著者
田原 英一 新谷 卓弘 森山 健三 中尾 紀久世 久保 道徳 斉藤 大直 荒川 龍夫 寺澤 捷年
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.957-961, 2003-09-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
8

療養型病床群における高齢者の性的逸脱行動に桂枝加竜骨牡蛎湯が有効であった2例を報告する。症例1は71歳男性で, 前立腺肥大症の術後リハビリテーション目的で入院となった。入院後まもなくから自慰行動が出現し, 他の女性入院患者や介護職員が不快感を訴えるようになった。桂枝加竜骨牡蛎湯を投与したところ自慰行動は消失した。症例2は90歳男性で, 脳梗塞のリハビリテーションのために入院となった。入院後半年ほどして卑猥な言葉を言ったり, 他の女性患者の体を触るようになった。桂枝加竜骨牡蛎湯を投与したところ, 性的逸脱行動は軽減した。桂枝加竜骨牡蛎湯は痴呆による高齢者の性的逸脱行動に有効な治療法となると示唆される。
著者
二木 隆 深谷 卓
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.456-465, 2012 (Released:2013-02-01)
参考文献数
24
被引用文献数
2

Many patients who have been receiving treatment for dizziness in our clinic complained of some worsening of their symptoms or changing of their usual problems after the “Mega-quake” of 11, Mar. 2011, i.e. the Higashi-Nihon Daishinsai earthquake (Magnitude: 9.0). In order to elucidate the influence of the Mega-quake on patients with dizziness, we assessed 235 subjects within 2 weeks after the `quake' with a questionnaire. The number of new patients within the 2 weeks before and after the earthquake rose from 19 to 29. The response rate from the questionnaire was 59%, and the three most serious symptoms were as follows, “horizontal swinging of the earth”, “vertical movement of the earth”, “nausea sensation similar to motion sickness”, rather than the usual symptoms such as vertigo or blackouts. As objective findings, spontaneous and positional nystagmus was encountered 27% of the respondents and one in 5 patients showed a larger area of body sway in the Gravicorder Recording. Some of the neurological considerations were discussed based on the results of our investigation regarding the earthquake and body equilibrium.
著者
久木田 水生 大澤 博隆 藤原 広臨 林 秀弥 平 和博 伊藤 孝行 大谷 卓史 笹原 和俊 中村 登志哉 村上 祐子 唐沢 穣
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、第一に、インターネット上の悪質な情報の流通とそれに起因する現代の諸問題の根本的な要因・メカニズム・影響を明らかにする。第二に、そのような問題に対処するための新しい情報リテラシーの概念を探求し、その基礎になる技術哲学理論を構築する。第三にその概念と理論に則した情報リテラシー向上のための方法を探求する。このことによって本研究は情報技術と社会が互いに調和しながら発展していくことに貢献する。
著者
柴原 直利 嶋田 豊 伊藤 隆 新谷 卓弘 喜多 敏明 後藤 博三 寺澤 捷年
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.43-50, 2000-07-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
20

C型慢性肝炎は高率に肝硬変症へと進展し, 自然治癒の可能性は非常に低いとされている。筆者らは, 和漢薬治療によりC型肝炎ウイルスが消失したC型慢性肝炎の一例を経験した。症例は37歳の女性。1982年の第一子出産時に輸血を受けた。1983年1月頃に全身倦怠感を自覚し, 慢性肝炎と診断され治療を受けていた。1988年に肝生検により慢性活動性肝炎と診断され, 同年5月に当科を受診した。初診時より補中益気湯・桂枝茯苓丸を併用投与し, 自覚症状は改善したが, ALT値は不変であった。しかし, 柴胡桂枝湯合当帰芍薬散投与後より徐々にALT値に改善が得られ, 加味逍遥散料に転方した1996年5月以降は正常化した。ウイルス学的検査においては, 柴胡桂枝湯合当帰芍薬散投与中である1995年3月に測定したHCV RNA定量では104 Kcopies/mlを示したが, 1998年4月以降は検出感度以下となった。
著者
大谷 卓史 芳賀 高洋 池畑 陽介 佐藤 匡 高木 秀明 山根 信二
雑誌
情報教育シンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.179-184, 2014-08-17

一般的に,児童・生徒のインターネットや情報機器の利用を制限・監視することで,児童・生徒のインターネット利用リスクを低くできると信じられている.しかしながら,情報社会におけるコミュニケーションや社会参加がインターネットや情報機器によって媒介されるとすれば,ただ禁止・監視するだけでは児童・生徒の情報社会における自律的判断の成長を妨げ,情報社会への適応を阻害する可能性が高い.むしろ保護者・教師と児童・生徒がインターネットや情報機器の利用について日常的に話し合うことで,児童・生徒のインターネット利用リスクを低くするとともに,児童・生徒の道徳的自律を支援できるとの情報倫理学者 Mathiesen(2013)の知見がある.また,そもそも大人がインターネット利用によってトラブルを引き起こす例も多い.本稿著者は,平成 26 年度において,地域社会の保護者・社会人に対してスマホや SNS の情報リテラシーおよび情報倫理の地域社会教育を実施するモデルとなる教材・講習会の設計と試行的実施をめざし,実行可能性調査を含め,研究を進めている.本稿はその研究の目的・背景と計画を説明するものである.
著者
江間 有沙 秋谷 直矩 大澤 博隆 服部 宏充 大家 慎也 市瀬 龍太郎 神崎 宣次 久木田 水生 西條 玲奈 大谷 卓史 宮野 公樹 八代 嘉美
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.322-330, 2016

<p>人工知能技術の「責任ある研究とイノベーション(Responsible Research and Innovation: RRI)」のためには多様なステークホルダー間による対話・協働が不可欠である。本研究では,情報学系研究者のほか情報学の倫理的・法的・社会的問題を考える人文・社会科学研究者,政策系の専門家やSFなど創作/編集活動関係者,メディア,一般市民など多様なステークホルダーにアンケート調査を行った。10年後の運転,育児,介護,人生選択,健康管理,創作活動,防災,軍事の8分野では,全体として運転・防災・軍事分野など「知的な機械・システム」の導入に社会的合意が必要とされる分野の機械化には積極的な意見が多い。一方,ライフイベントにおける意思決定や健康管理など個人選択に委ねられる分野は「人間が主体で機械を活用する」傾向にあった。回答者の専門や価値観,経験によって意見は多様であり,個別の技術導入場面において機械と人間の関係をいかに創造的に組み替えていくかの議論が重要である。</p>
著者
芳賀 高洋 我妻 潤子 臼井 洋子 大谷 卓史 工藤 紗貴子 鈴木 二正 高瀬 浩之 塚本 初恵 豊福 晋平 中駄 康博 西尾 琢郎 森棟 隆一 三輪 吉和 渡辺 光輝
出版者
日本デジタル教科書学会
巻号頁・発行日
pp.61-62, 2017 (Released:2017-10-02)
参考文献数
2

文化庁 文化審議会著作権分科会は2017年4月「文化審議会著作権分科会報告書」において「教育の情報化の推進等」を公表した。本ポスター発表では、こうした審議会等で討議される教育に関連した最新動向(権利制限の拡大案や公衆送信権に関わる補償金制度導入、学生からの著作権利用許諾料金の徴収、ライセンシング体制の整備ほか)の要点を解説し、著作者・著作権者と利用者(教員、児童生徒、保護者)との「対話」の促進のためのコミュニティの構築といった、今後求められる施策について提案する。
著者
辰己 丈夫 村上 祐子 大谷 卓史
雑誌
情報教育シンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.45-52, 2015-08-10

コンピュータが登場してから約 70 年、その間、コンピュータは様々な場面で用いられてきた。用途 の適切性に関しては、情報倫理学の観点での研究が進んでいる。一方で、2045 年には、強い人工知能が広 く普及し、人間の知能を越える「技術的特異点(シンギュラリティ)」を迎えるという予想がされている。 その時代に通用する情報倫理とは何か、私達はそれをどう学ぶことができるのかについて、議論を行う。
著者
北川 裕久 田島 秀浩 中川原 寿俊 牧野 勇 藤田 秀人 林 泰寛 高村 博之 谷 卓 太田 哲生 萱原 正都 望月 健太郎 蒲田 敏文 松井 修
出版者
医学図書出版
雑誌
胆と膵 (ISSN:03889408)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.609-614, 2011

膵癌では, borderline resectableと言えども局所癌遺残のないR0が得られなければ切除の意義は低い. 膵頭部癌切除標本の検討では病理組織学的にborderline resectableとなる主要因子は"mesopancreas"への進展である. Mesopancreasへの進展範囲はMDCTによって正確に診断可能で, 主腫瘍から連続する粗大網状影, 索状影として捉えられる. R0を得るためには, MDCTで詳細に術前進展範囲診断を行った上で術式立案をすべきである. 特にmesopancreasに関連した, 膵頭神経叢~上腸間膜動脈神経叢への浸潤, 門脈系への浸潤, 上腸間膜動脈への浸潤には注意を払う必要があり, R0のためには, 上腸間膜動脈神経叢全周郭清, 門脈合併切除, 上腸間膜動脈合併切除も考慮する必要がある. 「はじめに」膵頭部癌に対する膵頭十二指腸切除術は高難易度, 高侵襲であるが, 依然予後は不良で, 近年の抗癌剤治療の進歩に伴い, "切除"の意義が問われている.
著者
熊谷 卓
出版者
新潟国際情報大学
雑誌
新潟国際情報大学情報文化学部紀要 (ISSN:1343490X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.65-80, 2013-04

国際テロリズムに対する対応として国際テロリズム自体を規制対象とする条約によるテロ行為者の刑事責任の追求がある。かかる条約の中核的な規定が、犯行後自国領域内でテロ事件の被疑者を発見した国が、被疑者を他国に引き渡さないかぎり、訴追のために事件を権限ある当局に付託することを求める規定(「引渡しまたは訴追(aut dedere,aut judicare)」)である。本稿では結論として、拷問禁止委員会(CAT)および国際司法裁判所(ICJ)における先例をふまえ、かかる規定のありうる解釈として、被疑者所在国は引渡しを求める従前の請求に関係なく権限ある当局に事件を付託することが求められること、その意味で引渡しに優先順位はおかれておらず、引渡しと訴追の関係は独立した関係にあること、また、引渡しの請求を受けた場合、かかる請求を受け入れることで訴追の義務から自己を解放することは許容されること、を導き出している。
著者
田原 英一 新谷 卓弘 三潴 忠道
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.813-820, 2008-11-20
被引用文献数
1 3

漢方医学において半表半裏とされる部位について,傷寒論条文を発生学的に検討したところ,鰓弓領域と一致性がみられた。鰓弓部分は主に三叉神経から迷走神経の支配領域に一致し,一部内耳神経と副神経にも関連が見られた。つまり,半表半裏証は鰓弓由来の部分が熱を持っている病態と考えられる。傷寒論と発生学は本来別のものであり,傷寒論の病態を発生学的に理解することには限界もあるが,理解の一助にもなるのではないかと思われる。
著者
椎名 秀一朗 寺谷 卓馬 小尾 俊太郎 佐藤 新平 小池 幸宏 段 佳之 赤松 雅俊 藤島 知則 吉田 英雄 加藤 直也 今井 康雄 今村 雅俊 浜村 啓介 白鳥 康史 小俣 政男
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.24-30, 2000-01-25
被引用文献数
27 24

経皮的ラジオ波焼灼療法は, 病変に挿入した電極の周囲をラジオ波により誘電加熱し, 肝腫瘍を壊死させる新しい治療法である. 我々は, Radionics社のcool-tip型電極を用い, 肝細胞癌30例61病変を治療した. 病変の存在部位等を理由に経皮的ラジオ波焼灼療法を断念した例はなかった. 効果判定のために施行したCTでは, 治療を行った病変は最終的にはすべて造影されなくなり, 完全壊死に陥ったと評価された. Cool-tip型電極を用いた経皮的ラジオ波焼灼療法は, 経皮的局所療法で治療されてきたほとんどの症例に施行可能であり, 経皮的エタノール注入療法や経皮的マイクロ波凝固療法と比べ, 治療セッション数を少なくし入院期間を短縮できるものと考えられた. 近い将来, 肝癌治療の主流になると思われる.
著者
大谷 卓史
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.852-854, 2013
被引用文献数
1
著者
大谷 卓史 芳賀 高洋 池畑 陽介 長尾 憲宏 佐藤 匡 髙木 秀明 山根 信二
雑誌
情報教育シンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.73-78, 2015-08-10

筆者らは,スマートフォン(スマホ)やソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などを活用する情報安全リテ ラシーを定義し,地域社会におけるこの向上を図るため,地域の情報通信技術(ICT)の利用状況と情報安全リテラ シーの実態を調査し,調査にもとづき,地域の生徒・児童の保護者および社会人を対象として,スマホおよび SNS の情報安全リテラシーの基本的知識を提供する講演会を開催した.上記調査結果の概要と実践活動を報告する.
著者
坂井 一雄 谷 卓也 青木 智幸 岸田 潔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F1(トンネル工学) (ISSN:21856575)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.76-91, 2021 (Released:2021-09-20)
参考文献数
49

山岳トンネルの安全かつ経済的な施工には,切羽前方の地山状況を精度よく予測して,必要に応じて予防保全的な対策工を講じる事が重要である.これまでに筆者らは,日常の施工管理の一環として,簡易に実施できるトンネル天端部の傾斜計測によって,切羽前方地山の硬軟変化を予測する手法を考案し,数値解析や現場計測試験で妥当性と有効性を確認してきた.本論文では,提案手法によって切羽前方地山予測を実現できる条件を明確化する目的で,土被りや地山剛性をパラメータとした感度解析を実施した.また,傾斜計測による地山状況予測結果を,変形余裕量の設定や補助工法の検討に対して実務的に活用することを目指して,傾斜角度から天端沈下量を定量的に推定する方法を検討し,現場実装試験の事後評価で有効性を確認した.
著者
成富 真理 畠 榮 福屋 美奈子 鐵原 拓雄 鹿股 直樹 小塚 祐司 森谷 卓也 定平 吉都
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.32-35, 2013 (Released:2013-03-13)
参考文献数
9

背景 : 腎原発悪性リンパ腫はまれである. 腎原発 MALT リンパ腫の 1 例を経験したので報告する.症例 : 59 歳, 女性. 4 年前, シェーグレン症候群と診断された. 健診の超音波検査で右腎に 24 mm 大の low echo 域を認め, CT, MRI で右腎に多発性の腫瘤がみられた. 徐々に腫瘤像の増大を認めたため, CT ガイド下針生検および捺印細胞診を施行した. 捺印細胞診では, 上皮細胞, 多数のリンパ球, 形質細胞, 赤血球を認めた. リンパ球は小∼中型で, 核は類円形∼楕円形, 核クロマチンは顆粒状, 小型で好酸性の核小体が 1 個みられた. リンパ球に異型はみられず, 腫瘍性よりも反応性によるものと考えた. 針生検標本では, 全体に小リンパ球・形質細胞浸潤が強く, リンパ球の尿細管上皮内侵入と思われる像も散見された. 個々の細胞異型は軽微であった. 免疫組織化学では B 細胞性マーカー陽性細胞がより多く認められた. PCR 法で, IgH 遺伝子再構成を認めた.結論 : 細胞診ではリンパ球の異型が弱く, 診断に苦慮した. 臨床所見や画像所見なども参考にし, 慎重に診断を行う必要があると考えられた.