著者
工藤 慎一 桑原 保正 Zoltán Korsós 市来 弥生 森田 将史 浅野 泰久 中村 泰之 田辺 力
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.135-137, 2014-10-05 (Released:2019-04-25)
参考文献数
9

We observed egg-brooding behavior in two Japanese millipedes, Eutrichodesmus elegans (Miyoshi, 1956) (Polydesmida: Haplodesmidae) and Cryptocorypha sp. (Pyrgodesmidae), under field conditions. In the former, females remained curling the body around the soil-made mound-like egg-chamber (containing eggs) constructed on dead leaves in the litter. In the latter, a female brooded an egg-mass under the bark of a decaying fallen log.
著者
森田 善仁 讃岐 美智義 世良 昭彦 木下 博之
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.111-116, 2003-04-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

心停止をきたした脚気心症例を経験し,PCPS下に,ビタミンB1を静注し救命しえた。48歳男性。ショック,呼吸困難のため当院に緊急搬送された。来院時,重篤な循環不全と代謝性アシドーシスを認めた。カテコラミンや重炭酸ナトリウム投与,IABPによる循環補助によっても症状の改善を認めず,心臓カテーテル検査中,心停止をきたしたためPCPSを導入した。諸検査後,心筋梗塞,肺梗塞,心タンポナーデを否定し,病歴から脚気心を疑った。ビタミンB1100mgを静注後,2時間でアシドーシスの改善がみられ,6時間で循環動態が安定したためPCPSを離脱した。原因不明のショック,アシドーシスでは,脚気心を疑い,速やかにビタミンB1を投与するべきである。
著者
森田 健宏
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.39-44, 1999-08-20
被引用文献数
4

幼児向け教育テレビ番組(NHK教育)をサンプルに, その中で用いられている映像技法2種(カット技法・ズーミング技法)の実態を明らかにした.その結果, カット技法については, 幼稚園教育要領の5領域のうち, 「表現」領域を主なねらいとした番組では, 同時カット技法が多く含まれ, 「環境」領域を主なねらいとした番組では, カット自体は少ないが継時カットの比率が高いことが明らかになった.また, ズーミング技法については, 「表現」領域の番組が最も多用されており, 秒間拡大率・縮小率も高い値を示していた.
著者
音羽 健司 森田 正哉
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.18-28, 2015-11-30 (Released:2015-12-10)
参考文献数
39
被引用文献数
1

社交不安症(SAD)は社交場面や対人面において恐れや不安を抱き,それを回避することで日常生活に支障を生じる疾患である。DSM-III以降,欧米では多くの疫学研究が行われるようになり,有病率の高さが注目された。DSM-IVでは社会恐怖の診断名に「社会不安障害」が併記され,恐怖症から不安障害へと名称・概念の変遷に至った。また,他の精神疾患の併存率の高さも指摘されており,特にうつ病や自殺のリスクに注意が必要である。DSM-5で初めて,SADはこれまでの自己主体性の不安だけでなく他者主体性の症状が盛り込まれ,わが国固有の対人恐怖症とほぼ同一の疾患概念として捉えられるようになった。本邦ではいまだ「見逃されている」精神疾患であり,診断と治療が依然十分には行き届いているとはいえない。わが国特有の文化的背景も考慮に入れつつ,患者に最適な治療が届くようにSADを見落とさない努力を医療者側が行う必要がある。
著者
森田 美里
出版者
日本フランス語フランス文学会
雑誌
フランス語フランス文学研究 (ISSN:04254929)
巻号頁・発行日
vol.106, pp.159-174, 2015-03-25 (Released:2017-03-30)

Cette etude a pour objectif de determiner la fonction d'un son produit avec la langue sur les points d'articulation alveolaire ou dental sans flux respiratoire, dans le discours de locuteurs francophones natifs. Le <<shitauchi>> pourrait se traduire litteralement par <<petit claquement de langue>>. Dans la communication entre Japonais et Francais, il est cause de malentendus et de quiproquos du fait qu'en japonais il marque principalement l'agacement. Neanmoins, il n'a jamais fait l'objet d'etude dans ce contexte car il est considere comme une simple emission buccale que, par ailleurs, les Francais ne percoivent pas. Nous avons sollicite des Francais pour l'execution de trois taches : d'abord, raconter un recit ; ensuite, indiquer un chemin ; enfin, observer des sequences televisuelles comme une interview d'artiste, un debat politique, etc. Ces recherches permettent de formuler trois hypotheses majeures : 1) en francais, il y a congruence entre le shitauchi et Les marques du travail de formulation (Candea 2000), 2) fonctionnellement, il s'agit d'attirer l'attention sur soi ou sur son propos, 3) les emplois concernent le traitement de l'information ou de l'expression, le changement de sujet ou de niveau du discours, l'amorcage de l'information, la prise de parole ou une manifestation de l'agacement du locuteur.
著者
山口 哲生 家敷 拓弥 森田 健敬 澤江 義則
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.77, no.7, pp.464-468, 2022-07-05 (Released:2022-07-05)
参考文献数
16

すべり摩擦は,二つの物体が互いに接触し,すべることによって生じる力学現象である.我々の生活のほぼすべてに関係しているといっても過言ではないくらい,身のまわりのさまざまなところに現れる.ダヴィンチ(L. da Vinci)以降,500年以上にわたって膨大な量の実験結果が蓄積され,エンジニアリングでの活用がなされてきた.すべり摩擦に関する学問分野は,トライボロジーと呼ばれる.トライボロジーでは,機械システムにおける金属間の摩擦や摩耗,潤滑に関する研究を中心に,さまざまな取り組みが行われている.また,物理学や高分子科学,地球科学などにおいても,金属,セラミクス,炭素材料,プラスチック,岩石などの幅広い物質群に対して,摩擦の素過程から定常的挙動,過渡的ふるまいに至るまで,実験,理論,数値解析を用いた研究が進められている.とりわけ,摩擦係数のすべり速度依存性は,多くの物質において,古典的な摩擦法則であるクーロン–アモントン(Coulomb–Amontons)則からの逸脱が明らかになってきた.素過程を色濃く反映し,かつシステムのダイナミクスを左右する重要な特性であるため,近年,多くの研究が行われている.しかしながら,我々が知る限り,すべての実験はすべり速度が小さい低速条件でのみ行われており,高速条件における理解が不足していた.ここで,低速,高速とは,一体何に対してであろうか? 今回着目するのは,摩擦が起こる材料(固体)の弾性波速度である.空気中の音波(縦波)とは異なり,固体には,S波(横波),P波(縦波),レイリー(Rayleigh)波(表面波)など複数の弾性波が存在し,それぞれが異なる伝播速度をもつ.それらよりも速くすべらせる“超音速”では,どういった現象が見られるのであろうか?しかしながら,超音速条件におけるすべり摩擦の実験は,典型的な摩擦材料である金属では容易ではない.なぜなら,金属の弾性波速度は,その中で最も小さなレイリー波速度ですら10 km/s程度と極めて大きく,同程度あるいはそれ以上のすべり速度を実現するのが困難であるからである.それでは,一体どうすれば超音速すべり摩擦を実行できるのか? そこで登場するのが,ソフトマターの一つであり,金属のそれと比べて圧倒的に小さな弾性波速度をもつゲルである.本研究では,弾性波速度のうちレイリー波速度とS波速度が小さく,かつ壊れにくいシリコーンゲル(以下ゲル)を用いることで,“音速の壁”を突破することに成功した.そのうえで,摩擦係数のすべり速度依存性を調べたところ,S波速度を超えるとともに摩擦係数が急激に上昇することが分かった.また,ゲル表面の変形形状や内部応力分布が,S波速度以上で質的に変化した.さらに,動弾性理論をもとに定常状態における解析解の導出を試みたところ,摩擦を採り入れた形で解析解を求めることができ,その解析解によって実験結果をある程度説明することができた.思い付きで始めた研究であったが,超音速すべり摩擦という新しい分野を切り拓くことができた.しかしながら,慣性の効果を考慮した弾性流体潤滑理論の構築や,境界による弾性波の反射を採り入れた解析,定常状態の安定性に関する議論など,実験結果を説明するための理論的アプローチがまだまだ不足している.現象の解明を目指した,さらなる研究が必要である.
著者
榎本 雅夫 森田 裕司 齋藤 明美 安枝 浩
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.39-44, 2009-01-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1

スギ花粉症の有病率は,日本の「国民病」といえる程に高い.一般的な治療には,マスクやメガネなどを使用したスギ花粉の回避によるセルフケアと第2世代抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬を用いたメディカルケアがある.しかし,医療機関を受診せず,いわゆる健康食品を利用した「セルフメディケーション」を行っている患者も多い.その1つに,スギ花粉をカプセルに詰めたものがある.2007年2月に,そのカプセル服用後に,アナフィラキシーショックを呈した49歳,女性を経験した.この症例の特異的IgE抗体やヒスタミン遊離試験はスギ花粉に対して陽性であった.内容物に含まれる主要抗原のCryj1量は少なかったが,この製品に含まれるスギ花粉以外にアナフィラキシーショックの原因は考えられず,服用後行ったテニスによる運動誘発アナフィラキシーショックと考えるのが妥当と結論した.
著者
森田 弘行
出版者
北海道文教大学
雑誌
北海道文教大学論集 = Journal of Hokkaido Bunkyo University (ISSN:13454242)
巻号頁・発行日
no.21, pp.17-28, 2020-03-20

新美南吉の「ごんぎつね」は,現在小学校4 年生の国語の教科書にすべて掲載され,数多くの授業実践が行われている.しかしながら,子供たちが教科書で学んでいる「ごんぎつね」は,草稿の「権狐」と,同じものではない.なぜなら,教科書に掲載されている「ごんぎつね」は,鈴木三重吉の添削によって,大幅に改変された「ごん狐」とほぼ同じものだからである.そこで,本論文では「ごんぎつね」「ごん狐」「権狐」の三つの作品を比較,検討しながら,子供の素朴な疑問に焦点を当て,教師に必要な素材研究について論じた.また,新美南吉の生い立ちや生まれ育った愛知県半田市岩滑の地域社会における伝承や歴史などにも言及しながら論を展開した.
著者
森田 美里
出版者
日本フランス語教育学会
雑誌
Revue japonaise de didactique du français (ISSN:18805930)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1-2, pp.80-96, 2015-09-15 (Released:2017-10-13)

日仏コミュニケーションにおいて「舌打ち」(非肺気流子音の歯茎吸着音)は誤解を招く原因の一つである。本研究では,まず実例に基づき舌打ちを観察し,次に日本人学習者の知覚と評価に関するアンケート調査を行い,さらに日本人に対するフランス語教育での舌打ちの取り扱いに関する条件を考察する。一つ目の調査結果から,舌打ちが談話標識のように現れ,主に注意喚起機能を持っていることが明らかになった。また,二つ目のアンケート調査により,この音がフランス語文法の基礎が十分ではない,なおかつ外発的に動機づけられている学習者には「聞こえる」ことがわかった。これらの者が渡仏を控えている場合,日本語の舌打ちとフランス語のそれとが異なる用法を持っているということを教えることは有用であろう。一方,基礎力が十分あり,なおかつ内発的に動機づけられた学習者は,日本人フランス語教師も含め「聞こえていない」。よって,この知識は全ての学生に必要であるとは言えないが,教師はこの現象を把握し,機能および用法を知っておくべきである。
著者
森田 泰彦
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.416-417, 1990-05-01 (Released:2009-11-13)

L-アスコルビン酸 (以下L-AsAと略す) は抗壊血病活性をもつ水溶性ビタミンで一般にはビタミンCとして知られている。AsAにはL-体とD-体とが存在するが, 抗壊血病作用をもつのはL-体でD-体はほとんど作用がない。1920年に抗壊血病作用を示す成分がビタミンCと〓命名された (Drummondにより) が, その後Szent-Gyorgyiらがウシの副じん (腎), オレンジ, キャベッ等から結晶として単離してヘキスロン酸と命名した物質がビタミンCと同一物質であることが確認され, 抗壊血病の意味からアスコルビン酸と命名された。天然にはかんきつ (柑橘) 類, そ (蔬) 菜類, 緑茶等に多く含まれているが, 純度の高い結晶が容易に大量生産されるので天然物から抽出, 単離することは行われていない。
著者
荒牧 英治 増川 佐知子 森田 瑞樹 保田 祥
雑誌
研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2012-NL-208, no.9, pp.1-8, 2012-08-26

これまで言語学で高い関心を集めている問題の1つに人間の語彙数がある.数々の調査がなされてきたが,その多くは,理解できる語彙(理解語彙)の調査にとどまり,実際に使用する語彙(使用語彙)についてはどのくらいのものか,いっこうにわからないとされてきた.本研究では,ウェブ上の発言データを利用し,10万人という大規模な人数で使用語彙調査を行った.調査の結果,使用語彙は平均8,000語であることが明らかになった.さらに,同データを用いて,語のユーザ数の調査を行った.この結果,ユーザに偏りがある語や偏りがない語のリストが得られた.このようなユーザ数にもとづいたリストは本研究で初めて得られたものである.
著者
森田 健太郎
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.180-183, 2020-05-15 (Released:2020-05-29)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2
著者
森田 邦久
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.1_1-1_14, 2009 (Released:2009-09-30)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

In this essay, I would like to show a demarcation between science and pseudo-science, from two approaches: theoretical and experimental/observational. Theoretical approach pays attention to revision pattern in theoretical explanation. Especially, when the elucidator introduces new unknown elements for explanation, pseudo-scientific explanation fails to satisfy some conditions. On the other hand, experimental/observational criterion says, pseudo-science claims doubtful phenomenological laws.
著者
泉川 時 後藤 春彦 吉江 俊 森田 椋也
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.87, no.795, pp.842-853, 2022-05-01 (Released:2022-05-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

The purpose of this project is to examine the transformation of shrines that have progressed with re-urbanization and to discuss the issues of shrines at the turning point by clarifying the spatial change and development process through a survey of shrines that have been developed under the initiative of the private sector in Tokyo ward area. Through the research, it was clarified that the shrines have progressed due to the unique development, changes in visitors’ behavior, and the creation of new value. On the contrary, the relationship between the various powers surrounding the shrine was found to be unbalanced.
著者
森田 理仁
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.549-560, 2016 (Released:2016-12-28)
参考文献数
32

本論文は生態学の分野の中でも、ヒトの行動の進化に関する研究の事例に注目して、科学と社会の関係を考察したものである。科学コミュニケーションの課題が顕著に表れるヒトを対象とした事例をおもに取り上げるが、背景に存在する科学の性質や問題意識は、程度に違いはあるものの他の生物における研究とも広く共通している。ヒトの行動について生物学的な説明を与えることに対しては、これまでに多くの批判がなされてきた。その最も顕著な例が、社会生物学論争である。E・O・ウィルソンは1975年に『社会生物学』を出版し、ヒトの行動を生物学の理論をもとに説明することを試みた。これに対して、R・C・ルウォンティンやS・J・グールドらは、ウィルソンの試みは社会にとってのさまざまな危険をはらむと痛烈に批判し、その批判は大規模な論争に発展した。ここでルウォンティンらは、社会生物学を生物学的決定論や適応主義などの点から批判し、研究がもつ「社会的・倫理的リスク」を危惧した。彼らの批判において指摘された重要な問題は、社会生物学は現代社会の価値観や先入観が反映されたものであり、それがさらに社会の現状の正当化や変更不可能であるといった考え方をもたらすという「二重の過程」と、研究者の意図に関わらず成果が誤解されてしまうという「意図せずに起こる誤解」の二つである。J・オルコックは2001年に『社会生物学の勝利』を出版し、社会生物学に対する批判を退けたかのように見えるが、実際にはオルコックと批判者たちの主張にはかみ合っていない部分も存在する。本論文では、社会生物学論争の要点をまとめ、その現代的意義を明らかにする。そして論争に関連して、進化生物学の研究成果が社会的・政治的に誤解・誤用された近年の事例、および、著者自身の少子化についての研究例を踏まえた上で、現代におけるヒトの行動に関する進化生物学的研究をどのように進めていけばよいか、そして、研究成果をどのように発信していけばよいかについて考察する。具体的には、(1)仮説を検証するために十分な証拠を集めること、(2)主張の誤用ができる限り起こらないように注意して発表すること、(3)誤用が起きた場合にはそれを公に指摘すること、という三点(Alcock 2001, pp. 194-195, 邦訳pp. 298-300)の重要性を改めて指摘するとともに、学会が担う社会的役割にも言及する。