著者
佐藤 哲也 山西 芳裕 金久 實 藤 博幸
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.004-011, 2007 (Released:2007-02-21)
参考文献数
6

A distance matrix is a set of genetic distances between all possible pairs of proteins under consideration, and is used to construct a phylogenetic tree by the distance matrix method. Pazos and Valencia (2001) have developed a method to predict protein-protein interaction by evaluating the similarity of the distance matrices, under the assumption that the phylogenetic trees of interacting proteins resemble each other through co-evolution. It is known, however, that the prediction includes many false positives. We postulated that the cause of the false positives is the background similarity of the phylogenetic relationship of the source organisms. We have developed a method to exclude such information from the distance matrices with a projection operator. The number of false positives was drastically reduced from the prediction by evaluating the similarity between the residuals after the projection operation.
著者
井廻 道夫 金子 隆志 森山 貴志 安藤 量基
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

HLA B44を有する慢性C型肝炎患者の検討で,HCVコア抗原アミノ酸残基88-96を抗原エピトープとするHLA B44拘束性CTL応答が認められる症例では末梢血HCV RNA量が低値であり,CTLがHCVの増殖に対して抑制的に作用していることを示唆する結果が得られた.また,同一患者において異なった抗原エピトープを認識する2種類以上のCTLが存在することも明らかになった.CTL応答が認められるにも関わらずHCVが存在することは,HCV感染においてはCTL応答が不十分であることが考えられる.抗原エピトープの変異が認められたのは27例中3例と多くはなかったが,その3例のHCVコア抗原アミノ酸残基88-96のアミノ酸配列のペプチドを作製し,HCV特異的CTLに認識されるか,あるいはCTLを効率良く誘導できるかを検討したところ2例では変異エピトープは野生型エピトープと同様に認識されるものの,CTL誘導能は低いことが判明した.他の1例ではむしろ変異エピトープの方が抗原性が強いという結果が得られた.このなかのエピトープの一つを用いて,変異ウイルスが野生型ウイルスと混在した場合にどのような影響がCTL応答に生じるかを検討したところ変異ウイルスは野生型ウイルスと混在した場合には,CTLのウイルス感染細胞障害が抑制されるとともに,変異ウイルスを認識するCTLの増殖も抑制されることが明らかになった.HCVコア抗原アミノ酸残基88-96をHLAB44拘束性に認識するCTLクローンを用いた検討より,C型肝炎においてはCTLはHCV感染細胞を認識しパーフォリン,Fasリガンド,TNFにより認識した細胞を障害すると共に,抗原を認識し活性化したCTLは炎症などにより感受性を獲得した肝細胞をFasリガンド,TNFにより障害し,肝炎の拡大に関与していることが明らかになった.
著者
宮村 会実佳 金田 健志 佐藤 泰史 重里 有三
出版者
一般社団法人 日本真空学会
雑誌
真空 (ISSN:05598516)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.432-436, 2007 (Released:2008-01-01)
参考文献数
13

Photocatalytic activities of titanium dioxide (TiO2) films deposited by rf sputtering were investigated from view points of their internal stress. TiO2 films were deposited on fused quartz glass or 100 μm thick micro-sheet glass substrates at room temperature, 200 or 400°C under various total gas pressures (Ptot) of 0.3~5.0 Pa with oxygen flow ratio [O2/(O2+Ar)] of 60% using a Ti metal target. Photocatalytic activity was evaluated by photodecomposition of acetaldehyde (CH3CHO) under UV illumination (black light lamp, 0.4 mW/cm2). Compressive internal stress was estimated by cantilever method using the micro-sheet glass, which clearly decreased from -2.1 to -0.1 GPa with the increase in the Ptot from 0.3 to 3.0 Pa. The films with the compressive stress less than -0.5 GPa performed the photocatalytic activity. Furthermore, compressive or tensile stress was applied by external force on the TiO2 films deposited on the curved micro sheet glasses by flattening these substrates after the deposition. The photodecomposition activity of the films with the slight compressive stress improved clearly, whereas the one of the films with the tensile stress degraded.
著者
杉浦 令人 和田 弘 櫻井 宏明 鬼頭 良介 合川 善浩 齋藤 有紀 角田 利彦 本谷 郁雄 朴 英浩 田村 亮介 緒方 真己 川原 有貴子 金田 嘉清
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.E3P1196, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】平成18年4月に介護保険法が改正された.中でも転倒予防への取り組みは重視されており全国2/3の自治体が地域高齢者を対象に転倒予防教室を実施している.しかし、それらの活動の効果は立証されておらず、さらに要介護高齢者の転倒予防効果はほとんど報告されていない.そこで、本研究の目的は要介護高齢者が行える『安全・楽しく・長く』を念頭に構成した集団リズム運動が心身機能にどのような効果をもたらすのかを検証することである.【対象】M県の通所サービスを利用している要支援1~要介護2の19名(平均年齢/79.9±7.0歳、男:女/7:12)を対象とした.次の項目の該当者は対象外とした.(1)独歩不可能(2)運動の説明が理解困難な認知症を有す(3)急速に進行中の進行性疾患、急性疾患や不安定な慢性疾患、6ヶ月以内の心筋梗塞や下肢骨折(4)ADLで介助を有す方である.対象者を無作為に2群に割付け、個別運動と集団リズム運動を行う群を介入群、個別運動のみを行う群を対照群とした.【方法】介入前と6週後に身長、体重、BMI、握力、膝伸展筋力、坐位体前屈、開眼片脚立位、Functional Reach Test(以下FRT)、Timed Up & Go Test、歩行能力、Profile of Mood States(以下POMS)、Falls Efficacy Scale(以下FES)の測定を行った.個別運動は中川らが考案した運動を採用した.体力測定の結果を基に5~6種類の運動を選択し個別プログラムを作成した.回数は運動毎に8~10回×2~3セット、頻度は週5回、期間は6週間とした.集団リズム運動は第1~3ステージより構成され、全て音楽に合わせて行った.第1ステージでは足踏み、支持面固定での重心移動、スクワット等を行った.第2ステージでは歌詞に合わせ運動を行った.第3ステージでは『1・2・3』と足踏みをし『3』の時、一歩足を出し、それを前後左右へと繰り返した.両運動の強度はBorgScale12~13とし微調整は重錘ベルトにて行った.各群の効果判定として介入前後における体力測定の結果を比較した.介入前後の両群間の比較、さらには体力測定の各項目において変化量を介入前の値で除した値を両群ともに算出しその割合を比較した.尚、本研究は当法人倫理審査委員会の承認を得た.【結果】各群の介入前後を比較したところ介入群では坐位体前屈、FRT、最大歩行速度にて有意な向上が認められた(p<0.05).FESでは有意差は認められなかったが向上傾向を示した.対照群では膝伸展筋力、POMS(T-A)にて有意な向上・改善が認められた(p<0.01).両群間の比較では介入前後ともにFRTにて有意差が認められた(p<0.01).両群間の変化量の比較では有意差は認められなかった.【考察】6週間の短期介入にて介入群では柔軟性、バランス、歩行能力の向上が認められ、また転倒恐怖心が減少傾向を示した.よって、今回提案した集団リズム運動は転倒予防への可能性が示唆された.対照群では下肢筋力の向上が認められ個別プログラムの有用性を再認識した.
著者
藤井 美男 川原 温 奥西 孝至 金尾 健美 花田 洋一郎 青谷 秀紀 中堀 博司 斎藤 絅子 畑奈 保美 加来 奈奈
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

「近代国家の形成」という西欧学界の現代的課題へ貢献することを目途として、中世後期のブルゴーニュ国家を素材に、社会・経済・文化諸領域の統合的な究明を図ることを本研究の目標とした。その結果を要約するならば、 (1)都市民の宗教・文化的存在形態が国家制度と宮廷文化へ及ぼす影響、(2)ブルゴーニュ国家の地域的統合、ネーデルラントの統一、および都市=農村関係の再構築の解明である。また経済史的側面からは、(3)国家財政における塩鉱山経営の位置づけ、および都市財政と国家財政との物的・人的結合の確認、(4)都市の政治機構と国家行政との関連の解明、という結論が得られた。
著者
小金澤 孝昭 奥塚 恵美
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.1-10, 2008
被引用文献数
1

本研究では、非農家が農業に参入する上でどのような課題があるのか、それらの課題を解決し、地域に定着していくためには何が必要なのかを明らかにし、その条件を整理していきたい。その際、特に受け入れ地域の住民の対応と新規参入者の農業のかかわりについて注目していく。調査地域は、新規参入者が多くみられる宮城県丸森町を事例として取りあげた。丸森町における新規参入者の定着過程には、大きく3つの段階がみられた。初期の段階は、新規参入者が地域住民の協力のみで参入する段階。次に、先行参入者が新規参入者と地域との橋渡しとなって参入する段階。最後に、新規参入者が町行政の受け入れ体制を利用し、参入する段階である。丸森町では地域住民、先行参入者、町行政と相互のネットワークが徐々に築かれ、次の者が参入しやすい環境を作り出してきた。現在は、新規参入者による見学ツアーなど、積極的な受け入れも行われてきている。このようなことから、新規参入者の地域定着条件とは、個々人の問題ではなく、地域住民、参入者、行政など、地域全体のつながりによってつくられていくものだといえる。
著者
秋山 進午 田 広金 高浜 秀 山本 忠尚 宮本 一夫 大貫 静夫 TIAN Guangjin 郭 治中 郭 素新 谷 豊信 岡村 秀典
出版者
大手前女子大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

〔研究成果概要〕我々は中国内蒙古文物考古研究所(代表:田広金)と共同して、内蒙古涼城県にある湖"岱海"において"遊牧騎馬民族文化の生成と発展過程の考古学的研究"を行った。"岱海"は内蒙古の南東部に位置し,万里の長城の北,僅か10Kmにある。いわゆる"内蒙古長城地帯"のただ中である。湖の南岸の丘陵上には仰韶文化遺跡,北岸には龍山文化とオルドス青銅器文化遺跡が並び,農耕文化と牧畜文化が入り交じる"農牧交錯地帯"である。我々はこの,研究テーマに対する絶好の地点を選び,中国で最初の"地域研究"を行った。[平成7年度]初年度には先ず仰韶文化後期の「王墓山上遺跡」の発掘調査を行い,住居址15基ほかの遺構と土器,石器,骨角器など多数の遺跡を発見した。調査によって,この原始聚落が層位的に2時期に分かれ,また,遺物の研究によって,第2期をさらに前・後に細分することが出来た。[平成8年度]二年目には石虎山I・II遺跡の発掘調査を行った。石虎山遺跡は仰韶文化前期の遺跡で,黄河流域の仰韶文化が北方へ拡大して,この地に初めて農耕をもたらした重要遺跡である。発掘調査によってII遺跡から14基の住居址や多数のピット,墓等を発掘し,後岡一期文化期の聚落の状況を初めて明確にした。II遺跡では聚落を巡る環濠とその中から多数の獣骨を発見し,当時の生活環境研究に貴重な資料を得た。[平成9年度]三年目には飲牛溝遺跡においてオルドス青銅器文化期の墓地を発掘し26基の土坑墓を発掘し,副葬品や犠牲畜骨を発見した。併せて龍山文化期の板城遺跡の考古測量調査と住居址2基を発掘した。以上のように,3か年の調査期間において,この地域における農耕の始まりから,その展開過程,続いて牧畜を主たる生業とするオルドス青銅器文化の牧畜民への交代の様相を追求することが出来た。発掘調査と平行して,東は遼寧省から西は寧夏回族自治区,甘粛省に到る万里の長城に沿って関係遺跡と遺物の調査を行い,研究資料の蓄積に務めた。
著者
Roman Hujer 金井 敦
雑誌
研究報告 グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.1-6, 2011-01-14

Web ページを見るためにはその URL を知る必要があり、また、検索エンジンなどでは探し出せない Web ページも多数存在している。そのようなページは存在するが参照できないページであり、無駄になっている。そこで、既知の URL から新たな URL を探し出す手法を提案する。具体的には、URL の数字パターンを検出し、その数字パターンを変化させることにより、新たな、URL を作り出す。本報告では、手法の提案に加え、実際に URL を生成し、どの程度の URL を生成できるか、生成した URL がどの程度有効であるかを実際に検証する。I going to observe a certain set of URLs. In each URL I will try to search for numeric pattern. If I find an occurrence, I'll change the pattern instance and compose back the changed URL. Then I will verify, if the modified URL is a locator of another resource. I will provide statistic in how many cases I found a pattern in URL and in how many cases the modified URL led to another resource.
著者
金子 えつこ
出版者
四国学院大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

プーシキン(1799-1837)の文体をロシア語近代語の成立という観点から分析している申請者は、プーシキンの散文におけるガリシズム、すなわちロシア語へのフランス語の影響について研究し、またプーシキンの散文における韻律性についても分析した上で、それらの散文における動詞の割合の高さ、完了体の含有率の高さ、一文の短縮傾向などにより生じる文体の「軽さ」についての理論化を試みてきた。その結果、存在がほぼ自明であるにもかかわらず定義のし難い「軽さ」というプーシキンの文体特性について分析する必要を見出した。そのため、近代文学言語の成立期における言語変化という潮流を視野に入れつつ、具体的な言語現象を同時代人カラムジンの文体と比較照合すことによってこれを精密に解析することを目指した。つまり、「文体特徴」はあくまで比較概念であるため、カラムジンをいわば物差しとして、両者の比較を通じて共通項としてガリシズムが出てくるか来ないかを明確にし、軽快さの根源にある言語特性を析出するということであった。カラムジンは、プーシキンと結果的に方向性は異なったが、プーシキン同様ロシア文章語の改革を目指した。彼の『あわれなリーザ』『ロシア人旅行者の手紙』における動詞〓の機能動詞化は著しく、「軽さ」を伴う独自の用法を持つことが確認された。また機能動詞とともに用いられやすい語彙、すなわち、単語のコロケーションについても分析した結果、西欧からの翻訳借入語や西欧文化の影響下で多用されるようになった思想感情表出に関わる語彙との距離に特徴が指摘された。この用法は統語レベルのガリシズムの一つとしても位置づけられるため、avoirおよびその熟語との相関も検討し、同様に〓の分析においてフランス語のfaireおよびその熟語との相関も検討した。「軽さ」という概念は近代語成立期の研究に関する新しい鍵となることが確認された。
著者
太田 亨 小島 聡 廣瀬 幸夫 古城 紀雄 村岡 貴子 菊池 和徳 門倉 正美 安 龍洙 門倉 正美 村岡 貴子 西村 謙一 安 龍洙 菊池 和徳 藤田 清士 酒勾 康裕 古城 紀雄 金 重燮 趙 顯龍 真貴志 順子
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,(1)日韓プログラムにおける「通年予備教育」用活動型シラバス試案を公表し,(2)日本の大学教員が韓国における前半期予備教育の現場に直接入って教育する「教育参画」を行いシラバス試案の教育的な効果を検証すること,の2点を目指した。また,『研究成果報告書』を刊行し,その結論部において,日本語教育,数学教育,物理教育,化学教育に分け表形式で簡潔に纏めた形で上記シラバス試案を提示した。
著者
金子 賢治 馬場 則男 陣内 浩司
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
顕微鏡 (ISSN:13490958)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.37-41, 2010
被引用文献数
1

<p>近年,電子線トモグラフィ(TEM-CT)法がナノスケールの空間分解能で内部の複雑な立体的情報を解析する手法として注目を集めています.本稿ではその1:原理と題してTEM-CT法の原理や歴史的背景,連続傾斜像の撮影と再構築,ラドン変換や再構成法について概説します.</p>