著者
高橋 行継 佐藤 泰史 前原 宏 阿部 邑美
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.253-260, 2004-09-05
被引用文献数
10

群馬県では水稲の出芽方法として無加温積み重ね出芽法,その後の育苗にプール育苗法が広く用いられている.この出芽方法は,播種作業から出芽後の育苗箱展開までに育苗箱の移動が数回必要となり,多くの労力が必要である.栃木県で開発された平置き出芽法は,播種作業を育苗場所で実施し,積み重ねを行わずにそのまま出芽,育苗する方法である.このため大幅な労力軽減が可能である.しかし,本技術は主として栃木県における4月播種のハウス内育苗条件で開発されたものであり,プール育苗もほとんど取り入れられていない.そこで,群馬県での水稲の普通期栽培(6月中下旬移植)の露地プール育苗における平置き出芽法の適用性について検討を行った.平置き出芽法における出芽時の被覆資材について7種類の材料を供試した.標準の無加温積み重ね出芽法に対し,いずれの資材も0〜3日程度の遅れで出芽させることが可能であった.無被覆では夜間の低温と覆土乾燥のため出芽が遅れやすく,被覆資材が必要であった.供試した7資材のうち,生育むらや高温障害,覆土の乾燥が少なく,緑化作業の省略も可能な3資材(パスライト,健苗シート,ダイオラッセル1600黒)が優れていることが明らかとなった.草丈の伸長や葉齢の進展がみられる場合もあるが,育苗完了時の生育は標準に対してほぼ同等で,実用可能であると判断した.
著者
阿部 清司 アベ キヨシ Abe Kiyoshi
出版者
千葉大学経済学会
雑誌
経済研究 (ISSN:09127216)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.375-412, 2010-09

Argentina is blessed with natural and human resources, but is beset with so many indigenous problems, being divided politically and stagnant economically. Why? Mainly because of the distinct nationality called Viveza Criolla. Almost 200 years have passed since its independence in 1816, but there is still no real national unity in Argentina. People dislike cooperation. Their civic consciousness is low. Corruption is still rampant. Schools are falling apart due to the low moral level. No civic education is effectively offered at school. The nation is never under the rule of law. Politics precedes, and interferes with, all others. There is no real division of the three powers according to the National Constitution. The result is infamous corruption of justice. Back in 1925 said Albert Einstein,"no nation could develop, with such widespread disorders in the society, even if blessed with abundant resources."His remarks still remain valid today. All the disorders of Argentina are fundamentally due to the Viveza Criolla, the sly and underhanded practice nurtured traditionally inside the country. The roots of the Argentine decline reflect the lack of the civic consciousness both of the government and of the people, and the lack of national goal or vision on how to survive in the age of globalization, all being related more or less to the Viveza Criolla. The enormous disorders of the society are typified by the corruption of tribunals (especially that of the Supreme Court). The corrupt judicial system paralyzes the morality of the people, which reflects the tragic distrust of the government by the people. No wonder, Argentina fails to develop fully into a modern democratic country.欧文抄録: pp.297-298
著者
大井 恭子 田中 真理 成田 真澄 阿部 真理子 保田 幸子 板津 木綿子 ホーン ベバリー 小林 雄一郎
出版者
清泉女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は日本、韓国、台湾、香港という東アジアに位置する4か国がする英語ライティング教育に関して、アンケート調査によって実態を浮き彫りにし、そして互いが一堂に会することで実態を比較しあい、問題点などを共有し、今後の展望などに関して国際シンポジウムとして意見交換ができたことが一番の成果と言える。さらに、学習者コーパスを精査することにより、4か国・地域の学生の書く英語の諸相が明らかにされた。最終成果物として『EFL Writing in East Asia: Practice, Perception and Perspectives』を刊行し、多くの方と共有できたことで、この分野の進展につながった。
著者
阿部 陽介 光島 徹 永谷 京平 井熊 仁 南原 好和
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.836-845, 1995-05-05
被引用文献数
20 26

case-control studyの手法を用いて胃癌死亡減少に対する胃癌集団検診(胃集検)の効果の疫学的評価および胃集検の効率化の検討を行い,重点的に受診すべき対象年齢と適正な受診間隔の設定を行なった.対象は基本集団を千葉県安房11市町村の地域住民(人口約16万人)とし,caseを胃癌死亡者男527,女293例,controlは性,年齢±3年,住居地区をマッチさせた一般住民男1552,女861例である.これを胃集検受診者と未受診者に分類し,受診者の胃癌死亡の比較危険度(RR)は未受診者を1.0とすると,男0.417,女0.480に低下した.性年齢別では男40~74歳,女50~69歳,受診間隔では前回受診から最長3年間はRRの有意の低下が認められた.
著者
徳田 清仁 中林 昭一 菊池 典恭 畑本 浩伸 浅野 欽也 金子 富 阿部 智
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.440, pp.83-88, 2010-02-24
被引用文献数
1

高度道路交通システム(Intelligent Transport Systems: ITS)の開発目標の一つに先進安全自動車(Advanced Safety Vehicle: ASV)がある.本論文では,車群通信技術をベースにITS用に割り当てられた複数の無線周波数の有効利用を図るマルチバンド車々間通信(Multi-Band Inter Group & Inter Vehicle Communications: MBIG-IVC)システムの可能性検討結果について述べる.MBIG-IVCシステムは,出会い頭衝突防止を中心としたASVで検討中の安全運転支援アプリケーションに対して,サービスエリア拡張とシステム容量増大に有効であることが明らかになった.
著者
佐藤 徳雄 渋谷 暁一 三枝 正彦 阿部 篤郎
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.408-413, 1993-09-05
被引用文献数
5

速効性の硫安を基肥および追肥に用いる慣行栽培を対照区として, 肥効調節型被覆尿素を用いた水稲 (品種チヨホナミ) の全量基肥不耕起栽培 (LP区) を試み, 次の結果を得た. 1) LP区の水稲は生育のごく初期に対照区よりやや劣るものの, 6月初旬以降は草丈, 葉色, 茎数および乾物重のいずれにおいても対照区より優った. 2) 対照区では, 湛水直後に急激な土壌無機態窒素の消失が起こり, 稲体は窒素欠乏状態 (クロロシス) を追肥時期まで示した. これに対してLP区の水稲は, 栽培期間中正常な生育を示した. 3) LP区の玄米収量は, 登熟期が高温・多照で経過した1990年が57.1kg/a, 低温・寡照で経過した1991年が51.2kg/aで, 対照区よりもそれぞれ55%および33%優った. 対照区の低収量の原因は, 施肥窒素が湛水とともに消失し, 主としてm^2当たり穂数が少なくなり, 籾数の確保が不充分であったためと考えられる. 4) LP区の窒素吸収量は, 対照区に比べて分げつ盛期以降は著しく優り, 成熟期には対照区の1.57倍に達した. 施肥窒素の利用率は, 全量基肥区のLPが63.2%, 対照区の基肥硫安が8.5%, 幼穂形成期の追肥硫安が52.8%, 穂揃期の追肥硫安が41.5%であった. 5) 以上の結果から, 水稲の不耕起直播栽培に対する肥効調節型被覆尿素の全量基肥施用効果が大きいことが明らかになった.
著者
小口 剛正 渡邉 一弘 阿部 秀樹 加藤 正
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.49, pp.521-526, 2007-08-24

(-)-Nalanthalide (1), isolated from the culture of Nalanthamala sp., was found to be a novel blocker of the voltage-gated potassium channel Kv 1.3 by Merck research group. In human T cell, to block Kv1.3 channels cause to prevent membrane depolarization, which attenuates intarcellular Ca^<2+> levels for T cell activation and proliferation. Therefore, (-)-1 is expected to be a promising new lead for the immunosuppressant. A closely related diterpenoid α-pyrone (+)-sesquicillin (2), wherein the γ-pyrone ring of (-)-1 is replaced with an α-pyrone ring, was previously isolated from Acremonium sp. It was reported that (+)-2 shows a variety of biological properties such as glucocorticoid antagonist. anti-inflammatory, anticancer, and G1 phase arrest activities. We envisioned that (+)-(2) would be elaborated through conversion from the γ-pyrone ring of (-)-1 to the corresponding a-pyrone ring. And (-)-(1) would be available through a coupling of 4 with 3. The intermediate 5 would be available through the strategic [2,3]-Wittig rearrangement of 6. The synthesis began with the preparation of intermediate 6, the substrate for the key [2,3]-Wing rearrangement, starting from 8. After conversion of 8 to 6, we carried out the [2,3]-Wittig rearrangement under several reaction conditions. Finally, we found that the designed [2,3]-Wittig rearrangement of 6 proceeded smoothly and cleanly by treatment with n-butyllithium in n-hexane at-50℃→room temperature. In this reaction, the use of n-hexane as the solvent was crucial. After conversion of 5 into 4, the coupling of 4 with 3-Iithio-γ-pyrone was achieved an initial bromine/lithium exchange on 3. The coupling product was converted to the key intermediate 19. Acetylation of 19 furnished (-)-(1). Next, we attempted direct conversion of (-)-(1) to (+)-(2) under several basic conditions; however, undesired deacetylation of the C3 acetyl group in (-)-1 occurred. Consequently, conversion of the γ-pyrone ring in 19 to the α-pyrone ring under basic conditions was conducted; the desired diacetate 20 was obtained upon acetylation of the product. Finally, selective deacetylation of the α-pyrone moiety in 20 under mild basic conditions furnished (+)-(2).
著者
中澤 勇夫 雨宮 将稔 清水 裕之 秦 正治 広瀬 敏之 佐藤 英昭 木村 滋 小寺 隆三 阿部 宗男 杉田 邦博 水谷 太蔵 光武 雄一郎 工藤 栄亮 野原 学 吉川 憲昭 鈴木 文雄 関 和彦 小川 博世
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.568, pp.141-148, 2000-01-20
被引用文献数
1

第三世代移動通信システム(IMT-2000)は、世界各国で使用可能なグローバルサービスを目指す位置づけから1992年ITUにおいて世界共通の周波数(2GHz帯)の割当が行われた。国内のIMT-2000の2GHz帯導入に際しては、既存システムとの干渉特性を明らかにする必要がある。このため、(社)電波産業会(以後ARIB)では平成8年度より調査検討会を設置し、導入が期待されているCDMA方式による移動無線と、IMT-2000に割り当てられた周波数帯を用いている既存の固定無線との周波数共用の可否、及び周波数共用を可能とする条件を明らかにするために、計算機シミュレーションおよびフィールド実証試験について調査及び試験分析を行ってきた。本報告はこの内、フィールド実証試験についての調査及び試験結果の報告であり、相互干渉モデル、試験システム、広帯域伝搬路特性、電界強度特性等について述べる。
著者
阿部 和時 黒川 潮 浅野 志穂 岡本 隆 松山 康治 落合 博貴 寺嶋 智巳 島田 和則 野口 宏典 大丸 裕武 宮縁 育夫 小川 泰浩
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.91-96, 2002-08-31
被引用文献数
6 4

2000年6月から始まった三宅島の火山活動による多量の降灰で雄山山腹の植生は壊滅的被害を受けた。この影響で泥流災害が島全域で発生し,現在も危険性は非常に高い状態にあると考えられる。本研究では,このような火山降灰地帯が形成された直後の激しい土壌侵食の実態を実証的に明らかにすることを目的とした土壌侵食の発生状況は降灰による森林被害の程度と相関性があると推察されるので,空中写真による森林被害区分を行い,それぞれの区分において現地水路侵食実験で侵食特性を検討した。その結果,降灰が堆積し形成された地表面は流速が20〜35cm/secと早く,浸透性が低いこと,しかし流出土砂量は降灰層中に枝葉が混入した地区よりも少ないこと等が示された。このデータをもとに汎用土壌侵食式(USLE)によって相対的な面状侵食の危険度を,火口を中心とした14.5km^2の範囲について示した。
著者
阿部 宏慈 清塚 邦彦 阿部 成樹 中村 唯史 中村 三春 大河内 昌 大河内 昌
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

視覚表象の分析における<アクチュアル>概念の理論的・実践的射程を、映画、写真、マンガなどの具体的な事例にもとづいてあきらかにした。
著者
阿部 林治 神林 紀嘉
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.296-304, 1998-04-01

本論文は, 基本周波数とその整数倍高調波からなる調和性信号の基本周波数推定のための新しいアルゴリズムを示している。本アルゴリズムは, 従来のコムフィルタリング手法に基づく方法であり, 入力信号の周波数スペクトラムの調和性に着目している。基本周波数が異なる調和性信号が入力信号に数多く含まれると, 従来法による出力スペクトラムは複雑化し, 基本周波数推定は困難となる。この問題を解決するためにまず入力信号の新しいモデル化手法を示し, 次にこの手法を用いて入力周波数から基本周波数のみを容易に抽出するアルゴリズムを提案する。最後に擬似信号と実楽音信号を用いて提案アルゴリズムの有効性を確認する。
著者
間宮 俊太 阿部 恭久 笹川 真一 指山 浩志 立石 順久 落合 武徳
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.1385-1389, 2003-10-01
参考文献数
10
被引用文献数
8

症例は82歳の男性.全身倦怠感を主訴に2002年4月近医を受診.高度貧血を指摘され,5月23日当科紹介受診,同日精査目的で入院となった.上部消化管内視鏡検査にて胃体部に潰瘍を有する巨大粘膜下腫瘍を認め,腫瘍の生検結果はGIST,uncommitted typeであった.CTでは胃体部に巨大なtumorを,肝臓に巨大な転移性腫瘍,腹腔内に腹膜播種と思われるmassを広範囲に認め,手術不能と考え,在宅中心静脈栄養を行っていた.生検組織を再評価するとc-kit陽性であったため,2002年9月24日よりメシル酸イマチニブの投与を開始した(300mg/日).投与約4週後のCTでは主病巣,すべての転移巣にて著明な縮小を認め(縮小率90%),新たな病変の出現も認められずPRと判断した.副作用として同質性肺炎が出現し,いったん投与を中止したが,ステロイドパルス療法にて速やかに改善したため,ステロイドを併用しつつ投与を再開,現在も外来にて投与継続中である.
著者
片野 修 中村 智幸 山本 祥一郎 阿部 信一郎
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.902-909, 2004-11-15
被引用文献数
4 9

浦野川において魚類の種組成,個体密度,成長率および食物関係について調査した。合計で14種,7,052個体の魚類が採集された。オイカワがもっとも優占し40%以上の個体数を占め,ついでドジョウ,ウグイ,カマツカが多かった。これらの魚種は6月から8月にかけて正の成長を示した。大半の魚はユスリカなどの水生昆虫を捕食していたが,オイカワだけは底生藻類を主食としていた。浦野川の調査区においてはナマズなどの魚食性魚類がほとんど生息しておらず,その生態的地位が空白となっている。したがって,オオクチバスなどの外来魚食魚の侵入が危惧される。
著者
阿部 尚之 島田 敬士 長原 一 谷口 倫一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.194, pp.195-200, 2011-08-29

Webの集合知を活用し,未知の画像に対してその撮影内容に関するラベル付けを行う画像アノテーションという研究が盛んに行われている.従来の画像アノテーションは,収集した全ての訓練データセットから画像特徴とラベル特徴の関係を学習するものが多かった.しかし,それらのデータには人力である未知画像とまったく関係のない不要なデータも数多く含まれている.そこで本稿では,未知画像に付与されている位置情報と画像構図を利用して,そのような不要なデータを排除することで,画像アノテーションの精度を向上させる手法を提案する.実験では,提案手法と従来手法の比較実験を100シーンで行い,その得られた結果について報告をする.