著者
富川 盛光 鈴木 直仁 宇理須 厚雄 粒来 崇博 伊藤 節子 柴田 瑠美子 伊藤 浩明 海老澤 元宏
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.1536-1542, 2006
被引用文献数
3

【目的】エビアレルギーの患者背景をまとめ,エビの主要抗原のトロポミオシンと交差抗原性のある他の甲殻類・軟体類・貝類の摂取時の症状,特異的IgE抗体価の相関を検討した.【方法】各施設に質問紙を配布し,エビ摂取で確実に症状を呈した99症例について検討した.【結果】エビアレルギーは20歳代までの発症者が多く,1時間以内に症状が発現する症例は87.9%であった.皮膚症状が最も多く,以下OAS様症状,呼吸器症状と続き,アナフィラキシーが61例,ショックも2例みられた.エビアレルギーを有しかつカニを摂取したことがある患者68例中44例(64.7%)がカニアレルギーで,イカ摂取では63例中11例(17.5%)とカニに比べ少なかった.特異的IgE抗体価はエビとカニで相関係数は0.954(p<0.001),エビとイカは0.582(p<0.001)と強い相関を認めた.【結論】エビアレルギー患者では,トロポミオシンの相同性が高く交差抗原性を持つカニ摂取でアレルギー反応を認める例が多いが,軟体類や貝類とはカニほど臨床的な相関はないと思われた.
著者
松本 康嗣 川崎 秀和 鵜飼 啓史 長壁 円 内藤 浩一
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.C4P2222-C4P2222, 2010

【目的】我々は先行研究において内反捻挫後の背屈動作で足趾伸展を伴う足関節外反と関節軸のずれを報告した。実際に臨床で内反捻挫後の症例をみると足関節機能の低下に加えスポーツ動作時にマルアライメントを呈する例が多い。そこで今回の目的は捻挫による足関節・足趾への影響と動作時アライメントとの関連を検討し、リハビリテーションの一助とすることとした。<BR>【方法】内反捻挫後の症例(うち男性3名、女性7名、平均年齢19.1歳、身長164.6cm、体重59.7kg)を対象としビデオカメラを用いフォワードランジ動作を前額面・矢状面で撮影した。得られた映像をアニマ製二次元動作解析装置に取り込み、動作時アライメントとして足趾伸展角度、足関節背屈角度、舟状骨高、膝関節外反角度を計測した。同時に足関節機能として、背屈・底屈・内反・外反のROM・筋力を測定した。背屈、底屈の筋力に関して、背屈では自然背屈と足趾屈曲位での背屈筋力を、底屈では母趾球と小趾球での底屈をそれぞれ測定した。筋力の測定にはHOGGAN製MICROFET2を用いた。検討項目は足関節機能・動作時アライメントの健側・捻挫側の差と、足関節機能・動作時アライメントの相関関係とした。それに加え、先行研究の結果より内反捻挫後の足趾伸展に着目し、接地時に足趾伸展が見られる例を足趾伸展タイプ、その他の例をノーマルタイプとし、足関節機能・動作時アライメントでそれぞれ2群間の差を検討した。<BR>【説明と同意】被検者にはヘルシンキ宣言に基づき本研究の目的、方法、危険性について十分に説明し同意を得ておこなった。<BR>【結果】足関節機能に関して、ROMでは捻挫側で背屈、底屈、内反、外反すべてにおいて低下が見られた。筋力では足趾屈曲位での背屈、小趾球での底屈、内反、外反で有意に低下が見られた。動作時アライメントでは足趾伸展角度、足関節背屈角度、舟状骨高において有意差は見られなかった。膝関節外反角度に関しては捻挫側で有意に増大が見られた。足関節機能と動作時アライメントの相関では足趾伸展角度と内反ROMとの間に負の相関が見られた(r=-0.79、p<0.01)。舟状骨高と内反筋力・外反筋力(r=0.68・r=0.835、p<0.05)それぞれに正の相関が見られた。足趾伸展タイプ・ノーマルタイプの2群間の比較では足趾伸展タイプで母趾球での底屈筋力と膝関節外反角度が有意に高値を示した。<BR>【考察】足関節捻挫後の影響として足関節外反筋力の低下や腓骨筋反応時間の遅延などが報告されており、今回の結果からも外反筋力の低下が見られた。今回の結果ではそれに加え、内反筋力の低下が見られることや、足趾屈曲位での背屈筋力・小趾球での底屈筋力に低下が見られることから、内反筋の活動低下が著明であると考えられる。<BR>内反筋力と舟状骨高では正の相関が見られており内反筋力が低下することで内側縦アーチの低下に繋がると考えられる。内側縦アーチの低下に伴い、足関節の回内が増大し、捻挫側の膝関節外反の増大に繋がったと考える。足趾伸展タイプではノーマルタイプと比べ、母趾球での底屈筋力で高値を示しており、底屈動作で外反の要素が大きいと考えられる。足趾伸筋は足関節外反作用があることから足趾伸筋の過活動によって足関節外反を伴う底屈が起きていると考える。足趾伸展の過活動が起こる要因としては足関節内反角度の減少が考えられる。今回の結果より、足趾伸展角度と足関節内反ROMに負の相関がみられたことから、内反捻挫の症例では外側組織が炎症・瘢痕化し内反ROMが減少することで、内反時の疼痛が起こり、疼痛回避のため外反位を保持するため、外反の作用を持つ足趾伸筋にスパズムが起こり過活動に繋がると考える。足趾伸筋の過活動により、接地時の背屈筋での遠心性収縮時に前脛骨筋の活動が減少し内側縦アーチの保持が困難となる。アーチの低下により足関節回内が増大し足趾伸展タイプでは動作時の膝関節外反の増大が著明に見られたと考える。以上のことから、足関節内反捻挫後の治療として従来のアプローチに加え、内反筋である前脛骨筋・後脛骨筋へのアプローチが重要だと考える。特に足趾伸展を伴う例においては、足趾伸筋の過活動に注意し足趾や足部アーチの機能低下に対するアプローチを行い、動作時アライメントの改善を行うことが重要であるといえる。<BR>【理学療法研究としての意義】足関節内反捻挫後の理学療法評価、治療を行う際、足関節機能に対するアプローチだけでなく、動作時アライメントや足趾の機能への選択肢が拡大する可能性が示唆された。<BR>
著者
後藤 浩 前野 賀彦 竹澤 三雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.I_790-I_795, 2011 (Released:2011-12-08)
参考文献数
9

平成22年度のレジャー白書によれば、海水浴は多様なレジャーの台頭により減衰傾向にはあるものの、我が国の余暇活動の項目の中で重要な地位を占め、平成21年度には年間延べ約1680万人の人々が海水浴場を訪れているとの報告がなされている。人にとってはトイレの利用は不可欠で、公共の場所である海水浴場においても適切にトイレ施設が設置されている必要がある。また、近年、人々の衛生に対する期待の高まりから、いずれの場所においても快海水浴は多様なレジャーの台頭により減衰傾向にはあるものの、今なお我が国の余暇活動の項目の中で重要な地位を占めている。人にとってはトイレの利用は不可欠で、海水浴場においても適切なトイレ施設が設置されている必要がある。また、近年、いずれでも快適にトイレが利用できることが常となってきており、海水浴場に設置されるトイレ施設も例外とはならないと考えるが、必要なトイレ施設数などや既設トイレの管理方針としての清掃の時間間隔の決定などについては不明確な点が多い。本研究では、首都圏近郊の海水浴場を選択し、公衆トイレを利用した人にトイレ利用に関する聞き取り調査を実施し、トイレの清潔度および清掃回数、トイレまでの最適距離、設置するトイレ施設の数などの推算を試み、海岸における環境衛生施設の改善策を考察した。適にトイレが利用できることが常となってきており、海水浴場に設置されるトイレ施設も例外とはならないと考える。しかしながら、トイレ施設の設置方針としての必要なトイレ施設数などや既設トイレの管理方針としての清掃の時間間隔の決定などについては、著者らの知るところによれば、東京都福祉保健局が公共トイレ設置に関して指針を提示しているのみで、検討の余地がある。本研究では、現状把握のために、首都圏近郊の日帰りの海水浴客が大多数を占める3つの海水浴場を選択し、公衆トイレを利用した約1000名の人にトイレ利用に関する聞き取り調査を実施した。そして、利用者が感じるトイレの清潔度および清掃回数、利用者からトイレまでの最適距離、設置するトイレ施設の数などの推算を試み、海岸における環境衛生施設の改善策を考察した。
著者
後藤 浩子 Goto Hiroko
出版者
法政大学経済学部学会
雑誌
経済志林 (ISSN:00229741)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.207-238, 2015-03

Compared with other European countries, the development of arts' institutes such as academies of arts and galleries was considerably slow in Great Britain. The Crown did not actively promote and support the arts until the late eighteenth century. Instead, voluntary clubs and societies of arts became places where connoisseurs, antiquaries, art amateurs, and artists mingled. This private-sector vitality can be seen as the British enlightenment movement on the arts scene and was to have a considerable influence on the features of the British museum. This paper shows how the enlightenment formed the British Museum and analyses the changes in purchases of collections and their backgrounds in the following three phases: Firstly, Sloane's collection and natural history; secondly, antiquarian collections and the Dilettanti; and thirdly, the Elgin collection and aesthetic controversy. In conclusion, the museum formed by the enlightenment is characterized by the three concepts of an institute of scientific and aesthetic instruction, a cultural asylum, and a device for aesthetic critique in the public sphere.
著者
武田 紀久子 大久保 みたみ 高崎 禎子 唐沢 恵子 石川 尚子 大関 政康 大竹 美登利 川端 博子 斉藤 浩子 林 隆子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.3-13, 1992

東京多摩西部地区 (青梅市) の高齢者の総合生活調査の一環として食生活調査を行い, 次の結果を得た.<BR>(1) 大部分の人が1日3回の食事と, 1~2回の間食をとっていた.主食としては米飯が最も多かったが, 30%の人は夕食に麺類を摂取していた.また, 1日の平均汁物摂取は, 1.9杯であった.<BR>(2) 緑黄色野菜, 淡色野菜, 果物, 大豆製品, 卵は毎日, 魚, いもなどは週3~4回以上摂取している人が多く, 食品のバランスとしてはほぼ良好であった.酒・牛乳以外のほとんどの食品類において, 女性の摂取頻度は男性よりも高率であった.また, 男女とも自分が食事作りをする人はしない人に比べ, 毎日の摂取頻度が高い食品類が多かった。摂取頻度の高い調理法は, 魚では, 焼き魚, 煮魚, 野菜では煮物, 妙め物であった.<BR>(3) 主食となる料理では, うどん, 寿司, 赤飯が好まれた.主菜は, 男性には刺身, すき焼き等の馳走が, 女性には焼き魚, 卵焼き等の惣菜料理が好まれた.また, 女性は主菜よりも野菜中心の副菜を好む率が高かった.<BR>(4) 自分で調理を担当するのは, 女性は約50%, 男性は約10%であった.<BR>(5) 外食の頻度は月1回以上が46%を占めた.市販のおかずの利用頻度は週1回以上が約60%であり, 利用理由として男性は食品の多様性, 女性は簡便性を挙げていた.<BR>(6) 食事の満足度は97%と高率であった.<BR>(7) 子供と同隣居の高齢者は, 別居の場合よりも, 間食回数, 汁物の摂取量が多く, また, 米飯の摂取頻度や市販のおかず・外食の利用頻度も高かった.<BR>(8) 子供と別居している女性は, 98%が食事作りを担当しているが, 食品の摂取頻度は高く, 市販のおかずや外食の利用頻度は低いなど, 日頃から自分の食生活に留意しているようすがみられた.
著者
鈴木 慎太郎 田中 明彦 岸野(大木) 康成 村田 泰規 楠本 壮二郎 石田 博雄 安藤 浩一 白井 崇生 大西 司 相良 博典 瀧本 雅文
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.118-124, 2016

背景.数多くの健康食品が販売されており,医薬品と併用している場合も少なくない.なかでも滋養強壮を謳った「にんにく卵黄」は盛んに広告されており,愛飲者も相当数が見込まれる健康食品である.症例.69歳男性.4年前から「にんにく卵黄」を服用し続けていた.数週間前から労作時の呼吸困難と乾性咳嗽を自覚し,近医で肺炎の診断にて抗菌薬と副腎皮質ステロイドを投与されるも改善せず,当科を紹介受診した.胸部X線およびCT上,両側中下肺野,末梢側優位のすりガラス影を認めた.気管支肺胞洗浄液でリンパ球優位の細胞増加を認め,気管支肺生検ではリンパ球主体の炎症と軽症の器質化肺炎様の所見を認めた.「にんにく卵黄」の服用中止により速やかに改善し,リンパ球刺激試験でも同商品で陽性反応を示したため,同食品による肺障害を強く疑った.結論.健康食品やサプリメントの摂取歴についても,問診で詳細に聴取することが大変重要である.
著者
加藤 浩 神宮司 誠也 高杉 紳一郎 岩本 幸英 吉村 理 新小田 幸一
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.178-184, 2002
参考文献数
24
被引用文献数
6

本研究の目的は,股関節疾患患者の中殿筋を対象に,従来の静的表面筋電図周波数解析に加え,新たに歩行時の動的表面筋電図周波数解析を行い,その結果を筋組織学的レベルから検証することである。当院で手術を受けた股関節疾患患者11症例を対象とした。手術直前に100・50%MVCにおける等尺性股関節外転運動を行わせ,中殿筋筋腹部を電極部位とした静的な表面筋電図測定を行った。又,10m自由歩行を行わせ,動的な表面筋電図測定を行った。そして,wavelet変換を用いた静的・動的表面筋電図周波数解析を行った。手術中に中殿筋筋生検を行いATPase染色による筋線維のタイプ分類(typeI及びtypeII)を行った。さらに画像解析ソフトによる筋線維横断面の形態計測を行った。50%MVC時のパワースペクトルとtypeII線維数の間には,正の相関が認められた。また,歩行時の立脚期初期のパワースペクトル変化は,typeII線維の線維径とtypeII線維横断面の総面積比率が関与していた。wavelet変換を用いた静的・動的周波数解析は,筋線維組成比やtypeII線維の萎縮といった組織学特徴を推測する有効な手段になりうるものと思われた。
著者
森 吉弘 新田 博之 井上 充司 木村 孝司 島本 出 伊藤 浩晴 北町 篤志
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.994-1002, 2001

コンピュータ,ディジタルカメラ,スキャナーなどを利用して文書や画像を作成したり紙データをディジタルデータとして取り込んだりすることが一般的になった。その結果,蓄積されるディジタルデータが加速度的に増加している。部署単位,会社単位で生成される膨大なディジタルデータを,単なるファイルとして,共有サーバに蓄積することは量的にも利用効率の面からも限界に達しつつある。これらの問題を解決するために,様々な検索(自己組織化画像検索・全文検索・関連検索)技術とDVDチェンジャ制御技術,3次元グラフィック技術を統合したドキュメント管理システムを構築した。このシステムにより,テラバイト級データを簡単に蓄積・検索・表示,さらにはWebをも統合することで,広範囲にデータの配信が可能となった。
著者
伊藤 浩信 中村 眞一 岡本 和美 旭 博史 斎藤 和好
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.2080-2083, 1997-09-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
18

症例71歳,男性.右下腹部有痛性腫瘤を主訴として当科紹介された.腹部超音波,注腸透視,腹部CT検査より虫垂炎または大腸悪性腫瘍による腹腔内膿瘍が疑われ緊急手術を施行した.虫垂は硬く,棍棒状に腫大しており周囲組織に埋没していた.摘出標本をみると腫瘍性の変化はなく虫垂周囲膿瘍と診断した.病理組織標本において放線菌の菌塊を中心とした膿瘍がみられ,最終的に放線菌症と診断された.
著者
渡部 龍正 鍬田 泰子 後藤 浩之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.I_244-I_252, 2012 (Released:2012-07-26)
参考文献数
11

北海道では,軟弱な泥炭地盤が広がり,地震時には宅地や地中管路に被害が出やすい.北海道浦河町にも泥炭が堆積しており,1982年浦河沖地震や2003年十勝沖地震では建物被害だけでなく地中の水道管路にも被害が発生した.本研究では浦河町を対象にして,表面波探査から表層の泥炭地盤のS波速度や深さを推定し,泥炭地盤を有する断面の地震応答解析によって,表層の地盤ひずみを算出した.狭隘な谷筋に堆積した地盤の基盤面が不整形であることだけでなく,泥炭地盤のS波速度や深さが地盤ひずみに大きく影響することが明らかになった.さらに,基盤面の勾配が大きいところで過去の地震における管路被害が多く発生していることが分かった.
著者
大澤 義明 古藤 浩
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究では,迷惑施設配置モデルを構築し,理論的に分析を加えることである。得られた成果は少なくとも以下の3点である。第一に、迷惑施設配置を多目的計画法として定式化し,迷惑施設の配置場所候補となる,パレート最適集合やトレードオフ曲線の導出方法を示す.楕円距離マクシミニ型レクティリニアー距離ミニサム型モデル、レクティリニア距離ミニサム型マクシミニ型モデル、レクティリニア距離ミニマックス型マクシミニ型モデルなどを解く一般的解法を提示した。さらに、移転を考慮した場合、k次距離ボロノイ図を利用して有効集合やトレードオフ曲線を解析的に導けることを明らかにした。第二に、分枝限定法を利用した数値解法を用いて、より一般的な状況の下での、ミニマックス距離制約やマクシミニ距離制約での配置場所を数値的に求め、パレート最適集合を近似する方法を示した。茨城県、山形県の人口分布を事例対象とした。第三に、旧厚生省から各都道府県に対しごみ処理圏域広域化促進の指導があった。広域化はごみ焼却から発生するダイオキシン類を大幅に減少させるが、一方でごみ収集車からの排気ガスを増加させる。そこで、このトレードオフ関係に着目し、ダイオキシン類及び排気ガスをともに減少させる広域化計画を数理計画法により求め、現在の茨城県案を評価した。ダイオキシン類発生量を基準値及びごみ発生予測値から求め、排気ガス量を茨城県内のごみ収集車走行実距離と道路網距離から推定した。そして、茨城県案よりパレート最適の点で優れた多くの代替案を提示した。さらに、広域化計画にて、現存の市町村間ごみ処理協力関係への配慮がどの程度足かせになるのかをも数値的に示した。
著者
大澤 義明 古藤 浩 栗田 治
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

主たる研究成果は以下の5点からなる.1)原風景の要素であるスカイライン景観と校歌との関係を考察した.平面上眺望点から,山頂仰角を算出し,最も大きな仰角となる山頂に関して領域分割を理論的に求めた.一方で,関東地方公立高校897校の歌詞を調査し,歌われている山を抽出した.そして,領域分割と校歌分布とが8割程度合致することを実証した.2)面的に広がる夜景景観の数理評価モデルを構築した.夜景規模を測る尺度として立体角を導入し函館市街拡大が函館山夜景や裏夜景にどの程度寄与しているのかを時系列(1975年から2000年まで5年間隔6時点)比較することにより定量的に明らかにした.質を求める指標として道路可視率を導入し,函館では度重なる大火の影響で道路幅員が広り防火遮断帯を配置し,結果としてメリハリのある夜景となったことを数値的に検証した.3)季節前線は日本の景観の大きな構成要素である.その一つとして桜前線を取り上げ,モデルや現実データから桜前線近接性時空表示方法を提案したり,日本の中で桜前線を早くかつ長く楽しめるパレート最適場所を求めたりした.また,これらの多項式計算アルゴリズムを提示した.4)斜線規制に換わる代替規制として2003年1月に建築基準法に導入された天空率規制の問題点を解析的に明らかにした.円環敷地や直線敷地に直方体建物建設という単純な数理モデルを通して,天空率規制導入は,高層建物の許容,共同立替を非促進,建築形態への影響から見て斜線制限の代替指標としての不自然さを数学的に証明した.このようにして,規制導入が町並み景観,都市内のスカイラインへ強く影響することを指摘した.
著者
後藤 浩 祖父江 一馬 有馬 勇人 石野 和男 玉井 信行 竹澤 三雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_1386-I_1390, 2013 (Released:2013-11-12)
参考文献数
10

The Great East Japan Earthquake occurred on March 11, 2011 and the coastal zones along the Pacific Ocean in Tohoku area have received severe damage by tsunami. Most of coastal forestations have been severely damaged or swept away due to a gigantic tsunami. In this paper, historical background of coastal forestation was studied by detailed literature surveys. An instructive formula was developed between damage level of houses and a distance from coastal forestation by field investigations at the coast of Sendai plain. Furthermore, damage level of houses was clarified as a function of inundation depth of tsunami with influence of a housing code.
著者
渡辺 雄貴 加藤 浩 西原 明法
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.19-27, 2014

通勤・通学時に電車のような環境で学習する際には,学習以外に様々な情報を処理する必要がある.そこで本研究では,そのような環境下における情報の介入を想定し,動画コンテンツによる学習を行った際,どのような影響があるかをパフォーマンステストおよび質問紙調査により定量的,定性的に調査を行った.その結果,パフォーマンステストでは,内容理解を必要とする問題において,介入の有無により効果の差異があることが明らかになった.また,質問紙調査により,多くの被験者は視覚に対する介入と比較して,聴覚に対する介入を煩わしく思う傾向があることが明らかになった.