著者
田口 真二 桐生 正幸 伊藤 可奈子 池田 稔 平 伸二
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.1-13, 2007 (Released:2018-06-30)
参考文献数
27

A projective questionnaire for measuring male sexual desire was developed. In Study 1, the original Sexual Desire Scale for Males (SDS-M) was developed by referring to information on sexual activities on the Internet, as well as to prior studies on sexual offenders and their victims. The original SDS-M requested participants to judge whether they agreed or disagreed with sentences regarding various sexual behaviors and objects of sexual desire. SDS-M did not inquire about the frequency of sexual activities or the strength of sexual desire. The original SDS-M was administered to 140 males. The factor analysis of their responses revealed that the SDS-M had a 5-factor structure: daily sexual desire, h omo-hetero sexual desire, penis oriented sexual desire, intercourse oriented sexual desire and abnormal sexual desire. Cronback's alpha indicated satisfactory internal consistency and reliability. Study 2, investigated the stability and the validity of the SDS-M. It was administrated to 274 males, and based on the results of confirmatory factor analysis using Structural Equation Modeling, the SDS-M was divided into two subscales: a general sexual desire subscale consisting of the four factors with the exception of the Abnormal factor, and an Abnormal sexual desire subscale. The goodness of fit index of each subscale indicated satisfactory factor validity. Moreover, the SDS-M had reasonable test-retest reliability and satisfactory correlations with the Sexual Attitudes Scale and the Beck Depression Inventory.
著者
縄田 健悟 池田 浩 青島 未佳
出版者
産業・組織心理学会
雑誌
産業・組織心理学研究 (ISSN:09170391)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.117-129, 2021 (Released:2022-12-29)

This study examined how the rapid spread of telework triggered by the COVID-19 pandemic has affected organizational behavior, especially teamwork. The spread of COVID-19 in 2020 led to a significant increase in telework in Japanese companies. Since telework involves non-face-to-face communication, it may have a negative impact on teamwork. We compared the teamwork of 23 teams in an organization by conducting a pre- (January 2020) and post-survey (May 2020) during the first wave of COVID-19 in Japan. We found that the proportions of telework and team virtuality increased significantly from pre-survey to post-survey. However, the teamwork and team performance data remained almost constant. Rather, on examining the data from May 2020 (post-survey), we found that team virtuality, especially technology use, had a positive correlation with teamwork. Thus, the rapid spread of telework and team virtuality does not necessarily hamper teamwork; rather, the technology-proficient teams may have excellent team processes and high team performance.
著者
池田 直樹
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.56-71, 2018 (Released:2019-06-30)
参考文献数
40

本稿はP. L. バーガーの社会学論, とりわけ社会学のメタレベルにおける意義に関する彼の議論を取り上げ考察する. バーガーが社会学論を展開した1960年代以降のアメリカにおいては, ‹社会学と政治›の関係をめぐって盛んにこの種の社会学論が論じられていた. バーガーももちろんこういった状況を自覚しながらそれに取り組んでいた. だが同時に彼においては‹社会学と信仰›というもう1つの問題系列も存在した. 時系列的にはこちらの系列に‹社会学と政治›問題が重ねられてくる.これを踏まえて本稿ではバーガーの社会学論を‹社会学と信仰›, ‹社会学と政治›という2つの問題系列の交点において捉える. 本稿はバーガー自身の言葉を借りてこの問題を, 「科学と倫理の問題」として考える. それによって, 従来はともすればバーガーが保守化したのかどうかということのみが焦点化されてきた, 彼における‹社会学と政治›問題に異なる光を当てることができる. それはつまり彼の社会学を‹社会学・政治・宗教›というより包括的な問題連関において捉え直すということである.こうした問題設定によってわれわれは, バーガーの思想全体への概略的見通しを得ることができるだろう. さらに上記の枠組みにおいて彼を捉え直すことは, 意味概念をはじめとする彼の社会学説の再検討のためだけでなく, アメリカ社会学全体の思想的性格を問うための手がかりの1つとなるとも思われる.
著者
生井 明浩 池田 稔 土肥 二三生 吉川 琢磨 木田 亮紀
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.369-372, 2000-06-01 (Released:2010-06-28)
参考文献数
5
被引用文献数
1

味覚障害の原因には, 従来より亜鉛が重要と考えられているが, 亜鉛の内服では味覚障害の改善の認められない症例がある.亜鉛と同様生体内の必須微量元素であるビタミンB群に着目し, 味覚障害患者の血中ビタミンB1とB2の測定を行った.対象は, 味覚障害患者のうちの血清亜鉛値正常者43例 (30歳―77歳, 平均59.7歳.男性17名, 女性26名) であった.43例全例血中ビタミンB1値は正常であった.43例中17例 (39.5%) に血中総ビタミンB2値の低下を認めた.低下症例の平均は44.4±3.8ng/ml, 全症例の平均53.8±12.4ng/mlであった (正常値50―84ng/ml).総ビタミンB2値の低下を認めた17例中10例に活性型ビタミンB2 (FAD) の経口投与を行った.10例中6例 (60%) に味覚の改善を認めた.味覚障害にビタミンB2欠乏も関与している可能性が推察された.
著者
塚谷 裕一 池田 博
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.127-135, 2005-08-31 (Released:2017-03-25)
被引用文献数
1

植物分類学における分子系統学的解析が疑いなく重要となっている現在,すべての分類群を対象とした網羅的なDNAの収集がなされれば,系統分類学者にとって非常に有用なものになると考えられる.従来,遠隔地での植物DNAサンプルの採集法は,生の組織をシリカゲルで乾燥して持ち帰るというものであった.しかし,そのためには十分な量のシリカゲルを用意せねばならず,大量のサンプルを処理することは困難であった.最近,私たちはフィールド調査で植物のDNAを収集する際に, Whatman社製のFTA[○!R]カードを採用している. FTAカードにより収集されたDNAはPCR解析に向いており, DNA収集が容易で,しかもコンパクトであるという利点がある.ヒマラヤ植物研究会ではFTAカードを用いた植物DNAの収集を進めており,将来的にはこのDNAリソースを世界の研究者に提供することを目指している.具体的事例として,ロシアで行った収集について紹介する.
著者
池田 隆英
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
no.25, pp.37-47, 2019-03-12

本研究は、「新しい科学論」の問題意識に立ち、「学校問題」における「子ども/大人」関係の構図と論理を描こうとするもので、本稿では、「いじめ問題」に関する先行研究の知見を対象にメタ分析し、その位相や配置から成る言説空間を後づけた。まず、レビュー論文27本を対象に、「いじめ問題」の「語られ方」を抽出した。その結果、論者の専門領域や関心領域に焦点を当てた知見にいくつかの傾向が読み取れた。しかし、レビュー論文の知見は、現実の「いじめ問題」に活用するには限界がある。そこで、「いじめ問題」の学術論文(1056 本)を渉猟してメタ分析を行った。先行研究のテーマは、大別して20項目の「下位カテゴリー」、さらに抽象化した4項目の「上位カテゴリー」に分類できた。レビュー論文の知見を比較するため、「上位カテゴリー」である「現象」、「要因」、「防止」、「予測」によって分析すると、レビュー論文の視野が明らかになった。一方、先行研究1056 本を「下位カテゴリー」「上位カテゴリー」で分析すると、「現象」「因果」といった「事後の分析」から「防止」「予測」といった「事前の分析」へと移行しつつあることがわかった。危機管理の問題意識に立てば、「想定外の事態」を回避・軽減するには、「いじめ問題」をめぐる言説を広くとらえ、事態を単純化しないことが重要である。
著者
中司 敦子 神崎 資子 高木 章乃夫 岩田 康義 池田 弘 福島 正樹
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.163-168, 2004-02-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

慢性腎不全患者の意識障害として尿毒症性脳症が知られているが, 透析療法が普及した昨今ではこの病態を経験することはまれである. 今回われわれは緩下剤の連用中に高マグネシウム (Mg) 血症による意識障害をきたした慢性腎不全の2症例を経験したので報告する.症例1は77歳, 男性. 糖尿病性腎症による慢性腎不全で加療中, 食欲不振と意識混濁が出現し入院. 血清Cr 4.31mg/dL, BUN 64mg/dL, 血清Mg 7.3mg/dLと上昇. 血清カルシウム値は5.8mg/dLと低下. 皮膚の潮紅, 肺炎および呼吸抑制による呼吸不全を認めた. 血液透析で血清Mg値は低下したが, 翌日再分布によると考えられる再上昇をきたしたため血液透析を再度行い軽快した.症例2は78歳, 女性. 慢性関節リウマチ, 腎機能低下で加療中に尿路感染症により腎機能が増悪し, 全身倦怠感, 見当識障害が出現したため入院. 血清Cr 6.56mg/dL, BUN 96mg/dL, 血清Mg 7.1mg/dLと上昇. 血液透析を3日間連続して行い軽快した.いずれの症例もMg製剤の服用歴を有し, 高度な高窒素血症が存在しないにもかかわらず意識障害を呈した. 当院で2年間に血液透析導入時に血清Mgを測定した78例中, 中毒域の高Mg血症をきたしたのは今回提示した2例のみであった. その他に, 意識障害をきたした症例は低血糖の1例のみで, 尿毒症性脳症による意識障害はなかった. 今回の症例では緩下剤の連用および感染による慢性腎不全の急性増悪が重篤な高Mg血症の原因と考えられた. 治療として血液透析が有効であったが, 再分布による血清Mg値の再上昇に注意が必要である.
著者
溝口 萌 池田 采可 泉山 塁威 宇於﨑 勝也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.251-257, 2022-09-09 (Released:2022-09-09)
参考文献数
17
被引用文献数
2

人口減少や大都市圏への人口集中により、中心市街地は衰退の一途をたどっている。一方で、中心市街地の活性化は地方都市にとって依然として課題である。そこで、本稿では、基本計画で実施された事業の分析とアンケート調査を行った。その結果、中心市街地活性化システムは、ソフト事業への支援が不十分であり、事務負担も大きいことがわかった。その充実により、自治体が制度を利用しやすくなり、継続的な賑わいを創出することができる。
著者
世古口 悟 廣瀬 瞳 池田 佳奈美 山根 慧己 濱田 聖子 堀田 祐馬 山田 展久 磯崎 豊 長尾 泰孝 小山田 裕一 松林 宏実
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.184-190, 2020-04-01 (Released:2020-04-03)
参考文献数
19
被引用文献数
1

針刺し事故の現状およびワクチン接種の問題点を検証する目的で,2012年1月から2019年7月までに当院で報告のあった,針刺し切創・皮膚粘膜曝露138症例の検討を行った.職種は看護師52.9%,常勤医師23.9%の順で,事務職は1.4%(2例)であった.経験年数1年未満が23.2%で,汚染に伴う感染例はなかった.曝露時のHBs抗体価が10 mIU/ml未満の割合は23.7%で,HBs抗体の自然低下41.9%,ワクチン接種終了前の曝露35.5%,ワクチン不応9.7%,ワクチン接種非対象者6.5%であった.針刺し事故は,事務職にも発生しており,全ての医療従事者を対象としたワクチン接種が必要である.また就業開始前のワクチン接種による抗体獲得および抗体価の定期的な測定を検討する必要がある.
著者
中根 俊成 池田 徳典 佐藤 伸一 田村 直人 樋口 理 鈴木 隆二 坪井 洋人 伊原 栄吉 宋 文杰 川上 純 佐藤 和貴郎
出版者
日本医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

自己免疫性自律神経節障害は自律神経系が免疫異常の標的となる比較的新しい疾患概念である.本症では抗自律神経節アセチルコリン受容体抗体は病原性自己抗体として病態の鍵となる役割を果たす.自己免疫性自律神経節障害は自律神経系外の症候や膠原病などの併存,小児症例が存在する.こういった「多様性」が本症の診断しにくさ,難治化につながっている.本研究では1)自己抗体の病原性検証,2)病態モデル開発,3)小児症例,膠原病症例における臨床的特徴の解析,を遂行する.「複雑な病態と臨床像=多様性」への多角的アプローチが自己免疫性自律神経節障害の診断基準作成,治療ストラテジーの確立に貢献すると考えられる.
著者
牧田 光平 池田 心
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2019-GI-41, no.21, pp.1-8, 2019-03-01

ぷよぷよは対戦型落ち物パズルゲームの一つであり,「連鎖」を効率よく構成することが重要な課題であるとともに楽しみにもなっている.初心者初級者が連鎖構成力を鍛える際,実戦だけではあまり効率が良くないため,“2手で3連鎖せよ”といった「なぞぷよ」問題が用いられることがある.高橋らの先行研究ではなぞぷよを自動生成しその面白さや難しさを教師あり学習で推定する試みが行われているが,本研究ではこれをさらに進め,2~4色,多数ぷよ~少数ぷよ,簡単~難しいなど多様なものを提供する方法を提案する.さらには,何を面白いと思うかはプレイヤごと,またはプレイヤの強さごとに異なることなどを踏まえ,個人や強さグループごとの教師あり学習を行って違いを見るなど,よりきめ細かいなぞぷよ提供システムの構築を試みる.
著者
畑 佳孝 濱田 匠平 和田 将史 池田 浩子 小森 圭司 荻野 治栄 伊原 栄吉
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.316-326, 2020-03-25

要旨●高解像度食道内圧検査(HRM)の開発によって食道運動機能の詳細な評価が可能となり,HRMに基づく食道運動異常症(EMD)の国際分類であるシカゴ分類が提唱されたことで,機能的な食道疾患が注目されるようになった.EMD診断のゴールドスタンダードはHRMであるが,いまだ検査可能な施設は限られており,EMDを拾い上げる検査として食道X線造影検査に期待される役割は大きい.本稿では食道X線造影所見を,正常,数珠様・コークスクリュー様,波様,蠕動波なしに分類し検討した.食道X線造影所見のみでEMDの各疾患を鑑別することは困難であったが,EMD全体の拾い上げに対する食道X線造影検査の感度(73.3%)と特異度(92.7%)は満足な結果であった.加えて,中下部食道憩室がEMDを疑う重要な所見の一つであることに留意が必要である.
著者
池田 智子
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.Special_Issue, pp.59-66, 2013-10-01 (Released:2013-10-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1

1972年に職業病予防を目的に制定された労働安全衛生法は,時代とともに私傷病(作業関連疾患)への配慮も含む内容に変わり,近年では労使の参加・協力の枠組みも示されるようになった.今後は,拡充された労働安衛衛生法の目的達成のために,労使主体による予防活動のさらなる推進が重要になるが,それには全ての労働者に対して,自主的活動を行える力をエンパワーメントする必要がある.看護とは,対象者の潜在能力を引き出し最大限に発揮できるようエンパワーメントすることであり,環境改善やポピュレーションアプローチを含む活動であることを,既に1850年代にナイチンゲールが説いた.また保健師とは,当事者が自らの健康課題を解決するプロセスへの援助を核とし,コミュニティを基盤に健康問題をとらえ,予防につながる組織的な取り組みを担い,公的責任を志向する公衆衛生専門職である.保健師や看護師(両者を総称して「看護職」)の活動基盤は「エンパワーメント」の理論と技術であり,今後,労使自主対応型の労働安全衛生を推進するにあたり,重要な役割を担える専門職である.