著者
森 敏生 甲斐 昌一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J85-D2, no.6, pp.1093-1100, 2002-06-01

本論文では人の脳の確率共鳴現象の存在を,脳波の雑音効果から研究した.ここでは α 波周波数(fα)に見られる引込み現象を利用し,α 波に近い周期刺激では引込み現象が被験者の感情や体調などの影響を受けやすいので,その影響の少ない倍周期引込みを対象とした.実験は,中枢神経系・脳内部で確率共鳴現象が起こることを明確に示すために,周期光刺激を右眼に雑音光を左眼に印加した.この際,右眼の弱い光刺激のみでは α 波の引込みを起こさない.この状態で左眼の雑音光強度を可変にすると,ある適度な強度で脳波は引込みを起こし,スペクトル中に刺激周波数(fs)の倍周波に鋭いピークが観測される.更に強い雑音を加えるとこの鋭いピークは消え,引込みからはずれることが観測された.各雑音光強度に対してこのスペクトル振幅をプロットすると確率共鳴現象で見られるベル型の変化を示した.この研究では周期及び雑音刺激が各々独立した入力点(左右眼)に印加されていることから,確率共鳴現象が視交差以降の視覚経路すなわち中枢神経系で起こっていると結論される.
著者
大橋 剛介 久森 隆史 望月 圭太
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.537-545, 2007-10-15 (Released:2008-01-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1

画像内容検索に関する研究は,画像認識の応用研究の一つとして,盛んに行われ成果をあげてきているが,カラー情報,形状,テクスチャ情報などによる low-levelな画像特徴量と high-levelなユーザの主観のギャップであるセマンティック・ギャップを埋めることは未だ画像検索研究の大きな課題として残されている.そして,情報検索の分野で成果をあげている,ユーザとシステムが対話的に検索をすすめていく適合性フィードバックが画像内容検索にも導入されてきている.そこで,本研究では,筆者らが既に提案しているスケッチ画像検索を応用した適合性フィードバック画像検索を提案し,セマンティック・ギャップを埋める手法を開発することを目的とする.本手法は,ユーザの検索意図が含まれている入力スケッチを有効に利用しようすることで,セマンティック・ギャップを埋めようとしている点に特徴がある.Corel Photo Galleryの 6,500点の画像データセットに対して,適合性フィードバックを用いたスケッチ画像検索を試みたところ,従来は検索が困難であった画像に対しても検索が可能になり,本手法の有効性を確認した.
著者
森田 剛 神田 岳文 保井 秀彦 黒澤 実 樋口 俊郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波
巻号頁・発行日
vol.98, no.161, pp.31-36, 1998-07-03

水熱合成法は高温高圧のアルカリ条件下の水溶液中でPZT成膜を行うために立体形状基板への成膜が可能であるという利点を持つ。その応用デバイスとして、マイクロ超音波モータ、加振型接触センサ、補聴器用イヤホンの試作を行った。モータは直径1.4mmへの小型化に成功し、最高回転数600rpmであった。加振型接触センサは分解能66nmを実現し、水中での使用の可能性を示した。また、補聴器用イヤホンでは、駆動電圧1.3Vrmsで60dBの音圧発生を測定した。現在単一プロセス水熱合成法にかわる新たな合成プロセスを開発中である。
著者
野田 文香 森 利枝 竹中 亨
出版者
独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構
雑誌
大学改革・学位研究 (ISSN:27583708)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.35-49, 2024-03-01 (Released:2024-03-29)
参考文献数
20

国内外の高等教育の質保証制度において,「内部質保証」は核となる要素である。日本では,大学は卒業認定・学位授与の方針,教育課程編成・実施の方針,入学者受け入れの方針を明確にし,自己点検・評価に基づく内部質保証体制を構築し,認証評価もその取組状況を重要評価項目として確認することが求められている。他方で,自主的・自律的な質保証とは具体的にどのような取組を示し,内部質保証に外部質保証はどのように関わるのか,といったことについては未だ漠然としている。本稿は,高等教育機関の自主的・自律的な内部質保証体制として運用される質保証メカニズムである「自己認定(セルフ・アクレディテーション)」に着目し,豪州・ドイツ・台湾の事例を通じてその機能の多様性を整理することを目的とする。特に各事例において,自己認定とは何かといった大きな問いを掲げ,1)自己認定制度はなぜ導入されたのか,2)高等教育機関は,自己認定権をどのように獲得・維持するのか,3)自己認定権を得た高等教育機関は何ができるのか,の3つの観点から自己認定の実態と課題を明らかにする。
著者
竹中 喜一 杉森 公一 西野 毅朗 吉田 博
出版者
日本高等教育開発協会
雑誌
高等教育開発 (ISSN:24369918)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.11-19, 2024-03-31 (Released:2024-03-31)
参考文献数
5

本研究は、日本の大学教育センター等の特徴と課題について「日本版CTLアセスメント基準」を用いて明らかにすることを目的とする。具体的には①センターの特徴や課題は何か、②特徴や課題の背景は何か、③本基準の意義と課題は何か、の3つの問いについて、同基準を分析枠組みに用い、大学教育センター等に所属する教職員を対象としたインタビュー調査を実施した結果をもとに追究した。その結果、日本の大学教育センター等には同基準のカテゴリーである「組織構造」「資源分配とインフラ」「プログラムとサービス」に沿った特徴や課題があり、同基準に4つの意義や2つの課題を有することが示唆された。
著者
森田 啓 片岡 暁夫 近藤 良享
出版者
Japan Society for the Philosophy of Sport and Physical Education
雑誌
体育・スポーツ哲学研究 (ISSN:09155104)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.25-43, 1998 (Released:2010-04-30)
参考文献数
48

The purpose of this study is to show that the sport world should choose the common good based on the dispute between liberalist and communitarian.Though the word liberalism is ambiguous, we define liberalism as the thought based on unencumbered selves (M. J. Sandel), which includes utilitarianism, deontological liberalism, or revisionist's liberalism. Needless to say, liberalism depends on civic virtues.Liberal democracy in this century destroys the civic virtues, so that liberalism reaches the extreme relativism which denies the past and present values and goodness and affirms the unlimited selfishness, especially economic one.In favor of communitarians' criticism, we agree with Sandel's contention of situated selves rather than ‘unencumbered selves’ and propose that we should make an effort to recover the common good in our society.Turning to the sport world, we have gradually swept away its original ethics such as sportsmanship, fair play and the mind of social relationship in England in 19th century. And now the sport world also accepts the tendency of the unlimited self-interest, especially economic one.The ethics of ordinary world has nothing to do with that of the sport world, but the latter bases on the former. In conclusion, we must note that the sport world should maintain the traditional common good because the ordinary world also needs to reinstate us in the common good.
著者
森 勇樹 井上 隆 前 真之 佐藤 誠 八塚 春子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.79, no.697, pp.261-270, 2014-03-30 (Released:2014-07-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1

This report shows the actual situation of the spread and the use of mixing faucet and shower head in housing and the use of hot water, based on the result of web questionnaire. It was indicated that the single-lever mixing faucet recently became widespread about 90%, and that the ratio of using hot water in kitchen differed considerably between about 80% in winter and 20% in summer. It was also suggested that though they did not need hot water in summer and middle season, about a single-lever mixing faucet, there was high ratio of using the lever at the position where hot water was mixed.
著者
河合 雅雄 ベケレ A. ワンジー C. 大沢 秀行 宮藤 浩子 岩本 俊孝 庄武 孝義 森 明雄 WANZIE Chris S. BEKELE Afework
出版者
(財)日本モンキーセンター
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

初年度は、エチオピア南部ワビシェベリ河流域で調査を行った。ワビシェベリ河に沿った地域でも雑種化が起こっている。雑種は、クラインをなしている。2種の境界域のマントヒヒ側では、はっきりした雑種(=両種が半々の雑種)域は狭いが、低い雑種化の程度で、広範囲に雑種化が起きている。それは、オトナのアヌビスヒヒ、あるいはアヌビスヒヒに近い雑種ヒヒが、ソリタリ-として非常に遠くまで移動しているためである。以上、アヌビスヒヒが、マントヒヒのオスのワン・メイル・ユニットを越えて、交雑するのは、困難だが、不可能ではないようだ。バレ地方のマントヒヒは、これまでのどの報告よりも高度の高い乾燥地帯(2400m)に生息しており、その高度はゲラダヒヒの生息域である。マントヒヒのアクティヴィティや食性を調べ、社会的適応過程に対する基礎的資料を得た。彼らは低地川辺林に棲む他のマントヒヒに比べ、遊動に長時間を費やしている。これは、高度が高く果実のなる木が少ないためで、それを求める移動である。これ以上の移動時間の増加は、社会行動を犠牲にすることであり、その意味でこの地は、彼らの社会の維持の限界である。今後、彼らの系統、生息環境への適応過程、あるいは、同所的に棲むゲラダヒヒとの棲み分けの問題を検討する上で、貴重な観察結果である。マントヒヒの群れの動きは、大きなまとまったグル-プを作って広範な地域を移動しており、ユニット単位に分解して、別々の地域へ出現することは非常に少なかった。しかし、一つの地域内で見れば、崖の下側、あるいは、崖の中腹での群れの広がりには、ワン・メイル・ユニットを含め、いろいろなサイズのグル-プの下部単位を見ることができた。さらに、マントヒヒの群れでの音声の分析から、社会構造を調べ、複雑な重層社会の様相を明らかにしつつある。平成3年度は、エチオピア南部の治安が悪く、調査が困難だった。そのため、マントヒヒと同じく重層社会をつくるゲラダヒヒをエチオピア北部で調査した。これは、我々が、エチオピア南部で発見したゲラダヒヒの新しいポピュレ-ションと北部のポピュレ-ションの比較するための基礎資料を得ることを目的としている。アジスアベバの北140kmの高地平原の東の端アボリアゲル村の崖に棲むゲラダヒヒの群れ(ショワ州)を調査した。群れは、1カ月半かけて人付けし、個体から5mの距離で観察できるようになった。158頭からなる群れで、これまで調べられたセミエン国立公園と較べ、オトナのオスの割合が著しく低かった。そのためワン・メイル・ユニット当たりのオトナのメスは、8頭程度で、これまでの2倍だった。これまでの観察とは異なり雄グル-プには、オトナのオスが含まれず、ワン・メイル・ユニットには、セカンド・オスもいなかった。さらに、1つのユニットは、オトナのオスを含まず、メスとこどもたちだけで構成され、オスなしユニットとして持続した。以上から、グラダヒヒのワン・メイル・ユニットを成立させている機構のうち、オス間の競合を取り去った場合を検討でき、その条件下での群れの社会構造の特徴を検討した。庄武孝義は、これまで血液サンプルが全く得られていなかった、アジスアベバの北800kmセミエン国立公園で、グラダヒヒの捕獲を行った。53頭の捕獲を行ったが、そのうち、43頭の血液サンプルを得ることができた。血液サンプルは、直ちにアジスアベバ大学の生物学教室に運び、赤血球、白血球、血漿に分離し、-20度Cで帰国時まで保存した後、凍結状態で日本に持ち帰った。ショワ州のゲラダヒヒとセミエンのものとは亜種が違うとされるが、今回得られたサンプルと、以前ショワ州のフィッチェで庄武が得た血液タンパク質の遺伝的変異の結果とを比較することで、ゲラダヒヒの地域集団の遺伝学的違いを検討する。大沢秀行は、カメル-ン国、サハラ南縁地域で、パタスモンキ-の社会行動、繁殖行動の研究を行った。群れ外オスによる盗み交尾およびその直後に加えられるハレム・オスによる精子混入、それに対する盗み交尾オスによる妨害など、繁殖をめぐるオス間の競争の実態を見た。以上、乾燥地帯でのワン・メイル・ユニット成立の基盤を明らかにした。
著者
西園 昌久 高橋 流里子 対馬 節子 松永 智子 福屋 靖子 土屋 滋 大貫 稔 高橋 美智 浅野 ふみぢ 小松崎 房枝 鈴木 小津江 平山 清武 中田 福市 鈴木 信 壁島 あや子 名嘉 幸一 鵜飼 照喜 福永 康継 浪川 昭子 高田 みつ子 岩渕 勉 森脇 浩一 加藤 謙二 早川 邦弘 森岡 信行 津田 司 平野 寛 渡辺 洋一郎 伴 信太郎 木戸 友幸 木下 清二 山田 寛保 福原 俊一 北井 暁子 小泉 俊三 今中 孝信 柏原 貞夫 渡辺 晃 俣野 一郎 村上 穆 柴崎 信吾 加畑 治 西崎 統 大宮 彬男 岩崎 徹也 奥宮 暁子 鈴木 妙 貝森 則子 大橋 ミツ 川井 浩 石川 友衛 加世田 正和 宮澤 多恵子 古賀 知行 西川 眞八 桜井 勇 三宅 史郎 北野 周作 竹洞 勝 北郷 朝衛 橋本 信也 斉藤 宣彦 石田 清 畑尾 正彦 平川 顕名 山本 浩司 庄村 東洋 島田 恒治 前川 喜平 久保 浩一 鈴木 勝 今中 雄一 木内 貴弘 朝倉 由加利 荻原 典和 若松 弘之 石崎 達郎 後藤 敏 田中 智之 小林 泰一郎 宮下 政子 飯田 年保 奥山 尚 中川 米造 永田 勝太郎 池見 酉次郎 村山 良介 河野 友信 G. S. Wagner 伊藤 幸郎 中村 多恵子 内田 玲子 永留 てる子 石原 敏子 河原 照子 石原 満子 平山 正実 中野 康平 鴨下 重彦 大道 久 中村 晃 倉光 秀麿 織畑 秀夫 鈴木 忠 馬渕 原吾 木村 恒人 大地 哲郎 宮崎 保 松嶋 喬 桜田 恵右 西尾 利一 森 忠三 宮森 正 奥野 正孝 江尻 崇 前沢 政次 大川 藤夫 関口 忠司 吉新 通康 岡田 正資 池田 博 釜野 安昭 高畠 由隆 高山 千史 吉村 望 小田 利通 川崎 孝一 堀 原一 山根 至二 小森 亮 小林 建一 田中 直樹 国府田 守雄 高橋 宣胖 島田 甚五郎 丸地 信弘 松田 正己 永井 友二郎 向平 淳 中嶌 義麿 鎮西 忠信 岡田 究 赤澤 淳平 大西 勝也 後藤 淳郎 下浦 範輔 上田 武 川西 正広 山室 隆夫 岡部 保 鳥居 有人 日向野 晃一 田宮 幸一 菅野 二郎 黒川 一郎 恩村 雄太 青木 高志 宮田 亮 高野 純一 藤井 正三 武内 恵輔 南須原 浩一 佐々木 亨 浜向 賢司 本田 麺康 中川 昌一 小松 作蔵 東 匡伸 小野寺 壮吉 土谷 茂樹 岡 国臣 那須 郁夫 有田 清三郎 斎藤 泰一 清水 強 真島 英信 村岡 亮 梅田 典嗣 下条 ゑみ 松枝 啓 林 茂樹 森 一博 星野 恵津夫 正田 良介 黒沢 進 大和 滋 丸山 稔之 織田 敏次 千先 康二 田中 勧 瓜生田 曜造 尾形 利郎 細田 四郎 上田 智 尾島 昭次 大鐘 稔彦 小倉 脩 林 博史 島 澄夫 小池 晃 笹岡 俊邦 磯村 孝二 岩崎 栄 鈴木 荘一 吉崎 正義 平田 耕造
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.145-173, 1984-06-25 (Released:2011-08-11)
著者
白濵 成希 松本 圭司 森谷 健二 合志 和洋 渡邉 志
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会大会講演論文集 32 (ISSN:13451510)
巻号頁・発行日
pp.A2-1, 2019-11-23 (Released:2021-02-01)

We have been researching subjective evaluation experiments using Visual Analog Scale (VAS). VAS has the advantage of expressing subjectivity more intuitively. In this paper, we report an attempt of the subjective evaluation related to human lightness sense as fundamental research on what kind of color sense human has. We used VAS to obtain answers on where each gray image with different lightness corresponds to on the grayscale. Numeric values obtained by this evaluation experiment were analyzed to confirm the characteristics of the sensitivity of the individual. Moreover, at the same time, it was examined whether the VAS accurately reflected the subjective view of the person by the answer of what percentage of the grayscale was by the numeric value input. In order to conduct experiments smoothly, we developed an app that can perform VAS measurement and numeric value input simultaneously. We presented ten grayscale images to 13 subjects and obtained subjective measurements using this app. It was confirmed that when the lightness of the grayscale image is high, it can be recognized relatively accurately, but when the lightness is low, it tends to feel darker.