著者
田所 智子 大浦 杏子 琢磨 慧 中原 麻衣 藤田 浩二 三村 志麻 谷 丈二 森下 朝洋 小野 正文 樋本 尚志 正木 勉
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.25-30, 2024-01-01 (Released:2024-01-10)
参考文献数
17

症例は50代女性.B型肝硬変,肝細胞癌に対して肝切除術後.術後15カ月頃より貧血(術前Hb10.9 g/dl→5.8 g/dl)および白血球数減少(術前7550 /μl→1160 /μl)の急激な増悪を認め,末梢神経障害も呈するようになった.全身薬物療法の施行歴はなく各種スクリーニング検査や骨髄検査を行うも原因不明であった.経過で血清銅低値,血清亜鉛高値が判明,他科にて亜鉛製剤が術後より長期処方されており亜鉛製剤による銅欠乏症と判断した.薬剤中止に加え純ココアによる銅補充を行い,術前と同程度への血球回復と末梢神経障害の改善を認めた.肝硬変患者における亜鉛補充療法は一般的となりつつあるが,亜鉛製剤は多量継続摂取により銅欠乏症の誘因になり得る.銅欠乏により生じる血球減少は鑑別が困難なことが多く,神経障害は非可逆性となる可能性がある.亜鉛製剤投与中の血清銅測定の必要性を周知する必要がある.
著者
森山 悦子 岩本 英希 新関 敬 永山 綾子 城野 智毅 下瀬 茂男 中野 聖士 野田 悠 鈴木 浩之 酒井 味和 黒松 亮子 古賀 浩徳 野村 政壽 川口 巧
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.37-44, 2024-01-01 (Released:2024-01-10)
参考文献数
16

atezolizumab+bevacizumab併用療法(atezo+beva)はIMbrave150試験の結果に基づき,本邦でも肝細胞癌の一次治療薬となった.atezo+bevaは,実臨床においてもその有用性が示されている一方で,免疫関連有害事象(irAE)の報告も増加している.今回,我々は切除不能肝細胞癌に対しatezo+beva後に下垂体性副腎皮質機能低下症を生じた3例を経験したため報告する.3症例ともに,主訴は倦怠感であり,低血圧と著明な低Na血症を認めていた.血清ACTH値の増加は認めなかったが,血清コルチゾール値の低下を認め,下垂体性副腎皮質機能低下症の診断に至った.ヒドロコルチゾンの投与により全例で速やかに症状の改善を認めた.免疫チェックポイント阻害剤投与時には様々なirAEが出現し得るが,副腎皮質機能低下症による低Na血症および低血圧症も念頭に入れ,診療に携わる必要がある.
著者
石丸 時大 森 傑 野村 理恵
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.80, no.715, pp.1979-1989, 2015 (Released:2015-10-21)
参考文献数
9
被引用文献数
24 22

This study examines the progress achieved by projects aimed at promoting collective relocation for disaster prevention since the Great East Japan Earthquake and their current state of affairs. This investigation seeks to clarify the spatial characteristics of the residential land currently under construction on hilly terrain as part of these collective relocation projects. Spatial planning for the collective relocation project in Kesennuma city, which deals with a relatively small area, has focused on relocation that respects existing community units, i.e., the identical and unified types. In addition, most of the housing development plans focus on construction that will connect and run linearly along the National Highway 45, which is the main arterial road of Kesennuma.
著者
渡辺 洋一 松尾 圭祐 玉置 明彦 平木 俊吉 森山 重治 堀内 武志
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.510-515, 2001-09-25 (Released:2016-10-15)
参考文献数
18
被引用文献数
28

我々は固形シリコンを用いた気管支充填術Bronchial Embolization using Silicone(以下BEUS)を考案し, 従来の充填材を用いた充填術に比べ, その確実性において優れていることを報告してきた。シリコン性充填材として開発したEndobronchial Watanabe Spigot(以下EWS)を手術困難な難治性気胸, 気管支瘻等に使用し良好な治療成績を得ることができたので報告する。対象症例は難治性気胸24例, 有瘻性膿胸7例、肺瘻4例、気管支瘻1例, 気管支胆管瘻1例の合計37例(35施設)であった。バルーンカテーテルを用いた試験等で30/37(81.1%)において責任気管支の同定が可能であり, EWSを用いた気管支充填術により12/32(37.5%)の症例においてエアーリークの消失が, 14/32(43.7%)の症例においてエアーリークの明らかな減少が認められた。これらの効果により肺の拡張を得ることができた19/31(61.3%)の症例において胸腔ドレナージチューブを抜去することができた。本療法に伴う合併症としては肺炎, 呼吸困難, 無気肺を各々2/32(6.3%)の症例に認めた。EWSを用いた気管支充填術は, 従来の気管支充填術に比してより確実で長時間の充填効果を得ることができ, 難治性気胸, 有瘻性膿胸, 肺瘻, 気管支瘻等の疾患に対する有用性が示唆された。
著者
大渕 正博 藤井 中 鈴木 理恵 吉澤 睦博 近藤 正芳 尾崎 文宣 森 保宏
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.29, no.73, pp.1215-1220, 2023-10-20 (Released:2023-10-20)
参考文献数
14

The authors conducted a questionnaire survey for the purpose of analyzing how severe the disasters are assumed in BCP and which measures are being taken. We have analyzed priority of risk countermeasures and content of countermeasures. In this paper, ratio of cumulative number of respondents to the questionnaire to the total number of respondents is regarded as subjective probabilities of restoration periods or frequencies of assumed disasters. In this way, we regard the recovery performance of facilities or the frequency of assumed disasters as a subjective probability that quantitatively evaluates how people think, and propose them as assumed curves.
著者
小原 啓義 森崎 正人 片岡 朋子 片岡 裕
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究は第1に、ネットワーク・ワイドなMulti-Window Systemsに対応し、それらを国際化する機能モジュール群、すなわち、全文字コードの混在入出力、文字コード非依存の全文字コード混在テキスト処理、ISO 2022/6429を越える通信、Outline Fonts処理、実用に耐える速度と処理能力を持った実用システムとして開発すること目的とする。第2に、これらのモジュール群にMulti-Window SystemsやOSに依存しない高い移植性を持たせ、各種window Systemsに移植し、リアルタイム機能に対応する本格的な国際化マルチ・メディアの基礎ツールとしての実証と、実用システムとしての検証を目的とした。実際の研究としては、まず、全世界の文字の構造と情報交換用文字コードの調査と分類を行った。その結果、文字コードから、処理対象としての文字、文字から表示の二段階の変換を行うことによって、文字コードポイント数、文字、図形数が一致しない、現実の文字列の処理が可能となった。これをもとに、全世界の文字の混在が可能な、入力、出力、基本文書編集(挿入、削除、検索等)及び通信の各モジュール並びにOSへの移植用ライブラリーを作成することを目標として研究と開発を進めた。その結果、POSIXオペレーティング・システムとX Window Systemのスーパーセットとして動作するモジュール群を開発した。既開発の要素技術を基に、既に作成したフォントを用いての、国際化X Window System・ライブラリを開発した。文字コードの規格が存在しない歴史的文字を含む文字対応への検証のため、蒙古系文字群のコード化とフォントの作成を行なった。さらに、結合音節文字の一文字決定のルールを明確にした。その結果、高速な動作が実証され、地域化・国際化・多言語化の明確な定義とその統一モデルが得られた。さらに、蒙古系文字群への対応によって、歴史的文字を含め、適応範囲の広さと実用性を実証した。
著者
萩原 富司 田中 利勝 鈴木 盛智 古川 大恭 森 晃
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.27-35, 2018-10-24 (Released:2018-10-24)
参考文献数
30
被引用文献数
1

関東地方にはかつて利根川の氾濫原を中心に多くの河川・池沼が点在し,カラスガイ,イシガイ,ドブガイ類が生息していた.しかし近年,特にカラスガイの生息数の減少が顕著であり,各県のレッドリストにおいて,絶滅危惧種に指定されており,地域個体群の絶滅が危惧されている.2017 年3 月11 日に,渡良瀬遊水地内の水路においてカラスガイを採集した.カラスガイの殻長は180–300mm の範囲であり,同所的に生息するドブガイ類と異なり小型個体は見られなかった.カラスガイは新規加入がほとんどなく老齢個体だけが生き残っている状態と思われる.本種の分布や生息地に関する報告が非常に少ない現在,既報に記載された生息地の再確認を行うとともに,関東地方には過去に琵琶湖産二枚貝類の移植に伴ってカラスガイが持ち込まれた可能性もあるため,自然分布域の遺伝子を分析して地域ごとの遺伝子型を調べておくことが急がれる.
著者
大坪 俊通 中村 信一 佐藤 まりこ 國森 裕生
出版者
日本測地学会
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.79-86, 2013 (Released:2015-07-11)
参考文献数
18

Geodetic laser ranging activities in Japan are reviewed in comparison with the worldwide perspective, in terms of terrestrial tracking stations, satellite missions and scientific analyses. Being severely understaffed, three laser ranging stations, three associate analysis centers, and a number of satellite missions have been successfully operated, and a number of significant contributions have been made to the international community in both science and technology. In the future, we should strive to focus more on domestically-produced technologies, educational paths, and multiple-technique integration.
著者
角田 功太郎 五十田 博 井上 涼 森 拓郎 田中 圭 佐藤 利昭
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1_21-1_33, 2019 (Released:2019-02-27)
参考文献数
4
被引用文献数
2 2

2016年熊本地震において悉皆調査が実施された建物を対象に,2年後の調査を実施した.調査の目的は,被害レベル,建築年,構造種別などと2年後の使用状況の関係を定量化することである.益城町の調査範囲において,約半数が現存しないことがわかった.加えて,当然ではあるが,被災した建物の建築年が新しいほど,あるいは被災した住宅の被害レベルが低いほど,継続的に使用されている割合が高かった.また,継続使用されている建物であっても,そのうちの37%には補修が施されており,外観調査上は無被害と判定された建物でも補修されている例も多くみられた.建替え後の構造は84%が木造であり,階数は平屋建てが最も多く,71%を占めていた.
著者
松森 靖夫
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.27-39, 1999-11-30 (Released:2022-06-30)
参考文献数
20
被引用文献数
4

本研究の主目的は,以下の3点である。(1)命題の科学的真偽を判断する際に,子どもが用いる命題論理について把握する。(2)子どもなりの命題論理に適合した真偽法による評価シートについて提案する。(3)提案した真偽法(評価シート)の活用可能性などについて検討を加える。そして,以下のような知見を得たので報告する。(1)自然の事物現象に言及する命題の真偽を判断する際,子どもなりの多様な命題論理(真・偽以外の新たな真理値を設定する“子どもの多値論理学”)の適用が想定されること。(2)コメット法(“子どもの命題論理学”に適合した“多値真偽法” )による評価シートを開発したこと。具体的には,(「そう思う」・「そう思わない」・「分からない」・「ほかの考え( )」という四つの真理値で構成される評価シートである。(3)提案した評価シートは,理科教育実践において活用可能であると考えられるが,解決すべき課題(命題文の表記の問題など)も想定されること。
著者
有馬 多久充 梁 葉飛 森田 愛子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第21回大会
巻号頁・発行日
pp.83, 2023 (Released:2023-10-18)

内声化は頭の中で文章を音読する活動のことであり,内声化中に聞こえる声の種類や鮮明さには個人差がある。本研究では,大学生を対象に挿絵の有無 (研究1) や会話主の種類 (研究2) が,内声化の具象性にどのような影響を与えるか検討を行った。研究1では,挿絵の有無を操作した文章の読解後に,研究2では,文章の会話主 (人間・人間以外) を操作した文章の読解後に,内声化量と内声化の具象性について評定を求めた。その結果,研究1では,挿絵なし条件では,登場人物に合わせた声での内声化や声の使い分けがやや行われにくかった。研究2では,人間以外が会話主である条件では,文章によって内声化時の声の種類数が変化する人が多かった。これらの結果から,個人の内声化のしかたは一貫しているわけではなく,聞こえている声の種類数は文章によって変化しており,会話主の種類といった文章の特性によって変化のしかたが異なることが明らかとなった。
著者
横関 俊也 森 健二 矢野 伸裕 萩田 賢司 牧下 寛
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_577-I_588, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
14
被引用文献数
6 6

本研究では,自転車利用者が通行位置と進行方向の選択を行う際に影響を与える要因を解明するため,自転車交通の観測調査とロジスティック回帰分析を行った.その結果,通行位置の選択には,年齢層や自転車のタイプ等といった自転車利用者の個人属性,自転車の進行方向,自転車専用通行帯や普通自転車通行指定部分の有無,車道と歩道の位置変更のしやすさ等の道路特性,路上駐車の有無,歩行者や自動車,自転車の交通量が影響を与える要因となることがわかった.また,進行方向の選択には,自転車利用者の個人属性はあまり影響せずに,自転車専用通行帯や普通自転車通行指定部分の有無や大規模集客施設のあるサイドかどうか,車道と歩道の位置変更のしやすさ等の道路特性,路上駐車の有無や自動車と自転車の交通量が影響を与える要因として推定された.
著者
吉田 正昭 森山 美那子 玉井 ちづ子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.353-366, 1962 (Released:2010-07-16)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

It is said that the Japanese are weak toward authority, and the authors feel it is necessary to analyze the structure of the attitude toward authority among Japanese. The main purpose of this paper is an analysis of the Japanese attitude toward authority.1) Thirty items (jobs or positions) were selected for rating. These items were: Judge of the Supreme Court, lawer, university professor, editorial writer of a big newspaper, radio news commentator, chief engineer for constuction of a dam, the president of the medical association, the Foreign Minister, Member of Parliament, the chairman of the General Council of Trade Unions, revolutionist, the president of the Bank of Japan, director of a large company, the best rice cultivator in Japan, principal of a primary school, president of the society for the child welfare, social worker, minister, president of Soka-Gakkai (a society of a new religion), the Emperor, literary critic, music conductor, kabuki actor, movie actor, masterhand of Go or chess, designer, Miss Universe, head master of tea ceremony, a grand champion of Sumo wrestling, and a baseball pitcher of fame.2) These items were rated on twenty-two traits or attributes by the contant sum method. These traits were: length of training or experience, thinking ability, constant effort, educational background, popularity, critical ability toward the current issues, good writing and fluent speech, administrative ability, social status, standing by the weak, popularity among high society, number of subordinates, sensitivity, physical strength, good looks, idealism, international reputation, financial status, good tradition, superhuman attractiveness, pedigree, and athletic skill. Raters were about one hundred and twenty female university students.3) The results of the rating for the social status are as follows: The president of the Bank of Japan is ranked the highest, and the president of the medical association, judge of the Supreme Court, the Emperor, the Foreign Minister, university professor and director of big company, follows in this order. These ranks seem to coincide with the current social hierarchy. Those who have strong social powers seem to be ranked high and those who criticize them low. Intellectual abilities (e.g., ability of reasoning, critical ability and educational background) are ranked higher than family standing, prestige by tradition or physical ability (see Table 1).4) Intercorrelations of the twenty-two traits were computed and analyzed by Thurstone's centroid solution, and the following factors were found. (I) High education and social status vs. physical ability, constant efforts, popularity, and superhuman attractiveness. (II) Idealism vs. popularity among high society. (III) Term of training or experience, constant effort and physical strength vs. administrative ability. (IV) Good looks vs. popularity. Percentage of the factor variance (I) is approximately 50 (see Table 4 and Fig. 1).5) Thirteen items selected from the thirty items, mentioned above were rated and analyzed by Torgerson's multi-dimensional scaling method. Raters were eighty female university students, fifty factory workers, a few nurses, business girls, and house wives. The results show that these items can be arranged on a two dimensional space with x and y axes. Those who have high ranks along the x axis are Foreign Minister, university professor, editorial writer and the Emperor, and those who have low ranks are movie actor, head-master of tea ceremony and a grand champion of Sumo. This may imply that the x axis shows the degree of social influences or the amount of authority. The higher the social status and educational backgrounds are, the higher the prestige. The prestige based on sensual or physical traits are ranked low. Critical attitude toward the current social hierarchy has not gained high prestige among Japanese. The implication of the y axis is not clear, but it may
著者
相馬 佑成 森本 瑛士 谷口 守
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.I_945-I_955, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
22
被引用文献数
1

近年,患者の通院に対する負担軽減を目的に,先進技術やMaaSの考えを取り入れた医療MaaS等の新たな医療サービスとして,コネクティッド・メディスンの導入検討がなされている.さらに,昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により診療形態の変革が予想される.本研究では,コネクティッド・メディスンに対する利用意向を医療サービスに関わる複数指標を用いた都市類型化や独自のアンケート調査から得た通院行動・意識,コロナ禍の影響の観点から考察した.結果として,コネクティッド・メディスンに対する利用意向については,医療サービスに基づく都市類型の違いより,通院行動・意識やコロナ禍の影響の方が顕著であることが示された.コネクティッド・メディスンの導入に際し,通院頻度や交通手段に基づく検討の重要性が示唆されたといえる.
著者
大森 朝日
出版者
日本危機管理学会
雑誌
危機管理研究 (ISSN:0919245X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.23-28, 2021 (Released:2021-10-01)
参考文献数
16

近年,記者会見のネット中継が増え,一般の人まで視聴することができるようになった。結果として,いわゆる“ 荒れる会見” が少なくなったのと同時に,その模様が衆人環視に晒されことになった。 こうした中,コロナ禍となり,テレビ会議による会見の運営にソーシャルディスタンスなどで工夫が必要となった。ネット中継,テレビ会議の会見の運営に,現状では,決まったルールがない。経済界やマスメディアは,相互に秩序ある健全な報道のため,何らかのルールづくりが求められている。
著者
横関 彩佳 森田 倫正 小浜 尚也 永見 慎輔 福永 真哉
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.173-179, 2022-12-31 (Released:2023-04-30)
参考文献数
26

【目的】高齢者の嚥下障害の有無は誤嚥性肺炎と密接に関連し,その発症リスクを増加させることが指摘されている.そのため,早期から嚥下機能の評価や対応を行うことが望ましい.当院では,嚥下障害が疑われた症例に対し,主に嚥下内視鏡検査(VE)を用いて評価を行っている.VE 検査は簡便に実施することができ,質の高い評価が可能であるものの,本邦ではVE 検査所見から誤嚥性肺炎発症との関連因子を検討した報告は少なく,十分な研究が行われていない.そこで本研究では,臨床現場でしばしば遭遇する高齢者の誤嚥性肺炎に焦点をあて,VE 検査所見から嚥下動態を解析することで,誤嚥性肺炎の発症に関連する因子を明らかにすることを目的とした.【対象と方法】当院にて嚥下障害が疑われVE 検査を受けた65 歳以上の高齢者254 例を対象とし,1 カ月以内に誤嚥性肺炎発症の既往がある群(54 例)と非発症群(200 例)で,VE 検査における嚥下動態について統計学的に比較検定を行い,関連性を検討した.加えて,検査時の姿勢,藤島の摂食嚥下能力グレード(FILS),栄養状態について統計学的に比較検討を行った.【結果】誤嚥性肺炎既往群と非既往群の群間比較では,男性,高年齢,神経変性疾患の有無,検査時の姿勢,FILS で有意差を認めた(p<0.05).VE 検査所見では,声門閉鎖の程度,梨状陥凹唾液貯留,早期咽頭流入,水分の梨状陥凹残留で有意差を認めた(p<0.05).誤嚥性肺炎の既往の有無を目的変数,2 群間の比較で有意差を認めたVE 検査項目を説明変数としたロジスティック回帰分析では,早期咽頭流入が抽出された.【結論】本研究の結果,誤嚥性肺炎の既往がある高齢者のVE検査所見から,誤嚥性肺炎の既往に関連する因子として早期咽頭流入に着目する必要があると考えられた.
著者
森田 清三 杉本 宜昭 阿部 真之
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
顕微鏡 (ISSN:13490958)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.51-54, 2010-03-30 (Released:2020-01-21)
参考文献数
9

原子間力顕微鏡による力学的原子操作について最初に説明し,つぎに,異種原子交換型垂直原子操作現象の発見と,これが探針先端原子を試料表面原子と室温で直接垂直交換できる夢の交換型単原子ペンであることについて明らかにする.最後に,原子埋め込み文字“Si”の組み立てにより,交換型単原子ペンによる室温での高速ナノパターンニングの可能性を示す.