著者
宮原 英夫 池田 憲昭 堤 邦彦 高見堂 正彦 小口 徹 三浦 貞則
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.30-38, 1986-09-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1 2 1

Sinece1978, the candidates for the Kitasato University, Medical School have been requested to answer the translated edition of MMPI. For these5years, two kinds of Japanese editions were adopted for test alternately, and total of3894male and786female candidates took this test. Using this material, the authors have studied the influence of translation into Japanese on the response for each MMPI item and profile pattern. The results were as follows: (1)Excluding D and Si scales, the mean scores of the remaining 12scales of either Doshisha or Nihon-edition were located within a difference of one standard deviation from the mean values of the norm group. (2)By means of item by item comparison, considerably large difference between the two editions was observed in the percentage of cases giving?gtrue?hresponse. This fact suggested that difference between the editions had to be taken into consideration when individual items were used separately or scales were newly constructed by using items with high risk of different response pattern.
著者
前納 弘武 大鐘 武 草柳 千早 池田 緑
出版者
大妻女子大学
雑誌
大妻女子大学紀要. 社会情報系, 社会情報学研究 (ISSN:13417843)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.67-82, 2007

1990年代以後、大学における変化あるいは改革のひとつとして、新しい名称をもち複合的な学問分野からなる学部が増えているという現象がある。そうした学部のなかには、カリキュラムに社会学分野の科目を含むものも少なくない。しかしそれらの学部での社会学教育には、従来とは異なる固有の難しさがあるように思われる。筆者らは、平成16年度大妻女子大学社会情報学部プロジェクト研究として、「複合的な学問分野からなる学部における社会学教育の現状と課題」研究を実施し、その一環として、新名称を冠し、複合的な学問分野からなっていると思われる全国の大学学部の社会学教育担当者を対象に質問紙調査を行った。本稿ではこの調査結果について、第1に、学部における社会学教育の位置づけ、第2に、社会学分野の科目を教える際の諸問題、第3に、学生に学んでほしいこと、教育の重点、第4に、社会学教育が担うべき役割、以上の4点について概観し、教育上の課題を論じる。調査結果からは、複合的な学問分野からなる学部における社会学教育の問題として、カリキュラム上の基礎であっても社会学を体系的に教育することが難しい、また基礎であってもなくても、カリキュラム上の他の分野・科目との整合性、連携が難しいこと、学生の関心・知識・理解度にばらつきが生じていること、の主な3点が明らかになった。
著者
池田 亮一 イケダ リョウイチ Ikeda Ryouichi
出版者
Graduate School of Economics and Osaka School of International Public Policy (OSIPP) Osaka University
雑誌
Discussion Papers In Economics And Business
巻号頁・発行日
vol.11-22, 2011-06

昨今,少子高齢化が深刻化している中で,出生率を内生化した世代重複モデルによる分析が盛んに行われている。しかし,先行研究のほとんどは,完全雇用を前提としている。現実には失業が存在するのではないか。本稿では,失業をモデル化した労働組合賃金交渉モデルを用い,育児支援税が雇用,子ども数にもたらす影響を分析した。まず,育児支援税の増加は,失業率を上昇させ,資本ストックを減少させる。新たにわかったこととして,失業の増加は,可処分所得の減少を通して,子ども数を減少させる。また,一定の条件を満たすとき,育児支援税の導入で経済全体の一人当たり子ども数が減少する。結論として,育児支援税も,過剰になると逆効果になることがわかった。また新たに,失業保険給付率の上昇は,失業の上昇による可処分所得の減少を通して,子ども数を減少させることがわかった。
著者
池田 和彦
出版者
九州大学
雑誌
Comparatio (ISSN:13474286)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.xxvi-xxxvi, 2004

ドストエフスキイの『地下室の手記』が現代文学の始原の一つに位置付けられ、この作品の画期的性格を喧伝したシェストフの『悲劇の哲学』を介して、昭和文学に大きな影響を与えたことはつとに知られている。本稿はシェストフ論争に至るまでの『地下室の手記』の初期の紹介について、森田草平の翻案『霙』を中心に概観し、ついで『悲劇の哲学』の翻訳者阿部六郎がこの翻訳を行った背景について述べる。また、あわせてもう一人の共訳者河上徹太郎がシェストフの流行をどのように見ていたか、簡単に紹介したい。
著者
降旗 建治 柳沢 武三郎 池田 雅昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.97, no.334, pp.15-22, 1997-10-23
被引用文献数
4

本論文では, これまで音響工学的観点から検討されていない木魚に関する音響振動特性とその心理評価結果について報告する。まず, 直径37cmの木魚を例として, 基本的な物理特性を明らかにしている。すなわち, 木魚音の周波数帯域はばちの先端の材質により決まること, 駆動点機械インピーダンス特性から主要な共振周波数は155Hz, 177Hzおよび402Hzの3つであること, それらの指向性は前者の2つが全指向性を示し, 後者の402Hzが両指向性を示すことなどがわかった。次に, 好ましい木魚音とはどのような物理特性を持つものであるかを心理的側面から検討している。その結果から, 3つの共振周波数だけが駆動できるゴム製ばちは有効であること, およびその木魚音の残響時間特性が0.6秒前後となる室内音場は有効であることなどが検証できた。
著者
高木 有子 落合 幸子 池田 幸恭
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学紀要 (ISSN:13420038)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.25-38, 2008-03

本研究では,性教育の分野で有効とされるピアエデュケーションを,「子どものいじめ自殺」を主題に,大学1年生160名に実施した。「子どものいじめ自殺」に関する大学生の意識と授業の感想を分析した結果,次の3点が示された。(1)いじめの被害経験,加害経験がある者は,どちらも全体の約3分の1程であった。さらに,被害経験がある者は被害経験がない者よりも,加害経験のある割合が高い。(2)ピアエデュケーション形式の授業によって,学生はテーマをより身近に感じて考えを深められると共に,ピアエデュケーターの学習も深まり,授業を行うことで自信をもつことができる。ピアエデュケーション形式の授業は,双方にとって成長を促進するするきっかけとなる。(3)「いじめ」に関する体験を語ることには意義があり,特に「いじめ自殺」は友人関係の中で生じる問題であるがゆえに,ピアエデュケーションを通して友人間でその問題を共有することには意義がある。

4 0 0 0 OA 永遠の貧乏

著者
池田林儀 著
出版者
文友社
巻号頁・発行日
1926
著者
高田 智和 石塚 晴通 小野 芳彦 豊島 正之 赤尾 栄慶 池田 証壽 大槻 信 小助川 貞次 白井 純 當山 日出夫 横山 詔一
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

奈良時代から現代までの日本の漢字(日本の筆写漢字に多大な影響を与えた唐から宋時代の中国漢字も含む)について、公的性格・規範性の高い文献での用例整理と、私的性格の強い文献での用例整理に基づき、歴史的変遷・共時的異化の二面からなる資料体を作成した。また、この資料体の作成により、漢字字体の基礎概念を明確化し、字体編年基準の透明化を行い、その知見を『漢字字体史研究』(石塚晴通編、勉誠出版、2012年)として公刊した。
著者
原 實 池田 好幸 川上 明 白髭 健助
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.160-163, 1993-06-15 (Released:2017-07-31)

ブレーキ液が漏出するというリコールが多いので,国内乗用車メーカーのブレーキ液を用いて含水率と引火点および発火点の関係を調べた.その結果,クリーブランド解放式試験器によって測定した引火点は120~142℃で,含水率が大きくなるにしたがって上昇する傾向がみられる.また,ASTM-E659によって測定した発火点は204~213。Cで,水分の影響をあまり受けていないが,排気マニホールドや排気管などの表面温度よりもかなり低い.漏出したブレーキ液が発火する場合の条件は高温物体の温度だけでなく,ブレーキ液の量も影響していると考えられるので,実状に即した測定を行う必要がある.
著者
高坂 康雅 池田 幸恭 葉山 大地 佐藤 有耕
出版者
日本青年心理学会
雑誌
青年心理学研究 (ISSN:09153349)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1-16, 2010-08-31 (Released:2017-05-22)
被引用文献数
4

Psychological functions of sharing among junior high school friends were examined and the relationship between shared objects and psychological functions of sharing was investigated. Participants were junior high school students (N=1068). The result of factor analyzing items on psychological functions of sharing indicated the following six factors: "motivation", "increased pleasure", "friendly evaluation from others", "increased feeling of burden", "achievement evaluation from others", and "increased negative evaluations from others." Descriptions of objects shared with friends were classified into eight categories and psychological function of sharing scores was compared for the most important shared object. Result indicated the following; 1) "psychological sharing" such as "feelings" and "goals" had positive functions. 2) "Material sharing" such as "things" did not have either a positive or negative functions. 3) "Behavioral sharing" such as "chatting" and "school activities" had negative functions. These results suggest that friendships that included "psychological sharing" increased "motivation" and "pleasure" in junior high school students, and was deeper than friendships based on "behavioral sharing" and "material sharing".
著者
池田 登顕 井上 俊之 菊谷 武 呉屋 朝幸 田中 良典 呉屋 弘美 佐野 広美 庄司 幸江 須藤 紀子 長島 文夫 藤澤 節子 佐藤 博之
出版者
特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
雑誌
日本医療マネジメント学会雑誌 (ISSN:18812503)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.185-189, 2016-03-01 (Released:2021-12-10)
参考文献数
17

在宅医療・緩和ケアカンファレンス(以下、本会という)は、北多摩南部医療圏にて多職種連携推進研修を開催してきた。今回、阿部らが開発した「医療介護福祉の地域連携尺度」を一部本地域に合わせて改変したものを用いて、本会の取組みを客観的に評価した結果、有用な知見が得られたので報告する。 調査は、75名を対象とし多職種が集まる本会以外の研修会への参加頻度も含め、過去3年間で、「本会の研修会参加6回以上」、「本会以外の研修会も含めて6回以上参加」、「多職種連携の研修会参加6回未満」の3群に分け、連携尺度スコアをKruskal-Wallis検定にて検証した。post-hoc testとしては、Scheffe法を用いた。 最終的に、15%以上の欠損値が存在した1名を除外した、74名の回答を分析した。過去3年間において、「本会の研修会参加6回以上」、「本会以外の研修会も含めて6回以上参加」、「多職種連携の研修会参加6回未満」の3群間における連携尺度スコアのKruskal-Wallis検定の結果、有意差がみられた。また、多重比較の結果「本会の研修会参加6回以上」群の連携尺度スコアは、「本会以外の研修会も含めて6回以上参加」群および「多職種連携の研修会参加6回未満」群と比較して有意に高かった(P<0.001)。 地域での多職種連携推進には、その地域で開催されている研修会へ年2回以上の参加が推奨されると考えた。
著者
池田 浩之 森下 祐子 茂木 省太 中井 嘉子 井澤 信三
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.47-56, 2012-01-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

精神障害者への就労支援は近年注目されつつあるが、その就職状況の実態は依然厳しく、支援プログラムや支援システムも確立されていない現状にある。特に、実践は進みつつあるものの、就労支援プログラムの効果については検証されていないといった課題がある。本研究は、就労移行支援施設に通う精神障害および発達障害者6名を対象に、SSTと心理教育を中心とする認知行動療法に基づいたプログラムを実施し、プログラムの効果を測定することを目的に行った。結果、精神的健康度に改善がみられたほか、自己効力感においても得点の上昇がみられたことからプログラムの有効性が示唆された。一方、障害種別によって効果の現れ方に違いがみられ、障害に対応したプログラムの作成の必要性が示唆された。また、本プログラムはパッケージ化されたものであるため影響要因の特定は定かではないことから、今後プログラム内容の精選や順序効果の確認などが課題として残された
著者
池田 直樹
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.21-38, 2020-02-01 (Released:2022-04-07)
参考文献数
21

本稿の目的は一九八〇年代のP・L・バーガーの思想、特にその資本主義擁護論を新保守主義との関係において解釈することである。一般にバーガーと新保守主義の関係は、一九七〇年代から八〇年代にかけての接近、九〇年代の決裂という流れで理解されていると言えよう。だが両者の関係の破綻に至る伏線は、八〇年代にすでに胚胎されていたと考えられる。これを論証するために本稿は、この時期のバーガーの中心的主題であった資本主義擁護論を同時期の彼の対話相手の一人であったM・ノヴァクの同種の議論と対比する。 バーガーの八〇年代の資本主義論は七〇年代における第三世界への関心に端を発していた。彼はこの主題に取り組む中で、自らの社会観と資本主義との適合性を徐々に自覚していく。 ノヴァクは八〇年代に、資本主義やアメリカ社会への批判が激化する中で、資本主義の宗教的な正当化を求めた。その際彼に大きな示唆を与えたのがM・ウェーバーである。そうしてノヴァクは、資本主義における営利活動がユダヤ―キリスト教の精神に満ちていることを強調し、また、資本主義は民主主義と必然的に結びつくこと、その内部に多元主義を生み出す点においてユダヤ―キリスト教の精神に共鳴することを説いた。 バーガーの議論はノヴァクの議論と多くの主張を共有していたが、そこには確かな相違も存在した。両者の相違は以下の四点にわたる。すなわち資本主義と民主主義の相関性の度合い、資本主義の宗教的正当化の可能性、ウェーバー受容、アメリカ社会観である。総じて言えば、バーガーは資本主義を擁護するものの、ノヴァクの極めて宗教的な議論には距離をとっていた。
著者
中根 俊成 溝口 功一 阿部 康二 熱田 直樹 井口 保之 池田 佳生 梶 龍兒 亀井 聡 北川 一夫 木村 和美 鈴木 正彦 髙嶋 博 寺山 靖夫 西山 和利 古谷 博和 松原 悦朗 村松 慎一 山村 修 武田 篤 伊東 秀文 日本神経学会災害対策委員会
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.643-652, 2020 (Released:2020-10-24)
参考文献数
57

東日本大震災の甚大な被害を踏まえて日本神経学会の災害対策活動はスタートした.2014年,正式に日本神経学会災害対策委員会が発足し,災害支援ネットワーク構築と指揮発動要件設定を行い,模擬訓練を実施した.2016年の熊本地震で我々は平常時の難病患者リスト作成,個別支援計画策定の重要性を認識し,避難所等における難病患者のサポートのあり方を検討した.2017年,我々は災害対策マニュアルを刊行し,難病患者の災害時調整役として各都道府県に神経難病リエゾンを配置することを定めた.神経難病リエゾンの役割は「被災地の情報収集・発信」,「医療支援調整」,「保健活動」であり,平常時と災害時の活動が期待される.
著者
池田 圭佑 榊 剛史 鳥海 不二夫 風間 一洋 野田 五十樹 諏訪 博彦 篠田 孝祐 栗原 聡
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.NFC-C_1-13, 2016-01-06 (Released:2016-09-26)
参考文献数
19
被引用文献数
1

During the 2011 East Japan Great Earthquake Disaster, some people used social media such as Twitter to get information important to their lives. However, the spread of groundless rumor information was big social problem. Therefore, social media users pay attention to prevent wrong information from diffusing. The way to stop the spread of a false rumor is needed, so we have to understand a diffusion of information mechanism. We have proposed information diffusion model which is based on SIR model until now. This model is represented by the stochastic state transition model for whether to propagate the information, and its transition probability is defined as the same value for all agents. People ’s thinking or actions are not the same. To solve this problem, we adopted three elements in our model: A new internal state switching model, user diversity and multiplexing of information paths. In this paper, we propose a novel information diffusion model, the Agent-based Information Diffusion Model (AIDM). We reproduce two kinds of false rumor information diffusion using proposed model. One is “single burst type false rumor spread ”, and another is “multi burst type false rumor spread. ”Proposal model is estimated by comparing real data with a simulation result.
著者
小田 隆史 池田 真幸 永田 俊光 木村 玲欧 永松 伸吾
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.199-213, 2023 (Released:2023-07-08)
参考文献数
34

2022年度から必履修化された高等学校「地理総合」の柱となる大項目「GIS」や「持続可能な地域づくり」での学習を通じて,学校教育における防災教育の充実が期待される一方,授業を担う教員の防災に関する知識や授業指導の力量不足が懸念されている.そこで,地理学と防災関連分野の研究者らが討議を重ね,学習指導要領の中で扱われている防災に関連する解説・内容を「知識」「技能」「思考力・判断力・表現力」別に分析し,近年頻発する洪水・土砂災害を事例としたウェブGISを活用した教員向けの防災教育の研修プログラムの開発を目指した.学習指導要領から防災に関わる内容や流れを整理した上で,教員自身が防災の専門的知見を理解し,授業づくりの前提となる力を多忙な教員が短時間で身に付けられる教員研修のためのプログラム案を作成した.具体的な評価の検討は今後の課題だが,試行は時間内に収まり,学習目標に沿った気づきや発言が得られた.
著者
池田 公史 澁木 太郎 平 知尚 井上 佳苗 山口 将太 福士 耕
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.540-549, 2023-11-01 (Released:2023-11-10)
参考文献数
26

肝細胞癌の薬物療法はソラフェニブ,レンバチニブなどの分子標的治療薬に代わり,アテゾリズマブ+ベバシズマブやデュルバルマブ+トレメリムマブといった免疫療法が主流となった.免疫療法が有効でない場合や免疫療法の適応がない場合に分子標的治療が選択される.年齢,Performance status,肝予備能,治療効果,有害事象などを考慮の上,治療法の選択が必要である.現在,Early stageでは根治治療の周術期治療,Intermediate stageでは肝動脈化学塞栓療法との併用療法,Advanced stageの一次治療,二次治療では新たな薬剤や併用療法などの開発が行われており,どのStageでも薬物療法が行われるようになった.これまで局所療法が主体だった肝細胞癌の治療も,薬物療法の併用療法が積極的に試みられるようになり,新たな治療開発は,薬物療法が中心となって行われている.
著者
池田 結佳 松岡 久美子 須田 美香 太根 ゆさ 平松 純子 山内 まどか 薄井 聡子 森本 尚子 藤井 靖史
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.135-145, 2022 (Released:2023-03-10)
参考文献数
33

【目的】読み書きに困難を抱える児童を対象に、視覚関連基礎スキルアセスメント(WAVES)を用いて視覚認知機能を評価し、支援への活用を検討すること。【対象および方法】対象は2020年3月から2021年6月の帝京大学病院小児科LD外来受診者のうち、WAVESと見る力に関するチェックリストを実施した30名(男児25名・女児5名、年齢9.8±2.1歳)。WAVESを行い下位検査評価点と4つの指数を算出した。【結果】下位検査評価点の平均値の多くが標準値より低かったが、線なぞりの合格点と比率、形なぞりの比率は標準値より高かった。4つの指数では、視知覚+目と手の協応指数(VPECI)と視知覚指数(VPI)が標準値より低く、VPIが最も低かった。目と手の協応全般指数(ECGI)と目と手の協応正確性指数(ECAI)は標準値より高かった。【考按】視知覚指数(VPI)は読み書き困難を持つ児童では低く、過去の報告と同様の傾向を示した。眼科検査、言語検査、心理検査と合わせてWAVESを活用することで苦手の背景にある児童の特性を推測し、読み書き指導に有用な情報を与える可能性がある。