著者
大泰司 紀之 呉 家炎 (W5 J) 余 王群 高 耀亭 揚 慶紅 (Y .′ Y .′ Y O) 彭 基泰 (T%.′ J) 鈴木 正嗣 武田 雅哉 小泉 透 梶 光一 常田 邦彦 高槻 成紀 三浦 慎悟 庄武 孝義 YANG Qing-hong PENG Ji-tai GAO Yao-ting WU Jia-yan YU Yu-qun
出版者
北海道大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1988

《1.形態・系統学的研究》 年齢群別に標本の記載・検討を行う目的で年齢鑑定に関する研究を行い、第1切歯および第1大臼歯のセメント質組織標本により、正確な年齢鑑定ができること、および歯の萌出・交換・磨耗等によって、およその年齢鑑定ができることが判明した。体重は、2.5カ月〜3.5カ月の子鹿7例の平均の43kg、雄の場合1.5歳約70kg、2.5歳約180kg、7〜13歳の成獣は約205kg 、雌の6〜14歳では約124kgであった。胴長の平均は、成獣雄123.8cm、肩高はそれぞれ121.5、117.3cmであった。これまでに報告のない特微として、出生直後の子鹿にはニホンジカと同様の白班があり、生後2カ月、7月中旬頃には消失するることが挙げらでる。頭骨は他のCervus属の鹿に比べて鼻部顔面の幅が広く、眼下線窩が大きく深い。これは乾燥・寒冷地への適応、草原におけるcommunicationとの関係を推測させる。大臼歯のparasrastyle、mesostyleが発達していることは、固い草本を食べる食性に適応した結果と考え得る。角は車較伏の枝分かれをし、1歳で2〜3尖、2歳で3〜4尖、3歳以上で5〜7尖になるものと推定される。以上の結果などから、クチジロジカはアカシカに似るが、ルサジカより進化したものと考えられる。《2.地理的分布および生息環境》 チベット高原東部の海抜3000mから5000mにかけての高山荒漠・高山草甸草原・高山潅木草原に分布している。分布域は北緯29〜40度、東経92〜102度の範囲で、甘粛省中央部の南部、青海省東部、四川省西部、チベット自治区東北部および雲南省北部にまたがる。分布域の年降水量は200〜700mm、年平均気温は-5〜5℃、1月の平均気温は-20〜0℃、7月の平均気温は7〜20℃の間にある。森林限界は3500〜4000m、その上は高山草原であるが、4000〜4500m付近まではヤナギ類などの潅木がまばらに生えている。《3.生態と行動など》 主要な食物は草本類(カヤツリング科・禾本科・豆科)であり、冬期にはヤナギ類などの潅木の芽も食べる。胃内容や糞分析の結果では、クチジロジカはJarmanーBellの原理によると草食(Grazer)である。出産期は5月下旬から6月で、1産1子。初産は2歳または3歳で、毎年また隔年に通常12〜14歳まで出産する。最高寿命は、自然条件下では雄で12歳前後、雌はそれより長いものと推定される。群れは最大で200頭、平均35頭。雌と子および1歳の雄も加った雌群、雄群、および発情期にみられる雌雄の混群の3つの類型に分けられる。性比は2.2、100雌当りの子の数は29頭であった。夏期は標高い高山草原で過ごし、冬期は積雪の多い高山草原を避けて潅木林へ移動する。交尾期の最盛期は10月で、11月中旬に再び雄群・雌群に分かれる。妊娠期間は220〜230日と推定される。交尾期の社会組織はハレム型と交尾群型の2つがあり、ハレム型は雌が25頭以下の時にみられ、大きな角を持つ成獣雄が1頭だけ優位雄となって加わる。雌の個体数がそれより多くなると、複数の優位雄が参加する交尾群となる。音声行動には、うなり声と優位の雄が出す咆哮とがあり、特に咆哮は4〜5音節から構成される連続声で、クチジロジカ独特のものである。《4.保護管理について》 チベット高原のクチジロジカは、ヤク・ヒツジ牧業が同高原へもたらされた2000〜3000年前から、人類の影響を受け、「チベット解放」後は、家畜と人口が増えたこと、自動車道路が発達したこと、兵站が各地に出来て、銃が多数持ち込まれたことなどの直接・間接的な影響によって、分布域・生息数ともに大きく減少した。今後は、有蹄類の保護管理に従って、地域毎の適正頭数(密度)を算定したうえで、その頭数になるまでは哺護を禁止し、一定の密度に保つ必要がある。そのような体制の出来るまでの間は、各地に保護区を設定して減少傾向を止めることが最も現実的と考えられる。
著者
武田 将明
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

十八世紀イギリスの小説では作者が自らの姿を隠すことでリアリティを演出していた。しかし十九世紀には作者が作品の主権者として振舞うことが社会的に許容されるようになる。ところが二十世紀に入ると、主権者としての政治的な作者だけではなく、身体をもった自然的な作者もまた小説の前面に現れるようになる。本研究は、作者の身体の表象に注目して近代小説、とりわけ18世紀のイギリス小説の特徴を再検討することにより、イギリス近代小説史と小説の起源をめぐる研究に新たな局面を切り開くことを目指した。
著者
荒生 公雄 中根 重勝 藤吉 康志 武田 喬男
出版者
長崎大学教育学部
雑誌
長崎大学教育学部自然科学研究報告 (ISSN:0386443X)
巻号頁・発行日
no.56, pp.13-24, 1997-03
被引用文献数
1

A heavy rainfall over the Takaki town (Northeastern area of Isahaya City) on 11 July 1995 was invesitgated using rain guage records and radar observations. The main results are as follows. (1) The heavy rainfall attacked the Takaki-Konagai in Nagasaki Prefecture at 10-12th with the maximum one hour precipitation of 100mm and the 2 hours of 177mm. The upper air soundings at Fukuoka showed very unstable condition. (2) The line echoes obtained by an RHI radar evoluted near the Nagasaki Peninsula. These echoes developed rapidly during their movement from SW to NE and had their mature stage over the Takaki Town. (3) These echoes and weather conditions suggest the topographical enhancement of rain cloud formation under two river valleys in Nagasaki City both open to the south.
著者
武田 宙也
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.1-12, 2012-06-30

Ce texte analyse le concept d'<<esthetique de l'existence>> que Michel Foucault presente dans ses derniers travaux. On entend par ce terme un mode de vie qui se construit elle-meme comme <<oeuvre>>. Il s'agit de la transformation de soi a travers le travail sur le soi : la <<poetique>> de soi. Or, dans la pensee foucaldienne, cette pratique du <<souci de soi>> a un rapport etroit avec le probleme de la verite, car selon lui <<le lien entre l'acces a la verite et le travail d'elaboration de soi par soi est essentiel dans la pensee ancienne et dans la pensee esthetique>>. C'est ce lien essentiel qui fait de la verite un grand probleme de la vie. Dans ses dernieres annees, Foucault traite d'une pratique qui s'appelle parresia en grec. Bien que la parresia designe d'abord l'acte linguistique de <<dire le vrai>>, la supposition foucaldienne du lien entre la connaissance de la verite et la pratique du soi y suggere de plus un point d'intersection entre la verite et le sujet. C'est en ce sens que la pratique de la parresia serait un enjeu de l'<<esthetique de l'existence>>.
著者
塩尻 史子 守屋 俊夫 武田 晴夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, 1997-09-24

映画やテレビなどの映像制作の分野において、撮影の困難なシーンや仮想のシーンを制作する手段として特殊撮影だけでなく、CGや実写の合成も多く用いられており、CG技術に対する期待は大きい。そこで本稿では、撮影困難なシーンのひとつである自然現象として、実写映像に対してCGの虹を合成する一手法について述べる。本方法では虹の物理法則および背景実写映像撮影時のカメラパラメータを考慮した。また、人間の感性を付加するための演出性も考慮し、実写に近い虹から、それをアレンジして得られるファンタジックな虹まで表現することが可能である。本方法を利用して開発したツールは映画の虹出現シーン制作に適用された。
著者
武田 麻由子 相原 敬次
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.107-117, 2007-03-10
被引用文献数
7

丹沢山地の大気中のオゾンがブナ(Fagus crenata)に及ぼす影響を明らかにするため,ブナ林衰退地に近接する西丹沢犬越路隨道脇(標高920m)において,ブナ苗を用いたオープントップチャンバー法による野外実験を2002〜2004年に実施した。活性炭フィルターでオゾンを除去した浄化空気を導入した浄化チャンバー(平均オゾン濃度0.011ppm)及び現地の環境大気を導入した環境大気チャンバー(平均オゾン濃度0.046ppm)に2年生の丹沢産ブナ苗を移植し,3成長期間にわたって育成することにより,葉のクロロフィル含量(SPAD値),光化学系IIの最大光量子収率(Fv/Fm),樹高,根元直径,葉数,冬芽数,乾燥重量に対するオゾンの影響を検討した。オゾンにより,SPAD値は2成長期目の秋以降,3成長期目は全般にわたって有意に低下し, Fv/Fmは3成長期目の秋以降有意に低下した。樹高は3成長期目の秋以降,根元直径は3成長期目の夏以降有意に減少した。全乾燥重量は,3年間の累積的なオゾン曝露(6ヶ月間のAOT40が合計で88.7ppm・h)により浄化チャンバーよりも61.3%低下した。また,オゾンによる早期落葉が観察された。環境大気チャンバー内で育成したブナ苗の冬芽数は3成長期目終了時に有意に減少し,本実験を継続していれば、次年度以降にはさらに生長が抑制される可能性が示された。本実験の結果より,丹沢山地の大気中のオゾンがブナの生長生理に阻害的に働いていることが明らかになった。
著者
武田 展雄 水谷 忠均 水口 周
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2014-05-30

炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic、以下CFRP)は、航空機構造の軽量化を図るため、主要な一次構造部材にもCFRPが適用されてきており、かつ日本の製造技術が多く用いられている。しかし、いまだ成形・組立などの製造上の問題および損傷後強度保証の難しさがあり、従来金属製航空機と比較して製造コストが高くまた十分な軽量化にも至っていない。本研究では、ライフサイクルモニタリングによる構造高信頼化技術と,製造技術に課題はあるものの低コスト・高機能性のポテンシャルを有する新規CFRP製造プロセスを融合させる「複合材構造の知的ものづくり科学」を構築することで初めて可能になる、革新CFRP 構造コンセプトを世界に先駆けて提案・実証することを目的としている。[1]光ファイバ援用成形中その場物性評価基盤技術、[2]低圧成形CFRP、[3]熱可塑CFRP、[4]CFRP二次接着接合構造、[5]複雑形状CFRP構造、を主な対象とした光ファイバライフサイクルモニタリング技術を構築し、これらを用いた構造部材の品質保証・保守技術を確立する。最終的には、これら個別要素を最適配置した低コスト・高信頼性革新CFRP構造を実証する。具体的には、これまでに構築した光ファイバひずみ計測技術の計測速度を新規成形プロセスに適用可能なレベルまで向上させ、各製造プロセスにおける材料内挙動を詳細に評価する。光ファイバを考慮した複合材料モデルによる新規成形プロセスシミュレーションおよび損傷発生・進展解析を行い、実際の試験から得られる光ファイバ応答と照らし合わせることでCFRPの品質・健全性を評価する手法を確立する。最終的に補強板構造の部分構造供試体を用いて[6]実用模擬CFRP構造、の実用環境下でのライフサイクルモニタリング実証を行う。
著者
村上 興匡 鷲見 定信 村上 興匡 武田 道生 小熊 誠 佐藤 壮広 小熊 誠 武田 道生 佐藤 壮広
出版者
大正大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

沖縄から本土への移住者の文化習慣の変化と、沖縄で進行しつつある本土的な文化慣習が普及する変化(「本土化」)とを比較することで、現在の沖縄で起きている変化は、単に本土の文化慣習が沖縄に移入しているわけではなく、それに先だって、まず本土へ移住した沖縄系移住者が、自らの文化慣習を本土に適応させて新たな形を作り出すということがあり(「沖縄化」)、それが再び沖縄に移入されるという形で、文化変容が起きていることが明らかになった。
著者
近藤 フヂエ 武田 光一 山本 眞也 郷 晃 佐藤 哲夫 丹治 嘉彦
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成15年度は、地域文化の活性化に資する表象芸術の在り方を究明するために、新大アートプロジェクト2003「うちのDEアート」を実施し、また、各地域での同種の活動の取材と意見交換を通じて、本研究に関する資料を得たが、平成16年度は、それを用いてメンバーの専門領域の立場から考察した。たとえば近藤は、美術史の立場から、芸術表象の地域性について、イメージ信仰に時代を超えた特質を見出すことができるとする解を得た。教育の立場から佐藤は、アートプロジェクトと美術教育がホモロジカルな関係にあるとする視点から、その課題を明らかにし、柳沼は、具体的に小・中学校との連携による表象芸術の意義を示した。また、実際に関わったプロジェクトとの関係で、橋本は、パブリックスペースという環境を問題にし、アートやデザインの可能性を示した。郷は、街づくりに果たす彫刻シンポジウムの役割を示した。丹治は、2003「うちのDEアート」に、最も深く関わった経験などを通して、表象芸術が地域においてどのような意味を持つのかについての一つの結論を導いた。武田は、加茂市若宮神社の天井画という新出資料について、地域における江戸後期の書画愛好の気風を明らかにした。山本は大学所有の屏風絵の模写を通じて技法研究を行い、社会的な模写の意義と効用について明らかにした。また16年度も15年度に引き続き、種々地域に根ざしたアートプロジェクトを実施した。新潟県の豊栄市の早通地区のコミュニティーの活性化のために、「光のロータリー ロウソクを灯して」等。震災を乗り越えて「元気出そう新潟県」の趣旨による、小・中・大の児童、生徒、学生による造形ワークショップ・「虹色アトリウム-光の壁画をつくろう-」など、多数の活動を行った。引き続き、本研究で得られた成果をもとに、新大アートプロジェクト2005「うちのDEアート」の実施に向け、活動を行っている。
著者
徳永 俊照 武田 伸一 小間 勝 澤端 章好 前田 元
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.746-752, 2008-07-15
被引用文献数
4 2

外科的切除にて診断された肺過誤腫23例の臨床像を検討した.性別は男性12例,女性11例で,年齢は28〜71歳,平均53.5歳であった.20例は無症状であったが,3例は症状を有し,そのうち2例は胸痛,1例は咳嗽であった.病変は,22例が単発性で,1例のみ多発性であった.腫瘍径は0.5〜3.0cmで,平均1.5cmであった.画像上,石灰化を6例に認めたが,明らかなポップコーン様ではなかった.石灰化を有する症例は,腫瘍径が有意に大きかった.17例に気管支鏡が施行されたが,確定診断できず,全例か悪性疾患を否定できないため手術に至った.術式は,6例に検出術,16例に部分切除術,1例に葉切除術が施行され,そのうち17例に胸腔鏡下手術が施行された.肺過誤腫の術前診断は困難であるが,悪性疾患との鑑別が問題となる場合,外科的切除にて診断することを考慮すべきである.
著者
武田 善行
出版者
農業技術研究機構野菜茶業研究所
雑誌
野菜茶業研究所研究報告 (ISSN:13466984)
巻号頁・発行日
no.1, pp.97-180, 2002-03
被引用文献数
4

野菜茶業研究所(枕崎)のチャ遺伝資源は耐寒性の弱いアッサム種(約800系統)や海外からの導入中国種(約550系統)をはじめ組織的に収集された日本在来種(約1,500系統)などが多数保存されており、わが国のチャ遺伝資源研究を行う上で最も良い条件を備えている。 そこで、本研究ではこれら遺伝資源について種々の形質を取り上げその変異の多様性と種内分類との関係を解明した。外部形態では、成葉の形質、新葉の毛茸分布特性、花器形態の変異を明らかにした。また、遺伝資源の利用の面から耐凍性、耐病性(炭疸病、輪斑病)および葉内化学成分(カフェイン、タンニン)などの特性評価を行い、チャの種内分類の指標としての有用性と育種素材としての可能性を検討した。 次に、遺伝的多様性の解明と有用特性の育種への利用を図るため、近年短期間のうちに重要病害となったP.longiseta菌によって引き起こされる輪斑病を取り上げその抵抗性の遺伝様式を解明し、抵抗性に関する遺伝資源の表現型と遺伝子型を明らかにして本病に対する抵抗性育種の理論的裏付けを行った。 1.成葉の形態では、大葉種のアッサム種(var.assamica)と小葉種の中国種(var.sinensis)は葉長では8cm、葉幅では4cm前後で分類された。成葉の葉色は中国種のほうがアッサム種に比べて明るく、彩度が高かった。この2つの成分でアッサム種のグループと中国種のグループは明瞭に分類された。 2.新葉の毛茸分布特性では、毛茸の長さ、密度、分布の仕方によって23の分類型を作成し、アッサム種、中国種のチャ遺伝資源2,446系統を21の分類型に分類した。アッサム種は大きな変異が認められたが、中国種では変異が小さく、特に日本の在来種は97.7%の系統が分類型IV-9(毛茸が長い、密度が高い、全面に分布)に属し、ほとんど変異が認められなかった。中国本士の中国種は日本の在来種よりもやや変異が大きかった。インド・ダージリンの小葉種(Cd系統)は中国種の中では変異が大きくアッサム種の影響を受けていた。 3.花器形態の6形質(花の大きさ、雌ずいの抽出度、花柱分岐数、花柱分岐点の位置、花柱のくびれの有無、子房の毛の有無)について主成分分析およびクラスター分析を行い、アッサム種、中国種およびアッサム雑種などのグループに分けることができた。この分類で特に有効であった形質は、花柱のくびれと雌ずいの抽出度および花柱分岐点の位置であった。このためこの3形質を組み合わせて27の分類型を作成し、緑茶用の48品種を12の分類型に分類した。この分類型により'ろくろう'と'こやにし、'かなやみどり'と'NN12'および'べにほまれ'と'金Cd5'の3組の類似品種が識別可能となった。 4.紅花チャの紅色花色は劣性遺伝子(r)によって支配されており、r遺伝子の単純劣姓ホモであるr/rの遺伝子構成で紅色の花色となり、r/+あるいは+/+の場合に白色の花になった。また、r遺伝子の多面的発現により、紅色花色の個体はすべて根も紅色になっていた。このため、幼苗期に根の赤いものを選抜すれば確実に紅花個体を選抜でき、早期選抜が可能になった。 5.耐凍性の評価を「植物遺伝資源特性調査マニュアル(5)」に従って評価し、階級値2(極弱)から8(極強)の7段階に分類した。アッサム種では階級値3~4(弱~やや弱)、中国種では階級値6~7(やや強~強)に最も多く分布し、耐凍性はアッサム種と中国種の変種間で2~3ポイントの大きな差が認められた。 6.葉内化学成分のカフェインとタンニン含有率の変異では、カフェインは1.64~5.46%の変異を示し、タンニンでは9.37~26.82%の変異が認められた。アッサム種は中国種に比べて両成分ともに高く、その境界はカフェインで3.5~4.0%、タンニンで18~20%であった。また、中国種の中ではカフェイン、タンニンの両成分とも日本在来種が中国導入種よりも低く、インド、バングラディシュ、ミャンマーのアッサム種から中国本土の中国種そして日本在来種へと低くなる傾斜が認められた。 7.チャの炭疽病抵抗性の遺伝力はかなり高く、広義の遺伝力は0.73~0.86と推定された。チャ遺伝資源の炭疽病抵抗性は、アッサム種、導入中国種はほとんどが抵抗性7(強)を示したが、日本の在来種は抵抗性7(強)が53.4%、抵抗性6(やや強)が18.2%、抵抗性5(中)が17.0%、抵抗性4(やや弱)が6.0%、抵抗性3(弱)が5.5%で極めて変異が大きかった。日本在来種の抵抗性を収集地域別にみると、近畿地方の材料の変異が大きく、この地域では抵抗性5(中)の比率が最も高かった。これに対して、南九州(鹿児島県、宮崎県)の材料は抵抗性7(強)の比率が高く、約85%を占めた。これは南九州はチャの生育期間が長く、気温が高くて雨量が多いことから炭疽病の発生に好適な環境にあるため、在来種の長い栽培の過程で炭疽病に弱いものが淘汰された可能性が考えられた。 8. P.longiseta菌によって起こる輪斑病に対する抵抗性評価のために効率的な輪斑病菌分生子の人為接種検定法を検討した。接種源となる分生子の濃度は106個/ml程度でよく発病し、高度抵抗性、中度抵抗性、罹病性の品種間差異を検定できた。人為接種検定を行う時期は梅雨明け後の7月から8月中旬がよく、それ以前では低温と梅雨時の降雨の影響、9月以降は気温の低下が大きな阻害要因となった。人為接種後の降雨が発病に及ぼす直接的な影響は大体接種後5時間程度までであった。接種後の病斑の大きさによる抵抗性の判定は、接種後14~17日が適当であった。 9.P.longiseta菌によって起こる輪斑病に対する抵抗性は、抵抗性の異なる2つの独立した優性遺伝子Pl1(高度抵抗性遺伝子)とPl2(中度抵抗性遺伝子)によって支配されており、 Pl1はPl2に対して上位の関係にあることが解明された。 10.チャの輪斑病抵抗性に関する遺伝子型はアッサム種と中国種では大きな違いが認められた。中国種の中でも中国からの導入種と日本の在来種では各遺伝子型の頻度に違いが認められた。中国導入種は表現型では高度抵抗性が98%以上を占め、アッサム種と明瞭な差異はなかったが、遺伝子型では高度抵抗性遺伝子Pl1をホモに持つ系統の割合はアッサム種が72%であったのに対し、中国導入種は51%と低く、また、中国導入種では7種の遺伝子型すべてに対応する系統が認められるなど遺伝子型ではアッサム種よりもはるかに大きな変異が認められた。中国種の中では日本在来種の遺伝子型の多型が顕著であり、導入中国種よりもさらに大きな変異が認められた。日本在来種の場合、83%の高度抵抗性系統は高度抵抗性遺伝子を1つ持つことによって高度抵抗性になっていた。また、中国種に分類しているインドのダージリン原産のCd系統は、遺伝子型の変異が小さく、アッサム種に近い遺伝子型を示した。 高度抵抗性遺伝子Pl2の出現頻度はアッサム種で高く日本在来種で最も低く、中国本土の材料はその中間にあったことから、地理的な形質傾斜が認められた。 11.高度抵抗性遺伝子Pl1をホモに持つ系統について遺伝子型の解析を行い、'べにひかり、三叉枝蘭、PKS292'がPl1Pl1Pl2Pl2の遺伝子型、'Ace37'がPl1Pl1Pl2pl2、'Abo27、IRN17'、'IND75'がPl1Pl1pl2pl2の遺伝子型であることを明らかにした。これにより高度抵抗性遺伝子pl1と中度抵抗性遺伝子Pl2によって構成されるチャの輪斑病抵抗性の遺伝子型の9種類全部が確認され、それに対応する品種が明らかになった。 12.わが国の主要な88の品種および系統について遺伝子型とそれに対応する表現型を明らかにした。輪斑病に対して高度抵抗性品種の多くは海外導入種が関与している割合が高く、これら海外遺伝資源が輪斑病抵抗性育種に大きな役割を果たしていた。煎茶用の品種では罹病性の品種割合が高かったが、これは罹病性品種の'やぶきた'を交配母本として多用してきた育種結果と思われた。 チャ輪斑病抵抗性に関する表現型と遺伝子型により、'めいりょく、ゆたかみどり'および'しゅんめい'の来歴に疑問がもたれた。類似品種の識別では、'ひめみどり'と'S6'、'かなやみどり'と'NN121'は遺伝子型に違いが認められ識別可能であったが'ろくろう'と'こやにし'は表現型および遺伝子型が全く同一であり識別できなかった。 13.本研究ではわが国チャ遺伝資源の多様性とその育種への利用について野菜茶業研究所(枕崎)のチャ遺伝資源を対象に遺伝資源の各種形質の変異を明らかにし、分類学的な側面と利用の面から論議した。対象とした野菜茶業研究所(枕崎)の遺伝資源は昭和初期にインドから導入したアッサム種をはじめ中国およびその他の国々から導入した多くの海外遺伝資源を含んでいる。また、戦後組織的に行った日本在来種の収集や紅茶の指定試験地時代に育成した多くのアッサム種と中国種の変種間雑種などもあり世界に類を見ない多様なチャの遺伝資源を形成している。従ってここで行ったチャ遺伝資源の変異とその多様性に関する成果はわが国のチャ遺伝資源にそのまま適用できるものと思われる。
著者
武田 善行
出版者
農業技術研究機構野菜茶業研究所
雑誌
野菜茶業研究所研究報告 (ISSN:13466984)
巻号頁・発行日
no.1, pp.97-180, 2002-03
被引用文献数
4

野菜茶業研究所(枕崎)のチャ遺伝資源は耐寒性の弱いアッサム種(約800系統)や海外からの導入中国種(約550系統)をはじめ組織的に収集された日本在来種(約1,500系統)などが多数保存されており、わが国のチャ遺伝資源研究を行う上で最も良い条件を備えている。 そこで、本研究ではこれら遺伝資源について種々の形質を取り上げその変異の多様性と種内分類との関係を解明した。外部形態では、成葉の形質、新葉の毛茸分布特性、花器形態の変異を明らかにした。また、遺伝資源の利用の面から耐凍性、耐病性(炭疸病、輪斑病)および葉内化学成分(カフェイン、タンニン)などの特性評価を行い、チャの種内分類の指標としての有用性と育種素材としての可能性を検討した。 次に、遺伝的多様性の解明と有用特性の育種への利用を図るため、近年短期間のうちに重要病害となったP.longiseta菌によって引き起こされる輪斑病を取り上げその抵抗性の遺伝様式を解明し、抵抗性に関する遺伝資源の表現型と遺伝子型を明らかにして本病に対する抵抗性育種の理論的裏付けを行った。 1.成葉の形態では、大葉種のアッサム種(var.assamica)と小葉種の中国種(var.sinensis)は葉長では8cm、葉幅では4cm前後で分類された。成葉の葉色は中国種のほうがアッサム種に比べて明るく、彩度が高かった。この2つの成分でアッサム種のグループと中国種のグループは明瞭に分類された。 2.新葉の毛茸分布特性では、毛茸の長さ、密度、分布の仕方によって23の分類型を作成し、アッサム種、中国種のチャ遺伝資源2,446系統を21の分類型に分類した。アッサム種は大きな変異が認められたが、中国種では変異が小さく、特に日本の在来種は97.7%の系統が分類型IV-9(毛茸が長い、密度が高い、全面に分布)に属し、ほとんど変異が認められなかった。中国本士の中国種は日本の在来種よりもやや変異が大きかった。インド・ダージリンの小葉種(Cd系統)は中国種の中では変異が大きくアッサム種の影響を受けていた。 3.花器形態の6形質(花の大きさ、雌ずいの抽出度、花柱分岐数、花柱分岐点の位置、花柱のくびれの有無、子房の毛の有無)について主成分分析およびクラスター分析を行い、アッサム種、中国種およびアッサム雑種などのグループに分けることができた。この分類で特に有効であった形質は、花柱のくびれと雌ずいの抽出度および花柱分岐点の位置であった。このためこの3形質を組み合わせて27の分類型を作成し、緑茶用の48品種を12の分類型に分類した。この分類型により'ろくろう'と'こやにし、'かなやみどり'と'NN12'および'べにほまれ'と'金Cd5'の3組の類似品種が識別可能となった。 4.紅花チャの紅色花色は劣性遺伝子(r)によって支配されており、r遺伝子の単純劣姓ホモであるr/rの遺伝子構成で紅色の花色となり、r/+あるいは+/+の場合に白色の花になった。また、r遺伝子の多面的発現により、紅色花色の個体はすべて根も紅色になっていた。このため、幼苗期に根の赤いものを選抜すれば確実に紅花個体を選抜でき、早期選抜が可能になった。 5.耐凍性の評価を「植物遺伝資源特性調査マニュアル(5)」に従って評価し、階級値2(極弱)から8(極強)の7段階に分類した。アッサム種では階級値3~4(弱~やや弱)、中国種では階級値6~7(やや強~強)に最も多く分布し、耐凍性はアッサム種と中国種の変種間で2~3ポイントの大きな差が認められた。 6.葉内化学成分のカフェインとタンニン含有率の変異では、カフェインは1.64~5.46%の変異を示し、タンニンでは9.37~26.82%の変異が認められた。アッサム種は中国種に比べて両成分ともに高く、その境界はカフェインで3.5~4.0%、タンニンで18~20%であった。また、中国種の中ではカフェイン、タンニンの両成分とも日本在来種が中国導入種よりも低く、インド、バングラディシュ、ミャンマーのアッサム種から中国本土の中国種そして日本在来種へと低くなる傾斜が認められた。 7.チャの炭疽病抵抗性の遺伝力はかなり高く、広義の遺伝力は0.73~0.86と推定された。チャ遺伝資源の炭疽病抵抗性は、アッサム種、導入中国種はほとんどが抵抗性7(強)を示したが、日本の在来種は抵抗性7(強)が53.4%、抵抗性6(やや強)が18.2%、抵抗性5(中)が17.0%、抵抗性4(やや弱)が6.0%、抵抗性3(弱)が5.5%で極めて変異が大きかった。日本在来種の抵抗性を収集地域別にみると、近畿地方の材料の変異が大きく、この地域では抵抗性5(中)の比率が最も高かった。これに対して、南九州(鹿児島県、宮崎県)の材料は抵抗性7(強)の比率が高く、約85%を占めた。これは南九州はチャの生育期間が長く、気温が高くて雨量が多いことから炭疽病の発生に好適な環境にあるため、在来種の長い栽培の過程で炭疽病に弱いものが淘汰された可能性が考えられた。 8. P.longiseta菌によって起こる輪斑病に対する抵抗性評価のために効率的な輪斑病菌分生子の人為接種検定法を検討した。接種源となる分生子の濃度は106個/ml程度でよく発病し、高度抵抗性、中度抵抗性、罹病性の品種間差異を検定できた。人為接種検定を行う時期は梅雨明け後の7月から8月中旬がよく、それ以前では低温と梅雨時の降雨の影響、9月以降は気温の低下が大きな阻害要因となった。人為接種後の降雨が発病に及ぼす直接的な影響は大体接種後5時間程度までであった。接種後の病斑の大きさによる抵抗性の判定は、接種後14~17日が適当であった。 9.P.longiseta菌によって起こる輪斑病に対する抵抗性は、抵抗性の異なる2つの独立した優性遺伝子Pl1(高度抵抗性遺伝子)とPl2(中度抵抗性遺伝子)によって支配されており、 Pl1はPl2に対して上位の関係にあることが解明された。 10.チャの輪斑病抵抗性に関する遺伝子型はアッサム種と中国種では大きな違いが認められた。中国種の中でも中国からの導入種と日本の在来種では各遺伝子型の頻度に違いが認められた。中国導入種は表現型では高度抵抗性が98%以上を占め、アッサム種と明瞭な差異はなかったが、遺伝子型では高度抵抗性遺伝子Pl1をホモに持つ系統の割合はアッサム種が72%であったのに対し、中国導入種は51%と低く、また、中国導入種では7種の遺伝子型すべてに対応する系統が認められるなど遺伝子型ではアッサム種よりもはるかに大きな変異が認められた。中国種の中では日本在来種の遺伝子型の多型が顕著であり、導入中国種よりもさらに大きな変異が認められた。日本在来種の場合、83%の高度抵抗性系統は高度抵抗性遺伝子を1つ持つことによって高度抵抗性になっていた。また、中国種に分類しているインドのダージリン原産のCd系統は、遺伝子型の変異が小さく、アッサム種に近い遺伝子型を示した。 高度抵抗性遺伝子Pl2の出現頻度はアッサム種で高く日本在来種で最も低く、中国本土の材料はその中間にあったことから、地理的な形質傾斜が認められた。 11.高度抵抗性遺伝子Pl1をホモに持つ系統について遺伝子型の解析を行い、'べにひかり、三叉枝蘭、PKS292'がPl1Pl1Pl2Pl2の遺伝子型、'Ace37'がPl1Pl1Pl2pl2、'Abo27、IRN17'、'IND75'がPl1Pl1pl2pl2の遺伝子型であることを明らかにした。これにより高度抵抗性遺伝子pl1と中度抵抗性遺伝子Pl2によって構成されるチャの輪斑病抵抗性の遺伝子型の9種類全部が確認され、それに対応する品種が明らかになった。 12.わが国の主要な88の品種および系統について遺伝子型とそれに対応する表現型を明らかにした。輪斑病に対して高度抵抗性品種の多くは海外導入種が関与している割合が高く、これら海外遺伝資源が輪斑病抵抗性育種に大きな役割を果たしていた。煎茶用の品種では罹病性の品種割合が高かったが、これは罹病性品種の'やぶきた'を交配母本として多用してきた育種結果と思われた。 チャ輪斑病抵抗性に関する表現型と遺伝子型により、'めいりょく、ゆたかみどり'および'しゅんめい'の来歴に疑問がもたれた。類似品種の識別では、'ひめみどり'と'S6'、'かなやみどり'と'NN121'は遺伝子型に違いが認められ識別可能であったが'ろくろう'と'こやにし'は表現型および遺伝子型が全く同一であり識別できなかった。 13.本研究ではわが国チャ遺伝資源の多様性とその育種への利用について野菜茶業研究所(枕崎)のチャ遺伝資源を対象に遺伝資源の各種形質の変異を明らかにし、分類学的な側面と利用の面から論議した。対象とした野菜茶業研究所(枕崎)の遺伝資源は昭和初期にインドから導入したアッサム種をはじめ中国およびその他の国々から導入した多くの海外遺伝資源を含んでいる。また、戦後組織的に行った日本在来種の収集や紅茶の指定試験地時代に育成した多くのアッサム種と中国種の変種間雑種などもあり世界に類を見ない多様なチャの遺伝資源を形成している。従ってここで行ったチャ遺伝資源の変異とその多様性に関する成果はわが国のチャ遺伝資源にそのまま適用できるものと思われる。
著者
伊藤 隆 渡邉 昭夫 尾高 煌之助 佐道 明広 武田 知己 梅崎 修
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

現代日本史料の調査、収集、整理、公開等を踏まえた政策課程と政策史研究を目的とし、以下のような研究成果を上げた。1、オーラルヒストリーの実施研究期間内に30人以上のオーラルヒストリーを実施し、終了したオーラルインタビューの速記録をまとめ冊子化した。2、史料整理多くの研究補助者の協力を得て、収集した史料について整理を進め、20冊以上の史料目録を刊行することができた。3、研究会の実施研究期間内に、日本近現代の史料・政策過程・防衛政策等について、計11回の研究会を開催し、速記録をまとめ報告集として冊子化した。4、近現代日本人物史料情報辞典3の刊行及び続巻の編纂平成16年に第一巻、平成18年に第二巻を吉川弘文館より刊行し、第三巻を平成19年12月に刊行した。なお、第4巻の準備も開始した。5、シンポジウムの開催「<戦後>は終わったか?」についてシンポジウムを開催し、活発な討論が交わされた。速記録をまとめ報告書に掲載した。
著者
武田 綾 鈴木 健二 白倉 克之
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.513-519, 2002-08-01
被引用文献数
3

アルコール依存症を合併した摂食障害(合併群)の転帰について摂食障害単独群(単独群)との比較研究である.1990〜1998年に受診した30歳以下で半構造化面接のできた摂食障害患者130名に対し,2000年10〜12月にアンケートと電話で追跡調査を行った.対象者のうち102名(78%)が回答し,平均追跡期間は4.6年であった.2つの群は初診時において,初診年齢,パーソナリティ障害,AN-Rの割合,結婚・離婚経験など多くの点で違いがあった.調査時点で合併群は非常に高い死亡率(25%)があり,離婚経験は38%,問題飲酒も42%がもっており,症状消失とED-NOSが半数を占めた単独群と比較して,合併群の長期転帰は非常に悪かった.両群に共通した転帰良好因子は嘔吐が少ないことであった.
著者
武田 昌憲
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅大学研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
no.46, pp.A15-26, 2014-03-31

島原の乱を描いた絵図についての考察。絵図の中に説明文がある。これを紹介した。この表記に,絵巻や屏風絵等と異なる独特の文学性を指摘した。絵図には人が書いてないのに,説明文で物語がわかるようになっている。これまで指摘がない内容である。
著者
神谷 晃央 竹井 仁 武田 湖太郎 村岡 慶裕 笹崎 義弘
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.219-230, 2013-03-25

THA術前患者における患側立脚相の骨盤側方傾斜から逆トレンデレンブルク歩行が認められた群(TI群)と見られなかった群(NTI群)に分け,歩行時の前額面における姿勢や運動機能の特徴およびその回復過程における両群間の差を明らかにすることを目的とした。初回の片側THAを受ける女性患者18名(TI群10名,NTI群8名)を対象とし,術前・2週・4週・6か月において,前額面における歩行時の骨盤側方傾斜や股関節可動域および筋力を比較した。術前の患側股関節内転可動域ではNTI群11.9度,TI群4.1度でありTI群が有意に低下していた。NTI群と比較してTI群では2週と4週で患側股関節外転筋力の低下,6か月で患側股関節内転筋力低下を認めた。結果から,逆トレンデレンブルク歩行の原因は,股関節外転筋力の低下を伴った患側股関節内転可動域制限の可能性がある。また,TI群ではNTI群よりも歩行時の姿勢異常や運動機能の低下が顕著であった。
著者
亀田 尭宙 加藤 文彦 神保 宇嗣 大向 一輝 武田 英明
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

生物多様性や環境の問題において共有するべき生物情報は様々な分野に関わる。本研究では、生物情報を共有する Linked Open Data 基盤として構築を進めてきた LODAC Species へ、生物多様性に関する重要なデータである絶滅危惧種情報の統合を行った。和名や学名を手がかりとして効率的に情報を統合できた一方、統合に工夫が必要な種も見られた。これらの現状と課題について報告を行う。