著者
小野崎 隆 山口 隆 姫野 正己 池田 広
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.974-978, 1999-09-15
被引用文献数
5 17

Pseudomonas caryophylliにより発生するカーネーション萎ちょう細菌病は, 日本でのカーネーション栽培上最も重要で問題となっている病害であり, ほとんどの栽培品種は本病害に対しり病性であることが知られている.本報では, 野菜茶試で維持保管しているダイアンサス属野生種の萎ちょう細菌病に対する抵抗性を, 浸根接種法による検定により評価した.接種から91日後の発病率によって, 抵抗性を極強(発病率 : 0%), 強(発病率 : 0<&acd;≦20%), 中(発病率 : 20<&acd;≦40%), 弱(発病率 : 40<&acd;≦70%), 極弱(発病率 : 70<&acd;≦100%)の5つに分類した.検定試験の結果, 本病害に対する抵抗性が極強(発病率 : 0%)の野生種2種, D. capitatus ssp. andrzejowskianusとD. henteriを見いだした.これらの2種は, 実験期間を通じて全く病徴を示さなかった.さらに, 抵抗性が強(発病率 : 0<&acd;≦20%)の野生種7種類を見いだした.4菌株を用いた再試験の結果, D. capitatus ssp. andrzejowskianusが最も強い抵抗性を示す野生種であることが明らかになった.
著者
池田 宥一郎 飯塚 博幸 山本 雅人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.1B1OS11a05, 2018 (Released:2018-07-30)

近年の情報科学の発展は,動物行動学の研究に大きく寄与している.我々は札幌市円山動物園において人工知能により動物を管理する負担の軽減を試みを行っている.我々の目標の1つは,健康管理と飼育環境の整備のためにチンパンジーのエソグラムを自動的に作成することである.エソグラムとはある特定の個体や種の全行動パターンの目録であり,動物の行動を研究するうえでもっとも基本的な記録である. エソグラムの作成には個体識別が必要があるため,本研究では画像認識分野で高い精度を出している畳み込みニューラルネットワークを用いて個々のチンパンジーを認識できるか検証した。 実験の結果,我々のシステムはチンパンジーの個体識別が可能であることを示した。
著者
池田 裕
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2015-04-24

第一に、当該年度は日本における争点態度の構造を検討した。「政治と科学に関する意識調査」(PIAS調査)のデータを用いた分析によれば、憲法改正・原子力発電所・集団的自衛権・靖国神社・尖閣諸島・道徳教育・生活保護・女性管理職・保育サービス・夫婦別姓・同性結婚のなかで、最も人気があるのは尖閣諸島・生活保護であり、最も人気がないのは原子力発電所・靖国神社である。11項目の争点態度は、自民党政治・伝統的秩序・社会的平等・家族多様性の四つの次元を構成する。この四つの次元は、互いに独立しているのではなく、互いに関連している。加えて、保革自己イメージは四つの因子のすべてを有意に予測する。具体的には、自身を保守的だと考える人ほど、自民党政治と伝統的秩序に好意的で、社会的平等と家族多様性に好意的でない。第二に、当該年度は保革自己イメージと政府支出への支持の関係を検討した。日本版総合的社会調査(JGSS)のデータを用いた分析によれば、環境保護・犯罪取締・教育・安全保障・社会保障・雇用対策のなかで、最も人気があるのは社会保障であり、最も人気がないのは安全保障である。6項目のあいだの相関は、単一因子によって十分に説明される。線形回帰モデルにおいて、政府支出への支持に対する保守主義の効果は統計的に有意でない。しかし、分位点回帰の結果は、条件付き分布の中位の分位点に対して、保守主義が有意な負の効果を持つことを示している。それゆえに、自身を保守的だと考える人ほど、政府支出の増加を支持する傾向が弱いという仮説は部分的に支持される。日本では、有権者のイデオロギー的立場が、社会福祉への選好や小さな政府への選好とほとんど相関しないとされている。それに対して、本研究の結果は、社会的平等や政府支出に関して、保守と革新のあいだに意見の隔たりがあることを示している。保守と革新の対立は深刻でないが、無視することはできない。
著者
池田 亮作 日下 博幸
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

都市の気温は, 都市化の影響を大きく受けていると考えられており, 都市の暑熱環境の悪化は, 熱中症など都市住民の健康にも影響を与えうると不安視されている. そこで, 街区の風通し, ドライミスト・街路樹の設置などの暑熱環境緩和策への関心が高まっている. これらの効果を, 数値モデルを用いて評価するためには, 街区スケール(10<sup>2</sup>~10<sup>3</sup>m)から建物周辺スケール(10<sup>1</sup>m)の現象を計算できるモデルが必要となる.そのためには, 建物を解像し, 街路樹の効果もモデルに反映させる必要がある.本研究では, 街区・建物周辺スケールのシミュレーションが可能なモデルの開発を行い, 現実都市における熱環境シミュレーションを行った.
著者
上野 昭彦 池田 博
出版者
東京工業大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1997

シクロデキストリン(CD)は環状オリゴ糖であり水溶液中でさまざまな分子を包接することができる。本研究では、蛍光性単位(ダンシル)とタンパク質結合性単位(ビオチン)を有する修飾CDを合成し、タンパク質アビジンが結合すると修飾CDの分子認識センサーとしての能力がいかに変化するか検討した。これまでのダンシル修飾CDでは、タンシル単位がCD空孔内に自己包接され強い蛍光を発するが、ゲスト包接に伴いダンシル単位は空孔外の水環境に追い出され蛍光強度が減少する。この減少がゲストの検出に利用されてきた。本研究では、CDとしてはグルコース単位を7個有するβ-CD、ダンシルを含む単位としてはダンシルそのもの及びダンシルグリシン残基を用いた(各修飾CDを1、2とする)。ダンシル単位は1よりも2の方が、グリシン部分を介するだけ自由に動きやすくなっている。両者とも励起波長360nmで測定すると550nmに蛍光のピーク示した。そして、ゲストである1-アダマンタノール添加による最大の蛍光強度減少は1ではアビジン不在下で19.2%,アミジン存在下では10.9%であった。他方、2では、それぞれ39.2%,4.2%であった。このように両センサー系とも、タンパク質の存在によってゲスト添加による蛍光強度の減少の程度が抑制された。この事実は、タンパク質が結合することによってダンシル単位がCD空孔外に出ることが制限せれていることを示唆している。なお、結合定数は2-1-アダマンタノールの系でアビジン存在、不在下で9730M^<-1>、63700M^<-1>となり、アビジンの存在によって著しく増大した。タンパク質がCD空孔近傍の疎水的環境を増大てさせいるのもと推測される。
著者
籾山 翔子 布川 康司 布川 伸子 池田 博和 川西 歩 伊從 慶太
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.141-145, 2018 (Released:2018-09-29)
参考文献数
11

去勢雄,7歳齢のマルチーズが,顔や肉球に多発性の紅斑,びらん,痂皮を呈した。臨床および病理組織学的検査により,症例は慢性肝炎を伴った壊死性遊走性紅斑と診断された。肝庇護療法,アミノ酸輸液に加えて,脂肪由来幹細胞の静脈投与を行った結果,32日後に皮膚症状および低アルブミン血症は改善した。その後,アミノ酸製剤の補給を中止した後も,脂肪由来幹細胞療法を継続することで,20ヶ月間症状の再燃を認めなかったことから,脂肪由来幹細胞療法が犬の壊死性遊走性紅斑の有効な治療選択肢となる可能性が示唆された。
著者
池田 謙一
出版者
Japanese Association of Electoral Studies
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.109-121,188, 2000

本論文は社会心理学的な二つの投票行動モデルに基づき,1998年の参院選比例区での投票行動に対して,96年の政党スキーマ,98年の政治•経済の状況に対する「ソシオトロピック」な判断•内閣業績評価が及ぼす効果を検討したものである。用いたデータは1996-98年のJEDS全国パネル調査であり,分析の結果は仮説に支持的であった。<br>ここでは,業績評価が社会心理学的な視点から持つ意味,また業績評価や投票行動の規定要因としてのソシオトロピックな判断の持つ意味を検討し,これらを踏まえて分析が行われ,業績評価が投票行動に効果を持つことが明瞭に示された。一方,ソシオトロピックな判断は内閣の業績評価に対しては米国と同様の効果を示したものの,投票行動に対しては異なる効果を持っていた。これらの結果は,個人の経済状況認知の持つ自己利害的な効果と関連させて考察された。
著者
池田 孝博
出版者
福岡県立大学人間社会学部
雑誌
福岡県立大学人間社会学部紀要 (ISSN:13490230)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-12, 2014-09

近年、地域社会への貢献は、大学の大きな使命のひとつに位置づけられている。しかしながら、その活動について検証した文献は少ない。本研究の目的は、福岡県立大学の専門教育として行われている保育者養成教育と田川市立幼稚園における身体運動に関する指導・支援活動について検証することである。この連携活動に参加した学生と幼稚園の教員および園児の保護者を対象に調査を実施した。その結果、体力・運動能力測定、運動会の練習支援および本番のお手伝い、朝の運動遊びの連携活動は、学生の専門教育として十分な効果的をあげていることが確認された。また、幼稚園の教員による評価においても、学生の活動が子どもたちの保育活動に良い影響を与えていることが確認された。さらに、保護者の評価では、連携活動に対して高い認知度が認められ、その評価も高いことが確認された。よって、これらの活動は、大学から地域社会への貢献だけでなく、大学教育に地域が貢献している「双方向モデル」の事例になると考えられる。
著者
森下 暢也 新井 亮 笹川 知里 岡本 直樹 池田 順一 Lim Pang Boey 井上 光輝
出版者
合成樹脂工業協会
雑誌
ネットワークポリマー (ISSN:13420577)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.179-187, 2011

DVD と同じサイズのディスクに10TB を超えるような大容量次世代ホログラムの開発記録システム開発としてフェーズロックコリニアホログラムメモリシステム(MEXT キーテクノロジー事業)の開発を進め,最終的には20TB の可能性を示唆することが出来た。本報では,1)脂環式エポキシとポリエーテルからなるネットワークポリマーマトリックス中で,2)ナノレベルの相分離を利用してドットライク精密なホログラム記録のできるナノゲルフォトポリマー(NGPP)を開発したので報告する。
著者
勝亦 陽一 山田 亜沙妃 池田 達昭
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.205_3, 2016

<p> 本研究は、日本人一流競技者における小学生期の競技種目実施状況を明らかにすることを目的とした。対象は、14&ndash;55歳の日本人一流競技者790名(男性394名、女性396名)であった。対象の競技は、2000年以降のオリンピック競技種目とした。対象者には、専門競技および専門競技以外の競技経験(競技開始年齢、練習頻度)を質問紙に記入するよう指示した。本研究の結果、未就学期および小学生期に専門競技を開始したのは、男性が250名(63%)、女性が238名(60%)であった。小学生期に専門競技および専門競技以外の競技を実施していたのは、男性では69名(18%)女性では81名(20%)であった。専門競技以外の実施は、男性では水泳が40名、サッカーが34名、野球が26名と多かった。一方、女性では、水泳が44名、体操競技が7名と多かった。本研究で対象とした日本人一流競技者の多くは、小学生期に複数の競技を経験することによって多面的に運動能力を発達させたのではなく、専門種目のみを長期間に渡り実践することで種目特有の運動能力を発達させたと考えられる。</p>

1 0 0 0 OA 葛藤する保守

著者
池田 裕
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.43-58, 2017 (Released:2018-06-13)
参考文献数
24

日本では、有権者のイデオロギー的立場が、社会福祉への選好や小さな政府への選好とほとんど相関しないとされている。すなわち、先行研究の結果は、保守と革新が政府支出の増加を同じ程度に支持することを示唆している。それに対して、本稿は、イデオロギーが依然として福祉支出選好の重要な規定要因であることを示す。具体的には、イデオロギーは、市場制度への信頼と福祉支出選好の関係を条件づけるという、調整変数としての役割を果たす。イデオロギーは福祉支出選好に直接影響しないが、市場制度への信頼が福祉支出選好に影響する文脈を提供するというのが、本稿の主張である。日本版総合的社会調査(JGSS)のデータを用いた分析によって、以下の知見が得られた。福祉支出に関して、日本では保守と革新のあいだに意見の隔たりが存在しない。重要なのは、保守と革新の対立ではなく、市場制度を信頼する保守と市場制度を信頼しない保守の対立である。ほかの条件が等しければ、社会保障への支持と雇用対策への支持の予測確率は、市場制度を信頼する保守のあいだで最も低く、市場制度を信頼しない保守のあいだで最も高い。社会保障と雇用対策が福祉国家の主要な活動であることを考慮すると、福祉国家の熱心な支持者が革新であるとは限らない。本稿の結果は、葛藤する保守が福祉国家の潜在的反対者であると同時に、福祉国家の潜在的支持者でもあることを示唆している。
著者
田口 真二 桐生 正幸 伊藤 可奈子 池田 稔 平 伸二
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯心研 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.1-13, 2018-06-30

<p>A projective questionnaire for measuring male sexual desire was developed. In Study 1, the original Sexual Desire Scale for Males (SDS-M) was developed by referring to information on sexual activities on the Internet, as well as to prior studies on sexual offenders and their victims. The original SDS-M requested participants to judge whether they agreed or disagreed with sentences regarding various sexual behaviors and objects of sexual desire. SDS-M did not inquire about the frequency of sexual activities or the strength of sexual desire. The original SDS-M was administered to 140 males. The factor analysis of their responses revealed that the SDS-M had a 5-factor structure: daily sexual desire, h omo-hetero sexual desire, penis oriented sexual desire, intercourse oriented sexual desire and abnormal sexual desire. Cronback's alpha indicated satisfactory internal consistency and reliability. Study 2, investigated the stability and the validity of the SDS-M. It was administrated to 274 males, and based on the results of confirmatory factor analysis using Structural Equation Modeling, the SDS-M was divided into two subscales: a general sexual desire subscale consisting of the four factors with the exception of the Abnormal factor, and an Abnormal sexual desire subscale. The goodness of fit index of each subscale indicated satisfactory factor validity. Moreover, the SDS-M had reasonable test-retest reliability and satisfactory correlations with the Sexual Attitudes Scale and the Beck Depression Inventory.</p>
著者
赤川 優美 上野 晃弘 池田 淳司 石井 亘 宍戸-原 由紀子 関島 良樹
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.324-331, 2018 (Released:2018-05-25)
参考文献数
27
被引用文献数
4 5

症例1は59歳女性.特発性好酸球増多症に対しプレドニゾロンを内服中.脳MRI病変に軽度の造影効果が認められ,炎症の存在が示唆された.症例2は30歳女性.全身性エリテマトーデスに対し免疫治療中.脳生検が実施され,CD4およびCD8陽性細胞の均衡がとれたリンパ球浸潤を認めた.両症例とも神経症状発症早期に進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy; PML)と診断し,メフロキン,ミルタザピン,リスペリドンによる治療を行った.症例1は発症から24ヶ月,症例2は45ヶ月経過しているが,症状改善し生存している.PMLの予後は不良とされているが,JCウイルスに対する制御された免疫応答を有する症例では薬物治療が有効である可能性がある.
著者
児玉 敏宏 池田 拓洋 法岡 貴子 湯川 彰英 雑賀 博子 高橋 敏夫 北 裕次 前田 明文 阿部 富彌
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.143-146, 1993

腎性骨異栄養症の補助診断およびその病態の評価をする目的で, 維持透析患者43例に対し2年間にわたり定期的身長測定を実施し, その身長変化と種々の臨床検査, 骨塩量, ビタミンD<sub>3</sub>投与量との比較検討を行った.<br>身長は3か月毎に測定したが, 今回は1988年1月から1990年1月までの2年間における身長の変化を観察し, その身長変化と年齢, 透析歴, 血清Ca, P, ALP, C-PTH, AI, BMG, カルシトニン (CT) 等の血液検査との比較検討を行った.<br>また, Digitallmage Processing Methodにて骨塩量 (ΣGS/D) を測定し, 身長変化と比較した. ビタミンD<sub>3</sub>投与量と身長変化との関係も合わせて検討した.<br>身長縮小値と透析歴との間にr=0.307の正の相関傾向が, 血清Ca値との間にr=0.345の正の相関傾向が認められた. 身長縮小値と血清ALP値との間にr=0.670, p<0.01と正の相関が, 血青C-PTH値との間にr=0.701, p<0.01と正の相関が見られた. ΣGS/Dと身長縮小値, 血清ALP, C-PTH値との間に負の相関が認められた. ビタミンD<sub>3</sub>投与量と身長縮小値との間には相関は見られなかった.<br>2年間に2cm以上の身長縮小をみた5症例中4症例に, 血清C-PTH値の異常高値が認められた.