- 著者
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若倉 雅登
- 出版者
- 日本神経眼科学会
- 雑誌
- 神経眼科 (ISSN:02897024)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.3, pp.304-308, 2019-09-25 (Released:2019-10-02)
- 参考文献数
- 23
ベンゾジアゼン系薬物(BZD)は,化学構造上本来のBZDだけでなく,臨床的にはしばしばチエノジアゼピンも含めて扱うことがある.また非BZDとされる薬物でもBZDと同様に γ-アミノ酪酸(GABA)A受容体に結合して,抗けいれん,催眠鎮静,筋弛緩などの作用を持つ,薬理学的BZD類似薬がある.これらの薬剤による視覚系,神経眼科的副作用は意外と知られていないので,本稿では3項に分けてレビューした.すなわち1)視覚系副作用,2)薬剤性眼瞼けいれん,3)離脱症候群である. 眼科臨床においては,急性狭隅角緑内障における抗コリン作用は常に問題にされるが,重要度も頻度も高いと思われる神経眼科的副作用には関心が低く,服薬歴を聴取する機会は少なかったと思われる.これらの薬剤は非常に種類が多く,特に日本では世界の中でも飛びぬけて多用,乱用されているので,こうした副作用に留意することが重要である.