著者
馬場 祐治 下山 巖 関口 哲弘
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.23, no.7, pp.417-422, 2002-07-10 (Released:2008-09-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

Solid carbon forms two kinds of local structures, i.e., diamond-like and two-dimensional graphite structures. In contrast, silicon carbide tends to prefer only diamond structure that is composed of sp3 bonds. In order to clarify whether or not two-dimensional graphitic SixC layer exists, we investigate the local structures of SixC layer produced by Si+-ion implantation into highly oriented pyrolitic graphite (HOPG) by means of near-edge X-ray absorption fine structure (NEXAFS). The energy of the resonance peak in the Si K-edge NEXAFS spectra for Si+-implanted HOPG is lower than those for any other Si-containing materials. The intensity of the resonance peak showed a strong polarization dependence. These results suggest that the final state orbitals around Si atoms have π*-like character and the direction of this orbital is perpendicular to the graphite plane. It is elucidated that the Si-C bonds produced by the Si+-ion implantation are nearly parallel to the graphite plane, and SixC phase forms a two-dimensionally spread graphite-like layer with sp2 bonds.
著者
馬場 直志 石垣 剛 田村 元秀 三浦 則明
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、我々が提案した偏光差分型ステラコロナグラフによる、太陽系外惑星の直接検出装置の開発実験を行った。恒星からの光は、一般にランダム偏光(無偏光)と考えられる。一方、惑星からの光は、恒星光の反射・散乱光となるため部分偏光した光となる。直行する2つの偏光成分で観測し、その差を取ると無偏光成分は相殺され、部分偏光している成分が残留する。これが偏光差分法であり、部分偏光している太陽系外惑星光を抽出できる。しかし、単なる偏光差分では、大きな強度を持った恒星光の2つの直行偏光成分間にわずかな差がある場合、その差は微弱な太陽系外惑星の偏光差分よりも大きくなってしまう。このために、効率的に太陽系外惑星光を抽出できなくなってしまう。我々は、単なる偏光差分ではなく、偏光度から太陽系外惑星光を識別することを行った。偏光度は、偏光差分値をその点の全強度で割ったものであり、無偏光の光は強度が強くとも偏光度は零に近づく。一方、部分偏光している光は、その偏光度に応じた値となる。我々は、太陽系外惑星像を検出するシミュレーション実験を行った。この実験において、太陽系外惑星モデル光の偏光度を50%、惑星と恒星との角距離を4.8λ/D(λは中心波長、Dは望遠鏡の口径)、強度比を1.1×10^<-5>とした。単なる偏光差分の像では、惑星像は明瞭ではなかったが、偏光度で表示した像ではスペックル雑音との相違が明らかとなった。本研究では、偏光差分法に基づいて、イメージングのみならず、太陽系外惑星の対物分光を目指した実験も行った。偏光度解析により、惑星モデル光のスペクトルを恒星モデル雑音光スペクトルから分離抽出できた。
著者
岩本 善行 澤田 東 阿部 大輝 澤田 康雄 大津 金光 吉永 努 馬場 敬信
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.1663-1671, 1998-06-15
被引用文献数
5

本稿では,並列処理の性能に大きな影響を与えるメッセージパッシング処理を高速化するための,2つの手法を提案する.第一に,従来のソフトウェアによるOSで行っていたものを,よりハードウェアに近いファームウェアによって実現する方法と,第二に,これから到着するメッセージをプロセッサのアイドル時に予測して投機的に先行実行する受信メッセージ予測の手法である.これらの効果を実験的に調べるため,A?NETマルチコンピュータに実装し評価を行った.その結果,受信処理のファームウェア化により,アプリケーションによって最高で約6.3倍の高速化が達成され,また受信メッセージの予測によるメッセージ転送の高速化法では,1回の予測あたり80.7マシンサイクルの先行実行を行えることが明らかになり,その有効性が確認できた.Message passing significantly affects the performance of parallel processing programs.This paper proposes two methodologies for high performance message passing.The first method implements the message receiving function using firm-ware instead of conventional OS software.The second method predicts message receptions when a processor is idle,and executes,speculatively,the message reception process.We implemented and evaluated these methodologies on the A-NET multicomputer.The experimental results show that the speedup ratio for the first method is about 6.3 times and second method can achieve savings of approximately 80.7 machine-cycles per one prediction.
著者
福和 伸夫 山岡 耕春 中野 優 飛田 潤 佐藤 俊明 鈴木 康弘 馬場 干児
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

1891年に発生した濃尾地震の時に「震災の帯」として報告された「震裂波動線」の生成原因の解明を目的とした本研究によって、以下が明らかになった。濃尾平野に関する資料収集を行い、愛知県による深部地盤構造調査の結果について資料収集と既存資料との比較検討を行い、総合的な3次元の深部地盤構造モデルを構築した。震裂波動線に関連する岐阜県内の測線に強震計を並べて設置し地震を観測した。側線は養老断層による基盤の段差から堆積平野側に、約10kmの間に配置した。得られた地震動の波形を調べた結果、養老断層の存在によって励起された表面波の存在が確認された。さらにこの表面波と実体波が干渉とすると思われる断層から数kmの地域で地震動の増幅が見られた。この現象はFEMを用いた波動場の計算機シミュレーションにより、このような地震動の増幅が起きることが確認された。地下構造として濃尾平野に類似したいくつかのモデルで計算を行ったが、どれでも基盤の段差があれば地震動の増幅が見られた。濃尾地震の震源モデルについては、特にその存在が示唆されながら、明らかな証拠が得られていない岐阜-一宮線の断層の存在について検討した。濃尾地震のときに観測されたとされる水準変動を説明する断層モデルとしては、従来の垂直の断層よりも、傾斜が75度の逆断層のほうが良いことがわかった。一方、この地域で現在も発生している余震と思われる微小地震のメカニズムから応力場を推定すると、岐阜-一宮線がかって滑ったという証拠は得られなかった。岐阜-一宮線の断層の存在については、さらなる検討が必要である。震裂波動線に関しては、被害に関する資料を再分析すると、被害の多かった地域は線状ではなく、岐阜地域から濃尾平野南東部にかけて面上に分布しているようである。この結果は、被害が大きかったのはむしろ地盤や震源の特性によるものである可能性もある。
著者
馬場 健介 古原 和邦 岩村 恵市 鄭 玉良 今井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.98, no.48, pp.61-69, 1998-05-15

ディジタルコンテンツの著作権保護システムを実現する手段として、電子透かし技術が数多く研究されている。一般に、画像の販売者のみが購入者情報を生成し、電子透かしを用いてその埋め込みを行なうようなシステムでは、流出画像が購入者が流出させたものか、販売者から流出されたものかを厳密に区別することはできず、何らかの方法で販売者のコンピュータから、ある購入者情報が埋め込まれた画像が漏洩されれば、不正行為を行なっていない購入者が不正であるとみなされる可能性がある。そこで本稿では、購入者情報の埋め込みに購入者自身が参加し、販売者側から購入者情報が漏洩しても購入者が不正とみなされないプロトコルを提案する。このプロトコルはディジタル画像だけでなく、音声や動画像といったディジタルコンテンツにも応用できる。
著者
小河 久朗 林崎 健一 黒倉 寿 佐野 光彦 馬場 治 堀之内 正博 小河 久志 KANGUWAN JUNTARASHOTE CHATCHAREE KAEWSURALIKHIT ANCHANA PRATHEP PRASART TONGUNUI
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

津波後の水産資源は回復しつつあるが、大型海洋植物の植生回復が遅れたところでのイカ・カニ漁業への影響は大きく、資源と漁業の回復への植生の重要性が分かった。一方、津波後、沿岸漁業と沖合漁業間に新たな漁場競合問題が発生しており、援助の不平等性と重複がこの問題の複雑化の一因であった。津波後の水産資源や漁業の回復には、植生に重点を置いた環境修復や零細漁民への被害実態に即した公平な援助の重要性を示唆した
著者
小野江 和之 河合 聖子 丹羽 さやか 八木 健郎 馬場 研二 山口 悦郎
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.11, pp.2519-2521, 2007-11-10
被引用文献数
1 1

症例は61歳,女性.持続する微熱,乾性咳嗽あり当科受診した.外来検査中に症状増悪し緊急入院,自然経過のみで自他覚所見の改善を認めた.過敏性肺炎を疑い精査したが血清学的には抗原同定困難であった.誘発試験にて羽毛布団に原因抗原が含まれることを確認した.<br>
著者
楠本 哲次 川添 堯彬 田中 昌博 高梨 芳彰 馬場 俊輔 木村 公一
出版者
大阪歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究では脳機能画像法を用いて咀嚼運動中の大脳皮質の賦活状態を捉えることとした.しかし,脳機能画像法では,頭部が振動を受けると脳の位置が動いてしまうと,データの信頼性が低下する可能性がある.この事も本研究の難易度を上げる原因となった.そこで我々は可能な限り実際の咀嚼運動を再現し,しかし脳機能画像法の妨げになりにくいTask方法として,咀嚼Taskを採用した.咀嚼Taskは右咬みタスク,左咬みタスクとした.各タスクは咬頭嵌合位にて上下顎の歯を軽く接触させ,タスク側の咬筋が等尺性収縮を起こさせるように指示し,咬みしめサイクルは1Hzとした,本Taskにより,実際の咀嚼運動に近いデータを得ることができたと考えている.本研究では咀嚼Taskにて大脳皮質が賦活する部位を検討している過程で,咀嚼Taskによる大脳皮質賦活部位が運動性言語野,言語優位半球との関連があるのではないかと考えた.そこで,我々はしりとりTaskを用いて被検者の言語優位半球を同定し,言語優位半球と咀嚼Taskによる大脳皮質賦活部位との関連を調べたところ,言語優位半球側に必ず咀嚼Taskによる大脳皮質賦活部位を認めた.よって,言語優位半球と咀嚼Taskによる大脳皮質賦活部位とは関連があることが明らかとなった.また本研究では脳磁図やfMRIでも使用可能な咬合力センサの開発を試みたが,実用化することは困難であった.実用化に向けて今後も改良を行う必要がある.
著者
佐藤 馨一 清水 浩志郎 為国 孝敏 竹内 伝史 小林 一郎 馬場 俊介 古屋 秀樹
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

平成16年度の研究は個別の大規模社会資本の整備事例をもとに、これらの総合的な評価を行い、今後の課題を整理した。平成15年度は道路公団の民営化論議が集中的に行われたこともあり、その是非や問題点について活発な意見交換がなされ、研究分担者間の共通認識が確立した。以下に平成16年度の研究成果を取りまとめる。(1)「公共事業方式と政府企業方式の混同の危険性」が指摘された。最近の民営化論議は大規模社会資本の将来展望を持つこともなく、財務分析のみが突出している、との批判がなされた。また、中部国際空港の整備事例を研究した結果、大規模社会資本が公共事業方式でなくとも実施可能なことを検証した。(2)大規模社会資本の更新投資の問題が取り上げられた。新幹線も高速道路も減価償却という発想がなく整備されてきた。このことにより更新のための投資財源がまったく存在しない事態を招いている。その結果、「荒廃する日本」と言われる日も間近にせまり、民営化論議はそれに拍車をかけている。(3)受益者負担による社会資本の整備方式は社会的便益を無視しており、公的な財源を用いて大規模社会資本を整備し、その利用価格を安くすることによって社会的便益を増大するという基本的な考え方に立ち戻るべきである。(4)大規模社会資本は土地依存型であり、ITのように技術依存型とは整備の仕方や活用はまったく異なる。地形も気象条件も多様な国土において経済効率を追い求めると、地域格差が増大し、過疎地域の切り捨てにつながる。竹島という小さな島の領有をめぐって日本と韓国が深刻な諍いをしているとき、国内の過疎地域を無視する国土政策は根本的に間違っている。「均衡ある国土の発展」という目標は、極めて重要な国家政策となる。
著者
寺岡 慧 高桑 雄一 岩本 安彦 馬場園 哲也 早坂 勇太郎 中島 一朗 唐仁原 全 東間 紘 渕之上 昌平
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

膵虚血、虚血再灌流傷害と微小循環障害の機序について、赤血球脂質膜および膜骨格蛋白の構造解析、赤血球連銭形成、変形能、通過能の面から検討し、以下の知見を得た。1.Ektacytometer法による赤血球、赤血球膜の変形能、膜安定性の検討A群(健常対照群)、B群(非糖尿病透析患者)、C群(非腎不全糖尿病患者)、D群(糖尿病透析患者)の4群間において、Ektacytometerを用いたレーザー回折法により、全血、RBCおよびRed Ghosts(RGs)の変形指数(deformability index:DI)を検討した。(1)赤血球、赤血球膜の変形能の検討:全血ではB群のDIはA群と同等であったが、C群およびD群では低下する傾向を示した。赤血球のDIについてもB群はA群とほぼ同等であり、C群、D群では低下していた。しかしRGsのDIについては4群間で差は認められなかった。また赤血球をフェニルヒドラジンで酸化してレーザー回折法を用いて変形能、膜安定性を検討したが、酸化により赤血球の変形能は低下した。またRGs内に酸化ヘモグロビンを封入すると変形能の低下と膜安定性の亢進が認められ、赤血球膜骨格蛋白間の相互作用が変化したことを示唆すると考えられた。(2)赤血球膜の安定性の検討:赤血球のRGsに一定のshear stress(750dyn/cm^2)をかけ断片化を検討した。DIが0.5(50%)となるT50は、A群15.6±2.3sec、B群20.25±2.63sec、C群17.9±4.02sec、D群16.25±1.44secであり、むしろB、C群で赤血球膜の安定性は増加する傾向が認められた。2.連続減衰負圧式ニッケルメッシュフィルトレーションによる赤血球通過能の検討4群間で、赤血球希釈溶液に-50mmH_2Oまでの連続減衰負圧をかけ、径4μmのニッケルメッシュに対する通過能を検討した。Flow Rate-Pressure曲線はB、C、D群ではA群と比較して右にシフトしており、通過能の低下が認められ、とくにD群では通過能の低下が顕著であった。3.赤血球の膜骨格蛋白である4.1蛋白質の生化学的・構造生物学的解析4.1蛋白質はスペクトリン、アクチンとともに赤血球膜骨格の網目状の水平構造を維持する膜骨格蛋白であるが、カルモジュリン/Ca^<++>との結合により、N末端30kDaドメインを介して、赤血球膜リン脂質の脂肪酸と疎水性に結合することが判明した。4.SDS-PAGEによる赤血球膜骨格蛋白の検討上記の4群においてSDS-PAGE法により赤血球膜骨格蛋白を検討したが、Spectrin、Band3などの蛋白については4群間に差は認められなかった。5.赤血球の形態学的検討4群の赤血球についてGiemsa染色により形態観察を行った結果、B、D群の一部に大小不同が認められたが、顕著な差は認められなかった。6.赤血球膜脂質組成の検討赤血球浮遊液にFITC標識annexin Vを添加し、染色後Flow cytometryでannexin V染色性を検討したが、D群において有意にannexin Vの染色性が増強し、通常は脂質2重膜内層に局在するphosphatidyl-serine(PS)の脂質膜外層における表出が認められた。7.赤血球膜荷電の検討4群における赤血球の膜荷電を、陽および陰イオン吸着樹脂に対する吸着性により検討した。赤血球の吸着性における各群間の差は認められなかった。また赤血球は膜表面に存在する糖蛋自側鎖のシアル酸の陰性荷電により相互に反発しあっているが、endo-β-galactosidase処理により膜表面から糖鎖を除去すると、脂質面が露出し、赤血球相互の集合が認められた。さらに糖鎖に特異的に結合する種々のレクチン処理により、赤血球の変形能の低下が認められた。以上より膵腎複合移植の対象となる糖尿病透析患者では、赤血球の変形能および通貨能は低下しており、さらに脂質膜外層へのPSの表出が認められ、赤血球相互の集合が観察された。また酸化的ストレスにより変形能は低下し、赤血球膜骨格蛋白質の相互作用が変化することが示唆された。
著者
馬場 章
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

本研究では、わが国科学技術黎明期たる江戸時代の計量統制に関する従来の研究の問題点に鑑み、彫金・大判・分銅という三家業を営んだ後藤家の分銅に関わる文献・器物資料を対象に調査・整理・分析・考察を行った。また、後藤家の分銅関係の文献資料に構造分析を加え、分銅の製造・流通過程と検定の全貌を解明した。さらに、後藤家伝来の器物資料である各種分銅の精密計測を行い、文献資料と器物資料の相関を解明した。後藤家伝来の分銅のうち、特に「正本分銅」は、後藤家が製造した分銅の基準になったと推測されるので、精緻な重量の測定を行った。平成17年度は以下の3点の研究を行った。1、史料翻刻昨年度に引続き、分銅関係資料の解読作業を行い、未翻刻の一次資料である「分銅御用諸書留」の解読作業を完了した。「分銅御用諸書留」により、近世後期から明治初年にかけての分銅の検定にかかわるプロセスや流通する分銅の公定価格の推移を知ることができ、これまで未解明であった分銅の製造・流通過程と検定の全貌を明らかにした。2、分銅調査未整理の分銅関係の器物資料のうち、千枚分銅模型・「正本分銅」・市中分銅・極小分銅など各種分銅及び分銅製作道具を調査・整理し、1点毎のデータを採取した上で目録を作成し、写真撮影を行った。分銅の重量・寸法に関しては、デジタル機材を活用して精緻な値を求めた。特に、「正本分銅」については、国立科学技術博物館の協力を得て、精緻な重量の測定を実施した。3、報告書の作成上記1、2の調査・作業で得られた成果を掲載した報告書を作成した。ここには分銅・諸道具一式の目録、「正本分銅」の各種データ、分銅関係資料の解読文が掲載される。これらの成果を踏まえ、本研究の目的である後藤家伝来の分銅に関わる文献資料および器物資料の構造化と両者の相関関係を考察し、その結果を論考として掲載した。
著者
池上 博司 川畑 由美子 能宗 伸輔 馬場谷 成
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

1型糖尿病遺伝子の解析をヒトとマウスの染色体相同性を駆使して進めた結果、主効果遺伝子であるHLAとの関連にサブタイプ間で差を認めること(劇症と他のサブタイプ間で質的差異、緩徐進行と急性発症間で量的差異)、臓器特異性を決定する遺伝子としてインスリン特異的転写因子MafAが胸腺でのインスリン発現量の変化を介して1型糖尿病の疾患感受性に関与することが示された。
著者
馬場 悠男 鈴木 一義
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series D, Anthropology (ISSN:03853039)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.1-9, 2005-12

In the late Edo era, a human skeleton intended for medical education was carved from cypress wood by a craftsman, Ikeuchi under the supervision of a medical doctor, Banri Okuda in Osaka City. The model for the carving was based on a criminal's skeleton. The skeleton was beautifully made to be articulated and assembled by various methods, which reveals excellent craftsmanship. By and large, the wooden skeleton shows morphological characteristics usually seen in early middle-aged females of the Edo era. The wooden skeleton might have been used for the promotion of European medicine, which was emergent in the Edo era Japan, rather than for practical medical education.
著者
馬場 靖憲 桐山 孝司
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

工業製品における「知識ベース製品開発」は論理的分析を中心とする情報技術の戦略的利用によって接近可能になる。それを可能にする具体的な方策を示した。一方、人間の感性に作用しなければならない製品開発の場合、情報技術の戦略利用は独創性のある製品を保証しない。そこで必要になるのは、異分野のスペシャリストに創造性を発揮させる「共創の場」である。それを出現させるために必要な組織・マネジメント・企業文化の条件を明らかにした。この場合、成功のための鍵は技術を超えた人間的要素にあり、人間の関係の築き方に対するノウハウは本研究の開始時に予測した以上に重要である。技術による情報伝達を選好し、その結果、立地を問わないかに見えたゲームソフト企業はさまざまな理由から特定の場に集積し、本研究が示した東京ゲームソフトクラスターを出現させている。このようなマクロ(産業クラスター)・レベルの場の構築が、人材供給、マーケット情報の交換、また専門コミュニティーの形成を通じて、ミクロ(組織)・レベルの共創を実現している事実の発見は本研究の最大の貢献と言えよう。本研究の最終段階においては、以上に示した発見を補強するために、観察対象をインターネット・ビジネス企業として、本研究と同一の視点からの明らかにした一連の発見・仮設の妥協性をより一般的な形で提示することを予定している。
著者
黄瀬 浩一 岩村 雅一 馬場口 登
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

あたかも物体そのものにハイパーリンクが張られているように,カメラで物体を撮影(クリック)すると,その物体の関連情報が取得できたり,また撮影した画像を介してその物体の関連情報を登録できれば,高齢者や障害者にも優しい実世界指向インタフェースが実現できる.本研究では,100万枚の平面物体,55個の小型立体物,関東および関西の歴史的な建物,および2万ページの文書を対象として,大規模高速認識・検索技術を構築することにより,この目的を実現した.
著者
阿部 なつ江 馬場 聖至 荒井 章司 富士原 敏也 杉岡 裕子 鈴木 勝彦 山野 誠 平野 直人 中西 正男 道林 克禎 石川 正弘 町田 嗣樹 志藤 あずさ 伊藤 亜妃 仙田 量子 水上 知之 清水 健二 森下 知晃
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

海洋プレートの非活動域に発見された新種の火山「プチスポット火山」海域において、地球物理学的・地質学的調査および岩石試料採取を実施してきた。同試料・データは、東北沖日本海溝に沈み込む前の海洋プレートそのものであり、陸側プレートに与える影響や島弧における火山および地震活動を評価する上で、重要な試料・データをもとに、海洋プレートとその下のマントル構造について総合的な研究・調査を行った。
著者
馬場 伊美子 木村正行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.110, pp.183-190, 1994-12-16

文献[1]で提案された文字認識方式を検討する目的で、英字印刷文字認識の大分類実験を行った。実験その1では、ローマン体、ボールド体、イタリック体の各々の大文字と小文字をすべて異なる字種と見なした合計156字種を対象とし、標準パターンの作成に用いたデータを未知入力として、構造情報を活用する大分類実験を行った。その結果、大分類の段階で約95.5%の字種が真の候補1個に確定することが確かめられた。実験その2では、ローマン体の大文字と小文字を認識対象として、種々のプリントデータを未知入力とした。この場合には、標準パターンの作成を工夫すると、真の候補が大分類結果にほぼ100%含まれ、かつ平均候補数を殆ど1個とすることが可能であることが確認された。This paper concerns basically two experiments to examine the method of rough classification which is newly devised with the idea to use the structural information of a character[1]. The one is a rough classification based on the new method, using the same input data as that used to make standard patterns for the classiflcation, and the other is also a rough classification but uses input data other than that used in the former, taking an effect of noise on the classification into account. It has been illustrated from the result of these two experiments that the new method has a big possibility to make a breakthrough in making character recognition much faster.