では血縁関係 (親子, 兄弟) が検出された。天然林との特異な遺伝的関係も検出され, 限られた母樹からの苗木による創始者効果の可能性が示された。現在の遺伝的多様性・特性を維持するには, 挿し木や血縁関係にある幹の重複を避けて母樹を選定し, 苗木を生産することが有効である。また信仰的な理由で挿し木されたと考えられる個体もみられており, 戸隠神社の歴史を反映するこれらの遺伝子型の保存も重要である。
著者
木村 恵
出版者
日本森林学会
雑誌
森林科学 (ISSN:09171908)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.32-33, 2012-10-01 (Released:2017-07-07)
著者
木村 泰生 藤田 博文 山川 純一 瀧口 豪介 丸山 翔子 高井 亮 荻野 和功 小川 博
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.146-153, 2018

<p>症例は33歳の女性で,2年前に下行結腸癌による大腸イレウスに対して自己拡張型金属ステント(self-expandable metallic stent;SEMS)留置後に,腹腔鏡下左半結腸切除術を施行した.その際の病理組織学的所見は,中分化型腺癌,深達度SS,n0,ly1,v1,stage IIの診断であった.術後2年目にCEAの上昇およびCTで下腹部に約3 cmの腫瘤性病変を認め,FDG-PETでも同部のみに集積を認めたことから孤立性再発病変と判断し,腹腔鏡下に腫瘤摘出術を施行した.術中所見では腫瘤は大網内に約3 cmの孤立性の腫瘤として認め,その他に明らかな播種および転移病変は認めなかった.病理組織学的所見では,下行結腸癌の血行性大網転移と診断された.結腸癌の孤立性大網転移はまれな再発形式で,これまでに報告例はない.本症例は近年増加傾向である金属ステント留置後の手術症例(外科手術前の処置bridge to surgery;BTS)であり,ステント留置と大網再発の因果関係は不明であるが,大腸ステント留置症例における長期的な予後は不明な点も多いため今後も症例の蓄積が必要である.</p>
著者
猪子 富久治 安宅 健 木村 節 秋園 幸一 美馬 源次郎 辛島 誠一
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.672-679, 1982
被引用文献数
2 2

In order to examine effects of the grain boundary on initiation of fatigue cracks, aluminum bicrystals were produced with Bridgman method. They were tested by a bending fatigue testing machine under the constant strain amplitude of 0.18%.<BR>It has been found that conditions necessary for the initiation of fatigue cracks along primary slip bands in the grain boundary affected-regions are as follows:<BR>(1)&emsp;Dislocations parallel to the grain boundary planes are of nearly the screw type.<BR>(2)&emsp;Cross slip on the primary slip systems can be promoted due to incompatibility of elastic and plastic strains at grain boudaries.
著者
中村 和正 若松 伸司 菅田 誠治 木村 富士男
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.175, 2003

近年、光化学大気汚染の広域化が進行している。主要発生源から遠く離れた郊外地域に当たる福島県でもOx濃度の増加が90年代に入ってから著しく(図1)、2000年には22年ぶりとなる光化学スモッグ注意報が3回発令され、被害者数も104名に及んだ。本研究は関東地方及び福島県、山梨県におけるOxの空間的・時間的変動を明らかにすることを目的としている。解析方法は解析期間は1982_から_2001年で、福島県・茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県の大気環境常時監視測定局の時間値測定データ及びアメダス時間値観測データを用いた。解析結果。解析領域内におけるOx日最高値の上位5地点がすべて120ppbを超えた高濃度日に関東地方及び福島・山梨県内のどこでOx日最高値上位5地点が出現したのか、その頻度の経年解析を行ったところ、光化学大気汚染の広域化がさらに進行していることが分かった。特に90年代に入ってから、北関東でOx日最高値上位5位の出現頻度が増している。(図2)この要因の1つとして近年のNMHC/NOx比の低下が考えられる。NMHC/NOx比の低下は光化学反応を遅らせ、関東地方では夏季には海風の侵入に伴い、高濃度出現地域が内陸に移動することが多いため、最高濃度出現時刻が遅れることはより内陸に高濃度域が移ることを意味しており(Wakamatsu et al,1999)、高濃度日の日最高値上位5位の出現時刻も経年的に遅くなってきていることも確かめられた。(図3)また2000年には福島県でも日最高値上位5位が出現するようになった。
著者
上坂 克巳 木村 健治 大西 博文 千葉 隆 高木 興一
出版者
社団法人 日本騒音制御工学会
雑誌
騒音制御 (ISSN:03868761)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.233-242, 2001-08-01
参考文献数
7
被引用文献数
9

平面道路に面した市街地を道路近接建物列と背後建物群に大別してモデル化し, 道路と平行な評価区間における等価騒音レベルの空間平均値 (区間平均等価騒音レベル) を簡易に計算する方法を検討した。道路近接建物列の間隙率及び背後建物群の建物密度, 奥行きをパラメータとして計算する方法と, 対象街区全体の平均的な建物密度だけをパラメータとして計算する方法を提案し, それらの計算方法の妥当性を全国33箇所におよぶ現地調査結果との比較により検証した。その結果, 前者の方法がやや計算精度が高いものの, 両方法とも沿道騒音の広域的な予測・評価には十分活用できることが明らかとなった。
著者
山下 洋 望岡 典隆 笠井 亮秀 木村 伸吾 杉本 亮 荒井 修亮
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

大分県、和歌山県、福島県の河川において、ニホンウナギの生産を支える環境と生態系を流域レベルで調べ、ウナギの資源生産の観点から河川再生方策を検討した。ウナギの食性は、サイズ、季節、地域で変化したが、基本的に広食性で柔軟な摂餌生態を有した。全長200mm未満の小型魚と200mm以上の大型魚では、好適な生息環境特性が異なった。ウナギの河口から河川上流への移動・拡散は堰により阻害された。本種は水質の許容範囲が広く、清流から都市型河川まで生息した。ウナギの河川内及び河川と沿岸間の移動、隠れ場、餌生物の生産を可能にする一定の環境条件整備により、本種資源の保全と培養が可能であると考えられた。
著者
小山 宏史 木村 暁
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第59回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.176, 2010 (Released:2011-01-21)

細胞は、細胞分裂を繰り返すことで増殖する。細胞分裂において細胞の形状はダイナミックに変化する。細胞形状の変化は、細胞表層の細胞骨格と呼ばれる構造物の動態が力学的パラメータに翻訳されることによって引き起こされると考えられている。しかしながら、細胞表層の力学的パラメータが時空間的にどのように変化するか、あるいは背景にある力学的パラメータの制御構造は十分に理解されていない。本研究では、細胞形状の変化を精緻に観測し、その観測データと弾性の理論に基づいた数理モデルを組み合わせることで力学的パラメータの時空間的変化を予測することを試みた。その結果、力学的パラメータが細胞全体にわたってダイナミックに変化していることが予想された。さらにこの結果は、これまで細胞分裂の主要な力学的要素と考えられてきた収縮環と呼ばれる構造物に加えて、細胞全体にわたる力学の制御が重要な寄与を果たしていることを示唆している。
著者
橋元 良明 木村 忠正 森 康俊 北村 智 是永 論 片桐 恵子
出版者
東京女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

2018年度は、まず、先行研究の検討、既存調査の再分析、理論的検討を行なった後、(1)60歳以上の高齢者を対象とするグループ・インタビュー調査と(2)40歳から79歳までを対象に、インターネット利用を中心とする情報行動に関する質問票調査を実施した。(1)は60代70代男女各2グループ、1グループ各6名、計4グループ24名を対象に、テレビ接触状況、インターネット利用の実態、ネットを通した動画視聴、ネット利用の功罪等についてインタビューした。インタビュー対象とした24名はほとんどがネットを積極的に利用しており、退職後も趣味や地域活動にいそしむ人が多かった。ただし、対象者は、いずれも東京都文京区在住者で必ずしも一般的な60代以上を代表する人たちではないことは考慮しなければならない。(2)は、中央調査社の保有するマスターサンプルから、全国の40歳~79歳の男女1600人をランダムに抽出し、各種情報行動について質問したものである(有効回収票827)。70代について結果を見れば、70代のネット利用者は71.2%とかなり高率であるが、スマートフォン利用者は28.3%であった。また、ネット利用といっても大半がモバイル機器を通したメールだけの利用者であり、サイト・アプリの利用者(PC通しも含む)は43.4%にとどまり、いまだに年代的なデジタルでバイトが完全に解消したとはいえない状況であることが判明した。メッセージングアプリのLINEの利用者も、70代は21.8%にとどまるなど高齢者への普及は十分でなく、ネットショッピングの利用者も70代は20.3%にとどまる。そうした背景にコスト的な問題や周囲にサポートする人がいないという状況や、ネットにまつわるトラブルに大きな不安をいだいているという現状があった。