著者
高橋 浩 風早 康平 高橋 正明 稲村 明彦
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

トリチウムを指標として深部流体の化学組成を求めるための解析をシオワッカ、鹿塩、有馬・宝塚、津和野において実施した。推定された深部流体の化学成分は、どの地域もNa-Clが主要成分であるが、宝塚や有馬でCaに富み、津和野やシオワッカでMgに富む傾向があった。さらに、炭素成分にバリエーションが見られた。深部流体に特徴的な成分であるCO2、ClとH2Oについて見てみると、有馬、宝塚、津和野におけるC/Cl比はおおよそ一致し、H2Oとの比が変化している。全炭酸-Cl-Liの比では、有馬・宝塚の方が津和野よりもわずかに高いLi/Cl比を示すものの、非常に似た組成を示した。このことは、有馬・宝塚と津和野では共通した深部流体端成分を示唆し、トリチウムを含まない淡水による希釈の影響を示す。一方、鹿塩地域では、Li/Cl比も有馬・宝塚・津和野より高かった。これは、深部流体の上昇過程において、地層との反応が起きているためと考えられる。
著者
浅田 和雄 高橋 浩昭 高橋 尚志
出版者
社団法人日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.41, no.468, pp.1396-1402, 1992-09-15

When a projectile with high velocity impacts onto a target, several fracture modes (such as spall fracture, plug fracture, penetration fracture and so forth) appear in the target. Therefore, in order to identify an impact fracture strength of materials, a particular type of impact experiments should be undertaken. For example, an impact experiment for flying plate is suitable to determine the spall fracture strength. Different impact conditions, however, may bring in different fracture strength even for the same target material. For the purpose of clarifying perforation dynamics (mechanism) by means of computer code, it is necessary to provide a unified fracture condition which enables to explain all modes of spall fracture, plug fracture and penetration fracture. Under this fracture condition, fracture takes place when the strain has attained its critical value, which may be affected by pressure and temperature. In the present study, the unified fracture condition was examined through comparison between the back surface velocity of flying plate impact experiment and the velocity calculated from computer code by using Ni-Cr-Mo steel (SNCM-630 steel). The computer code used here was that of one -dimensional large deformation stress wave propagation by finite-difference-method. The experimental results and computer code results were well in accord with each other, confirming the applicability of the unified fracture condition to perforation dynamics.
著者
高橋 泰嗣 佐藤 亮太郎 川畑 洋昭 高橋 浩光 加藤 幹雄 高橋 眞映
出版者
岡山県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

バナッハ空間の構造を調べるには、空間のもつ様々な性質及びそれら諸性質の相互の関係を詳細に考察することが必要である。本研究では、古典的なノルム不等式及びその一般化を用いて、空間の様々な性質を特徴づけ、諸性質の相互の関係を明らかにした。以下に、得られた結果の概要を示す。1.Clarkson型不等式とバナッハ空間の幾何学:Clarkson不等式(CI)の一般化として、多次元版及び重みつきを考察した。また、これらの不等式を用いて、空間の様々な性質(type-cotype,一様凸性など)を特徴づけた。更に、ランダムClarkson不等式の一般化も考察した。2.Von Neumann-Jordan(NJ-),James(J-)定数とバナッハ空間の幾何学:バナッハ空間のNJ-定数をJ-定数を用いて評価した。また、空間の正規構造係数をNJ-定数で評価した。更に、J-定数の一般化としてJames型定数を導入し、これらの定数との関連で空間の様々な性質を考察した。3.Hlawka型不等式とその拡張:空間のtype-cotypeとの関連でHlawka不等式の一般化を考察した。また、Hlawka不等式の拡張を積分形で与え、その応用としてDjokovic不等式を重みつきで与えた。これらの逆不等式の考察、及び、新たな解釈なども与えた。4.Absolute normについて:空間の幾何学的性質の多くが2次元的であることから、C^2上のabsolute normに着目し、その基本的な性質を対応する凸関数との関連で調査した。また、一般のバナッハ空間の直和にabsolute normを導入し、この空間の一様凸性や狭義の凸性を対応する凸関数との関連で調べた。更に、C^n上のabsolute normについても考察した。その他、種々のノルム不等式の拡張、エルゴード定理の拡張、ウェーブレット解析の応用などについて成果を得た。これらは、学会誌及び各種のシンポジウム等で発表した。
著者
能瀬 春雄 坂根 政男 北野 誠 塚田 裕 高橋 浩之 向井 稔
出版者
一般社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学術講演大会講演論文集 第17回エレクトロニクス実装学術講演大会
巻号頁・発行日
pp.26, 2003 (Released:2003-10-14)

電子デバイスの高密度実装化や高発熱化に伴い,電子デバイスの電気・機械的接合に用いられるはんだ接合部の使用環境はより厳しくなり,信頼性の高い強度評価法が求められている.しかし,これまで,はんだの引張および低サイクル疲労試験法は信頼できる標準的な手法が確立していなかった.本報告では,日本材料学会高温強度部門委員会で策定した,「はんだの引張試験法標準」および「はんだの低サイクル疲労試験法標準」について報告する.また,同試験法によって得られた,鉛系および非鉛系はんだのデ_-_タベ_-_スについても紹介する.
著者
風早 康平 安原 正也 高橋 浩 森川 徳敏 大和田 道子 戸崎 裕貴 浅井 和由
出版者
日本水文科学会
雑誌
日本水文科学会誌 (ISSN:13429612)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.221-252, 2007-11-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
210
被引用文献数
8 9

近年, 地下水研究においては, 流動プロセス, 水収支, 起源, 化学反応, 年代などの解明の目的で, トレーサーとしての環境同位体の利用が進み, 多くの手法提案もなされている。環境トレーサーのうちよく利用される1) 酸素・水素同位体, 2) 炭素同位体, 3) 希ガス, 4) 塩素同位体, 5) クロロフルオロカーボン類などについて, その利用手法および有効性についてレビューを行った。 用いる環境トレーサーが, 反応性のないものであれば, それは地下水が涵養されるときの情報を保持しうる。酸素・水素同位体やd値などは, 涵養の場の特徴応じてそれぞれ固有の値を持つ (標高効果, 内陸効果など) ことが知られているため, 地下水の涵養場の情報を得る上で強力なツールである。含炭素成分は反応性が高いが, 炭素同位体の利用により, その起源を知ることができ, それにより地下水系の中で生じる各種化学反応やガス付加のプロセスについての情報を得ることができる。放射性炭素については, 以前より地下水の年代測定に用いられてきたが, DICの起源について吟味した上で年代結果を論じなければならない。トレーサーとしての希ガスの利用は, その溶解度が温度に依存することから, 涵養時の温度の推定に用いることができる。放射壊変起源の4Heは, 地殻内部で生産され深層地下水系内に蓄積されてゆく。したがって, 4Heの蓄積率がわかれば, 非常に長い滞留時間の推定することができる。放射性塩素は~100万年といった非常に古い地下水の年代測定に用いられる。また, 1950年代に行われた核実験により生成されているため, それをトレーサーにして若い地下水年代にも応用可能である。クロロフルオロカーボン類は, 近年の工業利用により大気中に存在するようになったため, 地下水はその涵養時に溶解する。これらの成分は非常に高感度に濃度の測定ができるため, 若い地下水年代測定や深層地下水系への若い浅層地下水の混入・汚染などに応用される。 個々のトレーサーを用いた手法は, 非常に簡単な地下水系にのみ適用可能であるため, より複雑な地下水流動系の解明のためには, 複合トレーサーとして各種の成分を扱い, 年代や起源の異なる地下水の混合などのプロセスを明らかにしてゆく必要がある。複合トレーサー利用をした複雑系のシミュレーションによる地下水系の研究は現在, 非常に進展している分野のひとつである。
著者
渡邊 浩和 小野 勉 松永 昭浩 金川 明弘 高橋 浩光
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.119-126, 2001-02-15
被引用文献数
1

複数巡回セールスマン問題(MTSP)とは, 複数のセールスマンが与えられた都市を巡回訪問するとき, ある評価関数値を最小にするような各人の巡回経路を求める組合わせ最適化問題である.この経路を求めるにあたって, 各セールスマンの担当経路の輻輳は最大限避ける一方で, 各セールスマンの担当経路長はなるべく均等化することが望ましい.本論文では, MTSPの一つの近似解法を提案する.提案の解法は, ファジィクラスタリングにより, 各人の担当経路の中心部分のみを決定しておき, 残された都市の各クラスターへの挿入を通して担当経路長の均等化を計るアルゴリズムである.MTSPの一種であるN-TSPに関して, Fredericksonらのツアー分割アルゴリズムとの解の比較を行い, 提案法の有効性を示す.
著者
藤澤 正視 稲村 哲也 渡部 森哉 福山 洋 菊池 健児 高橋 浩 五十嵐 浩也 山本 紀夫 川本 芳 大山 修一 大貫 良夫 阪根 博 ワルテル トソ セノン アギュラール カルロス サバラ 鶴見 英成 藤井 義晴 阿部 秋男
出版者
筑波技術大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

ラス・シクラス遺跡の発掘を実施し、同遺跡の中核的遺構の北マウンドの様態を解明した。マウンド上部の建築群は形成期早期(紀元前2900~1800年)の神殿建築であり、少なくとも8回の神殿更新が認められた。その過程で多量のシクラが使用されたのがこの遺跡の特徴である。シクラ構造を模擬した試験体で振動台実験を行った。その結果、一定の制振効果をもつことが確認される一方で、ある条件のもとでは、その効果がなくなるという特徴が示唆され、シクラを持つ神殿の地震動に対する挙動と被害軽減効果を確認した。
著者
中沢 正治 小佐古 敏荘 高橋 浩之 持木 幸一 井口 哲夫 長谷川 賢一
出版者
東京大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1988

本研究は、CR-39固体飛跡検出器にポリエチレンなどの適当なラジエ-タを組み合わせ、ラジエ-タ物質と中性子の核反応で生じた荷重粒子CR-39への入射量を調整することで、全体として中性子感度曲線が、中性子線量当量換算係数のエネルギ-依存性をできるだけ再現するような最適ラジエ-タの組み合わせと飛跡計数方式を見出すことを目的としている。咋年度までに、標準的なラジエ-タ付きCR-39線量計および飛跡読み取りシステムの試作と予備的な中性子感度曲線の校正(検証)実験を行なった。本年度は、まず中性子検出効率の理論的検討を行ない、実験的に確証するため、東大原子力工学研究施設内の重照射設備およびブランケットにおいて中性子照射実験を行った。試料として、CR-39プラスチックに厚さがそれぞれ0.86,1.90,4.02mg/cm^2のポリエチレン、および厚さ5mmの^6Li_2CO_3を密着させたものを使用し、人体のアルベド効果を模擬するため、後方にポリエチレンブロックを置いて行なった。その結果、各ラジエ-タ厚で、中性子エネルギ-に依存する検出効率の実験値は、誤差の範囲内で比較的良く計算値と一致した。つぎに、これら4種の感度特性と、ラジエ-タ無しの特性からレムレスポンスを近似的に求めるため、重み係数を最小2乗法により求めた。これによると再現性は良好である。特に、中性子線量当量換算係数が大きく変化する100KeVから1MeVの中性子エネルギ-領域の再現性に優れていることが明らかとなった。しかし、10MeVを超えると、検出器感度が低下するため、レムレスポンスの再現性が悪くなる。この対策として、薄いアルミ板をCR-39プラスチックの前面に置くことのより、感度を高められることが確認されている。以上より、小型・計量で取り扱いが容易な中性子個人被爆線量計の実用化の見通しがついた。
著者
中川 光弘 高橋 浩晃 松島 健 宮町 宏樹 長谷川 健 青山 裕 石塚 吉浩 宮城 洋介
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

カムチャッカのクリチェフスコイ火山において地球物理学的および岩石学的研究を実施した。研究期間中に4点の傾斜計を設置し、既存の地震計を合わせた観測網を構築・維持させることができた。そして2010年の噴火活動中に10~20分の周期でのサイクリックな傾斜変動を観測し、ストロンボリ式噴火モデルを構築した。特に過去3000年間の噴火堆積物の物質科学的解析を行った結果、3000年間で2タイプの初生玄武岩質マグマが存在し、ひとつのタイプから別のタイプへと次第に入れ替わっていることが明らかになった。また最近80年間の噴火では火山直下のマグマ供給系が噴火活動期毎に更新されていることも明らかになった。