著者
杉浦 正晴
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

O-モノアシル酒石酸が、アルケニルボロン酸、アリルボロネート、ジボロンなどのホウ素化合物を活性化し、不斉共役付加反応やアリル化反応を促進する有効な不斉有機触媒となることを見出した。選択性や触媒活性の改善のために、触媒のアシル基およびカルボキシル基の効果を検討すると共に、計算化学による触媒の作用機構の究明を行った。また、触媒の回収・再使用に関する知見を得ることができた。
著者
杉浦 英樹
出版者
上越教育大学
雑誌
上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.87-99, 2010-02-28

明石女子師範学校付属校園は主事及川平治のもとに大正自由教育の実践を展開したことで教育史上有名である。同校園では1904(明治37)年の創設当時からすでに幼小間に職務上、研修上の交流があり、1924(大正13)年には及川の指導によってプロジェクト法に基づくカリキュラム連携が試みられようとしている。筆者の目的はその経緯を明らかにすることにある。本稿では「保育方針並ニ幼稚園内規」を含む付属幼稚園所蔵史料の内容をめぐる解釈を通して、明治期における幼稚園カリキュラムの開発過程を保姆の視点から記述する。そして幼小教員が対等に交流するという当時としては稀有な状況で、同園のカリキュラムがどのようなものであったかについて、付属小学校の教育方針や及川の見解との関係において検討する。
著者
杉浦 真弓 尾崎 康彦
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

原因不明連続2回以上の6例の流産患者及び16例の人工妊娠中絶患者の流産時の子宮脱落膜組織を採用した。児の染色体異常による流産例は検討から省いた。それぞれの脱落膜組織からリンパ球を分離し、CD^<16+56+3->細胞(NK細胞)を解析した。また、6例の反復流産患者及び5例の中絶患者の脱落膜を用いてマクロファージ-を分離し、TGF-βも測定した。いずれも流産群とコントロール群の差を認めなかった。現在原因不明習慣流産の治療として夫リンパ球による免疫療法を施行しているが、感染などのリスクがあるため、これに変わる免疫刺激剤としてOK-432の投与を試みた。3回以上の流産歴をもつ患者に妊娠初期にOK-432の皮内注射を行い73.9%(17/23)が成功した。夫リンパ球の免疫療法では75.1%(154/205)が成功であり、OK-432の皮内注射は従来の免疫療法と同じ効果を示した。OK-432による免疫療法中、NK細胞活性を測定した症例のうち成功例ではNK細胞活性が低下する傾向がみられた。以前、NK細胞活性が高いと流産の危険性が3.5倍高いことを報告したが、OK-432のはNK細胞活性を抑制することで流産を予防する可能性が示された。また、NK細胞活性は精神疾患とも深く関わっている。ストレスが流産をひき起こすことは既に証明されており、原因不明の流産における精神的要因についても調査した。29組の2回の流産歴のあるカップルに半構造面接を行った。1回目、2回目のemotional impactはそれぞれ-74.5、-80.0(妻)-59.7、-65.0(夫)であり、2回目のが強かった。流産の予知をしていない人ほど強かった。また、61人の妻のNK活性について、低い神経症的性格、抑鬱状態、高い自尊心は高NK活性と関係した。つまり、これらの性格が流産と関係する可能性が示された。
著者
杉浦 藤虎 伊藤 和晃
出版者
豊田工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ロボカップへの参加は問題解決能力の育成や,高度な技術力の習得に効果が高いことが知られている。一方,世界大会はコミュニケーション力やプレゼンテーション力を高められる貴重な機会でもある。ロボカップで好成績を残すようになると,出前授業としてロボットのデモンストレーション依頼が増えてきた。しかし,ロボカップに参加する学生は社交的で派手な学生は少ない。そこで,校外において学生自ら開発したロボットを積極的にアピールする機会を提供し,リーダーシップの取れる人材育成の試みを行った。アンケート調査の結果,ロボカップ世界大会出場および出前授業の経験が学生自身の積極性に関する意識改革に大きく寄与したことが示された。
著者
藤井 良一 福西 浩 国分 征 杉浦 正久 遠山 文雄
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
no.25, pp.p113-119, 1990-01

1989年3月13日の大磁気嵐中に, EXOS-Dに搭載されたフラックスゲート磁力計により観測された沿磁力線電流(FAC)の特性について報告する。本磁気嵐は地磁気観測史上有数の磁気嵐であり, その間にEXOS-Dは午前昼間側及び夕方側で大規模なFACを観測した。午前側のFACの特性は, 1)地磁気嵐主相では, 地磁気緯度で50°から80°にも及ぶ広いFAC領域が観測された。2)FACの極性は, 低緯度から上向き, 下向きのFACの他にそれらの高緯度側に上向きの大規模FACが出現した。3)この高緯度側の上向きFAC高緯度境界に狭い緯度巾(1.5°)のペアーのFACが観測された。夕方側のFACの特性は, 1) FACの低緯度側境界はSSCの直後から低緯度側に移動しはじめるが, 高緯度側境界は即座には反応しない。2)磁気嵐の回復期には逆に高緯度境界は直ぐに反応し高緯度側に移動しはじめたが, 低緯度側境界は遅れて反応した。
著者
宮下 清 丹野 勲 中山 健 山本 寛 薄上 二郎 杉浦 正和 櫻木 晃裕 細海 昌一郎
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の成果として、資格を中心にホワイトカラー人材の育成、評価について日米英の比較から、新たな知見を見出すことができた。まず仕事に使えるよう知識や経験を応用・適用する力であることが重要とされた。日本にホワイトカラー資格は存在しないし、今後も浸透の可能性は低い。英米でも実務経験、OJTが重要で、企業で求められる専門性とは仕事をする力であり、職場・仕事こそが最高の人材育成の場であることが確認できた。
著者
杉浦 義典 杉浦 知子 丹野 義彦
出版者
信州大学
雑誌
人文科学論集. 人間情報学科編 (ISSN:13422782)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.79-89, 2007-03-15

強迫症状と関連の深い意志決定の困難さを,強迫症状に限定されないパーソナリティ特性として測定する不決断傾向尺度(Frost & Shows,1993)の日本語版を作成し,その信頼性と妥当性を検討した。非臨床群を対象とした質問紙調査の結果,以下のことが明らかになった。(1)不決断傾向は1因子構造であり,十分な内的整合性を示した。(2)不決断傾向は,強迫症状と正の相関を示した。(3)不決断傾向は,責任の認知および完全主義(ミスを恐れる傾向)との正の関連を示した。(4)不決断傾向は,一般的なパーソナリティ傾向(ビッグファイブ),および,責任の認知と完全主義で説明出来ない強迫症状の分散を説明していた(増分妥当性)。(5)否定的な思考の暴走を防ぐ認知的なスキル(認知的統制尺度の「破局的思考の緩和」)は,不決断傾向を低減できる可能性が示唆された。以上の知見から,日本語版不決断傾向尺度の一定の信頼性と妥当性が確認された。
著者
杉浦 哲朗 高田 淳 公文 義雄 竹内 啓晃
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ピロリ関連免疫性血小板減少性紫斑病の病態解析からピロリ成分が血小板に結合することを見出した。そこで、その血小板結合成分をLC-MS/ MS解析を経て、11の候補蛋白から最終的に1つの菌体膜蛋白の同定に成功した。そのHis融合蛋白を作製し血小板との反応性解析から、本蛋白が明らかに血小板を凝集し活性化することを証明した。さらに、患者検体から本蛋白検出に必須な特異性の高い抗体をウサギ免疫から獲得することができた。
著者
加藤 行夫 田中 一隆 山下 孝子 英 知明 佐野 隆弥 辻 照彦 勝山 貴之 石橋 敬太郎 杉浦 裕子 真部 多真記 西原 幹子 松田 幸子 本山 哲人 岡本 靖正
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、主として英国初期近代(エリザベス朝およびジェイムズ朝)の演劇作品および当時の役者・劇団・劇場の総合研究を「歴史実証主義的立場」から新たに検証し直す作業を行なった。とくに「デジタルアーカイヴズ」を多用して、定説と考えられてきた既存の概念・理論を、現存する公文書や有力な歴史的基礎資料を根幹とした「検証可能な方法」で再検討し直すことを最大の特徴とした。この研究手法により、当時の劇作家、幹部俳優、劇場所有者、印刷出版業者等をはじめとした「演劇世界全般の相関的ネットワーク構築」の特徴的なありようを、演劇理論や劇作家と劇団研究、個々の劇作品とその出版等を通して追究した。
著者
杉浦 哲朗 SERGIO A. CON CHIN CON CHIN Sergio A.
出版者
高知大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

胃癌の高頻度発症国であるコスタリカでの胃内ヘリコバクター・ピロリ菌感染と消化管疾患発症との関連性について研究している。これまでに、コスタリカ人から分離されたピロリ菌の2遺伝子(cagAとvacA(s1/ml))。保有率はEurope/North AmericaとEast Asiaの中間に位置しており、vacA s1bとvacA m1型遺伝子保有ピロリ菌感染と胃癌群との間に関連性を認めた。一方でvacA m1型のみが萎縮性胃炎と関連性を認め、統計学上は有意差を示さなかったが、cagA/vacA s1b型と萎縮性胃炎の間にも関連性を示す傾向が判明した。(論文発表)また、Low-PG(血清ペプシノーゲン値)、Very Low-PG、ピロリCagA抗体は、個々に萎縮性胃炎と腸上皮化生との間に関運性を示したが、サイトカインであるIL-1B+3954T保有者とIL-1RN(ホモで2つのアレル保有者)は腸上皮化生とのみに関連性を示した。さらに、胃体部の萎縮性胃炎を検出するためのVL-PG値は、sensitivity(77.4%)、specificity(80.7%)、PPV(39.3%)、NPV(95.7%)と良好な検査診断法(マーカー)と考えられた。また、VL-PG値にピロリCagA抗体の結果を加えることにより、sensitivity(74.2%)、specificity(92.7%)、PPV(62.2%)、NPV(95.7%)となりさらに特異性が向上した。以上より、胃癌のハイリスクである胃体部の萎縮性胃炎を検出・診断するためには血清ペプシノーゲンの周期的な測定のみか、或いはピロリCagA抗体測定との組み合わせ検診がコスタリカにおける検診として最も適していると考えられた。(論文発表)
著者
杉浦 勉 山本 一彦 堤 定美 姜 有峯
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

オーバーロード(負担過重)によるインプラント周囲骨の吸収は,インプラント治療の臨床において重要な課題となっている.本研究では,即時荷重および遅延荷重モデルにおいて埋入部位の骨密度がインプラント周囲骨のひずみに及ぼす影響を検討し,オーバーロードのリスクを評価した.皮質骨,海綿骨ともに低骨密度のモデルでは最小主ひずみのピーク値は約-6200μεであったが,それ以外の場合は骨の微小損傷の閾値とされる-4000με以下であった.したがって,埋入部位の骨密度を評価することによって,即時荷重時の周囲骨のオーバーロードのリスクを低減できることが示された
著者
杉浦 慶一
出版者
日本経営分析学会
雑誌
年報経営分析研究 (ISSN:09110747)
巻号頁・発行日
no.29, pp.58-69, 2013-03-31

2000年代後半より,日本の上場企業がメザニン・ファンドより資金調達を行うケースが登場した。企業の資金調達におけるメザニン・ファイナンスの認知度はまだ低いが,新たな資金調達手法として注目される。本論文では,メザニン・ファイナンスの特徴について述べた上で,その活用事例を取り上げて,案件の背景,資金調達のスキーム,資金使途,業績の推移,優先株式の償還の状況について分析し,メザニン・ファイナンスが果たした役割について明らかにした。具体的には,上場企業がメザニン・ファンドから資金調達を行った事例(東日本ハウス,ウェストホールディングス,イー・アクセス,日本板硝子,ラック)を分析の対象とし,調達した資金が借入金返済に充当されるケースと,設備投資などの成長投資に充当されるケースがある点を明らかにした。分析を行った事例は,一時的に財務体質が悪化しても,EBITDAは堅調に推移しており,順調に償還が進んでいる。普通株式への転換請求権が付されている案件でも,権利が行使されて普通株式の希薄化か生じた案件は皆無であることから,いずれもメザニン・ファイナンスの成功事例だと位置付けられる。
著者
杉浦 銀策
出版者
研究社出版
雑誌
英語青年 (ISSN:02872706)
巻号頁・発行日
vol.123, no.9, pp.p2-3, 1977-12
著者
杉浦 功一 SUGIURA Koichi
出版者
京都女子大学現代社会学部
雑誌
現代社会研究 (ISSN:18842623)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.23-41, 2006-12

民主化支援が国際的関心を集める中で、日本による民主化支援活動に関する研究は乏しい。そこで本稿では、民主化支援の国際的な動向を踏まえながら、日本の民主化への関与を分析し、その特徴の一端を明らかにする。日本の民主化支援の歴史を概観すると、日本は優先順位は高くないもののODA 大綱などを通じて民主化への支援のコミットを明確にしつつ、民主化の基盤を作る経済社会協力と対話を通じたアプローチを民主化支援の方針としてきたことがわかる。次に、日本の実際の民主化支援活動について具体的に検証する。広い意味での民主化支援活動は、大きく、民主化に関する国際規範の形成、民主化の「促進」、民主化の「擁護」より構成される。日本の個々の活動を検証すると、上記の特徴がやはり現れている。その上で、民主化支援活動の制度の明確化と他の利益とのバランス、市民社会との協力が今後の課題である。There has been little literature on Japan's democratization activities although democratization support is recently attracting much international attention. This article examines Japan's involvement in democratization abroad in the international trend of democratization support, and attempts to show its characteristics. This article briefly looks at the history of Japan's democratization support, and then examines its actual activities of democratization support, focusing on three activities : helping foster democratic norms, promoting democratization, and defending democratization. It makes it clear that Japan has shown its strong commitment to support for democratization abroad although its priority in Japan's diplomacy is still low, and that its approach to democratization support has been based on dialogue and economic and social cooperation to establish a foundation for democratization. Japan needs to institutionalize democratization support more clearly, keep balance between democratization abroad and other national interests, and seek more cooperation with civil society in Japan.
著者
杉浦 正美 山崎 文雄
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.6, pp.147-154, 1996-11

兵庫県宝塚市は、1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震の被災中心地の中では最も西方に位置しているが、犠牲者106名を出し、全壊3,800棟,半壊8,881棟(いずれも被災証明発行に基づく数字)の大きな被害を受けた。筆者らは、震災直後より宝塚市が実施した被害建物の全数調査の結果を用いて、被害データベースを構築した。本報告では、建物被害の概要を建物構造や建築年などの観点から整理するとともに、建物被害の地理的分布の特徴を考察した。上記の検討結果より、本震災における宝塚市の建物被害について、以下のことが明らかとなった。[建物構造](1)木質系プレハプ構造の被害は木造建物に比べ、明らかに少ない。 (2)非木造系ではRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造を含む),S-P(鉄骨造プレハプ),軽量S-P(軽量鉄骨造プレハプ)の全半壊率が20%前後なのに比べ、S造(鉄骨造),軽量S造全半壊率はその約倍の40%程度である。[建築年代](1)いずれの構造でも、建築年代が古いほど被害率が高くなる傾向を示す。 (2)木造系の建物は、建築年代による無被害率に大きな変化はないが、非木造系では、建築年代が新しいほど無被害率が増加する傾向がある。[被害分布]建物の建築年代による被害率の地域分布は、建築年が古い建物ほど、被害率が高い傾向が出ている。特に、阪急宝塚線とJR福知山線に沿って東西方向の連続した被害地域は、建築年や構造に関わらず周辺に比べ、被害が集中する傾向が認められる。また、建物被害と地形条件及び活断層位置の関係を見たところ、被害率の高い地域は、一部地域を除き、山麓の中小規模の扇状地面に分布する傾向にある。さらに、活断層との関係では、本地域を東西に横断する有馬-高槻構造線と被害率の商い地域が、一定距離を置きながらも平行して分布している特徴を示している。