著者
阿部 正太朗 藤井 聡
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.37-45, 2015
被引用文献数
1

自転車の放置駐輪は、社会的ジレンマ構造を内包し大きな社会問題となっている。京都市では放置駐輪に対して、駐輪場増設や撤去取締りなどに力を入れている。また、放置駐輪への警告看板を市内のいたるところに設置しているが、その内容は放置自転車の撤去に関する記載に留まり、看板自体も老朽化、陳腐化している。本研究では、心理学などの知見を援用しつつ、放置駐輪の抑制を目的としたポスターを設計した。そして、設計したポスターを、実際に放置駐輪多発地点に設置し、その効果の検証を試みた。その結果、自転車放置者が自転車の放置をためらう意識の活性化等が確認され、ポスター設置による放置駐輪抑制効果が示された。
著者
阿部 尚之 島田 敬士 長原 一 谷口 倫一郎
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.30, pp.1-6, 2011-08-29

Web の集合知を活用し,未知の画像に対してその撮影内容に関するラベル付けを行う画像アノテーションという研究が盛んに行われている.従来の画像アノテーションは,収集した全ての訓練データセットから画像特徴とラベル特徴の関係を学習するものが多かった.しかし,それらのデータには入力である未知画像とまったく関係のない不要なデータも数多く含まれている.そこで本稿では,未知画像に付与されている位置情報と画像構図を利用して,そのような不要なデータを排除することで,画像アノテーションの精度を向上させる手法を提案する.実験では,提案手法と従来手法の比較実験を 100 シーンで行い,その得られた結果について報告をする.In recent years, many researchers use collective intelligence of the web to study an image annotation problem. The image annotation problem is to assign a proper label into an unknown image. In the training process, many conventional methods use relationship between image features and label features extracted from all collective training data set. However, the training data set includes much unrelated data to the unknown image. Therefore, we use the unknown image's geo information andcomp osition to eliminate unnecessary data. We report the result that we make a comparison between proposed methodan dt he conventional method.
著者
花房 規男 阿部 雅紀 常喜 信彦 星野 純一 和田 篤志 菊地 勘 後藤 俊介 小川 哲也 神田 英一郎 谷口 正智 中井 滋 長沼 俊秀 長谷川 毅 三浦 健一郎 武本 佳昭
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.665-723, 2022 (Released:2022-12-27)
参考文献数
22
被引用文献数
10

日本透析医学会統計調査(JSDT Renal Data Registry:JRDR)の2021年末時点における年次調査は,4,508施設を対象に実施され,施設調査票に関しては4,454施設(98.8%),患者調査票に関しては4,251施設(94.3%)のほぼ例年通りの回答を得た.わが国の透析患者数は年々増加し,2021年末の施設調査結果による透析患者数は349,700人に達し,人口百万人あたりの患者数は2,786人であった.患者調査結果による平均年齢は69.67歳で,最も多い原疾患は糖尿病性腎症(39.6%),次いで慢性糸球体腎炎(24.6%),第3位は腎硬化症であった(12.8%). 2021年の施設調査結果による透析導入患者数は40,511人であり,2020年から233人減少した.患者調査結果による透析導入患者の平均年齢は71.09歳であり,原疾患では糖尿病性腎症が最も多く40.2%で,昨年より0.5ポイント少なかった.第2位は腎硬化症(18.2%)で,昨年同様慢性糸球体腎炎(14.2%)を上回った.2021年の施設調査結果による年間死亡患者数は36,156人であり,年間粗死亡率は10.4%であった.主要死因は心不全(22.4%),感染症(22.0%),悪性腫瘍(8.4%)の順で,昨年とほぼ同じ比率であった.2012年以降,血液透析濾過(HDF)患者数は急増しており2021年末の施設調査票による患者数は176,601人で,維持透析患者全体の50.5%を占めた.腹膜透析(PD)患者数は10,501人であり2017年から増加傾向にある.腹膜透析患者のうち20.3%は血液透析(HD)やHDF との併用療法であり,この比率はほぼ一定していた.2021年末の在宅HD患者数は748人であり,2020年末から3人減少した.2021年は,施設調査として災害対策調査,また本年も引き続き,新型コロナウイルス感染症,悪性腫瘍,生体腎移植による腎提供の既往が調査された.これらのデータはそれぞれの疾患・患者に関する基礎資料となり,その結果から,より治療効果の高い日常臨床パターンの提案が期待される.
著者
阿部 重夫
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.125, no.1, pp.1-6, 2005 (Released:2005-04-01)
参考文献数
9

It is wrong to consider that the more difficult the papers are, the more valuable. We should write a paper in a top-down manner, starting from the central idea that explains the originality of the paper down to the details.In the abstract, we should state the originality, the new approach, and the contribution of the paper. In the introduction, we should explain the problems of the previous work citing references and explain what is the originality of the paper and how to solve the problems in a new way. In the body of the paper, we should discuss the idea more elaborately, if possible, using figures and then move to the details. In the conclusions, we should state the method and contribution clearly.In presenting a paper, we should explain the idea by figures not resorting to mathematical equations.
著者
阿部 竜也 増岡 淳 中原 由紀子 伊藤 寛
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

極めて予後不良な脳幹腫瘍DIPGの原因遺伝子としてH3F3A遺伝子のK27M変異が分かってきており、精力的に研究が行われ、さまざまな遺伝子異常、エピゲノム異常が報告されている。我々が樹立したK27M異常を有する幹細胞株では、既存の治療法では全く歯が立たず治療抵抗性であった。この腫瘍に対して、近年ドーパミンD2受容体(DRD2)拮抗薬であるONC201が注目を集めており我々も解析を行っている。本研究ではこのような幹細胞株に対して、その耐性のメカニズムを解析するとともに、H3K27M変異に関連する作用機序の異なるいくつかの分子標的薬を併用し、これまでにない新しい有効な治療法の開発を試みる。
著者
阿部 晴彦
出版者
日本歯内療法協会
雑誌
日本歯内療法協会雑誌 (ISSN:03895238)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.67-69, 1982 (Released:2020-04-10)
参考文献数
4
著者
古川 聡 鈴木 豪 緒方 克彦 大島 博 村井 正 村上 敬司 鈴木 健之 阿部 高志 佐藤 勝
出版者
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-06-29

本研究では、同意を得た被験者(一度に8人)に2週間、JAXAの閉鎖環境適応訓練設備内に居住してもらい、閉鎖環境に加え密なスケジュールでの模擬科学実験などの負荷を宇宙飛行想定で加え、それらの前中後における唾液や血液サンプルの変化を調べ、閉鎖ストレスによるダメージを客観的に評価できる新規ストレスマーカーを探索した。閉鎖設備実験モデルに特徴的な血中遺伝子発現パターンの変化を明らかにし、また閉鎖滞在に伴うストレスを身体活動量低下とそれ以外の要因による影響に分けて評価することを可能にするストレスマーカー遺伝子候補を絞り込むことができた。
著者
高村 優作 大松 聡子 今西 麻帆 田中 幸平 万治 淳史 生野 公貴 加辺 憲人 富永 孝紀 阿部 浩明 森岡 周 河島 則天
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0985, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】近年の研究成果の蓄積により,脳卒中後に生じる半側空間無視(Unilateral spatial neglect,以下,USN)の病態が,視覚情報処理プロセスにおける受動的注意の停滞を基盤として生じていることが明らかにされてきた。BIT行動性無視検査(Behavioral inattention test,以下,BIT)は,包括的かつ詳細な無視症状の把握が可能である一方で,能動的注意による課題実施の配分が多く,上記の受動的注意の要素を把握・評価することに困難がある。本研究では,PCディスプレイ上に配置されたオブジェクトを,①能動的(任意順序の選択),②受動的(点滅による反応選択)に選択する課題を作成し,双方の成績の対比的評価から無視症状の特徴を捉えるとともに,受動課題における選択反応時間の空間分布特性から無視症状と注意障害の関連性を捉える新たな評価方法の考案を試みた。【方法】発症後180日以内の右半球損傷患者66名を対象とし,BIT通常検査のカットオフ値(131点)を基準にUSN群(n=32),USNのない右半球損傷RHD群(n=34)の2群に分類した。対象者はPCディスプレイ上に配置した縦7×横5行,計35個のオブジェクトに右示指にてタッチし選択する課題を実施した。能動的選択課題として,任意順序によるオブジェクト選択を実施し,非選択数(count of miss-selection:cMS)を能動的注意機能の評価変数として用いた。受動的選択課題として,ランダムな順序で点滅するオブジェクトに対する選択反応時間(RT)を計測し,平均反応時間(RTmean)と左右比(L/Rratio)を,それぞれ全般的注意機能および受動的注意機能の評価変数として用いた。【結果】cMSおよびL/RratioはRHD群と比較してUSN群で有意に高値を示した。一方で,両変数間には相関関係は認められず,USN群における両変数の分布特性をみると,①cMSが少ないにも関わらずL/Rratioが大きい症例,②cMSが多いにも関わらずL/Rratioが小さい症例などが特徴的に分布していることが明らかとなった。①に該当する症例は,代償戦略により能動探索が可能であるが,受動課題では無視の残存が明確となるケースと考えられる。また,RHD群にはBIT通常検査のカットオフ値を上回るものの,無視症状が残存している症例が複数含まれているが,これら症例群は,上記①と同様にcMSは他のRHD群と同様に少ない一方で,L/Rratioが大きい傾向を認めた。②に該当する症例ではcMSの増加に加えてRTmeanの遅延を認め,無視症状に加えて全般性注意障害の影響が随伴しているものと考えられた。【結論】今回考案した評価方法では,能動的/受動的選択課題の対比的評価から,無視症状の特性把握が可能であり,加えて受動課題で得られる反応時間の空間分布の結果から,全般性注意機能と無視症状の関係性を捉えることが可能性であった。
著者
阿部 智行 宮川 伸 中村 義一
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.147, no.6, pp.362-367, 2016 (Released:2016-06-11)
参考文献数
37

アプタマーとは,複雑な三次元立体構造をとることで標的分子に結合する一本鎖のRNAまたはDNA分子である.標的となる分子は,タンパク質,ペプチド,炭水化物,脂質,低分子化合物,金属イオンなど多岐にわたり,その高い結合力と特異性から,医薬品や診断薬,分離剤などさまざまな分野で実用化されている.医薬品としては,世界で初めてのアプタマー医薬であるMacugen®が滲出型加齢黄斑変性症治療薬として2004年にアメリカで承認され,いくつかのアプタマーが臨床段階にある.また,ドラッグデリバリーシステム(DDS)のツールとしての研究も進んでおり,医薬品分野におけるアプタマーの重要性がますます高まることが予想される.そこで本稿では,医薬品としてのアプタマーの取得方法,最適化について概説し,臨床試験中のアプタマー医薬の最新の動向について紹介する.
著者
江頭 和道 鈴木 尊志 阿部 和彦
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.65-70, 1986-10-15 (Released:2010-10-13)
参考文献数
10
被引用文献数
3

Seasonal variation of suicidal deaths in Japan for 1900-41 and 1947-82 was studied. As suicide seasonality index, we used the sum of deviations of the monthly suicidal rates from the annual average, which was normalized to 100. The long-term trend of the suicide seasonality was negatively correlated to the logarithm of the per capita GNP. The correlation coefficient between them was -0.83 for men and -0.88 for women, respectively (p<0.001) . Elimination of the effect of GNP on suicide seasonality by using the regression line of the latter on the former lead to the “corrected” suicide seasonality. The short-term fluctuations of five-year moving averages of the corrected suicide seasonality resembled to those of annual hours of sunshine. The correlation coefficient between them was 0.69 for men and 0.64 for women, respectively (p< 0.001) . The corrected suicide seasonality was similarly correlated to the sunshine seasonality, and the correlation coefficient between them (each, five-year moving averages) was 0.51 for men and 0.41 for women, respectively (p<0.001) . Although these values are smaller than those obtained for the correlation of the corrected suicide seasonality to the annual hours of sunshine, the differences are not significant. One possible explanation is that annual hours of sunshine and/or sunshine seasonality influence the suicide seasonality and that the two sunshine factors are proportional to each other. With a moving average period more than three years, we obtained significant correlation coefficient between the corrected suicide seasonality and annual hours of sunshine. We discussed the limitation of this study and proposed future studies on the association of suicide with sunshine.
著者
阿部 隆 磯田 弦 山科 絢香
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.130, no.2, pp.213-238, 2021-04-25 (Released:2021-05-19)
参考文献数
18
被引用文献数
7

In this study, evacuees' rosters and other relevant disaster records are used to geographically clarify the relationship between people's evacuation behavior following the Great East Japan Earthquake, social and demographic characteristics of evacuees, and housing damage caused by tsunami following the earthquake in Yamada Town, Iwate Prefecture. The trend of shelter entry and exit is analyzed on the basis of three scales. The first scale is the municipality unit; trends in the numbers of people entering shelters in Yamada Town are compared to those in other affected municipalities on the coast in Iwate Prefecture and regional differences in these trends are clarified. The second scale is the district or small area unit; regional differences in rates of entry to shelters in Yamada Town and factors affecting these differences are explained geographically. The third scale is the shelter level; regional differences in rates of entry to school shelters in small areas are analyzed in relation to evacuees at two elementary schools. Furthermore, regarding evacuees in a school shelter where a daily list is available, a logistic regression analysis is performed to explain evacuees' decisions on whether or not to stay in the shelter on the basis of variables such as gender, age, and family situation. The regression analysis for the first scale reveals that the decreasing trend in the number of evacuees in shelters in Yamada Town has been slow compared to those in other affected coastal municipalities. The study reveals that progress in the construction of emergency temporary housing is the factor with the greatest impact on an evacuee's decision to leave a shelter. Regarding the second scale, the geographical distribution of the number of shelter residents in Yamada Town is analyzed on the basis of the scale of a district and a small area. The analysis reveals that regional differences in shelter entry rate reflect social network, topographical features, and developmental process of the settlement. Regarding the third scale, the relationship between distance from the shelter and entry rate of affected households is analyzed by small area using the rosters of Yamada Minami Elementary School and Orikasa Elementary School evacuation shelters. A significant correlation is found between average road distance from Yamada Minami Elementary School and affected household entry rate, and it is observed that many residents were from areas located within 1 km from the school. On the other hand, no significant correlation is found between average road distance from Orikasa Elementary school and affected household entry rate. Regarding the Orikasa Elementary School shelter, almost daily entry and exit records could be obtained for the period from April 9, 2011 to August 3, 2011. Using this record, age and family composition of withdrawers during this period could be identified. A logistic regression analysis was performed with gender, age group, marital status, and family type as explanatory variables. With respect to the influence of a resident's age and family structure on his or her exit time, it is found that the withdrawal rate of residents aged 75 years or more was high until the beginning of May. Households that stayed in the shelter with 0 to 18-year-old juveniles tended to find it better to stay in the shelter until their children's schools reopened. After resumption of schools, at the beginning of April; however, they tended to leave in higher numbers. The study concludes that, although schools should support evacuees during the earlier period of an evacuation as large-scale evacuation shelters, various types of shelter should be developed and reorganized to suit the evacuees' needs in case the evacuation is extended for a long period.
著者
寺中 さやか 阿部 克昭 静野 健一 寺井 勝
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.94, no.3, pp.310-316, 2020-05-20 (Released:2020-12-03)
参考文献数
15

2009 年から2018 年までの10 年間に当院小児科において有熱性尿路感染症の診断で入院した患者320 名・339 例の尿より分離された腸内細菌科細菌341 株を対象とし抗菌薬感受性を調査した.入院時の年齢は日齢11~14 歳9 カ月(中央値:日齢174),男児195 例,女児144 例であった.菌株はEscherichia coli が297 株(87.1%)で大半を占めた.extended-spectrum β-lactamase(ESBL)産生菌は16 株(4.7%)であり,すべてE. coli であった.CTX 耐性率は2014 年までは2~4% と低値で安定していたが,2015 年以降耐性株が増加し,直近2 年は10% 以上を占めた.LVFX 耐性率も近年上昇傾向をみとめ2018 年は13% を超えた.一方でCMZ は感性率90% 以上を保っていた.TAZ/PIPC の感性率は2010 年以降95% 以上,MEPM の感性率は全期間100% であった. 小児における腸内細菌科細菌の抗菌薬耐性化は現時点では成人と比較すると深刻ではないといえるが,ESBL 産生菌やAmpC 過剰産生菌など多剤耐性菌の増加傾向をみとめており,今後も継続して抗菌薬感受性の推移を監視することが必要と考えられた.
著者
阿部 芳子 市川 朝子 下村 道子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.461-467, 2006 (Released:2007-10-12)
参考文献数
12
被引用文献数
5

中華麺の独特のテクスチャー発現に対する, かん水の作用を調べるために, 強力粉に1%の粉末かん水を含む45%のかん水を加えて麺を作製し, かん水を加えない水麺と比較して, 次の結果を得た.1) かん水麺と水麺では, ゆで加熱中の水分量および重量には, ほとんど差がみられなかったが, 食味評価ではかん水麺は水麺よりも硬く, 外観 (麺表面) がなめらかでないと判断された. また, 破断強度解析において, 加熱7分間まで, かん水麺は水麺より破断強度の最大荷重値が高く, 破断応力曲線の解析では破断開始値および歪率60%までの応力変化率が高かったことから表面近くが硬い麺であると判断された.2) 糊化度はかん水麺, 水麺ともに内部より外部で高値を示した. かん水麺の糊化度は外部, 内部ともに水麺より低値を示した.3) 異なるpHの緩衝液で湿麩を撹拌するとpH2からpH3, pH9からpH11でたんぱく質が溶出することが示され, また, かん水中では高い溶出率を示した麺の組織観察において, 水麺のグルテンが線状にみえるのに対し, かん水麺のグルテンは薄く広がっているのがPAS染色で確認できた.
著者
阿部 広和 岡田 洋一 花町 芽生 平良 勝章 栗原 淳
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12210, (Released:2022-05-26)
参考文献数
21

【目的】近年,感覚運動経験を重視する発達理論に基づいたアプローチへの変化が求められているが,本邦では定義がまだ明確ではない。今回,ダウン症候群を併存した脳性麻痺痙直型両側性麻痺GMFCSレベルIVの男児に対して選択的脊髄後根切断術(以下,SDR)後に感覚運動経験アプローチを行ったことで,両親の目標設定項目と粗大運動能力の改善を認めたため報告する。【症例と経過】6歳2ヶ月時にSDRを行い,その後,子どもにとって意味のある課題(遊び)で,探索に焦点を当てた能動的な問題解決,試行錯誤学習をサポートする,感覚運動経験アプローチを行った。術前の2点間では変化は見られなかったが,術後2~6ヶ月で目標設定項目と粗大運動能力で改善がみられた。また,遊び方にも変化がみられた。【結論】SDR後の感覚運動経験アプローチが,両親の目標と粗大運動能力の改善につながったと考える。