著者
鈴木 福二 田中 宗男
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.413-428, 1982-06-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
6
被引用文献数
1
著者
鈴木 弘治 山川 龍雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1692, pp.96-99, 2013-05-27

答 前回の消費増税時のデータを念頭に置いた最悪のシナリオです。増税分を値上げで転嫁できないという前提で考えました。こうした事態も想定しつつ、リスクを回避することが目的です。
著者
鈴木 雅之 武藤 世良
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.291-302, 2013-03-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
35
被引用文献数
1 1

本研究では,学業水準の高い高校に所属している生徒を対象に,一般的な高校生の学業水準と自身の学業水準との比較過程が,学業的自己概念に与える影響について検討した。また,社会的比較の影響を調整する要因として,生徒の持つ達成目標に着目し,調整効果についても検討を加えた。高校生589名を対象に質問紙調査を実施し,解析を行った結果,国語と数学の両科目において,学業成績と学校内での比較過程,栄光浴効果の影響を統制しても,一般的な高校生との比較過程が学業的自己概念に影響を与えていることが示された。この結果から,平均的な基準と比較して,自身の学業水準を高いと捉える生徒ほど,高い学業的自己概念を持つ傾向にあることが示唆された。また,社会的比較の効果に関して,達成目標による調整効果はみられなかった。
著者
鈴木金輔 編
出版者
大川屋[ほか]
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1896
著者
鈴木 俊太郎
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

いじめ予防プログラムの基盤となる「ポジティビティ・フォーカスト・アプローチ」について、前年度の理論研究を踏まえて、実際のカウンセリング場面、心理教育場面に利用できるように手続きや方法論を明確にする作業を行った。ポジティブ心理学の中でも肯定的感情側面に焦点を当てたB.Fedricksonらの研究成果を基盤に、対人コミュニケーション場面において、自身の肯定的感情が、認知的枠組みを拡大・再構築していくというプロセスを、教育プログラムとして実行できるように調整している。最初は、カウンセラーとクライエントという特殊な2者関係、つまりカウンセリングの一場面でこのプログラムを想定し、そこでパイロットスタディを踏まえて、集団場面、教育場面での応用が可能な形にブラッシュアップを図っていった。プログラムは大きく分けて2つのフェーズから構成され、1.ポジティブ感情喚起フェーズ、2.認知再構築フェーズの2段階に分けられる。それぞれのフェーズでは、一定のタスクが参加者に課される。例えば、1.のフェーズでは、過去の失敗経験と成功経験を同時に想起してもらい、成功経験のみについてその後詳細に事実を説明してもらう。このような作業を行うと、次いで思い出してもらった失敗経験の記憶が想起しずらくなる、価値が低下するなどの効果が見込める(検索誘導性忘却という現象を利用したトレーニング)。また、これと並行して、ここまでの研究成果を学会発表という形で公表し、他の研究者からプログラム実施に関して様々な意見をいただき、ブラッシュアップを図った。遂行過程で大幅な改変の必要性や手続きの補強、倫理的配慮をご指摘いただき、考慮に入れることとなったため、年度内で予定していた実際に施行するプログラム開発まで至ることは難しかった。なお、この遅れについては、年度をまたいで、次年度の計画施行スピードを調整することでも解消可能と考える。
著者
鈴木 悟史 中村 俊之 吉井 正広 中島 正勝 中西 洋喜 本田 瑛彦 小田 光茂
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.79, no.807, pp.4233-4248, 2013 (Released:2013-11-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

Generally, many space satellites have large solar array panels for power generation and large antennas for observation and communication. The panels and antennas must be lightweight because of the payload weight limit of the launch vehicle. So, they are very flexible, with little damping ability. This results in vibrations cause serious problems. When the thermal environment around a flexible structure on orbit such as a solar array panel changes to cold or hot, the flexible structure produces its own deformation or vibration. These occur most often during rapid temperature changes called thermal snap or thermally-induced vibration, which has been known to cause attitude disturbance in Low Earth Orbit (LEO) satellites. Thermal snap vibration occurring on a flexible solar array panel is very slow. It is very difficult to measure thermal snap motion by sensors such as accelerometer. The behavior of a space structure affected by thermal snap has never been observed directly in space so far. This report presents the measurement results of “IBUKI” solar array panel's behavior using monitor camera.
著者
南 篤志 劉 成偉 田上 紘一 松本 知之 Jens Christian Frisvad 鈴木 秀幸 石川 淳 五味 勝也 及川 英秋
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 57 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.Oral34, 2015 (Released:2018-10-01)

ペニトレムA(1)は、Penicillium crustosumなどの糸状菌から単離されたインドールジテルペンである(図1)1。同菌は、酸化度や修飾様式が異なる構造類縁体{ペニトレムB-F(2-6)}に加えてパスパリン(7)2、PC-M5(8)、PC-M4(9)なども生産する3, 4。1は、パキシリン(10)やアフラトレム、ロリトレムなどの多くのインドールジテルペンと同様に7をコア骨格とする一方、インドール環上にある4-6縮環骨格や8員環エーテルなど他のインドールジテルペンではみられない特徴的な構造を有する(図1)。その特異な化学構造は有機合成化学者からも注目され、4については全合成も達成されている5。一方、その生合成については、標識化合物の投与実験などから1-6が生合成後期における酸化的修飾によって構築されると推定されていたものの6、骨格構築機構については不明であった。最近我々は、麹菌異種発現系を用いることで17種の遺伝子が関与するペニトレム生合成マシナリーの解明に成功し、特徴的な骨格構築機構を含む生合成経路の解明に成功した7。本討論会ではその詳細を報告するとともに、我々が改良してきた麹菌異種発現の有用性についても議論したい。ペニトレム生合成遺伝子クラスターの同定 ペニトレム生合成マシナリーの解明へ向け、生合成遺伝子の探索を試みた。予想生合成中間体である7の生合成に関与する遺伝子(paxGCMB)8を指標としてペニトレム生産菌(P. simplicissimum9)のドラフトゲノムデータを精査したところ、ptmGCMBを含む15個の読み枠から構成される生合成遺伝子クラスター(cluster 1:図2)を見いだした。しかしながら、酸化的な修飾反応を触媒する酵素遺伝子が明らかに不足していたため、遺伝子クラスターの分断が示唆された。分断した遺伝子クラスターを同定するためにRNA-Seqによる発現解析を生産/非生産条件で行ったところ、4種の酸化酵素遺伝子と1種のプレニル基転移酵素を含む遺伝子クラスター(cluster 2:図2)を新たに見いだした。1と同じ分散型生合成遺伝子クラスターはfusicoccin10、austinol11などで報告されているが、いずれも類縁化合物の相同遺伝子もしくは経路特異的な遺伝子を指標としてゲノムデータから探索されたものである。これに対して本結果は、植物由来の天然物と同様、発現解析が糸状菌天然物における分散型遺伝子クラスターの同定において有効であることを示す結果であると考えている。 麹菌異種発現系を利用したペニトレム生合成マシナリーの解明 最近我々は麹菌を宿主とした異種発現システムに着目し、代表的な糸状菌由来二次代謝産物であるインドールジテルペン7,8,12、テルペン13、ポリケタイド14の生合成マシナリーの再構築と物質生産を行ってきた。本手法の特徴は、①導入した遺伝子の確かな機能発現、②生合成経路の同定と物(View PDFfor the rest of the abstract.)
著者
諸田 智克 はやぶさ2ONCチーム 杉田 精司 澤田 弘崇 本田 理恵 亀田 真吾 山田 学 本田 親寿 鈴木 秀彦 安藤 滉祐
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.48-53, 2015

はやぶさ2に搭載された光学航法カメラ(ONC:Optical Navigation Camera)はその名の通り探査機のナビゲーションの役目を担うカメラであるが,科学観測においても中心的な役割を果たす.本稿では特に小惑星の力学進化過程の復元に向けた,ONC地形観測の戦略について紹介する.
著者
遠藤 秀紀 小原 巌 吉田 智洋 九郎丸 正道 林 良博 鈴木 直樹
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.531-538, 1997-07-25
被引用文献数
8 17

国立科学博物館に収蔵されているニホンオオカミ (Canis hodophilax TEMMINCK 1839)の頭骨3例を用いて骨計測学的検討を行い, 秋田犬との比較を試みた. また, CTスキャンを用いてニホンオオカミの頭蓋骨, 特に前頭骨領域の内部形態を非破壊的に観察したので報告する. 骨計測の結果, ニホンオオカミと秋田犬では最大頭蓋長に有意差はなく, 同サイズの集団間比較を行っていることが確認された. 一方, 最小前頭幅と両眼窩間最小距離の最大頭蓋長に対する割合は, ニホンオオカミで有意に小さく, 同種の前頭骨の発達が悪いことが示唆され, 前頭骨の平面観と側面観からも同様の結果が得られた. しかし, ニホンオオカミにおいてこれまで注目されてきた下顎第一後臼歯長の最大頭蓋長に対する比率には, 二者間で有意差は見られなかった. CTスキャンによる傍正中断像では, ニホンオオカミの前頭洞は, 発達の悪い前頭骨に応じて狭く, 特に背腹方向ヘ圧縮されていることが明らかになった. また, 三次元腹構の結果, 複雑な櫛板の構造が確認された. ニホンオオカミは, 1905年以来捕獲例のない絶滅種である. 今後, 残された標本をCT観察し, 同種の呼吸および嗅覚機能に関する検討を進めることが期待される.
著者
青柳 優 鈴木 豊
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.89, no.6, pp.653-667, 1996-06-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
53
被引用文献数
1

The ultimate goal of objective audiometry is to draw an audiogram in a frequency specific manner with no response from the subject. Auditory evoked brainstem response (ABR) is now most commonly used for objective audiometry. However, the frequency specificity of ABR elicited with tone pips is not enough to predict accurate hearing on a frequency-specific basis across the audiometric range. Amplitude-modulation following response (AMFR), which is an auditory steady-state response elicited with sinusoidally amplitude-modulated tone, is expected to be an ideal tool for objective audiometry, because of the frequency specificity of the stimulus tone.When detected by phase coherence, the threshold pattern of 40-Hz AMFR, which is elicited with tone amplitude modulated at 40 Hz, resembles very closely the corresponding audiogram patterns in all types of hearing impairment in adults while awake. However, 40-Hz AMFR is not sufficiently reliable for determining the hearing threshold in young children during sleep.On the other hand, 80-Hz AMFR is clearly detected in young children during sleep with the use of phase coherence. The threshold pattern of 80-Hz AMFR also resembles closely the corresponding audiogram pattern. An 80-Hz AMFR thus appears to be potentially useful for objective audiometry in young children during sleep.In this paper, our present knowledge about objective audiometry and AMFR is reviewed, and techniques for detecting AMFR and sources of AMFR are discussed.
著者
中村 聡史 鈴木 正明 小松 孝徳
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.32-39, 2014-09-12

綺麗な文字を書くということに日本人の多くは興味を持っている.さて,綺麗な文字とはどのような文字だろうか?本研究では,人の手書き文字をフーリエ級数展開によって数式化し,その式の平均を計算することによって,平均的な文字を生成することを可能とした.また,その平均文字を利用した実験により,実際に書いた文字よりユーザの平均的な文字が高く評価されること,ユーザの平均文字より全体としての平均文字高く評価されることを明らかにした.さらに,ほとんどの人が自身の文字を高く評価する傾向があることも明らかにした.
著者
上田 周平 鈴木 重行 片上 智江 堀 正明 水野 雅康
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.BaOI2019, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】頭頚部の運動は環椎後頭関節を中心とする頭部の運動と下位頚椎を中心とする頚部の運動から規定される(Hislop H.J.2002)。頭頚部のアライメントの相違は咽頭、喉頭などに形態的差異をもたらし嚥下機能に密接に関与すると報告されているが、頭頚部の関節可動域(以下ROM)を頭部と頚部に分け嚥下機能との関連性を検討した報告はみられない。我々は第45回本学術大会において施設入所中の50名の高齢者を対象に誤嚥性肺炎の既往の有無で頭頚部のROMを比較し、複合(頭部+頚部)屈曲には差はないが、誤嚥性肺炎群では頭部屈曲ROMが低値であることを報告した。そこで本研究は、嚥下機能の変化に伴い複合屈曲と頭部屈曲のROMにどのような変化が見られるのかを明らかにすることを目的とした。【方法】対象者は嚥下障害でリハ依頼のあった者のうち、才藤らの嚥下障害の臨床的病態重症度分類(以下class)で4以下の障害を有し、急性期の脳血管障害、腫瘍などによる通過障害、臥位で頭部が床面に接しない円背の者を除外した36例(男性20例,女性16例,平均年齢84±8歳)とした。リハ開始時と最終時に嚥下機能はclass、改訂版水飲みテスト、食物テストを指標として評価した。また頭頚部機能は頭部屈曲と複合屈曲のROM、舌骨上筋機能グレード(以下GSグレード)、相対的喉頭位置(吉田.2003)を評価した。リハ開始時と比較して最終時に嚥下機能の評価指標のいずれかが1ランクでも改善が見られた者を改善群とし、それ以外の群(不変・悪化群)との2群に分類し、頭頚部機能を比較した。なお入院期間中は全例PT、STによる介入を行った。ROMの測定肢位はベッド上臥位とし、他動運動にて最大角度と可動範囲を測定した。頭部屈曲の最大角度は外耳孔を通る床からの垂直線と外眼角と外耳孔を結ぶ線とのなす角(A角)の最大値、可動範囲は最大角度に開始肢位でのA角を加えた角度とした。複合屈曲の最大角度は肩峰を通る床との平行線と肩峰と外耳孔とを結ぶ線とのなす角(B角)の最大値、可動範囲は最大角度から開始肢位でのB角を引いた角度とした。測定にはデジタルカメラを用い、カメラが被検者と平行になるように三脚に固定して撮影を行った。その後データをPCに取り込み画像解析ソフトImage J(NIH)を用いて角度を算出した。統計学的手法は群内の比較には対応のあるt検定、Wilcoxonの符号付順位検定、2群間の比較には対応のないt検定、Mann-Whitneyの検定を用い、危険率5%未満を有意水準とした。【説明と同意】対象者またはその家族には研究の主旨を十分に説明し、研究に参加することへの同意を得た。また本研究は所属機関の倫理委員会の承認を受けて行った。【結果】最終評価後の嚥下機能は改善群18例、不変・悪化群18例であった。両群間で基礎データ(年齢,性別,リハ開始時と最終時Barthel Index,脳血管疾患既往の有無,入院からリハ開始までの日数,入院期間,リハ日数)に差を認めなかった。群内の比較は改善群では頭部屈曲の最大角度と可動範囲、複合屈曲の最大角度と可動範囲に有意な増大を認めた。不変・悪化群では複合屈曲の最大角度と可動範囲、GSグレードに有意な増大を認めた。2群間の比較では最終評価時の頭部屈曲の最大角度と可動範囲、リハ開始時と最終評価時のGSグレードが改善群で有意に高値であった。【考察】頭頚部機能として評価した相対的喉頭位置は群内、群間ともに差を認めなかった。この指標は吉田らが脳卒中患者を対象に検討を行っている指標であり、今回のような高齢なADLの低い者では両群とも高値を示しており、嚥下機能を反映しないことが考えられた。GSグレードにおいては改善群では群内の変化は認められなかった。不変・悪化群では有意な増大を認めたが、リハ開始時、最終評価時ともに改善群が不変・悪化群と比較し有意に高値を示しており、先行研究と同様に舌骨上筋群の機能が嚥下運動に影響を与えることが示された。ROMに関しては改善群では複合屈曲、頭部屈曲ともに改善を認めたが、不変・悪化群では複合屈曲のみ改善を認めた。頭頚部屈曲の効果には舌圧の増加、嚥下後喉頭蓋谷残留の減少、喉頭閉鎖不全の代償などが報告されているが、報告者により複合屈曲、頭部屈曲が混在している状況である。しかし今回の縦断調査の結果から治療における頭部屈曲へ対する介入の必要性は明確になったと考える。【理学療法学研究としての意義】高齢嚥下障害患者の嚥下機能改善の為の介入を行ううえで、また悪化させないように維持するうえで注目すべき頭頚部機能として頭部屈曲ROMがあげられることが示唆された。
著者
鈴木 順
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:02896400)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.167-177, 2004-03-31

本稿は,4世紀後半のエジプトを中心に活躍し,没後の異端宣告にもかかわらず東西キリスト教修道制の伝統に多大な影響を残した修道士・神学者エヴァグリオス・ポンティコス(345-399/400)の小品『スケンマタ』の試訳と紹介である。わが国では馴染みのない人物なので,作品の解説・試訳の前に,人名事典風に彼の生涯・主要著作・思想(神学と修行論)を略述する。
著者
真栄田 裕行 比嘉 朋代 嘉陽 祐紀 鈴木 幹男
出版者
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
雑誌
免疫アレルギー (ISSN:09130691)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.245-250, 2018

<p>抗腫瘍薬の一種であるメトトレキサート(MTX)は,現在では関節リウマチのうち予後不良群に対する第一選択薬として広く用いられている。メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(methotrexate-associated lymphoproliferative disorders: MTX-LPD)は,MTX投与中の患者に発生するリンパ増殖性疾患であるが,今回われわれは外耳道に腫瘤を形成したまれなMTX-LPDの一例を経験した。当科においては本例以外に3例のMTX-LPDを経験しているが,原発部位は副鼻腔,上咽頭および頸部リンパ節であり,外耳道発生の報告は国内外の文献を渉猟しても見当たらない。</p><p>症例は66歳の女性。主訴は耳漏,耳痛および耳下部の腫脹である。初診時,右外耳道は線維性瘢痕様の表面平滑な腫瘤で占拠されていた。CTおよびMRI画像所見では,右外耳道入口部に造影効果のある内部不均一な腫瘤が確認された。さらにPET画像では腫脹部位に一致してFDGの高集積が認められ,加えて右頸部リンパ節の多発性腫脹も見られたことから外耳道悪性腫瘍が疑われた。外耳道腫瘤および腫大リンパ節の細胞診のいずれにおいても悪性所見は認められなかったが,外耳道腫瘤の生検でReed-Sternberg細胞が確認された。患者がMTX使用歴を有していたことから,最終的にMTX-LPDと診断された。MTXを中止したのちは一連の所見は速やかに消退した。本疾患とEBVとの関連が示唆されているが,本例においてもEBV感染が示された。</p>
著者
鈴木 守 石井 隆裕 神尾 光一 鈴木 浩 伊庭 健二
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.112, no.10, pp.937-944, 1992-10-20 (Released:2008-12-19)
参考文献数
9
被引用文献数
3

The idea of unbalanced load flow calculation was proposed many years ago. At that time, however, the needs for such techniques was not an urgent one. Modern power system networks are comprised of long untransposed transmission lines. Therefore, for some kinds of analysis, it is now almost impossible to treat a system as though it were a symmetrical network. The aims of most previous studies were oriented to solve voltage/current imbalance in local or small systems, as local imbalance was a serious concern. This is still an important issue, but more recently our needs have become concentrated on practical bulk power systems, since principal EHV lines are entirely untransposed. In this paper, the development of practical unbalanced load program and practical experience with it are reported. This program was developed for steady state analysis of large-scale practical networks under many possible unbalanced condition. The Newton-Raphson method in polar coordinates is used, since fast and moderate convergent characteristics are suitable for solving solutions. The program was applied to practical case studies. The models contain all of the 500 kV and most of the 275 kV overhead transmission lines in TEPCO. Since the density of the Jacobian matrix is higher than in single phase load flows, the number of non zero elements is extremely large. Convergent characteristics are excellent in all cases. The fear of numerical instability has been allayed.
著者
鈴木 正寿
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

哺乳動物の脳には形態的・機能的雌雄差が存在する。本研究は、周生期のラットの脳の性分化に直接重要な役割を果たす性分化誘導因子として考えられているグラニュリンに着目し、そのニューロンに対する作用を分子生物学的及び細胞生物学的に解明することを目的とした。本年度では、イン・ビボにおけるグラニュリンの視床下部ニューロンの構築に対する作用の検討として、抗グラニュリン前駆体ウサギ血清を用いて、脳内におけるグラニュリン発現分布を免疫組織化学的に検討した。その結果、脳全体において広範な発現が確認されたものの、特に大脳皮質、海馬、視床下部脳室周囲核や弓状核、中脳黒質などでの強い発現が観察された。さらにこれらの領域においてgrn前駆体蛋白を発現する細胞は神経細胞であった。以上の結果は、神経細胞において産生されるgrnが、オートクライン・パラクライン的に神経細胞やグリア細胞に作用し、細胞増殖・分化を制御している可能性を示唆するものであった。さらにマウスグラニュリン遺伝子のゲノム配列を用いて、プロモーターでの転写調節機能の解析やノックアウトマウスの作成を現在進行している。特にノックアウトマウス作成については、現在グラニュリン遺伝子の欠損した胚性幹(ES)細胞の選択が終了し、キメラマウスの作成の段階である。また脳の性分化の誘導される新生期において、エストロジェンを処置し、その後経時的に視床下部を採取し、新生ラット視床下部におけるエストロジェン、アンドロジェンおよびアロマターゼ遺伝子の発現を検討した。エストロジェン投与によりERα遺伝子発現は減少したが、ERβ、AR、AROM遺伝子の発現は増加した。これらの遺伝子発現の雌雄差、および性ステロイドに依存した発現制御は、ラットの脳の性分化において重要な役割を果たすものと考えられた。
著者
鈴木 真
出版者
関西福祉科学大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、幸福とその測定に関する哲学研究を、経験科学における研究と接続することを試みた。とりわけ、哲学、特に倫理学において重要な、誰かにとっての善としての幸福(福利)とは何かという問を再考し、その意味の幸福が自然界ではどのような物事に存しているかを、心理学や脳神経科学などの経験科学の知見にもよりながら検討し、福利に関する一種の反応依存説(好み依存説)を擁護した。また、心的状態が経験に適応するという事態が反応依存説に問題を引き起こすという批判を論駁した。そして、各人の幸福が測定や比較が可能なものとして存在すると主張するには、誰かにとっての善に関する想定を現実を踏まえて弱める必要があると論じた。