著者
永田 龍世 稲森 由恵 髙田 良治 池田 賢一 渡邊 修 髙嶋 博
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.146-150, 2014-02-01 (Released:2014-02-28)
参考文献数
16

症例は80歳男性である.両側性末梢性顔面神経麻痺,四肢筋力低下,四肢末梢・会陰部の感覚障害,尿閉,便秘,四肢腱反射消失をみとめた.バゾプレシン分泌過剰症(syndrome of inappropriate antidiuretic hormone secretion; SIADH),脳脊髄液細胞増多・蛋白上昇をみとめ,セフトリアキソンおよびステロイドパルス治療にて神経症状はすみやかに改善した.脳脊髄液CXCL-13上昇,血清抗ボレリアIgM抗体陽性より神経ボレリア症と診断した.経過中,SIADHの再燃と全身状態の悪化をみとめ,骨髄検査でT細胞型悪性リンパ腫が判明した.近年,ボレリア感染とリンパ腫の関連が報告されており,本例においてもボレリア感染がリンパ腫の発症機序に関連した可能性が考えられた.
著者
斎藤 兆史 濱田 秀行 柾木 貴之 秋田 喜代美 藤江 康彦 藤森 千尋 三瓶 ゆき 王 林鋒
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.467-478, 2013-03-10

This paper describes the theoretical basis of the research grant project which is designed to provide a set of methodologies to develop high school students’ meta-grammatical abilities. The paper begins by explaining the purpose of the project and the key concept ‘meta-grammatical abilities’, which are supposed to enable students to analyze any language in a structural way. It then goes on to make historical surveys, respectively from the viewpoints of Japanese education and English language teaching, of grammatical approaches to language teaching, and finally suggests the possibility of combining some of those different approaches into a methodology of interlanguage grammar teaching.
著者
跡見 順子 清水 美穂 秋光 信佳 廣瀬 昇 跡見 友章 長谷川 克也 藤田 恵理 菊池 吉晃 渡邊 敏行 竹森 重 中村 仁彦 井尻 憲一 吉村 浩太郎 高野 渉 神永 拓 江頭 正人
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

1Gという重力への適応を通して地球上で進化してきた人間は、動くことで重力を活用して身体を賦活化し、健康な状態を維持することができる。新しい健康科学イノベーション"重力健康科学"研究では、生命科学、脳科学、理学療法学、機器開発者が連携し、これまで皆無だった"ホメオスタシス範囲の評価系構築"に向けた研究に取り組んだ。いかに自重支持を行いながら運動し転倒しないようにするか?細胞と身体をつなぐ緊張性収縮のダイナミック制御システムを研究することが鍵でありかつ可能であることを、この萌芽的研究が明らかにした。
著者
鈴木 由佳 金内 神谷 博子 金内 誠 石堂 智子 森田 明 坪田 康信
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.9, pp.699-705, 2012-09-15
被引用文献数
1

本研究では,消費者の購買意欲と消費者の潜在的な嗜好を検討するため,官能評価およびグループインタビューを行った。(1)成分値的に標準的な市販清酒(大吟醸・吟醸酒,特別純米・純米酒,本醸造酒,生もと・山廃酒,低アルコール清酒)を用いて20~30代,22人による官能評価を行った。(2)「呈昧の嗜好/バランス」,「購買意欲」,「苦味」は,高い相関が見られ,消費者にとって苦味が購買意欲に関与する因子の一つであった。(3)清酒をよく喫飲するグループ(グループI)の「清酒のイメージ」は,「伝統」,「アルコール」,「年配」というイメージであった。あまり清酒を喫飲しないグループ(グループII)の「清酒のイメージ」は,グループIと同様「年配」,「アルコール」,「伝統」のほかに,「高級」であり,吟醸酒などの特定名称酒のイメージが強いことが推察された。(4)グループIの清酒の味のイメージは「甘味」と答える回答が多く,ついで,「アルコール」,「苦味」であった。グループIIの清酒の味のイメージは,「苦味」と答える回答が多く,ついで,「酸味」,「アルコール」で,グループ間に相違があった。また,両グループとも喫飲したくない清酒の味は「苦味」であった。(5)消費者の清酒の価値は,官能的にも,イメージ的にも苦味が関与していることが明らかとなった。つまり,苦味は「呈味の嗜好/バランス」を下げ,結果的に「購買意欲」を低下させる因子の一つであると推察された。
著者
森田 みすゑ
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.204-213, 1973-09-25 (Released:2010-10-29)
参考文献数
16

The dietary attitude which is so good as to maintain life and active energy at old age needs desirable management of nutrition as well as the proper management of life.The dietary habits of long existing from the past have close relations with man's span of life, and under the influence of both natural and social environments, they have deep relations with man's life and regional environments.The subjects of this survey were long lived persons, 52 men and women, over seventy years old of Oki island, Shimane profecture.The results of their nutrient intake are summarized as follows.The relations between dietary habits and longevity, and the background produced remarkable results were discussed.1) The caloric intake was considerably different among individuals. The protein intake of the men reached the target intake. The energy value of both sex and the protein intake of the women nearly reached the target intake.2) It was made clear that all subjects consumed animal protein by taking fresh-mild taste fishery products. Therefore, the tendency to ward the consumption of animal protein and fat can be said to be desirable.3) On the contrary, the intake of micronutrient elements was fairly low on the whole. A considerable intake is needed.4) There was a marked tendency to eat fish shellfish, seaweeds, vegetables, and pulses, together with a large quantity of rice.5) Consequently, it was revealed that longevity has close relations with both natural and social environments.
著者
森田 寛二
出版者
東北大学法学会
雑誌
法学 (ISSN:03855082)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.p45-96, 1976-03
著者
植田 和弘 森 晶寿 高田 光雄 浅野 耕太 諸富 徹 足立 幸男 新澤 秀則 室田 武 新澤 秀則 足立 幸男
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

本研究領域は、持続可能な発展論と環境ガバナンス論を重層性に着目して統合的に再構成し、持続可能な社会を実現するための理論的基礎と実践的指針を確立するという極めて実践的な問題意識を持ってすすめた。個々の研究成果を理論的・実現的に蓄積させ有機的に結合することにより、従来にない先導的で基盤的な意義を有する研究成果としてまとめた。さらに、これまでに得られた学術的研究成果を基に、最終報告書として5巻にのぼる英文学術書を取りまとめた。そのうち2巻については出版し、残り3巻についても編集作業がほぼ完了した。留意した点はいかのとおりである。昨年度までに国内外で開催された国際会議や学会において研究成果を公表してきたが、そこで得られたコメント等は本領域研究の問題意識と方法等に対しておおむね好意的であった。さらに、本領域の学術的価値を適切に評価し、国際的な評価を受けるべく適宜アドバイスを求めてきた国内外の有力研究者からの指摘は本領域研究のオリジナリティに関して高い評価を得ており、その核心部分と改善に向けての示唆を最終報告書である英文学術書5巻に反映させた。国際学術誌や国内学会誌に掲載された研究成果も多数にのぼるが、それらのエッセンスに加えて中間報告書に対する論評も考慮して、本領域研究の成果を総体として持続可能な発展の重層的環境ガバナンスに関する理論的実証的体系としてまとめた。そして、その成果を国際的に発信すべく英文で出版した。また、領域研究全体としての成果を、速やかに社会に提供できる環境を構築するべく、インターネット・ウェブ・ページを開設し、外部から自由にアクセスできるようにした。これにより、国内外を問わず、この領域に関心を示す研究者とコミュニケーションに基づく批判的吟味を受け討議を行うことが可能となった。
著者
佐藤 嘉則 川崎 明彦 森田 豊久 福本 恭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.194, pp.211-217, 2005-07-15
被引用文献数
2

プライバシー保護への社会的要請が高まっている昨今, 個人情報に関わるあらゆる企業内情報システムではプライバシーへの配慮が不可欠となっている.本稿では, 情報主体への到達可能性を制御するというコンセプトに基づき, 実名・偽名データの結合をICカードにより制御する個人情報管理システムを提案する.提案システムは, 業務アプリケーションへの影響をできるだけ抑えつつ, 詳細な個人情報の利用機会の最小化, 利用権限の物理的保護の実現を狙うものである.本稿では提案システムの概要について述べる.
著者
高嶋 和毅 大森慈子 吉本 良治 伊藤雄一 北村 喜文 岸野 文郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.3811-3820, 2008-12-15

キャラクタの瞬目率を制御することによってキャラクタの魅力や心理状態の表現を操作する手法を検討し,キャラクタの瞬目アニメーションに関する設計指針を提案する.本研究では,2つのキャラクタ印象評定実験を行った.実験1では,刺激に中程度のリアリティを持つキャラクタモデル(男女2体ずつ計4体)を用い,瞬目率を9,12,18,24,36 blinks/minと変化させた場合の観察者の印象をSD法により評価した.実験2では,カートゥーンキャラクタモデル(男女,動物,未知の生物を各2体ずつ計4体)を用いて同様の実験を行った.これらの結果,18 blinks/minの瞬目率が最も親近性のあるキャラクタであると判断され,この傾向は人型キャラクタにおいて顕著であった.また,36 blinks/minなどの高頻度の瞬目を行うキャラクタは活発でない印象を与え,9 blinks/minといった低頻度の瞬目では知的な印象を与えることなどが分かった.The purpose of this study is to establish guidelines for managing the attractiveness of a character by changing the rate of the character's blinking. We conducted experiments to investigate the effect of the character's blink rate on a viewer's personal impression. The stimulus characters, humans with generic reality (male and female), cartoon-style humans (male and female), animals, and unidentified life forms, were presented as a 20-second animation with various blink rates: 9, 12, 18, 24 and 36 blinks/min. Subjects rated impressions of the presented stimulus character on a seven-point semantic differential scale. Results showed a significant effect of the character's blinking on viewer's impressions, and it was larger with the human-style character than the others. The results also lead to several implications and guidelines for the design of character representation. The blink animation of 18 blinks/min with a humanstyle character can produce the friendliest impression. The higher blink rates, i.e. 36 blinks/min, give inactive impressions while the lower blink rates, i.e., 9 blinks/min, give intelligent impressions.
著者
小森 貞男 副島 淳一 伊藤 祐司 別所 英男 阿部 和幸 古藤田 信博
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.917-926, 1998-11-15
参考文献数
20
被引用文献数
4 2

'金星'と'レッドゴールド'および'千秋'と'いわかみ'の不和合性を手がかりとして,'デリシャス','ふじ','ゴールデン・デリシャス','はつあき','紅玉','国光','千秋','東光'とそれらの交雑実生を用いて主要栽培品種のS遺伝子型解析を試みた.その結果6つのS複対立遺伝子と7つのS遺伝子型の存在が示唆され,9品種のS遺伝子型を以下のように決定した.(S_Ja, S_Jb)='ゴールデン・デリシャス'(S_Ja, S_Jd)='東光'(S_Jc, S_Jd)='紅玉','ひめかみ'(S_Jc, S_Je)='デリシャス'(S_Jc, S_Jf)='ふじ'(S_Jd, S_Jf)='千秋','いわかみ'(S_Je, S_Jf)='国光'また'東光'のS_Jd因子は'印度'に由来していることが明らかになった.さらに'金星'と'レッドゴールド'のS遺伝子型は(S_Ja, S_Je)または(S_Jb, S_Je)のいずれかであり,'はつあき'のS遺伝子型は(S_Ja, S_Jc)または(S_Jb, S_Jc)と考えられる.
著者
森 元孝
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、現象としての「東京都知事石原慎太郎」を経験的データにより再構成することにある。このために、(1)知事についてのイメージ変数(非政治的領域)、(2)同(政治的領域)、(3)オリンピック招致について形成されるイメージ、(4)都市東京についてのイメージ、(5)日本の政治状況(国政および地方選挙をめぐるイメージ)を諸変数に質問紙を設計。平成21年から23年度まで計6回インターネットによるパネル調査実施。時点比較可能なデータを収集した。これをもとに、現象としての「東京都知事石原慎太郎」という研究書をまとめている。
著者
鈴木 惟司 森岡 弘之
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.45-49, 2005-09-30 (Released:2007-09-28)
参考文献数
22
被引用文献数
5 6

メグロApalopteron familiare は小笠原諸島 (小笠原群島) 固有種で, 母島列島と聟島列島で分布が確認され, 前者では現在も生息, 後者では戦後の生息確認はないものの, 戦前に生息が確認されている。しかし, 小笠原群島の中央にあって最大の島父島をもつ父島列島においては, メグロの確実な生息・分布記録を示す資料が知られず, 過去における当地のメグロの分布状況は不明確なままであった。筆者らは, メグロが父島に生息していたかどうかを検討するため, メグロの記載者であるKittlitzのものを含む古い文献を再調査した。その結果, Kittlitzの書き残した文書の中に彼自身が1828年に父島でメグロを観察したことを示す記述を見いだし, メグロがかつて父島にも生息・分布, その後何らかの理由で絶滅したとの結論を得た。
著者
森田 一三 中垣 晴男 村上 多恵子 加藤 一夫 水野 照久 坪井 信二 加藤 尚一 水谷 雄樹 太田 重正 小澤 晃 瀧川 融 粂野 千代 井上 千恵子 井上 好平 相武 卓樹 飯島 英文 佐藤 和子 大野 知子
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.241-247, 1996-07-30
被引用文献数
22

80歳で20歯以上保持する者(8020者)と19歯以下の者(対照者)について,栄養および食事摂取状況を比較検討した。その結果8020者はエネルギー充足率が有意に低かった。また,糖質摂取量が低い傾向が見られた。食品の摂取品目は8020者の方が多かった。以上より8020者はエネルギー摂取量は少なめで,多くの種類の食品を摂ると結論された。