著者
長谷川 良二
出版者
環太平洋産業連関分析学会
雑誌
産業連関 (ISSN:13419803)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1-15, 2023 (Released:2023-07-15)
参考文献数
18

本稿はアマチュアリーグ所属のサッカークラブである,福山シティフットボールクラブを事例として,その地域経済効果を産業連関分析により検証した.分析においてサッカークラブを運営する経営母体を産業部門として捉え,その支出や産出を産業連関表において特掲し事業活動の一部を内生的に取り扱った.経済効果として,直接効果は69.80 百万円,経済波及効果を考慮した総合効果は94.47 百万円であり,直接効果の1.35倍の規模に及ぶという結果を得た.また経営母体を特掲した産業連関分析により,福山シティフットボールクラブがもたらす経済波及効果のメカニズムや連関効果の形成などの検証が可能となり,より詳細な視点で経済効果の実態を明らかにした.
著者
長谷川 兼一 吉野 博 池田 耕一 柳 宇 熊谷 一清 三田村 輝章
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.345-357, 2009 (Released:2018-01-31)

児童のアレルギー性疾患の有症率が全国的に上昇していることを背景に,居住環境との関連性を明らかにするために,疫学的な調査デザインを行い,全国規模の調査を実施した。その結果,(1)全国的にアレルギー性疾患の有病率は高く50%前後であり,特に,アレルギー性鼻炎の有病率が最も高いこと,(2)アレルギー性疾患の原因として花粉,ダニ,ハウスダストの割合が高いこと,(3)児童のアレルギー性症状は室内環境要因に関連があり,特に,湿気が多い状態(ダンプネス)と各症状とに有意な関連性が示され,結露やカビの発生が結果として児童のアレルギー性疾患の発症に影響している可能性があること,などがわかった。
著者
鈴木 麻純 松元 良枝 木村 悟隆 長谷川 兼一 中谷 岳史
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.28, no.69, pp.1066-1071, 2022-06-20 (Released:2022-06-20)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

This study investigates the actual conditions of houses flooded by the 2020 Kyushu floods, and reports on the recovery procedures. The recovery procedures were organized in the chronological order based on the records of the technical guidance provided by the authors. The recovery process chart clarified the work process and the number of people required. In addition, the authors interviewed the victims and summarized the recovery work and period of one year after the disaster. It was found that it was difficult for residents to work alone immediately after the disaster and that it was necessary to secure personnel.
著者
木村 洋 長谷川 麻子 小峯 裕己 鎌田 元康
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.67, no.554, pp.27-34, 2002-04-30 (Released:2017-02-04)
参考文献数
10

To reduce the concentration after occupancy, the mitigation techniques by ventilation or air cleaning are effective. This paper reports the concentration reduction effects of the measures such as continuous mechanical ventilation, the passive product for removing gaseous HCHO and air cleaners for pollutants from the full-scale tests in the newly constructed multi-family residential building. The results are following; 1. The mechanical ventilation was most effective. 2. The sheet-form passive products were effective in the storage, besides the particulate products scarcely affect. 3. The operation of an air cleaner had a little influence on HCHO concentration in the room.
著者
矢野 昌充 長谷川 美典
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.514-518, 1992-06-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
7
被引用文献数
1

キウイフルーツの流通方法改善の資料とするため,市販果実のエチレン生成と追熟の状況を調べた.(1) 国内産のばら売り,パック売りとも,購入後10日を経過してもエチレンを生成して正常に追熟した果実はほとんどなく,大部分はエチレンを生成しないか生成しても軟腐病によるものであった.(2) 軟腐病が極めて少なかったニュージーランド産果実では14%の果実がエチレン生成を伴う正常な追熟をしたが,大部分は追熟しなかった.卸売市場から直接購入した果実では購入後35日経過後も数%の果実しか追熟しなかった.(3) パック包装内部には50ppmを上回るエチレンが検出される例があった. 8.6~57.6μl/kg/hのエチレン生成量を持つ果実を1個を非密封パック内に入れただけでも0.5~5ppmのエチレンが蓄積することが観察された.(4) 購入10日後,食べ頃の硬さ,酸含量となったのは全購入果実の約40%に過ぎず,しかも大半が軟腐病罹病果であった.
著者
長谷川 健
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.129-136, 2016 (Released:2019-02-01)
参考文献数
25

パーフルオロアルキル(Rf)基をもつ有機フッ素化合物は,炭化水素化合物では実現し得ない独特なバルク物性を示す。しかし,その物性が発現する機構を分子の一次構造と関連付けて理解することは長年の課題であった。本稿では,階層双極子アレー(SDA)理論と電磁気学によりこれまでの混乱を取り除き,Rf化合物の物性を,1分子とバルクに分けて統一的に理解可能にする新しい考え方について述べる。
著者
長谷川 幸代
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.73, no.10, pp.415, 2023-10-01 (Released:2023-10-01)

コロナ禍を経て,社会ではいっそう頻繁にデジタルツールを利用するようになっています。特にオンラインで送受信できるという面で,距離や時間の制約を越えて様々な活動が可能になります。「資料」を提供する機関でも,資料をデジタル化することで,アナログではできなかったことが可能になりました。しかしながら,アナログ資料にも利点が沢山あり,今後は双方をうまく提供したり利用したりできることが重要になってきます。アナログとデジタルの双方による情報提供を「ハイブリッド型の情報提供」として,今月号では特集「ハイブリッド型情報提供の実際」を企画しました。本特集では,まず,根本彰氏に総論としてメディア論の観点をふまえ,アナログとデジタルの双方を含めたメディアの変遷を論じていただきました。続いて各論では,以下の5本の記事を掲載しています。間部豊氏には,公立図書館でどのようにハイブリッド型の情報提供が行われているか,電子図書館サービスの具体的な内容を絡めながら解説していただきました。前川道博氏には,地域行政文書を中心に紙で提供されていた情報がデジタル化されることに対しての知見を記していただきました。阿児雄之氏には,博物館での事例を中心にアナログとデジタルによる資料・情報提供の実際の状況をご紹介いただきました。大髙崇氏には,地域放送局によるアーカイブへの取り組みをもとに,人材育成や他機関との連携等今後の課題について述べていただきました。安形麻理氏には,マイクロ資料に焦点を当て,マイクロフィルムの特徴や提供と保存について詳細にご説明いただきました。インターネットが社会に台頭している現代でも,双方をうまく活用することでより充実した資料・情報提供が実現できるのではないでしょうか。本号では,そのための様々な知識を執筆者の皆さまより発信していただけたと思います。(会誌編集担当委員:長谷川幸代(主査),尾城友視,鈴木遼香,森口歩)
著者
大野 一将 小原 聡将 竹下 実希 井上 慎一郎 水川 真二郎 長谷川 浩 神﨑 恒一
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.179-185, 2017-04-25 (Released:2017-06-07)
参考文献数
24
被引用文献数
4 3

症例は86歳男性,ADLは自立しており,70歳で遺伝性出血性毛細血管拡張症(hereditary hemorrhagic telangiectasia:以下HHT)と診断された.以来当科外来に通院していたが,今回初発の意識障害を来し,当院に緊急入院となった.受診時に羽ばたき振戦を認め,血清アンモニア値は128 μg/dlと高値であり,肝性脳症と診断した.精査のため血管造影を行ったところ,肝内びまん性門脈肝静脈シャントを認め,それに伴った肝性脳症と診断した.HHTの本態は,血管構築の異常による末梢血管拡張やシャント血管の形成が特徴であり,さらに年齢を重ねるごとにシャント量が増加する.そのため,高齢になると肝内びまん性門脈肝静脈シャントをも形成し,ごく稀に肝性脳症を来たすことがある.近年,本疾患の管理の質が向上しHHT患者は高齢化してきている.今後肝性脳症をきたすHHT患者が増加すると予想されるため貴重な症例と考え,ここに報告する.
著者
高橋 剛士 福瀬 達郎 倉橋 康典 木場 崇之 高橋 鮎子 福田 正順 妻鹿 成治 板東 徹 田中 文啓 平田 敏樹 越久 仁敬 長谷川 誠紀 寺田 泰二 池 修 和田 洋巳 人見 滋樹
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.685-689, 1999-07-15 (Released:2009-11-11)
参考文献数
11

上肢に症状を呈したBuer墓er病に対して胸腔鏡下交感神経切除術が奏功した一例を経験したので報告する.症例は46歳, 男性.一日約40本, 25年の喫煙歴があった.約半年前から両上肢の指末梢側を中心として痺れ, 冷感が出現し始めた.Buerger病との診断にて星状神経節ブロック術を受けたが症状の改善は一時的で, 疼痛も増悪してきたため両側胸部交感神経節切除術を施行した。術直後より癖痛, 痺れ, 冷感の著しい改善を認め, 術後6週間を経た時点では痺れ, 冷感は全く認められず, 術前潰瘍化していた指の完全治癒を認めた.サーモグラフィーにても上肢末梢皮膚温の著明な上昇を認めた.レーザードップラー血流計を用いて指末梢側の組織間血流を計測したところ, 症状の改善とよく一致して血流の増加を認めた.このことからBuerger病における術前術後の組織間循環の評価に際してレーザードップラー血流計が有用であると考えられた.
著者
大路 樹生 井龍 康文 高柳 栄子 長谷川 精 Dornbos Stephen Q. Gonchigdorj Sersmaa
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

モンゴル西部ズーン・アツのエディアカラ系より藻類化石を発見し、その特徴的な保存状態に関して化学分析と考察を行った結果、バージェス頁岩タイプの堆積岩であることが判明した。またバヤンゴル渓谷のエディアカラ系より垂直構造を持つ生痕化石を発見した。これは海底下4㎝まで潜りU字状の形態をもった生痕で、おそらく前後に伸びた体制と深く底質を掘り込むことが可能な筋肉組織をもった左右相称動物によって形成されたもので、また捕食動物の存在も示唆される。このようにカンブリア紀より前に深く潜る生痕化石を報告し、左右相称動物と捕食動物の存在を示唆する成果が得られたことは、従来の学説を大きく変えるものとなった。
著者
小島 千枝子 大野 友久 長谷川 賢一 藤田 大輔
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.25-35, 2013-04-30 (Released:2020-04-30)
参考文献数
19

【目的】半固形物は一般に,舌を口蓋に押し付けることによる押しつぶしで処理される.しかし,健常者において,固形物のように咀嚼して食べる人が存在する.本研究では,口蓋の高さが半固形物の咀嚼パターンに影響している可能性を検討した.【対象】健常若年成人女性50 名.【方法】① 上顎の歯型模型を作製し,咬合平面から口蓋の底部までの高さを5 mm 間隔で計測した.② 最大舌圧を3 回測定し,平均値を分析の対象とした.③ ゼリー5 g 程度の自由嚥下を観察と問診で,咀嚼と押しつぶしパターンに分類した.④ 咀嚼パターンの9 名に対し,ソフトワックスによる模擬PAP(Palatal Augumentation Prosthesis)を口蓋の最も高い部分に貼り付け,摂食パターンの変化を観察し,舌圧を測定した.⑤ 3 名に対しVF を行い,模擬PAP 有無での嚥下動態を比較した.【結果と考察】統計分析により,押しつぶしと咀嚼に分ける口蓋の高さのカットオフ値が20 mm と算出された.口蓋の高い人は咀嚼が有意に多く,舌圧は有意に低かった.口蓋の高い9 名に模擬PAPを装着すると,咀嚼パターンから押しつぶしパターンに変わり,舌圧は平均5 kPa 上昇した.嚥下開始時の食塊の先端の位置は,咀嚼パターンでは喉頭蓋谷以降が83% を占めたが,押しつぶしパターンに変わると,口腔・咽頭上部領域が100% になり,喉頭蓋谷持続時間も短縮した.口蓋の高い人が半固形物を咀嚼する理由については,食塊を破砕しやすいことに加え,送り込みに関しても,半ば自動的に咽頭へ送り込まれる Stage Ⅱ Transport を用いたほうが容易であることによると推測された.嚥下障害者においても,口蓋の高い人はもともと半固形物を咀嚼していた可能性がある.スクリーニング段階で,口蓋の高さと咀嚼パターンを観察項目に加えることを提案したい.口蓋の高い人には,PAP 装着を選択することが有効と考えられた.
著者
長谷川 良平 竹原 繭子 山本 泰豊
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.221-231, 2021 (Released:2021-08-31)
参考文献数
33
被引用文献数
2

Our goal is to promote brain health through “bSports” (brain-Sports), a form of social sport competition using brain-machine interfaces. As the core technology, we have been developing an electroencephalography-based cognitive training system, “Neurotrainer,” using event-related potential as a virtual “mind switch” to control games. Here, we aimed to assess the performance of the Neurotrainer under competitive conditions between players. Fifteen pairs of healthy adults, including older people with tendency of degrading motor functions, were involved in a one-hour session of 4 games. Each player activated the mind switch to select one of eight pictograms to control his/her robot avatar for its desired action. All players regardless of age performed well at the level of about 85% success rate and reported that they had fun with our body-free technologies. These results suggest that bSports is an effective cognitive training and social activity that can be appreciated by people across all generations.
著者
長谷川 聡 長谷川 昌広
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.93-99, 2002-04-01 (Released:2019-07-01)

セルオートマトンによる球面上でのシミュレーションを目的に,球面にセルを配置する方法について検討し,実際に,メダカ初期発生卵の律動性収縮運動のシミュレーションに応用した.セルオートマトンによるシミュレーションの実現には,セルをできるだけ均等に配置することが必要であるが,球面上を均等にセルで覆う方法は単純ではない.ランダムにセルの位置を生成しボロノイ多角形により位置の最適化を図る方法の他,正多面体をもとにして幾何学的に整然とセルを配置する方法を検討した.メダカ卵の実例では,発生段階ごとの卵の極性(細胞の分布部位の偏りや球面上の胚体の位置など)を容易に再現するために幾何学的なセル配置を採用し,表面波の発生源がリズムのペースメーカーとして働くことなどの条件の下に,初期発生の各段階における波面伝搬をモデル化した.このモデルにより,発生が進んだ段階では収縮波が2点で発生し胚体の位置にも影響を受ける複雑な収縮運動の表面波の伝搬を再現することができた.この事例を通して,球面セルオートマトンの実現と応用の可能性について考察する.
著者
西田 淳志 山崎 修道 川上 憲人 長谷川 眞理子
出版者
公益財団法人東京都医学総合研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2016-06-30

西田らは、主体価値測定アプリを開発し、思春期大規模コホート研究に導入した。その結果、思春期のロールモデルの獲得・更新と自己制御性の発達が、自律性の成熟の基盤となり、さらにその自律性が基盤となって主体価値が形成されていくことを解明した。山崎らは、全英出生コホートデータを用い、思春期の主体価値と自己制御の発達の相互作用が高齢期のウェルビーイングを予測することを解明した。川上らは、国内外のコホートデータを用いた一連の研究から、思春期主体価値の2要因モデルを提唱した。