著者
関 実 山田 真澄
出版者
千葉大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

マイクロ流体工学技術を駆使することで,複数種の細胞の位置を正確に制御しつつ,異方的なハイドロゲル材料に導入する技術開発を目指した。主に肝組織をターゲットとし,個別の単位材料を複合化することで,潅流培養可能な機能的組織を作製した。また同時に,細胞選抜技術,細胞外基質の加工技術などの周辺技術の開発を行い,3次元生体組織構築における基盤技術の確立を目指して研究開発を行った。
著者
深澤 太郎
出版者
高知大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

Tumor Necrosis Factor-α(TNF-α)/RelAダブルノックアウト(TA-KO)マウスは出生後自己免疫様病態を呈し生後3週までに致死となる。このTA-KOマウスでは、胸腺においては制御性T細胞(Treg)分画を認めるが、脾臓・末梢血中でのTreg分画は痕跡程度の非常に微弱なものとなっており、我々はこれまでにこの表現型は胸腺からの成熟Tregの流出不全に因ること、またこの流出不全はTreg側ではなく胸腺環境側の細胞でのRelA欠損に因ることを見出した。これより成熟Tregの流出が胸腺環境側に制御されていると考え、この流出に関与する胸腺環境側機構の解析を行った。本研究では、胸腺からのT細胞の流出に関わることが既知であるSphingosine-1-phosphate に対する走化性はTA-KO Tregにおいても正常であることを見出した。次に、胸腺環境側のどの細胞種がTreg流出におけるRelA依存性を示すのか絞込むため、デオキシグアノシン処理TA-KO胎児胸腺の、ヌードマウス腎皮膜下への移植を行った。このマウスではTregの流出不全は再現されなかったことから、RelA依存性を示す細胞種は胸腺ストロマのうちの胸腺上皮以外の細胞種であることがわかった。そこでTA-KO胸腺ストロマを(1)胸腺上皮細胞と(2)その他の細胞とに分け発現遺伝子プロファイルを作成したところ、TA-KO胸腺では(2)において形質細胞様樹状細胞(pDC)に特徴的な遺伝子群の発現低下が見られ、実際にTA-KO胸腺ではpDC分画の著しい減少が観察された。TA-KO胎児肝移植による血球系キメラマウスでは胸腺Treg流出は観察されるが、このとき胸腺pDC分画も認められることから、現時点ではTreg流出不全とpDC不在は相関しており、pDCがこの過程に関わる可能性を考えている。
著者
深井 朋樹 竹川 高志 姜 時友 寺前 順之介
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

測定技術の進歩により、脳研究は詳細な回路メカニズムを解明する段階に入りました。そこで多電極記録や光計測によって得られるデータから、多数の神経細胞の活動を半自動的に分離するための新しい数学的手法を提案しました。また大脳皮質回路の非ランダム構造が自発発火生成や、記憶と意思決定の情報表現において果たす役割を、神経回路モデルを構築して明らかにしました。また脳がそのような構造を獲得するシナプス可塑性機構を理論的に同定し、それを用いた聴覚野神経回路モデルが、雑音の存在下で複数の音声信号を分離して認識できることを示しました。これはカクテルパーティ効果と呼ばれています。
著者
豊田 敦 近藤 伸二
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究では、次世代型シーケンサー(Illumina)を利用してパーソナルゲノム上の多型を検出するための技術開発を行い、その技術を用いておもに家系情報のある脳神経疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、統合失調症など)患者の全ゲノム配列決定を実施した。筋萎縮性側索硬化症については、新規原因遺伝子であるERBB4(ALS19)を同定した。また、繰り返し配列の異常伸長や遺伝子コピー数多型、大きな挿入・欠失などの構造多型を精度高く検出するために、ロングリード(PacBio)の鋳型調製法や解析技術の開発を実施した。
著者
長谷川 利拡
出版者
独立行政法人農業環境技術研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010

イネの交雑育種が組織的に行われるようになって100余年が経過した。この間に大気CO_2濃度はおおよそ80ppmも上昇したが、これまでの品種改良によって高CO_2濃度に適応した品種が作出されてきたかは明らかではない。今後さらに大気CO_2濃度の上昇が予測される中、これまでの品種の変遷と高CO_2に対する応答性との関連を明らかにすることは、将来の育種の方向性を検討する上で重要である。そこで、過去約100年間の遺伝的改良が高CO_2に対する応答に与えた影響を圃場条件で明らかすることを目的に、茨城県つくばみらい市のFACE実験施設で高CO_2処理(外気+200ppm)を2か年行い、明治時代から現在までに育成された新旧主要イネ品種の収量応答を比較した。供試品種は愛国(1882年品種登録)、農林8号(1934年)、コシヒカリ(1956年)、アキヒカリ(1976年)、あきだわら(2009年)の5品種である。籾収量はFACEにより有意に増加した(p=0.03)。FACEによる収量の増加率は、2ヵ年ともに農林8号が最も高く、アキヒカリが最も低かった。登録年と収量増加率の関係では、現代品種のあきだわらを除き、旧品種(愛国、農林8号)と新品種(コシヒカリ、アキヒカリ)を比較した場合、旧品種の収量増加率が高かった(p=0.01)。収量構成要素では、単位面積あたりの穂数の増加率が旧品種ほど高い傾向がみられたのに対し、1穂籾数の増加率は新品種ほど高い傾向がみられ、これまでの遺伝的改良によりCO_2増加に対する応答が穂数の増加から穂のサイズの拡大に移行したことが示された。登熟歩合の増加率は、粗籾収量と同様の傾向であった。稔実籾数に登熟籾1粒重を乗じて計算した登熟シンクキャパシティーと実収量との間には、年次・品種・CO_2処理にかかわらず非常に高い正の相関がみられた。この結果から、シンクサイズのCO_2応答性が収量応答を決定していたと推察された。
著者
宮野 悟 角田 達彦 稲澤 譲治 高橋 隆 石川 俊平 小川 誠司 曽我 朋義
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

システムがんの円滑な計画研究の遂行と、計画・公募研究間の有機的な連携を推進した。毎年、班会議、総括班会議、及び外部有識者による諮問委員会委員を開催し、研究方針の策定、研究進捗状況の把握と内部評価を行った。情報・データ解析系と実験系との研究マッチングをサイトビジット形式で行い、研究支援を行った。アウトリーチ活動としては、ニュースレターを計12発行し、ホームページ、及び多くの論文のプレスリリースを活用して研究成果を社会へ発信した。一般、中学生、高校生を対処とした公開講演会を7回開催した。また、毎年、ソウル国立大学癌研究所の主催するシンポジウムを通して国際交流を深めた。
著者
石川 義弘 赤羽 悟美 佐藤 元彦 藤田 孝之 奥村 敏
出版者
横浜市立大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

心臓における自律神経調節の主体は、交感神経受容体と連動してcAMP産生を担うアデニル酸シクラーゼである。cAMPは下流酵素を活性化し、細胞内分子のリン酸化を起こし、その主要な標的がカルシウムチャネルであり、細胞内カルシウム+の流入を増加させて心筋の収縮性を制御する。カルシウム流入は心筋の拍動ごとに変化するから、アデニル酸シクラーゼとカルシウムチャネル活性は、拍動に応じた時間的位相差をもって変化すると予測される。我々はこれらの前提に基づいて両者の分子の制御メカニズムを検討し、双方向性の活性調節が時間的かつ空間的因子によって制御されることを見出し、不整脈の予測変化に役立つことを見出した。
著者
戸島 拓郎 上口 裕之 久保山 友晴
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

糖鎖による生命活動の制御様式として、糖鎖がコアタンパク質を介さずに直接的なリガンドとして特異的な受容体を活性化するという新概念が脚光を浴びている。本課題では、神経軸索の成長円錐の応答性を指標として、生理活性を持つ糖鎖機能ドメインとその受容体、さらにその下流で惹起される一連の細胞内シグナル伝達経路を解析した。その結果、コンドロイチン硫酸とケラタン硫酸が両方向性の軸索ガイダンス因子として機能することが明らかになった。
著者
岡 昌吾 川崎 ナナ 竹松 弘 森瀬 譲二
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

近年、脳の高次機能に糖鎖が深く関わることが次々に示され、神経系における糖鎖研究の重要性が増している。本研究では神経可塑性の調節に重要な役割を持つHNK-1糖鎖、およびシナプス可塑性調節に中心的な役割を担うAMPA受容体に発現するN型糖鎖を中心に解析を行った。その結果、AMPA受容体上のN型糖鎖が、その細胞表面発現量、細胞表面上での側方拡散の調節などに関わることを明らかにした。また、ペリニューロナルネット上に存在する新規HNK-1糖鎖を同定し、神経可塑性調節に重要なコンドロイチン硫酸鎖の合成を制御していることを明らかにした。
著者
石橋 正己 荒井 緑 當銘 一文 石川 直樹
出版者
千葉大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

天然物抽出エキスコレクションおよび天然物基盤合成化合物ライブラリーを用いて,ウィント(Wnt),ヘッジホッグ(Hh),トレイル(TRAIL),bHLH転写因子等のシグナル分子を標的とした天然物の探索および活性化合物の作用メカニズムの解析に関する研究を行った.各シグナル経路ごとにスクリーニングで得られた代表的な化合物として,Wntシグナル阻害作用をもつカルデノリド,TRAIL耐性克服作用をもつクワ科植物由来のプレニル化フラボン,Hhシグナル阻害作用をもつジテルペン,Hes1担持ビーズを用いる「標的タンパク質指向型天然物単離法」により得られた放線菌由来のピペリジンアルカロイドなどが挙げられる.
著者
菅野 了次 田村 和久 平山 雅章 鈴木 耕太 小林 玄器 森 大輔
出版者
東京工業大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

エネルギーデバイスへ応用可能な新しいイオニクス材料の開発を行った。古典的な材料探索に加え、理論科学、情報科学との連携により、材料探索の新しい指針を検討した。新しいイオン導電種であるヒドリド導電体を開発し、全固体型のデバイス用電解質としての応用可能性を見出すことができた。量子ビームを使ったナノ界面解析では、数nmスケールの電気化学界面構造とデバイス性能との相関と制御指針を見出すことができた。既知構造を利用した探索により、リチウムイオン、酸化物イオンが拡散する固体電解質を開発した。さらに、情報科学の手法を用いて新組成、新構造を有する材料探索にも着手し、その課題と展開可能性を提示することができた。
著者
鶴 剛 森 浩二 幸村 孝由 田中 孝明 武田 彩希
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

宇宙最初期に誕生する超巨大ブラックホール「ファーストブラックホール」を探査・研究し,銀河も含めた形成と進化を読み解くことが本研究の科学的最終目標である.現在宇宙X線観測で主流のX線CCDでは読み出し速度が遅く,非同時計数によるバックグラウンド除去ができないので,科学目標に必要な微弱な天体のX線精密分光撮像が不可能である.そこでイベント駆動X 線SOIピクセル検出器(SOIPIX)を開発する.実際のサイエンス実験にも使用可能な25mm×15mmサイズのXRPIX5をフレーム読み出しで動作させることに成功し,場所による性能変化がほとんどないことを確認した.XRPIX5の改良版であるXRPIX5bのプロセスを行なった.この素子を最大4枚重ねて,偏光X線検出実験などを行うことを目的に,読み出しシステムの開発を開始した(スタックXRPIX).FY2017にその具体的な実験を行う予定である.読み出しノイズの低いXRPIX3bを用いて,裏面の低エネルギーX線感度の評価実験を行なった.その結果,昨年の不感層厚み1μmを半減し,0.,5μmにすることに成功した.開発目標が1μmであり,目標をクリアすることに成功したことを意味する.開発開始当初より,常温から0℃までは,温度を下げることで暗電流は下がるのだが,そこから減らない現象があった.この現象の解明に努力し,X線検出ノードでの保護回路のオフリークだろうという結論を得た.この暗電流を削減する素子の製造を行なった.前年度までの研究で,二重化SOIウェハを用いることで読み出しノイズ性能を向上をさせる見込みを得た.そこで今年度,XRPIX6Dとしてプロセスを行い,性能評価を行なったところ,15e(rms)の読み出しノイズを得た.シングルピクセルであれば,10e(rms)である.この値は開発目標値であり,まずは目標に到達できたことを意味する.
著者
久保山 力也 井門 正美 藤本 亮
出版者
早稲田大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、ゲーミング手法を用いて、裁判員制度と民事紛争解決教材の開発を行うものであったがそれに付け加え、各種調査や教材の開発、実践等を行った。5年間の研究期間において、裁判員裁判ゲーム、ADRゲーム、取調べ体験ゲーム、被害者学教育ゲーム、法専門家活用ゲーム等を作成した。法教育フェスタや東京ゲームショウ等でプレゼンを行ったほか、国際会議、国際学会、国内学会等で広く成果を公開するにいたった。ゲーミング法教育、という1ジャンルを形成することができたことが、本研究最大の成果であると考える。
著者
野崎 智義 洲崎 敏伸 坪井 敏文 守屋 繁春 津久井 久美子 松崎 素道 橘 裕司 石田 健一郎 小保方 潤一 橋本 哲男 金子 修 稲垣 祐司 井上 勲 永井 宏樹 黒田 誠 永宗 喜三郎
出版者
国立感染症研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

真核生物の進化、及び、オルガネラ(細胞内小器官)の進化は、生物学の最も重要な基本命題である。一般に葉緑体・ミトコンドリアなどのオルガネラは細菌の内部共生によって生まれ、真核生物に革新的な代謝機能を与えた。本研究は(1)オルガネラ進化につながる一次・二次共生関係を生物界から広く検出し、共生を可能とする仕組みを理解する、(2)進化過程にある共生・寄生オルガネラの機能と維持機構を解明する、(3)「内部共生体に駆動される真核生物進化」という新しいパラダイムを確立する、(4) オルガネラ移植等の細胞工学手法による試験管内生物進化に必要な技術基盤を確立することを目指し研究を展開し成果を生んだ。
著者
鳥養 映子 三宅 康博 門野 良典 岩崎 雅彦 西田 信彦 秋光 純 杉山 純 永嶺 謙忠 齋藤 直人
出版者
山梨大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

超低速ミュオン顕微鏡は、表面・界面が関与する物理、化学、生命の諸現象の解明から、ミュオン異常磁気能率の精密測定までの広い分野において、研究を飛躍的に発展させる突破口となる。研究期間前半で共通基盤装置を開発し、後半でこれを用いた新たな学術領域の開拓をめざした。加速器施設の事故等による長期ビーム供給停止にもかかわらず、ビーム再開直後の平成28年2月に初の超低速ミュオン発生に成功した。海外実験施設等による予備実験により、磁性、超伝導、半導体、電池材料に加えて、触媒化学や生命科学などこれまで未開拓の分野においても基礎データを蓄積できた。さまざまな分野において、新量子ビームへの期待が高まっている。
著者
立花 義裕 万田 敦昌 山本 勝 児玉 安正 茂木 耕作 吉岡 真由美 吉田 聡 坪木 和久 中村 知裕 小田巻 実
出版者
三重大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

四方を海に囲まれた日本.その鮮明な四季は極めて特徴的である.日本の気候に対しては,日本を囲む縁辺海の海洋の影響が強くあることを大気と海洋の変動を評価し明らかにした.例えば,梅雨末期に豪雨が集中する理由は東シナ海の水温の季節的上昇が,九州で梅雨期に起こる集中豪雨の発生時期の重要な決定要因であること,日本海の海面水温の高低によって,寒気の気団変質過程に影響を及ぼし,寒波を強化・緩和されることを示した.
著者
山下 俊英
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

神経軸索の変性現象は、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病などの神経変性疾患において認められ、軸索変性を適切に制御することにより、神経変性疾患による神経症状の進行を止めることができることが示唆されているが、そのメカニズムについてはほとんどわかっていない。本研究では、我々が明らかにしてきた軸索変性誘導シグナルとゲノム高次構造の変容による自己破壊プログラムというふたつの観点からアプローチを試み、軸索変性現象を形作る分子メカニズムの全体像を捉え、効果的な作用点を探る戦略を進めることを目的とした。均一なglutamatergic neuronsをES細胞から分化させるin vitroのアッセイ系を用いて、外因および内因による軸索変性の分子メカニズムの解析を行った。これまでに、HDAC inhibitorがglutamatergic neuronsの細胞死を誘導することを見いだした。また軸索変性時におけるゲノムの転写構造の解析を行う目的で、cohesinのコンディショナルノックアウトマウスを作成し、解析を行ったところ、大脳皮質において樹状突起の複雑化が認められた。さらに大脳におけるシナプス形成に関わる蛋白質量の低下が認められた。行動解析を行った結果、不安様行動の亢進がみられた。これらの結果より、cohesinの欠損がシナプス形成異常をもたらし、精神神経疾患の病態形成に関与することが示唆された。
著者
河野 秀俊 リ ツェンハイ
出版者
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

本研究では、ヌクレオソームにおける翻訳後修飾やヒストンバリアントの影響を全原子分子動力学シミュレーションで解析し、ヒストンH3のテール領域がアセチル化やメチル化されると、DNAが解離しやすくなることを見出した。また、新規のヌクレオソーム構造(ヒストン6量体のヌクレオソームとヒストン8量体のヌクレオソームが重なった構造)の構造を決定した。さらに、クロマチンの構造多様性は、H4テールの相互作用の仕方によって生み出されることを示した。
著者
松田 道行 今村 健志 清川 悦子 宮脇 敦史 根本 知己 岡田 峰陽 石井 優 福原 茂朋
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

平成26年度までの計画班員および公募班員の研究報告書を取りまとめ、編集作業を行った後、評価報告書を作成し、関係者に送付した。また、研究終了後も要望の強いDNAの配布や技術講習会も開催した。さらに、Web情報の更新も行った。平成27年度に新しい新学術領域研究「レゾナンスバイオ」が始まったので、この領域への情報の引き継ぎを行った。
著者
箕越 靖彦 岡本 士毅 志内 哲也
出版者
生理学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

摂食行動の発現・調節機構を理解するためには、摂食に関わる神経回路網を明らかにするだけでなく、生体のエネルギーレベルを脳がどのように感受し、その情報を神経活動および摂食行動にどう変換するかを解明する必要がある。我々は、本研究において、室傍核CRHニューロンのAMPKが、絶食後の高炭水化物食と高脂肪食の食物選択行動を調節することをマウスを用いて見出した。室傍核CRHニューロンのAMPKが活性化することは、高炭水化物食の選択行動を引き起こす必要かつ十分であった。この実験結果は、生理学的、病態生理学的な食物選択行動の調節に室傍核CRHニューロンのAMPKが関与することを示す重要な発見である。