著者
関根 達人 榎森 進 菊池 勇夫 中村 和之 北野 信彦 深澤 百合子 谷川 章雄 藤澤 良祐 朽木 量 長谷川 成一 奈良 貴史
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

中世・近世の多様な考古資料と文献史料の両方から、津軽海峡・宗谷海峡を越えたヒトとモノの移動の実態を明らかにすることで、歴史上、「蝦夷地」と呼ばれた北海道・サハリン・千島地域へ和人がいつ、いかなる形で進出したかを解明した。その上で、「蝦夷地」が政治的・経済的に内国化されていくプロセスを詳らかにし、そうした和人や日本製品の蝦夷地進出が、アイヌ文化の形成と変容にどのような影響を与えたか考察を行った。
著者
関 明穂 鈴木 久雄 中塚 幹也
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

性同一性障害の人の体力・運動能力測定を前年度に引き続き実施した。これまでに測定に協力していただいたのは20歳代のトランス女性で、全員がホルモン療法を受けていた。測定を行った人の体格、体力・運動能力測定の結果は、同年代の男性・女性の基準値がオーバーラップしている範囲内であったが、測定数が少ないため、さらに例数を増やして検討を行う必要がある。また、性同一性障害・トランスジェンダーの人がマラソン大会に参加することについてのアンケート調査を、大会の主催者を対象として実施した。449件(回収率47%)の回答のうち、時間計測を行っていて男女別の種目があるとの回答があった395大会について分析した。これまでに性同一性障害・トランスジェンダーの人が参加したことがあるとの回答が14大会(3.6%)からあった。もし、性同一性障害・トランスジェンダーの人から「男女どちらのカテゴリーで参加可能か」との問い合わせがあった場合、どう回答するかを聞いたところ、「本人の申告する性別で参加してもらう」が約4割で最も多く、次いで「その人の状況に応じて判断する」「戸籍上の性別で参加してもらう」の順であった。また、性同一性障害・トランスジェンダーの人がマラソン大会に参加する場合に問題が生じる可能性があることとして、約8割が「更衣室」を、約6割が「トイレ」「上位入賞時の扱い」「男女どちらのカテゴリーで参加するか」と回答していた。マラソンは順位を争う競技スポーツの側面と、多くの市民ランナーが参加する健康スポーツの側面とを有している。マラソン大会の主催者は健康スポーツの観点から多くの人に本人の希望に添った形で参加してもらいたいとの思いがある一方で、競技スポーツの観点から競技の公平性を保つために、どのような条件で性同一性障害・トランスジェンダーの人の参加を認めるのがよいのかが課題であると考えているものと思われた。
著者
八井田 朱音 大塚 理子 山田 安咲紀 中野 和彦 松井 久美 関本 征史 稲葉 一穂 伊藤 彰英
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7.8, pp.341-350, 2020-07-05 (Released:2020-11-07)
参考文献数
25
被引用文献数
2

キレート固相抽出法を併用するICP-MS法により,多摩川の中流域から河口域までの15地点で採水した河川水試料を分析し,Sc,Y及びPmを除く14元素の希土類元素を定量した.分析結果をPAAS(Post-Archean Australian Average Shale)で規格化して希土類元素存在度パターン(希土パターン)を作成して考察したところ,多摩川では中流域の下水処理放流水合流地点から河口域までの試料で,Gdの存在度が隣接する他の希土類元素よりも明らかに高いGdの濃度異常が定常的に確認された.この濃度異常は,MRI造影剤として人体に投与されたGd化合物により引き起こされることが確認されており,Gd濃度を約20〜25年前の文献値と比べると,中流域と河口域の2地点について,それぞれ2〜4倍,3〜4倍の濃度であった.したがって近年,多摩川河川水においてはGd濃度が上昇していることが明らかになった.さらに,Gdの濃度異常について国内外の他の文献値と比較するために,Gdの濃度異常をGd異常度として数値化し,多摩川の潜在的人為汚染の現状を評価した.その結果,本研究で分析した多摩川中流域河川水のGd濃度及びGd異常度の最大値は,これまでの国内河川水の文献値と比較して最も高く,国外河川水のすべての報告値を含めて比較しても,ドイツのハベル川に次いで高いことが明らかになった.
著者
関口 靜雄 岡本 夏奈 阿部 美香
出版者
光葉会
雑誌
学苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
no.905, pp.82-93, 2016-03
著者
逸見 竜生 淵田 仁 井田 尚 川村 文重 小嶋 竜寿 隠岐 さや香 小関 武史 飯田 賢穂 井上 櫻子 寺田 元一
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

人文情報学分野の発達で古典籍デジタル化の急速に進んだ今世紀初頭より、『百科全書』本文批判研究は新たな段階に入っている。そのなかでも緻密な実証にもとづく本文批評校訂手法の確立は、多くがなお未解明である。本研究は、18世紀啓蒙思想、科学史、人文学領域の研究者が協力しあい、欧米・韓国の研究者の協力もえて、『百科全書』編集史のわが国における初の包括的な文献学的解明を目指す。具体的には、{1}典拠批判により本文資料層の〈生成〉を包括的に分析するとともに、{2}識別が可能となった異なる資料層の断片の、テクストにおける編集的な取り扱い方(〈転位〉)を多面的に追究し、{3}その編集作業の背後にある『百科全書』編集意図とその史的状況との関連を総合的に明らかにする。本研究ではこれまで、{1}『百科全書』項目本文の文献批判論、特に典拠となる先行文献資料の本文への累積的な取込の様態の組織的解明(初年度2017年開始)を経て、2018年度は特に{2}項目校編者による編集意図を再建し、源泉資料の再生ないし改修、転位の様態に新たな光をあて、各々の校編者の関心や意図を包括的に明らかにする編集史的考証を行った。そのために研究代表・分担者が月例で都内に集まり定期的な会合をもち、編集史観点からの調査についての研究ならびに報告会を行った。典拠調査も継続した。また国際的学際研究組織の構築の一環として、セミナー、ワークショップをフランス・韓国研究者と6回に渡って実施した。
著者
関川 清一 磯田 亜美 岩本 えりか 高橋 真 稲水 惇
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.381-385, 2009 (Released:2009-07-24)
参考文献数
19
被引用文献数
1

〔目的〕嚥下前後の呼吸コントロールが飲み込みやすさに与える影響を明らかにする。〔対象〕健常成人22名とした。〔方法〕自由嚥下および嚥下前後の4つの呼吸位相パターンでの嚥下中の舌骨上筋群活動量と時間,喉頭運動時間,および主観的飲み込みやすさを測定した。〔結果〕指示嚥下では,自由嚥下と比較して,喉頭運動時間には有意差が認められなかったが,舌骨上筋群筋活動量は有意に低値を示した。主観的飲み込みやすさは,指示嚥下と自由嚥下間に有意差が認められ,指示嚥下内での比較では嚥下前が呼気であると高値を示した。〔結語〕指示嚥下は,自由嚥下と比較すると,主観的には飲み込みにくくなるが,効率よく嚥下ができる可能性があり,その中で,嚥下前後に呼気コントロールを行うことが,主観的にも飲み込みやすいパターンになることが示唆された。
著者
阿江 数通 小池 関也 藤井 範久 阿江 通良 川村 卓 金堀 哲也
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
pp.16080, (Released:2017-09-01)
参考文献数
48
被引用文献数
1

The purpose of this study was to compare the kinematic characteristics of the upper body between baseball tee batting and pitched ball batting in order to gain basic knowledge for improvement of batting skill. Ten male collegiate baseball players (age: 20.7±1.1 yr; height: 1.75±0.05 m; body mass: 76.3±7.1 kg; athletic career: 12.7±2.7 yr) participated. They performed two kinds of batting: tee batting (TB) and machine-pitch batting (MB) using a pitching machine (approximate ball speed 33.3 m/s), which were set at middle ball height for the strike zone. Three-dimensional coordinate data were acquired with a motion capture system. Kinematic variables such as maximum bat-head speed, swing time, bat angle, joint angles of the upper limbs, and segment angle of the upper trunk were calculated. Differences between TB and MB were analyzed statistically using paired t-test (p<0.05.) The maximum bat-head speed was significantly greater in TB than in MB, but swing times divided into two phases showed no significant differences between MB and TB. In the first half of the swing, the bat inclination angle was significantly larger in MB than in TB. The joint angles of the barrel-side shoulder abduction, knob-side shoulder adduction and internal rotation were significantly larger in MB than in TB, and those of the barrel-side shoulder internal rotation and individual elbow pronations were significantly larger in TB than in MB. The clockwise rotational angle of the upper trunk was significantly larger in TB than in MB. In the last half of the swing, the joint angles of the barrel-side shoulder abduction, knob-side shoulder flexion and adduction were significantly larger in MB than in TB, and that of the knob-side elbow pronation was significantly larger in TB than in MB. The changes in upper body movement in MB affected the radius of rotation of the bat about the vertical axis to control the bat easily. The movements in the last half of the swing largely resulted from those in the first half of the swing, and did not contribute to timing adjustment. These results indicate that the initial configuration of the bat and upper limbs, and movements at the beginning of the bat swing contribute to the timing adjustment of the bat for a pitched ball. The results of the present study suggest that it could be useful to pay attention to the movement of the bat and upper body in the first half of the swing as TB practice in order to improve timing adjustment.
著者
関根 康正
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

4年間にわたった本研究では、それぞれ特徴的な場所を調査でき収穫は大きく、当初予想していなかった問題視角も明らかにすることができた。以下に箇条書きの形で、総括的論点をまとめておきたい。1 共同体の解体と個人化の影響:ケガレ観念は深く共同体との存在に根ざしていることが改めて明らかになり、それによって、個人レベルになっても解体しないケガレ観念と共同体の解体とともに希薄になるケガレ観念とがあることが明白になった。共同性において支えられてきた生活・生産の危機は、今日のように近代化し個人化した生活・生産スタイルになると、祈祷師や「オガミヤサン」に不漁の原因などの個人の身の上に起こった不幸・苦悩の解決を求めて足を運ぷという個人処理の方向に進むことになり、かえって伝統民俗文化の一部の捻れた形での(商業主義の入り込んだ)再活性化を呈することになる。2 水平的共同性と垂直的共同性の区別と絡み合い:社会的階層性や社会的差別につながる「浄・不浄」イデオロギーは、それぞれの地域でそのイデオロギー内容や歴史的な絡み合いの経緯を異にしながらも、支配イデオロギーとしての位置を占めてきた。壱岐・対馬では天童信仰という神道が、奈良では仏教を背景にした王権が、沖縄では公儀のノロ制度を持った王権や後の薩摩支配以降のその変容と仏教の流入が、そうした階層化をもたらすイデオロギーとして「浄・不浄」観念を浸透させてきた。ここで丁寧に現実を観察し分析しなければならない大事な点は、こうした支配イデオロギーの下に組み込まれた村落地縁共同体や血縁共同体が、支配の具になった「不浄」としてケガレ観念で完全に下まで塗り替えられたのかという点である。結論的には、列島のどこにおいても水平的な共同性とでも呼ぶべき次元が、垂直的な「浄・不浄」イデオロギーに貫かれた国家共同体の権力システムには完全には繰り込まれない、生活の共同性を維持しそれが生きられてきたとうことである。これは基層文化として連綿とあったものというより、支配イデオロギーの抑圧空間の中で庶民の反応として再生産、再創造されながら存在してきたものと見なすことの方は妥当であろう。関係論で考える必要がある。3 近代化・都市化:火葬の浸透の決定的影響:火葬は言うまでもなく決定的な葬送民俗文化の変更を引き起こしている。本土における土葬から火葬への変化は、葬儀の近代化・都市化を意味し、それは単に葬送方法が変わっただけでなく、村落社会の解体であり、共同性の解体を意味し、資本主義的な外部経済、形式的な(パッケージ化された)葬式仏教の受容を招くのである。こうなると、葬儀社主導の仏教イデオロギーが浸透してきて、ケガレ観念も「不浄」観念に引き寄せられて、それまでの「ケガレ」のダイナミズムが失われていくことが予想できる。とはいえ、問題は残っている。「不浄」理解だけでは対応できない、深みのある機微に富んだケガレ観念の考察を必要とした人生の危機問題は未解決のまま残されているので、人々は「自分探し」という自己肯定物語を求めて彷徨い歩き続けることになっている。その亀裂が深刻化している。この研究プロジェクトはこの点に関心を持って組まれた。民俗文化の喪失はどのように代替されていくのだろうか。ケガレ観念をこの現代においてこそ改めて問うことの意義がそこにある。
著者
牧 郁子 関口 由香 山田 幸恵 根建 金男
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.298-307, 2003-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
31
被引用文献数
3 1

本研究は, 学習性無力感 (Seligman & Maier, 1967) における随伴性認知に改めて着目し, 新たな無気力感のメカニズムを検討することを目的とした。そこで, 近年問題視されている中学生の無気力感の改善を鑑みて, 以下の研究を行った。研究1では, 随伴性認知の測定尺度「中学生版・主観的随伴経験尺度 (PECS)」の標準化を試みた。その結果, 2因子 (随伴経験・非随伴経験) からなる尺度が作成され, 信頼性・妥当性が実証された。研究2では, まず不登校の中学生の無気力感と随伴性認知との関係を検討するために, PECSを不登群・登校群それぞれに実施したところ, 差が認められなかった。このことから, 登校生徒も不登校生徒と同程度に, 随伴経験の欠如や非随伴経験の多さを有している可能性が示唆された。この結果を受けて, 登校している中学生の無気力感と随伴性認知との関連を検討するため, 担任教師の行動評定によって群分けされた無気力感傾向高群・低群生徒におけるPECSの得点を分析した。その結果, 随伴経験因子において差が認められ, 中学生の無気力感は非随伴経験の多さよりも随伴経験の少なさに起因する可能性があることが示された。
著者
榮 昭博 関崎 悦子
出版者
桐生短期大学
雑誌
桐生短期大学紀要 (ISSN:13424076)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.13-17, 2005-12-06

茶の抗肥満効果を検討するため,鶏膵臓から租酵素を調製し,これを用いてリパーゼ活性に及ぼす茶の影響を調べた.その結果,次のことがわかった.1.緑茶,ジャスミン茶は顕著にリパーゼ活性を阻害した(p<0.001).2.ウーロン茶はリパーゼ活性を阻害した(p<0.01).3.プアール茶はリパーゼ活性を高めた(186%).4.緑茶よるリパーゼ活性低下には濃度依存性が認められた.5.緑茶よるリパーゼ活性低下はショ糖,でんぷんの添加では影響を受けなかったが,卵アルブミンの添加によりリパーゼ活性低下が抑制された.また,カゼインの添加ではリパーゼ活性が逆に増加した.6.にがりは顕著にリパーゼ活性を阻害し(p<0.001),そのリパーゼ活性低下には濃度依存性が認められた.
著者
落合 敏秋 臼井 章夫 松本 清司 関田 清司 内藤 克司 川崎 靖 降矢 強 戸部 満寿夫
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.605-616_1, 1985-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

緑青の主成分とされる塩基性炭酸銅の急性及び慢性経口毒性試験をSlc: Wistarラットを用いて行った. 急性毒性試験で, LD50値は雄: 1350mg/kg, 雌: 1495mg/kgであった. 慢性試験では0, 70, 220, 670及び2000ppm塩基性炭酸銅添加固型飼料を12か月間投与した. 2000ppm群で体重増加抑制 (雄, 雌), 血清GOT,GPT, LDHの上昇が実験期間を通して観察された. 組織学的には, 雌雄2000ppm群で肝臓の単細胞壊死の発現数が有意に増加した. 以上, 塩基性炭酸銅の2000ppmはラットに肝臓障害を起こすものと結論された.