著者
森本 吉春 藤垣 元治 柾谷 明大
出版者
一般社団法人 日本真空学会
雑誌
Journal of the Vacuum Society of Japan (ISSN:18822398)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.32-38, 2011 (Released:2011-03-11)
参考文献数
36
被引用文献数
1 10

Moire method is a useful method to measure deformation and strain distribution of structures. Moire fringe patterns are analyzed quantitatively and speedy by image processing using a computer. In this paper, the theory of moire method and sampling moire method is introduced. Since the sampling moire method is useful to analyze phases of a moire fringe and a grating from one image of a grating pattern, it is possible to analyze dynamic deformation accurately. Some applications of the sampling moire method to displacement measurement of a beam, and shape and strain measurement of a rubber structure are shown.
著者
三谷 明美 田中 和子 浦山 晶美 佐世 正勝 田中 マキ子
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.135-142, 2016-03-31

The intake of folic acid by women who are able to produce children has been encouraged by the Ministry of Health, Labor and Welfare since 2000. However, there is no trend of decrease of neural tube defects (hereafter referred as to "NTD") related to the folic acid intake in Japan. Therefore, it cannot be said that the importance of the intake of folic acid is fully known by them. Therefore, a questionnaire was implemented with 300 mothers nurturing their preschool-aged children about the awareness of folic acid. As a result, 68.7% of them knew that folic acid is a kind of vitamin, 69.3% of them knew its effect of preventing congenital abnormalities, and 64.0% of them knew that, in order to prevent congenital abnormalities, it is necessary to have an intake of folic acid before pregnancy. Of the women who partook in this study, 72.3% had taken a folic acid supplement in the past, and 58% of them had reported to have obtained information of folic acid. Therefore, they all had a good understanding of folic acid. However, only 24.7% of them knew that it can be better absorbed by the body in supplement form. Therefore, it cannot be said that they were well enough informed of the characteristic of its absorption by the body and the significance of taking it in supplement form; so it was suggested that they should be provided with the necessary information.2000年より厚生労働省により妊娠可能女性への葉酸摂取が推奨されている。しかしながら葉酸摂取の有無と関係する我が国の神経管閉鎖障害(NTD;Neural Tube Defects、以下NTDと略す)発症率に減少傾向はみられず、十分に認知されているとはいえない状況である。そこで未就学児を養育している母親300名に葉酸に関する認知について調査を行った。葉酸がビタミンの一種であることを知っている人は68.7%であった。また、先天奇形の予防効果を知っていた人は69.3%であった。奇形予防のためには妊娠前から葉酸を服用する必要があることを知っていたのは64.0%であった。過去に葉酸サプリメント摂取の経験がある人も72.3%いた。また、葉酸の情報の入手したことがある母親は58%であり、葉酸の認知度は高いといえる。しかし、食品で摂取するより、サプリメントの方が吸収率が良いことを知っていた人は24.7%であった。したがって、葉酸の吸収の特性やサプリメントとしての摂取することの意義などの知識は十分であるとはいえず、情報提供の必要性が示唆された。
著者
石井 克枝 土田 美登世 西村 敏英 沖谷 明紘 中川 敦子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.229-234, 1995
参考文献数
25
被引用文献数
7

本研究は牛肉の低温加熱による呈味物質と呈味性の変化についてみたものである.牛肉を薄切りにし,真空パックしたものを40,60,80℃で,10分,1,3,6時間加熱した.遊離アミノ酸は40℃,6時間加熱したときにもっとも多く生成し,酸可溶性ペプチドは60℃,6時間加熱したときにもっとも多く生成した.60℃,6時間加熱した牛肉エキスと,60℃,10分加熱した牛肉エキスの呈味を官能検査により比較すると,60℃,6時間加熱した牛肉エキスの方がまろやかだった.二つの牛肉エキス中の遊離アミノ酸,5'-IMPはほとんど同量であったので,まろやかさは加熱によって増加したペプチドによるものではないかと考えられた.
著者
元野 一生 村永 努 八谷 好高 梶谷 明宏 加納 孝志
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集E (ISSN:18806066)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.518-531, 2007

ブリスタリング等の破損が広範囲で生じた福岡空港の滑走路舗装に対して,航空機の運航に影響を及ぼすことなく,しかも日々の工事終了直後に大型航空機が高速,高頻度で走行するとの条件の下で,切削オーバーレイによる大規模補修を実施した.その補修方法ならびに施工管理方法については,一連の室内試験ならびに試験施工により定めた.すなわち,材料としてはアスファルト混合物に改質アスファルトII型と中温化添加剤を用いること,基層には大粒径骨材を用いること,さらに改質乳剤によるタックコートを使用することを基本とし,供用開始時刻の1時間前における舗装表面温度を60℃以下にするという施工管理方法を採用した.この方法により補修を行った箇所において,供用開始後に実施した舗装表面性状に関する追跡調査によりその有効性を確認した.
著者
佐藤 敦子 幸 瞳 渡邉 千鶴 齋藤 純一 小長谷 明彦 本間 光貴
出版者
情報計算化学生物学会
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.38-52, 2017-05-31 (Released:2017-05-31)
参考文献数
36
被引用文献数
3

CYP群により薬物が代謝されることによる薬効の減弱、薬物間相互作用は創薬研究における重要な課題であり、中でもCYP3A4は医薬品代謝への寄与が最も大きい。代謝不安定性の改善に対しては、一般的に脂溶性の低減や代謝部位の変換などが行われるが、求める薬効との両立が難しく、また代謝部位や結合様式を実験的に決定するには大きな労力が必要となる。そのため創薬現場では、薬効を維持しながら代謝を回避し得る効率的な薬物設計と、予測による低コスト化が求められている。CYP3A4は様々な化学構造をもつ化合物を代謝することから、結合ポケットは非常に大きく、その形状も柔軟に変化し、化合物との結合様式予測は非常に難しい。我々はカルバマゼピン (CBZ) を題材とした先行研究において、ドッキング計算から得た複数の結合ポーズを初期構造とした分子動力学 (MD) 計算を組み合わせた代謝部位予測方法を検討した。本手法では、化合物とCYP3A4との結合自由エネルギー値と、化合物の各炭素原子のヘム鉄への近づきやすさから、代謝部位を予測している。さらに、この手法がより柔軟な構造を有する化合物にも適用可能か確かめることを目的とし、トルテロジンを題材とした代謝部位予測を試みた。この研究では、化合物ドッキングポーズからのMD初期構造選択の際にProtein Ligand Interaction Fingerprint (PLIF) とRMSDの2種類のクラスタリング手法を用い、効率的な初期構造選択方法と予測結合様式からの代謝安定化デザインについて議論する。
著者
小長谷 明彦 新 淳
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.625-626, 1988-09-12

Prologに代表される論理型言語では、プログラム(クローズ)を名前(述語名)を用いて参照するため、大規模システムを開発する際に名前の衝突がシステム開発の大きなネックとなる。この名前の衝突を解決する方法の一つとして、Common Lispではパッケージを利用した多重名前空間を提供している。本稿ではこのような多重名前空間を論理型言語に適用した際の利用法、設計上の問題点、ならびにマルチプロセス環境への拡張について述べる。本稿で述べる多重名前空間は第五世代計算機プロジェクトの一環として開発した逐次型推論マシンCHI上の論理型言語SUPLOGに実装稼働している。
著者
小野寺 美和 谷 明日香
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<br><br><b>目的</b>&nbsp; 夜間の交通安全用品として反射板が多く市販されているが,デザイン性に欠け利用する人が少ない.県警の報告によると,歩行中の交通死亡事故の夜間割合は昼間の約2倍の発生状況であり,特に高齢者に多く見受けられる.宮城県警では委託された業者が,一件ずつ反射板(靴のかかと用)を配って歩いているのが現状である.そこで,本研究では太陽光や蛍光灯の光を蓄え暗闇で光を放つ蓄光糸に着目し,障害の有無や年齢,体型に関わらず,どんな人も安心,安全に楽しめる衣類の設計指針の提案をするための基礎的研究として,蓄光糸の力学的特性および表面特性を明らかにした.<br><br><br><b>方法 </b>蓄光糸(A-Muse(製))の特性を電子顕微鏡による観察および力学特性の測定により明らかした.さらに蓄光糸を用いて織物(平織,綾織,朱子織)を試作し,力学特性および表面特性測定を行うとともに輝度の測定を行った.また,試作品として,キーホルダーのホルダー部分に三つ編みした蓄光糸を用いることで,蓄光糸の衣服への活用への足がかりとした.<br><br>&nbsp;<b>結果 </b>蓄光糸はポリエステルとポリプロピレンの芯鞘構造であることが明らかとなった.蓄光糸の強度はポリエステル糸と同程度であり,蓄光糸を用いた布は優れた平滑性があることが明らかとなった.また,蓄光糸の織り方により輝度は異なることが明らかになった.<br>
著者
松井 哲哉 並川 寛司 板谷 明美 北村 系子 飯田 滋生 平川 浩文
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ブナ分布北限地域の最前線における正確な分布を調べるために、空中写真解析と現地調査を併用した結果、ブナの孤立林は最大約4km間隔で9箇所分布していることが判明した。これらの孤立林は、ブナの連続分布域から鳥などによって運ばれた種子が育ち、成立した可能性がある。遺伝的解析の結果、孤立ブナ林では孤立度が高く、多様度は低下する傾向がみられたものの、ブナの樹齢は120年以下の若い個体が多く、ブナは林冠のかく乱などを契機として今後もゆっくりと分布範囲を拡大すると考えられた。
著者
糠谷 明 増井 正夫 石田 明
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.73-81, 1979 (Released:2007-07-05)
参考文献数
21
被引用文献数
2 8

希釈した海水が, トマトの発芽, 生育, 収量に及ぼす影響について調査した.(1) 発芽試験開始2日後, Cl濃度の100ppmにより発芽率は減少した. 6日後の発芽率は0から1000ppm Cl間で有意差がなかったが, 2000ppm Clでは80.5%, 3000ppm Clでは21.5%で, 0から1000ppmClより低かった.(2) ホーグランド液で希釈された海水で育てられたトマトの蒸散量は, 海水濃度が増すにつれ減少した.(3) トマトを本葉2枚のステージより40日間, ホーグランド液で希釈された海水で育てた. 葉の新鮮重は250, 500ppm Clで0,100ppm Clより大であったが, 果実収量は0ppm Clで最大であった. 6000ppm Clで枯死株がみられた. 葉の浸透ポテンシャルは海水濃度の増加により減少した.(4) トマトを砂耕で栽培した結果, クロロシスとネクロシスは2000ppm Clでは下位葉にみられた. これらの症状は3000ppm Clではさらに激しく, 下位葉から上位葉にまで認められた. 3000ppm Clでは枯死株もみられた. また, 海水濃度の増加とともに, 葉の新鮮重と果実収量は減少し, 葉のCl, Na含量は増加した.(5) トマトを土耕で栽培した結果, 葉の周縁ネクロシスは海水の濃度が高い場合, 下位葉にみられたが, 3000ppm Clにおいても枯死株はなかった. また, 海水濃度の増加とともに, 葉の新鮮重と果実収量は減少し, 葉のN, P, K, Na, Mg, Cl含量は増加する傾向がみられた. 実験終了時の土壌のCl, 置換性Na, Mg含量及びECは, 海水濃度が高まるにつれて増加した.
著者
小島 輝明 高本 俊一 森岡 賢次 山本 晋平 綿貫 雅也 長谷川 光彦 三宅 仁 塩野谷 明
出版者
Society of Biomechanisms
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.231-241, 2002

It is effective to determine running pace in advance, based on individual ability, in order to demonstrate the highest performance in long-distance running. The evaluation indices for a long-distance runner are maximum oxygen uptake, lactate threshold (LT), and ventilatory threshold (VT). These, however, are mostly used stastistically, so results may differ from real ability in a personal equation.<BR>The purposes of this study were to construct an energy-metabolism model and to optimize the running pace of long-distance running using a genetic algorithm (GA). The energy-metabolism model constructed in the study was composed of an anaerobic energy feeder structure, an aerobic energy feeder structure, and the section to be run. These elements were expressed as differential equations and restricted inequality formulas. The running speed for each subject, calculated from the best time for 300 meters, the amount of oxygen uptake, and running speed at the VT in each subject were used as parameters for the energy-metabolism model.<BR>VT was measured by a gradually increasing speed exercise using a treadmill because it was difficult to measure during field running. There are many differences between treadmill running and field running, however. In this study, the subject ran continuously on a treadmill with traction to his back using a rubber tube. The running speed for treadmill running was adjusted to that in field running based on heart rate.<BR>The energy-metabolism model had two controlled variables, and running speed could be controlled by these variables. We tried to optimize the energy-metabolism model by determining the two controlled variables using a GA. The spurt start point was also determined during optimization. The GA determined the spurt start point based on the energy-metabolism model.<BR>The running speed in 5000-meter races was optimized as follows: (1) speed ascends immediately after the start of the race, and then descends by a constant degree; (2) speed ascends again at 1000 to 1400 meters before the goal; and (3) almost 1 minute later, running goes to maximum speed then descends again by a constant degree all the way to the goal. This optimization result corresponded closely to the actual racing of the subject, who trained for improved ability in long-distance running.
著者
小島 輝明 高本 後一 森岡 賢次 山本 晋平 綿貫 雅也 長谷川 光彦 三宅 仁 塩野谷 明
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム
巻号頁・発行日
vol.16, pp.231-241, 2002-06-25

It is effective to determine running pace in advance, based on individual ability, in order to demonstrate the highest performance in long-distance running. The evaluation indices for a long-distance runner are maximum oxygen uptake, lactate threshold (LT), and ventilatory threshold (VT). These, however, are mostly used stastistically, so results may differ from real ability in a personal equation. The purposes of this study were to construct an energy-metabolism model and to optimize the running pace of long-distance running using a genetic algorithm (GA). The energy-metabolism model constructed in the study was composed of an anaerobic energy feeder structure, an aerobic energy feeder structure, and the section to be run. These elements were expressed as differential equations and restricted inequality formulas. The running speed for each subject, calculated from the best time for 300 meters, the amount of oxygen uptake, and running speed at the VT in each subject were used as parameters for the energy-metabolism model. VT was measured by a gradually increasing speed exercise using a treadmill because it was difficult to measure during field running. There are many differences between treadmill running and field running, however. In this study, the subject ran continuously on a treadmill with traction to his back using a rubber tube. The running speed for treadmill running was adjusted to that in field running based on heart rate. The energy-metabolism model had two controlled variables, and running speed could be controlled by these variables. We tried to optimize the energy-metabolism model by determining the two controlled variables using a GA. The spurt start point was also determined during optimization. The GA determined the spurt start point based on the energy-metabolism model. The running speed in 5000-meter races was optimized as follows: (1) speed ascends immediately after the start of the race, and then descends by a constant degree; (2) speed ascends again at 1000 to 1400 meters before the goal; and (3) almost 1 minute later, running goes to maximum speed then descends again by a constant degree all the way to the goal. This optimization result corresponded closely to the actual racing of the subject, who trained for improved ability in long-distance running.
著者
市橋 直樹 中谷 明美 中野 一郎 鹿野 由紀子 前田 学 森 俊二
出版者
Japanese Dermatological Association
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, 1991

37歳,女性.左手に軽い瘙痒を伴う辺縁隆起性紅斑出現.遠心性に拡大し数日で消退.同様な紅斑が全身に出没するようになり,他に,関節痛,朝の両手指こわばり感,両眼瞼腫瘍出現,精査加療のため入院.抗核抗体高値,低補体血症,免疫複合体高値,抗SS-A抗体陽性,抗SS-B抗体陰性.Sjogren症候群などを考え,生検.表皮基底層に液状変性なく,真皮上層の血管周囲に核塵形成を伴ったリンパ球を主体とする細胞浸潤を認めた.同部の免疫蛍光染色は,真皮表皮境界部に沿って顆粒状に抗IgG抗体陽性.抗IgA抗体も同様に陽性.以上より蕁麻疹様紅斑で初発したSLEと診断.尿検査成績より腎障害を疑い腎生検を行ったところ,全体として基本構造の改築,メザンギアル領域の拡大を認め,びまん性糸球体腎炎の像を呈していた.腎組織の免疫蛍光抗体染色では,毛細血管からメザンギアル領域にIgGの沈着を認めた.
著者
森岡 賢次 高本 俊一 山本 晋平 綿貫 雅也 SALA Maximiliano 大場 昌昭 塩野谷 明
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ジョイント・シンポジウム講演論文集 : スポーツ工学シンポジウム : シンポジウム:ヒューマン・ダイナミックス : symposium on sports engineering : symposium on human dynamics
巻号頁・発行日
vol.2001, pp.38-41, 2001-11-07

In thinking about an improvement of a performance in swimming, it is important to progress the self-propulsive force in swimming. The purpose of this study was to develop the equipment and procedure, which measured and evaluated by 3 type of swimming as follows ; Semi-tethered swimming (STS), stream swimming with water flow and STS with water flow. From the basis of these results, the mutual relations between swimming velocity, propulsive force and resistance in swimming were considered.
著者
熊谷 明夫
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学 : 日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.228-230, 2012-11-20

セルロースはグルコースがβ-1,4-グルコシド結合した直鎖状のホモポリマーで,地球上に最も豊富に存在する天然高分子である。一般的には植物細胞壁や植物繊維の主成分として知られているが,一部の動物や多くの微生物もセルロース生合成能を有しており,原索動物であるホヤの体を覆う被嚢と呼ばれる膜や,バクテリアが分担する細胞外多糖などによって構成されているバイオフィルムなどにもセルロースが含まれている。中でもバクテリアが生産するセルロースはバクテリアセルロース(BC)と呼ばれ,純粋なセルロースからなる微細繊維が複雑な三次元網目構造を形成していることから,高強度,高弾性,高保水性といった植物由来のセルロースにはみられない物理的特性を示す。一般的に知られるBCとしては,セルロース生産能の高い酢酸菌Gluconacetobacter xylinusを利用して生産されるナタデココが有名であるが,食用としてだけでなく,その優れた物理的特徴を活かした新素材としての利用が期待され,産業・医療分野において応用研究が進められている。また,G. xylinusは応用分野に限らずセルロース生合成機構解明のモデル生物として基礎研究にも利用されており,特に遺伝子工学分野では植物に先行して研究が進められ,セルロース生合成に関わる遺伝子とタンパク質,その合成機構の関係について多くの知見を与えてきた。バクテリアによるセルロース生産はG. xylinusが代表的であり,セルロース生産が直接確認されているバクテリアは少ない。しかし,ゲノム解析が盛んに行われるようになり,既知のセルロース生合成に関わる遺伝子との相向性が高い遺伝子の存在が確認され,多くのバクテリアがセルロース生産能を有することが示唆されている。また,バクテリアにおけるセルロースの役割は完全には明らかになっていないが,例えば植物に対して病原性をもつアグロパクテリウム(Agrobacterium tumefaciens)においては植物への吸着,バイオフィルムを形成する大腸菌(Escherichia coli)においては凝集に関わっているのではないかと考えられている。このようにバクテリアのセルロース生産についていくつかの研究が報告されている中,我々は酢酸菌から新規のBC生産菌をスクリーニングするため,酢酸菌に属するAcetobacter属,Gluconacetobacter属,Asaia属,Kozakia属から選抜した菌株を液体培地で静置培養し,気液界面への薄膜形成からAsaia bogorensis がBCを生産することを見出したの。ここではA. bogorensisが生産するBCと遺伝子解析の結果得られたセルロース生合成関連遺伝子の特慣をG. xylinusとの比較を交えながら紹介する。
著者
高田 達之 鳥居 隆三 土屋 英明 木村 博 木本 安彦 細井 美彦 入谷 明
出版者
滋賀医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

本研究は(1)サルES細胞を用いた遺伝子改変技術の確立と(2)そのES細胞由来の遺伝情報を有する産仔を得る、という2つの主目的からなっている。まず(1)の課題に関して、我々は世界に先駆けて遺伝子導入が困難とされたカニクイザルES細胞への蛍光蛋白GFP遺伝子の導入に成功した。そしてこのGFP発現カニクイザルES細胞(GFP-ES)がin vitro, in vivoにおいて内、外、中胚葉に分化し、多分化能を維持していることを明らかにした。さらにGFP-ES細胞を4-6細胞期のカニクイザル正常発生胚に注入すると、割球と混じり合って増殖し、キメラ胚盤胞を作る能力があることを証明した。すなわち目標であったサルES細胞を用いた遺伝子改変技術を確立することができた。さらにこの過程でsiRNAのサルES細胞への効率良い導入方法の開発にも成功し、サルES細胞において容易な遺伝子発現抑制方法を確立することができた。すなわちサルES細胞における遺伝子改変技術として、過剰発現系とその逆の発現抑制という2つの技術を確立することに成功した。次に2番目の課題に関して、このGFP-ES細胞を4-6細胞期の正常発生胚に注入後、レシピエント個体の卵管に移植し、キメラザルの作出を試みた。その結果、4頭の妊娠に成功し、1頭の正常仔の出産に成功した。この個体の皮膚、および血液における、明確なGFPの発現は認められなかったが、ゲノムにおけるGFP遺伝子の存在をPCR法により調べたところ、キメラであることが明らかになった。すなわち世界で初めてES細胞を用いたキメラザルを誕生させることに成功した。以上、本研究の結果、サルES細胞に遺伝子改変を行い、これを用いて遺伝子改変ザルを作製するための細胞工学的、発生工学的方法を開発し、必要な技術基盤を確立することができた。