著者
杉山 淳司 馬場 啓一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

低温ホルダが納入されたことによって、水溶液を直接顕微鏡に持ち込み、観察することができるようになった。予備実験では、酵素分解の相乗効果に加えて、セルロースそのものの構造が、分解プロセスに影響与えることが示唆された。そこで分解過程のセルロース懸濁液を経時的にサンプリングし、高い分解能で観察することを試みた。ところが、低温ホルダと同時に納入された試料汚染防止装置のギャップ間の距離が、既存の電子顕微鏡のポールピースの磁極間距離にあわないことや、その電源から低周波の振動が冷却フィンに伝わることで、まともに高解像度の画像が取れない等の不具合が生じた。このような問題点を克服するためにかなりの時間を浪費し、いまだに未解決の問題もあるものの、現段階では試料ホルダを40度近く傾斜でき、低温の実験に用いることができるようになった。像室については未だに未解決の問題があるが、電子回折を得るには最高の試料観察条件を整えることができた。そこで当初の研究プロジェクトを一部修正して、セルロースが還元末端あるいは非還元末端のいずれから合成されるかを決定するテーマに取り組むこととした。これまでの研究で大きな進展がみられ、セルロースの分子鎖の還元末端が生体の外側に向くように、つまりできあがった分子鎖の非還元末端に、モノマーが付加重合されることを、実験的に初めて証明することができた。
著者
安田 孝 吉田 司雄 馬場 伸彦
出版者
神戸女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

1920年代後半から1930年代にかけて、大量印刷技術、カメラ、ラジオといった尖端的なテクノロジーの出現に伴い、「文化」が一部の人の占有ではなくなり、より広範な階層に享受された諸相を解明した。これまでの活字メディアである新聞や雑誌も新たな読者を獲得するためにこうしたテクノロジーを積極的に取り入れたことを明らかにした。写真を一つのケース・スタディとして取り上げ、メディア・ミックス状況について考察した。
著者
金 壯一 新田 直子 馬場口 登
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.467, pp.335-340, 2011-03-03

映像編集において,映像ショット列に対する音楽のミキシングは,質の高い編集映像を生成する上で,重要な行程の一つである.映像ショット列に対する音楽ミキシングにおけるプロセスに,1)映像ショット列の動画の印象に適合する音楽の選択,2)映像ショット列中の各ショットに対する適切な音量調整,の2つが挙げられる.本稿では,事例映像における動画と音楽の特徴間の相関関係に基づいた音楽選択,音響の特徴パターンに基づいた音量調整による,映像ショット列に対する音楽ミキシング手法を提案し,事例として映画予告映像を用いた実験により各プロセスによる編集映像の質の向上を確認した.
著者
馬場 良二 和田 礼子 木部 暢子 甲斐 朋子 木部 暢子 島本 智美 甲斐 朋子 吉里 さち子 田川 恭識 嵐 洋子 平田 真理子 木下 泰臣 (きのした) 船本 日佳里 田中 翔太郎
出版者
熊本県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

外国人留学生が日本で勉学や研究にいそしむには、日常的な生活を円滑に行うことが大切です。そのためには、クラスメートや研究室の日本人、そして、アルバイト先の同僚や上司と日本語で円滑にコミュニケーションをとる必要があります。地方中核都市、ここでは熊本市内に住む外国人留学生を対象に、生活の基盤となる熊本市内方言を学習するためのテキストとそのテキストの会話や練習の音声を作成しました。

1 0 0 0 OA 児童と家庭

著者
馬場久成 著
出版者
警醒社書店
巻号頁・発行日
1918
著者
清水 信義 寺本 滋 人見 滋樹 伊藤 元彦 和田 洋巳 渡辺 洋宇 岩 喬 山田 哲司 山本 恵一 龍村 俊樹 山口 敏之 岡田 慶夫 森 渥視 加藤 弘文 安田 雄司 三上 理一郎 成田 亘啓 堅田 均 鴻池 義純 福岡 和也 草川 實 並河 尚二 木村 誠 井上 権治 門田 康正 露口 勝 宇山 正 木村 秀 香川 輝正 斉藤 幸人 武内 敦郎 森本 英夫 垣内 成泰 横山 和敏 副島 林造 矢木 晋 西本 幸男 山木戸 道郎 上綱 昭光 長谷川 健司 山田 公彌 岡本 好史 中山 健吾 山内 正信 佐々木 哲也 毛利 平 江里 健輔 宮本 正樹 森田 耕一郎 平山 雄 中川 準平 吉松 博 村上 勝 永田 真人 溝口 義人 大田 満夫 原 信之 掛川 暉夫 枝国 信三 足達 明 富田 正雄 綾部 公懿 川原 克信 西 満正 島津 久明 三谷 惟章 馬場 国昭 岡田 浪速 内藤 泰顯 櫻井 武雄 岡田 一男 西村 治 前部屋 進自 前田 昌純 南城 悟
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.1011-1019, 1991-12-20
被引用文献数
1

西日本地区30施設の共同研究により,肺癌の治癒切除例に対する補助化学療法の有用性を検討した.このtrialが終了した後5年の観察期間が経過したのでその成績を報告する.対象は絶対的治癒切除,相対的治癒切除となった肺腺癌であり,A群はMMC(20+10mg)+tegafur600mg1年間経口投与,B群はMMC(20+10mg)+UFT400-600mg1年間経口投与とした.1982年11月から1985年11月までにA群113例,B群111例の計224例が集積された.不適格例が43例であり,A群88例,B群93例を解析対象とした.背景因子には差は認めなかった.成績は5年生存率および5年健存率で検討した.両群の全症例の5年生存率はA群64.3%,B群55.6%で有意差は認めず,健存率でも差はなかった.後層別解析で,N2症例において5年生存率および5年健存率とも,B群が良好であった(p=0.029,p=0.048).
著者
雷 哲明 相良 安昭 大井 恭代 久木田 妙子 田口 稔基 相良 吉昭 玉田 修吾 馬場 信一 松山 義人 安藤 充嶽 相良 吉厚
出版者
特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会
雑誌
日本乳癌検診学会誌 (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.31-36, 2008-03-30 (Released:2009-03-19)
参考文献数
9
被引用文献数
1

2000年4月より20007年3月までの7年間に手術された乳癌のうち術前MMG(二方向)かつUS検査した2,641例(全乳癌)をretrospectiveに分析し,MMGに異常所見がなくUS検査が発見の契機となった乳癌(US乳癌)の特徴を全乳癌と比較し,US検診の可能性を探った。US乳癌は202例であり,全乳癌の7.6%であった。年齢層別にみると全乳癌と比較してUS乳癌は30歳代(11.9% vs 7.5%)と40歳代(39.1% vs 26.2%)に多く,50歳代では差がなく,60歳代70歳代では少なかった。全乳癌のうち非浸潤性乳管癌が占める割合は12.4%に対し,US乳癌では32.7%であった。浸潤癌のうち各組織亜型別の割合をみてみると,通常型のうち乳頭腺管癌,硬癌では差がなく,US乳癌では充実腺管癌が少なかった(21.5% vs 8.4%)。病理組織学的な浸潤径を測定した症例でみると,浸潤径が1cm以下の症例では全乳癌は17.3%に対しUS乳癌は32.8%であり,DCISとT1を含めると全乳癌は60.0%に対しUS乳癌は88.9%であった。以上よりMMGでは異常所見がないUS乳癌は若年者,非浸潤癌と腫瘍径が小さい浸潤癌が多かった。40歳代以下の若年者,高濃度乳房の早期乳癌発見のためにはUS併用は不可欠であり,集団検診におけるUSの導入には早急に費用対効果の検討が必要と思われた。
著者
馬場 紀寿
出版者
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部インド哲学仏教学研究室
雑誌
インド哲学仏教学研究 (ISSN:09197907)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.17-31, 2003-03-20

The Interpretation of the Paţiccasamuppādangas in the Mahāvihāra Theravāda tradition changed in the order of the "Vibhasigasutta", Vibhańga, VIsuddhimagga and the commentaries on the Vinaya and the four Nikāyas. In this paper, I examine the process of change in these different interpretations. (1) The "Vibhańgasutta" (Samyuttanikāyu Nidānavagga2) is the only sutta in the four Nikāyas that describes paţiccasamuppāda as having twelve ańgas and defines all twelve paţiccasamuppādańgas. (2) The "Suttantabhājaniya" section of the "Paccayākāravibhańga" chapter in the Vibhańga follows almost the same definitions of the paţiccasamuppādańgas as are found in the "Vibhańgasutta", but changes the definitions of sańkhārā, nāma, and bhava. "Vibhańgasutta" → Vibhańga (a) sańkhārā : kāya-, vacī-, mano-sańkhāra → puñña-, apuñña-, āneñja-, kāya-, vacī-, mano-(abhi)sańkhāra (b) nāma : v edanā, sañña, cetanā, phassa, manasikāra → sañña-, sańkhāra-, viññāna-kkhandha (As a result of this change, viññāna and nāmarūpa came to mean pañcakkhandha) (c) bhava : kāma-, rūpa-, arūpa-bhava. → kamma-, uppatti-bhava These changes made both "sańkhārā ⇒ viññāna・nāmarūpa" and "bhava ⇒ jāti" common causation as follows. (a) sańkhārā ⇒ viññāna → nāmarūpa = puñña-, apuñña-, āneñja-abhisańkhāra ⇒ khandhā kāya-, vaci-, mano-sańkhārā (b) bhava ⇒ jāti = kamma-bhava (including puñña-, apuñña-, āneñja-abhisańkhāra) ⇒ khandhā uppatti-bhava ※jāti is defined as "khandhānam pātubhāvo" (the appearance of khandhā) in the Vibhanga. But in this text the standpoints of "kayia-, vaci-, mano-sańkhārā" and "uppatti-bhavia" are not yet clear. (3) The Visuddhimagga basically follows the same definition of the paţiccasamuppādańgas as found in the Vibhańga rather than those of the "Vibhańgasutta". Moreover, the Visuddhimagga interpretes the six sańkhāras as three sańkhāras, and restricts bhava as being the cause of jāti to only kammabhava. (a) sańkhārā ⇒ viññāna → nāmarūpa = puñña-, apuñña-, āneñja-abhisańkhāra ⇒ khandhā (b) bhava ⇒ jāti = kamma-bhava (including puñña-, apuñña-, āneñja-abhisańkhāra) ⇒ khandhā Therefore, it is clear those the Vrsuddhimagga interpretes both "sańkhārā" ⇒ viññāna→nāmarūpa" and "bhava ⇒ jāti" as "kamma (action) ⇒ rebirth". With these interpretations, Paţiccasamuppāda theory came to explain the causation of the past, present, and future. (4) The commentary on the Vinaya (Samantapāsādikā) and the commentaries on the four Nikāyas (Sumańgalavilāsinī, Papañcasūdanī, Sāratthappakāsinī, Manorathapūranī) do not explain paţiccasamuppāda in detail and advise readers to study it by reading the Visuddhimagga. Thus, the Visuddhimagga represents the final stage in the interpretation of paţiccasamuppāda theory.
著者
吉池 俊貴 庄司 りか 助友 文香 對月 沙織 西川 忠宏 菊川 裕也 王 丹青 馬場 哲晃 串山 久美子
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2011-EC-21, no.10, pp.1-6, 2011-08-23

著者らはマスクや仮面,フルフェイスヘルメット,着ぐるみ等使用した際に顔面の動きを非接触にて計測しインタフェースとして利用可能なセンシング技術の開発を行っている.これまで,マスク型のオブジェクトにフォトリフレクタを多点配置する事で,非接触にて顔面の動きを計測する事ができた.顔面の動きは主に口,目,眉,頬の動きを計測している.本稿ではこの仕組みを利用して,顔面を入力としたインタフェースとして本機構がどのように利用可能かを提案する.
著者
馬場 純子
出版者
田園調布学園大学
雑誌
人間福祉研究 = The human welfare review (ISSN:13477773)
巻号頁・発行日
no.3, pp.59-78, 2000-12-30

近年,わが国においては「ケア」と「介護」を同義語とすることをはじめ,「ケア」という言葉が氾濫しているといっても過言ではない状況にある。公的介護保険制度の開始,社会福祉基礎構造改革や社会福祉法の制定など,わが国の社会福祉をめぐる状況が大きく変化している現在,本研究はそれを自明のこととするのではなく改めて「ケア」の概念,意味するところを問い直そうと問題提起するものである。その第一歩として,人が「ケア」或いは「ケアする行為」をするのはなぜか,その動機や理由,人を「ケア」「ケアする行為」に導くもの,その基盤について,特にインフォーマル・ケアを中心に主に社会学的側面からの検討を行った。その結果,個人には人との関係を通してのみ満たされることのできるwell-beingに必要なものがあり,異なる関係においては異なる機能がもたらされるということが判明した。そして同じケアでもその担い手との関係によりもたらされるものが異なるという知見は,今後の地域福祉型社会福祉における社会的分業に貴重な示唆を与えるものであるが,人を「ケア」或いは「ケアする行為に」導くものの説明に十分な説得力あるものとはならなかった。今後は併せて哲学的,倫理的な側面からの検討を行う。
著者
上柿普史 中島悠太 馬場口登
雑誌
画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2011)論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.1645-1652, 2011-07-20

映像の要約や編集などのアプリケーションでは,重要な領域を推定し,その領域に基づいて映像を処理することから,重要な領域の推定手法が必要とされている.一方,YouTube などにはモバイルカメラで撮影された映像が多く投稿されており,これらの映像には「自分の子供を撮影したい」などの撮影意図が存在する.このとき「子供の領域」のような撮影者が意図的に撮影した領域(意図領域)は撮影意図に不可欠である.本稿では,意図領域を重要な領域として推定する手法について述べる.提案手法では,撮影者はフレーム中で意図領域を適切に配置するようにカメラを動かすことから,撮影者の行動が反映されるカメラの動きと映像特徴のモデルを構築し,このモデルに基づいて意図領域を推定する.さらに,実験により提案手法の有効性を示す.
著者
金子 賢治 馬場 則男 陣内 浩司
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
顕微鏡 (ISSN:13490958)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.37-41, 2010
被引用文献数
1

<p>近年,電子線トモグラフィ(TEM-CT)法がナノスケールの空間分解能で内部の複雑な立体的情報を解析する手法として注目を集めています.本稿ではその1:原理と題してTEM-CT法の原理や歴史的背景,連続傾斜像の撮影と再構築,ラドン変換や再構成法について概説します.</p>
著者
清水 康行 馬場 仁志 泉 典洋 関根 正人
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

1.混合粒径の材料で構成された一様湾曲流路が外岸方向ヘシフトしていく過程に関する数値計算モデルの構築を行った.流路の変動とリンクする形で土砂の分級が生じ,内岸側に細流土砂が堆積することでテラス状の地形ができることを確認し,考察を行った.2.1999年8月に発生した阿武隈川洪水の後,福島盆地下流端の梁川橋付近の河川敷において現地観測を実施し洪水による高水敷上への細粒土砂分の堆積量を調べた.それによると堆積している土砂は0.1mm程度の通常はウォッシュロードと呼ばれるような非常に細かい砂であり,低水路側から堤防側に行くにつれて粒径が小さくなっていることがわかった.また堆積のピークは低水路から10m程度離れたところに流れと平行方向に帯状に分布していることが明らかとなった.これによって洪水時に輸送される浮遊砂あるいはウォッシュロードの堆積が洪水敷の発達及び川幅維持に大きな影響を与えていることが示唆された.3.混合粒径河道で、緩やかに蛇行している実河川(一級河川鵡川、穂別橋地点)において、融雪期と夏期の洪水観測を行い、掃流砂および浮遊砂の移動実態を観測した。流速についても、ADCPを用いた洪水中の観測に初めて成功し、蛇行による二次流の発生を3次元的にとらえることができた。4.粘性河岸による自由蛇行の模型実験を行い,河床および河岸材料に粘性土が混入した場合の耐侵食性および河岸侵食形態の変化について考察を行った.5.河床と河岸の両方の変化を同時に扱うことが可能な数値計算モデルの開癸を行った.計算モデルの検証は,自由蛇行の模型実験を用いて行った.この結果,計算モデルは実験結果における,河岸侵食を伴った自由蛇行の時間経過を精度良く再現可能であることが示され,砂質河道の自由蛇行を定量的に解析可能なモデルであることが確かめられた.
著者
渡辺 信 馬場 繁幸 馬場 繁幸
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

生態ニッチ確立の初期段階において、マングローブ実生が生存するためには通気層が未発達な根における無酸素呼吸によるエネルギー獲得が重要と考えられた。樹種によっては実生が水没してから早い段階で根の通気層が形成されることから、無酸素呼吸から有酸素呼吸に移行するタイミングが樹種間の生存競争に影響を及ぼすと考えられた。一方で、壮齢期のオヒルギが優先するマングローブ林では一年を通じた湛水頻度は低く、樹種間相互の被陰による光不足がマングローブ樹種間の競争に大きな影響を及ぼすことが示唆された。
著者
木下 仁 馬場 謙介 伊東 栄典 廣川 佐千男
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会火の国情報シンポジウム2011
巻号頁・発行日
2011-03

近年、研究成果公開とアーカイブのために機関レポジトリが充実してきている。 自分の論文のアクセス状況は、研究者にとっても意味のある情報といえる。本 発表では、アクセスログに現れる検索語と論文題名の関係について分析結果を 紹介する。
著者
馬場 章 吉見 俊哉 佐藤 健二 五百籏頭 薫 添野 勉 研谷 紀夫 木下 直之
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

国内外の名刺判写真の悉皆的な所蔵調査を行ってデジタルデータ化し、デジタルデータを活用した調査研究結果を通じた名刺判写真の生産・流通・消費・保存プロセスの分析と印刷媒体への接続、それによるパブリックな視覚的イメージの生産に注目し、それらが指し示す明治期の社会的高位に属する人々のコミュニケーションモデル、社会モデルの再構築を試みた。これらを通じ、写真資料という、従来歴史資料としての活用が不十分であった資料から読み解くことのできる「歴史情報」とそれに基づいた新たな歴史像、社会像を構築するための基礎を築いた。