著者
森 文一
出版者
水利科学研究所
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.44-52, 1959 (Released:2016-05-23)
著者
樋口 有未 松本 麻子 森口 喜成 三嶋 賢太郎 田中 功二 矢田 豊 高田 克彦 渡辺 敦史 平尾 知士 津村 義彦
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.94, no.5, pp.247-251, 2012-10-01 (Released:2012-11-22)
参考文献数
31
被引用文献数
2 3

ヒバの天然林集団と選抜集団の遺伝的多様性および集団間の遺伝構造を明らかにするため, 北海道, 青森県, 岩手県, 新潟県, 石川県のヒバ天然林集団 (1道4県7集団) と育種が盛んな青森県, 新潟県, 石川県の3県の選抜集団を対象に, 5座の核のマイクロサテライトマーカーを用いた解析を行った。青森県, 新潟県, 石川県の3県の天然林集団と選抜集団の遺伝的多様性は同程度であった。STRUCTURE解析およびNJ系統樹の結果, 新潟県と石川県の天然林集団と選抜集団がその他の集団と遺伝的に異なることが示された。NJ系統樹の結果は各集団の地理的な位置関係を反映しており, 3県の選抜集団がそれぞれの天然林集団から選抜されたことが支持された。検出されたヒバ天然林集団間の遺伝構造は, 天然林の分布変遷や選抜集団の由来に起因していると考えられた。
著者
和田 枝実子 島田 章則 澤田 倍美 森田 剛仁 佐藤 加奈子 辻野 久美子 日笠 喜朗 天谷 友彦
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.112-115, 2006-02-20
参考文献数
8
被引用文献数
1

24歳齢のサラブレッド種の馬に膿性鼻汁の排出が慢性的に見られ, 蓄膿症と診断された. 抗生剤投与による治療が行われたが, 膿汁の排出は続いた. 鼻腔内の触診により右鼻腔内前縁に親指大の腫瘤が触知され, さらに腫瘤は鼻孔より突出するまでに増生伸長し, 鼻汁の排出も継続してみられた.また, 前頭部の膨隆も現れた.病理解剖の結果, 肉眼的に右鼻腔内において背鼻甲介粘膜がその全域 (縦2.5cm, 横7cm, 全長25cm) にかけて高度に肥厚するとともに, 黄色ゼリー状を呈しており, 末端部の肥厚部位は腫瘤状の形態を示し, 外鼻孔より突出していた.組織学的に, 腫瘤は粘液様物質の蓄積を伴う肉芽組織であり, 鼻ポリープと診断された.
著者
森 千鶴夫 神谷 均 佐合 穣 宮川 俊晴 田中 隆一 掛布 智久 森山 正樹 緒方 良至 秋吉 優史 臼井 俊哉 村上 浩介 羽澄 大介 中村 嘉行 渡辺 賢一 瓜谷 章
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1-12, 2020

<p>高等学校などで使用されているクルックス管は,一般的に漏洩X線を発生している。X線の線量率の測定に,これらの学校が保有している箔検電器を使う方法を提案した。箔検電器の箔の開き角は電極に与えられた電位に依存して変化する。この電位はX線によって空気中に作られたイオンを集めて減少し箔は閉じて行く。しかし,空気中のイオン密度は周辺の電位や風,および箔検電器に荷電する電荷の正負の影響も受ける。正電荷を荷電した場合に箔が閉じる時間と負電荷を荷電した場合のそれとの幾何平均値をとることによって,電離箱で測定した線量率との間に再現性のある関係を得ることができた。この関係を校正線と呼ぶが,他の同様の市販の箔検電器にも適用できる。</p>
著者
松田 郁生 森嶋 博 瀬尾 康久 相良 泰行
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.75-82, 1990
被引用文献数
2

食パン工場のオーブンから未利用のまま排出されている130~180℃の排ガスの再利用を検討するために, オーブンの熱および物質収支を計測した。そのデータからエクセルギを算出し, 排熱エネルギの質を明らかにした。排熱エネルギを吸収冷凍機の熱源として利用したエネルギリサイクリングを想定し, 冷凍能力を試算した。その結果, 冷却工程においてパンを冷却するのに必要な冷熱が得られることが分かった。
著者
森下 久美 渡辺 修一郎 長田 久雄
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.8, pp.564-571, 2021-08-15 (Released:2021-08-11)
参考文献数
35

目的 就業時に自覚される疲労感は,労働災害のリスク要因である。高齢就業者においては,低い運動機能および認知機能が,疲労感を高めることが報告されている。本研究では,これら心身機能状態で高齢就業者を類型化し,それぞれの疲労対処行動の特徴を検討した。このことによって,今後更なる増加が見込まれる後期高齢層の就業者への疲労管理を検討する基礎資料としたい。方法 対象は,東京都A市シルバー人材センターに所属し,屋外作業に従事する高齢就業者224人から,運動機能と認知機能の4象限から各10人ずつ選定した。類型は,①両機能ともに良好なBoth-High群,②運動機能にのみ低下がみられるMotor-Low群,③認知機能にのみ低下がみられるCog-Low群,④両機能ともに低下がみられるBoth-Low群である。調査は,半構造化面接を実施し,内容分析にてサブカテゴリーおよびカテゴリーを生成した。また,各群の特徴を検討するために,「対処の焦点」(原因/症状)および「対処の環境」(Work/Life)を区分し,コード数をKruskal-Wallis検定およびDann-Bonferroni法を用い4群間で比較した。結果 内容分析の結果,350コードより32のサブカテゴリーと9のカテゴリーが抽出された。〈こまめな水分補給〉〈気温・天候に適した服装〉といった【気温対策】は,4群で共通して多く認められた。各群で多く認められた対処として,Both-High群では〈日常的な運動〉〈こまめな休憩〉,Motor-Low群では〈就業後の昼寝〉〈日常的な運動〉〈保護具・作業補助具の使用〉〈痛み止め等の使用〉,Cog-Low群では〈質の良い睡眠習慣〉〈日常的な運動〉,Both-Low群では〈前日早めの就寝〉があった。4群間でコード数を比較した結果,〔原因〕(P<.01)および〔Work〕(P<.01)にて有意な差が認められ,多重比較の結果,Motor-Low群は,Cog-Low群およびBoth-Low群よりも,平均コード数が有意に高かった(いずれもP<.01)。結論 シルバー人材センターに所属する高齢就業者の疲労対処行動は,運動機能および認知機能状態によって,異なる特徴が認められた。今後,高齢就業者への健康管理においては,就業者の心身機能の把握および,機能状態に合った疲労管理のための配慮が求められる。
著者
森野 正弘
出版者
日本時間学会
雑誌
時間学研究 (ISSN:18820093)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-13, 2015

『源氏物語』松風巻には、光源氏が大堰で暮らす明石の君のもとを訪問する条がある。その出発に際し、京で待つことになる紫の上は、今回の旅行が「斧の柄が朽ちる」ほど長い期間になるであろうと、漢籍に見える「爛柯」の故事を引用して皮肉を述べる。この故事は、異郷を訪れた者が束の間の経験をして現実世界へ戻ってみると、世代が替わるほど長い時間が経過していたというもので、異郷での時間がゆっくり進む話として捉えることができる。従来はこの引用について、典拠の指摘や紫の上の発言の解釈など、局所的な問題として論議される傾向にあった。これに対して本稿では、この故事の引用が光源氏の旅行の最終日にも認められる点に着目し、旅行全体が「斧の柄の朽ちる」時間として形象されている可能性について考察を展開することになる。 旅行中に描かれてくる人物たちの動向を観察してみると、光源氏をはじめとして、明石の君、頭中将、なにがしの朝臣といった人々がみな一様に失速している様子をうかがうことができる。加えて、「二三日」の予定であった旅行の日程は四日間に延長し、京にいる帝や紫の上を待たせる結果となる。光源氏は「爛柯」の故事さながらに、異郷で間延びした時間を過ごし、京という現実世界へ戻ってくるのである。「爛柯」の故事引用は、単なる修辞的次元に止まらず、そこに展開される異郷訪問譚の構造や時間の歪みをも組み込む契機として機能していると言える。
著者
内山 光 古川 浩二郎 福田 倫史 平田 雄一郎 恩塚 龍士 田山 栄基 森田 茂樹
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.235-239, 2021

<p>冠動脈大動脈起始異常症は比較的稀な先天性冠動脈異常である.心筋虚血や心室性不整脈が問題となるが,初発症状が心停止である例が約半数との報告もある.しかし,かかる病態に対する手術適応や手術術式に関して不明な点も多い.今回,右冠動脈大動脈起始異常症に対して外科治療を行い良好な結果を得たので報告する.繰り返す胸部圧迫感を主訴とする47歳男性に精査を行ったところ,右冠動脈が左バルサルバ洞より分岐する右冠動脈大動脈起始異常症であった.血液検査,心電図,心臓カテーテル検査を含め客観的な心筋虚血所見を認めなかったものの,右冠動脈の比較的急峻な大動脈からの起始角度,両大血管間に挟まれた走行形態が胸部症状に関与している可能性と,突然死の可能性が否定できなかったため,手術の方針とした.手術は右冠動脈移植術を施行した.画像上良好な結果が得られ,術後一年の現在,胸部症状の再燃なく外来経過観察中である.</p>
著者
森田 均 MORITA Hitoshi
出版者
長崎県立大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13466372)
巻号頁・発行日
no.9, pp.129-142, 2008-12-22

This thesis proposes the method of anayzing the TV program. This new method clarifies the identity frequency of the event and the TV programming according to F-measure. F-measure is a value obtained from a multiple average of accuracy and the reproduction rate.
著者
田中 瞳 植田 拓也 安齋 紗保理 山上 徹也 大森 圭貢 柴 喜崇
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】高齢者における睡眠は加齢性変化によって中途覚醒の増加,午睡の増加,睡眠効率の低下などが認められる。高齢者の中でも認知症の前駆段階である加齢関連認知的低下(以下,Aging-associated Cognitive Decline:AACD(Levy R, 1994))者と類似概念の軽度認知障害高齢者において,健常高齢者より日中の眠気が弱い傾向であるという結果が示されている(Jia-Ming Yu, 2009)が,AACD者の睡眠の特徴を示したものは少ない。そこで本研究の目的は,健常高齢者とAACD者の夜間睡眠と日中の眠気を比較し,違いを明らかにすることとした。</p><p></p><p>【方法】対象はA県B市在住の認知症の確定診断がなされている者と要支援・要介護者を除く65歳以上の高齢者116名で,B市の広報誌と基本チェックリストの返送により募集した。除外基準は認知症の可能性(Five Cognitive Functions(以下,ファイブ・コグ)の総合ランク得点が5~10点),うつ症状(Geriatric Depression Scale-15が5点以上),睡眠剤の使用,脳血管障害による片麻痺・高次脳機能障害,データ欠損がある場合とした。調査は郵送で自記式アンケート,会場でファイブ・コグを実施した。調査項目は基本属性,認知機能(ファイブ・コグ),主観的な睡眠習慣や睡眠の質(ピッツバーグ睡眠質問票日本語版(以下,Japanese version of Pittsburgh Sleep Quality Index:PSQI-J)),日中の眠気(日本語版Epworth Sleepiness Scale(以下,Japanese version of ESS:JESS))である。分析方法はファイブ・コグの総合ランク得点が15点を健常群,11~14点をAACD群として,2群においてPSQI-JとJESSの総得点はMann-Whitney U Test,カットオフ値を基準とした良否はχ二乗検定を行った。なお,有意水準は5%未満とした。</p><p></p><p>【結果】健常群37名,AACD群18名の計55名(男性:18名,女性:37名)を選定し,AACDの出現頻度は母集団の19.83%,基本属性(年齢:健常群72.73±4.91歳,AACD群73.50±4.96歳,教育年数:健常群12.62±2.74年,AACD群12.72±2.08年)に有意差は認められなかった。除外者は,認知症の可能性4名,うつ症状41名,睡眠剤の使用7名,データ欠損9名であった。2群において,PSQI-Jの総得点と良否(健常群31名,AACD群16名),JESSの良否(健常群35名,AACD群16名)に有意差は認められなかったが,JESSの総得点(健常群35名,AACD群16)に有意差(p=0.003)が認められ,健常群に比べ,AACD群の日中の眠気が弱かった。</p><p></p><p>【結論】高齢者において健常群とAACD群の主観的な睡眠習慣や睡眠の質に差は認められなかったが,健常群に比べ,AACD群の日中の眠気が弱かった。</p>
著者
森田 廣
出版者
山陽小野田市立山口東京理科大学
雑誌
山陽小野田市立山口東京理科大学紀要 = Bulletin of Sanyo-Onoda City University (ISSN:24342866)
巻号頁・発行日
no.4, pp.77-83, 2021

東日本大震災の直後に本学に着任した筆者は、その後の未曾有ともいえる風水害も目の当たりにしながら、自然災害に強い再生可能エネルギーの研究に取りかかった。この10年、他の研究者があまり着手していない領域の研究を同じ意志を持つ学生たちと続けてきた。その中でも特に思い入れのある3技術を紹介する。紫外線を電力に変える透明太陽電池についてはその形成技術も含めて開発し、世界最高レベルの効率を達成した。風レンズ効果を用いたディフューザー付きの風力発電は、弱風下でも発電が可能なことを示すことができた。さらに、微生物を起源とする土壌微生物燃料電池については筆者らが初めて実施した多孔質体の導入により、従来の発電電力の10倍を達成して実用化に近づけた。この地は、瀬戸内ゆえの日照時間が長く、弱風ながらいつも風のある、湖沼や田圃が多い環境にある。それらから自然エネルギーを頂き、電力に変えてエネルギーの地産地消の実現につなげていきたい。
著者
岩崎 雄介 織田 ももこ 佃 優里 永森 裕季 中澤 裕之 伊藤 里恵 斉藤 貢一
出版者
[日本食品衛生学会]
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.167-176, 2014 (Released:2014-10-29)

食品添加物は,保存料,甘味料,着色料,香料など,食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されている。個別では安全とうたわれていた食品中の化学物質でも生体内で相互的な複合反応を引き起こし,想定外な影響を与える可能性がある。本研究では食品添加物の安全性を評価するために,酸化防止剤と金属の複合反応に着目し,ラジカルを選択的に検出可能な電子スピン共鳴装置(ESR)を用いた活性酸素種(ROS)生成の評価を行った。酸化防止剤と各種金属を反応させたところ,鉄と銅以外のミネラルや微量金属はROSの産生に寄与しなかった。しかし,特定の酸化防止剤は銅と反応することで,ROSが産生されDNAの酸化と切断を引き起こし,酸化ストレスを惹起させていることが示唆された。
著者
金森 万里子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2019-04-25

様々な国において農村の自殺率は都市より高いことが報告されているが、農村に着目してどのような社会環境が自殺率に関係するのか検証した研究は少ない。そこで本研究では、①大規模データの分析によって自殺に関係する社会環境要因を明らかにする:日本老年学的評価研究の調査データおよびスウェーデンの全国民データを用いて分析し、国際比較研究を行う。都市と農村の格差、地域の産業構造、ジェンダー規範等に着目する。②住民のエンパワーメントによる自殺対策の可能性を明らかにする:主に酪農女性に着目し、生き心地の良い地域づくりに向けた住民活動を支援する。住民自らが定義した地域の課題設定を生かし、それをサポートする形で関わる。