著者
小林 哲夫 森 牧人 長 裕幸 荒木 卓哉 安武 大輔 北野 雅治
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

半乾燥地の黄河上流域(甘粛,中国)に実験圃場を設置し,また日本における室内実験を併用して,二種類の塩類化土壌の改良技術,すなわち灌漑畑地の塩類化プロットから塩類を除去する有効な技術として著者によって提案されたPSW-Well法と,土壌からの塩類吸収能力が高い作物(クリーニングクロップ)の栽培に基づく生物学的改良法,についての実験を行った.その結果,両方法が有効に機能するための必要条件が示された:(1)PSW-Well法は,流域内の帯水層系が均質で,宙水面が発達しないことが有効に機能するための必要条件である.(2)クリーニングクロップは,塩類をよく吸収するだけでなく,水要求度が低いことが必要である.
著者
荒木 喬 今村 暁 力石 國男
出版者
東京大学
雑誌
東京大学海洋研究所大槌臨海研究センター研究報告 (ISSN:13448420)
巻号頁・発行日
vol.27, 2002-03-29

平成13年度共同利用研究集会「降水システムと降水変動」(2001年8月23日, 研究代表者:渡辺明)講演要旨Variation of precipitation and rainfall system(Abstracts of scientific symposia held at Otsuchi Marine Research Center in 2000))
著者
横矢 直和 竹村 治雄 神原 誠之 山澤 一誠 大隈 隆史 荒木 昭一
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1.現実世界と仮想世界の幾何学的位置合わせ拡張現実環境を構築するための最も基本的な課題である現実世界と仮想世界の位置合わせ問題に関して、複数の基本手法を開発した。具体的には、(1)ステレオカメラで取得した現実世界の映像からのマーカと自然特徴点の自動切換え追跡に基づくビジョンベース手法、(2)ジャイロセンサを併用することによる位置合わせのロバスト化手法、(3)赤外線ビーコンやRFIDタグのような環境インフラと歩数計測を用いるセンサベース手法、(4)屋外においてGPSとジャイロセンサを併用する手法等である。2.現実世界への注釈情報の付加現実世界の特定の場所・物に関する注釈情報を提示するためのユーザインタフェースの研究を行い、ユーザの眼前の実物体に対するオブジェクト名の重畳表示とユーザが注視している物体に対する詳細情報の提示からなる2段階情報提示法を開発した。またネットワーク環境において実時間で注釈青報の追加・更新・引用を行うためのネットワーク共有型注釈データベースの設計・実装を行い、複数のユーザが場所に依存した情報の実時間での発信と共有を行うための基本的な枠組みを確立した。3.プロトタイプシステムの開発上記1、2の成果を統合して着用型拡張現実感システムのプロトタイプを複数開発し、実験を通して機能実証を行った。開発したシステムではいずれも、現実世界の映像に注釈を重畳合成したものをユーザに提示するビデオシースルー型拡張現実感方式を採用した。最終的には、屋内外無線ネットワーク環境(IEEE802.11a及びb)での技術デモを行い、着用型拡張現実感システムの可能性を世に示した。
著者
力石 國男 遊馬 芳雄 荒木 喬 佐藤 清一 道上 宗巳 児玉 安正
出版者
弘前大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1990

本研究では雪情報システム,各種気象観測機器,レ-ザ-等による降雪観測と併せて,既存のアメダスデ-タ,高層気象デ-タ,衛星画像などの解析を行った.このうち観測的研究については現在まだ実施中であるので,その他の解析によって得られた研究成果を以下に列挙する.(1)津軽地方の降雪と風向との密接な関係が明らかになった.例えば,鰺ケ沢の風向が南西の場合には津軽半島中部・北部に,西風の場合には五所川原,青森,野辺地を結ぶライン上に,北西風の場合には津軽平野中部・南部に多量の降雪が観測される.これらはいずれも局地的な風の収束帯を伴っている.(2)青森市内北西部の降雪は南部とかなり異なった降り方をしている.南部の降雪量は気温だけでなく気温の高度差(大気の不安定度の指標)と非常に良い相関があり,気温の高度差が降雪量予測のための重要なパラメ-タ-であることがわかった.(3)12時間前までの高層気象デ-タ(秋田及びウラジオスト-クの気温,等圧面高度,気温の高度差など)を用いて,青森市の日降雪量の予測式を導いた.事後予測の精度は±11cmである.(4)秋田の9時および21時の高層気象デ-タを用いて地吹雪指数の予測式を導き,地吹雪の予報が高い精度で可能であることを実証した.(5)日本列島における冬季の降水量のメソスケ-ルの特性を調べ,日本海小低気圧と降水量との関係などを明らかにした.(6)岩木山麓における長年の積雪断面観測デ-タを整理して山地での積雪特性を明らかにするとともに,札幌,新庄,長岡,富山での積雪との比較研究を行った.
著者
高田 峰夫 山本 真弓 荒木 一視 三宅 博之 山本 真弓 高田 峰夫
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、在日バングラデシュ人と在日ネパール人を中心に、韓国(東アジア)とタイ(東南アジア)のバングラデシュ人とネパール人についても調査した。その結果、日本の各コミュニティーが日本を越えたネットワークを形成していることが判明した。一方、当初想定していた南アジア出身者としての両コミュニティーの結びつきは見られなかった。また、タイについては、東アジア(日本と韓国)とは異なったネットワークのあり方が見られた。これは、東南アジアに位置する(すなわち、国内にイスラム教徒がいる)仏教国という側面が影響していると思われる。
著者
吉田 孝宣 岡崎 伸生 荒木 英爾
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.167-170, 1988

必須脂肪酸欠乏状態にあるドンリュー系雄ラットに腹水肝癌細胞AH130(以下,無脂肪食AH130細胞)を継代移植して,その脂肪酸構成の変化を観察し,宿主の栄養環境の変化が腫瘍細胞に与える影響について検討した。その結果,無脂肪食AH130細胞の脂肪酸組成は普通食で飼育したラットに移植したAH130細胞のそれに比べ,18:1(n-9)の増率と18:2(n-6)の減率,および,20:3(n-9)の出現と20:3(n-6)の消失が見られた。一方,無脂肪食で飼育したラットの肝と血清では,これらの変化に加え20:4(n-6)の減率も認められた。無脂肪食AH130細胞に見られたこれらの脂肪酸組成の変化は,宿主の肝と血清における変化と同方向の変化で,AH130細胞の脂肪酸組成は宿主であるラットの栄養環境の影響を強く受けていることを示している。しかし,20:4(n-6)が宿主の肝においてのみ有意に減率していた事実は,AH130細胞独自の脂肪酸代謝機構の存在を示唆しているものと推定される。
著者
塚脇 真二 古内 正美 高原 利幸 平吹 喜彦 竹林 洋史 石川 俊之 奥村 康昭 本村 浩之 富田 瑞樹 荒木 祐二 大八木 英夫 ハン プゥ
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

観光産業の爆発的な発展とともに大気や水の汚染、森林の破壊といった環境汚染・環境破壊が顕在化し、遺跡への影響や住民の健康被害が懸念されるカンボジアのアンコール遺跡区域を対象に、大気、水、森林の3分野から総合的な環境調査を2年間にわたって実施した。その結果、同区域の環境汚染や破壊が危機的状況になりつつあることや観光産業との密接な関連があることを確認し、成果をとりまとめ国際シンポジウムとして同国で公表した。
著者
大石 克己 荒木 恒彦 前田 惟裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-09-05
被引用文献数
1

21世紀初頭以降、地球周回軌道上における宇宙環境利用、地球観測等の種々の分野で宇宙活動要求の増大が想定される。これらの要求に効率的に対応するためには従来の使い捨て衛星を個別に開発するのではなく、軌道上での補給・交換・組立・回収等のサービスを行う軌道上サービスシステムの概念が有効になる。前回95年3月の信学会総合大会では、21世紀初頭以降における段階的なシステム構築の一環として位置づけられる軌道上サービス実験衛星システムに係わる宇宙開発事業団構想の研究結果を報告したが、本稿では、この実験システムを構成する種々の宇宙機の概念および開発構想について述べる。
著者
岡上 伸雄 照井 啓介 荒木 肇 金澤 俊成 河井 聖司
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.265-270, 1999-12-01

湿潤な熱帯の各地で栽培されているヤマノイモ属植物(ヤム)は, その地域の野生種に由来するものが多い.これらのヤムの栽培に際しては栄養繁殖による増殖手段がとられている.今回, 種子からの芽生えを用いて増殖や育種を行う場合の利点を考え, ナイジェリアに分布しているヤマノイモ属6種の種子を入手し, その発芽のための条件を調べた.いずれの種の種子も20〜26℃の範囲では高い発芽率を示した.発芽可能最低温度は6種に共通して20℃であったが, 発芽した芽生えはより低い温度でも成長した.いずれの種も高温では発芽が抑えられた.発芽可能な最高温度は種により異なり, 26〜32℃の間にあった.高温で発芽しなかった種子を26℃に移すと容易に発芽するので, 高温は二次休眠を誘導していない.これは, 温帯アジア産のヤムの種子が高温によって深い二次休眠の状態に入ることと大きく異なる点である.種子から胚を遊離し, 糖を加えた培地で無菌的に培養すると, いずれの種の胚も高温による発芽の抑制は見られず, 広い範囲の温度で急速に発芽し成長した.種子の発芽の高温による抑制は胚以外の部分の性質に起因しているものと考えられる.なお, 遊離胚を29℃以上の温度で培養すると発芽後に胚の吸収型子葉は高頻度でカルス化した.このカルスはこの属の植物の遺伝子導入系として有用であろう.今回得られた結果は, これらの種の増殖や育種のために役立つものと考えられる.
著者
安岡 彰 前崎 繁文 山田 洋 笹山 一夫 岡三 喜男 古賀 宏延 河野 茂 神田 哲郎 原 耕平 田中 光 荒木 潤
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.287-291, 1991-05-25

症例は54歳男性。昭和59年, 口腔癌のため摘除術を受けた。昭和62年1月, 胸部X線写真にて空洞を伴う多発結節影を指摘された。3月には一過性に血性膿性痰を多量に喀出し, 全身状態の悪化と気胸がみられたため, 昭和62年6月1日入院となった。入院時胸部X線写真で両側に薄壁の空洞を伴う多発結節陰影を認め, 気管支ファイバースコープにて, 右上葉気管支分岐部のspurに空洞へ通じる瘻孔が観察された。空洞壁は灰白色を呈し, 心室腔様の凹凸不整な内腔を示していた。内腔の生検ではsquamous cell carcinomaの所見が得られ, 転移性肺癌と考えられた。空洞の末梢側には小孔がみられ, 気管支の末梢側開口部と思われた。同部の造影で右B^3の気管支が描出された。肺腫瘍の空洞内を気管支ファイバースコープで観察し得た例は数例報告されているが, 転移性肺癌の報告は極めて稀である。気管支を融解するようにして空洞形成が見られたことは, 空洞形成の機序を考える上で興味深い症例と思われた。
著者
澤田 宏 荒木 章子 牧野 昭二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.91, no.4, pp.292-296, 2008-04-01
被引用文献数
4

音源分離技術は,実環境におけるハンズフリー音声認識やコンピュータによる音環境理解のために必要不可欠な技術である.音源の位置や話者の特徴など,事前知識を必要としない,いわゆるブラインド処理に関する技術がこの10年で大きく進展した.本稿では,独立成分分析やスパース性など,ブラインド音源分離に必要な基本技術を分かりやすく解説し,研究動向や現状での到達点を述べる.
著者
長田 早苗 殿塚 婦美子 荒木 英爾
出版者
女子栄養大学
雑誌
女子栄養大学紀要 (ISSN:02860511)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.41-48, 2004-12-01

(1) 牛肉試料中のCLAのメチルエステル化については14%BF_3/MeOH法 (室温・30分間)によるほうが, 4%HCl/MeOH法と比較して脂質1gあたりの脂肪酸量の定量をより適切に行なえることが示された。(2) 真空凍結乾燥実施試料は非実施試料と比較して, 単位脂質量あたりの脂肪酸抽出量が多く, より適切な定量分析を行なえることが明らかとなった。(3) 機器により焼き加熱条件を設定した調理方法による牛肉中の9c, 11t-CLA含量の変化を調べた結果, 牛脂質1gあたりの量に変化は認められなかった。しかし, リノール酸を添加した牛肉試料については, 焼き加熱条件下の試料について9c, 11t-CLAの有意な増加が認められた。
著者
村田健史 岡田 雅樹 阿部 文雄 荒木 徹 松本 紘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.115-130, 2002-12-15
被引用文献数
5

現在,宇宙開拓科学や地球環境科学の様々な分野において,広域観測が進められている.我が国では,観測データの取得・蓄積は諸外国と比較して進んでいるが,データのネットワーク上での公開・発信は不十分な点が多い.広域観測データは,観測グループ独自のデータ較正方法やデータ公開ルールがあり,データ管理・公開が機関ごとに独立に行われる傾向がある.一方,データ解析者は,これらの分散管理されているデータを一元的に利用したい.しかし,米国の米国宇宙科学データセンター(NSSDC )のような統合的データセンターの実現は容易ではない.本研究では,広域宇宙地球観測の1 つである,太陽地球系物理(STP )観測データのための分散データベースを提案する.提案する分散データベースでは,データファイルおよびデータ利用者のメタ情報を抽出し,メタデータベース化する.各観測グループはメタデータベースを独自に管理することで,データの管理権限を保護することができる.一方,分散データベースシステムによって各データに対して透過的にアクセスすることにより,データ解析者は一元的にデータを利用することができる.本稿では,分散データベースのシステム設計を行い,実際に試験データを用いたデータベースを構築した.その結果,提案する垂直分散型分散データベースによって,実用上有効なアクセス速度でメタ情報取得が可能であることが分かった.Due to the development of computer performance and information networks,we can now easily access to observation data for large-scale Solar-Terrestrial Physics (STP)through the Internet.However,for integrated studies with help of a variety of observation data together, we need to a distributed network database system with which users are able to access to any observation data with high transparency.It is widely said that distribution systems and facilities for STP data are inferior to observation and storage systems in Japan. However, it is diffcult to construct a central data management center for huge amount of data because of financial,political,and technical reasons.We herein propose a distributed database system for STP data.In the presented database system,index information of both observation data files and access users are stored and managed as a meta-detabase.Through the access to the meta-detabase,users obtain information of the observation data:not only datasite addresses, directory names and ?le names of the data,but authorization of the data.One's authorization to access one data is provided by the team or mission responsible for the data.This suggests that the ownerships of observation data to each team/mission are preserved though the present meta-database seems to be only one from user side.
著者
大石 尚史 野田 康信 権田 秀雄 谷川 吉政 高木 健三 鈴木 隆二郎 谷口 博之 近藤 康博 生田 順也 荒木 信泰
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.877-886, 1997-10-20
被引用文献数
4

気管支ファイバー検査を要する患者とその家族,および医療従事者(自分が患者及び家族の立場になったことを想定して)に対し,肺癌告知・治療に関するアンケートを行い,それぞれの考え方の違いを検討した.その結果より,多くの患者は家族が告知に反対していても告知を希望している.家族は7割近くが患者への告知に賛成しているが,一方では,患者の希望に沿うようにしてあげたいと考えているのは4割弱に過ぎなかった.特に患者が若年者である場合にその傾向が強かった.医療従事者は,告知には必ずしも無条件に賛成ではなく,病状などを考慮してから決定したいとしているが,最終的には患者の希望を第一に優先する傾向にあった.これらの傾向をよく理解した上で,個々の患者にあった方法で告知を行うことが望ましい.そのためにはアンケートは有用であり,また家族にも告知に対して理解を求めることができる.