著者
姉崎 隆 タンスリヤボン スリヨン 山田 親稔 平田 哲兵 玉城 史朗 加藤 浩
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.135, no.2, pp.74-80, 2015

In order for the Okinawan economy to grow independently, creating new businesses is essential. This will require the cultivation of technologies that will form the seeds of those businesses as well as the training of technicians and researchers.  To promote the creation of new businesses and innovation that are "unique to Okinawa," the Institute of Electrical Engineers of Japan set up a cooperative research committee for Okinawa-style robot-embedded/sustainable systems.  We proposed the concept of Okinawa-style robot-embedded systems. To realize this concept, we organized technical meetings and promoted research on this topic. At present, our research is focused on the development of ① a playback-type navigation robot for land and air, ② the learning-based super resolution (LBSR) method and hardware implementation for Bilateral Filter (BF), ③ a goat information and communication technology (ICT), and ④ the Bone Cloud for planning and verifying 3D bone models without performing a surgical procedure. Our promotions are now ongoing.
著者
佐藤 浩 久保 正男 福本 力也 廣岡 康雄 生天目 章
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.974-981, 2000-11-01
参考文献数
18
被引用文献数
31
著者
篠原 雅尚 村井 芳夫 藤本 博己 日野 亮太 佐藤 利典 平田 直 小原 一成 塩原 肇 飯尾 能久 植平 賢司 宮町 宏樹 金田 義行 小平 秀一 松澤 暢 岡田 知己 八木 勇治 纐纈 一起 山中 佳子 平原 和朗 谷岡 勇市郎 今村 文彦 佐竹 健治 田中 淳 高橋 智幸 岡村 眞 安田 進 壁谷澤 寿海 堀 宗朗 平田 賢治 都司 嘉宣 高橋 良和 後藤 浩之 盛川 仁
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
2010

2011年3月11日、東北地方太平洋沖でM9.0の巨大地震が発生し、地震動・津波被害をもたらした。この地震の詳細を明らかにするために、各種観測研究を行った。海底地震観測と陸域地震観測により、余震活動の時空間変化を明らかにした。海底地殻変動観測及び地震波反射法構造調査から、震源断層の位置・形状を求めた。さらに、各種データを用いて、断層面滑り分布を明らかにした。現地調査により、津波の実態を明らかにし、津波発生様式を解明した。構造物被害や地盤災害の状況を明らかにするとともに、防災対策に資するデータを収集した。
著者
工藤 浩
出版者
早稲田大学国文学会
雑誌
国文学研究 (ISSN:03898636)
巻号頁・発行日
vol.117, pp.13-24, 1995-10-15
著者
松葉 豪 辺見 幸大 辻 秀人 河井 貴彦 金谷 利治 豊原 清綱 遠藤 浩平
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
pp.2014-0039, (Released:2015-03-19)
参考文献数
29
被引用文献数
3 2

溶融混練でブレンドさせたポリ(L-乳酸)(PLLA)とポリ(D-乳酸)(PDLA)試料のガラス状態から昇温時および溶融状態からの降温時の結晶化(ガラス結晶化・メルト結晶化)でのモルフォロジーの変化を追跡した.ガラス結晶化では,PLLA(PDLA)の単体からなるHomo晶とステレオコンプレックス結晶(Sc晶)が観測された.昇温に伴い,長周期は約20 nmから約63 nmとなり,コンホメーションが変化していた.Homo晶の融解後は, Sc晶の間にHomo晶の融解物が存在するため広がった密度ゆらぎ(63 nm)と,Sc晶の長周期(23 nm)の二つの相関が観測された.ミクロンよりも小さい微結晶は粗い界面をもつクラスターを形成した.一方,メルト結晶化では,降温に従ってSc晶のみが成長し,長周期の長さは, 70 nmから40 nmと減少していた.また,非常に界面のなめらかな微結晶が成長していた.
著者
加藤 浩 井出 有紀子 鈴木 栄幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.2497-2507, 1999-05-15
被引用文献数
5

プログラミングの導入レベルから反復や条件分岐などの基本的制御構造を使いこなせるレベルまでの初歩的アルゴリズム教育の支援を想定した相撲対戦シミュレーションゲーム「アルゴアリーナ」を開発した. 学習者は力士の挙動や戦略をプログラム言語で記述し 他者のプログラムした力士と対戦させる. 1つで多くの相手に勝てるような強く柔軟な力士を作るためには 高いプログラミング技能が要求されるので ゲームを楽しみながらプログラミングを学習することができる. しかも 学習者が行うのは 状況分析 問題設定 評価などを含むトータルな問題解決活動であるため 包括的なプログラミング技能の向上が期待できる. 本システムの特徴は 状況的学習理論に基づき 対戦ゲームという社会的状況設定を利用して プログラミングを実践する学習のコミュニティを構築し それへの参加による学習を実現するために 学習者のコミュニテイの創造・維持を志向した学習環境デザインを行っていることである. 授業実践を2つの公立中学枚で行った結果 アルゴリズムの基本的制御構造が学習できていることが明らかになった. さらに 特定の生徒を授業全体にわたってビデオ録画し エスノメソドロジー的観点から言動を分析することによって 学習者が次第にプログラマ的アイデンティティを発達させていることが明らかになった. これは「コミュニティへの参加による学習」が生起していることの証左となる.A Sumo wrestling simulation game 'AlgoArena', aiming at basic computer programming education for novices, was developed. A learner is supposed to write a program implementing a wrestler's tactics so that he/she can enjoy the game with colleague. The learner is required, to become skillful in comprehensive programming, which includes analysis, planning, evaluation, as well as program writing, if he/she wants to elaborate flexible and strong program enough to beat some others. We developed a community-oriented method for designing learning environment based on situated learning theory, in which social setting as a bout game was applied to construct a learner's community of practice in order to accomplish learning by participation. We conducted two experiments to examine how well they learned programming at two municipal junior high schools. As the results, it turned out that learners in both schools were highly motivated and successfully acquired the knowledge of basic control structures. In addition, we also conducted a participatory observation at one of the junior high schools to investigate how learners develop their identity in the community of programming practice. An ethnomethodological analysis revealed that the learners gradually develop their identity as a programmer, which endorses the occurrence of learning by participation.
著者
斎藤 彰 矢野 昌裕 岸本 直己 中川原 捷洋 吉村 淳 斎藤 浩二 久原 哲 鵜飼 保雄 河瀬 真琴 長峰 司 吉村 智美 出田 収 大沢 良 早野 由里子 岩田 伸夫 杉浦 巳代治
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.665-670, 1991-12-01
被引用文献数
23 92

Restriction Fragment Length Polymorphism(RFLP)法を用いて,主にインド型イネ,Kasalathと日本型イネ,遺伝子標識系統FL134の間でRFLPを示すDNA断片を検索し両品種を親とするF_2集団144個体の分離調査から,遺伝子連鎖地図を作成した.この地図の全長は1,836cMであり,従来の形態,生理-生化学的遺伝子地図(木下1990)及びこれまでに発表されているRFLP地図(McCOUCH et al1988)よりそれぞれ58.5%および32.2%長い.従って,これらのRFLP・DNAマーカーを用いてすでにマップされている遺伝子や末だマップされていない遺伝子を今後効率的に,正確にマップできると推定された.
著者
久保田 善彦 鈴木 栄幸 舟生 日出男 加藤 浩 西川 純 戸北 凱惟
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.11-19, 2006-01-31
被引用文献数
14

子どもたちが理科の授業において,科学者が実践するのと同じように「科学する」にはコミュニティの存在が必要不可欠である。小学校の実験室という限られた空間において同期型CSCLを用いることで,コミュニティの変容と,そこでの科学的実践を考察した。同期型CSCLであるKneading Board(通称KB)の利用によって,これまであまり見られなかった実験中の活動班の相互作用が緊密になった。それによって,お互いをリソースとした学習活動やコミュニティに共通する基準の設定などが行われ,教室全休がコミュニティとして機能していった。また,コミュニティ内では,実験班間の競争,データの正当性や信頼性の確保,批判的な検討,評価基準の作成,基準の運用などの科学的実践が行われていた。同期型CSCLを小学校の理科実験で活用することは,コミュニティへの参加を促し,そこでの科学的実践の支援に有効だといえる。
著者
鈴木 堅二 中村 隆一 山田 嘉明 工藤 浩一 宮 秀哉 半田 健壽 若山 由香利
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.339-345, 1994-05-18
被引用文献数
20

脳卒中発症後6ヵ月以内の男性脳卒中片麻痺患者54例(年齢:28〜81歳)を対象として,8週間以上のCAGTプログラムによる歩行訓練を行い,毎週1回最大歩行速度を測定した.対象者を訓練開始時の最大歩行速度により,遅い群(18例,9.9±2.8m/min),中間群(18例,37.3±12.9m/min),速い群(18例,78.4±15.2m/min)に分けた.各群の訓練開始時と8週後の最大歩行速度,両足圧中心移動距離,前後および左右方向への随意的重心移動距離,患側および非患側の等運動性膝伸展筋力を比較し,これらの変数間の関連を検討した.逐次重回帰分析により歩行訓練開始時および8週問後における最大歩行速度の決定因を求めると,開始時に遅い群では年齢,中問群では前後方向重心移動距離比(対足長)であり,速い群では有意な変数はなかった.8週後には決定因は3群とも患側膝伸展筋力だけとなった.脳卒中片麻痺患者の最大歩行速度はこれらの生体力学的要因だけでなく,訓練期間や日常生活における歩行経験の有無によっても影響されることが示唆された.
著者
佐藤 浩
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.104-120, 2007 (Released:2010-06-02)
参考文献数
15
被引用文献数
1

パキスタンが実効支配しているカシミール地方で2005年10月8日,パキスタン北部地震(Mw7.6)が発生した.震源近くで撮影された1 m解像度のIKONOSカラー単画像を用いて斜面崩壊を判読したところ,11 km×11 kmの広さで約100箇所の斜面崩壊を認定した.単画像のため,崩壊が斜面横方向に連なる場合,個々の斜面崩壊を認定することは難しかった.さらに,2.5 m解像度の白黒SPOT5ステレオ画像を用いて55 km×51 kmを対象に斜面崩壊を判読したところ,2,424箇所の斜面崩壊を認定した.現地調査によると,ほとんどが岩石の浅層崩壊である.しかし,SPOT5の解像度と白っぽい画質のため,地すべりのタイプの分類や地形学的特徴を詳しく判読できなかった.IKONOS,SPOT5いずれの画像判読の場合も,斜面崩壊は起震断層であるバラコット-ガリ断層の上盤側で多発していた.2,424箇所の斜面崩壊は,断層から1 kmの範囲内にその1/3超が集中していた.1/100万地質図と重ね合わせたところ,最多(1,147個),最高密度(3.2個/km2),最大崩壊面積比(2.3 ha/km2)の斜面崩壊がそれぞれ,中新統の砂岩及びシルト岩,先カンブリア系の片岩と珪岩,暁新統と始新統の石灰岩と頁岩に見出された.2,424箇所のうち,約79 %の1,926箇所は小規模な崩壊(崩壊面積0.5 ha未満),大規模な崩壊(崩壊面積1 ha以上)は約9 %の207箇所だった.大規模斜面崩壊の分布を米航空宇宙局のスペースシャトル搭載レーダー観測(SRTM: Shuttle Radar Topography Mission)による90 m 解像度の数値地形モデル(DEM: Digital Terrain Model)と傾斜データ(SRTM-DEMから計算)に重ね合わせたところ,斜面崩壊は断面的に凸な斜面のほうが凹な斜面よりも,また,35°以上のほうがそれ未満よりも,わずかに多い傾向が見られた.
著者
藤原 智 飛田 幹男 佐藤 浩 小沢 慎三郎 宇根 寛
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.95-103, 2007 (Released:2010-06-02)
参考文献数
8

地震に伴う地殻変動の面的分布を求めることで地震時の地下の断層の位置とその動きを推定することができる.2005年パキスタン北部地震について,人工衛星ENVISATの干渉SARおよびSAR画像のマッチング技術を用いて,地殻変動を面的かつ詳細に求めるとともに,断層モデルを作成した.1m以上の地殻変動は全長約90kmの帯状に北西-南東方向に広がり,最大の地殻変動量は6mを超えている.地震断層推定位置は,既存の活断層に沿ってつながっており,活断層地形で示される変動の向きなどとも一致している.これらのことから,今回の地震は過去に繰り返して発生した地震と同じ場所で発生していることがわかった.地殻変動のパターンから,大まかに見て2つの断層グループが存在する.大きな地震被害が発生したムザファラバード付近は,この2 つの断層グループの境に位置するとともに,最大の地殻変動量が観測された.
著者
古藤 浩 コトウ ヒロシ Koto Hiroshi
出版者
東北芸術工科大学
雑誌
東北芸術工科大学紀要 = Annual Review of Tohoku University of Art & Design
巻号頁・発行日
no.3, pp.94-103, 1996-07-23

In the planning of national land development, it is important to have a clear understanding of the regional structure. One index of regional structure is time distance (i. e., minimum traveling time). The computation of the time distance between any two cities is relatively simple. However, it is difficult to grasp visually the structure of the whole region with relation to time distance. This paper focuses on the use of time distance as an index of regional structure, and shows a new method for presenting such structure visually. This method enables us to create a graph of regional structure by treating each city as a vertex, and relative time distance between cities as the length of an edge. The author calls the graph a time-distance network. Construction of the network from any time distance data is generally difficult. In order to solve this problem, some rules are set for constructing the graph. In addition, a necessary condition for constructing the graph is also explored. Using this approach, the author analyzes the Multi-City structure of Tohoku Region in comparison with other regions.
著者
加藤 浩徳 志摩 憲寿 中川 善典 中西 航
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.70-85, 2012

本論文は,高知県を対象として,交通システム成立の経緯を整理するとともに,その経緯と社会経済的要因や政治的要因との関係を分析するものである.同県の広域交通ネットワークの発展経緯を,古代~中世,近世,明治~戦前,戦後の4つの時代区分にしたがって整理した.その結果,高知県は,険しい四国山地と海に囲まれた地域であったため,古代から現在に至るまで,海路による広域交通ネットワークに頼らざるを得なかったこと,県領域内の閉鎖的な交通政策が広域旅客交通の発展を妨げたこと,高知県の陸路ネットワークの整備は,主に政治的要因によって実施されてきたこと,高知県の海上交通ネットワークは,一貫して関西地方との経済的結びつきのもとに発達してきたこと,四国遍路が高知県内の技術に与えた影響が大きいことなどを明らかにした.
著者
後藤 浩子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、Chateau du Bignon(Loiret, France)に残るA・コンドルセ・オコナーの未公刊の手稿"Memoirs"のトランスクリプションとデータ入力という史料編集作業を行った。また、理論的作業の面では、18世紀末ブリテン思想史研究の分析概念を整理し、「ラディカリズム」を有用性と利益の語彙による法権利の語彙の置き換えとして定義しなおすことで、T-ペインやオコナーの思想の特徴を映し出すことができる新たな思想分類の-カテゴリーを提示した。
著者
加藤 浩平
出版者
専修大学経済学会
雑誌
専修経済学論集 = Economic bulletin of the Senshu University (ISSN:03864383)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.1-20, 2013-11

統一後の東ドイツ経済は、中核都市での伝統的製造業の復活、新興産業の一気の移植、サービス経済化の進展などにより発展が見られる一方で、これまでの復興政策の見直しが始まっている。依然解消されない西側ドイツとの経済格差は、ドイツ分断に由来する東ドイツに固有の成長障害に根差すというより、西側でも一般的に見られる構造不況地域の問題であるとの認識が広まり、投資を広く誘導する従来の政策からイノベーションを促進する政策へと重点が移行され、教育機関の整備、R&D活動の支援が模索されている。また従来の復興政策では、市町村を始め地方自治体が上位自治体から財政援助を受けて、インフラ整備、都市再開発、住宅建設などを推し進め東部復興の主要な担い手となってきたが、連邦の特別財政援助の打ち切りが決まった現在、財政基盤の脆弱な地方財政の健全化が迫られている。さらに出生率低下による人口動態上の変化は、東ドイツの今後の経済発展にとり大きな制約条件となるだろう。
著者
佐藤 浩輔 大沼 進
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.94-103, 2013-11

The current study investigates the influence of social factors, such as self-interest and involvement, on trust and its determinants, in the context of public decision-making in government, through two scenario experiments. In both experiments, participants'involvement (high/low) and, subsequent interest in the high- involvement condition (agreed/opposed) were manipulated and two trust models were compared: a tradi- tional model, which regards expectation about intention and competence as the component of trust; and an SVS model, which regards perceived salient value similarity as the primary determinant of trust. Two hypotheses were tested: 1)conflict of interest diminishes trust and value similarity; 2) expectation of the government's intention consistently predicts trust in government, regardless of self-interest. The results supported both hypotheses. Implications of value similarity in the context of public decision-making are discussed. 本研究の目的は、公共的意思決定場面における行政主体への信頼とその規定因に対して利害の一致・不一致や当事者性といった社会的要因がもたらす影響を、実験的手法を用いて明らかにすることにある。参加者の当事者性(高低)、および当事者性が高い場合の利害の方向(一致・対立)を操作し、シナリオ実験により、信頼が意図と能力への期待からなるという伝統的な信頼モデルと、主要な価値の類似が信頼の主要な規定因だとする主要価値類似性モデルの知見に立脚しつつ、2つの仮説を検討した:1)政策との利害の方向性は信頼および価値類似性の評価に影響を与える、2)意図への期待は評価者の立場によらず一貫して信頼を説明する。2つの実験結果からはほぼ一貫して仮説が支持される結果が得られ、公共的決定場面における価値類似性の位置づけについて考察した。
著者
工藤 浩二
出版者
東京都立大江戸高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

1 研究目的現在のところ,国内の高校生においては,アイポジション(Bowen,1978)は単独ではなく,適切なアサーションスキル(関係性維持能力や自他尊重の姿勢など)との交互作用によって初めて適応的なものとなるのではないかと考えられている。このことについて検証を行うことを本研究の目的とした。2 研究方法首都圏の高校生(炉221)を対象として,アイポジション,アサーションスキルおよび不適応状態に関する質問紙調査を実施した。質問紙は,アイポジションについては,高校生用自己分化度尺度(工藤・藤生,2010),アサーションスキル(関係調整および他者受容)については,ENDCOREs(藤本・大坊,2007),そして,不適応状態については,日本版GRQ30(中川・大坊,1985)を利用した。分析は,階層的重回帰分析を用いた。独立〓数として,アイポジションおよびアサーションスキル(関係調整および他者受容)を1ステップ目に投入,次いで,アイポジションとアサーションスキルの交互作用項を2ステップ目に投入した。GHQ30で測定した不適応状態を従属変数とした。3 研究成果分析の結果は,アサーションスキルとして関係調整について分析した場合と他者受容について分析した場合のいずれにおいても同様のものとなった。まず,1ステップ目におけるパス係数(標準化係数)の値はいずれも1%水準以上の高い水準で有意な負の値となった。しかし,その絶対値は,3を上回らず,実質科学的な知見として積極的に意味を認められる程度のものではなかった。また,2ステップ目における決定係数の増分の値は有意ではなかった。これにより「アイポジションがアサーションスキルとの交互作用によって初めて適応的なものとなる」ということは確認されなかった。今後,ネガティブライフイベントなど不適応状態の生起に関連する他の要因も含めた上で,より精緻に検証する必要があると考えられる。