著者
松村 潔 阿部 功
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.1, pp.73-78, 2007 (Released:2009-12-01)
参考文献数
5

脳血管障害急性期には,著しい高血圧が持続する場合や血栓溶解療法を予定している場合を除いて,原則として積極的な降圧治療は行わない.一方,慢性期では,脳血流自動調節能の下限域が右側偏位するとともに脳血流の全般的な低下を伴っているので,臨床症状に注意しながら慎重な降圧治療が必要であるが,PROGRESS試験により降圧治療が脳卒中再発抑制に有用であることが示されている.降圧薬の種類により脳血管障害の再発抑制効果に差があるかどうか,脳卒中発症後の至適血圧値がどのレベルにあるかは今後の課題である.
著者
斎藤 規夫 立澤 文見 星野 敦 阿部 幸穎 市村 美千代 横井 政人 土岐 健次郎 森田 裕将 飯田 滋 本多 利雄
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.452-460, 2011 (Released:2011-10-22)
参考文献数
33
被引用文献数
11 14 4

アサガオ(Ipomoea nil または,Pharbitis nil)の speckled 変異により淡黄色花を咲かせる 54Y 系統と c-1 変異により白花を持つ 78WWc-1 系統の F1 並びに F2 植物について,花弁に含まれるアントシアニンとその関連化合物を解析した.speckled 変異が優性の遺伝因子である speckled-activator と共存すると,花弁に吹掛絞が現れる.Speckled と C-1 遺伝子座は強く連鎖しており,78WWc-1 系統にのみ speckled-activator が存在する.このため,F1 植物は赤紫花を咲かせ,F2 では赤紫花,白花,吹掛絞(淡黄色地に赤紫の斑点模様)の花,淡黄色花の植物が 8 : 4 : 3 : 1 の割合で分離する.解析の結果,F1 と F2 の赤紫花,さらに吹掛絞の斑点部分には同じアントシアニンが含まれていた.いずれもウェディングベルアントシアニン(WBA)が主要な色素であり,その前駆体など 9 種のアントシアニン(ペラルゴニジン誘導体)も蓄積していた.一方,54Y と淡黄色花の F2,さらに吹掛絞の淡黄の地色部分では,カルコノナリンゲニン 2'-グルコシドが主要なフラボノイドとして検出されたほか,少量のカフェ酸とオーロシジン 4-グルコシドやクロロゲン酸もみいだされた.また,78WWc-1 と白花の F2 には,クロロゲン酸とカフェ酸が存在した.これらの結果から,speckled 変異と c-1 変異を持つアサガオでは,それぞれカルコン異性化酵素(CHI)とカルコン合成酵素(CHS)が触媒する反応過程でアントシアニン色素生合成が遮断されていることが強く示唆された.また,吹掛絞の斑点部分では,完全に色素生合成系が活性化していると思われた.さらに,F2 の赤紫花と吹掛絞の斑点部分に含まれるアントシアニン構成が個体毎に異なることから,これまで報告されていない未知の遺伝的背景が WBA の生合成を制御している可能性が高い.
著者
阿部 典子
出版者
藤女子大学
雑誌
藤女子大学・藤女子短期大学紀要. 第II部 (ISSN:02869470)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.13-21, 1974-12

本研究に於いてパイクラストの薄層形成ともろさについて油脂量を0%〜100%までの9段階の配量と油脂の種類としてバター,パイバター,ネオマーガリン,コーンマ-ガリン,ショーートニソグ,マリーナ, ラーマを用いて折り重ねを2〜6回まで行なった場合の影響及びバターとコーンマーガリンの混合による成品への影響について検討し,次の結果を得た。1)パイクラストの薄層の形成ともろさは,油脂量に左右され油脂量50%以下ではパイ特有の連続した層形成は困難で厚く硬い。100%は薄層で連続的でありもろいが,味は油脂量が多いため油っぽい。外観は100%よりは劣るが80%,70%が好まれる。2)油脂の種類としてはバターを用いた場合には生地を十分冷却(7℃)して焙焼すると薄層となり浮きがよい。焼き色,風味は他の油脂より優れている。パイバターは層状は良好であるが風味はバターより劣る。コーンマーガリンはパイバターのように安定した層を形成し,風味はパイバターより良好で融点37℃で比較的高くパイ用の油脂として使用出来ることが認められた。ネオマーガリン,ショートニング,マリーナ,ラーマはパイ作りには不向きと認められた。3)油脂の種類と折り方の関係はバター,ネオマーガリンでは重ね4回、5回が層形成がよい。パイバターは重ねの影響を受けず常に安定した組織を形成する。コーンマーガリン,マリーナ,ラーマは重ね3回、4回が浮きがよくこれより重ねが多過ぎても少な過ぎても層の明瞭さが失なわれる。ショートニングは重ね2回,3回がパイ様であるが,重ねが多くなると不連続なビスケット状となる。油脂の種類によって伸展性と固定化が異なるので油脂の性質に応じた重ね数を選択する必要を認めた。4)バターとコーンマーガリンの混合に於いてバターにコーンマーガリンを10%混合すると重ねが少ない2回,3回が薄層で連続的な層となるが混合割合が変ると油脂の固定化が悪く不連続な層を形成する。コーンマーガリンは混合物よりむしろ単独で使用した方が膨化や薄層形成には良好であることが認められた。
著者
阿部 敏秀
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

本研究では、臨床において重症患者に連続投与されることが多い14通りの組み合わせの抗菌剤を対象に、配合変化の結果生じうる微粒子(1.3-100μm)を光遮蔽型自動微粒子測定装置パーティクルカウンターを用いて定量的に評価し、より安全かつ効率的な薬物療法を行うための情報を得ることを目的として検討を行った。配合変化試験の前に行った単独の注射薬における微粒子測定では、凍結乾燥製剤で用事溶解するファンガード^<[○!R]>やクラフォラン^<[○!R]>などの製剤は溶解時の微粒子数が多い傾向が認められ、特にファンガードは第15改正日本薬局方の基準(1mL当たり10μm以上のもの25個以下、25μm以上のもの3個以下)を上回る場合があった。一方、ダラシン^<[○!R]>やビクロックス^<[○!R]>のような液状アンプル製剤の場合には、注射液中の微粒子は少ない傾向が認められた。次に抗菌薬同士を混合する配合変化試験では、抗菌薬の14組の組み合わせのうちバンコマイシン^<[○!R]>とファンガード^<[○!R]>では配合直後より微粒子の増加が認められ、連続投与によってルート内で白濁などが生じることが示唆された。バンコマイシンとファンガード以外の組み合わせでは、配合変化に関する各書籍に混合に関する注意事項が記載されていても、20分までは微粒子レベルでも配合変化が生じていないことがわかった。今回の配合試験の結果と書籍の情報の相違の原因は、書籍の配合変化情報は薬剤の濃厚溶液を用いた配合変化試験を元にしているためであることから、輸液に希釈して連続投与する場合にはがない場合が多いことが示唆された。従って、配合変化に関する各書籍の情報から連続投与時のルート内での安定性を予測することには限界があり、臨床において使用される濃度を用いた微粒子測定などの個々の配合変化情報の構築が必要であると考えられた。
著者
大濱 郁 喜田 拓也 有村 博紀 阿部 敏久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.476, pp.9-16, 2011-03-21

我々は,人間行動履歴の地理的クラスタリングについて議論する.本論文では,この問題を,二次元時系列データのセグメンテーション問題として定式化し,二つのクラスタリング手法,LS-linHMMとX-linHMMを提案する.前者のLS-linHMMは,線形制約付きHMMを用いたクラスタリングと情報量規準を用いたモデル選択を組み合わせ,クラスタ数の自動推定を行う.また,X-linHMMは,x-meansのアイデアを取り入れた2状態線形HMMによる階層的クラスタリングであり,LS-linHMMよりも高速なクラスタリングを実現している.今回,これらの手法を,GPSタグ付き写真コンテンツのクラスタリングに適用することを試みる.また,実データを用いた実験により,単純なx-meansよりも提案手法が効果的に動作することを確認した.
著者
阿部 謹也
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.94-99, 1961-07-01

論文タイプ||書評
著者
渡邉 和男 河瀬 真琴 マシウス ピーター 西川 芳昭 松井 健一 阿部 健一 香坂 玲 阿部 健一 香坂 玲 院多本 華夫 渡邊 高志 磯崎 博司 藤村 達人 箕輪 真理 木村 武史 王 碧昭 伊藤 太一 帳 振亜
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

農業食糧及び薬用遺伝資源の多様性について、国境を超越して生存する少数民族に関わり農家保全の実地・実験調査を実施した。ミャンマー北部、ミャンマー、タイとラオスの国境地帯について山間部を主体に研究を実施した。過剰開発や貨幣経済の浸透、さらに不均衡な情報の供給と啓蒙の欠如で、在来の植物遺伝資源が絶滅危惧になっていることやその伝統的文化に支援された知見が急速に失われてきていることがわかった。モノグラフや公的機関の報告書として情報発信した。
著者
佐々木 道史 曽我 和哉 市川 尚 窪田 諭 阿部 昭博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.120, pp.23-29, 2008-11-25
被引用文献数
1

近年,学校教育現場には広く協同学習を取り入れる事例が増えているが,単に手法のみを導入してもグループ内に有意な相互作用は生起しがたい点が課題として挙げられる.本研究では,高等学校の授業において協同学習を行う際のグループ編成に着目し,相互依存関係に配慮した効果的なグループ編成を支援するための情報システムの在り方について考察する.Recently, application cases of cooperative learning on educational sites have increased. However they have been pointed out difficulty of effective interaction in learning group. In order to conduct effective cooperative learning on a class of high school, this paper describes a grand design and its prototype of support information system to organize learning groups taking interdependence relationship into consideration.
著者
阿部 吉雄
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究計画では1938年~1951年に上海に存在したユダヤ人難民社会の構成およびその特徴を各種資料の収集分析により解明した。従来はドイツおよびオーストリア出身の難民のメモワールが最大の情報源だったが、本研究計画ではのべ2万人以上の個人に関するデータを調査し、上海のユダヤ人難民社会のより具体的な姿を描き出した。特にリトアニアおよびチェコスロバキアで杉原千畝が発給したビザと上海のユダヤ人難民社会の関連の詳細な調査は過去の例のないものである。
著者
竹内 順子 柴坂 寿子 佐治 由美子 菊地 知子 塩崎 美穂 入江 礼子 小玉 亮子 私市 和子 中澤 智子 石塚 美穂子 肥後 雅代 今井 由美子 片桐 孝子 高坂 悦子 浜崎 由紀子 藤田 まどか 阿部 厚子 江波 諄子 杉本 裕子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

乳幼児0~2歳が過ごす学内保育所(お茶の水女子大学附属「いずみナーサリー(以下、ナーサリー)」)の教育的質の向上と、大学全体のコミュニティとしての教育環境「大学の中で赤ちゃんが笑う」構想を実現するために、下の3つの視点から研究を総合的にすすめた。(1)週1日から週5日の通所日数自由選択や一時保育、また、1日の保育時間もフレキシブルに決められる多元的保育体制において、保育の質を保証するための保育方法、カリキュラム(学び/育ちの履歴)開発(2)環境的教材、芸術的表現教材の開発(3)大学の特性を生かし多世代・他分野との協働を生かしたコミュニティ的実践。平成24年3月に最終報告書「大学の中で赤ちゃんが笑うII」を発行した。
著者
中村 光江 下山 節子 阿部 オリエ
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
no.5, pp.71-77, 2006

ストラウスとコービンは、慢性疾患を持つ人々に関する数多くの事例を基に「慢性疾患の病みの軌跡」という概念モデルを提示した。慢性の病いを持つ人間の反応を一つの「行路」と捉え、病気や慢性状況の行路を「軌跡」とした。この概念枠組みは、慢性の病気を持って生きることに対しての洞察や知識を提供するため、多くの看護実践・教育・研究・政策決定への活用が期待される。そのため、その発展の経緯を理解し、どの程度検証され、有用性や信頼性が確認されているかを明確にすることを目的に、文献研究を実施中である。今回、第一報として国内文献を検討した結果を報告する。「病みの軌跡」をキーワードとして収集した24 件の文献中、解説11 件、学会抄録7件、研究論文・報告6 件であった。比較的新しい枠組みとして活用され始めた段階にあり、大半は看護実践の事例検討において対象者理解や看護の振り返りの視点として使用されていた。「局面」等の下位概念はあまり使用されておらず、軌跡の枠組みを哲学的基盤や理論的前提とするにとどまっていた。国内文献では検証はなされておらず、モデルの発展には至っていないと考えられた。
著者
阿部 仁 武田 俊之 平松 一夫
出版者
関西学院大学
雑誌
情報科学研究 (ISSN:09120939)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.43-49, 1998-07

Computer network and internet are making rapid progress. A class of international accounting was held using internet among four countries. This experiment was organised by San Diego State University Kwansei Gakuin University participated this class from Japan. This paper describes about the class and identifies its' problems.
著者
佐藤 圭子 阿部 康二
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

近年、神経細胞の新生が成体脳でも確認され、新しい神経回路付加に関与することが示されている。本研究では、てんかんおよび神経可塑性のモデルであるキンドリングで、発作発展および全般発作反復による神経幹細胞の増殖とmigrationおよび神経可塑的変化を検討した。ラット扁桃核にテタヌス刺激を1日1回加え、BrdUを6-8回目の刺激前に投与した。部分発作群(PS群)、全般発作3回群(3GS群)と全般発作30回群(30GS群)を作成し、BrdUとPSA-NCAMの免疫組織染色を行った。BrdU陽性細胞数は、PS群では、側脳室下帯(subventricular zone : SVZ)で増加したが、海馬歯状回(dentate gyrus : DG)では有意な変化はなかった。また、SVZのBrdU陽性細胞数は、3GS群と30GS群では対照レベルより有意に減少していた。PSA-NCAM陽性細胞数の増加は、3GS群と30GS群でDG、SVZ、梨状葉においてみられたが、PS群では有意な増加は認められなかった。DGにおいて3GS群では対照群の約2倍に増加し、30GS群では陽性細胞数はさらに増加したが、3GS群に比べ有意差は認められなかった。陽性細胞は、対照群ではDGの顆粒細胞層深部に限局していた。3GS群で陽性細胞の顆粒細胞層内への移動や陽性神経突起の伸長が若干みられたが、30GS群ではより顕著となった。一方、側脳室下帯(SVZ)のPSA-NCAM陽性細胞数は3GS群で対照群の約4倍に増加し、30GS群では3GS群に比較し有意な増加がみられた。てんかん脳で新生神経細胞の増殖やmigrationおよび神経可塑的変化が発作活動依存性に誘導されることが示された。また、神経可塑的変化に加え、新生細胞が形成する神経回路が、てんかん脳の機能変化や神経再構築に関与する可能性が示唆された。
著者
姫野 龍太郎 藤野 清次 阿部 邦美 小野 謙二 伊藤 祥司 岡本 吉史 今村 俊幸 片桐 孝洋 伊藤 利佳 中田 真秀
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

電磁界問題,量子化学計算,数値流体計算の大規模数値シミュレーションに向けて,大規模行列計算に向けた高速化,高精度化,安定化を実現し,従来手法では解きにくい問題に対する新たな求解アルゴリズムを提案した.さらに,そのようなシミュレーションを支援するために,応用問題の特性に応じたデータ構造を決定する自動チューニング技術,ジョブスケジューラによる最適な計算機資源割当て方式,任意高精度線形代数演算パッケージも開発した.
著者
日野 浩二 阿部 晋 串田 正人
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. A, 基礎・材料・共通部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. A, A publication of Fundamentals and Materials Society (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.128, no.2, pp.81-85, 2008-02-01
被引用文献数
2 3

Energy release from MIM structure of Al / nonpolar LB film / Au had continued for about three years,<sup> </sup>and temperature around MIM was reduced. In our present study, analyses were carried out on electrical properties of MIM of ultrathin polyimide LB film. Current, voltage and electrical power were analyzed in stationary state.
著者
西村 一朗 畠山 絹江 中山 徹 小城 勝相 水野 弘之 小野木 禎彦 阿部 登茂子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

3年間の個々の研究を総括し、以下のような内容から、高齢者の状況、生活各側面での要求、問題点、将来への課題等についてまとめた。(1)食物関係高齢者は加齢に伴い、確実に骨密度の低下が進行していた。低骨密度、骨粗鬆症の高齢者が骨折を起こさないための環境づくり、支援が課題である。買い物、調理の楽しみを持続させ、高齢者の希望に叶った配食サービスなどの生活支援体制を整える必要がある。(2)衣服関係高齢者の体型分布の幅の広さから、高齢者用既製服の衣服サイズ、デザインが乏しいことが指摘される。高齢者の体型と既製服サイズの適正化について更なる研究が必要である。また、高齢者向けの衣服の売り場展開の検討も必要である。(3)住居関係マンションの共用部分において、手すり、エレベーターの設置が少なく、今後改善が望まれる。高齢期にはできるだけ住み慣れた自宅で過ごしたいと考える高齢者が多かったが、身体が不自由になったとき、看護・介護・ひとりで生活できないこと・体力に不安を感じていることがわかった。持ち家一戸建住宅において、居住者の高齢化に伴う家族人数の減少により、相対的に広い住宅の空洞化が進んでいる。高齢者の住環境への要求には、高齢期を反映した独特の住環境要求があるが、それらの要求と住空間との間に乖離が進展する中、それを取り除いていくことが重要である。