著者
永井 保夫 長谷川 隆三
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.808-821, 1995-04-15

制約充足は人工知能や画像理解の分野をはじめ、グラフの問題やパズルなどの探索間題、いわゆる組み合わせ問題を対象として研究がおこなわれている。制約充足問題の代表的な解法として、探索法や整合化手法を用いる方法が知られている。われわれは、このような探索主体のアプローチとは対照的な位置付けにある代数的アプローチについて諭じる。本アプローチでは、制約論理型言語の探索機構を利用した制約充足問題に対する研究とは異なり、制約論理型言語におけるブール制約評価系を用いて代数的に制約充足をおこなう。本論文では、ブール代数により制約充足問題を定式化し、得られたブール方程式の求解を制約論理型言語CALにおけるブール制約の評価とみなすことにより、解であるブーリアン・グレブナ基底を求める方法について述べる。さらに、ブール制約評価系を用いた制約充足問題の効率化手法として、1)ブーノレ制約の簡単化方式、2)制約ネットワークの構造情報に基づいた制約の評価順序の決定方式、について提案する。そして、本効率化手法の有効性を確認するために、ブール制約を用いて記述された問題に対して適用実験をおこなう。その結果、制約充足問題の解法として探索法がよく知られているが、それとは異なるあらたなブール代数評価系を用いた代数的な方法ならびに効率化手法が有効であることを示す。
著者
長谷川 大輔 嚴 先鏞 西堀 泰英
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.1281-1287, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1

CCOVID-19の世界的流行による移動需要の減少は,公共交通機関の財政悪化をもたらした.それによって,運行頻度や路線の縮小などのサービスレベルの低下が生じている.本研究では,住民の生活サービスを支える商業地区における,コロナ禍前後における公共交通のアクセシビリティの変化を明らかにし,流動人口の変化との関係を分析した.その結果,1.アクセシビリティの変化を到達圏面積と移動時間の変化によって定量的に把握し,大都市よりも地方都市の低下が顕著であること.2.時刻表の編成によって,運行頻度が減少してもアクセス性が低下しない地域があること.3.アクセシビリティの低下が顕著なのは,大都市では近隣商業集積地のみであるのに対し,地方都市では中心市街地と近隣商業地域の両方であることを示した.
著者
本所 然 長谷川 孔明 大島 直樹 岡田 美智男
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.203-218, 2023-08-25 (Released:2023-08-25)
参考文献数
19

In the field of Human-robot interaction (HRI), there have been various discussions on interaction and communication. Among them, anthropomorphism research has focused on familiar artifacts in daily life. In this study, we implemented a lamp-based Robject “Lumos” and verified the nature of Robject, through interaction experiments with “Lumos”. Finally, we discuss design theory of Robject.
著者
肥田木 遼 本所 然 長谷川 孔明 大島 直樹 岡田 美智男
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.231-240, 2023-08-25 (Released:2023-08-25)
参考文献数
18

The field of Human-Robot Interaction (HRI) has begun to consider “robjects”, interactive robotic artifacts the design of which is based on objects rather than living creatures. We build a microphone-shaped robject “Whimbo” that expresses the minimal hearership to a speaker and listens to a speaker’s one-sided speech. The minimal hearership does not use of verbal behavior, but is expressed through body movements, which are nonverbal behaviors. We believe that this minimal hearership allows users can disclose their concerns and frustrations, which are difficult to speak to a human. In this paper, we prepared three conditions of “Whimbo” with different expressions of the hearership as a robject listener and conducted the experiment to evaluate examinee’s impressions, for example, ease of speaking and interest in speaking.
著者
長谷川 恭子 吉田 歩 森藤 義孝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.25-30, 2015 (Released:2018-04-07)
参考文献数
7
被引用文献数
1

平成 20 年の小学校学習指導要領の改訂により,「月の満ち欠け」に関する内容が,小学校第 6 学年において再び取り扱われるようになった。吉田らは,天動説の立場から,小学校第 6 学年「月と太陽」で取り上げる「月の満ち欠け」について,月早見板の作成活動を取り入れた授業を構想し,実践を行った。本研究では,小学校第 6 学年の「月の満ち欠け」に関する効果的な学習指導法の検討を行うため,吉田らの授業を受けた子どもを対象に,月の満ち欠けに関わる理解がどのように維持され,あるいは崩壊しているのかを明らかにした。
著者
安藤 寿康 岡田 光弘 長谷川 寿一 大野 裕 平石 界 岡田 光弘 長谷川 寿一 大野 裕 平石 界
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

800組の青年・成人期の双生児を対象とした行動遺伝学的研究から、認知能力、パーソナリティなどの遺伝・環境構造の解明を行った。一般知能の遺伝的実在性、社会的適応に及ぼす内的環境適応の過程、パーソナリティの普遍的遺伝構造モデルの提案、自尊心感情の縦断的変化などが成果としてなされた。また双生児データのデータベース化、webによる双生児調査フレームワークの確立もなされた。
著者
安藤 寿康 内田 亮子 長谷川 寿一 大野 裕 神庭 重信
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

研究実施・運営上の主な実績は以下の通りである。(1)双生児レジストリの拡大:神奈川県、千葉県を中心に住民基本台帳から地域の双生児の悉皆的住所調査を行って住所リスト(レジストリ)を拡大し9000組のデータを得た。これにより、東京都その隣接県の主要地域をカバーする規模の大きな双生児研究を実施する基盤が整備されたと言える。(2)双生児サンプルの拡大と維持:上記のレジストリに基づいて調査への参加を呼びかけ、新たに約500組の青年期双生児の新サンプルを得、双生児被験者の数は800組を超した。またこれまでに協力してくれた双生児の親からも、養育態度、社会的態度に関する双生児の親からもデータを収集した。これにより、養育態度や社会的態度の家族内伝達に関する遺伝と環境の構造に関する研究が可能となった。(3)データの追加と収集:旧サンプルから新たに事象関連電位{作動記憶、情報処理測度、個別式知能検査(WAIS)のデータを、また新サンプルからは質問紙による卵性診断、と各種パーソナリティや摂食行動などに関するデータを入手した。これにより、より信頼性の高い遺伝率や遺伝と環境の構造のモデル探索が可能となった。これらの分析には構造方程式モデリングによるモデル適合を行った。(4)脳波解析プログラムの開発、脳波測定環境の改善:現在の測定状況に適合した特別の脳波解析プログラムを開発するとともに、正確な脳波測定のためにシールドルームを設置した。これは予定外の都合により脳波測定を行う実験室の場所の移動を余儀なくされたためであったが、結果的に実験条件の改善に寄与することとなった。
著者
鈴木 創 中村 陶子 長谷川 亮 形山 憲誠 住友 秀孝 小林 重雄 布村 眞季 小泉 博史
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.329-334, 2008-05-28 (Released:2008-11-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

53歳,女性.10年間の維持透析歴あり.偶然,高レニン・高アルドステロン血症を指摘され入院.血漿アルドステロン濃度は40,080pg/mLと著明高値を認めた.右副腎腫瘍を認め各種内分泌的検査結果より,腎細動脈硬化によるレニン上昇とアルドステロン産生副腎腺腫による原発性アルドステロン症の合併と診断した.右副腎摘除術施行.術後,血漿アルドステロン濃度は低下した.慢性腎不全患者においては,時に著明な高アルドステロン血症を呈する例が散見される.腎不全の病態においては,各種のアルドステロン分泌抑制因子が減弱することから適切なネガティブフィードバック機構が作用せず,より高値をとりやすいと考えた.また維持透析患者ではアルドステロン測定系に干渉する物質が存在すると思われ,その評価は慎重に行う必要がある.
著者
長谷川泉 [ほか] 共編
出版者
右文書院
巻号頁・発行日
1970
著者
神戸 幸司 小田 佳史 宮地 裕之 細野 ひかる 小栗 早智 森 祐哉 丸岡 由衣 土井 麻由美 黒川 大樹 浦濱 善倫 大石 秀人 長谷川 俊典
出版者
特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
雑誌
日本急性血液浄化学会雑誌 (ISSN:21851085)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.121-124, 2018-12-01 (Released:2022-01-18)
参考文献数
6

今回偶発性低体温に対して血液透析にて復温した3症例を経験した。症例は,70~80歳代の男性。重症度は,軽度から重篤であった。軽度症例に対して,体外復温法を施行しながら早期改善を目的として,血液透析にて2.0℃/hr上昇を目安に体内復温法を併用した。2時間目にて全身発汗,不整脈,意識消失などのショックを生じた。この症例を踏まえ最重症例では,急速な復温による心室細動惹起などのリスクを避けるため透析液温を34℃,血液流量80mL/minから開始し直腸温30℃,意識改善を目安に終了した。サーモグラフィーFLIR i3(フリアーシステムズ社)を用いて脱血・返血側回路温を測定し,的確に透析液温を変更しながら管理した。復温による副作用の予防に,復温速度と慎重な体温管理が必要と思われた。
著者
石田 奈那 長谷川 雅美 尾崎 真澄
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.91-102, 2020 (Released:2020-08-20)
参考文献数
19

東アジア原産のコウライギギTachysurus fulvidraco は2008 年に日本で初めて発見され, 2016 年に特定外来生物に指定された.本種による生態系や社会経済への影響が懸念されているが,その実態はいまだ明らかではない.そこで,本種の侵入が確認された印旛沼を対象に,その生息状況と水産業への影響について調査した.本研究では2018 年5 月から12 月に採捕された試料の生殖腺指数や体サイズの変動から,繁殖期が少なくとも5 月から7 月頃であると推定された.さらに漁業で混獲される個体の多くは,食品への混入リスクが高い当歳魚であることがわかった.また本種による水産業への被害の有無を明らかにするため,アンケート調査を行った.その結果,本種の鋭い棘条によって漁業者や水産加工業者が怪我をするほか,加工原料となる小魚に混入し仕分け作業が増加するといった被害が明らかになった.
著者
明石(長谷川) 愛子 高橋 義秋 森本 みずき 横田 恭子 森本 展年
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.15-20, 2023 (Released:2023-01-28)
参考文献数
23

症例は52歳男性.突然の異常行動と意識障害で救急搬送された.搬送直後から全身痙攣をきたし,ミダゾラムにて痙攣は停止するも健忘症状が遷延した.髄膜刺激徴候を認め,臨床経過と合わせ辺縁系脳炎と考えた.血清・髄液梅毒反応陽性の結果より脳炎の原因を神経梅毒と判断し,ペニシリンGで治療を開始した.頭部MRIでは両側側頭葉内側に左側優位のT2/FLAIR高信号病変を認め,ヘルペス脳炎の可能性も考慮し,髄液HSV-DNA陰性が判明するまでアシクロビルを併用し,ステロイドパルス療法も行った.経過とともに症状は改善し職場復帰した.辺縁系脳炎で発症する神経梅毒は稀だが治療方針を考える上で極めて重要な疾患である.
著者
杢谷 友香子 長谷川 順一 三方 彰喜 金 鏞国 川野 潔 根津 理一郎
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.2379-2383, 2011 (Released:2012-03-25)
参考文献数
20

膵十二指腸動脈瘤は稀な疾患であるが,近年の画像診断の進歩とともに発見される機会が増加している.われわれは膵十二指腸動脈瘤に対し腹腔鏡下手術を施行し,良好な経過を得た症例を経験したので報告する.症例は67歳,男性.腎嚢胞および高血圧症にて内科通院中にスクリーニングCTを施行したところ十二指腸近傍に径30mm大の動脈瘤が発見された.3D-CT血管撮影像にて胃十二指腸動脈の末梢側に動脈瘤が確認され,膵十二指腸動脈領域に発生した真性動脈瘤と診断した.治療は低侵襲性と長期成績とを考慮して腹腔鏡下動脈瘤切除術を行った.周術期合併症は認めなかった.術後2年5カ月現在,腹部症状を認めることなく外来で経過観察中である.仮性動脈瘤や破裂例を除く膵十二指腸動脈瘤に対して腹腔鏡下動脈瘤切除術は,安全で効果的な治療法の一選択肢として考えられた.
著者
常岡 有希子 長谷川 稜 吉田(田宮) 彩 佐原 利典 横田 和久 野原 千洋子 花岡 希 藤本 嗣人 中村(内山) ふくみ
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.8, pp.1656-1663, 2021-08-10 (Released:2022-08-10)
参考文献数
10

32歳,男性.夏季に近位筋優位の筋痛,筋力低下,握力低下,CK(creatine kinase)高値を認め,対症療法で自然軽快した.発症1週前,同居の娘に上気道症状があったとの病歴を聴取し,パレコウイルスA3型(Parechovirus A3:PeV-A3)感染症を疑った.咽頭ぬぐい液からPeV-A3遺伝子が検出され,PeV-A3感染による流行性筋痛症と確定診断した.本症は夏季に乳幼児のPeV-A3流行に伴って成人に発生する.特徴的な筋症状から本症を疑い,詳細な病歴,特にsick contactの聴取が重要である.
著者
小林 義昭 長谷川 隆志 佐藤 誠 鈴木 栄一 荒川 正昭
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.810-815, 1996-07-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
17

症例は47歳の女性. 平成2 (1990) 年から慢性肝疾患の診断で某院に通院していた. 平成5年4月に肝硬変と診断され, 中国産漢方薬「片仔廣」の内服を開始したところ, 5月頃より湿性咳嗽が出現, 増悪したため, 7月当科に入院した. 両背下部に fine crackle を聴取し, 胸部X線写真で両下肺野に網状影を認めた. 血液ガス分析ではA-aDO2の軽度開大がみられ, 呼吸機能検査では拘束性障害と拡散能の低下を認めた. 薬剤性肺炎を疑って, 片仔廣を中止して無治療で経過観察したところ, 自覚症状, 画像所見, 呼吸機能のいずれも改善した. また, 白血球遊走阻止試験では, 片仔廣による遅延型過敏反応が認められた. 以上の結果から, 片仔廣による薬剤性肺炎と診断した. 本症例は, 本邦における片仔廣による薬剤性肺炎の第1例と思われる.
著者
小池 博 太田 壮哉 長谷川 直樹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1138-1144, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
29
被引用文献数
1

既往研究において、中心市街地活性化を目的とし、商店街の利用度の低い住民等に対して商店街と関わる機会を提供するイベントのことを「非日常的行事」と定義し、福岡県飯塚市にキャンパスを有する3大学の学生へ飯塚市中心市街地商店街に対する意識(愛着,イメージ,満足度等)に関するアンケート調査を実施している。その結果を分析した結果、商店街への「関わり(大切だと思う/なにかしたいと思う)」を商店街側から促すような施策(「非日常的行事」)は商店街の満足度を下げることに繋がる可能性があることが判明した。本論文では、既往研究1)において課題として上げられていたその他の要因、特に、愛着の醸成に対して影響を持つと考えられる商店街からの居住地の距離が商店街に対する満足度に与える影響について分析を行った。その結果、(1)商店街への「選好」因子の満足度への正の影響度は、遠くに住む学生ほど大きくなる傾向、(2)商店街への「自分の居場所」因子の満足度への正の影響度は、近くに住む学生ほど大きくなる傾向、(3)商店街への「関わり」因子の満足度への負の影響度は、近くに住む学生ほど大きくなる傾向の3つの傾向が看取できた。