著者
渡邉 富夫
出版者
岡山県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

うなずきや身振りなどの身体的引き込みをロボットやCGキャラクタのメディアに導入することで一体感が実感できる身体的コミュニケーション技術と、メディアの場にはたらきかけることで場を盛り上げる身体性メディア場の生成・制御技術に基づいて、発話音声からコミュニケーションの引き込み動作を自動生成する【音声駆動型身体的引き込み技術】、身体動作に連動して直接動作する【身体連動型身体的引き込み技術】、タイピングからコミュニケーションの引き込み動作を自動生成する【タイピング駆動型身体的引き込み技術】を開発し、感情移入インタフェースの基盤を構築した。
著者
森 大毅 有本 泰子 能勢 隆 永田 智洋
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

(1) 叫び声を誘発しやすいオンラインゲームをプレイする状況のコーパスを開発した。このコーパスには既存コーパスの10倍以上の頻度で叫び声が含まれている。叫び声の音響分析により、通常語彙や感動詞との音響的特性の違いを明らかにした。(2) 感情表出系感動詞の形態を分類し、多様な形態を持つ「あ」を合成した。合成音声を用いた知覚実験により、形態とパラ言語情報との関係を明らかにした。(3) 自然対話コーパスから笑い声の構成要素の変動要因を明らかにするとともに、コーパスベース音声合成を応用した多様な笑い声合成を実現した。知覚実験により、定義した変動要因を考慮することにより自然性が向上することがわかった。
著者
加藤 智章 新田 秀樹 西田 和弘 石田 道彦 稲森 公嘉 田中 伸至 石畝 剛士 国京 則幸 関 ふ佐子 原田 啓一郎 水島 郁子 石畝 剛士 片桐 由喜
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の研究成果として、各国の診療報酬体系は原価計算に基づく報酬設定というスタイルを取っていない点で共通であるという知見を得た。ここで日本の診療報酬体系は統一的で極めて精緻なシステムを構築していることが理解できたものの、医療保障を実現するための供給サイドに対しては、診療報酬に偏重しているため、医療施設等のスクラップアンドビルドに柔軟性を欠くとの仮説を獲得するに至った。このため、本研究はテーマを、医療施設をはじめとする医療保障体制全般にシフトチェンジし、基盤(A)の研究に転換することとした。
著者
尾崎 祐介 小川 一仁 中村 恒 藤井 陽一朗
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

少子高齢化と長寿化の進展によって、「老後の備え」が社会的に重要な問題となっている。豊かな老後を送るためには、金融面だけではなく、健康面も重要である。つまり、老後の備えは、金融面と健康面の両方を考える必要がある。本研究では、曖昧性と後悔という概念を用いて、将来の不確実な健康を健康不安として捉えることを提案する。そして、理論と実験を統合して、健康不安を取り入れた家計ファイナンスの構築を目指す。
著者
大和 修 矢吹 映
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

トイプードルの家族性成犬発症型運動失調症については、特定のゲノム領域に1遺伝子全域を包含する広域(約50 kb)の欠失を見出した。この欠失を簡易に判定する遺伝子型検査法を作成し、これまでに蓄積した発症例(約30頭)および非発症例(同家系メンバー)で調査した結果、本家系内においては完全に遺伝子型-表現型の一致を確認できた。本疾患については、これまで実施してきた臨床所見、病理組織学的所見、ゲノムワイド関連解析、次世代シーケンサーによる全ゲノム解析、RNAシーケンス解析等、すべてのデータをまとめて論文公表を準備中である。犬のオロット酸尿症およびメチルマロン酸尿症については、前者は特に尿素サイクル異常症に関わる遺伝子群、後者はメチルマロン酸尿症に関わる遺伝子群のエクソンおよびエクソン-イントロン結合領域を調査したが、候補となりうる配列異常は認められなかった。今後は、イントロン領域およびプロモーター領域にも検索範囲を広げて調査する予定である。また、全ゲノム解析を終えた犬のエーラス・ダンロス症候群、神経セロイド・リポフスチン症およびカロリ病、ならびに猫のライソゾーム蓄積病については、カロリ病においてPKHD1遺伝子に、家系内で表現型-遺伝子型の一致する候補変異を同定した。一方、今年度の計画に挙げていなかったが、新たに犬のムコ多糖症(MPS)ならびに猫のポンペ病(糖原病II型)およびニーマンピック病の解析を開始した。その結果、犬のMPSについては、以前に解析したMPS VI型のARSB遺伝子の他、MPS VII型のGUSB遺伝子のエクソンおよびエクソン-イントロン結合領域に候補となる異常配列は認められなかった。猫のポンペ病およびニーマンピック病では、それぞれGAA遺伝子およびNPC2遺伝子に候補変異となる異常配列が認められたため、現在、その変異についての集団内調査を実施している。
著者
星野 崇宏 繁桝 算男 猪狩 良介 加藤 諒
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究の研究目的はルービン因果モデルの枠組みを拡張し、店舗と消費者、病院と患者、クラスと生徒のような階層性のあるクラスターデータにおける因果効果の異質性や、同一個人でも何らかの要因により介入効果が異なる個人レベルの効果の異質性について統一的なモデル表現を行い、既存手法で生じるバイアスを回避する効率的な推定法を開発することを目的としている。一昨年度に進展した理論研究のうち特にpotential outcome間の同時分布の識別条件とその推定方法についての研究をもとに、研究計画の(1)クラスターあるいは個別ごとの介入の最適化についての研究や、(3)適応的デザインでの解析への応用に直接有用であり、また(5)母集団情報やマクロデータ、代表性のあるデータを利用した補正についての理論研究に注力して研究を行った。さらに、これに関連するシミュレーション研究を大規模に実施した。理論的な研究の成果を海外学会での発表および海外著名誌に論文投稿を行いその一部については採択され、他は現在審査中である、また、応用研究としてレセプトデータ、教育データとマーケティングデータについては(1)と(3)の分野について研究を実施し、応用研究についてはまずは国内外の学会に発表したあと、一部海外雑誌に掲載させ、他にも国内外の査読雑誌に投稿準備中である。特に理論的な研究成果は一昨年度は論文投稿を中心としたため、昨年度は海外学会でも発表を行った。
著者
稲葉 光行 細井 浩一 THAWONMAS Ruck 中村 彰憲 上村 雅之
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、伝統文化から生活文化に至るまでの様々な日本文化に関する学習環境を、インターネット上に構築することを目指した。本研究ではそのためのプラットフォームとして、世界中からアクセスができ、かつ仮想的な身体(アバター)で動き回ることができる仮想3次元空間(メタバース)を用いた。またメタバースを通してつながる学習者同士が、クイズの答えを共同で探索することで互いの知識を共有する「協調的シリアスゲーム」という学習モデルを考案した。さらに我々は、学習者自身が学習空間やゲームを設計し、それらを改良する過程で自身の学びを深める「デザイン実験」アプローチをメタバース上で実現する学習活動の実用化に取り組んだ。
著者
高宮 正之 宮本 旬子 綿野 泰行 滝尾 進
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究では、まずゼンマイ属(Osmunda,x=22)について18SrDNA座の詳しい調査を行った。その結果、遺伝子座はシロヤマゼンマイでは1座のみであったものの、ゼンマイとヤシャゼンマイでは複数の座があることが確認された。また、複数座をもつ種ではシグナルに大小が見られた。このことは上記3種は元から二倍体で遺伝子座の重複は無く、ゼンマイとヤシャゼンマイの共通祖先においてrDNA座の一部の転座が起こった、あるいは上記3種の共通祖先で既に遺伝子座の重複が起こっておりシロヤマゼンマイでのみ1対を除いてサイレンシングは終了し、ゼンマイとヤシャゼンマイではサイレンシングの途上であるなど、様々な解釈が可能である。それゆえ系統的に離れた様々な分類群にFISH法を適応するため、染色体数の調査をおこなった。オシダ属(Dryopteris,x=41)では23分類群調査し、12が二倍体、カナワラビ属(Arachniodes,x=41)では44のうち27が二倍体、ノコギリシダ属(Diplazium,x=41)では、54のうち13が二倍体だった。ノコギリシダ属については、rbcLによる比較から二倍体種は様々な系統群に含まれていて、系統的にはばらばらであることが判明した。ノコギリシダ属2種、カナワラビ属1種、オシダ属1種を用いたrDNA座による調査でも複数の座が確認された。ゼンマイ属の結果と合わせると、検討した種では二倍体レベルで共通して複数の座があり二倍体種は、もともと高次の染色体数を持っていた可能性が示唆された。
著者
田之倉 優
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

オリザシスタチン(OC)はコメ(Oryza sativa)中に含まれ、システインプロテアーゼ(CP)を特異的に阻害する蛋白質である。この蛋白質はパパインを化学量論的に阻害し、炊飯条件下でも活性を失わない耐熱性を持ち、酸やアルカリに対しても安定である。この蛋白質は、種子内蛋白質分解に関与するCPの働きを制御することにより、代謝を調節するとともに、昆虫、細菌、ウイルスなどの外敵や感染源に存在するCPを外来性標的酵素として認識して、その活性を阻害することにより生体防御を担っていると言われている。本研究では、生化学的解析および立体構造解析により、OCの機能構造相関の解析を行った。温度、濃度、pHなどの溶液条件を変化させる、あるいは、変性剤により変性させることでOCを自由にダイマーやモノマーに変換することに成功した。各成分のプロテアーゼ阻害活性を比較したところ、ダイマー状態の方がモノマー状態より活性が低下することが明らかとなった。このことから、本タンパク質は、イネの生育段階における様々な環境変化に応じて、自分自身の状態(構造)変化を起こすことでプロテアーゼ活性の制御を行い、調節因子として働いていることが示唆された。また、NMR構造解析により、OCはダイマー化すると、阻害活性に重要とされている第一ループと第二ループの構造が変化していることが示され、このために阻害活性が低下することが示唆された。さらに、OCのホモダイマーの結晶化に成功し、2.9Å程度の分解能のデータを得た。OCは、医薬品や機能性食品としての適用が検討されている。本研究の成果により、溶液条件を変化させることでその活性が制御できることが明らかになったので、その機構を利用し、熱や酸に対しても耐性があり、pHによって制御が出来るナノマシン等更なる応用が期待される。
著者
西村 信哉 湊 太志 LIANG HAOZHAO 今井 伸明 西村 俊二 有友 嘉浩
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

rプロセス元素合成は、宇宙における鉄より重い元素の主要な起源である。rプロセスの元素合成経路は安定核から大きく離れた中性子過剰側にあり、原子核の物理的性質が未解明である。rプロセスが起こる天体環境も長らく未解明であったが、近年、重力波・マルチメッセンジャー天文学の進展により、対応する天体現象キロノヴァが観測された。本研究では、重力波天文学の新しい知見を踏まえ、元素合成と原子核の理論計算の両者を「アップデート」する。原子核理論の最近の成果を基に代表者が構築してきた元素合成計算を拡張する。rプロセスを対象に、核物理と天体物理の双方の不定性を踏まえ観測から理論を制限する。
著者
倉橋 節也 寺野 隆雄 吉田 健一 津田 和彦 高橋 大志
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本年度は,開発してきた逆シミュレーション学習によるエージェントモデルのパラメータ推定手法の手法を,実際の社会システムを対象に適用事例を作っていくことを主に行った.1)感染症モデル:新型コロナウイルスの広がりに対して,効果的な感染予防策の組み合わせを調べることを目的に,COVID-19感染モデルを構築した.感染プロセスをエージェントベースモデルに実装し,一般の市民や企業,学校などにおいて対策が可能な予防策の有効性についての比較検討を行った.2)都市動態モデル:スプロール化した都市の,コンパクトな都市構造への改善を目的とした都市政策の効果を検証した.都市居住者の自律的な行動に基づく都市動態のエージェントベースシミュレーションを実行し,その成立メカニズムを明らかにした.都市のスプロールは堅固で不可逆的であり,多中心型コンパクトシティを維持可能であった政策もってしてもくつがえすことは困難であること,トラムの導入は,トラム利用前後の歩行を誘導するような施策と組み合わされることで初めて 大きな効果を発揮することなどを見出した.3)組織多様性モデル:少子高齢化が進む日本では,労働力を確保するために働き方,働く人が多様化している.多様性を定量化するフォールトラインの考え方に基づき,日本の組織を対象にした実態調査の結果を用いて,組織の多様性と成果の関係をエージェント・ベースモデルによって明らかにした.多様性はフォールトラインの強さとサブグループ数によって成果への影響が異なることがが明らかになった.4)変数選択モデル:近年、大量かつ複雑なデータの獲得と蓄積が進み,重要な変数を選択する手法の重要性が高まっている.そこで,実数値遺伝的アルゴリズムを用いて,同一世代内の遺伝子の分散を活用した変数選択手法を提案し,パラメータ推定と変数選択の両方に対応できることに成功した,
著者
野島 博 藪田 紀一 奥崎 大介 内藤 陽子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

癌細胞が悪性化するとは「癌細胞が細胞分裂ごとに娘細胞への染色体不均等分配を高頻度に起こす」即ち「染色体不安定性」という特徴を獲得することにある。その細胞・分子レベルでの主要な原因として「中心体の過剰増幅とM期チェックポイントの制御異常」が知られている。本研究ではM期で中心体から染色体へ移行する「中心体キナーゼ」であるLats1/2がALB経路とCLP経路を、GAKがGBC経路を形成することで染色体不安定性を統御するという我々の独自な発見を展開した。そのために、Lats1/2、GAK、Cyclin G1/G2欠損マウスやTALEN/Crispr系を用いたLats2欠損癌細胞株を作製して活用した。
著者
鰺坂 学 浅野 慎一 岩崎 信彦 杉本 久未子 西田 芳正 西村 雄郎 文 貞實 魁生 由美子
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

日本の大都市では2000年を画期として、長らく続いた人口の郊外化がおわり、人口が都心部に向かう都心回帰といわれる状況がみられる。その原因は、不況により都心地域の地価が下がり、オフィス需要が減少し、余った土地に大型のマンションが建てられ、新しい住民の居住が促進されたためである。本研究では、これらの人口の都心回帰により大阪市における地域社会の構造変容について調査分析を行った。特に都心区における新しい住民と古くから住んでいた住民との関係について、大阪市特有の地域住民組織である「地域振興会」(振興町会や連合振興町会)に焦点をあて、その連合会長らに面接調査を行った。結果として、新住民の地域振興会への参加は少なく、旧住民中心に運営されてきた振興町会の側も新住民への対応に苦慮していること、新旧住民間の交流やコミュニティの形成が課題となっていることが判明した。
著者
北村 明彦 木山 昌彦 野藤 悠 山岸 良匡 横山 友里 谷口 優 清野 諭 新開 省二 西 真理子 村木 功 阿部 巧 山下 真里 陣内 裕成
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

地域住民の疫学研究により、生活因子(身体活動、食事、喫煙、飲酒、精神的ストレス等)、医学的因子(脳卒中、心疾患、動脈硬化、メタボリックシンドローム等の生活習慣病、及び低栄養、サルコペニア、認知機能低下、うつ等の老年症候群)、社会的因子(社会参加、近隣・地域との交流、ソーシャルサポート等)がフレイルの発症に及ぼす影響を中年後期、前期高齢期、後期高齢期の年齢層別に明らかにする。
著者
松本 省二 小山 裕司 石原 拓磨 安田 あゆ子 中原 一郎 沖田 慎平
出版者
藤田医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

【背景】脳卒中受け入れ病院では、組織的なチーム医療提供体制の整備が不可欠如である。申請者は、脳卒中のチーム医療をICTで支援する<タスカル/TQM (Total Quality Management)プログラム>を開発してき。【目的】日本の約15-30施設に<タスカル/TQMプログラム>を導入し、 導入前後の診療への影響を評価し、様々な病院での<タスカル/TQMプログラム>の有効性とそれに関連する因子解明する。【予想される結果と意義】病院の状況に即した<タスカル/TQMプログラム>の運用方法が明らかとなることで、様々な病院での脳卒中の診療プロセスの改善に貢献できる。
著者
河野 英子 竹内 竜介 大沼 雅也 福嶋 路
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、新しい医療の制度化と国際的普及の事例分析を通じて、制度化過程とその変容を明らかにするものである。対象とするのは、自動体外除細動器(AED)を使用した一般市民による救命を意味する「市民による除細動(PAD)」である。PADの制度化と国際的な普及プロセスについて地域間比較を行う。多様な制度や組織・集団と関係する医療産業は、その重要性・特異性に比して社会科学的な研究が相対的に少ないなか、本研究成果は制度論に関する議論への貢献が期待できる。
著者
田路 則子 鹿住 倫世 浅川 希洋志 林 永周 福嶋 路 牧野 恵美 山田 裕美 五十嵐 伸吾
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

日本人の起業意思の低さは国際調査に表れており、成人対象のGEM調査ではドイツに次ぐ低さ、大学生対象のGEUSSSでは最下位である。現状では、起業意思を高める教育に政策関心が向けられ始めたばかりであり、実際の起業にどうつながるかを想定する段階にはない。文科省のEDGE事業と4国立大学の認定VC事業とはリンクしていないが、東京大学のAI関連のスピンオフに見られるように実態は先行している。そこで、起業家教育とアカデミック・スピンオフをリンクするものとして研究対象にする。EDGE採択校における起業家教育を試行段階と捉え、スウェーデンの教育と輩出されるスピンオフの先進事例とを対比しながら研究を進めたい。
著者
陸田 秀実 田中 義和
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

申請者は,既往研究において,海洋の流れ・渦・波エネルギーによって柔軟に変形(曲げ,せん断,引張・圧縮)し,デバイス内部に分極(電圧)が生じ,電気エネルギーを生み出すことができる「柔軟発電体」と称するものを開発した.本研究では,この柔軟発電体の変形特性,発電性能を踏まえて,カキ筏のような垂下式弾性浮体ユニットに,複数の弾性圧電デバイスを組み込んだ新しいタイプの海洋エネルギー発電装置を提案・開発することを目的とした.その結果,室内実験およびフィールド試験を通して,本デバイスおよび発電装置の有用性が確認された.また,実用化に向けた設計ツールの開発および設計指針を示した.
著者
丸山 哲夫 内田 浩 升田 博隆 小野 政徳 BULUN Serdar SCIARRA John J.
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、子宮内膜症および子宮腺筋症の発生・進展における幹細胞の役割を明らかにするために、ヒト内膜細胞を用いた腹膜内膜症モデルマウスの開発を行い、磁性体により内膜症様病変をマウス壁側腹膜の任意の位置に局在させ得る戦略が可能で有ることを示した。同時に、新たに幹細胞標識追跡法を開発することで、組織(病変)再構成過程における幹細胞の振る舞いを検証できるin vivoシステムを構築し得た。さらに、子宮腺筋症の類縁疾患である子宮平滑筋腫の病因メカニズムに幹細胞とWNT/β-Catenin経路が関与することを明らかにした。
著者
桜井 武
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

レム睡眠中には、大脳辺縁系が強く賦活しており、その意義と機構を理解するためにレム睡眠の制御系を含む睡眠醒制御系と大脳辺縁系の関係を解明する必要がある。今年度、ウィルスベクターによるトレーシング技術と光遺伝学を用いて大脳辺縁系と睡眠覚醒制御系との構造的および機能的な相互関係を明らかにすべく研究を進めた。レム睡眠中には大脳辺縁系が強く賦活しているが、同時に運動野もふくめ賦活された脳から運動系への出力を解除するために、全身の抗重力筋の筋緊張が大きく低下していることが知られており、これは脳幹からα運動ニューロンが局在する脊髄前角に投射するグリシンとGABAを介した強力な抑制性経路によってなされている。一方、オレキシンニューロンが欠損したナルコレプシー患者では、覚醒時、情動が発動している時にこの筋弛緩メカニズムが働いてしまい、カタプレキシー(情動脱力発作)と呼ばれる筋緊張の低下をともなう発作を来す。これらのことから大脳辺縁系の活動と、本来レム睡眠中に見られるべき筋緊張低下のメカニズムに深い関係があり、ここにオレキシン系が介在して覚醒時には筋緊張機構を制御していると考えられる。しかしこの三者がどのような神経接続をもって相互に機能しているのか、明らかになっていない。そこで大脳辺縁系と睡眠覚醒の制御系の相互関係を解明するためにcTRIO法をもちいて 脊髄前角に投射する延髄腹側のグリシン作動性ニューロンの上流を明らかにした。この経路はオレキシン欠損マウスにおけるカタプレキシーの発現にも関与していた。一方、ナルコレプシーマウスのカタプレキシー時の扁桃体におけるドーパミンの動態をGRABセンサ ーとファイバーフォトメトリーを用いて明らかにした。扁桃体のドーパミン線維の光遺伝学的操作によりカタプレキシー時のドーパミン動態を模倣するとカタプレキシー様の発作を惹起できることが明らかになった。