著者
石田 毅 村田 澄彦 深堀 大介 薛 自求
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

火力発電所などから排出される CO2(二酸化炭素)を分離回収し地中に貯留すれば,有効な地球温暖化対策となるが,そのためには,地中に圧入された CO2 の挙動を調べておく必要がある.本研究では CO2 を花崗岩に圧入して破砕する実験を行った.その結果,CO2 は粘度が小さいため,水に比べて分岐の多い 3 次元的亀裂が広い範囲に造成される傾向が見られた.このことは,シェールガスや高温岩体地熱開発などの亀裂造成に CO2 を有効に利用しつつ地中貯留を実現できる可能性を示している
著者
岩月 啓氏 辻 和英 山本 剛伸 山崎 修
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1.EBウイルス関連NK/T細胞増多症の疾患スペクトラム:本症の診断拠点施設としての役割を担ってきた。集積例の解析からそのスペクトラムを明確にし、悪性転化群の特徴を明らかにした(Arch Dermatol 2006,Eur J Dermatol 2006).皮膚リンパ腫登録制度を発足させ、EBウイルス関連リンパ腫の実態把握を開始。2.非侵襲的診断法および細胞内遺伝子発現解析:痂皮を用いた非侵襲的EBウイルス潜伏感染診断法を開発し(J Microbiol Methods 2007),国際特許申請中(PCT/JP2006/317851)。他のヘルペスウイルス感染にも応用し、ウイルス遺伝子産物とともに細胞内シグナルを解析(Eur J Dermatol投稿中)。3.ウイルス再活性化の証明と潜伏感染パターン変化:重症型では、病変内におけるEBウイルス再活性化シグナル(BZLF-1 mRNA)が明らかになった。一方、軽症の種痘様水疱症では、再活性化ではなく、皮膚病変内での潜伏感染IIへの移行がみられた。4.EBウイルス感染細胞株解析:樹立EBウイルス感染NK/T細胞株にて,PMAおよびある種のサイトカインによって潜伏感染から溶解感染への誘導ができた(論文準備中)。5.宿主免疫応答解析:ウイルス遺伝子発現と反応性CTLを解析して本症の主たる病態を明らかにした。6.治療への取り組み:腫瘍抗原に対する免疫応答誘導を確認し(Int J Cancer 2007),同時に免疫機構からの回避現象を解析した(Cancer Immunol Immunother 2008).EBウイルス感染細胞がHDAC阻害薬に感受性があることを見出した。EBウイルス関連疾患における免疫・薬物療法展開にとって貴重なデータを得た。7.EBウイルス関連リンパ腫を含めた診療ガイドラインを作成した。
著者
安部 恵美子 吉本 圭一 小方 直幸 稲永 由紀 白川 佳子 安部 直樹 SAKANE Yasuhide TERANISHI Akio TAKASHIMA Chuhei FUKUMOTO Yuji YAMAMOTO Magobe NARUSHIMA Hiroshi TANAKA Masaaki YAMAFUJI Kaoru 吉武 利和 MIKI Kazushi 藪 敏晴 SHOUNO Chiduru MIYAUSHI Jun 石原 好宏 MUTO Reiji ITOU Tomoko KOJIMA Eiko
出版者
長崎短期大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本科研は、短大ファースト・ステージ論の現実的可能性を探り、短大教育の成果(アウトカム)を明らかにすることを目指している。まず、短期大学教育の成果とは、卒業生の多様な活躍の実態と、彼らの短大教育に対する評価であるとの仮説を立てた。この仮説を立証するために、卒業生を対象とした調査を実施し、その分析結果からは、短大教育の長所と短所が読み取れ、また、教育の点検と評価に活用された。本報告書は、「第1部研究の課題と背景」「第2部卒業生調査の分析」「第3部卒業生調査から短大教育の点検、改善へ」で構成されている。(本研究から得られた代表的知見)1.短期大学卒業後の職業や進学キャリアの形成に関する学科や卒年間での相違は顕著であった。卒業生全体では、卒業直後に正規職を得ることや、短大での専攻分野を活かした職業を継続することに困難な状況が見られた。2.卒業生調査の分析では、各短大の教育の点検・評価活動を実りあるものにするために、教育のアウトカム指標に関する7つの標準的な説明モデルを提示し、各短大のアウトカムと、規定要因モデルをもとに各短大で達成しうるアウトカムのレベルとを比較した。(今後の研究課題)1.短大卒業生調査の二次分析(大学・専門学校卒業者との比較などを中心に)2.短大卒業生に対するインタビュー調査の実施3.卒業生の採用先・社会活動状況に関するインタビュー調査の実施
著者
野口 高明 中村 智樹 木村 眞 木村 眞
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

4年にわたり、総計約400kgの雪を南極より日本に持ち帰ってもらい、その雪から地球外起源の塵を約200個発見した.その中から、従来、成層圏でしか捕集できなかった彗星起源塵を約10個同定できた.彗星起源塵には、炭素質コンドライトという隕石に特徴的な構成要素と鉱物学的にも同位体化学的にも区別のつかない物体が含まれることを発見した.さらに、彗星起源の塵と小惑星起源の塵には、炭素質物質の骨格構造的に違いがあることがラマンスペクトルの解析から分かった.
著者
今泉 祐治 大矢 進 山村 寿男 戸苅 彰史
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

脳神経等の興奮性細胞では、強い刺激と興奮により細胞にCa^<2+>負荷が生じた場合、自己防衛的にスパイク発生頻度を減じてCa^<2+>過負荷による細胞障害を回避するシステムが存在する。特にCa^<2+>活性化K^+チャネルはその活性化により、過分極を介して電位依存性Ca^<2+>チャネル活性を低下させるため、多くの興奮性細胞において最も基本的な[Ca^<2+>]_i負帰還調節機構を担う重要な分子と認識されている。本研究はCa^<2+>活性化K^+チャネルの分子制御機構の解明を基盤とした創薬研究を目的としている。研究期間内に以下の事柄を明らかにした。(1)脳血管内皮細胞に発現している小コンダクタンスCa^<2+>依存性K^+(SK)チャネルがアストロサイトなどから遊離されたATP刺激による内皮細胞増殖促進機構において、極めて重要な機能を果たしていることを発見し、創薬ターゲットとしての可能性を示した(JBC,2006)(J Pharmacol Sci,104,2007)。(2)型リアノジン受容体(RyR2)異型接合性欠損マウス膀胱平滑筋を用いて、[Ca^<2+>]_i負帰還調節機構へのRyR2と大コンダクタンスCa^<2+>活性化K^+(BK)チャネルの寄与を明らかにし、尿貯留・排泄調節という膀胱機能発現において生理的に重要であることを示した(J Physiol,2007;J Pharmacol Sci,103,2007)。(3)電位感受性蛍光色素として創薬探索に汎用されているオキソノール化合物がβ1サブユニット選択的なBKチャネル開口作用を有することを発見し、BKチャネルβサブユニット選択性のある初めての化合物として創薬シーズの可能性を示した(Mol Pharmacol,2007)。(4)本態性高血圧症モデルラット(SHR)の大血管において細胞外液酸性の状態で収縮が著しく増強されることが知られていたが、高血圧の補償として発現促進されたBKチャネル機能更新と酸性時に活性が抑制される特有の機構が主な原因であることを見出した(Am J physiol,2007)。
著者
北島 宣 片岡 圭子 札埜 高志 羽生 剛 山崎 安津
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

'無核紀州'由来の無核性発現には植物生長調節物質は直接的に関与していないことが明らかとなった。この無核性発現機構は、高温条件で解除され、種子が形成されることが明らかとなった。開花0~4週間後の高温が無核性発現機構の解除に関与することが示唆された。
著者
津田 敏隆 堀之内 武 小司 禎教 瀬古 弘 河谷 芳雄 矢吹 正教 佐藤 一敏 川畑 拓矢 國井 勝
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究はGPSや準天頂衛星による衛星測位データを大気科学に活用する「GPS気象学」の一環であり、以下の3課題を実施した。1) 小型低軌道(LEO)衛星を用いたGPS電波掩蔽により、高度分解能と精度が優れた気温・水蒸気プロファイルを解析する、2) GPS掩蔽データと地上GPS観測による可降水量データをメソ数値予報モデルに同化し予報精度向上を評価する、および3) GPS掩蔽データを用いて大気構造・擾乱の時間空間特性を解明する。
著者
眞柄 秀子 井戸 正伸 新川 敏光 鈴木 基史
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

構造改革と政治変化に関する日伊比較研究の国際研究集会をミラノ大学と早稲田大学でそれぞれ2回ずつ開催し、最終的な研究成果としてStructural Reforms in Italy and Japan Revisited-Riforme Strutturali in Italia e Giappone : Una Riflessione Critica, The Japan Society for the Promotion of Science Grant-in-Aid for Scientific Research (B) #18402014, Hideko Magara, Waseda University, 18 March 2010, 196p.にまとめた。
著者
田中 正義 藤原 守 郡 英輝 高松 邦彦
出版者
神戸常盤大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

超偏極^3Heガスを造影剤とした^3He-MRI(磁気共鳴イメージング)を目指して、極低温と、強磁場による強制偏極法(BFM : Brute Force Method)による超偏極^3Heガス生成法の開発を行った。今回BFMを用いたのは、従来のレーザー光ポンピング法では超偏極^3Heガスの収率が高々1〓/日程度しか期待できないが、BFMではその千倍の収率が期待できるからである。極低温(~10mK)を実現するのに、オランダ・ライデンクライオジェニクスから導入した^3He/^4He希釈冷凍機(DRS2500)を用い、17 Tの強磁場発生には超電導ソレノイドコイルを用いた。本研究では、BFMで生成された超偏極固体^3He生成用のポメランチュクセル、減偏極が起こらないように短時間で気化させる急速融解法を開発し、予備実験を行っている。
著者
中嶋 康博 荘林 幹太郎 小川 茂男 合崎 英男 高橋 太郎 山田 七絵 佐藤 赳 鄭 暁雲 宋 敏 王 維真
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

メカニズムデザインの手法を用い、中国南西部の湿潤地域と中国北西部の乾燥地域のそれぞれにおいて、農業生産者の土地資源および水資源の利用に対する望ましい政策介入について分析した。分析においては地理情報システムおよびリモートセンシングの技術を活用し、地域の空間的な特徴を内生化した経済モデルの設計を行った。
著者
深尾 葉子 安冨 歩
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

黄砂という現象が純粋の自然現象ではなく、人間の営為と密接に関わっていることを前提として、そこに暮らす人々の生活・コミュニケーションに働きかける方法を探求した。それにより、黄砂の発生地域に暮らす人々の社会的、経済的行動と密接につながった解決策を編み出すことぬきには、真の解決策には至らないこと、を具体的に明らかにした。これは地域研究者と現地の実践者が環境問題の解決について介在役を果すことではじめて可能となるもので、今後の共同研究のあり方を示唆するものである。
著者
大谷 実 杉野 修 森川 良忠 館山 佳尚 濱田 幾太郎 浜田 幾太郎
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

第一原理分子動力学シミュレーション手法を用いて,電気化学反応のシミュレーションを行った.固液界面における電子移動反応・界面構造の変化・吸着状態の変化など,電圧を印加した界面に特有な物理が多数明らかになった.
著者
館山 佳尚 袖山 慶太郎 隅田 真人
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究課題は触媒・電池系の重要基本過程であるドナー-アクセプター間電子移動過程の電子・原子スケールでの定量的解析を実現するために、始状態と終状態を区別可能な「拘束スキーム」を導入したDFT計算手法の開発・確立に取り組み、さらに触媒・電池系内の固液界面の電解質ー吸着子ー基板系への適用を実行しました。本研究で開発された計算手法により界面電子移動過程に関する微視的理論が大きく進歩し、また触媒・電池系内の化学反応の微視的描像が確立し、高効率化に向けた指針がより明確になることが期待されます。
著者
兪 文偉 横井 浩史 汪 金芳 村田 淳 横井 浩史 汪 金芳 村田 淳
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は運動機能及び感覚機能代行における機能補助機器とその使用者間の動的協調の実現を目指すものである。研究期間中,機能補助機器を筋電義手に限定し,(a)様々な動的タスクにおける肩・アーム・手複合体の協調特性の計測や動的補助動作を実現するための使用者運動意図の識別方法の開発,(b)使用者への感覚提示方法の提案,(c)(a)と(b)の統合で,動的協調を実現するためのインタフェースの構築を行い,その有効性を検証した.
著者
中山 和弘 有森 直子 小松 浩子 藤井 徹也 高山 智子 石川 ひろの 佐居 由美 的場 智子 宇城 令 戸ヶ里 泰典
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

Webの情報に翻弄されず、むしろその情報をより活用できるために、患者・家族・国民のヘルスリテラシーの向上を支援するWebサイト(『健康を決める力』(http://www.healthliteracy.jp/)を作成・公開・評価した。コンテンツは次の6つの内容でできている。1.健康のためには情報に基づく意思決定を、2.「信頼できる情報」とは何か、3.知りたい情報はインターネットで、4.コミュニケーションと意思決定、5.健康を決めるのは専門家から市民へ、6.健康を決めるために市民が出来ること、である。
著者
永原 陽子 鈴木 茂 舩田クラーセン さやか 清水 正義 平野 千果子 中野 聡 浜 忠雄
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、「植民地責任」という従来の歴史学になかった概念を試論的に提示し、脱植民地化研究におけるその可能性を探った。「植民地責任」論は、かつて植民地支配を受けた地域の人々から近年になって出されている、植民地支配にかかわって生じた大規模暴力に対する謝罪や補償への要求等の動きを、歴史学の問題として受け止めたものである。そこでは、植民地体制下、あるいは植民地解放戦争などの中でおこった大量虐殺等の大規模暴力が、「戦争責任」論において深化・発展させられてきた「人道に対する罪」として扱われている。そのような趣旨の訴訟等を比較検討した結果、植民地支配の歴史をめぐって、主体に解消されない、「個人」や「民族」主体、その他様々なアクターが形勢してきた新たな歴史認識を見て取ることができた。植民地主義の歴史にかんするこうした新たな歴史認識は、植民地支配の直接の前史としての奴隷貿易・奴隷制にも及ぶものである。こうした歴史認識・歴史意識の変化は、政治的独立とは別の意味での「脱植民地化」現象ととらえることができる。このことから、本研究では、「植民地責任」論を「脱植民地化」研究を主体論的にとらえるための方法と位置づけた。植民地体制下の大規模暴力の少なくない部分は、「人道に対する罪」に代表される、「戦争責任」論の論理によってとらえることが可能である。しかし、そのような法的議論が対象とすることのできない歴史的現象、また「罪」の指標には該当しない、日常化した植民地体制の問題も、植民地支配を経験した人々の生にとってはきわめて重要なことであり、本研究は、「平時」と「戦時」の連続性の中において大規模暴力を理解し、それを通じて、脱植民地化を16世紀以降の長い世界史の中でとらえ直すための方法として「植民地責任」論を提示し、その有効性を確認した。
著者
本江 昭夫 平田 昌弘 稲村 哲也
出版者
帯広畜産大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

中国の半乾燥草原では、砂漠化が進行しており、特にヤギによる過放牧が砂漠化の主要な原因である。ヤギがおもに飼育されているところは、開発の歴史が古く、人口も多いので丘陵地帯の斜面の大半は畑になっていた。ヤギが放牧できる草原は、ほぼ垂直に切り立っている斜面だけであった。逆に、開発の歴史が浅く、人口も少ないところでは、丘陵地帯の緩やかな斜面の多くは草原となっており、そこでは主にヒツジが放牧されていた。
著者
岩本 純明 大鎌 邦雄 坂下 明彦 松本 武祝 加瀬 和俊 坂根 嘉弘 藤田 幸一 生方 史数 仲地 宗俊 杉原 たまえ
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

共有資源の管理システムを、林野・漁業・水利に焦点を当てて比較制度論的に検討した。調査地は、海外 8 カ国、国内 12 カ所で行った。主な知見は以下の通りである。(1)共同体をベースにした共有資源管理制度は、市場経済の浸透のもとでもまだ広汎に残っている。(2)しかしながら、共同体的関係の弛緩とともに、従来は内部で吸収できていたコストが顕在化している。(3)資源管理に関わる技術革新も制度変容の重要な要因となっている。
著者
竹中 正 永田 肇 晝間 裕二
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

近年、環境保全に対する意識の高まりを受け、電子部品におけるPb、Hg、Cd、Cr6+などの有害元素の使用が規制の対象となり、ヨーロッパでは、2006年7月1日からそれらの使用禁止法令(いわゆるRoHS指令)の施行が開始された。本研究では、電子材料の高機能化に重要な役割を果たす酸化鉛(PbO)を含まない環境に優しい非鉛圧電アクチュエータ材料を開発しようとするもので、長年に亘る膨大な基礎的データを基にして、ペロブスカイト型酸化物強誘電体セラミックスを用いて、圧電歪み(アクチュエータ動作)が大きく、かつ、動作温度範囲の広い非鉛圧電アクチュエータ材料を新しく開発した
著者
山口 泰雄 武隈 晃 野川 春夫 杉山 重利 大沼 義彦 高橋 伸次
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

平成11年度は、昨年度の研究成果を整理し、本年度の研究計画を立てた。海外調査は、「北米班」と「オセアニア班」に分かれて、イベント調査と団体調査を実施した。北米調査においては、障害者の国際スポーツ統括団体である「スペシャルオリンピック」の事務局を訪ね、ヒアリング調査と関連資料を収集した。加盟国は150ヶ国に上り、100万人が活動している。また、オーランドで開催されている「全米シニアゲームズ」のフィールドワークを行った。会場は、ディズニーワールドの中のディズニースポーツセンターで、センターに登録されたボランティアが大会のサポートを行っていた。カナダにおいては、厚生省の「ヘルス・カナダ局」を訪ね、フィットネス活動に関するボランティアの概要をヒアリングした。また、フィットネス活動の広報団体である「パーティシパクション」の事務局を訪ね、「トランスカナダ・トレイル2000」事業におけるボランティアの活動概要の資料を収集した。「オセアニア班」は、ニュージーランドの政府機関である「ヒラリーコミッション」を訪ね、ボランティア指導者のキャンペーンやスポーツクラブにおけるボランティアのヒアリング調査と関連資料を収集した。オーストラリアにおいては、政府機関である「オーストラリア・スポーツ委員会」を訪ね、VIPプログラムとボランティアを含めた「アクティブ・オーストラリア」キャンペーンの資料を収集した。2000年2月には、カナダのMcPherson教授を招聘し、研究分担者が集まり、平成11年度における研究成果の研究報告会を行った。同時に、わが国におけるスポーツボランティア活動の定義、分類、および今後の振興方策を議論・整理した。