著者
小泉 丈晴 山崎 博子 大和 陽一 濱野 惠 高橋 邦芳 三浦 周行
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.205-208, 2002-09-15
被引用文献数
3

アスパラガス促成栽培における若茎の生育に及ぼす品種, 低温遭遇量, 株養成年数および性別の影響を検討した.曲がり症は, 低温遭遇にともない発生率が低下し, 曲がり症を発生した若茎に立枯病の病徴である導管褐変がみられなかったことから, 促成栽培における曲がり症は休眠覚醒が十分でないことにより発生すると推定された.2年生株の供試品種いずれにおいても, 販売可能若茎重および若茎収穫本数は低温遭遇量が多い区で増加した.'バイトル'および'ウェルカム'は, 低温遭遇量が少なくても曲がり症発生率が低下し, 販売可能若茎重および若茎収穫本数が増加し, 'グリーンタワー'および'スーパーウェルカム'より休眠が浅いと考えられた.'グリーンタワー'の1年生株の雄株および雌株並びに2年生株の雄株では, 曲がり症発生率および販売可能若茎重から判断すると, 伏せ込み開始時期は2年生株を用いた従来の栽培よりも約2週間の前進が可能であることが示された.
著者
高橋 由依 隈元 庸夫 世古 俊明 金子 諒介 吉川 文博
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.699-705, 2015 (Released:2015-12-06)
参考文献数
19

〔目的〕ブリッジ運動評価の有用性について検討し,その基準値を得ること.〔対象〕片麻痺者56名とした.〔方法〕対象を起立,「している」移動,「できる」移動で能力別に群分けし両脚,麻痺側・非麻痺側ブリッジ運動時の荷重率と股屈曲角度(角度),膝伸展筋力,ブルンストロームステージについて群間比較し,有意差を認めた項目を独立変数,各動作能力を従属変数とするロジスティック回帰分析を行いROC曲線からcut-off値を算出した.〔結果〕起立が可能となる麻痺側ブリッジ角度は34°,「している」移動が歩行,「できる」移動が非補助具となる麻痺側ブリッジ荷重率は18%であった.〔結語〕麻痺側ブリッジ運動評価は,起立と移動能力を反映する片麻痺者の股関節伸展運動能力を定量評価しうる有用な評価法であることが示唆された.
著者
武藤 桃太郎 武藤 瑞恵 石川 千里 井上 充貴 升田 晃生 高橋 裕之 萩原 正弘 青木 貴徳 橋本 道紀 稲葉 聡 矢吹 英彦
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.49-56, 2014

症例1は85歳, 女性。近医にてCEA9.2ng/mlと高値を指摘され当科紹介となった。CT検査, 超音波検査で虫垂部に嚢胞状腫瘤を認めた。注腸造影検査では盲腸下端に半球状の表面平滑な隆起性病変を認め, 虫垂は造影されなかった。虫垂粘液嚢腫の診断で盲腸部分切除術を施行し, 術後CEAは4.7ng/mlと正常化した。 症例2は74歳, 女性。高血圧, 高脂血症で当科通院中にCEA12.3ng/mlと高値を示し, CT検査, 超音波検査で虫垂部に嚢胞状腫瘤を認めた。注腸造影検査では盲腸に粘膜下腫瘍様隆起を認め, 虫垂は造影されなかった。虫垂粘液嚢腫の診断で盲腸部分切除術を施行し, 術後CEAは1.5ng/mlと正常化した。 いずれも病理検査で虫垂粘液嚢胞腺腫と診断され, 免疫染色ではCEA陽性であった。
著者
平井 美佳 神前 裕子 長谷川 麻衣 高橋 惠子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.56-69, 2015 (Released:2017-03-20)
参考文献数
34

本研究は,わが国の未就学児に必須な養育環境とは何かについて,人々の持つ素朴信念を検討し,相対的貧困の指標とされる社会的必需品を考える一助とすることを目的とした。研究1では,先行研究を検討し,専門家および未就学児の親の意見を加味して40項目から成る「乳幼児に必須な養育環境リスト(What Children Need List:WCNリスト)」を作成した。未就学児の母親484名を協力者として,自分の子どもの養育環境の充足の程度を確認したところ,37項目で合意基準(50%以上)を超え,また,主観的経済状態を統制した上でも養育環境が充たされているほど子どもの発達が良好であるという関連が見出され,WCNリストの妥当性が確認された。研究2では,WCNリストを用いて未就学児の親503名(2a),性別と居住地域を人口動態に合わせた全国の市民1,000名(2b),および,未就学児のひとり親74名(2c)を協力者として,「現在の日本の子どもが健康に育つために必要である」と考える程度について尋ねた。その結果,合意基準を超えた項目は,2a~2cのそれぞれで19項目,9項目,30項目とサンプルにより異なり,特に未就学児を養育している当事者である,女性である,年代が若いことが合意を促進する要因であることが明らかになった。この結果について,本研究の限界と将来の課題を論じた。
著者
古沢 常雄 池田 賢市 板倉 裕治 岩崎 久美子 岩橋 恵子 上原 秀一 小林 純子 園山 大祐 高津 芳則 高橋 洋行 夏目 達也 藤井 穂高 堀内 達夫 小野田 正利 藤井 佐知子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、学業失敗や無資格離学、失業など我が国と共通の様々な教育問題を抱えるフランスにおいて、社会統合と公教育の再構築に向けたキャリア教育の取り組みがどのように行われているかを、全教育段階を対象に総合的に明らかにした。フランスでは、我が国のキャリア教育(英語のCareerEducation)に相当する概念はほとんど用いられていないが、先進諸国においてキャリア教育が必要とされる社会的背景を共有しており、フランスにおいてキャリア教育と呼びうる様々な教育活動が義務教育、後期中等教育及び社会教育・継続教育の分野でどのように実際に展開されているのかを総合的に明らかにした。
著者
寺岡 文雄 北原 一慶 多田 広宣 中川 正史 高橋 純造
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.274-279, 1995-04-01 (Released:2010-08-10)
参考文献数
12

Dimensional changes of complete dentures, which were constructed by six conventional polymerization methods, were investigated after polymerization and during storage. The discrepancy at median line and alveolar ridge was larger in the dentures constructed in a water bath at 70°C for 40 min and then at 100°C for 30 min, in a hot press and by microwave polymerization than in a water bath at 70°C for 24 hrs, for 8 hrs and by autopolymerization. The discrepancy at the denture border of the dentures constructed by autopolymerization during storage in water for 30 days was 0.174±0.048 mm and in the case of the dentures constructed by other polymerization methods was less than 0.1 mm. Since the dimensional changes of the dentures during storage in water occurred up to 7 days, it seems reasonable that wearing dentures or occlusional adjustment should be carried out after storage in water for more than 7 days. The discrepancy was 3 to 4 times in the dentures stored in air than in water. When the dentures which were stored in air for 30 days was immersed in water for 30 days, the discrepancy at the denture border of the dentures constructed by autopolymerization was restored to 0.214±0.097 mm, but in the case of other polymerization methods, it was restored to about 0.14 mm.
著者
高橋 和雄
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.219-234, 1995-12-31
参考文献数
7
被引用文献数
2

The heavy rain which swept over the Nagasaki districts on 23 July 1982,killed 299 persons and damaged so seriously to Nagasaki City and its vicinity. The local government created the committee to deliberate the reconstruction plan in Nagasaki districts. Voluntary organization for disaster prevention were formed to promote and make sure of evacuation of inhabitants by leadership of Nagasaki City. In the present work, present situations and problems of voluntary organizations for disaster prevention are investigated by questionnaire for the representative of the voluntary organizations. Information transmission, automatic warning equipment for debris flow, disaster prevention radio communication and disaster fighting drill are checked.
著者
高橋 寿光 西坂 朗子
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.2-13, 2016
被引用文献数
1

<p>The second boat pit of Khufu is located on the south side of the pyramid of Khufu at Giza, Egypt. In 2011, the cover stones of the second boat pit were lifted up by the Japanese-Egyptian joint mission. The graffiti in red, yellow and black inks were recognized on some of the cover stones. It is well known that the graffiti written on building stones provide information about transportation procedures and workmen involved in the work. This paper aims to examine the graffiti on the cover stones in order to understand transportation process and workmen responsible for these works.</p><p> The graffiti on the cover stones can be chronologically divided into at least two stages by observing the surface treatment of each cover stones. The stone surfaces which show the older stage were roughly shaped. On the other hand, the surfaces at new stage were carefully smoothed. According to observation, it was presumed that the old stage corresponds to the phase from quarry to workshop and the new stage coincides with the phase after shaping stones at workshop.</p><p> The old stage graffiti include the simple signs such as "ankh," "hetep," "nefer" which seem to represent the team of workmen in charge of transporting stones. The destination marks in old stage such as "pyramid," "temple" instruct transportation from quarry to pyramid area. The graffiti in new stage include inscriptions with the name of Khufu or Dedefra which represent the workmen in charge of drugging stones in the pyramid area. The destination marks include "boat" or "boat-pit" which seems to indicate the instructions of delivery to the second boat pit.</p><p> The study of graffiti on the cover stones from second boat pit suggest that two distinctive organizations were involved in the transportation of stones from quarry to the building site at Giza.</p>
著者
中村 壮大 勝平 純司 松平 浩 高橋 美帆 佐久間 善子 崎田 真里子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0269, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】四つ這い位などの運動課題の違いが腹横筋に与える影響についての研究は認められるが,ブリッジ動作の種類の違いによる影響の検証は行われていない。そこで我々は,ブリッジ動作の種類の違いがどの様に腹横筋の筋厚へ影響を及ぼすかを明らかにすべく検証を行った。【方法】対象は整形外科的手術歴がなく,神経学的にも問題のない健常成人26名(男性10名,女性16名)とした。超音波診断装置を用い課題動作である3種類のブリッジ動作(両脚ブリッジ,片脚ブリッジ,クロスブリッジ)と安静時の腹横筋の筋厚の測定を実施した。被験者は両脚ブリッジ(股関節伸展0°となるまで臀部を挙上),片脚ブリッジ(一方の下肢の膝関節を完全伸展させたまま臀部を挙上させ股関節伸展0°になるようにし,左右の膝蓋骨の高さが同じかつ足関節底背屈0°),クロスブリッジ(一方の外果を他方の膝蓋骨上縁に接し,他方の股関節伸展0°となるまで臀部を挙上させる)を行う。これに加え,ブリッジをしない安静時のコントロール群,計4種類における腹横筋の筋厚を測定した。測定条件として①ブリッジ動作時上肢は胸の前でクロスする②両脚ブリッジでは両側の膝関節,片脚ブリッジ・クロスブリッジでは接地側の膝関節を70°屈曲位とする③足底はベッドに全面接地させる。分析方法は2試行の平均値を代表値とした。統計処理として,ブリッジの種類による腹横筋の筋厚の比較には,種類,左右,性差の三元配置分散分析反復測定法を実施し,交互作用を検討した後に,一元配置分散分析反復測定法(種類)にて検定を行った。有意水準は5%とした。また,被験者に対して各ブリッジ動作の難易度についてのアンケートを実施した。【結果】三元配置分散分析(種類,左右,性差)を行った結果,性差には有意差を認めたものの,種類と性差,種類と左右,性差と左右に交互作用は認められなかった。そこで,一元配置分散分析(種類)にて検定した結果,安静時に比べ両脚では有意に筋厚の増加が認められた(p=0.001)。また,片脚に比べ両脚(p=0.002),クロスに比べ両脚(p=0.001)でも有意に筋厚の増加が認められた。【結論】ブリッジ動作の種類の違いにおける腹横筋の筋厚への影響を検証した結果,両脚ブリッジにおいて最も筋厚が増加した。諸家によって,支持基底面が不安定な時には脊柱起立筋やハムストリングといったグローバル筋群が活動する事が報告されている。本研究において両脚ブリッジで最も腹横筋の筋厚が増加した要因として,片脚やクロスなどのブリッジ動作と比較して両脚ブリッジでは支持基底面が安定しているため,骨盤底筋群や腹部深層の腹筋群の収縮が得られやすく,これが,腹横筋の筋厚の増加につながったと考えた。本研究により両脚ブリッジが最も腹横筋の筋厚が増加することが明らかとなった。これらは,リハビリテーション分野におけるトレーニング方法の重要な知見となると考える。
著者
金子 杏弓 高橋 史
出版者
信州大学大学院教育学研究科心理教育相談室
雑誌
信州心理臨床紀要 (ISSN:13480340)
巻号頁・発行日
no.16, pp.21-26, 2017-06

本研究では,被援助志向性に影響を及ぼす感情的側面として心理的負債感を仮定し,心理的負債感を感じやすい者ほど他者に対する援助要請への志向性が低いという仮説を検証した。大学生・大学院生92名を対象に質問紙調査を行った結果,被援助志向性と心理的負債感の聞には統計的に有意な相関がみられず,仮説は支持されなかった。この結果は,被援助志向性と心理的負債感がそれぞれ独立して援助要請行動に影響を及ぼしている可能性を示唆している。今後は,被援助志向性および心理的負債感が援助要請行動に及ぼす影響について検証を重ねる必要がある。