著者
渡邊 彩 島谷 まき子 Aya WATANABE Makiko SHIMATANI
雑誌
昭和女子大学生活心理研究所紀要 = Annual bulletin of Institute of Psychological Studies, Showa Women's University (ISSN:18800548)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.39-47, 2005-03-31

This fundamental study investigated if picture appreciation could be established as a form of psychotherapy by focusing on changes of feeling as an index of the mental effect of picture appreciation, in addition to the language description method, which is a form of picture appreciation therapy. Participants were 30 males and 30 females. We examined whether the mental effect differed depending on the type of picture, its impression and participants'taste. Seven factors were extracted by factor analysis of measures of current feelings. Results indicated that when the impression created by a picture was positive, the mental effect of picture appreciation changed positively regardless of the type of picture.
著者
渡邊 洋
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 36.12 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.45-48, 2012-02-27 (Released:2017-09-21)
参考文献数
9

筆者がこれまでに行って来きた没入型VR装置を用いた心理物理学的研究を紹介し、広視野角映像が空間認知と歩行動作に与える影響について議論する。
著者
松井 照明 田島 巌 牧野 篤司 内藤 宙大 森山 達哉 渡邊 弥一郎 北村 勝誠 高里 良宏 杉浦 至郎 和泉 秀彦 伊藤 浩明
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.234-240, 2022-08-20 (Released:2022-08-22)
参考文献数
19

目的:ボンラクトⓇ iの原料である酵素分解分離大豆たんぱく(酵素分解SPI)は,熱処理と酵素処理により低アレルゲン化されている可能性があり,そのアレルゲン性を確認することを目的とした.方法:1.酵素分解SPI及びその原料のSPIのポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)及び免疫ブロッティングを行った.2.大豆アレルギー患者に対して皮膚プリックテスト(SPT),豆腐または豆乳とボンラクトⓇ iの経口負荷試験(OFC)の比較を行った.結果:1.SDS-PAGEではSPIよりも酵素分解SPIで全体に低分子化されたバンドが確認され,免疫ブロッティングではGly m Bd 28K及び30Kに特異的なバンドが検出されづらくなった.2.2/3例で,大豆と比較して酵素分解SPIのSPT膨疹径が小さかった.OFCでは3/4例でボンラクトⓇ iの症状誘発閾値たんぱく量が多く,全例で重症度が低かった.結語:ボンラクトⓇ iは低分子化されており,アレルゲン性が低いことが示唆された.
著者
齋藤 百枝美 野舘 敬直 丸山 桂司 土屋 雅勇 渡邊 真知子 丹羽 真一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.132, no.3, pp.369-379, 2012-03-01 (Released:2012-03-01)
参考文献数
15
被引用文献数
3 3

We established a practical training program to nurture pharmacists who can give smoking cessation instructions. The program was provided to 85 interns (45 males and 40 females) in Teikyo University Hospital. The one-day practical training was provided to groups comprised of five members each. The training consisted of studies on the adverse effects of smoking, general outlines of the outpatient smoking cessation service, experiencing Smokerlyzer, studies about smoking-cessation drugs, studies about a smoking cessation therapy using cognitive-behavioral therapy and motivational interviewing, and case studies applying role-playing. Before and after the practical training, we conducted a questionnaire survey consisting of The Kano Test for Social Nicotine Dependence (KTSND) and the assessment of the smoking status, changes in attitudes to smoking, and willingness and confidence to give smoking cessation instructions. The overall KTSND score significantly dropped from 14.1±4.8 before the training to 8.9±4.8 after the training. The confidence to give smoking cessation instructions significantly increased from 3.4±1.9 to 6.2±1.3. Regarding the correlation between the smoking status and willingness and confidence to give smoking cessation instructions, the willingness and confidence were lower among the group of interns who either smoked or had smoked previously, suggesting that smoking had an adverse effect. A total of 88.2% of the interns answered that their attitudes to smoking had “changed slightly” or “changed” as a result of the training, indicating changes in their attitudes to smoking. Given the above, we believe that our newly-established smoking cessation instruction training is a useful educational tool.
著者
渡邊 雄二
出版者
九州産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

近代において日本がどのように朝鮮時代絵画について関心を持ち、理解をしたかというテーマに沿い、植民地朝鮮の公的な施設や民間において行われた絵画の収集展示活動を通して検証した。これには韓国の近代的な視点での美術という新しい価値観が生まれる経緯の考察を伴うのであるが、それは植民地朝鮮での博物館施設における収集展示活動により確定されたといえよう。そして、民間においても、当初、日本人を中心に収集活動が盛んになり、次第に朝鮮人も加わった美術市場が開かれた。ただし、韓国の伝統的絵画の理解という点では、関わった研究者は関野貞などわずかの人物であり、朝鮮時代の書画活動を深く理解するには到らなかったと考える。
著者
山崎 新太郎 釜井 俊孝 渡邊 達也
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

そこにあるべき海上の島または陸が消滅してしまったという伝説は世界各国にあり,科学的根拠の有無に関わらず人々の関心を引きつけてきた.しかし,地図や写真等で正確な地形の記述がなされるようになった近代以降で,そのような「島の消滅」が記録されている例はほとんど無い. 本講演で扱う長崎県の横島の事例は島の大部分が徐々に消滅していったという状況が,過去の20世紀初頭に作成された地形図や撮影された写真,その後,20世紀中盤から得られている空中写真により明確である希有な事例である.地元香焼町の地誌と地形図によると横島は約20,000平方メートルの面積に約700名が居住していた.これは炭鉱開発のためであり,1894-1902年の短期間のみ開発された後,放棄され,無人島となった.空中写真によると1947年から少なくとも1982年にかけて徐々に島の陸地場が消失していったことが空読み取れる.現在では,島の西部の大部分が消失し,東西に分かれた2つの岩礁となっている.島の消失のメカニズムは炭鉱開発に原因を求めるもの以外にも大規模な岩盤地すべりの発生に求めるものがあった.それは,周囲に大規模岩盤地すべりを起こしやすい地質が分布することや,地元ダイバーによって海底に巨大な岩塊が散在している様子が目撃されていたからである. 著者らは横島の消滅のメカニズムを解析するするために,陸上部の地質調査,ダイビング写真資料の収集を行った.それに加えて,水中透明度の高い条件を待ってUAVによって上空からの撮影を行い,既存のオルソ衛星写真と位置合わせを行って水深 5 mより浅い領域の構造物や地形,節理系などの地質構造を平面図上にマッピングした.さらに,それよりも深い水域に関しては,レジャー用ソナーに搭載されたサイドスキャン機能とシングルビーム測深によって海底の構造物のイメージングを行い,平面図化すると共に地形図を作成した. これらの調査は,水没した旧地表面と多数の水中の地溝状の地形の分布を明らかにした.旧地表面は水中でNからNWに8-12°傾斜しており,その平面形状と現在の島の形状を合わせると1947年撮影の空中写真に認められた島の形状に近かった.水中に没した旧地表面の南縁にはプリズム状に分離した長さ10 mに達する岩塊が幅50 m長さ300 mに亘って散在していた.そして,島の周辺の海底には概ねSWW-NEE走行の地溝が複数認められた.地溝の走行は相対的に不動である島東部の節理系の卓越方向であるNNW-SSEまたはNNE-SSWとは無関係であった. 島の陸上部には,シームレス地質図v2を参考と筆者の調査によると古第三系に属する砂岩・泥岩・凝灰岩が認められ,それらの層理面は不動部の島東部では15°傾斜していた.一方で沈下したと考えられる領域の陸上部の層理面の傾斜はそれより急で25°であった. 以上の調査結果から旧地表面は,約10°北に傾斜して沈下したと考えられる.石炭層およびそれを掘削した坑道の広がりや深度に関する情報は不十分であるが,石炭層および坑道は堆積岩の層理面に平行であると考えられるので,地下の空洞が北に傾斜して形成されていたと考えるのは調和的である.北への鉛直方向への回転・傾動により島が南北に引き延ばされ概ね東西走行の開口が形成された.また,島の南側は南北方向への伸長に加えて急傾斜になり,重力や,回転・傾動に伴う局所的な応力集中によって破壊が進み,節理面を分離面とする崩壊が発生した.これにより旧地形面南縁に巨大プリズム岩塊が散在する海底を島の南縁部に形成した.
著者
渡邊 高志 折笠 貴寛 佐々木 邦明 小出 章二 椎名 武夫 田川 彰男
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業食料工学会誌 (ISSN:2188224X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.387-394, 2014-09-01 (Released:2017-03-27)
参考文献数
28
被引用文献数
3

熱湯およびマイクロ波によるブランチング処理が,キャベツの遠赤外線および熱風乾燥における水分蒸散速度と品質変化(Brix糖度,L-アスコルビン酸)に及ぼす影響を検討した。ブランチング処理における水分蒸散速度の増加は,熱湯ブランチング処理における試料の軟化と,熱湯およびマイクロ波双方のブランチング処理における収縮抑制によるものと推察された。乾燥物におけるBrix糖度とL-アスコルビン酸は,熱湯処理と比較してマイクロ波処理で保持される傾向にあった。
著者
津村 一美 渡邊 裕之 橋本 昌美 嘉治 一樹 高橋 美沙 重田 暁 千葉 一裕 月村 泰規 見目 智紀 高平 尚伸
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0965, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】棘上筋の筋活動を高める方法として,従来からEmpty can training(ECT)が実施されている。ECTは棘上筋が働きやすい肢位で実施されるため,棘上筋に対して効果的なトレーニング方法であり,他の棘上筋トレーニングと比較しても,棘上筋のより高い筋活動が得られると報告されている。しかし,これらの報告の多くは横断的研究に基づいており,ECTの介入効果を検証した縦断的研究は少ない。そのため臨床現場では,経験則に基づいた治療方法として対象者に施行しているのが現状である。従来,棘上筋の機能評価として肩甲骨面挙上筋力の測定が実施されてきたが,近年では棘上筋の正確な評価が困難であると報告されている。一方で高橋らの報告より,棘上筋筋活動と棘上筋筋厚との間に相関関係があり,筋厚測定が筋活動を反映することが明らかになっている。そこで,本研究は筋厚を測定することにより,ECTが棘上筋筋活動に及ぼす影響を検証し,介入効果を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は肩関節疾患の既往がない成人男性15名(年齢20.8±0.9歳)の30肩とした。対象者の年齢,身長,体重,利き手,スポーツ歴を聴取した。トレーニング介入前に棘上筋筋厚,最大等尺性肩甲骨面挙上筋力を測定した。対象者は週5日,6週間にわたりECTを実施した。トレーニング介入後にトレーニング介入前と同様の項目を測定した。棘上筋筋厚測定は超音波画像診断装置(SSD-4000,ALOKA)を用いて行った。肩甲棘長を100%とし,肩甲棘基部から外側へ10%の部位を測定位置とした。測定位置において,プローブを肩甲棘に対して垂直に固定し,棘上筋の短軸画像を描出した。浅層筋膜と深層筋膜との最大距離を棘上筋筋厚として測定した。棘上筋筋厚は各2回測定し,平均値を採用した。測定肢位は座位とした。測定条件は肩関節内旋位,肩甲骨面挙上30°にて他動保持時とセラバンド負荷時の2条件とした。なお,2kg負荷はセラバンドを用いて手関節近位部に負荷した。最大等尺性肩甲骨面挙上筋力測定は肩関節内旋位,肩甲骨面挙上30°での肢位にて測定した。検者はHand-held dynamometer(μ-tas F-1,ANIMA)のセンサーを手関節近位部に固定し,対象者は3秒間の最大等尺性収縮を肩甲骨面上で2回発揮し,平均値を採用した。ECTは,手関節近位部にセラバンドを固定し,肩関節内旋位にて肩甲骨面0°~30°挙上位までの反復運動を実施した。1回の運動を2秒で完遂し,20回を1セット,インターバルを1分として,1日に3セットを実施した。検者は週2日,代償動作が生じずに適切な肢位でトレーニングを実施できているかを確認した。統計学的解析にはWilcoxonの符号付順位検定を用い,棘上筋筋厚および最大等尺性肩甲骨面挙上筋力をトレーニング介入前後で比較した。なお,すべての解析において有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は同学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:2012-014)。なお,対象者には書面にて同意を得た。【結果】棘上筋筋厚は他動保持時,セラバンド負荷時の条件において,トレーニング介入前と比較し,トレーニング介入後に有意に増大した(p<0.01)。最大等尺性肩甲骨面挙上筋力はトレーニング介入前後で有意な変化を認めなかった(p>0.05)。【考察】先行研究より,筋厚は筋活動を反映すると報告されていることから,トレーニングによる棘上筋筋厚の増大は棘上筋筋活動の増加を示唆していると考えられた。しかし,最大等尺性肩甲骨面挙上筋力に変化は認められなかった。最大等尺性肩甲骨面挙上は,運動時に三角筋による張力加重が生じるため棘上筋の筋張力に対する寄与は少ないと報告されている。そのため,最大等尺性肩甲骨面挙上筋力測定は,棘上筋の機能向上を反映する指標としては不十分であり,トレーニング介入前後で変化が認められなかったと考えられた。今回の研究では,対象者を健常成人男性とし,ECTの介入効果を検証した。しかし,実際に臨床で棘上筋トレーニングを実施する対象は,腱板断裂や反復性脱臼等の疾患を有する者である。そのため,今後は,実際に棘上筋の機能を高める必要のある対象者に対しトレーニングの効果を検証していく必要がある。また,ECTと同様に,従来から実施されてきたFull can trainingとの比較を検討し,臨床現場において,それぞれのトレーニングをどのような特徴のある患者に適応させるのかを検討していく必要がある。【理学療法学研究としての意義】ECTによる治療介入に対して,棘上筋筋活動量の向上が認められ,理学療法としてのエビデンスを構築する一助となった。
著者
大野 恵一 村田 龍宣 近藤 篤 尾上 雅英 松本 公佑 渡邊 裕之 星田 唯史 眞下 惠次 平 大樹 角本 幹夫 菅野 清彦 本多 伸二
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.367-372, 2020-07-10 (Released:2021-07-10)
参考文献数
6

Albumin-bound paclitaxel (Abraxane®) is a lyophilized preparation that takes time to dissolve. Previously, we used a metal needle for dissolving Abraxane®. We then transitioned to a side hole-type plastic needle to prevent accidental needle-stick injuries. There is no literature regarding the ideal needle type, according to the material it is made of, for dissolving Abraxane®, and the effect on the characteristics of Abraxane® after dissolving with each needle is unknown. Therefore, we investigated the efficacy of the plastic needle for dissolving Abraxane®. The formulation was dissolved in three ways: by injecting saline for 30 s with a metal needle (M30s), injecting saline for 15 s with a plastic needle (P15s), and injecting saline for 30 s with a plastic needle (P30s). Each group was kept at rest for 5 min after saline infusion, and then the dissolution time was estimated. The median dissolution time was 82.5 (15 - 210) s for M30s, 75 (30 - 135) s for P15s, and 45 (15 - 120) s for P30s. P30s had a significantly shorter dissolution time than M30s (P < 0.01) and P15s (P < 0.05). There was no significant difference in the dissolution time between M30s and P15s; however, P15s tended to have a shorter dissolution time than M30s. We measured the diameter of Abraxane® particles after dissolving with each needle and found that the diameter was almost the same. Therefore, a side hole-type plastic needle might reduce the dissolution time compared with a metal needle without affecting the characteristics of Abraxane®.
著者
水間 美宏 渡邊 能行
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.55-61, 2011 (Released:2011-02-15)
参考文献数
12
被引用文献数
1

腹部超音波がん検診の精度を文献的に明らかにするとともに, 精度を明らかにする上での問題点について述べた。精度を示した文献を抽出するため, 医学中央雑誌WEB版とPubMedを利用するとともに, 日本消化器がん検診学会雑誌を閲覧した。抽出した文献ごとに, 感度, 特異度, 陽性反応適中度とその信頼区間を求めた。その結果, 腹部超音波がん検診の感度はおよそ80%, 特異度はおよそ95%, 陽性反応適中度は1~9%であった。文献によって腹部超音波がん検診の精度に差がある原因として, 人数の数え方, 対象臓器, 診断装置, 検者, 走査法, 検査時間, 記録法, 読影方法, 判定基準, 偽陰性の定義, 発見がんの定義が異なることがあげられ, その基準化が望まれる。また, 精度の把握方法も異なっており, 今後は, がん登録との照合が容易に行えるよう, わが国の地域がん登録の登録精度が向上することを期待したい。
著者
渡邊 さかえ 永井 護 宮川 勝支
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.55-60, 1987

<p>In Japan most scenic town has many historic resources but recent increases of car traffics do damage to them. Especially in a temple town, the from approach to it is atrophied and ruined by many car traffics. We make clear the traffic function of it and changes of land uses along it through some empirical investigations in order to indicate such a actual circumstances and make some considerations on the preservation of it.</p>
著者
渡邊 広祐
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

近年がんにおいて3’UTRが短縮し(Alternative polyadenylation, APA)、miRNA結合部位が失われることで、miRNAを介した転写後制御が破たんするとの報告がなされた。肺がんにおけるAPAの全貌を明らかにするために、公開されているマイクロアレイデータベースを利用し、肺がんにおいて最もAPAを生じている遺伝子を同定した。肺がん手術検体を用いて解析すると、APAは肺がんの独立した予後不良因子となっており、さらにはPABPN1低発現と増殖マーカー高発現がAPAと相関していた。本研究により肺がんにおけるAPAの全体像が明らかとなった。
著者
渡邊 達夫 森田 学 平岩 弘 岸本 悦央
出版者
Japanese Society for Oral Health
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.220-225, 1984 (Released:2010-10-27)
参考文献数
22
被引用文献数
5 5

徹底した歯口清掃によって, 歯の動揺が改善することはよく知られている。そこで今回は, どのような動揺歯が改善されやすいかを検討した。外来患者114人を対象とし, 2週間毎の来院時には, 徹底した歯口清掃と歯間部の清掃を主目的とした刷掃指導を行った。動揺度の測定は, 初診時, 4週間後, 8週間後に行った。その結果, 4週間後には50%の, また8週間後には56%の動揺歯において改善が認められた。また, 歯の動揺は, 患者の性別, 年齢, 動揺の程度, 歯の解剖学的形態等の宿主因子とは関係なく改善されることが示唆された。位置的関係では, 8週間後において右下1/2顎の歯の動揺の改善が, 他と比べて有意に低いことが示された。歯種別に検討したところ, 左下第一大臼歯が最もよく改善され, 右上第一小臼歯が最も悪いことが示された。
著者
渡邉 拓史 泉 裕之 浅野 賢一 渡邊 直樹 神山 浩 鮎澤 衛 高橋 昌里
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.27-31, 2019 (Released:2019-02-28)
参考文献数
11
被引用文献数
1

Background: Magnetic resonance coronary angiography (MRCA) is a minimally invasive and radiation-free technique that enables evaluation of the coronary arteries in patients being followed-up for Kawasaki disease (KD). However, during MRCA scanning it is mandatory that patients lie still in bed for a long time. This is a major obstacle to the application of MRCA in pediatric patients.Aims: We aimed to determine the utility of MRCA without using sedatives in pediatric patients using preparation.Methods: Our study included 7 consecutive pediatric KD patients who underwent an MRCA to evaluate coronary artery lesions between 2010 and 2016 at the Itabashi Medical Association Hospital. The preparation for MRCA was performed in all patients, including a field trip and detailed explanation. The MRCA was conducted without sedatives. We compared the findings of MRCA and ultrasound cardiography (UCG) and investigated their correlation.Results: The mean age of patients was 8.3 ± 4.1 years (range 4–15 years, 6 boys and 1 girl). The mean time from disease onset to the MRCA procedure was 2.7 ± 2.8 years. Scanning could be successfully completed in all patients without sedatives because pediatricians had prepared themselves adequately prior to scanning. The measurements of coronary artery in MRCA were significantly larger than those of UCG and showed a strong positive correlation.Conclusion: An MRCA procedure can be performed without sedatives in pediatric KD patients, including children as young as 4 years (the youngest patient we experienced). Adequate preparations by physicians prior to scanning can reduce avoidable and unnecessary sedation in these patients.
著者
坂上 伸生 渡邊 眞紀子 太田 寛行 藤嶽 暢英
出版者
日本ペドロジー学会
雑誌
ペドロジスト (ISSN:00314064)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.24-32, 2004-06-30 (Released:2018-06-30)
参考文献数
17
被引用文献数
1

Sclerotium grain is the resting body of ectomycorrhizal fungi found in forest soils. A melanic-spherical shape in approximately 1-2mm diameter characterizes the external feature of the grain, and a hollow structure with honeycomb transverse wall appears inside the grain. In our previous studies, we reported a high aluminum concentration inside sclerotium grains and suggested the close relationship between the status of active aluminum and the distribution of these grains in Andosols (Watanabe et al., 2001; 2002). Here we examined the chemical properties focused on active aluminum and carbon in several nonallophanic Andosols under forest vegetation for further discussions on the regulating factor of the distribution of the sclerotium grains. In each studied soil profile, the mean weight of sclerotium grain (mg grain^<-1>) had a tendency to increase with the content of exchangeable aluminum, content of total organic carbon and nitrogen, carbon content of humic acid extracted from soils. The ratio of Alp to total organic C(Al_p/T-C) showed a strong negative correlation between the mean weight sclerotium grains regardless of profiles. The bonding ratio of carbon and aluminum in soils was assumed to be one of the factor influencing the development of sclerotium grains.
著者
芹澤(松山) 和世 金原 昂平 米谷 雅俊 渡邊 広樹 白澤 直敏 田口 由美 神谷 充伸 芹澤 如比古
出版者
富士山科学研究所
雑誌
富士山研究 = Mount Fuji Research (ISSN:18817564)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-6, 2015

緑藻シオグサ目のフジマリモは富士五湖のうち山中湖、河口湖、西湖の 3 湖ではその生育が確認されているが、精進湖と本栖湖では未確認であった。しかし、西湖・精進湖・本栖湖はもともとひとつの湖であったものが富士山の噴火により分断されてできた湖なので、精進湖や本栖湖にもフジマリモが生育している可能性が高い。そこで、本研究では精進湖と本栖湖にフジマリモが生育しているか否かを確認することを目的に採集器や潜水による調査を行った。その結果、2012 年 6 月に精進湖の水深 2 〜 5 m で、2013 年 11 月に本栖湖の水深 17 〜 22 m でマリモ属様の糸状緑藻を発見した。顕微鏡観察を行った結果、藻体には枝と不定根が認められ、細胞内部には円盤状の葉緑体や多裂型のピレノイド、複数の核が確認された。これらはマリモ属の特徴に一致し、細胞の大きさと形、産地などから、本種をフジマリモと同定した。また、リボソームDNA の塩基配列(ITS 1 - 5 . 8 S-ITS 2 領域)は既知のマリモの配列とほぼ一致した。したがって、本研究により精進湖と本栖湖にもフジマリモが生育していることが明らかになった。